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サプライチェーンと経済回廊を巡る戦い

中共とメコン川流域5カ国(タイ、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー)が海南省の三亜で首脳会議を開催した。

中共は雲南省からカンボジアが接する南シナ海へと至る縦断ルートをつくること、その縦断ルートのインフラ建設に自国の過剰に陥っている供給力を使うこと、縦断ルートを通じた経済交流によってASEANの陸側にある5カ国に対する影響力拡大を図ることを考えている。

中国、メコン流域開発を支援 周辺5カ国と首脳会議 融資枠1.1兆円の意向 2016/3/23 23:43 日経

具体策としてアジアインフラ投資銀行(AIIB)の活用、中共からの輸出品購入に関する約1兆1300億円の融資枠、インフラ整備のための約1740億円の融資枠が挙げられる。

インフラ整備よりも輸出品購入の融資枠が約10倍の規模を有している点で自国の供給過剰が透けて見える。

さらにインフラ整備には以下の課題が出てくるだろう。5カ国間の利害調整と法整備を行い、我が国との競合に打ち勝ち、サプライチェーンの育成を図るために供給過剰に陥っている自国の産業を移転しなければならない。

特に利害調整に時間を要する。例えば、タイはタクシン派と反タクシン派の戦いによっても、バンコク首都圏とイサーン(東北地方)の経済格差解消のためのインフラ整備といった政治的合意を作ることが叶わなかった。タイは生産年齢人口のピーク(2017年)を迎える前に中間層を底上げする機会を失った、と云えるだろう。

タイでは家計債務率が80%を超えており、家計消費支出が今後も伸び悩む。家計債務を政府債務に置き換える意味でもインフラ整備は必要だったのだ。

現在、ASEANにおける我が国のサプライチェーンの中核地という地位をタイが占めていて、ここをメコン川流域圏の南北、東西、南部の3つの経済回廊が連結する。ベトナム、ミャンマーの人件費はタイと中共の40~60%水準となっていて、この二国に直接投資が進むと思われる。
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パラワン島から人工島を睨む

2014年4月に政府間合意された米比間の「防衛力強化に関する協力合意」(Enhanced Defense Cooperation Agreement)は、2016年1月にフィリピンの最高裁で合憲判断が下された。フィリピン憲法では外国軍の常駐を禁じているため、米国は便宜上、複数の基地を移動(ローテーション)しながら駐留する。また、フィリピンは米国以外の同盟国に基地を提供できる。

中国に対抗、フィリピン5基地を米軍拠点に 撤退から一転、防衛協力強化に合意 2016.3.19 12:57 産経ニュース

当初、フィリピンが米国に提示していたローテーション拠点は8ヶ所。対象地のうち4ヶ所はルソン島、2ヶ所はセブ島にあり、残り2ヶ所はパラワン島で係争中の南沙諸島近くにあった。

今回、米比間の戦略対話では以下の5ヶ所がローテーション拠点とされた。

パラワン島のプエルトプリンセサにあるアントニオ・バウティスタ空軍基地、ルソン島のバサ空軍基地、フォート・マグサイサイ陸軍基地、ミンダナオ島のルンビア空軍基地、マクタン島のマクタンベニト・エブエン空軍基地。フォート・マグサイサイ以外は空軍基地である。アントニオ・バウティスタ空軍基地は南沙諸島まで約350kmの位置にあり、最前線基地となる。

米軍のローテーション配備の詳細、指揮系統と運用形態などは決まっておらず、これから協議されることになるのだが、戦端が開かれない限り、民主的手続きが重視されない中共との時間差がますます問題になってくるだろう。

タイ海軍の憂鬱、その幕間劇

中共のメディア新浪網は、タイ海軍向けに039A型(元型)潜水艦3隻の売却が確定しており、これによってタイと米国の同盟関係が損なわれ、中共にとって利益がある旨、報道している。しかし、タイの潜水艦購入計画は2015年7月から進展が見られていなかった。

大陸国家と海洋国家の間に立つタイの政治の混迷は、内政ではタクシン派と反タクシン派の派閥抗争、外交では日中の投融資競争に現れており、潜水艦購入計画もその流れで頓挫している。

中国がタイに潜水艦を売却へ 「米タイ同盟関係を破壊だ」=中国メディアが「大はしゃぎ」 2016-03-14 16:27 サーチナ

もともとタイは、ドイツから中古の206型潜水艦を6隻購入しようとしていた。ドイツ海軍の206型潜水艦は、2010年以降に6隻退役が決まり、タイ海軍はこれらを購入して、2013年9月までに配備を目指していた。しかし、タクシン派と反タクシン派の派閥抗争に巻き込まれる形で購入計画は頓挫しており、中共から輸出用潜水艦039A型(元型)3隻を購入することになっていた。

2014年7月にタイ海軍は潜水艦を保有しないまま、潜水艦部隊司令部を開設、並びに訓練施設を建設してまで、潜水艦の輸入を切望している。しかし、2015年7月には費用を再検討するとして、一時保留となって以来、音沙汰がなかった(2015年7月3日のエントリー参照)。

一時保留になった契約内容は、039A型(元型)潜水艦を25年分割払い・無利子償還で3隻購入し、運用期間中のメンテナンス保証を付け、購入金額の約3倍にも及ぶタイの物産購入を約束する、という破格の条件であった。

これだけの好条件が保留となった背景には、タイ海軍の政治力の弱さもある。

タイ海軍は、第2次大戦までは日本から購入した艦船を使って、フランス・ヴィシー政権の海軍とも交戦している。しかし、戦後のピブン政権時代にクーデター未遂事件(マンハッタン反乱)を起こして、陸軍に制圧されて組織が解体されてしまった。

練度の積み重ねに時間の掛かる海軍にとって、これは致命的で、陸軍・空軍・警察(タイでは首相直属で階級も将官と佐官となっている)に比べて劣り、空母チャクリ・ナルエベトがチャワリット政権下の1997年に就役したが、アジア通貨危機にぶつかり、予算縮小の煽りを受けて、艤装がままならなかった。同時期に、空母の直衛艦としてタイと中国で共同開発されたフリゲートも同様の経緯をたどった(2015年7月24日のエントリー参照)。

現在、幕間劇の時間となっているタイ海軍の潜水艦購入が実現した場合、上記のような空母やフリゲート同様の喜劇に終わる可能性は高い。

すでにベトナムはロシアからキロ級潜水艦を購入して、インドから人材育成のスキームを受け入れている。緩衝国のカンボジアを挟んで、ベトナムへの警戒心は強いタイにとっては、タクシン派と反タクシン派の派閥抗争が自らの首を絞める結果になっている。第2次大戦でも最終的に連合国側に滑り込んだバランス外交も現時点では裏目に出ているのではなかろうか。

海洋国家の第一歩を踏み出すインドネシア

2015年3月の日本とインドネシアの首脳会談において、日本-インドネシア間の防衛協力覚書が交わされた。また、同時に約された日本-インドネシアの外務・防衛閣僚級協議(2プラス2)が2015年12月に初開催された(2015年3月23日のエントリー参照)。

これを受けて、インドネシア周辺海域の海図作成に自衛隊の担当者が派遣される見込みとなった。驚くべきことに世界最多の島嶼より成り立つ国家でありながら海図がなかった訳だが、中共の台頭と自国の経済発展がなければ、こうした機会も訪れなかっただろう。

海図なし、ということは対潜能力も皆無ということに他ならない。これは中共にも云えることだが、平時より潜水艦やソナーによって情報を収集・解析して、その情報に基づき、対潜哨戒機を運用しなければ、日米と同じ海洋国家の列に加わるのは難しい。インドネシアはようやく海洋国家としての第一歩を踏み出すようだ。

日・インドネシア、南シナ海の安定で一致 中国めぐり温度差 2015年 12月 17日 20:43 JST ロイター

インドネシア海軍支援 自衛隊の担当者など派遣へ 3月14日 0時01分 NHK NEWS WEB

南シナ海に面するインドネシアの海軍の能力の向上を支援するため、日本政府は海図の作成を指導する自衛隊などの担当者を今月下旬にインドネシアに派遣することになり、インドネシア側としては、こうした技術を潜水艦の運用に役立てたい考えです。

日本政府は去年12月、インドネシアと初めてとなる外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2+2」(ツー・プラス・ツー)を開き、自衛隊によるインドネシア軍の能力の向上に向けた支援の強化など、防衛協力を深めることで一致しました。

インドネシアの外交筋によりますと、日本政府は今月下旬に自衛隊と海上保安庁の担当者をインドネシアに派遣し、インドネシア海軍に対して海底の地形などを記録した海図の作成のための技術指導を行うということです。

中国が人工島を造成するなど、軍事的な活動を活発化させる南シナ海に面しているインドネシアは、海軍の潜水艦部隊の増強を計画していて運用に必要な詳細な海図を作成するため、去年フランス製の最新鋭の測量艦を就役させたばかりです。

インドネシア海軍にとって、多くの島が存在する周辺海域で潜水艦を航行させるには正確な海図が不可欠で、関係者は日本の支援に強い期待を寄せています。


参考URL:
日・インドネシア外務・防衛閣僚会合 平成27年12月18日 外務省

“接近阻止・領域拒否”を破る領域支配

人民解放軍が提唱する、“接近阻止・領域拒否(Anti-Access/Area Denial, A2/AD)”の戦略は、自前の空母打撃群を整備できない中共にとって、取りうる最善の選択肢ということであろう。

南シナ海にある西沙諸島(パラセル諸島)、南沙諸島(スプラトリー諸島)の島嶼を実効支配して航空基地をつくり、洋上制空によって敵艦船の接近を拒否しようとする戦略の方向性は理解できる。

What China Has Been Building in the South China Sea UPDATED October 27, 2015 The New York Times

Vietnam Objects to Chinese Oil Rig in Disputed Waters JAN. 20, 2016 The New York Times

Satellite Images: China Manufactures Land at New Sites in the Paracel Islands February 13, 2016 The Diplomat

中国、南シナ海に地対空ミサイル配備 衛星写真にはレーダー施設も 2016.02.17 ZAKZAK

A Glimpse Into China's Military Presence in the South China Sea FEBRUARY 18, 2016 | 21:29 GMT STRATFOR

中国が新たに環礁占拠か 「灰色」の中国船が常駐、フィリピン漁船追い払う 2016.3.2 12:38 産経ニュース

日本の潜水艦がフィリピン寄港へ、ベトナムにも護衛艦=関係者  2016年 03月 7日 10:06 JST ロイター

“接近阻止・領域拒否”戦略を打ち破るのに、最も安易な方法は復仇の原則に従って、同じく西沙諸島(パラセル諸島)と南沙諸島(スプラトリー諸島)の島嶼に、領有権を主張する台湾、ベトナム、フィリピンが航空基地をつくることだろう。ただし各国の国力から、それは無理であろうし、日米を始めとする海洋国家の協力が得られにくい。

西沙諸島(パラセル諸島)と海南島に対してはベトナムのダナン、南沙諸島(スプラトリー諸島)に対してはフィリピンのパラワン島が対抗する前線基地になるだろう。

海上自衛隊は今年4月、フィリピンのスービック湾に練習用の潜水艦と護衛艦2隻を寄港させ、うち護衛艦はベトナムのカムラン湾にも立ち寄る。

2015年11月に行われた日本とベトナムの防衛相会談で、海自の護衛艦がカムラン湾の新港へ寄港・補給することに合意していた(2015年11月1日のエントリー参照)。

海自、P3Cをベトナムに派遣 南シナ海めぐり中国をけん制 2016.02.18 ZAKZAK

海上自衛隊P-3C哨戒機がダナンに寄航、海軍と合同図上訓練 2016/02/19 15:03 JST配信 VIETJO

 海上自衛隊の派遣海賊対処行動航空隊21次隊のP-3C哨戒機2機が16日から18日にかけて、アフリカ東部ソマリア沖アデン湾での任務を終えて日本へ帰投する途中、南中部沿岸地方ダナン市に寄航しベトナム海軍との防衛交流を実施した。

 日本のP-3C哨戒機のベトナム訪問は、2014年年初のホーチミン市訪問と2015年5月のダナン市訪問に続き今回が3回目。21次隊はベトナム海軍司令部と合同で図上訓練を実施したほか、同軍の艦艇見学、P-3C哨戒機の装備・設備及び構造に関する研修などを行った。

 今回の訪問は、日本とベトナムの防衛協力の強化をアピールすることで、南シナ海の領有権を巡ってベトナムとの対立が続く中国をけん制する狙いがあった。

 これに先立ち、2015年5月、派遣海賊対処行動航空隊18次隊のP-3C哨戒機2機がダナン市に寄港。同年4月には外洋練習航海中の海上自衛隊の護衛艦「あさゆき(DD-132)」と「きりさめ(DD-104)」の2隻が、5月には海上保安庁のPLH型巡視船「やしま(PLH-22)」が同市に寄港している。

南シナ海を支配するのは国際法秩序か華夷秩序か

2016年1月30日、米海軍第7艦隊のイージス駆逐艦カーティス・ウィルバーは、中共が実効支配する西沙諸島(パラセル諸島)のトリトン島の12海里を事前通知を必要としない無害通航権を行使して通過した。2回目の航行の自由作戦(freedom of navigation operation)である。

1回目は2015年10月27日、米海軍第7艦隊のイージス駆逐艦ラッセンによって、中共が埋立を行っている南沙諸島(スプラトリー諸島)のスービ礁の12海里を通航したものである。

前回と今回の違いは人工島と島嶼の違いに発する。人工島に領海はないが、島嶼には領海があり、外国の軍船は無害通航の場合に限り、領海を通過できる。

無害通航権は、国際海洋法に基づき外国の軍船であっても、武力行使、威嚇、演習、情報収集、宣伝、積荷や航空機の離発着、漁獲、測量、通信妨害などを行わず、領海を主張する国に対して無害であれば、事前通知なしに通航できる権利である。

しかし、中共は自国の法律を盾に外国の軍船は領海に入るには事前通知せよ、と主張する。これでは中共の国内法が国際法を優越することになる。中共の領海を通過するのに、中共の慈悲を乞うというのであれば、それは国際法秩序ではなく、華夷秩序が南シナ海に出現する。

U.S. carrier group sails into waters claimed by China 12:35 p.m. EST March 4, 2016 USA Today

China Rejects Latest US FONOP in the South China Sea February 02, 2016 The Diplomat

米艦、中国支配の島から12カイリ航行=南沙に続き西沙で作戦-南シナ海 2016/01/31-00:44 時事ドットコム

中国共産党は、“海洋における法の支配”という人類共通の公共財を利用して、安全なシーレーンを通り、貿易上の利益を得ながら、同時にそれを維持する費用を負担せず、それどころかその財を毀損する行為を行っている。

国際法の原則を否定する状況が継続すればどうなるか。はて伝統的な支那社会なるものは、西欧社会に起源を持つ国際法秩序と、その社会に属しているのか、という疑念を招いて、全体の国際法秩序が崩壊しかねない。

たしかに発展過程にある国家は、政治的権力の配分を変更せよ、と要求する。彼らは現在、領土や通貨について要求している。

しかし、人工島を巡る要求が通れば、国際法の領土・領海・領空の概念をすべて書き換えることになる。つまり、既存の国際法における権利の再分配ではないのだ。

南シナ海の紛争は、見方を変えれば国際法秩序を守る戦いと云える。

マラバール演習、南シナ海を睨む

米印の合同軍事演習マラバールに、我が国が今年から恒久的に参加することとなった。これは2014年9月の日印首脳会談「日印特別戦略的グローバル・パートナーシップに関する東京宣言」でも合意されている。

米印日、南シナ海近くで年内に海上共同演習実施 2016年 03月 3日 03:05 JST ロイター

今年度のマラバール演習は、フィリピン北方海域で実施される見込みである、と米太平洋軍のハリス司令官が発表した。司令官は「インド、日本、豪州、米国並びに共通の意識を有する国々は国際法の許す限り、いかなる場所においても共同してパトロールする」と述べた。

2015年に初開催された日印豪の海上安全保障に関する協議、この協議に米国も参加することには充分な利益があるとも述べ、度々マラバール演習には参加していない豪州の名を挙げている。“対中封じ込め”の包囲環を閉じる役割は日米豪印4ヵ国が担うということだろう。

India, U.S., Japan to Hold Naval Drills Close to China's Waters March 2, 2016 — 8:36 PM JST Bloomberg Business

The U.S., India and Japan will hold joint naval exercises later this year in waters north of the Philippines, a move that's likely to irk nearby China as tensions rise over competing territorial claims in the region.

Admiral Harry Harris, head of U.S. Pacific Command, confirmed the location of the annual Malabar drills while speaking at a conference in New Delhi on Wednesday. The proposed area lies just northeast of the South China Sea, where the U.S. has spearheaded efforts to patrol waters near where China is building airstrips, lighthouses and ports to assert its claims.

"By being ambitious, India, Japan, Australia, the United States and so many other like-minded nations can aspire to patrol together anywhere international law allows," Harris said. No nation should perceive the patrols as a threat, he added.

China objected after an announcement in December that Japan would join the U.S. and India as a permanent member of Malabar this year. "Relevant countries should not provoke confrontation and create tension in the region," Chinese Foreign Ministry spokesman Hong Lei said.

"We all have a vested interest in ensuring our region remains secure, stable, and prosperous," Harris said, citing $5.3 trillion in trade that passes through the Indian Ocean and South China Sea each year. "How Indo-Asia-Pacific nations employ naval forces to support these economic interests matters greatly."

Last year, India, Japan and Australia also held the first round of a trilateral dialogue to discuss maritime security and freedom of navigation. Harris said it would be beneficial for the U.S. to join that group.

"Adding the U.S. into this dialogue can amplify the message that we are united behind the international rules-based order that has kept the peace and is essential to all of us," Harris said.

フィリピン、哨戒機運用のプロセス始まる

日本とフィリピンの間に防衛装備品及び技術の移転に関する協定が締結された。2015年6月と10月に開催された日本-フィリピン首脳会談では交渉開始(6月)~大筋合意(10月)に達していた。

これに併せて、フィリピン海軍にTC-90練習機が貸与される方針が固まった。

TC-90の貸与は南シナ海のシーレーン防衛強化の一環。すでに2015年1月末に日本-フィリピンの防衛協力に関する覚書が交わされており、両国間の防衛装備品及び技術移転協定の締結もその流れにある。

国防相級、次官級、幕僚級の会談を積み重ねて、共同訓練の実施や防衛装備品の供与を行い、フィリピン海軍が対潜哨戒が出来るようになるまでは、日本-フィリピン間の訪問部隊地位協定を締結した上で、南シナ海における哨戒活動の一部を海上自衛隊が担当するケースも出てくると考えられる。

2015年6月27日のエントリーにあるように、フィリピンはP-3C対潜哨戒機を調達したい、と公式に表明していた。フィリピンへの供与もしくは売却は中長期的には既定路線であろう。

しかし、日米ともに新型のP-1とP-8の運用開始は2013年からであり、生産配備を前倒ししないと、すぐにフィリピンの希望を叶えることはできない。また、短期的にはフィリピン海軍の能力向上が見込めない。

将来的にはP-3Cの払い下げすることなどを見越した上で、TC-90を貸与することになった、と思われる。この練習機にレーダーを搭載して、水上艦艇の目視偵察に充てることになるだろう。

韓国からFA50戦闘機導入したフィリピンの事情…性能限定、レーダー未整備でも満足? 安倍首相にも「泣きつき」 2015.12.1 17:03 産経ニュース

日本とフィリピンが防衛装備品協定に署名-ASEANで初 2016/02/29 19:51 JST ブルームバーグ

海自機、比海軍に貸与へ…南シナ海の監視に利用 2016年02月29日 03時12分 読売新聞

政府は、退役した海上自衛隊の練習機(航空機)「TC90」をフィリピン海軍に貸与する方針を固めた。

 フィリピン側は、中国による南シナ海での海洋進出の動きに対し、空からの警戒・監視に利用する。日・フィリピン両政府は、今春にも貸与で合意する見通しだ。

 フィリピン海軍が警戒・監視に利用する航空機は、行動半径が約300キロと狭く、「中国が進出する南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島全域を監視して戻ってくることは難しい」(政府筋)という。フィリピンは南沙諸島のスービ礁、ミスチーフ礁などで中国と対立しており、広範囲で活動できる航空機を求めていた。

 TC90の行動半径はフィリピン軍機の2倍以上で、南沙諸島の大半をカバーできるという。練習機であるTC90には、レーダー類などがほとんど搭載されておらず、フィリピン海軍が当面、目視による警戒・監視に利用するとみられる。


参考URL:
日・フィリピン防衛装備品・技術移転協定の署名 平成28年2月29日 外務省

フィリピンの世襲される“ポーク・バレル”

フィリピンの副大統領選では、1986年のエドゥサ革命によって逐われたフェルディナンド・マルコス大統領の子息、バンドン・マルコス(フェルディナンド・マルコス2世)上院議員が世論調査で首位に立った。

Marcos Family Resurgent as Bongbong Gains in Philippine Race February 23, 2016 — 9:17 AM JST Bloomberg Business

同国では大統領選挙と副大統領選挙が同時にかつ別々に行われるために、ランニングメイトのいずれかが落ちて、それぞれの候補がたすき掛けで当選して、正副大統領が著しい政治対立に陥ることがある。

2001年、弾劾が成立して辞任したエストラーダ大統領の後を承けて副大統領から昇格したアロヨ大統領が好例。そのアロヨ大統領も任期満了後の2012年に公金流用の疑いで逮捕・起訴されている。

フィリピンは“ポーク・バレル(樽詰めの豚肉)”と呼ばれる利益誘導型の腐敗政治が盛んである。利権を再分配するための政治的地盤を守るために、縁故者が政治的要職を占めることが多い。副大統領に名乗りを上げたバンドン・マルコス上院議員はフェルディナンド・マルコス大統領の出身地、北イロコス州に地盤を有している。

マルコス大統領の20年間続いた政権の腐敗を受けて、大統領と上下両院(元老院と代議院)議員、州知事の多選禁止が定められた。大統領は任期6年で再選禁止、上院議員は任期6年で3選禁止、下院議員は任期3年で4選禁止、とそれぞれ決まっている。この多選禁止による議席の喪失を回避するために、父母兄弟姉妹ほか親戚で議席をたらい回しにする。

例えば、北イロコス州の代議院第2区は1998年以降、フェルディナンド・マルコス大統領の縁戚だけで占められている(従兄弟や甥を含めるとそれ以前から独占)。長女のアイミー・マルコス~長男のバンドン・マルコス~妻のイメルダ・マルコスと続いている。そして、彼らは下院議員から州知事や上院議員に鞍替えして、政治的地盤を堅守する。

このように革命や弾劾、逮捕・起訴で逐われても、縁故者が立候補して当選させることで、その政治的地盤は失われることがない。エストラーダ大統領はマニラ首都圏のサンフアン市に地盤を有しており、弾劾後に上院議員を妻、長男、次男が務めている。逮捕・起訴されたアロヨ大統領の二人の子息も同様に下院議員を務めている。

超法規的アウンサンスーチーと“位打ち”

ミャンマーの民主化運動の旗手だったアウンサンスーチー女史は「(次期大統領は)自らに権限がない」「大統領より上の存在になる」と発言して、自ら憲法典(第58条の規定)を無視する発言を行ってきた。

この発言の背景には外国籍の配偶者や子供がいる者は大統領になれない憲法の規定がある(第59条)。もちろんこの条文は国軍が仕掛けている。

さらに憲法改正(第436条の規定)には、人民院と民族院の二院制から成る連邦議会のそれぞれ定数75%以上の賛意を必要とし、かつその議会には25%の国軍指名枠の議員(第141条の規定)が存在するため、アウンサンスーチー女史が大統領になる道は予め塞がれているからである。

国民民主連盟(NLD)はアウンサンスーチー女史の大統領就任を阻む憲法規定を一時停止させる法案を提出する準備ではないか、との憶測が囁かれている。

規定の一時停止であれば、議会の4分の3以上の賛成が必要な憲法改正ではないため、議席の25%を割り当てられている国軍が事実上の拒否権を発動できないからだ。

Myanmar speculation mounts over Suu Kyi 'president move' 8 February 2016 BBC

当然、己の地位を高めたり、得たりすることが民主化とは直結しない。アウンサンスーチー女史は超法規的な存在への道をひた走っている。対する国軍はクーデターを考慮するだろうが、もう一つの可能性としては国民民主連盟(NLD)の議員やロヒンギャを除く少数民族勢力と手を結び、女史に対して、“位打ち”を仕掛けることだろう。

女史の政治的失敗を待つか、大統領権限を骨抜きにするか、その過程で大統領の意思決定を通さない政治が横行するかもしれない。

結局、アウンサンスーチー女史がミャンマーの民主主義への移行プロセスと、民主主義の健全な育成を阻害することには変わりなさそうだ。

労せずして南シナ海に進出するインド海軍

今後1年以内に米海軍とインド海軍が南シナ海を共同パトロールするため、両国の国防関係者が協議していることをロイター電が伝えた。中共の人工島が稼働するのとほぼ同時期にインド海軍が南シナ海に進出する、と思われる。インドは中共のおかげで外交的抵抗を受けずに、むしろ感謝されながら、勢力を拡大できる。

Exclusive: U.S. and India consider joint patrols in South China Sea - U.S. official  Wed Feb 10, 2016 10:53am EST Reuters

インド洋では日米印の合同演習が常態化しつつある。しかし、インドは第三世界の雄として今まで他国と合同の軍事行動は取らず、国連の旗の下で活動してきた。

2015年12月、インドの国防相Manohar Parrikarは、ハワイにある太平洋艦隊司令部を訪れた際、合同パトロール案を打ち出した。対する国防総省のスポークスマンBill Urbanは、「(米国とインドは)海上安全保障の領域をも含めて、防衛協力を深化させる方法を模索し続ける」と述べた。

この合同パトロール案が実施されると、南シナ海でも日米印の合同演習の可能性も開ける。豪州、フィリピンなどの参加も見込まれるだろう。「航行の自由」作戦の一環と考えることも出来る。やはり、中共の人工島が稼働する時点が戦争の阻止限界点であろうが、ますます中共は引けなくなっている印象だ。

「航行の自由」作戦にフィリピン加わる

米国とフィリピンの軍事協定がフィリピンの最高裁で合憲判決が出て、8ヶ所予定されている米軍のローテーション拠点の選定と部隊のローテーション展開が進むまで、今年一杯かかると思われる、

と、2016年1月13日のエントリーで述べたが、

人民解放軍が南シナ海の人工島での展開を進めるまでに、米軍とフィリピン軍の共同パトロールを行う計画のようだ。現在、人工島の12海里を航行・飛行しても、人民解放軍が目立った示威行動を行っていない。この経過から、米国-フィリピンともに、中共はどうやら口先だけなのではないかと、さらにエスカレートしてきたのかもしれない。

U.S. says open to patrols with Philippines in waters disputed with China Wed Feb 3, 2016 2:40am EST Reuters

2015年6月14日のエントリーで述べたように、

中国共産党が南シナ海で埋立を進めている人工島に滑走路や港湾を建設して、航空機や艦船の運用を開始した時点が戦争の阻止限界点になるだろう。おそらく2016年までには運用開始できる、と予測される。

人工島の埋立が第1段階、港湾などの建設が第2段階、艦船などの運用の開始が第3段階と、次第にエスカレートしていくが、周辺各国は復仇の原則に従って、同様に岩礁の埋立や港湾の建設や民間人の移住を進める。

現在審議されている安保法制の眼目は、南シナ海のシーレーン防衛のために集団自衛権が必須だという点にある。筆者は2015年の世界情勢を1939年のそれに近似する、と比定している。

すると、来たる2016年は1940年となる。日米戦争の阻止限界点として仏印進駐が挙げられるが、人工島の運用開始は中共VS日米豪・ASEANの阻止限界点として後世、挙げられるかもしれない。

超法規的アウンサンスーチーの登壇間近

ミャンマーの総選挙で過半数を獲得した国民民主連盟(NLD)の議員が首都ネピドーからの禁足令が出ている、とロイター電は伝える。アウンサンスーチー女史の大統領就任を阻む憲法規定を一時停止させる法案を提出する準備ではないか、との憶測を呼んでいる。

規定の一時停止であれば、議会の4分の3以上の賛成が必要な憲法改正ではないため、議席の25%を割り当てられている国軍が事実上の拒否権を発動できない。

憲法の規定の一時停止が、戒厳令などの非常措置を念頭に置いたものであれば、大統領就任のために憲法の精神を蔑ろにする行為は犯すべきではないだろう。民主的に選ばれた者が「法の精神」を破壊することになりかねない。憲法よりも法律が超越すると云う、超法規的な点ではナチス・ドイツの全権委任法の前例を思い起こすと良いだろう。

アウンサンスーチーは超法規的な存在への道をひた走っている。対する国軍はクーデターを考慮するだろう。

ミャンマー与党、議員の移動禁止 スー・チー氏大統領への布石か 2016年 02月 3日 16:49 JST ロイター

下記は2015年11月13日のエントリーの再掲。

アウンサンスーチー女史は「(次期大統領は)自らに権限がない」「大統領より上の存在になる」と発言して、自ら憲法典(第58条の規定)を無視する発言を行っている。

この発言の背景には外国籍の配偶者や子供がいる者は大統領になれない憲法の規定がある(第59条)。

さらに憲法改正(第436条の規定)には、人民院と民族院の二院制から成る連邦議会のそれぞれ定数75%以上の賛意を必要とし、かつその議会には25%の国軍指名枠の議員(第141条の規定)が存在するため、アウンサンスーチー女史が大統領になる道は予め塞がれているからである。

自らの子飼いの側近を大統領に据えて、院制を敷く思惑があるならば、上記の発言は政治的センスを問われる。しかも、国軍にはクーデターを起こす権限が憲法の規定にある(第40条)。

つまり、国軍は自らの影響力を奪取・喪失させない安全装置(フェイルセーフ)を備えた上で、政権交代に臨もうとしているのだ。

前近代に転落する東南アジアのムスリム

ウォールストリート・ジャーナルの記事は、マレーシア社会にイスラム原理主義が浸透して、ほかの宗教や習慣に対して不寛容な精神が育ち、シャリーアがムスリム以外の人々含めた生活規範を束縛しようとしている、その現状を伝えている。

難民危機とテロが巻き起こす混乱によって、イスラムの前近代性が認識されるようになったが、むしろ近代化に伴って、アラブ人の居住する地域に限らず、パキスタンのパンジャブ人やバングラデシュのベンガル人も原理主義に傾倒し始めた。バングラデシュでは25年前よりもヒジャブを着用する女性が増えている。それ以前はパキスタンに対するベンガル人のナショナリズムは存在したが、イスラム原理主義はなかった。

象徴的な事例として、バングラデシュでは2015年の1年間で少なくとも4人の世俗主義を唱えるブロガーが、原理主義者と思しき集団に殺害(私刑)されている。

この一見理不尽な波は東南アジアのイスラム圏にも到達している。

マレーシアでは、シャーマニズムやキリスト教、ヒンズー教、仏教、儒教など他の宗教と混淆した社会がワッハーブ派の影響などによってイスラム化が進んでいる。ウォール・ストリート・ジャーナルの記事では、占うシャーマンはイスラム教に配慮し始め、スーパーマーケットのレジは性別によって分けられるようになり、スポーツ観戦も男女別となり、航空会社の機内食もキャビンアテンダントの服装もシャリーアに基づくようになった、と云う。

脱宗教化と性差の廃止が進む欧米社会と真逆に向かっている。両者の文化的摩擦が激化するのもむべなるかな。

経済発展は伝統と習慣からの脱却を促すと同時に、心理的な当惑と政治的混乱を産み出し、一層のナショナリズム回帰を促進する。その際、マレーシアはナショナリズム回帰にイスラム教を見出した、と云える。つまり、それ以外に帰るべき国民の物語がない、ということでもある。

経済発展が世俗化ではなく、知識の普及に伴い民族主義や宗教によるナショナリズムの高揚につながった典型例は「白色革命」から「イラン・イスラム革命」までのイランの動きだろう。モハンマド・レザー・シャー(日本では、パーレビ国王と呼ばれたことが多い)の行った「白色革命」は、識字率を向上させ、女性参政権を認めた。その結果が反動としての「イラン・イスラム革命」が起きた。

エマニュエル・トッドの云う“移行期の危機”によって、社会の保守化が進むのだが、問題は保守化することではなくナショナリズムのために見出されたイスラムの教えが、最終的には近代を否定することにある。

たとえば我々が、ムスリムに前近代性を感じる所以は、彼らが人間同士の契約を尊重しないからである。これは支那人と朝鮮人も同様である。近代社会とは、唯一の神との契約とその精神を、人と人の関係に引き下ろしてもなお、その契約を絶対的なもの、と出来るかによって成立する。この観念が育っていないと新興国では、いずれ信用が使い尽くされて、前近代に転落するだろう。

あくまでも欧米や日本など先進国の資本と技術、管理があって初めて契約社会が成立しているとすれば、グローバリズムが反転する現在、資本の還流に伴って前近代へと逆戻りするのは、むしろ自然な流れと云える。

「性器の形見える」と批判の体操選手、擁護の声続々 東南ア大会 2015年06月15日 18:01 AFP BB NEWS

マレーシアで進むイスラムの厳格化、古来の伝統否定の動きも 2016 年 1 月 15 日 15:02 JST WSJ日本版

 【クアラルンプール】ケラナ・インドラ・サクティさん(70)は、マレーシアで最も成功しているシャーマン(霊媒師)の一人だ。ケラナさんのオフィスの壁には顧客からの推薦状が飾られている。感謝された顧客からメルセデス・ベンツの高級リムジンを贈られたこともある。「冒険家、素晴らしい不思議な技」を意味する同氏の名前はマレーシアの富裕な君主の一人から授けられたものだ。

最近、ケラナさんは自らのコンサルティングサービスに、イスラム教の聖典コーランからの解釈を加えている。「最近は人々が当然のように期待しているのでそうしている」と言う。

マレーシアに限らず、東南アジア地域ではイスラムが一段と保守的になりつつある。数百年前にアラブ諸国の貿易商によってこの地にもたらされたイスラム教の信仰は何世代にもわたり、シャーマニズムや伝統医学ばかりでなく、この国の仏教徒、キリスト教徒、ヒンズー教のコミュニティーにおける古くからの伝統や風習と共存してきた。

しかし最近は、イスラム教の戒律に厳格なワッハーブ派の教義によってイスラム教の実践方法が再定義され、一部では、マレーシアの特徴でもあった寛容さが失われている。ワッハーブ派はサウジアラビアから資金援助を受けているイマーム(イスラム教指導者)によって広められることが多い。

そうした変化の兆候は至るところで見られる。

マレーシア北東部のケランタン州は国内で最も保守的な地域の一つで、スーパーマーケットのレジは性別によって分けられている。また、男性が女子チームのネットボール大会を観戦することは禁じられている。昨年12月には、シャリアを適用したマレーシア初の航空会社が運航を開始した。この航空会社はイスラム教の教えに従い、機内食に豚肉を出さないほか、機内での飲酒は禁じられている。さらに、客室乗務員は頭をヒジャブで覆う決まりだ。

マレーシアの政治家はイスラム教の資格を誇示することを競い合っている。野党である全マレーシア・イスラム党はシャリアを遵守することで、農村地域で支持を広げている。また、最近はイスラム教を重視する与党の下、村のリーダーたちのためにイスラム教最大の聖地メッカへの大巡礼(ハッジ)資金を提供する目的で、政府系投資ファンドが立ち上げられた。

さらに、最近設立されたマレーシア・イスラム開発局は金曜日ごとに全国のモスク(礼拝所)で伝授される説教を作成している。

こうした動きに対し、一部のイスラム教学者や世論指導者たちは抵抗を始めており、イスラム教のアラブ化は行き過ぎだと指摘している。昨年、マハティール元首相の娘であるマリア・マハティール氏は国民に、信仰の本質よりも堅苦しい形式が教え込まれていると批判した。

治安当局者らは、こうした環境の変化を受けて若いイスラム教徒が信仰の厳格化に突き動かされていると懸念している。治安部隊は中東の過激派組織「イスラム国」(IS)に関係している疑いで120人以上を拘留している。それ以外にも大勢がイスラム国に参加するためマレーシアからシリアに渡っている。

シャーマニズムをはじめとする伝統的な風習を守っている国民にとって、こうした変化は暮らしを複雑なものにしている。

クアラルンプール近郊にあるマレーシア国民大学で最近開かれた医学会議に医者や心理学者が集まって、コーランの解釈がさまざまな病気にいかに役立つかについて耳を傾けた。

ケランタン州ではこうした変化も顕著だ。イスラム教を重視する地元政府は伝統的な治療の儀式を違法とし、こうした伝統的やり方を踏襲する人々は隠れて行わざるを得なくなっている。

イスラム教徒のケラナさんは、自分のサービスには安定した需要があると話す。ケラナさんの実践には、性生活や事業に問題を抱えた患者のカウンセリングが含まれる。

一方、この国で呪医と称されるシャーマンの中には、警察沙汰になる人もいる。宗教当局は4月に、有名なシャーマンのイブラヒム・マット・ジン氏が行方不明のマレーシア航空370便の所在を突き止めるため竹製の双眼鏡とココナツ2つを使って儀式を行ったことについて、イスラム教の教えから逸脱していると指摘した。

しかし、ケラナさんは呪文やまじないの儀式にしても、コーランの解釈にしても、顧客の望みに応じる意向だ。「顧客が望むなら、やらない手はない」と話す。

ケラナさんには熱心なファンがついている。顧客の中には政治家も大勢含まれている。

フィリピンの護憲派、敗れる

2014年に米国とフィリピンで締結された軍事協定は、フィリピンの最高裁で合憲判断を下されて、その効力を発効することになった。本来は2015年後半に判断されるものと思われたが、年明けまでずれ込んだ。

米軍のローテーション拠点には8ヶ所が予定されており、対象地のうち4ヶ所はルソン島、2ヶ所はセブ島にあり、残り2ヶ所はパラワン島で係争中の南沙諸島近くにある。

選定と部隊のローテーション展開が進むまで、今年一杯かかると思われる。人民解放軍が南シナ海の人工島での展開を進めるまで同じく今年一杯と考えると、やはり2016年が軍事衝突の阻止限界点となるだろう。

軍事協定に合憲判断=米軍の展開加速へ-比最高裁 2016/01/12-16:32 時事ドットコム

【マニラ時事】フィリピン最高裁は12日、2014年に締結された米国との新軍事協定について、合憲と判断した。これにより米軍展開先などをめぐる米比両国の交渉は再開し、米軍展開に向けた動きは大きく加速する見込み。

 新軍事協定は、南シナ海進出を強める中国をにらみ、14年4月のオバマ米大統領の訪比時に両国が調印した。比国内基地の共同使用を認め、米軍駐留を事実上可能とする内容だが、左派系活動家らが違憲として最高裁に提訴。米軍の展開先などの選定作業が中断していた。


以下、2015年4月26日のエントリーから再掲。

United States seeks access to Philippine bases as part of Asia pivot APR 25, 2015 REUTERS/THE JAPAN TIMES

MANILA – The United States has asked for access to Philippine military bases in eight locations to rotate troops, aircraft and ships as Washington shifts its forces to Asia and as China expands its military presence in the South China Sea.
【マニラ】 米国は、中国が南シナ海における軍事的プレゼンスを拡大するのに合わせて、アジア方面に軍隊をシフトしようとしており、部隊・航空機・艦船をローテーションするために8ヶ所のフィリピン軍基地の使用を要請している。

U.S. Defense Secretary Ash Carter, in a speech in Arizona, has outlined Washington’s next phase in its Asia “pivot,” deploying its most sophisticated destroyers, bombers and fighters to the region.
国防長官のアッシュ·カーターはアリゾナ州で演説し、ワシントンが考える“ピボット”の次段階について、当該地域に最新鋭の駆逐艦や爆撃機、戦闘機を配備する、というその概略を説明した。

The pivot has already seen U.S. Marines rotating through the Australian tropical city of Darwin, the country’s closest city to Asia, for training.
“ピボット”の動きが見られるのは、最もアジアに隣接した熱帯の都市、豪州のダーウィンであり、ここでは海兵隊の巡回と訓練が既に行われている。

At least eight locations in the Philippines have been identified as possible sites where U.S. troops, planes and ships will be rotated through a series of military training and exercises, Philippine military chief Gen. Gregorio Catapang told local television network ABS-CBN.
「少なくとも8ヶ所の予定地で、米国の部隊・航空機・艦船がローテーションしながら訓練と演習を行う可能性がある」と、フィリピン軍の将軍Gregorio CatapangはローカルテレビネットワークのABS-CBNに述べた。

But the Americans will have to wait until after the Philippine Supreme Court rules on the constitutionality of the military deal, called the Enhanced Defense Cooperation Agreement, signed last year between Manila and Washington. It may decide later this year.
しかし、「防衛力強化に関する協力合意」と呼ばれるマニラ-ワシントン間で署名されたこの協定は、フィリピン最高裁がこの軍事的取引の合憲性に関する審理後まで発効を待たなければならない。この審理は今年後半に下される。

“If we formalize (now) and they start putting up structures and it’s not constitutional, they will have to destroy those structures,” Catapang said late on Friday, adding the list was finalized in October during a Mutual Defense Board meeting.
「現在、型どおりに防衛協力の構築を始めていくが、これが合憲でないとされた場合には協力関係を壊すことになる」金曜の相互防衛委員会の会議の席上、10月までにリストを作成する、と Catapangは述べた。

Four of the locations are on the main island of Luzon, where U.S. and Filipino soldiers usually hold exercises, two are on the central Cebu island, and two more are on the western island of Palawan, near the disputed Spratly Islands.
対象地のうち4ヶ所はルソン島で、ここでは米国とフィリピンが演習を行っている。2ヶ所はセブ島にあり、残り2ヶ所はパラワン島で係争中の南沙諸島近くにある。

China claims most of the potentially energy-rich South China Sea, which has led to disputes with the Philippines, Vietnam, Malaysia, Brunei and Taiwan, and denies accusations that its actions are provocative.
中国は豊かな資源が期待される南シナ海のおいて、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾との紛争につながった自国の挑発的な行動に対する非難を拒否している。

Recent satellite images suggest China has made rapid progress in building an airstrip suitable for military use in contested territory in the Spratly Islands, which drew concern from the United States and its allies in Asia.
最近の衛星画像が示唆するところ、中国が係争中の南沙諸島の環礁に軍事用の滑走路建設を急速に進めており、米国とアジアの同盟国から懸念を抱かせている。

“Once the U.S. rebalance to Asia policy is in full swing, the Philippines expect the Americans to seek more access to military bases on Mindanao island and civilian airstrips on Luzon,” said a senior air force official familiar with the arrangements.
「米国はアジア政策へと“リバランス”することに全力であるが、フィリピンは米国がミンダナオ島の軍事基地とルソン島の民間滑走路へより多くのアクセスをするものと期待している」と、両国のアレンジメントに精通した空軍関係者は述べている。

“The Americans are interested in Laoag airport and Batanes Island, both in the northern part of Luzon,” he said, adding U.S. planes had landed on Batanes during the war in Iraq and Afghanistan in the early 2000s.
「アメリカ人はルソン島の北部にあるラオアグ空港とバタネス島に興味を持っている」彼は米軍の航空機は2000年代初め、イラクとアフガニスタンでの戦争中にバタネスに上陸していた、と述べた。

The United States is also interested to return to its two former military bases in Subic and Clark, which they left in 1992 after the Philippines terminated a basing agreement.
また米国はフィリピンが1992年に基地契約を終了した後、残存しているスービックとクラーク両基地に戻れるかに興味がある。

阻止限界点を超える2016年の南シナ海

2015年の世界情勢は、マグレブから中東に渡るムスリムの戦乱から派生したテロと難民の流入によって、欧州とロシア、米国が巻き込まれていくものとなった。この戦乱が東アジアやオセアニア、米州に達すると、世界大戦となる。

往時の日米戦争の阻止限界点として仏印進駐が挙げられるが、人工島の運用開始は中共VS日米豪・ASEANの阻止限界点として後世、挙げられるかもしれない。

と、2015年6月14日のエントリーで述べたとおり、2016年を1940年に比定すると、中共VS日米豪・ASEANの戦いは2017年までには不可避となる。

南沙諸島(スプラトリー諸島)における中共とベトナムの間の対立が深刻化している。同時にフィリピンは島嶼に民間人の上陸を推し進めている。

中国、スプラトリー諸島飛行場に試験飛行・着陸 ベトナムは非難声明 2016.1.3 01:01 産経ニュース

【シンガポール=吉村英輝】ベトナム外務省のレ・ハイ・ビン報道官は2日、中国が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島にあるファイアリークロス(同・永暑)礁に造成した飛行場への試験飛行を行い、航空機を着陸させたとする非難声明を出した。ロイター通信が伝えた。

 中国はベトナムと領有権を争う同礁に3千メートル級滑走路の飛行場を造成。同報道官は飛行場について、「中国が不法に建設した」と指摘した上で、試験飛行は、中国の習近平国家主席が昨年11月のベトナム訪問で、最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長と南シナ海問題を「適切に処理する」と合意したことに「逆行する」と批判した。

 ベトナムは近年、中国がスプラトリー諸島の岩礁を埋め立てて軍事拠点化しているのに対抗するため、米国や日本などと安全保障分野での連携を強めている。


フィリピンの若者がスプラトリーの島に上陸 軍も食料提供 中国「強烈な不満」 2016.1.3 20:28 産経ニュース

【シンガポール=吉村英輝】フィリピンの若者が、同国が実効支配する南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島パグアサ島に船で上陸し、中国との摩擦が強まっている。フィリピン政府は、中国を国際司法機関に提訴し、人工島造成などによる同海域の「主権」主張が「不当」と対抗しているが、中国は無視。フィリピン国内で市民らの不満が高まっている。

 現地からの報道によると、15~27歳のフィリピンの男女47人が昨年12月26日、パグアサ島に到着。約500キロ離れたパラワン島を出航し、フィリピン国軍の退役軍人が同行した。

 同団体は上陸したメンバーの写真をフェイスブックに掲示し、「(フィリピンの)排他的経済水域(EEZ)への中国侵出実態の真実を伝えたい」と訴え、政府の対応に不満を示した。

 フィリピン国軍は、安全上の観点から渡航の自粛を求めていたが、上陸後は食料などを提供。大統領報道官は昨年12月27日、「他の方法」を検討すべきだとしながらも、「若者たちの愛国心は認める」と述べた。

パグアサ島には、フィリピンの漁民らが居住し、国軍も常駐する。だが、約25キロ沖合のスービ礁では、中国が岩礁を埋め立てた人工島で巨大滑走路を造成し軍事拠点化を進めている。パグアサ島を管轄する町長は昨年11月、中国の公船が、沖合2カイリ(約4キロ)に10日間停泊し、島への補給活動を監視していたと訴えている。

 一方、中国外務省の陸慷報道官は昨年12月、同団体の行動に「強烈な不満」を表明。フィリピンに、実効支配する島や岩礁から人員や設備の撤収を求めた。

 中国による南シナ海の領有権主張をめぐっては、フィリピンの提訴を受けた常設仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)が昨年10月末、本格審理を決定。今年中に判断を示すが、中国は同裁判所に「管轄権はない」と応じない姿勢を示している。

 法的解決を拒みながら力による一方的な現状変更を続ける中国に対し、米国は人工島周辺に艦船を航行させる「自由の航行」作戦に着手し、継続する方針だ。

超法規的アウンサンスーチーという悲喜劇

ミャンマーの総選挙では、野党の国民民主連盟(NLD)が過半数獲得が確実視され、国軍が支持する与党の連邦団結発展党(USDP)は野党に転落して、民政移管の次段階として政権交代がなされる情勢となった。

しかし、アウンサンスーチー女史は「(次期大統領は)自らに権限がない」「大統領より上の存在になる」と発言して、自ら憲法典(第58条の規定)を無視する発言を行っている。

この発言の背景には外国籍の配偶者や子供がいる者は大統領になれない憲法の規定がある(第59条)。

さらに憲法改正(第436条の規定)には、人民院と民族院の二院制から成る連邦議会のそれぞれ定数75%以上の賛意を必要とし、かつその議会には25%の国軍指名枠の議員(第141条の規定)が存在するため、アウンサンスーチー女史が大統領になる道は予め塞がれているからである。

自らの子飼いの側近を大統領に据えて、院制を敷く思惑があるならば、上記の発言は政治的センスを問われる。しかも、国軍にはクーデターを起こす権限が憲法の規定にある(第40条)。

つまり、国軍は自らの影響力を奪取・喪失させない安全装置(フェイルセーフ)を備えた上で、政権交代に臨もうとしているのだ。

政治とは畢竟、利害関係を調整して利権(予算)を分配することである。政権を担ったことのないアウンサンスーチー女史と国民民主連盟(NLD)にそのノウハウはない。実力以上を望むべきではなく、民政移管の一環として政権を全うし、次の政権へ民主的に引き継ぐことを優先するべきだろう。

実力を過信すれば、我が国の民主党政権(2009年9月~2012年12月まで)、エジプトのムルシ政権(2012年6月~2013年7月まで)のように、内政と外交が破綻して政権を明け渡すことになる。

そもそもミャンマーの内政上の課題のひとつは、分配できる利権のパイそのものを増やすことにある。

隣国タイは、その利権のパイを増やすことには成功したものの、タクシン派と反タクシン派の派閥抗争によって、利権再分配の好機を逃した。すでに人口オーナス期に入り、中所得国の罠(中進国の罠)に陥ろうとしている。我が国のASEANにおけるサプライチェーンの中心地であるが、TPPの発効如何ではその地位を失っていくかもしれない。

今まさに起きている隣国の失敗例を倣う必要などない。アウンサンスーチー女史には、そうした中長期的な国益の視点を欠いているように思われる。

[FT]ミャンマー総選挙は幸福な結末にならない 2015/10/22 15:15 日経

ミャンマー総選挙、敗れたのはイスラム教徒 2015年 11月13日 11:53 JST WSJ日本版

「大統領より上の存在になる」ミャンマー総選挙でスー・チー氏が実権に意欲 2015.11.6 00:16 産経ニュース

【シンガポール=吉村英輝】ミャンマーの野党、国民民主連盟(NLD)党首のアウン・サン・スー・チー氏は5日、最大都市ヤンゴンの自邸で記者会見し、8日に投開票される総選挙で勝利して政権奪取できた場合、「大統領より上の存在になる」と述べた。憲法規定で大統領になれなくても、新政権で実権を握る意欲を改めて示し、有権者にアピールした格好だ。

 総選挙ではNLDの躍進が予想される。ただ、来春行われる大統領選では、スー・チー氏は息子2人が外国籍のため、憲法上、候補の資格がない。スー・チー氏は大統領を上回る役職については「憲法に規定がない」として、国の指導者になることは可能とした。

 国会は上下両院とも議席の25%が軍人枠のため、NLDが単独で大統領候補の指名などができる過半数の議席を握るには、得票率で3分の2以上の獲得が必要だ。一方、劣勢の軍系与党、連邦団結発展党(USDP)は内紛状態で、国軍と近いテイン・セイン大統領一派と対立するシュエ・マン下院議長は、新政権でスー・チー氏と協力する方針を改めて表明するなど、選挙後の連立を見据えた駆け引きも活発化している。


スー・チー氏、自らが政権指揮=ミャンマー次期大統領に「権限なし」 2015/11/11-13:37 時事ドットコム

【ヤンゴン時事】ミャンマー総選挙での勝利を確実にしている最大野党・国民民主連盟(NLD)のアウン・サン・スー・チー党首は10日、シンガポールのテレビ局チャンネル・ニューズ・アジアのインタビューで、次期大統領には「権限がない」と述べ、自らが実権を握って政権を指揮する考えを表明した。

 スー・チー氏は息子2人が外国籍のため、NLDが政権を獲得しても憲法規定で大統領になれない。スー・チー氏は「(次期大統領は)自らに権限がないこと、党の決定に従って行動することを完全に理解する必要がある」と述べ、全ての決定は自らが行う意向を示した。

空母打撃群のいない季節来たりなば

中国共産党と人民解放軍は、実効支配する西沙諸島(パラセル諸島)のひとつ、永興島(ウッディー島)にJ-11BH/BHS(おそらくJ-15艦上戦闘機、殲撃15)を展開した、と伝えられている。

China Expands Presence With Fighters on Woody Island 3:02 p.m. EST November 8, 2015 Defense News

現状では試験運用の段階に留まるだろうが、いずれ本格的に運用開始された場合、米軍の哨戒機やAWACS機の妨害を行うものと考えられている。

彼らの戦略目標は、南シナ海のプレゼンスを強化し続けて、そのプレゼンスの排除が政治的にも軍事的にも困難であると思わせることによって、彼らの主張する“接近阻止・領域拒否(Anti-Access/Area Denial, A2/AD)”の軍事的境界線を拡張させて、近隣諸国に認めさせることにある。

着々とプレゼンスを拡大する中共に対して、覇権国家の米国はどうかというと、そのプレゼンスを代表する空母打撃群のいない地域と期間が発生している。

Navy anticipates more carrier gaps in Middle East and Asia Pacific 11/04/15 12:02 AM EST The Hill

丁度、ロシアがシリア内戦に直接介入し始めた10月には、ペルシャ湾からUSSセオドア・ルーズベルトが離れたが、代替のUSSハリー・S・トルーマンの来着は今冬には間に合わない。

アジア太平洋地域では、USSジョージ・ワシントンが横須賀港を去ったあと、USSロナルド・レーガンが入港するまで約4ヶ月の空白期間が存在した。

また、軍事予算削減の影響から、2016年就役予定だったUSSジェラルド・R・フォードは2021年まで遅れるのではと予想されている。

こうした空母打撃群の不在がもたらすギャップを埋めるために、米軍はB-52爆撃機を中共の人工島の周辺を遊弋させた。

US B-52 bombers flew near disputed islands in South China Sea, says Pentagon Thursday 12 November 2015 22.51 GMT The Guardian

中越戦争を慎重に避ける外交

ベトナムは、半島国家の外交とはかくあるべし、という実例を見せてくれる。同じ半島国家の韓国とは好対照と云える。

その外交は、地政学上の永遠の敵である支那(現在は中華人民共和国)からの侵略を防ぐために費やされる。

中共と同じ共産党による一党独裁国家でありながら、議会制民主主義国家の米国、インド、そして我が国との防衛協力を深めつつ、ロシアともソ連時代からの友好関係を保ち、潜水艦を購入している。

防衛面に限らず経済面でも、日米主導となったTPPに参加しながら、ロシア主導のユーラシア経済連合-ベトナム自由貿易協定(EEUV-FTA)を結んでいる。

今回も、カムラン湾に海自の艦艇が寄港することで合意しておきながら、その同日に中越首脳会談を行って、南シナ海における偶発的衝突を避ける合意をしている。

「航行の自由作戦」に伴って、対立国同士の偶発的衝突を避ける対話メカニズムが作られつつある。緊張を孕みつつ、米中冷戦を続けられるのか。

人工島における航空兵力の運用が始まるときが、阻止限界点であることに変わりない。

日越防衛相、海自艦船の寄港で合意 南シナ海要衝カムラン湾 2015年 11月 6日 17:37 JST ロイター

中国とベトナム、南シナ海の平和と安定維持で合意  2015年 11月 6日 17:32 JST ロイター

再度、中越戦争が起きたとしても、日米ともに陸上に援兵を派遣できないだろう。現に我が国は航空分野と海洋分野の防衛協力を進めているが、陸上分野では進んでいない。

そして、冷徹な現実として日米両国兵士の命の値段とベトナム、中共の兵士の命の値段が吊り合わないということがある。

“航行の自由宣言”採択されず

ASEAN拡大国防相会議では、南シナ海の人工島埋立とそれに対抗する「航行の自由作戦」がボトルネックとなり、共同宣言が採択されなかった。

以前も、2012年7月のASEAN地域フォーラムでは、中共側が国際法としての法的拘束力を持たせた“南シナ海行動規範”の策定を拒否した(2012年10月9日のエントリー参照)。

今回も同様である。彼らの華夷秩序に基づく思想では、二国間交渉を優先して、多国間交渉を拒否する。大国であれ、小国であれ主権国家が同等の権利を持つという前提を受け入れられないからだ。

ASEAN拡大国防相会議、共同宣言見送り 南シナ海で米中対立 2015年 11月 4日 15:25 JST ロイター

南シナ海での米航行の自由作戦、脅威ではない=米軍司令官 2015年 11月 3日 15:27 JST ロイター

越に中古船2隻引き渡し=南シナ海の監視強化-日本政府 2015/11/03-14:11 時事ドットコム

中国共産党は、“海洋における法の支配”という人類共通の公共財を利用して、安全なシーレーンを通り、貿易上の利益を得ながら、同時にそれを維持する費用を負担せず、それどころかその財を毀損する行為を行っている(2014年5月30日のエントリー参照)。

「航行の自由作戦」は続く、いや続けざるを得ない。南シナ海の紛争を平和的に解決するための駆け引きとして、この作戦が行われているからだ。

国際法の原則を否定する状況が継続すればどうなるか。はて伝統的な支那社会なるものは、西欧社会に起源を持つ国際法秩序と、その社会に属しているのか、という疑念を招いて、全体の国際法秩序が崩壊しかねない。

たしかに発展過程にある国家は、政治的権力の配分を変更せよ、と要求する。彼らは現在、領土や通貨について要求している。

しかし、人工島を巡る要求が通れば、国際法の領土・領海・領空の概念をすべて書き換えることになる。つまり、既存の国際法における権利の再分配ではないのだ(2015年6月2日のエントリー参照)。

この場合、究極的には現在の海上覇権国とその同盟国、つまり日米両国に挑戦して、完膚なきまでに勝利して、新たな法体系と秩序をつくり、それらを担保する海上兵力を保有・維持しなければならない。中国共産党と人民解放軍にその用意と覚悟が出来ているのか、という地点にまで到達する。

彼らの要求が取り下げられない限り、この「航行の自由作戦」は続き、次段階の作戦も視野に入ってくる。

海自、カムラン湾に入る

11月6日に予定されている日本とベトナムの防衛相会談で、来年度以降、海自の護衛艦をカムラン湾に寄港・補給する合意に達する、と見られる。これで米軍、インド軍、ロシア軍に次いで自衛隊もカムラン湾を利用する隊列に加わる。

さらにソマリア沖の海賊対策に派遣される護衛艦「すずなみ」と「まきなみ」も航海途上の南シナ海を通過して、周辺を警戒監視する。

海自、ベトナム基地で補給へ 南シナ海 中国けん制 2015/10/30 2:01日本経済新聞 電子版

日本の船舶、2016年よりベトナムのカルマン基地で使用される 2015年10月30日 14:19 スプートニクニュース

ベトナムは軍港として歴史あるカムラン湾に、ロシアを招聘し、ロシアの資金と技術で米軍、インド軍、ロシア軍の艦船施設を建設整備する。(2013年3月23日のエントリー)

ベトナムは、ロシアからゲパルト型フリゲートを2隻調達しているが、また2016年目途にキロ級潜水艦を6隻調達して同国の協力の下、潜水艦基地を整備、人員育成する予定だ。ローテーションから考えて2個潜水隊群を保有運営することになる。(2013年5月24日のエントリー)

米中の間に政治的猛毒が沈殿する

USSラッセンは「航行の自由作戦」に基いて、南沙諸島(スプラトリー諸島)のスビ礁の12海里内を通過した。スビ礁は満潮時に海に没する低潮高地であり、国際海洋法に従えば、人為的に埋め立てして、自国民を居住させても、領土にはならず、領海も領空もEEZも主張できない。この作戦は継続されると考えられる。米中の命懸けのチキンレースが始まった。

国際関係も過度な緊張状態を続けていくと、不健康な自家中毒症を起こす。紛争を引き起こしている問題を取り除くために、外交交渉があり、最終的な手段として(国家間の外科手術として)戦争が存在する。

例えば、シリア内戦にロシアが軍事介入したことで、アラブ・中東から中東欧の政治的状況が激変したように、消極的な意味で軍事力行使は万能薬となる。

さて、国内外に容易に解決できない矛盾を抱えているなかで米中のどちらが、より深刻な状態にあるか。チキンレースを続ける中で、沈殿する政治的猛毒に耐えられなくなるのはどちらか。

After Months of Waiting, US Finally Begins Freedom of Navigation Patrols Near China's Man-Made Islands October 27, 2015 The Diplomat

White House Moves to Reassure Allies With South China Sea Patrol, but Quietly OCT. 27, 2015 The New York Times

Beijing summons US ambassador over warship in South China Sea Tuesday 27 October 2015 15.38 GMT The Guardian

Ties with EU can offset US-Japan alliance 08:44, October 27, 2015 People's Daily Online

Angry China says shadowed U.S. warship near man-made islands in disputed sea Tue Oct 27, 2015 2:45am EDT Reuters

南シナ海の米艦を監視・追跡した=中国外務省 2015年 10月 27日 15:22 JST ロイター

南シナ海の中国「領海」内に米艦派遣、王外相は自制求める 2015年 10月 27日 12:39 JST ロイター

中国が米国を強く批判、南シナ海人工島への米駆逐艦派遣で  2015年 10月 27日 10:31 JST ロイター

2015年8月6日のエントリーで触れたように、

IMFのスタッフが人民元のSDR採用の可否のために調査入りしたのが今年の6月で、その報告書がまとまった。

最終的には理事会の判断に委ねられるとしながら、2016年9月末までは現状維持、つまり人民元をSDRに組み入れることを延期するように提言した。

ところがIMF理事会の判断であろうか、人民元のSDR採用の方向性が急遽固まった。悲願の人民元のSDR入りをちらつかせながら、南沙諸島(スプラトリー諸島)の軍事的緊張が高まる。

もしも「航行の自由作戦」のさなか、一撃でも両国が干戈を交えたら、米国は金融制裁を課すだろう。中国共産党とその関係者の米国資産の凍結、米国債の没収などのオプションがあり得る。

人民元のSDR入りを諦めるか、南沙諸島(スプラトリー諸島)を諦めるか。両方を諦めないまま進めても構わないが、いずれにせよ国外への資本流出は止められるとも思えない。徐々に政治上の選択肢が狭まる中で、国内矛盾は深刻になる。つまり、米中のチキンレースは習国家主席と中国共産党にとって、著しく不利に思われる。

アングル:人民元、SDR採用なら5000億ドルの外貨準備需要か 2015年 10月 27日 15:10 JST ロイター

IMF、中国人民元のSDR採用方向で準備=関係筋  2015年 10月 26日 08:04 JST ロイター

IMFスタッフ報告、人民元のSDR採用先送りを提言 2015年 08月 5日 12:33 JST ロイター

インド洋から太平洋における新グレート・ゲーム

2015年6月3日のエントリーで述べたように、

金融面ではアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立構想発表、軍事面では南沙諸島(スプラトリー諸島)の岩礁埋立と滑走路建設、このふたつの挑発的行動によって、覇権国としての米国は、対中エンゲージメント政策を明確に転換してきた。

“対中封じ込め”の優先順位が上がったことで、金融と軍事における覇権争いも一挙に表面化、流動化してきた。

英国はオフショア金融を潰されてきた意趣返しをも含んで、オフショア人民元の総取りに動いている。ロシアはアラブ社会主義の友邦を潰されてきた意趣返しをも含んで、シリア内戦に介入し始めている。

つまり、世界の覇者(ヘゲモン)である米国が、挑戦者である中共に戦力を集中し始めたために、金融を巡る覇権で英国が、アラブ・中東地域を巡る覇権でロシアが、それぞれの間隙を突いている。

かつてグレート・ゲームを戦った英国とロシアはこの場合、米中のグレート・ゲームの間隙を縫って自国の利益を追求する立場にある。

India, US and Japan hold naval exercises, Chinese mouthpiece cautions New Delhi Oct 17, 2015, 07.32PM IST The Times of India

Confirmed: Japan Will Permanently Join US-India Naval Exercises October 13, 2015 The Diplomat

The New Great Game A Battle for Access and Influence in the Indo-Pacific  September 29, 2015 Foreign Affairs

「フォーリン・アフェアーズ」が名付ける、インド洋から太平洋にかけて始まる新グレートゲームの焦点は、今のところ、南シナ海の人工島である。

2015年6月14日のエントリーで述べたように、

中国共産党が南シナ海で埋立を進めている人工島に滑走路や港湾を建設して、航空機や艦船の運用を開始した時点が戦争の阻止限界点になるだろう。おそらく2016年までには運用開始できる、と予測される。

人工島の埋立が第1段階、港湾などの建設が第2段階、艦船などの運用の開始が第3段階と、次第にエスカレートしていくが、周辺各国は復仇の原則に従って、同様に岩礁の埋立や港湾の建設や民間人の移住を進める。

同じ動きを見せるのに顕著なのはベトナムで、どちらも国際法から見れば、岩礁に変わりなく、領海やEEZを主張できるわけではない。しかし、埋め立てた岩礁を拠点に南シナ海全域の作戦遂行能力と兵力の投射能力が高まることがシーレーンに対する脅威になる。

彼らが人工島の運用を開始する前に、“対中封じ込め”の包囲環を閉じておく必要がある。

安保法制の衆参両院通過、TPPの実質合意、日米印の共同演習「マラバール作戦」、観艦式における首相訓示やパフォーマンスなどはそれに当たる。つづいて安倍首相が、モンゴル~中央アジア5ヶ国に歴訪するのは、包囲環を崩そうとする動きへの牽制目的がある。

参考URL:
平成27年度自衛隊観艦式 安倍内閣総理大臣訓示 平成27年10月18日 首相官邸

供与される巡視船の規格化

2014年8月1日のエントリーなどで取り上げたように、

ベトナムと我が国の海洋防衛協力において、ベトナムは海軍から海上警察(コーストガード)を分離して、我が国は新造巡視船10隻を供与する予定だった。しかし巡視船供与前に、中共の南シナ海の西沙(パラセル)諸島周辺海域でのリグ設置や威圧行動が激化したため、ベトナム側の要請により、代替となる中古船6隻を供与する事となった。

6隻の内訳は600~800トン前後の水産庁の漁業取締船とマグロ漁船、ほかに総額5億円の無償援助、海上保安監視機材を提供する。日本政府は、緊急性を考慮して武器輸出を避けて、ベトナムの海上警察力を強化する。

さらにベトナム海軍は、哨戒任務と対艦攻撃任務が可能な高速ミサイル艇をロシアから8隻輸入する予定となっている。

中古巡視船は、水産庁所属の漁業取締船「昇鶴」などの供与が始まっている。日本-ベトナム首脳会談に併せて、改めて新造巡視船供与を表明する。

安倍首相、新造船供与方針表明へ 日越首脳会談 南シナ海・中国の動き念頭 2015.9.13 05:00 産経ニュース

 安倍晋三首相は15日のベトナム最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長との首脳会談で、南シナ海の警備を支援するため新造の巡視船や巡視艇を供与する方針を表明することが12日、分かった。

(中段略)
 また、東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国による南シナ海での偶発的な軍事衝突を回避する行動規範(COC)の早期妥結の必要性を確認する。

(後段略)


さて、フィリピンにも新造巡視船を供与する。これをODA案件として、丸紅とジャパンマリンユナイテッドが受注している。両社のニュースリリースに出されているスペックを読む限り、海上保安庁の小型巡視船(PS型)の廉価版(40m級、150トン型)となっている。

ベトナムに供与される新造巡視船は、このモデルを標準として規格化される、と思われる。現状、中古の漁業取締船「昇鶴」の方がトン数が大きい。

参考URL:
フィリピン共和国運輸通信省向け「40m級多目的船10隻建造及び特別予備品の納入」(ODA案件)の受注 2015年6月4日 丸紅(PDF)

“自由と繁栄の弧”のなかの不安定の弧

タイの国家改革評議会(NRC)は新憲法の草案を否決した。タクシン派と反タクシン派の対立で約15年間続いた政治的混迷を打開する仕組みを憲法に盛り込もうとして反発を受けた格好だ。

しかし、軍政を敷く現在のプラユット政権の最大の課題は民政移管ではなくて、二大派閥の対立の最大要因となっているバンコク首都圏とイサーン(東北地方)の経済格差解消にほかならない。

タイ憲法草案を国家改革評議会が否決-民政復帰、17年以降にずれ込み 2015/09/07 07:30 JST ブルームバーグ

これを解消する再分配政策を立案しないと、おそらく政治的対立も永遠に解消しない。しかもタイの経済は、実のところ中韓と同じように人口ボーナスを使い果たし、低成長の時代に入らざるを得ない。

つまり否応なしに構造改革が始まる。

その過程でも、国内の利害対立を民主的方法=選挙で調整できない以上、何らかの強権が必要になるのは、ラーマ9世の統治が終わりに近づくことも重なって致し方ない面もある。

とは云え、我が国にとっては“自由と繁栄の弧”の東南アジア外縁部に当たるベトナム~タイ~ミャンマーの自由と民主主義が揺れ続けることで、この地域が不安定の弧になることは好ましくない。

たとえジャパナイゼーションを進めても、この地域が自由と民主主義と政治的安定性を両立できるかは、歴史的経緯と地理的風土にも左右されるため、未知数な部分も多いからだ。

民主主義のプラットフォームを持ち込んでも、盛大に失敗を繰り返してきた米国の例にいかに学ぶかが問われる。

インドネシアが奏でる「新幹線狂想曲」

インドネシアのジョコ政権は日中が受注を競い合っていたジャカルタ~バンドン間の高速鉄道計画を白紙に戻した。ジャカルタ~バンドン間は中速鉄道に見直して、日本側には鉄道保有・運営会社への政府債務保証を付けないように求めた。また新たにジャカルタ~スラバヤ間の高速鉄道計画を発表している。

インドネシア大統領、投資誘致に向け大規模な規制緩和を約束 2015年 09月 2日 19:59 JST ロイター

インドネシアの外貨準備、ルピア防衛に十分な規模=IMF専務理事 2015年 09月 2日 20:24 JST ロイター

日中が競うインドネシア高速鉄道、採用案発表は7日以降に延期 2015年 09月 2日 20:50 JST ロイター

インドネシア、高速鉄道計画見直し 日中の受注競争振り出しに 2015年 09月 4日 09:12 JST ロイター

インドネシア、首都とスラバヤ結ぶ高速鉄道の建設を計画 2015年 09月 4日 15:39 JST ロイター

インドネシアの高速鉄道計画見直し、好調な海外直接投資に影響も  2015年 09月 4日 18:07 JST ロイター

日本側の提案は、0.1%の低利でインドネシア政府の直接的な財政負担を伴わないように、新幹線を保有・運営する会社に貸出するものだった。しかし、インドネシア政府は公的企業となるこの会社に対する債務保証を拒んだ。また時速200キロメートルで運行される中速鉄道で十分と説明した。

インドネシア政府が債務保証できないとすれば、金融システムの根幹を国家が守れないことになる。これでは中速鉄道であっても事態は変わらない。

解決策としては、外資が民営鉄道を100%自己資本で進出して、税制優遇措置を受けるようにしてもらい、我が国は中共を上回る技術力と資本力で攻勢をかけるべきだろう。また中速鉄道と云えども開業当初の東海道新幹線と同じ速度であり、現状を踏まえれば英国のクラス800のような電気・ディーゼル両用車もしくはディーゼル車で良い。

我が国としては先進国と新興国の橋渡し役を務め、中韓のようなルールを守らないある種の“ならず者国家”が新興国に進出するのを排除しなければならない。手をこまねいていればルール無用が蔓延するからだ。“自由と繁栄の弧”の構築のためにもインドネシア政府との再交渉は不可欠だろう。

インドネシア鉄道計画、日本は政府保証要請取り下げを=政府高官 2015年 09月 4日 18:06 JST ロイター

[ジャカルタ 4日 ロイター] - インドネシアのリニ・スマルノ国営企業相は、首都ジャカルタとバンドンを結ぶ鉄道計画について、日本が引き続き入札に参加したいのであれば、インドネシア政府の保証を求めないという案に変更すべきだ、と述べた。

同相は「日本の案はインドネシア政府の保証を求めている。中国はそれを求めておらず、この点が最も大きな違いだ」と指摘。「日本が引き続き入札に参加したいのであれば、政府保証や国有企業への政府融資という条件を取り下げるべきだ」と語った。

インドネシア政府は、日本と中国が受注を競っていた高速鉄道計画について、双方の提案に基づいた発注を見合わせると発表。高速ではなく、中速鉄道の建設に向けた新たな提案を求めた。


参考URL:
平成20年度 円借款案件形成等調査「インドネシア・ジャワ島高速鉄道建設事業調査」報告書要約 JETRO (PDF)

戦うノウハウを身に付けたウイグル人がやって来る

タイの首都バンコク郊外にあるヒンズー教寺院エラワン廟で起きたテロの容疑者として、タイの捜査当局はトルコのパスポートを持つ男性を容疑者として逮捕、滞在していたアパートから爆弾の材料(金属パイプ、ボールベアリング)を押収した。当局はこの事件は国際的背後関係を持つテロではない、と述べている。

しかし、容疑者がトルコのパスポート所持していたことに、同じチュルク系民族であるウイグル人と連携するトルコ人の影が見え隠れする。

今年6月から7月にかけてタイに亡命するウイグル人が増えていた。6月には173人がタイを経由してトルコに亡命したものの、7月には109人がタイから中共に送還されている。

これに反発したトルコ人はイスタンブールの街をデモ行進して、中国人観光客と間違えて韓国人を襲撃する事件も起きている。

Thai police arrest suspect in connection with Bangkok bomb Saturday 29 August 2015 14.29 BST The Guardian

2015年7月6日のエントリーで、

原理主義と過激派の回廊が、新疆ウイグル~旧ソ連圏のチュルク系国家~トルコ~隣接するシリアのISIS(イスラム国)支配地域に生まれつつある。中国共産党の新疆ウイグル自治区での治安対策が、イスラム原理主義過激派を誘引する。シリア内戦でテロ、ゲリラ及び領域支配のノウハウを身に付けて、ウイグル人の反攻が開始されるのは間近だろう。

と述べたように、イスラム原理主義と過激派を生み出す土壌となっている回廊地域からテロリストがやってきた。

かつての日本赤軍がパレスチナに逃れ、そこで訓練を受けたあと、イスラエルのテルアビブ空港やマレーシアのクアラルンプールなどで数々のテロを起こしたように、テロは必ずしも新疆ウイグル自治区で起きるとは限らない。

デフレに沈むタイ経済

タクシン派と反タクシン派の派閥抗争は軍事クーデター以降、沈静化しているが、その政治的闘争を生み出す経済のダイナミズムも沈静化している、と思われる。

タイの消費者物価は年初来下がり続けていて、人口オーナス期に突入する中韓と同じくデフレに陥りつつある。特に韓国と同じように家計の債務が積み上がっているので、個人消費は伸びない。

2013年末の家計債務は82.3%となった。金融財政政策を通じて、政府債務か企業債務に置き換えるべきだ。

さもないと、タイ経済は韓国経済と同様に政治的対立の原因となっている貧富の格差を解決できないまま、中間層が剥落していく可能性が高くなる。

インフレ目標を3~4%に定めて、バーツ安に持っていくべきだろう。

一方、タイを訪れる観光客は年初来増え続けて29%増、観光業はGDPの9%を占める。そこにテロが逆風となって襲いかかっている。

タイ観光業が爆発で打撃、ホテルの業績悪化予想相次ぐ 2015年 08月 21日 18:11 JST ロイター

タイで内閣改造、国王が新閣僚らを承認 財務相にアピサック氏 2015年 08月 20日 19:25 JST ロイター

バンコク爆発事件、国際過激派組織が関与した可能性低い=政府 2015年 08月 20日 15:04 JST ロイター

タイ警察長官「爆発に10人以上関与」、大規模組織との見方も 2015年 08月 20日 14:37 JST ロイター

バンコク爆発容疑者は外国人男、2人の共犯者=タイ警察 2015年 08月 20日 13:54 JST ロイター

コラム:バンコク爆発事件で揺らぐタイ経済の「命綱」 2015年 08月 18日 16:49 JST ロイター

反政権派?イスラム過激派?ウイグル族報復? テロ犯グループ絞りきれず 24日で発生1週間 2015.8.22 17:56 産経ニュース

【バンコク=岩田智雄】タイの首都バンコクで起きた爆弾テロは、24日で発生から1週間になる。警察は現場のエラワン廟(びょう)のそばにリュックを置いた「黄色いシャツの男」の行方を追っているが、犯行グループの割り出しには至っておらず、事件解決の糸口は見えない。

 19日に市民への開放が再開されたエラワン廟は、21日にはブラフマー神に奉納する踊りも始まった。早急に安全をアピールする狙いがあるとみられる。客足は通常の半分程度に落ち込んでおり、受付男性のチュクリアグさん(43)は「踊り子は全員無事だった。神のご加護があるので不安はない」と訴えた。

 プラユット首相も21日、国民に向けたテレビ演説で「捜査は進展している」と述べ、傷ついたタイの国際的印象の回復に努める姿勢をアピールした。

 警察は、黄色いシャツの男を「身元不明の外国人」としながら、軍は事件を「国際テロとは無関係」と説明しており、「組織的犯行」(ソムヨット警察長官)の実態は不明なままだ。ただ爆弾には、殺傷能力を高めるため多数の金属球が含まれていた。タイでこうした爆弾が使われるのは異例で、「爆弾の製造に精通した集団の犯行」(観測筋)との見方が強い。

 タイ・メディアは、犯行グループについて、(1)政治的対立の中でプラユット政権に不満を持つ者(2)タイ南部イスラム過激派(3)中国に強制送還されたウイグル族の報復を図った者-の可能性を報じてきたが、これらを裏付ける有力な情報や証拠は見つかっていない。

 政治問題では、2006年に首相だったタクシン氏に対する軍事クーデターが起きて以来、元首相派と反元首相派の対立が続いている。このため、元首相支持者の犯行の可能性が残るが、タクシン氏の息子のパントンテ氏は21日、SNS(交流サイト)で、タクシン氏が犯人逮捕につながる情報の提供者と逮捕した当局者に計700万バーツ(約2400万円)の懸賞金を出すと発表した。元首相派の犯行説を打ち消す狙いがあるとみられる。

 タイでは過去に政治的対立を収め、安定の要となってきたプミポン国王(87)の体調が悪化し、いずれ来る王位継承を前に不安が増している。

 国民の間では、こうした中で、軍内部で対立が起き、事件につながったのではないか、とささやく声も出始めた。

新興国市場、日中新幹線受注競争の分水嶺

インドネシアのジャワ島の高速鉄道建設計画をめぐり、日中が受注を競い合っている。

インドネシアのジョコ大統領は内閣改造を実施して、フィアン・ジャリル経済調整相、ラフマット・ゴーベル貿易相などを更迭した。日本側の提案を推すゴーベル貿易相は更迭されたが、中共側の提案を推すリニ・スマルノ国営企業相は留任した。これに対抗して、日本側は新しい案を提示した。

以前の提案は金利0.1%、40年間の円借款をインドネシア政府に供与、金額は非公開であった。今回の提案は、金利などの条件はそのままに供与先をインドネシアの民間企業(おそらく高速鉄道の運営会社)に振り替えた。インドネシア政府は財政に負担なく新幹線を導入できる。

この提案の条件でインドネシア政府が呑めないならば、中共側の提案実現には金利をさらに低くするか、車両工場の現地誘致をするか、政治家に献金を増やすか、賄賂の授受などが疑われるしか望めないだろう。

そして、このスキームで受注獲得すれば、新興国市場における日中新幹線の受注競争は我が国の勝利がほぼ確定する。

ジャカルタ都市高速鉄道、日本2企業連合が受注 2015.2.27 05:30 産経ニュース

中国が売り込み攻勢 ジャワ島の高速鉄道 2015.8.10 23:01 産経ニュース

インドネシア、知日派貿易相ら6閣僚交代 日本に痛手 中国と争う高速鉄道建設計画にも影響か 2015.8.12 19:54 産経ニュース

インドネシア高速鉄道計画、日本が新提案=副経済調整相 2015年 08月 14日 17:50 JST ロイター

[ジャカルタ 14日 ロイター] - インドネシアのウリアント副経済調整相は14日、ジャワ島の高速鉄道建設計画の受注に向けて日本が中国に対抗して新たな提案を行ったことを明らかにした。

国際協力機構(JICA)の大浦大輔氏によると、日本はこれまでに金利0.1%で40年間(猶予期間10年)の円借款を提案していた。融資の規模は明らかにしていない。

日本の新提案についてウリアント副経済調整相はロイターに、融資期間と金利に変更はないが、インドネシア政府の財政支出が不要な形に修正されたことを明らかにした。

「日本は国営企業への融資を計画している。インドネシア政府は出資しない」と述べ、国営企業が民間企業に鉄道の運営を委託することも可能と説明した。

日本と受注を競っている中国は期間50年間、金利2%で55億ドルの融資を提案している。


参考URL:
海外交通・都市開発事業支援機構

対潜哨戒機を運用できていない人民解放軍

フィリピン海軍が対潜哨戒機を導入するのは時期尚早と見て、TC-90練習機を供与する案が浮上している。この練習機にレーダーを搭載して、水上艦艇の目視偵察に充てる方針、とされる。

マレーシア航空MH370便の捜索活動では、豪州のピアース空軍基地が提供され、日米豪ほかが対潜哨戒機を参加させたのに対して、中共はIL-76を2機参加させるに留まった。

IL-76は機首の下面から目視偵察できるが、本来は輸送機であってレーダーやソナー、磁気探知機、赤外線カメラなどは搭載していない。対潜哨戒機に準じた改造がされているのかもしれないが、所属は空軍である。この事実から中共は対潜哨戒機を運用できていない、と思われる。

中日軍機、オーストラリアに集まり不明機を共同捜索へ 25. 03. 2014 japanese.china.org.cn

MH370便捜索に参加した各国軍用機【画像】 2014/05/01 12:40 FlyTeam

日本がフィリピン軍に練習機の供与検討、南シナ海での中国への防衛力を強化 2015年8月6日(木)16時08分 ニューズウィーク日本版

[東京 6日 ロイター] - 日本がフィリピン軍に対し、訓練用の航空機の供与を検討していることが明らかになった。海上の監視活動に使えば、南シナ海で中国と領有権を争うフィリピンの防衛力強化につながるとみている。

他国軍の能力支援に、自衛隊の中古装備を輸出する初のケースとなる。

<レーダーと目視で警戒監視>

日比両政府の関係者によると、検討されているのは、海上自衛隊が操縦士育成に使用している練習機「TC90」。もともと米ビーチクラフト社が開発したビジネス機で、高い軍事能力はない。しかし、日本の関係者は「レーダーを積めば偵察機として使える」と話す。

南シナ海で中国と緊張が続くフィリピンは、海の監視能力を高める装備の供与を日本に求めており、特に対潜哨戒機「P3C」に強い関心を示している。西太平洋に抜けようとする中国の潜水艦をけん制するのが狙いだが、P3Cは収集した情報の解析などに高度な運用能力が必要なことから、扱いの容易なTC90が俎上(そじょう)に乗ってきた。

別の関係者は「レーダーと目で見て写真を撮ってくる、という警戒・監視に使える。潜っている潜水艦は無理だが、水上艦艇なら見ることができる」と言う。

検討はまだ初期段階とみられ、フィリピン国防省の上層部は日本側から正式な提案を受けていない。ガズミン国防相はロイターの取材に対し「(TC90の供与は)承知していない」としている。

フィリピンとの防衛協力を進める日本の防衛省は「TC90、P3Cを含め、わが国とフィリピンとの間における具体的な防衛装備・技術協力の内容は決まっていない」と回答した。

日本は親日のアキノ大統領の任期が終わる来年6月までに、フィリピンとの関係をできるだけ強化したい考え。安倍晋三首相とアキノ大統領は今年6月の首脳会談で、装備輸出を可能にする協定の交渉を開始することで合意した。

■中古装備の供与に壁

問題は、国有財産を無償や低価で他国に渡せない財政法の縛りが日本側にあること。政府内では、自衛隊の中古装備の供与が同法の対象外となるような法的な手当てを検討する案や、適正な中古価格で売却する案などが出ている。

他国軍への補給を可能にする物品役務相互提供協定(ACSA)や、国連平和維持活動(PKO)の派遣先に装備を置いて帰るのは、別途法律があるため財政法の例外扱いにされている。

南シナ海の岩礁を埋め立て、軍事拠点化を進める中国の活動に、周辺諸国は警戒を強めている。8月4日からマレーシアで始まった東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会議でも、主要議題に取り上げられた。同海域を重要な海上交通路(シーレーン)とみる日本は、関係各国の海洋安全保障の能力向上を支援する方針を改めて表明した。

(久保信博、ティム・ケリー、マニュエル・モガト(マニラ) 編集:田巻一彦)

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