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そうりゅう型潜水艦と日米豪のスクラム

三菱重工業は豪州のアデレードにイノベーションセンターの建設を提案している、と現地の新聞紙が報じた。アデレードには豪州の国営潜水艦メーカーのASC社(ASC Pty Ltd)が置かれている。日豪共同生産に向けた動きが一歩進んだ。

ASC社は、元来そうりゅう型と同等の高張力綱の厚板溶接が出来ない、加えてナカシマプロペラ社と同等のプロペラは自製できないので、同型の700m潜航できる船体そのものが作れない以上、ノックダウン生産によるモンキーモデル(廉価版と言い換えても良い)しか残る選択肢はなかった。

つまり、最初の案が発表された2014年9月頃は完成品輸入案に過ぎなかった。2015年1月頃には日豪共同生産案が浮上した。

ところが、当時のアボット首相は解任動議を受け、党内の支持を挽回しようと次期潜水艦の入札に国営のASCが参加できる、と表明した。完成品輸入案からノックダウン生産方式による共同開発案が出て、ついにASC主体の合弁案と変わってしまった。

2015年3月、次期潜水艦プロジェクトの一環として「フューチャー・サブマリン・サミット」を開催、日独仏がパートナーとして浮上したと表明、技術移転・共同生産を前提とした入札プロセスを開始した。しかし、この会合に招待された三菱重工業と川崎重工業は参加しなかった。

よしんば入札でドイツ製(ティッセンクルップ傘下のホヴァルツヴェルケ=ドイツ造船)もしくはフランス製(DCNS社)の船体ということになった場合、システムはフランスのタレス社が受注することになる。対するそうりゅう型では米国のレイセオン社。

独仏製では、艦船の相互リンクが出来ず、共同作戦に支障が出かねない。また、これらの潜水艦は寒冷な北大西洋での活動を主目的としており、水温変動の激しい南シナ海からインド洋に及ぶであろう豪州の作戦海域とでは、艦内の居住環境がそもそも合わない。

2015年4月には、この事態を憂慮した米国が豪潜水艦調達計画について日本製を採用するよう後押しした。それ以降は事あるごとに米国の意向が漏れ伝わるようになってきた。

しかして以前の2014年9月3日のエントリーで書いた通りに、収斂しつつある。

豪州政府は、そうりゅう型潜水艦について自国生産ではなくて完成品輸入を検討している。軍需産業の維持育成は雇用政策上も重要であるから、反発も大きい。しかも大洋に面している豪州は今後も財政の許す限り、海軍整備が不可欠となってくる。

南オーストラリア州は軍需産業で2万7000人、うち造船業で3000人雇用している。米国でも軍艦を建造するバス鉄工所(メイン州)とインガルス造船所(ミシシッピ州)は、その州の最大雇用主のひとつとなっている。

打開策としてはまず、そうりゅう型の豪州仕様向けモデルを三菱重工業と川崎重工業が1~2隻ずつ建造、次に豪州の潜水艦建造メーカー(ASC)に資本参加して、中韓系の人材採用を注意深く排除しながら、艦の整備から技術指導を行ない、ノックダウン生産、最終的にライセンス生産に移行して、次々世代級の潜水艦についても我が国が優先交渉権を持つ。

すでに豪州の軍需メーカーのうち、艦船部門はBAE(英国)、車両部門はジェネラル・ダイナミクス(米国)傘下となっている。

一方、我が国では新造艦にリチウム電池を採用して、豪州製のそうりゅう型よりも性能を高めておく、というのが常識的な線だろう。

アデレードに技術革新センター:三菱重工、潜水艦受注で[製造]  2016/03/04(金曜日) NNA ASIA

三菱重工業が、オーストラリアの次期潜水艦建造プロジェクトを正式に受注した場合、アデレードにイノベーション(技術革新)センターの建設を提案しているもようだ。同社の大宮英明会長が、3日付経済紙オーストラリアン・ファイナンシャル・レビュー(AFR)に明らかにした。潜水艦の設計や、防衛以外の産業の研究拠点としても利用する計画。そうりゅう型潜水艦の受注を見据え、日本は三菱重工主導で外堀を埋めつつある。

三菱重工は、次期潜水艦プロジェクトはオーストラリアへの多角的な投資の始まりにすぎないとし、三菱グループの他社を含めて、従来の液化天然ガス(LNG)や石炭、アルミニウムなどの鉱業やエアコンのほか、風力発電や化学工場、航空機部品といった幅広い国際プロジェクトへの参画機会を見込んでいるという。

ターンブル首相は昨年12月の安倍晋三首相との会談で、日豪間でのイノベーション協力の深化で一致していた。

日本側は現在、オーストラリア向けの最初のそうりゅう型潜水艦を日本でなくオーストラリアで建造可能と主張している。一方、競合のドイツの造船企業ティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)はポート・アデレード近くにある政府系造船会社オーストラリアン・サブマリン・コーポレーション(ASC)の造船所ですべて建造することが理想的とすると共に、固定価格での契約とすることをアピールしている。

■アボット前首相がリーク?

また、2日付の全国紙オーストラリアンが、アボット前政権時に作成された国防白書の草案(機密文書)を元に、アボット前首相が「次期潜水艦の調達が以前の想定より遅らされた」とコメントした記事を掲載したことを受け、草案が何者かに漏えいされたとしてオーストラリア連邦警察が捜査を開始している。同紙の記者とアボット前首相は共に、関与を否定している。

また、AFRによると、日米政府関係者の一部で、アボット前首相が先月、ターンブル首相を差し置いて日本を訪問し、安倍首相と会食したことが、オーストラリアの次期潜水艦の入札に悪影響を与えるとの懸念がささやかれている。日本政府はアボット前首相を招待したことでターンブル政権を軽視したわけではないと主張し、日本の受注を推しているとされる米国政府は遺憾を示したという。

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ANZACの農場主求む、ただし支那人以外

以前の2015年5月4日のエントリーでも取り上げたように、

豪州政府は外国人による不動産違法購入に対する罰則を強化した。名指しこそされてはいないが、支那本土からの投資移民を対象とした規制強化であるのは明白で、同じく支那人が狙う農業(大規模農場、牧場など)や食品加工業(乳業、精肉業など)の買収案件も審査強化される。

これを裏付ける続報として、豪州ではイングランドの4分の3程度の広さを持ち、約185,000頭の牛を飼育する牧羊地の売却が差し止められた。また、同様にニュージーランドでも、事務レベルでは認可された農場投資案件が担当閣僚の裁可によって覆された。

中国企業の農場投資案件、担当閣僚が不認可と決定 (ニュージーランド、中国) 2015年11月09日 JETRO

Australia blocks England-sized (almost) farm sale to China November 19,2015 10:56am fastFT

従来の方針ではアングロサクソン系の英、米、カナダ、豪州は投資移民を受け入れていた。しかし、支那人は需給バランスの破壊のみならず、米国の覇権をも破壊しようと試みているため、日米豪の同盟が結束を固め、安全保障上の面から中共の食料自給の補助となるような案件にも注意が払われることになった。

豪州では2014年10月、支那本土から富裕層の移民を歓迎するため、1年間に1500万オーストラリアドルを投資すれば、優先的に永住権が与えられる新移民制度が制定され、2015年7月から始まる予定だったが、早くも軌道修正された格好となる。

アングロサクソン系の国々は支那本土からの投資移民を募る一方で、米国の“ピボット”に併せて、支那人の富を吸い上げるだけ吸い上げて、“対中封じ込め”の列に加わるタイミングを見極めていくことになる。

ダーウィン港の「So What?」

So What?=だから何、それがどうした? というのが直訳だが、楽曲で「So What?」と訊かれると、まず思い起こすのはマイルス・デイヴィスのアルバム『カインド・オブ・ブルー』(1959年)と、映画『ビギナーズ』(原題:Absolute Beginners、1986年)のサントラに所収されている同名曲だろうか。

中共の民間企業、嵐橋集団は豪州ノーザンテリトリー準州政府との間に、ダーウィン港の土地、イースト・アーム港の周辺施設及びフォート・ヒル港を99年間リースする契約を結んだ(2015年11月9日のエントリー参照)。

米海兵隊も駐屯する豪州の要衝、ダーウィンに中国共産党の監視が入るのではないか、と憶測を呼んで、豪州の国防軍高官は「安全面での懸念を生じさせる」と、発言した。

ところが、この問題を取り上げている、The Diplomatの記事には「So What?」と見出しが付いている。

記事の文末には、ターンブル新首相の見解が載っている。

彼は「我々の法律の下では、国防上必要とあれば、国防総省もしくは連邦政府が介入して、このインフラの操業権を取り上げる事ができる」と、述べている。

支那人が買った、だからそれがどうした? と言いたい訳だ。

Yes, a Chinese Company Leased Darwin Port. So What? November 19, 2015 The Diplomat

(前段省略)

Turnbull said: “The fact that Chinese investors were interested in investing in infrastructure in Australia is … hardly a secret.” He added, “And, under our legislation, the Department of Defense or this Federal Government can step in and take control of infrastructure like this in circumstances where it’s deemed necessary for purposes of Defense.”

“第二列島線”の果てと“一帯一路”の中間点

共産中国もまた大日本帝国の後継国家のひとつ、と考えると地政学における軍事的条件、戦略的な限界はそう変わらない。第2次大戦のバシー海峡と絶対国防圏、それにダーウィン空襲を併せるとそれが良く理解できる。

米海兵隊のダーウィン駐屯は正式合意された。岩国~沖縄(普天間)~パラワン島~ダーウィン間をMV-22オスプレイが、その行動半径を活かして展開できるようになるだろう。

と、2014年1月2日のエントリーと書いたが、

中共の民間企業、嵐橋集団は豪州ノーザンテリトリー準州政府との間に、ダーウィン港の土地、イースト・アーム港の周辺施設及びフォート・ヒル港を99年間リースする契約を結んだ。豪州の国防軍高官は「安全面での懸念を生じさせる」と指摘した、と下記の記事で発言している。

このリース契約が、中国共産党と人民解放軍と連動しているかは不明だが、遡ること2007年、中国は東ティモールに対して、拒絶されたもののレーダー施設の建設を申し入れている。

なぜならASAEN諸国を手に入れても、帝国陸海軍のように兵站の届かないダーウィン空襲(現在ならばミサイルの射程圏か否かが重要)を繰り返さなければならないからだ。つまり、中国共産党も大日本帝国と同じ戦略的限界に到達する(2011年11月18日のエントリー参照)。

中国企業がオーストラリアの港湾賃借権を取得、豪国防軍は「安全面での懸念を生じさせる」と警戒感―英メディア 2015年10月22日(木) 19時4分 レコードチャイナ

(前段省略)

豪ノーザンテリトリー州は13日、99年にわたって州都ダーウィンの埠頭(ふとう)使用を認める約5億オーストラリアドル(約433億円)規模の契約を中国の嵐橋集団と結んだ。同集団は山東省日照市に拠点を置くエネルギー、インフラ産業を中心に手掛ける民間企業で、向う25年で2億オーストラリアドル(約173億円)をこの港湾に投じ、中国とオーストラリア間の貿易、観光を促進したいとしている。

ただ、豪国防軍のある高官は現地メディアに対し、海軍が使用する港湾の賃借権を中国企業が持つことに「安全面での懸念を生じさせる」と指摘。ダーウィン港は海軍が「非常に重要な港湾」と位置付ける港で、入港した外国の軍艦も含めた軍事演習が毎年開催されている。(翻訳・編集/野谷)


中国企業、豪ダーウィン港の99年間のリース権を取得 2015年10月16日 14時52分 新華ニュース

オーストラリア・ノーザンテリトリー政府は13日、中国嵐橋集団と総額が5億600万オーストラリアドルの協力契約を締結し、ダーウィン港の土地、イースト・アーム港の周辺施設及びフォート・ヒル港を中国嵐橋集団にリースし、リース期間を99年にした。ノーザンテリトリー政府は他の港湾の関連施設の運営権を握り続けながら、監督管理の職能をも果たすと発表した。

ノーザンテリトリー政府によると、リース取引による所得は新たなインフラの整備に投資し、適切な措置で港湾の従業員、利用者と政府利益を守る。中国嵐橋集団は港湾の現有の従業員を2018年6月の契約満期まで削減しないと確認した。港湾施設の使用について、安定的で競争力のある価格メカニズムを実行する。

2014-2015年、ダーウィン港の貨物取扱量は340万トンで、半分ぐらいは中国との貨物貿易で、鉱石を主とした。鉄鉱石輸出量の激減を受け、ダーウィン港の貨物取扱量は2014-2015年に40%下降したが、ここを経由して輸出された生きた牛の数は前年同期比で51%増の61万3000頭に達した。

(翻訳 劉英)


さらに中共の国有企業、コスコ・パシフィック(COSCO Pacific)を主体とするコンソーシアムがトルコ、イスタンブールの主要コンテナ・ターミナルで、ハイダルパシャ港と肩を並べるクンポート港の所有者兼運営会社であるFiba Holdingの子会社であるFina Limanの65%の株式を取得した。

こちらの方は“一帯一路”構想に直結している、と思われる。

中共は新疆ウイグル~中央アジア~トルコ~ロシア~ドイツまでを陸路で結ぶ“シルクロード経済ベルト”とスリランカ~パキスタン~ギリシア~ベルギーを海路で結ぶ“21世紀の海上シルクロード”構想を打ち出している。人民日報はこれらを併せて“一帯一路”と呼称する。

大陸国家の支那としては中国共産党の“一帯一路”のうち、“シルクロード経済ベルト”が主、“21世紀の海上シルクロード”が従となるはずだ。これに対して海洋国家の我が国としては“自由と繁栄の弧”が主、“ユーラシア・クロスロード構想”が従となる(2014年11月14日のエントリー参照)。

麻生財務相が唱えてきた“自由と繁栄の弧”と“ユーラシア・クロスロード構想”、そして“平和と繁栄の回廊”の独創性は、ハルフォード・マッキンダーの唱えたハートランド(大まかにロシアとカフカス、中央アジア)をリムランド(中欧~中東~東南アジア)の弧で囲み、アクセスが常に難しいリムランドの不安定地域(かつて英露が戦ったアフガニスタンを中心点としてそこから紛争が波及する周縁地域)に我が国が持てる資本と技術の力で安全回廊をつくるところにある。

ユーラシア・クロスロードの縦線は中央アジア→アフガニスタン→アラビア海、横線は中央アジア→カスピ海→カフカス→東欧である。また、ロシアが同意する場合、シベリア鉄道とバム鉄道が再活性化する。同意しない場合は中央アジアからロシアを刺す。

これに安倍首相の“安倍ドクトリン”と“セキュリティ・ダイヤモンド構想”による価値観外交をもって、中共と中共側に付こうとする勢力の主張を封じ込め、支那が伝統的に得意とする道徳においても優位に立つことによって、理念上も実際上も同盟国を繋げることで補強する。

と、2013年6月21日のエントリーでは述べた。

日中どちらが、トルコを抱き込めるかについては、中央アジア5カ国に通ずる回廊となるクルド人の居住地域の安全確保に掛かって来る面があり、こちらは現状見通せない部分が多い。

中国のコンソーシアムが9億4千万米ドルをトルコの港湾に投資 28.09.2015 トルコ共和国首相府投資促進機関(ISPAT)

Dünya – 中国国有の船会社・物流会社であるCOSCO Pacificは、China Merchants Holdings International and CIC Capitalと組んで、トルコ第三の大型コンテナ・ターミナルであるクンポートの過半数の株式を取得しました。

コンソーシアムは、クンポートの所有者兼運営会社であるFiba Holdingの子会社であるFina Limanの65%の株式を9億4千万米ドルで取得しました。 残りの35%の株式は、2011年に同港湾に投資したOmanソブリンファンドである State General Reserve Fund (SGRF)が所有しています。

イスタンブールのアンバルリ海岸にあるターミナルは、年間130万TEUを取り扱い、同国のコンテナ輸送合計の16%を占めています。

中国からトルコへのこれまでで最大の直接投資である今回の株式取得取引により、中国政府のかつての「シルクロード」の現代的解釈である「一帯一路」イニシアチブにおける戦略的商取引ルートかつ要衝の地に中国は重要な足がかりを得ることになります。


コスコ・パシフィック、トルコのコンテナターミナルの権益取得へ 2015/09/17 16:36:47 トレーダーズウェブ

 コンテナ関連事業大手のコスコ・パシフィック(01199)は17日朝方、トルコのクンポート・コンテナターミナルの権益取得に向け、中国最大の港湾運営事業者、招商局国際(00144)や政府系投資ファンドの中国投資有限責任公司(CIC)と共同出資会社を設立すると発表した。資本金は1万2500ユーロで、出資比率はコスコ・パシフィックと招商局国際がそれぞれ40%、CICが20%。新会社は、クンポート・コンテナターミナルを保有する現地企業Fina Liman Hizmetleri に64.5%出資する計画。このほか、クンポート・コンテナターミナルの権益1.4%をFinaから2000万米ドルで直接取得する。

 クンポート・コンテナターミナルはトルコ3位のコンテナターミナルで、6つの埠頭を持ち、1万8000TEU(20フィート標準コンテナ換算)級の船舶を取り扱うことが可能。現在の処理能力は184万TEUで350万TEUまで拡張が可能だ。コスコ・パシフィックなど3社は中国政府が進める「21世紀海上シルクロード」構想を踏まえ、トルコ港湾の権益を押さえるのが狙い。

 コスコ・パシフィックは親会社が重大事項を計画していることを理由に、10日に株式取引を停止した。

資源依存の経済構造が政権を揺るがす豪州

豪州経済は、中国本土への鉱物資源輸出によって、国内の鉱物部門関連の設備投資が喚起されて、経済成長するという好循環が行われてきた。

しかし、この好循環の対価として、GDPに輸出が占める割合は20%程度にも関わらず、資源に依存し、かつ中共に依存するという経済構造になってしまった。

リーマン・ショック後に中国共産党が行った大幅な財政出動以降は一層、中国本土の鋼鉄在庫の動向に左右されるようになってしまう。しかも、中共が自国の資源メジャーを直接買収しようとする動きを見せたため、資源と中共に依存しつつも、そこから徐々に脱却を図らなくてはならなくなった。

最低限、鉱物資源の輸出先を多角化しないとならない。日米豪同盟の深化は、輸出先多角化の安全保障にも繋がっている。

つまり、資源依存・中共依存といった経済構造を転換するため、外交・安保政策においては日米との同盟関係を構築しつづけながらも、ときに経済構造の転換の進捗状況によって、親中・リベラルに偏る傾向を見せる。

労働党のラッド政権(2007年~2010年)~同じく労働党のギラード政権(2010年~2013年6月)~第2次ラッド政権(2013年6月~9月)~自由党のアボット政権(2013年9月~2015年9月)~同じく自由党のターンブル政権(2015年9月~)の変遷は、そのままリーマン・ショック後の構造改革の揺らぎに他ならない。

豪州の労働党がラッド氏とギラード女史の間で党内抗争を繰り広げたのと同じく、豪州の自由党もアボット氏とターンブル氏の間で党内抗争を行い、首相交代することとなった。今回は、上海の株式バブル崩壊が他国の政権を倒した事例と見て良いだろう。

しかしながら、短期間で経済構造が変化することはない以上、今後も政権交代は続き、豪州の不安定要因のひとつとなる。

国防相に初の女性 新内閣発表、日本の潜水艦推す前任を更迭 2015.9.20 18:59 産経ニュース

オーストラリア新首相、親族に中国共産党元幹部? 「中国寄り」に国内から懸念 通信網構築に中国企業の参入前向き 2015.9.19 22:41 産経ニュース

豪外相歓迎「日本との安保協力を促進することはオーストラリアの優先事項」 2015.9.19 18:02 産経ニュース

次期潜水艦選定で日本不利? ターンブル氏は地元雇用を優先 2015.9.17 19:39 産経ニュース

安倍首相の「最高の友」降板 中国を「抗日戦の同盟者」としたターンブル氏就任で日豪蜜月どう変わる? 2015.9.15 00:22 産経ニュース

豪新首相にターンブル氏 党首選を買って出たアボット氏敗れる、内閣刷新へ 2015.9.14 21:30 産経ニュース

「指導力なし」豪与党閣僚が党首選突き付け 受けて立つアボット首相、即日党首選を表明 2015.9.14 19:29 産経ニュース

党首選の論功行賞で、アボット前首相を支持したアンドリュース国防相は更迭、アボット内閣で人的サービス相を務めたペイン女史が新しい国防相に就任した。

ターンブル政権の方針として、豪州の新型潜水艦の導入計画は国内生産比率70%という縛りがかかった。現状、潜水艦用の高張力鋼(NS鋼)の製造と熱処理と溶接が出来ない豪州では、そうりゅう型潜水艦の豪州国内の即時生産はもともと不可能である。

今後、1番艦からの国内生産断念や生産比率のパーセンテージ見直し、ノックダウン生産方式導入、それに熟練工育成のための技術指導などで豪州側の妥協が図れない場合、そうりゅう型の導入は難しくなった。

注文の多い豪州の潜水艦

豪州の新型潜水艦の導入計画は、当初の計画案から何度も変更があり、辟易させられる点も多いが、あくまでも“戦後レジームからの脱却”に伴う新しいレジームの構築の一環として進めなければならない。

当初、日豪首脳間ではそうりゅう型潜水艦の完成品を輸入することで話がまとまった。しかし、現地の潜水艦建造メーカーASC社による国内生産及び日本以外の潜水艦建造国を含む競争入札に変更された。

ともあれ数々の変更が、民主主義国家における民意に基づく(実際には与党内の支持と州の議席を失うことを怖れた)以上、無視することはできない。新しいレジームをつくる国々は自由、民主主義、法の支配、市場経済という共通の価値観によって結ばれるからだ。

豪潜水艦入札、日本側は協力に向けた協議拒否と豪企業が批判 2015年 09月 1日 19:12 JST ロイター

豪潜水艦入札で日本が説明会、現地での建造は明言せず  2015年 08月 27日 10:36 JST ロイター

豪、海軍の増強計画を加速 新型フリゲート艦計画など前倒し 2015年 8月4日 19:36 JST WSJ日本版

UPDATE 1-豪政府、今後20年で海軍艦艇に890億豪ドル投入=アボット首相 2015年 08月 4日 15:42 JST ロイター

日スウェーデンの共同建造案浮上:豪潜水艦、国内雇用確保で[政治] 2015/07/09(木曜日) NNA.ASIA

仏、日本と共同提案も=豪の次期潜水艦開発 2015/06/15-09:07 時事ドットコム

我が国(政府、川崎重工業と三菱重工業)は、秘匿性の高い軍事技術を輸出したことも海外で共同生産したこともない。従って落札しても建造工程の管理に不安が残る。建造に参加すると思われるASC社が、コリンズ級潜水艦での失敗を繰り返すことは日米豪同盟にとってなんら利益をもたらさない。

英国もしくは米国政府と軍需企業の協力が必要になるだろう。場合によってはコリンズ級潜水艦を設計したスウェーデンのSAAB傘下コックムス社の協力を仰ぐかもしれない。

豪州側の妥協も求めるべきだろう。NS鋼を扱うオーストラリア人熟練工の育成を図るために三菱重工業と川崎重工業の主導で2隻建造、ASC社は工業用ロボットの設備投資を行って試験艦1隻を建造、問題点を洗い出して修正後に残りを建造、としなければ、それこそ豪州国民の税金をドブに再び捨てることになりかねない。

豪州の支那人締め出しの悪影響を被る前に

2015年5月4日のエントリーの続報。

豪州では今年5月、外国人による違法な不動産購入の罰則強化の方針が示された。違法取得の調査が行われ、462の物件に違法の可能性があるとされ、うち6件は売却命令が出された。

投資目的による不動産購入を防ぎ、価格高騰を招かないようにするのが罰則強化の趣旨となるが、中国本土のバブル崩壊で資産を保全し、海外移住を図ろうとする支那人の流入を防ぐ効果も期待できる。これは移民の締め出しにもつながる。

豪州に入れなくなった数だけ支那人(利害関係で癒着する香港人、台湾の外省人、華僑も含まれる)が我が国に流入する可能性がある。同様の規制を導入する必要性が出てきた。あとは国防上、“対中封じ込め”の観点と東京の不動産需給の影響とを見極めながら、タイミングが問題となる。

豪政府、外国人住宅所有者5人に売却命令 2015年 8月10日 13:32 JST WSJ日本版

【シドニー】オーストラリア政府は外国人による違法な住宅取得の取り締まりを強化している。その一環として、5人の外国人に対し、オーストラリア国内で所有する居住用不動産の売却を命じた。

ホッキー財務相はシドニー、ブリスベン、パースにある6件の居住用不動産について、所有する5人の外国人に売却を命じたことを明らかにした。物件の評価額は最も安いもので15万2000豪ドル(約1390万円)、最も高いものは186万豪ドル(1億7000万円)。

財務相によると、調査の結果、さらに462の物件が外国人による住宅所有に関する規則に違反して所有されている可能性があることが判明。政府は今後も外国人に住宅の売却を命じる可能性がある。調査対象となった物件の数は6月に最新の推計が公表されて以降、2倍以上に増加した。

ホッキー氏は新たな売却命令が間もなく発表されるとの見通しを示した上で、違反者への罰則を強化することを約束した。

オーストラリアでは住宅価格が急騰し、多くの国民が住宅を所有できなくなっている。保守政権は住宅を手ごろな価格に抑え、投資家による住宅購入を制限するよう国民から突き上げられている。一部には、鉱山ブームが終わって景気が減速すれば、住宅市場が暴落するのではないかとの不安の声も挙がっている。

最大の懸念材料は中国や東南アジア諸国からの投資が住宅問題の悪化を招いていることだ。オーストラリア外国投資審査委員会(FIRB)は今年4月、中国の昨年1年間の対オーストラリア投資額が276豪億ドルとなり、中国が米国を抜いて最大の投資国となったと発表。中国からの資金のほぼ半分が不動産に流れ込んだ。

財務相は3月、シドニー市内にある3900万豪ドルの邸宅をめぐって香港在住の所有者に売却を命じたことを明らかにした。調査の結果、この物件が違法に購入されたことが判明したためだ。

今回売却を命じられた外国人投資家は中国など4カ国の5人。ホッキー氏によると、FIRBの認可を受けて物件を購入した投資家もいたが、事情が変わっても売却規則に従っていなかった。最初から規則を守らず、認可を受けずに購入した投資家もいたという。

政府は5月に、違反者の刑事訴追を免除する方針を明らかにしており、5人の投資家はこの方針に基づいて自主的に名乗り出たという。5人は今後12カ月以内に所有する不動産を売却することになる。ホッキー氏によると、オーストラリアで違法に居住用不動産を購入した外国人は今年11月30日までに名乗り出れば訴追免除が適用される。

財務相は違法に居住用不動産を取得した外国人投資家への罰則を強化する法案を今後2週間以内に連邦議会に提出する予定であることを明らかにした。

法案によると、非居住者が既存の住宅を違法に取得した場合、最高で12万7500豪ドルの罰金刑か3年の懲役に処せられる。さらに、不動産に発生したキャピタルゲイン、購入価格の25%、市場価格の25%のうち最も高い金額を支払わなければならない。

不動産業者や金融アドバイザーなどの第三者も違法な不動産購入に関われば、訴追される可能性がある。

外国人による住宅購入に関する法律は約5年前に強化され、外国人が購入できる物件は新築に限定された。一時的な居住者はFIRBの認可があれば既存の住宅の取得が認められるが、ビザ(査証)失効時には売却しなければならない。

政府の委員会は昨年、違法な住宅取得の摘発手続の整備、規則違反に対する罰則、第三者の違反者に対する罰則、購入者がオーストラリアを出国したことを移民当局がFIRBに通知するための法改正など答申していた。

日米豪同盟で南太平洋を制する豪州

豪州のアボット首相は、潜水艦を含む海軍艦艇に今後20年で890億豪ドルを投入する方針を示した。このうち、400億豪ドルは水上艦に充て、5年以内に200億豪ドルを投じ、新型フリゲート艦9隻からなる艦隊をつくる。これは当初見通しより3年前倒しとなる。また、20隻の大型戦闘艦の建造も開始する。

UPDATE 1-豪政府、今後20年で海軍艦艇に890億豪ドル投入=アボット首相 2015年 08月 4日 15:42 JST ロイター

豪、海軍の増強計画を加速 新型フリゲート艦計画など前倒し 2015年 8月4日 19:36 JST WSJ日本版

豪州には、対中共の集団安全保障の枠組みを利用して、ひとつに南太平洋から南極までの勢力拡大、ひとつに中共の“爆食”終了後の国内産業維持、このふたつの思惑がある。

2015年3月27日のエントリーの再掲となるが、

海洋国家でもある豪州は南太平洋の支配と南極の一部領有を悲願としている。背後の安全確保のためにインドネシアの弱体化に繋がる東ティモールの独立を画策して、南極条約以前から日本が持つ南氷洋の漁業権を潰そうと捕鯨を攻撃してきた。

東ティモール独立以降の日豪安保共同宣言やシーシェパードによる調査捕鯨の妨害など、彼らの外交は一定の成果を挙げてきた。かつ“対中封じ込め”では豪州の役割は期待されており、日本-インドネシア間の防衛協力覚書によってインドネシアとの軋轢はさらに減じる。

豪州は典型的なオランダ病に罹っており、自動車産業(GM、フォード、トヨタ自動車)は2016年から2017年までに撤退することが決まっている。そのため残った数少ない製造業である国防関連産業は喪失できない。しかし、労働集約的な造船業の、しかも技術的蓄積が戦闘機並みに必要な潜水艦に手を出そうとしている。

つまり、日米の代貸になることで南太平洋を任せられる訳だ。もちろん豪州の思惑を抑制するには、日米豪の緊密化だけに留まらず、ASEAN各国含めた集団安全保障の枠組みをつくることが必要になるだろう。英連邦の盟主・英国の協力を得ることが望まれる。

この枠組みにより、英国の衰退に伴い弱体化しつつあった5か国防衛取極の再活性化にもつながり、人口と地勢で英連邦各国(シンガポール、マレーシア、豪州など)の脅威となっているインドネシアとの緊張緩和も図れる。

日米豪の三国同盟と共同軍事演習

豪州のダーウィン沖で行われた米豪軍事演習「タリスマン・セーバー」には、陸上自衛隊とニュージーランド軍が参加した。オブザーバー参加30ヶ国の中に人民解放軍も名を連ねている。

かつて、我が国が空襲を行ったダーウィンでの共同演習ということで、時代の流れを感じさせる論調もあるが、現在、ダーウィンには米国海兵隊が駐屯している(2011年11月18日のエントリー参照)。

中国共産党を、大日本帝国の後裔国家のひとつとして考えれば、やはり、帝国陸海軍のように兵站の届かないダーウィン空襲(現在ならばミサイルの射程圏か否かが重要)と同様、彼らにとっても攻勢の限界点にあるのは間違いない。

なお今回、自衛隊が演習参加する目的は、海兵隊に随伴して、陸海共同作戦のノウハウを得ることにある。

米豪共同軍事演習に自衛隊が初参加 豪ダーウィン沖 2015/7/7 19:48 日経

Marines Storm Aussie Beach Under China’s Gaze Amid Tensions July 19, 2015 — 11:00 PM KST Bloomberg

Japanese troops deploy to Australia with Oki-based Marines 10:32 a.m. EDT June 21, 2015 Marine Corps Times

日米豪同盟の構築は端緒に就いた

小林正男・元海将は「高強度鋼材を成形する熟練労働者が(オーストラリアには)足りない」と、直裁的な発言をした。この点はASC社及び豪州側も認めている。ASC社は最近、ホバート級駆逐艦のブロック工法で失敗して再建造を余儀なくされている。

今後、必要な熟練労働者は500名とされるが、150名程度しか集まらない、とも指摘されている。日本でも熟練工育成には最低5年以上要する。豪州ではその時間を掛けても熟練工を揃えられるかは不明である。

軍事技術の漏洩を懸念するのは正しいが、その懸念は日豪ともに可能性としては同じであろう。親中派への政権交代(我が国では自民党内の親中派でもあり得る)があれば、リスクは高まる。しかし、米国政府は豪州にF-35とEA-18Gの供与を決定している。加えて、豪州にB-1配備の可能性も出てきており、中共は警戒心を露わにしている。

世界的なリベラルの後退、中国共産党の覇権拡大に対する忌避感は強まり、こうしたリスクは減じていくものと考えられる。なにより同盟の構築は紙切れを交わしたから即、成立するものではない。不断の努力によって同盟は内実を伴ったものとなる。日米豪同盟の構築はまだ始まったばかりである。

China warns Australia on US bombers May 19 2015 at 1:30 PM Financial Review

豪国防省、潜水艦選定の諮問機関メンバーを公表 2015年 06月 5日 18:49 JST ロイター

[シドニー 5日 ロイター] - オーストラリアのアンドリューズ国防相は5日、次期潜水艦の選定を行う諮問機関のメンバーを発表した。

メンバーには米国のドナルド・ウィンター元海軍長官、豪州のジュリー・アン・ドッズ=ストリートン元判事、ロン・フィンレー弁護士、英防衛大手BAEシステムズ(BAES.L: 株価, 企業情報, レポート)のジム・マクダウェル取締役などが指名された。

米軍当局者はすでに、調達先として絞られた日独仏のうち日本製の導入を支持したとみられており、ウィンター元長官が諮問機関に入ったことで、ディーゼルエンジン型の潜水艦では最大規模の「そうりゅう型」を保有する日本に有利に傾く可能性が出てきた。

オーストラリアは老朽化が進むコリンズ級潜水艦の後継艦選定を進めており、競争も激化している。500億豪ドル(385億2000万米ドル)規模の調達計画は、国防プロジェクトとして同国史上最大。


豪上院議員、潜水艦開発めぐる日本の専門家発言に反発 2015年 06月 4日 12:05 JST ロイター

[シドニー 4日 ロイター] - ニック・ゼノフォン豪上院議員(無所属)は4日、オーストラリアの潜水艦建造能力などに疑念を呈した日本の防衛専門家のコメントを批判した。

豪州は潜水艦の新造計画で協力国の選定手続きを進めており、日本はフランスやドイツと競合している。

こうした中で、海上自衛隊の潜水艦隊司令官だった小林正男・元海将は3日、豪ABCに対し、「高強度鋼材を成形する熟練労働者が(オーストラリアには)足りない。高強度鋼材を成形するのは日本でも難しい」と述べた。

また、潜水艦艦長を務めた経験がある山内敏秀氏もABCに対し、「オーストラリアに持ち込まれたわれわれの技術が中国に漏えいすることをわれわれは懸念している」と述べ、軍事技術の保護に関するオーストラリアの能力を疑問視した。

ゼノフォン議員はこうしたコメントに「侮辱だ」と反発。「日本側は、オーストラリアの500億ドル相当の税金をほぼ全て日本で使わせようと口実を探しているようだ」と述べた。

“日米合作”潜水艦の雛形

そもそも豪州に対するそうりゅう型潜水艦の完成品輸出案件の目的は、今後、日米豪同盟が行う共同作戦の実を挙げるため、豪州の海軍能力向上を図ることにあった。

豪州の国内事情からノックダウン生産に落ち着きそうだが、この日米合作による通常動力型潜水艦を廉価版潜水艦としてフィリピンやベトナム、インドなどに輸出できるようになれば良し。我が国は実績ゼロから輸出ができるし、米国は旨みのあるシステム輸出ができる。

経過を振り返るため、以前の関連エントリーから抜粋していくが、2014年7月10日のエントリーにあるように、日豪間では防衛装備品共同開発協定が調印されていた。

しかし、2014年9月15日のエントリーで言及したが、豪州政府は、そうりゅう型潜水艦について自国生産ではなくて完成品輸入を検討していたのだ。

2014年11月30日のエントリーなどにあるように、豪州の国営潜水艦メーカーのASC社(ASC Pty Ltd
、旧称:the Australian Submarine Corporation)が探っていた当初の妥協策は代替の造船枠をほかの造船所から譲り受けることだった。

その後、ASC社は労組の反発を受けながらも、船体は日本から、攻撃システムは米国から輸入することに決定、船体の組み上げ用の造船ドックを新設して、技術習得をしていくのが同社の目論見だった。

元々、そうりゅう型と同等の高張力綱の厚板溶接が出来ない、加えてナカシマプロペラ社と同等のプロペラは自製できないので、同型の700m潜航できる船体そのものが作れない以上、ノックダウン生産によるモンキーモデル(廉価版と言い換えても良い)しか残る選択肢はなかっただろう。

これを受けて、防衛省はそうりゅう型潜水艦の日豪共同生産の検討に入った(2015年1月6日のエントリー参照)。

ところが、さらなる混迷は2015年2月9日のエントリーにあるように、アボット政権の支持率の低迷とクイーンズランド州選挙の大敗を受けて自由党の反主流派が両院議員総会で党首の解任動議を提出した辺りに始まった。アボット首相は党内の支持を挽回しようと次期潜水艦の入札に国営のASCが参加できる、と表明した。

結局、2015年3月27日のエントリーにあるように、アボット政権は、次期潜水艦プロジェクトの一環として「フューチャー・サブマリン・サミット」を開催、日独仏がパートナーとして浮上したと表明、技術移転・共同生産を前提とした入札プロセスを開始した。しかし、この会合に招待された三菱重工業と川崎重工業は参加しなかった。

よしんば入札でドイツ製(ティッセンクルップ傘下のホヴァルツヴェルケ=ドイツ造船)もしくはフランス製(DCNS社)の船体ということになった場合、システムはフランスのタレス社が受注することになる。対するそうりゅう型では米国のレイセオン社。

独仏製では、艦船の相互リンクが出来ず、共同作戦に支障が出かねない。また、これらの潜水艦は寒冷な北大西洋での活動を主目的としており、水温変動の激しい南シナ海からインド洋に及ぶであろう豪州の作戦海域とでは、艦内の居住環境がそもそも合わない。

この事態を憂慮した米国が豪潜水艦調達計画について日本製を採用するよう後押しした(2015年4月7日のエントリー)。

すでに東アジアにおける潜水艦の建艦競争は、自国にとどまらず利害の一致する友好国に及び、潜水艦、対潜哨戒機、ソナーにそれらのメンテナンスや人材育成のパッケージ輸出を促進している。

潜水艦は各国の外交カードとして使われている。“対中封じ込め”の陣営では、ほかにミャンマーがインドからソナーを購入しようとしており、インドは米国から対潜哨戒機を購入しようとしている。一方、中共の陣営ではパキスタンのほかにバングラデシュが中共から潜水艦を購入しようとしており、運用支援に人民解放軍から人材が派遣される予定となっている。

この点から鑑みて、日米合作の潜水艦輸出は“対中封じ込め”の武器のひとつとなるだろう。

日本政府、豪に潜水艦技術の情報開示を決定 選定手続きに参加 2015年 05月 18日 19:39 JST ロイター

[東京 18日 ロイター] - 政府は18日、潜水艦の新造を計画するオーストラリアに対し、日本の技術情報を開示することを決定した。豪州が実施する協力国の選定手続きに参加する。競合するフランス、ドイツを抑えて日本が指名されれば、本格的な武器を輸出する初のケースとなる。

日本は同日午後に国家安全保障会議(NSC)を開き、豪側に情報を開示する可否を審査した。会見した中谷元防衛相は「(豪州とは)安全保障面で共通の価値と利益を共有している」と、開示を許可した理由を説明。「両国の防衛協力を新たな段階に引き上げるために協力をしていく」と語った。

日本は今後、豪州が求める要件に沿って、潜水艦の主要寸法や性能情報といった設計の概略を提示する。コストや建造場所、豪州の産業がどのぐらい関与できるのかなども提案する。豪州は、選定手続きに参加する日本、ドイツ、フランスの中から、年内にも共同開発国を選ぶ見通しだ。戦闘指揮システムは米国製を採用する。

日本が指名された場合、実際に共同開発に乗り出す前に再びNSCで可否を審査をする必要がある。

2030年前後に潜水艦の世代交代を計画する豪州は、独力で開発・建造する能力に乏しく、他国の協力を模索。日本から完成品を輸入する方向で検討していたが、自国産業の関与を求める国内世論が反発したため、「競争的評価手続き」という事実上の入札を行う方針に転換し、日本とドイツ、フランスに参加を要請していた。

日本は昨年4月に武器の輸出規制を緩和。NSCで許可した重要案件は、英国とのミサイル共同研究、米国へのミサイルの部品輸出に続き、今回で3件目となる。

*内容を追加します。

(久保信博)


豪潜水艦選定手続きへの参加決定、国家安全保障会議で=菅長官 2015年 05月 18日 16:50 JST ロイター

アメリカ政府、日本へ潜水艦発射型ハープーンの輸出を承認 2015/05/14 22:45 FlyTeam ニュース

アメリカ国防安全保障協力局(DSCA)は、2015年5月12日、国務省が日本へUGM-84LハープーンBlock IIミサイルと関連機器、部品、サポートなどを、対外有償軍事援助(FMS)で輸出することを承認したため、この輸出案を議会へ報告しました。

日本政府はUGM-84LハープーンBlock IIミサイル48基とコンテナ、部品、支援機器、技術資料、訓練、各種サポートなどを求めています。推定コストは1.99億ドルと見積もられています。

UGM-84Lは潜水艦発射の長射程対艦ミサイルで、これを装備することにより海上自衛隊とアメリカ軍の相互運用性が高まり、自衛能力も向上するとしています。DSCAは輸出がアメリカの国益と一致し地域の軍事バランスを変えないと評価しています。 UGM-84Lの主契約社はミズーリ州セントルイスのボーイングです。

ニュースURL:
DSCA - Japan – UGM-84L Harpoon Block II Missiles

支那人の投資移民は“千客万来”→“お断りします”

豪州政府は外国人による不動産違法購入に対する罰則を強化した。名指しこそされてはいないが、支那本土からの投資移民を対象とした規制強化であるのは明白で、同じく支那人が狙う農業(大規模農場、牧場など)や食品加工業(乳業、精肉業など)の買収案件も審査強化される。

支那本土からの爆買いの群れが香港の供給力を超えてしまったため、支那人の旅行客規制を香港政庁が行ったように、豪州の不動産需給バランスを崩してしまったため、支那人の不動産購入を規制する方針となった。

従来の方針ではアングロサクソン系の英、米、カナダ、豪州は投資移民を受け入れていた。しかし、支那人は需給バランスの破壊のみならず、米国の覇権をも破壊しようと試みているため、日米豪の同盟が結束を固め、安全保障上の面から中共の食料自給の補助となるような案件にも注意が払われることになった。

豪州では昨年10月、支那本土から富裕層の移民を歓迎するため、1年間に1500万オーストラリアドルを投資すれば、優先的に永住権が与えられる新移民制度が制定され、今年7月から始まる予定だったが、早くも軌道修正された格好となる。

アングロサクソン系の国々は支那本土からの投資移民を募る一方で、米国の“ピボット”に併せて、支那人の富を吸い上げるだけ吸い上げて、“対中封じ込め”の列に加わるタイミングを見極めていくことになる。

つとにアクロバティックな動きを要求されるのは人民元ハードカレンシー化で支那人の富の総取りを図る英国だろう。英国紳士は反転のタイミングを間違えると、将来の日英同盟構築はもとより、英米間の同盟を失い、英連邦のインド、豪州ほかを日米に根こそぎ持って行かれかねない。

豪、外国人の違法な不動産購入への罰則強化 価格高騰に対応 2015年 05月 4日 14:20 JST ロイター

[パース 2日 ロイター] - オーストラリア政府は2日、住宅価格が高騰する中、不動産を違法に購入した外国人や仲介業者に対する罰則を強化する方針を打ち出した。不動産の取得で法律に違反した海外の個人には最長3年の禁固刑か最大12万7599豪ドルの罰金、企業には最大63万7500豪ドルの罰金が科せられる。

違法と知りながら購入を手助けした業者も処罰する。

アボット首相はシドニーで記者団に「外国の違法な投資が、価格を不必要に引き上げることのないようにしたい。国民が最適な価格で住宅を購入する機会を最大化したい」と述べた。

新築の戸建てやマンションへの投資は引き続き可能だが、100万豪ドルまでの物件には5000豪ドルの手数料を支払う必要がある。より高額の物件や農業・商業用不動産に対しては手数料を引き上げる。

また、農業や食品加工部門で外国企業による買収への懸念が高まっていることから、審査を強化する。

これまで外資審査会(FIRB)は5500万豪ドル以上の農業分野への投資について審査していたが、対象を海産物や肉類、乳製品などのアグリビジネスにも拡大する。


豪政府、国境越えた課税強化策発表へ=ホッキー財務相 2015年 05月 1日 14:46 JST ロイター

[キャンベラ 1日 ロイター] - ホッキー豪財務相は、12日に公表する予算案で、国境を越えた課税強化策を発表する、と明らかにした。ロイターのインタビューで述べた。

多国籍企業の間では、法人税の高い国から低い国に利益を移すことで節税する手法が広く活用されており、各国が対策に乗り出している。

財務相はインタビューで「予算案発表に合わせ、規制強化を盛り込んだ法案の草案を公表する」と述べ「世界経済の変化に伴い、われわれのグローバルな課税システムも変わらなければならない」と強調した。

新規制の内容には触れなかった。ただ、同相は以前、デジタル企業にも物品・サービス税を支払わせる仕組みを作りたい、と述べている。

フューチャー・サブマリン・サミットの未来とは

豪州のアボット政権は、次期潜水艦プロジェクトの一環として「フューチャー・サブマリン・サミット」を開催、日独仏がパートナーとして浮上したと表明、技術移転・共同生産を前提とした入札プロセスを開始した。しかし、この会合に招待された三菱重工業と川崎重工業は参加しなかった。

「そうりゅう型」を建造する二社が参加しなかったため、選択肢はドイツのティッセンクルップ傘下のホヴァルツヴェルケ=ドイツ造船の214型の派生型、もしくはフランスのDCNS社のスコルペヌ型の派生型のいずれかになり、「そうりゅう型」の購入は断念されたと見るべきだろう。

次期潜水艦のタイムスケジュールは設計に3年、1番艦の起工から竣工就役まで7年程度、2番艦以降は4~5年。コリンズ級潜水艦の退役が10年後から順次開始で間に合う計算となる。ただし、このスケジュールに固執するとコリンズ級の失敗と同じ轍を踏みかねない。コリンズ級を建造したASC社は、1番艦のコリンズで発生した問題点を解決せず、2番艦以降をそのままつくり、6隻すべてが欠陥を抱えることとなった。

ASC社の首脳陣は、自社の技術力不足を認めており、既存艦艇のメンテナンス契約で存続を図り、他国企業から技術指導を受けてノウハウを付けるべき旨を表明していた。しかし、ASC社の立地する南オーストラリア州の労組は当のASC社の意見を無視して、ASC社が生産することを当然とした。

豪州は典型的なオランダ病に罹っており、自動車産業(GM、フォード、トヨタ自動車)は2016年から2017年までに撤退することが決まっている。そのため残った数少ない製造業である国防関連産業は喪失できない。しかし、労働集約的な造船業の、しかも技術的蓄積が戦闘機並みに必要な潜水艦に手を出そうとしている。

仮に豪州の意見を入れて「そうりゅう型」を導入するには、NS鋼を扱う熟練工の育成を図るために三菱重工業と川崎重工業で2隻以上建造、ASC社に工業用ロボットの設備投資を行って試験艦1隻を建造、問題点を洗い出して修正後に残りを建造、としなければならない。

海洋国家でもある豪州は南太平洋の支配と南極の一部領有を悲願としている。背後の安全確保のためにインドネシアの弱体化に繋がる東ティモールの独立を画策して、南極条約以前から日本が持つ南氷洋の漁業権を潰そうと捕鯨を攻撃してきた。

東ティモール独立以降の日豪安保共同宣言やシーシェパードによる調査捕鯨の妨害など、彼らの外交は一定の成果を挙げてきた。かつ“対中封じ込め”では豪州の役割は期待されており、日本-インドネシア間の防衛協力覚書によってインドネシアとの軋轢はさらに減じる。しかし、艦艇の自国開発と生産を地道に進めるならば、20~30年間近くは有力な装備を自弁できず、日米の方針に追従せざる得ない。彼らにとって短期的に不利益であることは間違いない。

豪州、次世代潜水艦入札プロセス開始 日独仏に参加求める 2015年 03月 25日 16:37 JST ロイター

[アデレード(オーストラリア) 25日 ロイター] - オーストラリアは総額500億豪ドル(388億米ドル)の次期潜水艦建造プロジェクトについて、日本、ドイツ、フランスの3カ国に入札への参加を求めた。

アンドリュース国防相は25日、当地で開催された次期潜水艦に関する会合「フューチャー・サブマリン・サミット」で、日独仏3カ国が同プロジェクトの「国際パートナー」として浮上したと表明。「競争評価」には少なくとも10カ月を要する見込みで、その後国防省が政府に優先入札者について助言すると説明した。

同プロジェクトは、オーストラリアが現在保有するコリンズ級潜水艦6隻に替えて新型潜水艦を導入する計画。

オーストラリアの業界筋によると、入札者宛てに書面が用意されており、6カ月間内にコンセプト・デザインを提出するなどの要件や、入札者が同プログラムでどのように国内業界を巻き込むかなどの詳細が記載されているという。

同プロジェクトについては、ドイツ鉄鋼大手ティッセンクルップ(TKAG.DE: 株価, 企業情報, レポート)とフランスの造船会社DCNSが関心を示している。

アボット豪首相は、最近まで、三菱重工(7011.T: 株価, ニュース, レポート)と川崎重工(7012.T: 株価, ニュース, レポート)が建造する潜水艦の導入に傾いていた。ただ、2月に入り与党・自由党内で首相のリーダーシップに対する批判が高まったことを受けてアボット氏は方針を変え、年末までに一般競争入札により近い形で発注先を選定すると表明した。

日本の2社は「フューチャー・サブマリン・サミット」に招待されていたが、出席していない。

二大政党の内紛続く豪州

アボット政権は緊縮予算をきっかけとして支持率の低迷、クイーンズランド州選挙の大敗が続いた。この情勢を受けて自由党の反主流派が両院議員総会で党首の解任動議を提出した。これは反対61票、賛成39票で否決されたものの、1年半後の総選挙の展望は開けていない。

アボット首相は党内の支持を挽回しようと次期潜水艦の入札に国営のASCが参加できる、と表明した。しかし、以前に国防相がASCを「カヌーを作る能力すらない」と酷評して反発を招いたことがあった。それが正鵠を射ているのが問題を悩ましいものにしている。失敗作だったコリンズ級潜水艦製造のために設立されたASCは入札に参加できても、潜水艦を製造できる能力に欠けているからだ。

豪与党、アボット首相の党首辞任動議を否決 首相、なお苦境の政権運営 2015.2.9 21:53 産経ニュース

豪首相の辞任動議否決 日本の潜水艦受注に影響も 2015/2/9 10:43 (2015/2/9 12:58更新) 日経

アボット首相辞任案を否決=求心力回復は不透明-豪与党 2015/02/09-09:26 時事ドットコム

次期潜水艦調達で揺らぐ豪首相の方針、日豪関係者に困惑広がる 2015年 02月 9日 17:00 JST ロイター

[シドニー 9日 ロイター] - オーストラリアの与党・自由党議員が提出した党首のアボット首相の解任案採決を前に、同首相は与党内の支持を拡大するため、調達予定の次期潜水艦の入札に国営造船企業ASCが参加できることを表明した。

だが、発言をめぐって日豪の当局者の間で困惑が広がっている。

関係筋は、オーストラリアが老朽化したコリンズ級潜水艦の代替として、三菱重工業(7011.T: 株価, ニュース, レポート)と川崎重工業(7012.T: 株価, ニュース, レポート)が建造する4000トンクラスのそうりゅう型潜水艦の導入を検討していると明らかにしていた。

アボット首相は2013年の選挙を前に、最大12隻の潜水艦をASCが建造することを約束した。その後は費用や調達の時期が重要だとして立場を変え、同政権は昨年12月、公開入札を実施しない方針を表明。日本からの輸入が有力視されるようになっていた。

ASCが本社を置く南オーストラリア州の無所属系上院議員はオーストラリア放送協会(ABC)に対し、8日の首相発言を疑問視。「潜水艦の国内建造に首相が真剣なのであれば、最終的にそうなる競争的なプロセスを表明できたはずで、そうすべきだった」と述べた。

この計画にはスウェーデンの防衛企業Saab(SAABb.ST: 株価, 企業情報, レポート)とフランスの造船会社DCNS、ドイツのティッセンクルップ・マリン・システムズも関心を寄せている。

南オーストラリア州のマーチン・ハミルトン・スミス防衛産業相は首相の約束はあいまいで、日本など国外での潜水艦建造の余地が残っていると指摘した。

日本側にも困惑は広がっている。政府筋は「アボット首相(の約束)が何を意味しているのか分からない」としている。

正式に入札が実施されれば、日本が参加する確率は極めて低い。この政府筋はロイターに対し、「入札となると、日本が参入できる環境を整えられるかどうか。頼まれたという形なら問題ないが、日本が積極的に売りに行くという形になると難しい」との見方を示している。

アボット首相は9日、潜水艦の船体や主要部品の生産をめぐって、日本との間で「秘密の取り決め」は存在しないとする一方、「競争的な評価のプロセス」には国外のパートナーが含まれる可能性があるとも述べた。


豪州では、右派の自由党(国民党・地方自由党と保守連合を形成する)と左派の労働党による二大政党制が続いている。

自由党のハワード政権(1996年~2007年)は、日豪安保共同宣言の署名、京都議定書の離脱、日米のミサイル防衛共同開発への参画表明、イラクへの部隊派遣、国旗・国歌の義務化、捕鯨問題への政治非介入など保守的な政策を採ってきた。

それに対して、労働党のラッド政権(2007年~2010年、2013年)は、日豪安保共同宣言の条約化の先送り、京都議定書の批准、イラクからの部隊撤退、共和制への移行表明、アボリジニ子弟の隔離政策“盗まれた世代”への公式謝罪、対日戦勝記念日の制定、捕鯨問題への政治介入などリベラル的な政策を採ってきた。

ラッド第1次政権は、2009年のリオ・ティント社員の産業スパイ事件で対中関係が悪化、2010年の排出権取引制度の導入、資源超過利潤税の導入のいずれも失敗、退陣した。同じく労働党のギラード政権(2010年~2013年)は、返り咲きを狙うラッド前首相(当時)との党内抗争を繰り返して国民の支持を失い、右派の保守連合に政権を明け渡すことになった。

そして保守連合の中核を担う自由党でも内紛が続いている。

背景には中共の“爆食”の恩恵を受けてきた国内経済の転換期に差し掛かっていることが挙げられるだろう。貿易黒字増大から自国通貨高が進み、製造業の国際価格競争力が低下。いわゆるオランダ病に陥った。

内需2000万人規模の国内市場では自国仕様の生産品のコストは高くなり、人件費上昇も相まって、2016年にフォード、2017年までにトヨタ、GM(ホールデン)が豪州での自動車生産を停止する方針。また日豪EPAに続いて豪中FTA締結で合意した。しかし、雇用創出力を持つ国内製造業は比較劣位にある。そのため軍需産業の維持育成は雇用政策上も重要であるが、ASCは海軍の要求を満たせないジレンマに陥っている。

そうりゅう型潜水艦の日豪共同生産

そうりゅう型潜水艦を豪州が輸入する案件は日豪共同生産の検討に入った。2014年11月30日のエントリーの続報となる。

打開策としてはまず、そうりゅう型の豪州仕様向けモデルを三菱重工業と川崎重工業が1~2隻ずつ建造、次に豪州の潜水艦建造メーカー(ASC)に資本参加して、中韓系の人材採用を注意深く排除しながら、艦の整備から技術指導を行ない、ノックダウン生産、最終的にライセンス生産に移行して、次々世代級の潜水艦についても我が国が優先交渉権を持つ。

と、筆者が予想したように、何らかの形での妥協は必要だろう。

さらにAFP電の伝える「東シナ海において紛争が発生した場合には中立を保つべき」は71%、シドニー工科大学の豪中関係研究所による世論調査というのも、背後関係があからさまに見えるだけに、なかなか微笑ましいではないか。

日豪:潜水艦を共同生産…船体、分業で 防衛省が提案 2015年01月05日 07時30分 毎日新聞

 防衛省が、新型潜水艦の導入を目指すオーストラリアに、潜水艦の船体の共同生産を提案していることが分かった。日本側は、潜水艦に使用する特殊な鋼材や音波を吸収する素材技術を両国で共同開発し、船体の主な組み上げを請け負う方式での生産体制を想定している。豪側も前向きな姿勢を示しており、合意すれば初の他国との潜水艦生産となる。2015年中にも正式に合意する可能性が高まっている。

 豪側は現有の潜水艦6隻の老朽化が進んでおり、30年ごろから新型潜水艦12隻を導入する予定で、協力する相手国を15年中に決める方針。海上自衛隊の最新鋭潜水艦「そうりゅう」型について、広範囲の哨戒が可能な航続距離▽航行の静音性−−を評価しており、協力を求めている。新潜水艦には米国の戦闘システムを搭載して運用する方針で、日米豪3カ国がアジア太平洋地域での海洋権益の拡大を進める中国に対抗する狙いもある。

 ただ、日豪の共同生産には、豪州の潜水艦を建造してきた豪国内関連企業から反発の声が上がっている。このため、日本側は船体の主なパーツの生産と組み上げを担い、豪側が一部の部品の生産に加え、最終的な建造と整備を行う方式を検討している。

(後段省略)


東シナ海問題、豪は有事の際「日本の味方せず中立を」 世論調査 2015年01月06日 17:20 AFP BB

(前段省略)

 オーストラリアは日本とともに同盟国である米国と長年、軍事同盟を結んでいるため、東シナ海において紛争が発生した場合には、ほぼ間違いなく巻き込まれる可能性がある。しかし、6日に発表された豪シドニー工科大学(University of Technology, Sydney)の豪中関係研究所(Australia-China Relations Institute)による、オーストラリア国民1000人以上を対象とした調査では、紛争が発生した場合には中立を保つことが望ましいとする回答が71%を占めた。

 また尖閣諸島をめぐり、日米中の間で武力衝突が発生した場合にオーストラリアはどうすべきかとの質問では、日米同盟を支持するとした回答はわずか15%だった。オーストラリアは「中国を支持すべき」だとした回答は4%、「分からない」が9%だった。

 さらにオーストラリアの首相に対し、米国大統領から日本を一緒に支援するよう要請された場合には、オーストラリアは中立を宣言し、軍事貢献を行うべきではないとした回答が68%だった。同じ質問で、「日米同盟に参加すべき」とした回答は14%、「分からない」が17%だった。

利害調整のネゴが政治闘争のゴネに替わる

そうりゅう型潜水艦の豪州輸入が相変わらず豪州国内で政治問題化している。というより拗れている。

2014年9月15日のエントリーで、

打開策としてはまず、そうりゅう型の豪州仕様向けモデルを三菱重工業と川崎重工業が1~2隻ずつ建造、次に豪州の潜水艦建造メーカー(ASC)に資本参加して、中韓系の人材採用を注意深く排除しながら、艦の整備から技術指導を行ない、ノックダウン生産、最終的にライセンス生産に移行して、次々世代級の潜水艦についても我が国が優先交渉権を持つ。

と、筆者が予想したように、

すでにASC社は合意してて、船体は日本から、攻撃システムは米国から輸入が決まっており、船体の組み上げ用の造船ドックを新設して、技術習得をしていく目論見となっている。

たしかにアボット政権が公約で「次期潜水艦の完全国産」を掲げてしまっていたので、代替策として他の造船会社から建造枠を譲渡される手筈になっている。利害調整は終わっているのを労働組合が野党と組んで、ゴネまくっていて、ついに国防相がキレた、というところまで来た。ここからは想像だが、労働組合と野党に中国共産党が浸透していたら、さらなる展開もあるかもしれない。

防衛装備を国際共同開発 川重など多用途ヘリに名乗り 2014/11/30 2:08 日本経済新聞 電子版

武器輸出に資金援助、防衛省が新制度創設を検討へ=関係者 2014年 11月 27日 11:40 JST ロイター

豪次世代潜水艦計画めぐる国防相発言が波紋、海外発注観測強まる 2014年 11月 26日 13:13 JST ロイター

[シドニー 26日 ロイター] - オーストラリアで、次世代潜水艦計画をめぐる国防相の発言が波紋を呼んでいる。「カヌー作りを任せられない」と、政府系企業の潜水艦建造能力を疑問視するかのような発言をしたため、豪政府が海外に発注するとの観測が強まった。国防相は不用意な発言だったと謝罪した。

ロイターは9月、関係筋の話として、豪政府が、日本企業に建造を発注し、完成品を輸入する方向で日本と協議していると伝えた。

アボット首相は以前、失業率が国内平均を上回っている南部で次世代潜水艦を建造すると約束していたが、7月に国防省が発表した報告書で、膨大なコストなどを挙げて海外への発注も検討すべきと指摘した。

ジョンストン国防相は25日の議会の答弁で、政府系のオーストラリアン・サブマリン・コープ(ASC)の潜水艦の設計経験不足などを挙げ「わたしは、ASCが我が国の納税者にどのような物を作ってみせるか心配している。かれら(ASC)にカヌー作りを安心して任せられない。それが不思議と思う人もいるかもしれない。しかしこれは、国家の安全保障にかかわる専門的なプログラムだ。われわれが助言を受けるのは、職探しをしている人からでなく軍の参謀だ」と述べた。

ジョンストン国防相は26日になって、議会での発言を「言葉のあや」と釈明。「(発言は)長年の問題について述べたもので、ASC社員のことを言ったわけではない。ASC社員(の能力)は世界クラスと考えている」と述べ、次世代潜水艦計画について、まだなにも決定していないと説明した。


豪が最新鋭艦の建造を日本に打診、潜水艦の輸入検討=関係者 2014年 11月 19日 06:50 JST ロイター

オランダ病に苦しむ豪州の安全保障と自由貿易

豪州は日豪EPAに続いて豪中FTA締結で合意した。その一方ですでに事実上、豪州の自動車産業(GM、フォード、トヨタ自動車は2016年に撤退)が消滅することは決まっている。自国のシーレン防衛に絡んだ潜水艦導入についても、我が国のそうりゅう型の輸入を本命としているが、自国生産ではなく輸入に反発する動きが高まることは予想できた。しかし、実際にそうりゅう型を即座にノックダウン生産する能力にも欠けている。

以前の2014年9月15日のエントリーで述べたように、

打開策としてはまず、そうりゅう型の豪州仕様向けモデルを三菱重工業と川崎重工業が1~2隻ずつ建造、次に豪州の潜水艦建造メーカー(ASC)に資本参加して、中韓系の人材採用を注意深く排除しながら、艦の整備から技術指導を行ない、ノックダウン生産、最終的にライセンス生産に移行して、次々世代級の潜水艦についても我が国が優先交渉権を持つ。

と、いったところが受け入れられなければ、雇用を重視する政治的圧力で入札にならざるを得ない。とは云え、日米豪首脳会談を開いているように、日米豪の装備品協力も進められるだろう。するとドイツ(ティッセンクルップ・マリン・システムズ)、スウェーデン(Saab)、フランス(DCNS)の入札参加は当て馬にしかならない。

豪中銀、中国銀行間債券市場に最大16億ドルの投資が可能=新華社 2014年 11月 17日 19:41 JST ロイター

豪中が自由貿易協定締結で合意、関税撤廃・投資規制緩和へ 2014年 11月 17日 18:47 JST ロイター

豪州の次世代潜水艦建造、複数の国と交渉=アボット首相 2014年 11月 16日 16:05 JST ロイター

日米豪首脳が会談、ロシアや中国をけん制 2014年 11月 16日 14:19 JST ロイター

日本からの潜水艦輸入計画、豪政府に入札求める圧力強まる 2014年 11月 11日 18:58 JST ロイター

日本とのEPA批准承認 豪議会委員会 協定は年度内に発効見通し 2014.10.29 11:07 産経ニュース

日豪同盟は『深く静かに潜航せよ』

豪州政府は、そうりゅう型潜水艦について自国生産ではなくて完成品輸入を検討している。軍需産業の維持育成は雇用政策上も重要であるから、反発も大きい。しかも大洋に面している豪州は今後も財政の許す限り、海軍整備が不可欠となってくる。

南オーストラリア州は軍需産業で2万7000人、うち造船業で3000人雇用している。米国でも軍艦を建造するバス鉄工所(メイン州)とインガルス造船所(ミシシッピ州)は、その州の最大雇用主のひとつとなっている。

打開策としてはまず、そうりゅう型の豪州仕様向けモデルを三菱重工業と川崎重工業が1~2隻ずつ建造、次に豪州の潜水艦建造メーカー(ASC)に資本参加して、中韓系の人材採用を注意深く排除しながら、艦の整備から技術指導を行ない、ノックダウン生産、最終的にライセンス生産に移行して、次々世代級の潜水艦についても我が国が優先交渉権を持つ。

すでに豪州の軍需メーカーのうち、艦船部門はBAE(英国)、車両部門はジェネラル・ダイナミクス(米国)傘下となっている。

一方、我が国では新造艦にリチウム電池を採用して、豪州製のそうりゅう型よりも性能を高めておく、というのが常識的な線だろう。

と、2014年9月3日のエントリーに書いた通りの動きが豪州から出てきている。

豪州の野党、労働党のショーテン党首は潜水艦輸入案に反対して、豪州の潜水艦建造メーカー(ASC)のドッグヤードで気勢を上げている。いずれにせよ、下記のガーディアンの記事に、コリンズ級が「厄介なことに信頼できないことが証明されている」とキャプション付きで紹介されている以上、そうりゅう型の導入は不可欠だし、その後にはAWACS(空中早期警戒管制)航空機システムの導入が必要になってくる。

ともかく我が国が豪州の防衛政策にコミットメントするという新しい時代が来た、という事実を受け入れなければならない。我が国と豪州、どちらの政治的立場にあろうとも、最早第2次大戦云々のレトリックは通用しなくなった。朝日新聞のパージが急速に進められる理由はこうした国際関係の激変にある。朝日新聞OBが国際関係学の教鞭を執る大学からもパージされる理由も同じである。

豪政府の潜水艦輸入案、国家安全保障脅かす=野党党首 2014年 09月 9日 17:54 JST ロイター

[シドニー 9日 ロイター] - 豪野党・労働党のビル・ショーテン党首は9日、次世代潜水艦を国内で建造せずに日本から輸入する可能性があることについて、国家安全保障を脅かすだけでなく、経済にも打撃となるとの見解を示した。

オーストラリアは、老朽化しているコリンズ級潜水艦の代替としてディーゼル潜水艦を建造するため、パートナーを模索してきた。しかし、政府はこの計画を断念する可能性を示唆し、代わりに日本が建造した潜水艦の輸入を検討している。

ショーテン党首は、潜水艦の建造予定地である南オーストラリアの造船所を訪問し、潜水艦の輸入は政治、経済の両面において短絡的な考えだと批判。「潜水艦・船舶の建造は、計画倒れに終わってはならない戦略的資産だ」と語った。

関係筋によると、オーストラリアは、1)三菱重工(7011.T: 株価, ニュース, レポート)と川崎重工業(7012.T: 株価, ニュース, レポート)が設計・建造した完成品を輸入、2)日本からライセンスを取得して自国で生産、3)エンジンだけを輸入して自国で生産、4)他国の技術協力を仰ぐ──のいずれかを検討している。


Japanese submarine purchase would be historic and controversial Saturday 13 September 2014 02.25 BST The Guardian

Australia’s move towards buying up to 12 Japanese Soryu submarines represents a historic and deeply controversial shift in national defence and military acquisition policy.

If, as seems increasingly likely, political and industry leaders in Tokyo and Canberra can agree on terms, the Japanese submarines would be Australia’s first major strategic defence procurement from an Asian power and would significantly boost the country’s regional maritime power.

The purchase stands squarely at the crossroads of government foreign policy and naval defence strategy, defence budget management, naval shipbuilding and maintenance policy, defence industry investment and employment policy, national economic management, domestic electoral considerations and residual hostilities over Japanese actions during the second world war.

Moreover, the issue coincides with the preparation of the Abbott government’s first defence white paper, its first defence industry policy statement and its so-called first principles review, which is looking at the future of defence procurement by the Defence Materiel Organisation. Indications are that the submarine purchase may be announced before these are released, raising questions about their policy relevance.

A Japanese submarine purchase by Australia would further cement increasingly close defence ties between Australia and Japan, but would outrage the Chinese government, which the Australian government is reluctant to offend for fear of economic retaliation. Chinese leaders cling to and exploit memories of China’s suffering at Japanese hands and reflexively accuse Japan and its western allies of wanting to “contain” China.

Depending on where the Japanese submarines were built, assembled and maintained, the project could be the death-knell for the Australian naval shipbuilding industry, which has pinned its hopes on government support for mainly Australian design, construction and maintenance of the submarines at the government-owned ASC yard near Adelaide.

Large numbers of defence industry jobs could be at stake in marginal electorates, especially in South Australia; further jobs would not be created and naval shipbuilding skills would suffer. The electoral consequences could threaten the Abbott government’s parliamentary majority – especially since the purchase would be seen as another broken promise.

The government’s official (but fast-shifting) position is that it will announce no decision until the second half of next year when it releases the defence white paper. The defence minister, David Johnston, says the government is still talking to Swedish, German, French and Spanish submarine builders also interested in a share of Australia’s program.

The plans to replace the current fleet of six Collins-class submarines from the mid-2020s with up to 12 new submarines is often and accurately described as the nation’s costliest military acquisition, with an estimated price tag of up to $40bn.

For Australia, the Soryu has obvious attractions. It is a new and successful design, having entered service in Japan in 2009, and it promises the risk-minimisation benefits of a military off-the-shelf (MOTS) procurement. Moreover, for a government obsessed with what it calls “budget repair”, the price of some $25bn represents a massive saving.

Japan now operates five Soryus and has three under construction with two more planned. Powered by a super-quiet Swedish air-independent propulsion system, the Soryu can stay submerged for up to two weeks – longer than most other current diesel electric submarines – and has a range of 6,100 nautical miles. Anechoic coating technology reduces its radar detection profile.

The Collins class submarines, which have proved troublingly unreliable, are smaller than the Soryus, but their range is almost twice as large.

The submarine project has added more evidence that Tony Abbott leads an unsentimental free-trade government, which has shown through its car industry decisions a reluctance to subsidise Australian manufacturing jobs if suitable products can be imported more cheaply.

Johnston has demonstrated his limited faith in the ability of the Australian naval shipbuilding industry to deliver projects competitively on time and on budget. He has previously announced that two 20,000-tonne navy supply ships will be built in either Spain or Korea, and he has placed the troubled Australian assembly of three air warfare destroyers onto the “projects of concern” list following a critical report by the auditor general on costs and delays.

It’s also clear that the government regards the estimated $36-40bn price tag for 12 Australian-built submarines as prohibitive, when foreign prices are significantly lower. It accepts the huge long-term financial commitment could starve other important defence programs of funds.

And Abbott and Johnston appear genuinely enthusiastic admirers of the Japanese submarine (more so than some defence and foreign affairs officials and former submariners). Johnston recently became the first foreign politician to go on board and inspect a Soryu. He declared it “very impressive”.

Later, at an Australian Strategic Policy Institute conference he described the Soryu as “the design that comes nearest to what our requirements are”.

“There’s no other diesel-electric sub of that size and dimension … we must be talking to them, and we are,” he said.

For their part, the Japanese have taken two critical decisions that clear the way to possible cooperation with Australia on the project. In April, the Japanese government discarded a 50-year ban on the export of weapons and military hardware and “reinterpreted” its postwar peace constitution to allow its military greater scope to help defend allies. These decisions were not directly related to the Australian submarine project, but they were necessary preliminaries to cooperation if a deal is to be reached.

Since then there have been high-level meetings of extraordinary diplomatic intensity. Abbott visited Japan in April, followed by Johnston and the foreign affairs minister, Julie Bishop, in June, with the Japanese prime minister, Shinzo Abe, reciprocating the following month.

Abe’s visit to Canberra was especially significant. Free trade and defence cooperation agreements were finally signed, and apparently centred partly around plans to jointly develop stealth technology at the heart of the submarine program.

Moreover, both Abe and Abbott sought to finally walk out of the shadow of the second world war: Abe addressed the federal parliament in English and apologised for atrocities committed by Japanese troops 70 years ago; Abbott praised Japanese soldiers in terms that were widely deemed too generous by older Australians. There is still resistance in Australia to intimate defence relations with Japan, reinforced by China’s hostility to Japan.

Much, of course, remains unknown and undecided. There will doubtless be attractive proposals from European submarine makers. There will have to be detailed agreements on the structure and role of any commercial entity created to build the submarines. What will be built where? And by whom? How will costs, risks and responsibilities be apportioned and shared? What arrangements will be made for sensitive technology transfer and for complex systems integration? What will be the reactions of powerful players and competitors such as China and the US?

But preparations are now clearly moving ahead for an Australia-Japan submarine alliance that enjoys high-level political and economic support in both countries. Some industry players say Japan is deeply interested in accessing military technologies in which Australia has a regional edge – notably Awacs (airborne early warning and control) aircraft systems.

The key question for the Australian government is whether it will allow the naval shipbuilding industry to go the way of the car industry and, before it, the white goods industry. As one industry player says: “Residency is no commercial advantage in a globalised market economy.”

オランダ病から立ち直れない豪州

豪州は、鉄鉱石などの輸出が新興国、特に中共の“爆食”の恩恵を受ける形で、貿易黒字増大から自国通貨高が進み、製造業の国際価格競争力が低下。いわゆるオランダ病に陥った。

内需2000万人規模の国内市場では自国仕様の生産品のコストは高くなり、人件費上昇も相まって、2016年にフォード、2017年までにトヨタ、GM(ホールデン)が豪州での自動車生産を停止する方針。

一度、製造業の基盤が失われると、取り戻すのは一からやり直すのに等しい。軍需産業は特にその傾向が強い。

豪州政府は、そうりゅう型潜水艦について自国生産ではなくて完成品輸入を検討している。軍需産業の維持育成は雇用政策上も重要であるから、反発も大きい。しかも大洋に面している豪州は今後も財政の許す限り、海軍整備が不可欠となってくる。

下記記事によれば、南オーストラリア州は軍需産業で2万7000人、うち造船業で3000人雇用している。米国でも軍艦を建造するバス鉄工所(メイン州)とインガルス造船所(ミシシッピ州)は、その州の最大雇用主のひとつとなっている。

打開策としてはまず、そうりゅう型の豪州仕様向けモデルを三菱重工業と川崎重工業が1~2隻ずつ建造、次に豪州の潜水艦建造メーカー(ASC)に資本参加して、中韓系の人材採用を注意深く排除しながら、艦の整備から技術指導を行ない、ノックダウン生産、最終的にライセンス生産に移行して、次々世代級の潜水艦についても我が国が優先交渉権を持つ。

すでに豪州の軍需メーカーのうち、艦船部門はBAE(英国)、車両部門はジェネラル・ダイナミクス(米国)傘下となっている。

一方、我が国では新造艦にリチウム電池を採用して、豪州製のそうりゅう型よりも性能を高めておく、というのが常識的な線だろう。

豪の次世代潜水艦を日本で建造、両国が協議=関係者 2014年 09月 1日 18:17 JST ロイター

(前略)

<開発リスクを敬遠>

オーストラリアは2030年代初めに潜水艦の世代交代を計画。しかし、独力で設計・建造する能力に乏しく、1)完成品を輸入、2)他国からライセンスを取得して自国で生産、3)エンジンだけを輸入して自国で生産、4)他国の技術協力を仰ぐ──のいずれかを検討している。

複数の日豪関係者によると、最有力案として議論しているのが完成品の輸入。オーストラリア政府の依頼を受けた米ランド研究所は昨年、国内での建造には設計者と技術者1000人が必要との試算を報告した。実際に動員できる5倍以上の規模だった。

(中略)

<トヨタ撤退以上のインパクト>

問題は、海外で建造する案に対し、オーストラリア国内で反発が強いことだ。潜水艦の整備施設がある南オーストラリア州のマーチン・ハミルトン・スミス防衛産業相は、フォード・モーター (F.N: 株価, 企業情報, レポート)やトヨタ自動車 (7203.T: 株価, ニュース, レポート)、ゼネラル・モーターズ (GM.N: 株価, 企業情報, レポート)が生産から撤退した以上に政治的な議論を呼ぶと警告。経済的な影響も大きいと指摘する。

同相によると、南オーストラリア州で防衛産業に携わるのは2万7000人。うち3000人が造船業に関っている。次世代潜水艦の建造は、30年間で2500億豪ドルの経済効果が期待できるという。「海軍と連邦政府が決めることとは承知している。しかし、日本、ドイツ、スウェーデン、どこの国と組もうが、ここで造ることは譲れない」と、同相は言う。

一方、日豪の関係者によると、オーストラリア政府は整備を国内で手がけることを考えているという。

(後略)

防衛省がより隠密性高い潜水艦建造へ、リチウム電池を搭載 2014年 08月 29日 11:46 JST ロイター

[東京 29日 ロイター] - 防衛省は、2015年度から隠密性のより高い潜水艦の建造に着手する。鉛蓄電池に代えてリチウムイオン電池を搭載し、長期間の潜航を可能にする。浮上回数が減ることで、これまでよりも敵に発見されにくくなる。

日本は中国の海洋進出をにらんで潜水艦を16隻から22隻体制に増強中。14年度に続いて15年度も1隻建造する計画で、概算要求に644億円の費用を盛り込んだ。14年度予算に計上した建造費517億円から100億円以上高くなる。

費用を膨らませる主要因は、新たに搭載するリチウムイオン電池。従来の潜水艦は、浮上中にディーゼルエンジンで航行して鉛蓄電池に充電、潜航中は蓄えた電気を動力源にしている。さらに潜航期間を伸ばすため、空気を必要としない推進機関「AIP」を積んでいる。

鉛蓄電池とAIPを設置している空間に大型のリチウムイオン電池を積むことで、これまで最大2週間程度だった潜航期間が「格段に伸びる」(防衛省関係者)という。建造費や維持管理費を含めた、15年間使用した場合のライフサイクルコストは、現行の1000億円よりも安くなる見込みだという。

日本のディーゼル潜水艦は静穏性や潜航能力に優れているとされ、オーストラリアが導入に関心を示している。


現状、防衛移転三原則を導入以来、決まった案件は米国へのパトリオット2のシーカージャイロ輸出と英国とのシーカー共同研究の2つ。今後、そうりゅう型潜水艦の豪州輸出、US-2のインド輸出(さらに巡視船10隻のベトナム輸出も類似例となる)が成約すれば、これら防衛装備品の輸出はインフラ輸出とともに第2次安倍政権のトップセールスの成果となるだろう。

【自衛隊の部隊編成の変更、新規装備品一覧】
潜水艦(そうりゅう型とおやしお型)16隻から22隻体制へ
イージス艦(こんごう型とあたご型)6隻から8隻体制へ
装輪装甲車(機動戦闘車)99両を2016年度配備
水陸機動団(米国の海兵隊にあたる)を創設
強襲揚陸艦を2019年度配備
水陸両用車(AAV7想定)52両を配備
ティルトローター機(V-22オスプレイ)17機を2015年度配備
無人偵察機(RQ-4グローバルホーク想定)3機を配備
第五世代戦闘機F-35を42機(うち38機国内生産)2017年度配備
先進実証試験機(ATD-X)の2015年度初飛行
F-2後継の第六世代戦闘機の開発準備中

欧州軍需大手MBDAと三菱電、F35向けミサイル共同開発へ 2014年 07月 3日 19:36 JST ロイター

日本の武器輸出が本格化、英とミサイル研究・米にセンサー 2014年 07月 17日 22:29 JST ロイター

(前略)

<三菱電機が参画>

英国と共同研究するのは、F35への搭載を念頭に置いた空対空の中距離ミサイル。英国の持つミサイル技術と、目標を検知・追尾する日本のセンサー技術を組み合わせた際の性能などを分析する。

関係者によると、英国からは防衛大手のMBDA、日本からは三菱電機(6503.T: 株価, ニュース, レポート)が参画する。MBDAは英独などNATO(北大西洋条約機構)4カ国が共同開発した戦闘機ユーロファイターの空対空ミサイル「ミーティア」を手掛けており、英政府は同ミサイルの改良版がF35に搭載可能と考えている。三菱電機は自衛隊にミサイルを納入しており、センサー技術に強みを持つ。

F35は9カ国が開発に携わり、米国だけで約2400機、日本を含めた全世界で3000機以上の配備が見込まれる。敵に捕捉されにくいステルス性能を発揮するため、ミサイルは胴体内に格納する。

<米国からイスラエルにも>

一方、米国には迎撃ミサイル「パトリオット2(PAC2)」に使うセンサーを輸出する。米国は同ミサイルを主にカタールへ輸出する計画だが、旧型であるため、米国内で一部部品を調達できない状態だった。日本では三菱重工業(7011.T: 株価, ニュース, レポート)が米レイセオン(RTN.N: 株価, 企業情報, レポート)からライセンスを取得し、自衛隊向けに生産している。(後段省略)


首相のトップセールス効果、インフラ輸出受注額3倍に 対中包囲網外交、経済分野にも波及 2014.9.2 11:41 MSN産経

 安倍晋三首相とインドのモディ首相との首脳会談では、新幹線技術の導入やレアアース(希土類)輸入など経済・投資分野が重要議題となったが、安倍首相や閣僚による“トップセールス”が牽引(けんいん)役となり、日本企業の海外インフラ受注額が急増している。

 日本企業による平成25年の海外でのインフラ受注額は、前年比約3倍の約9兆2600億円。この統計を基に外務省経済局がトップセールスの効果を分析したところ、首相が関わった案件が25件、閣僚が42件と分かった。

 具体的な案件をみてみると、首脳会談で話題になったことが受注に直結した例としては、モンゴルの新ウランバートル国際空港建設事業(約500億円)▽トルコのシノップ原子力発電所の建設計画(約2兆円)▽インドのデリー・ムンバイ間の貨物専用鉄道敷設工事(約1100億円)などがある。空港や原子力発電、鉄道建設など大規模なインフラ整備事業が目立っている。

 今年に入ってからも、首相が昨年訪問したマレーシアで、世界最大級の最新石炭火力発電所事業で日本企業が優先入札権を2月に獲得して成約、6月には受注が決まった。

 また、閣僚が関わった主な案件としては「バンコク市内の都市鉄道プロジェクト(約400億円)」がある。太田昭宏国土交通相が昨年9月にタイを訪問した際、受注を後押しした。

 外務省の分析によると、東南アジアやインドなど中国と隣接する地域やトルコなど親日的な国で新規受注を増やしているのも特徴の一つ。成長戦略にとどまらず、首相が進める「対中包囲網」外交が経済分野にも波及しているといえる。

 首相は今夏、中南米5カ国歴訪でも日本企業の経営陣を同行させて新規事業の受注の開拓を支援。最後の訪問国ブラジルでは「トップセールスで具体的なプロジェクトが進展し、手応えを感じている」と強調した。

 大規模インフラ整備は受注額が大きいだけでなく、長期間にわたって利用されるため、相手国との外交関係の“象徴”にもなる。政府は民間企業との連携を深め、インフラ輸出のさらなる強化を図りたい考えだ。


参考URL:
2件の防衛装備の海外移転を認め得ることとしました 平成26年7月17日(木) 経済産業省

日豪同盟の深化

安倍首相は、ニュージーランド~オーストラリア~パプアニューギニアを歴訪している。“対中封じ込め”のための安全保障強化とエネルギー供給確保が主な目的となっている。

日本-ニュージーランド間では、物品役務相互提供協定(ACSA)の検討に入る。日豪間では、経済連携協定(EPA)の署名がなされ、防衛装備品共同開発協定が調印された。日本-パプアニューギニア間では、政府開発援助(ODA)の供与と液化天然ガス(LNG)の安定供給が声明に盛り込まれた。

日豪の懸念材料のひとつである調査捕鯨は、中共の台頭でひとまず脇に置かれている。捕鯨は我が国の有する利権であり、豪州が求める勢力範囲の南限(南極大陸の領有権を主張する)と相反している。ちなみに北限については東ティモールとパプアニューギニアまでと考えて良い。

一方、習近平国家主席は米国へ赴き、米中戦略・経済対話を行なっている。国防総省、財務省、国務省などでバラバラな対中姿勢を利用して、圧力を鈍らせる狙いがある。

安倍首相、豪州と「準同盟」確認へ 6日からオセアニア歴訪 2014.7.6 00:00 MSN産経

 安倍晋三首相は6日から12日の7日間、ニュージーランド、オーストラリア、パプアニューギニアの3カ国を訪問する。豪州では経済連携協定(EPA)に加え、日本の潜水艦技術など防衛装備品の共同開発に関する協定に調印する。集団的自衛権の行使の限定容認を決めた日本の閣議決定に対して、豪州側から歓迎の意が示される見通しだ。太平洋への強引な進出をはかる中国への牽制(けんせい)を念頭に、米国に次ぐ“準同盟国”とみなし、安全保障面での連携を強化する方針だ。

 日本の首相の訪豪は平成19年の第1次安倍政権以来7年ぶり。安倍首相は8日午後、アボット首相との首脳会談や同国の国家安全保障会議(NSC)に出席する。

 首脳会談では、共同訓練などで自衛隊と豪州軍が相手国での活動を容易にするため、新たな協定締結に向けた検討を開始することでも合意する見込み。米国を加えた日米豪3カ国が同盟・準同盟関係で結ばれることで、中国への大きな抑止力となりそうだ。

 8日午前には日本の首相として初めて豪州連邦議会で演説。9日にはアボット首相とともに豪政府専用機で同国西部のウエスト・アンジェラス鉱山の鉄鉱石採掘現場も視察し、蜜月関係をアピールする。

 豪州訪問に先立つ7日には、ニュージーランドのキー首相と会談し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の早期妥結に向けた連携強化を確認。10日には、日本の首相として中曽根康弘氏以来29年ぶりにパプアニューギニアを訪れる。オニール首相との首脳会談で液化天然ガス(LNG)開発で協力を要請する。ニューギニアは先の大戦の激戦地であることから、11日に北部のウエワクを訪れ、戦没者を慰霊する。


LNG安定供給へ協力確認 2014年 07月 10日 20:36 JST ロイター

【ポートモレスビー共同】安倍晋三首相は10日午後、訪問先のパプアニューギニアでオニール首相と会談し、日本への液化天然ガス(LNG)の安定供給に向けた協力を確認した。安倍首相はパプアニューギニアのインフラ開発を支援するため、今後3年間で200億円規模の政府開発援助(ODA)を供与すると表明した。会談後、こうした内容を盛り込んだ共同声明を発表した。

 第2次世界大戦での日本人戦没者の遺骨収容に関するパプアニューギニアの支援に安倍首相が謝意を伝達。オニール首相は引き続き協力する意向を示した。

【共同通信】


習主席「対立は惨事につながる」、米中戦略・経済対話始まる 2014年 07月 9日 16:09 JST ロイター

中国、条件が許せば為替介入減らすと確約=ルー米財務長官 2014年 07月 10日 17:39 JST ロイター

穀物のサプライチェーンを構築する総合商社

2012年6月3日のエントリーで取り上げた丸紅の穀物商社ガビロン買収、また2012年9月25日のエントリーで取り上げた伊藤忠商事のドールの部門(アジア圏内での加工食品事業と青果物事業及び商標権)買収は、買収額と相まって大きなトピックだった。

ただし、このふたつの事例に限らず、我が国の総合商社の穀物戦略としては、川上である生産地の米国・豪州・南米(ブラジル、アルゼンチン)から、川下である消費地の日本、中共、東南アジア諸国へのサプライチェーンを構築して、その流れに付加価値(バリューチェーン)を追求する動きは変わらない。

例えば、2013年6月、三菱商事は、ブラジルの穀物商社セアグロ(Los Grobo Ceagro do Brasil S.A)を在ブラジル子会社(Agrex do Brasil)を通じて、Los Grobo Agro Do Brasil(南米の穀物商社ロス・グロボグループとVinci Partnersの合弁)から株式を60%追加取得して子会社化している。

住友商事のエメラルド・グレイン社(豪州・メルボルン)の完全子会社化も、ほかの総合商社同様の穀物戦略に沿ったものである。

つまり、国内の穀物総輸入量を超える程の全体の取引量を増やしておけば、我が国の穀物確保はそれだけ容易になり、それが国益にもつながる。例えば、国内石油会社が日本政府と共同で石油・LNG備蓄基地を構築しているように、備蓄サイロを政府及び関連機関と共同構築しても構わないのだ。

住商、豪の穀物会社を完全子会社化 2014/2/6 20:00 日経

 住友商事は6日、50%を出資するオーストラリアの穀物集荷・販売会社エメラルド・グレイン(メルボルン)を完全子会社化したと発表した。同社の創業者から株式を取得した。取得額は数十億円とみられる。住商主導で収益体質を強化し需要が膨らむアジア向けの輸出拡大を狙う。

 エメラルドは全豪各地に集荷網を持ち、ビクトリア州などに14カ所の穀物保管サイロを持つ。集荷・販売量は年約450万トンで豪州全体の出荷量の約1割を占める。メルボルンから主に東南アジアに輸出しており、年間輸出能力は約200万トン。

共産中国も大日本帝国の後継国家のひとつ

2013年8月16日のエントリーほかで、何回も触れているが、

テニアン島の米軍基地を自衛隊が共同使用するとの合意、そしてフィリピン軍の基地を海兵隊及び自衛隊が共同使用検討とのニュースが立て続けに出てきた。以前はオーストラリアのダーウィンに海兵隊駐屯、とのニュースもあった。もちろん、対中封じ込めの一環である。

共産中国もまた大日本帝国の後継国家のひとつ、と考えると地政学における軍事的条件、戦略的な限界はそう変わらない。第2次大戦のバシー海峡と絶対国防圏、それにダーウィン空襲を併せるとそれが良く理解できる。

米海兵隊のダーウィン駐屯は正式合意された。岩国~沖縄(普天間)~パラワン島~ダーウィン間をMV-22オスプレイが、その行動半径を活かして展開できるようになるだろう。

と、書いたが、実際にフィリピンの台風30号による災害支援(米軍では「ダマヤン作戦」と呼称される)では、MV-22オスプレイは普天間から展開支援している。

さて、共産中国が大日本帝国の後継国家の一つである以上、東西太平洋の分割という一見突拍子もない米国への提案もあながち奇天烈なことではない。気宇壮大な構想に現実が追いついていないのが現状ではある。

そして、第2次安倍政権は9月開催予定の太平洋諸島フォーラム(PIF)首脳会議への出席を検討する。南太平洋島嶼諸国への歴訪も行われる。すでに中共に機先を制されているこの地域においても、対ASEAN外交で魅せた手腕を期待できるだろう。

首相 南太平洋の島国歴訪へ 中国の海洋進出牽制 慰霊…遺骨収集を強化 2013.12.31 08:37 MSN産経

 安倍晋三首相は30日、平成26年から2年間を目標に第二次大戦末期の激戦地となった南太平洋の島国を歴訪する方針を固めた。現職首相が訪問するのは29年ぶりとなる。日本人戦没者を慰霊し、遺骨収集活動を強化したいとする首相の強い意向によるものだ。来年9月にパラオで開催予定の太平洋諸島フォーラム(PIF)首脳会議への出席も検討している。

 海外における日本の戦没者は、約240万人とされる。このうち、50万人近くがパプアニューギニアやグアム(米領)、ソロモン諸島など南太平洋地域に集中している。いずれも旧日本軍と米軍の激戦地で、現地には日本人戦没者の慰霊碑も多い。

 平成17年には天皇、皇后両陛下が「慰霊の旅」としてサイパン島(米領)を訪問された。一方、外務省によると、現職首相で太平洋の島国を訪れたのは、戦没者慰霊を目的に昭和60年にフィジーとパプアニューギニアを訪問した中曽根康弘氏が最後となっている。

 安倍首相は26日、首相就任後初めて靖国神社に参拝し、戦没者に尊崇の念を表した。来年からは、戦没者が眠る南太平洋の諸島に複数回に分けて訪問する。

 各国訪問の際には、政府開発援助(ODA)供与を表明するなど経済支援も積極的に行う方針だ。PIF首脳会議へは、日本はこれまで「域外国対話」に副大臣級を派遣していた。首相は来年の会議に自らが出席することで、日本の影響力を強めたいところだ。

 南太平洋地域では、中国が「中国・太平洋島嶼(とうしょ)国経済開発協力フォーラム」を主催し、各国への経済支援を強化しているほか、中国海軍の太平洋への進出の動きとも連動している。

 首相の同地域訪問には、中国の進出を牽制(けんせい)する狙いもみられる。
                   
【用語解説】太平洋諸島フォーラム(PIF)

 オーストラリア、ニュージーランド、パラオなど南太平洋の16カ国・地域が加盟する地域協力の枠組み。政治、経済、安全保障など幅広い分野で連携している。1971年に南太平洋フォーラムとして発足、2000年10月に改称された。フィジーに事務局がある。


安倍首相の宿泊予算が「枯渇」 積極外交の影響 2013.12.23 14:41 MSN産経

 安倍晋三首相の外遊にかかる平成25年度の宿泊予算がすでに底をついていることが22日、分かった。首相が掲げる「地球儀外交」の影響により海外出張が例年をはるかに上回っているためだ。来年1月には中東やアフリカ、インドなどへの訪問を控えており、政府は他の予算を切り崩して捻出する必要に迫られている。

 首相の海外での宿泊費は内閣官房の「内閣総理大臣外国訪問等経費」から支出され、25年度は3450万円。政府関係者によると、年度の4分の1の期間を残して宿泊予算が枯渇した例は近年では珍しいという。

 昨年12月に再登板した安倍首相は今年に入り、東南アジア諸国連合(ASEAN)の全10カ国をはじめ、延べ29カ国を訪問した。在任が1年3カ月だった野田佳彦前首相と菅直人元首相のそれぞれ延べ16カ国と8カ国、9カ月だった鳩山由紀夫元首相の同11カ国と比べても、安倍首相は突出している。

 政府は26年度の宿泊予算について約600万円増の4070万円を充てる方針だが、首相は周囲に「今後もドンドン海外に行く」と話しており、26年度も途中で予算が枯渇する可能性がありそうだ。

 防衛省が管轄する政府専用機の関連予算も窮迫している。天皇陛下や皇族方がご利用になられる分も含めた政府専用機の燃料費は、24年度が約16億円だったが、「25年度はそれを大きく上回ることは確実だ」(防衛省関係者)という。

国民が迷走を修正した豪州の下院総選挙

親中・リベラルに偏りすぎた労働党のラッド政権(2007年~2010年)の路線を修正したはずの労働党のギラード政権(2010年~2013年6月)が、党内抗争で敗れ、何故か労働党の第2次ラッド政権(2013年6月~現在)が誕生した。下院(代議院)総選挙に臨んで大敗するべくして大敗した。

そして保守連合(自由党・国民党)のアボット次期政権が誕生する運びとなり、めでたく親米親日・保守的な自由党のハワード政権(1996~2007年)の路線に戻ることになる。

結局は、国民が親中・リベラル路線にとどめを刺した。議会制民主主義の美点であろう。

豪下院選は野党保守連合が勝利、6年ぶり政権交代 2013年 09月 8日 08:16 JST ロイター

[シドニー/キャンベラ 7日 ロイター] - オーストラリアで7日投開票された下院選挙は、自由党のアボット党首率いる野党勢力、保守連合(自由党と国民党)が与党・労働党に勝利し、6年ぶりの政権交代が実現した。

新首相に就任するアボット党首は、シドニーで支持者を前に勝利宣言し、「きょうからオーストラリアは新たな管理体制へ移行することを宣言する。再び企業に開かれた国になる」と述べた。

今回の選挙では、オーストラリア経済が資源ブームの終えんを迎えつつある中、軌道修正を迫られる経済運営が最大の争点となった。

アボット党首は、歳出抑制や労働党が導入した炭素税の撤廃、難民対策などを公約に掲げ、メディア王のルパート・マードック氏もアボット党首に支持を表明していた。

一方、労働党の得票率は2004年以来で最悪となった。ラッド首相は地元のブリスベーンで敗北宣言し、党首を退任する意向を示した。

選挙管理当局者によると、これまで開票率およそ80%の時点で、保守連合の得票率は52.6%と、150議席中88議席以上を獲得する見通し。

ラッド首相は2010年、一度は首相の座をギラード前首相に奪われたが、総選挙直前の2013年6月、党首選で再び党首に選出され、首相の座に返り咲いていた。こうした党内の対立が有権者離れを招く要因となった。


豪政権交代、トリプルAの格付けにすぐには影響せず=S&P 2013年 09月 9日 11:21 JST ロイター

[シドニー 9日 ロイター] - 格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は9日、週末に行われた豪総選挙での政権交代実現が、オーストラリアのトリプルAの格付けにすぐには影響しないとの見方を示した。格付け見通しは「安定的」となっている。


S&Pは、オーストラリアの格付けは財政・金融面でのかなりの柔軟性、経済上の耐性、公共政策の安定性を反映していると指摘。

S&Pはリポートの中で、「格付け見通しを安定的としているのは、これまでの財政政策が維持されることで財政赤字が減少し、一般政府債務が低水準であり続けるとの見方が裏付けになっている」とコメントしている。

ドール買収にハワイ併合を重ねて

伊藤忠商事が米国の食品大手のドールから同社の加工食品事業部門と青果物事業(アジア圏内)、両事業でのブランド使用権を買収することで同社と合意した。買収総額は16.85億ドル(約1,330億円)で、記事中ではEBITDA倍率で見ると8.9倍とあるので、約9年のキャッシュフローで元が取れる計算だ。

閑話休題。ドールと聞くと、ハワイ王国を滅ぼして米国に併合させた立役者サンフォード・ドールを思い起こす。荒俣宏原作の『地球暗黒記<1>ナナ・ヌウ』を読んでから、その背景を学んで知った。

ドールに限らず、チキータ(旧ユナイテッド・フルーツ社)がパイナップルやバナナをそのまま利権として本国を動かして、中米各国の軍事介入や政権転覆などを繰り返してきた。青臭い果実を巡って“バナナ戦争”などという政治的果実を争うきな臭いネーミングまである。子供の頃、バナナ・リパブリック(現在はGAP傘下)というファッションブランドがあちらのコロニアル風ファッションとして紹介されていた。上記の文脈から批判の対象になるのだろうが、当時はそんなことを知る由もなかった訳だ。

ちなみに『地球暗黒記<1>ナナ・ヌウ』を読んで、初めてカイウラニ王女と山階宮定麿王(のちの東伏見宮依仁親王)の間の婚約打診のエピソードを知ったのだが、この婚儀がまとまっていれば歴史は大きく変わったのだろうなあ、と想像の翼を羽ばたかせる。物語もこの幻の婚儀をひとつの軸として進む。当時、小説版も漫画版も読んだが、なかなか続編が出なかったので、最後はどうなったか知らない。結末を知らないことが永遠に想像の翼を羽ばたかせ続けることにもなるので、それも良しとしたい。

伊藤忠:米ドール2事業買収で合意、1330億円-過去最大級 2012/09/18 12:27 JST ブルームバーグ

9月18日(ブルームバーグ):伊藤忠商事は18日、米食品大手ドール・フード・カンパニーのアジアでのバナナなどの青果物の生産・販売事業と、世界展開するパイナップルなどの缶詰や果汁飲料などの加工食品事業を16億8500万ドル(約1330億円)で買収することで合意したと発表した。伊藤忠にとっては過去最大規模の投資となる。

ドールの発表によると、伊藤忠が買収する事業の2011年の売上高は25億ドル、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は1億9000万ドル。伊藤忠が買収する事業でドールのブランドを使用する権利も含まれている。

ドールが11月に予定している臨時株主総会での承認を経て、買収は正式に完了する見通し。伊藤忠は事業買収のための100%出資新会社を11月に設立する。伊藤忠はドールの臨時株主総会後に取得条件など今回の買収の詳細について公表する予定。

ドールは事業売却によって得た資金を負債圧縮などに充てる。事業見直しを進めており、7月にこれら事業の売却可能性についての方針を打ち出していた。

伊藤忠にとって今回の投資額は6月末の連結株主資本の約10%に相当する。1998年のコンビニエンスストア、ファミリーマートへの出資(約1350億円)と並ぶ過去最大規模の投資となる。

今回の買収額は、買収価格の指標となるEBITDA倍率で見ると8.9倍。CLSAアジア・パシフィック・マーケッツのペン・バウアーズ・アナリストは投資会社KKRによる米デルモンテ・フーズの買収価格と比べると若干割高としながらも、ドールは大きなマーケットシェアを持っていることなどから今回の買収は魅力的だと評価した。


伊藤忠、米ドール・フードの2事業買収で交渉進展 2012/09/13 11:33 JST ブルームバーグ

ユニー:公募増資などで最大298億円調達-設備投資、短期借入金返済 2012/07/17 16:46 JST ブルームバーグ

7月17日(ブルームバーグ):ユニーは17日、公募増資を実施すると発表した。伊藤忠商事を引受先とする第三者割当増資も行い、最大298億円を調達する。サークルKサンクスへの株式公開買い付け(TOB)のために借り入れた短期借入金の返済と設備投資資金に充てる。

発表資料によると、8月上旬に3000万株の公募増資を実施して需要が強ければ追加で450万株を発行する。発行価格は7月25-31日の間に決める。伊藤忠への第三者割当増資は103万5000株を割り当てる。増資後の発行済み株式総数は最大約2億3410万株となり、現在より約18%増える。


伊藤忠:和製エクストラータ目指す、初の銅権益獲得へ 2012/06/19 13:33 JST ブルームバーグ

UPDATE1: 米デルモンテ、KKRなど投資家連合に40億ドルで身売りへ 2010年 11月 26日 09:51 JST ロイター

第二列島線を巡る攻防

日本人は往々にして忘れていていることだが、豪州人にとって忘れられないことは、豪州に攻めてきた外国は歴史上、大日本帝国だけという事実だ。彼らはニューギニア戦線で戦い、ダーウィンを空襲され、シドニー湾に特殊潜航艇の突入を許している。しかも、戦後は隣国インドネシアの独立を助ける日本人義勇兵までいた始末だ。

この歴史的トラウマに左右された豪州は、インドネシアの勢力を削ぐために東ティモールの独立を後援して、日豪安保共同宣言をしてようやく安心した。我が国は東ティモールにPKOを派遣しており、日豪の勢力範囲はそれぞれ日本の南限はインドネシアまで、豪州の北限は東ティモールとパプアニューギニアまでと画定したと考えられる。

しかし、さらに慢心した豪州は、中国に接近して反捕鯨で日本を叩いていたら、資源メジャーのリオ・ティントが買収されそうになって、議会の圧力で破談にしたら中国駐在のリオ・ティント社員がスパイ容疑で逮捕された。これが豪州の外交的転回点となった。そのため、労働党のギラード政権(2010~現在)は、親中・リベラルに偏りすぎた労働党のラッド政権(2007~2010年)よりも親米親日・保守的な自由党のハワード政権(1996~2007年)に近づいた。

ダーウィンにおける米国海兵隊駐屯の決定は、中国の自業自得の面もあるのだが、それだけに中国共産党の怒りも大きい。さらに明らかになった事実として、遡ること2007年、中国は東ティモールに対して、拒絶されたもののレーダー施設の建設を申し入れている。

なぜならASAEN諸国を手に入れても、帝国陸海軍のように兵站の届かないダーウィン空襲(現在ならばミサイルの射程圏か否かが重要)を繰り返さなければならないからだ。つまり、中国共産党も大日本帝国と同じ戦略的限界に到達する。となると、今のところ、中国はインドネシアとフィリピンのイスラム原理主義過激派を後援する他ないだろう。

[FT]米中対立のはざまで翻弄される豪州 2011/11/18 21:19 日経

(2011年11月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 日本軍は1942年、真珠湾攻撃よりも大量の爆弾でオーストラリア・ダーウィンを空襲した。それを機に、豪州は米国の確固たる同盟国となった。今月17日、豪北部のこの都市を訪れたオバマ米大統領は、新時代に即した同盟の形として米海兵隊の豪州への駐留計画を発表した。

 ダーウィンなどに駐留する米海兵隊員の数はつつましいが、その戦略的意味は大きい。米豪の安保強化策は、アジアの将来を巡って米中の地政学的な対立が激化する過程で起こった極めて重大な出来事といえる。

 豪州は過去30年、いわば中国の台頭への早期警戒システムのような役割を果たしてきた。豪州は中国が持ちつつある世界への影響力を理解する絶好の出発点となる。

 豪州は、中国の潜在的な経済力に気がついた最初の国の1つだ。当時のホーク豪首相は85年、中国の胡耀邦共産党総書記を豊富な鉄鉱石が眠る西部のピルバラに案内した。それこそが現在の商品ブームの先駆けだった。以来、中国に輸出される鉄鉱石の量は毎年増え続け、それが中国の大規模な都市化を支えてきた。

 豪州の研究機関は英語圏で最良の中国ウオッチャーを多数擁し、ラッド外相に至っては中国語を話す西側世界で最初の首相にまで上り詰めた。

 豪州は他国に先駆け、中国の国有企業の影響力に翻弄されることも体験した。2009年には、英豪資源大手リオ・ティントの豪州国籍の中国系社員が、国家機密を盗んだ容疑で中国に逮捕された(その後産業スパイ容疑に切り替え)。社員は収賄容疑を認めて10年の実刑を宣告されたが、起訴には鉄鉱石価格を巡るリオと中国の対立が絡んでいたとの疑いが残った。

 中国が経済に占める重要性から、豪州は第2次大戦のさなかに形成された対米同盟から徐々に距離を置くとの予想もあった。豪州のレイビー元駐中国大使は冗談めかして「どの国も今の豪州ほど中国と緊密にはなれないが、豪州はもっと緊密になれる」と語ったものだ。

 しかし豪州が現在、米国との同盟関係を格段に強化している事実は、この数年、中国が無神経な外交行動でアジア・太平洋地域の国々をいかにいら立たせてきたかを雄弁に物語る。

 オバマ大統領の豪州滞在中、クリントン国務長官はフィリピンを訪問していた。中国の振る舞いを懸念を持って見つめる比は米国との安全保障の条約締結60周年を祝い、クリントン長官は新たな軍艦の供与を約束した。

 豪州を含むアジア・太平洋諸国は、経済的な活況に沸く中国との貿易は継続しつつ、他方で引き続き米国が提供する安全保障の傘の恩恵にも浴したいと算段する。

 各国はこれまで以上に対中国で団結を掲げ、米国が改めてこの地域への関与を強めれば、中国の破壊的衝動が抑制される一方で、アジアの経済繁栄は続くだろうと望む。

 しかし、それには米中対立がこれ以上悪化しないことが前提だ。将来、もっと痛みを伴う選択が豪州を待ち構えているかもしれない。

 米中の艦船が南シナ海で小競り合いし、紛争に発展すれば、米海兵隊が駐留する豪州は、安全保障の同盟国である米国と、主要な貿易相手国である中国との紛争に巻き込まれかねない。

 同じことをすでに中国側も指摘している。人民日報系の環球時報は16日、「豪州は中国を侮ってはならない」と題する論文を掲載した。「米国が中国の国益を傷つけるのに豪州の軍事基地を用いれば、豪州も人ごとでは済まされない」という内容だ。豪州は再度、他国に先駆け、現代の2超大国のはざまでほんろうされる新たな地政学的な運命へ歩み出すことになるかもしれない。

By Geoff Dyer

白豪主義の変奏曲

振り上げた拳を降ろすのは中々容易なことではない。捕鯨反対がオーストラリアの利益になるのかよく分からない。むしろ見え隠れするのは白豪主義の残滓だ。

日本の調査捕鯨継続を非難 豪が非難声明 2011.10.4 22:03 MSN産経

 日本政府が4日、南極海での調査捕鯨を継続する方針を表明したのを受け、反捕鯨国のオーストラリア政府は同日、「(調査捕鯨の)中止を求める声が国際社会の中で広がっている」などと訴え、日本政府の方針を非難する声明を発表した。

 豪政府は以前から、日本の調査捕鯨は事実上の商業捕鯨に当たり、商業捕鯨の一時停止などを規定した国際捕鯨取締条約に反すると主張。今回の声明でも「あらゆる商業捕鯨の恒久的な中止を目指す」とあらためて強調した。(共同)


ビートたけしがホスト役を務める日本人(捕鯨賛成)VSオーストラリア人(捕鯨反対)の討論をYoutubeで見返してみた。番組の演出や討論者の仕込みがあることを差し引いても、オーストラリア人は自らが主張する論理的帰結が到達する危険性をまったく理解していない。

曰く賢い動物は殺してはいけない、曰く管理できない動物は殺してはいけない、曰く他に食べる動物があるから殺してはいけない、曰く欧米化したのだから食文化も欧米化すべきとのことだ。

文化様式を守る点では同じだがイヌイットは捕鯨をして良いことになっている。完全に欧米化するか、もしくは白人の脅威にならなければ捕鯨は認めて良いらしい。確かにイヌイットやアボリジニは最早、脅威にはならないからだ。

さらに恐るべきは、賢い動物を殺してはいけないのなら、賢くない動物は殺して良いことになる。管理できない動物を殺していけないのなら、管理できる動物は殺して良いことになる。何が賢さを決定するのかは措くとしよう、管理云々に既にして生殺与奪の決定権があると思っているのも措くとしよう。これを論理的に突き詰めると以下のことが正当化できる。

賢いゲルマン民族は殺してはいけないが、賢くないユダヤ人やロマは殺して良い。管理できるスラブ人はゲルマン民族の奴隷にして、管理できないユダヤ人やロマはゲットーに送るか強制収容所で抹殺して良い。然してナチズムが亡霊の如く甦る。

この論理的帰結がもたらす危険性に気付いていないとすれば、気付かせた方が良いだろう。まだしも偽装されたもしくは対象をすり替えた人種差別主義を続けるならば、白豪主義に回帰した方が良い。それもまた言論・思想の自由に他ならないからだ。別段、彼らが人種差別主義を唱えたところで我々はそれを覆すだけの実力は持っている。

参考動画:
Anti-whaling Australians In Japanese TV Show

南シナ海の向背を握る豪州

オーストラリアでは、右派の自由党(国民党・地方自由党と保守連合を形成する)と左派の労働党による二大政党制が続いている。

自由党のハワード政権(1996~2007年)は、日豪安保共同宣言の署名、京都議定書の離脱、日米のミサイル防衛共同開発への参画表明、イラクへの部隊派遣、国旗・国歌の義務化、捕鯨問題への政治非介入など保守的な政策を採ってきた。

それに対して、労働党のラッド政権(2007~2010年)は、日豪安保共同宣言の条約化の先送り、京都議定書の批准、イラクからの部隊撤退、共和制への移行表明、アボリジニ子弟の隔離政策“盗まれた世代”への公式謝罪、対日戦勝記念日の制定、捕鯨問題への政治介入などリベラル的な政策を採ってきた。前政権とまったく真逆である。

またラッド政権は、親中派と見なされていたが、2009年のリオ・ティント社員の産業スパイ事件で対中関係が悪化、2010年の排出権取引制度の導入、資源超過利潤税の導入のいずれも失敗、退陣した。

同じく労働党のギラード政権(2010~現在)は、下院(代議院)総選挙で与野党同数の議席となったものの無所属議員の抱き込みで政権を辛うじて維持した。この結果、従来キャスティングボートを握っていた緑の党(グリーンピース、シーシェパードと連携する)が影響力を失い、かつ前政権で敵に回した産業資本との関係回復のためにも、親中・リベラル的な政策を採りづらい状況となっている。その流れで、今回のIWC総会での“調査捕鯨への妨害活動阻止決議”となった。

調査捕鯨の妨害阻止を決議=シー・シェパード名指し-IWC総会 2011/07/14-19:05 時事

 【ジャージー島(英領チャネル諸島)時事】国際捕鯨委員会(IWC)の年次総会は最終日の14日、日本政府が提出した、反捕鯨団体「シー・シェパード」(SS)による調査捕鯨への妨害活動阻止に向けた決議案を全会一致で採択した。
 海上の安全確保をめぐる決議は過去の総会で採択されているが、SSを名指しする決議は今回が初めて。今年3月半ばまで予定されていた前季の日本の南極海での調査捕鯨は、SSの激しい妨害活動を受けて2月半ばに打ち切りを余儀なくされた。
 決議では関係国に対し、SSの妨害活動阻止に向けた取り組みを継続するよう求めることなどが盛り込まれている。日本政府代表団が決議案を説明した後、各国から反対意見は出なかった。(2011/07/14-19:05)


オーストラリアが、日米に付くか中国に付くかのどちらかで、インド洋から南シナ海までのシーレーン防衛はまったく変わってくる。労働党政権の姿勢変化で南シナ海におけるASEAN諸国の対中姿勢も変わってきた。ベトナム、フィリピンが強気でいられるのは向背が安全になったからでもある。

反米国家を糾合する中国共産党

オバマ政権初期にG2(アメリカと中国)体制の構築を唱える論文が、アメリカのシンクタンクCFR(外交問題評議会)の発行する雑誌フォーリン・アフェアーズに掲載されていたが、現状はむしろ逆の米中対立のコースへと向かっている。

中国共産党政権は、太平洋分割提案など実力の伴わない冗談を本気で実行しようとしているのか?

伝統的な華夷秩序の意識と、かつての帝国主義の犠牲になったと思い込んでいるかの如き復讐心の混合物は、どう見ても誇大妄想にしか見えない。

また中国共産党政権は、陸軍国が海軍国としても両立しようと努力して失敗したフランス、ドイツ、ロシア(ソ連)の事例をどう乗り越えていくつもりなのか?

西太平洋・東シナ海・南シナ海での海軍力展開は牽制として、現実的にはパキスタン、ミャンマー、スリランカ、バングラデシュ及びインド洋島嶼国に軍港を保持して、地続きのパキスタン、ミャンマーにパイプラインを引き、かつての援蒋ルートを再現することになるだろう。

皮肉なことに中国共産党政権が、アメリカの求める世界秩序の安定に責任を持とうとしないことで、反米国家・軍事独裁政権を糾合していく核になりつつある。

もしもこれが米ソの冷戦と同じ状況になったとして、中共はかつてのソ連と同様に自らの足を引っ張る同盟国しか持ち得ない以上、封じ込め戦略を採られた場合、長期的に勝利はあり得ない。ロシアの向背が大きく左右することになるだろう。さらに中共にソ連と同様の自制心が期待できるかわからない。

支那は、伝統的に内政における派閥抗争をそのまま外交に持ち出す。文化的な黄河流域と長江流域の違いはそのまま共産党内の北京閥と上海閥の対立につながる。ベトナムとの対立が再度の中越戦争にまで発展するかについては、派閥抗争が影響してくると思われる。

特別記者・千野境子 西太平洋の制海権と米中 2011.6.18 02:46 MSN産経

 ◆東・南シナ海の彼方に

 東・南シナ海で拡大する中国の軍事活動に、批判や抗議行動が増している。

 来月開催の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)は、昨年につづいて南シナ海の「航行の自由」を俎上(そじょう)に載せ、東アジア・サミットも同様だ。中国の嫌う多国間で問題に対処する形が定着しつつある。

 結構なことだが、東・南シナ海だけに目を奪われていてはいけない。なぜなら中国が合わせる照準はもっとずっと先にある。

 南シナ海より西のインド洋、東シナ海より東の太平洋、そう、中国が目指すのはインド洋から太平洋までの広大な海域だ。歴史を思い起こせば、スペイン、大英帝国、米国…海を制した国が世界を制してきた。

 中国は、初参加の梁光烈国防相がアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で、中国脅威論を否定した舌の根も乾かぬうちに海軍艦艇が連日、沖縄・南西諸島近海を通過した。もはや太平洋への並々ならぬ関心を隠しはしない。国営新華社通信は近く西太平洋(ミクロネシア地域)で軍事演習を行うと伝えている。

 伝説の桃源郷シャングリラが、中国の脅威を云々(うんぬん)する場となったのは何と皮肉なことだろう。

 ◆分割管理提案から3年

 キーティング元米太平洋軍司令官が訪中した際に、中国高官から太平洋の米中による東西分割管理を提案されたと米上院公聴会で証言したのは2008年3月。同氏は当時、冗談と受け止めたと述べたが、3年後の現実は冗談どころか真実そのものだったことを示している。

 シャングリラ・ダイアローグを主催する英国際戦略研究所(IISS)は今年の「ミリタリーバランス2011」で、中国海軍が米第七艦隊の支配する西太平洋で制海権確立のため、能力向上に全力を挙げていると分析した。

 今年4月に刊行の防衛省防衛研究所の「中国安全保障レポート」も、「外へ向かう人民解放軍」や「役割を増す軍事外交」について特記する。人民解放軍は国連平和維持活動やソマリア沖・アデン湾の海賊対策活動などに熱心だ。あらゆる機会を利用して能力向上を図ると同時に、国際協調をアピールするのも狙いなのである。

 大構想(西太平洋の制海権)を秘め、目標達成のためには労を惜しまず、高い波浪をものともしない。その努力と周到ぶりはなかなかのものだ。米国との過度な軍拡競争により体力を失い、結局は崩壊した旧ソ連の愚を、中国は反面教師としているに違いない。

 ◆太平洋と日本の国益

 中国の影響力はすでに太平洋全域に広がっている。

 太平洋島嶼(とうしょ)国の半数をこす7カ国と国交を結び(他は台湾)、温家宝首相や習近平副主席などの首脳訪問から中国艦船の訪問や軍装備品の供与、見返りとしての資源獲得まで、対アフリカと同様の貪欲な外交を展開する。

 経済援助は日本はもとより米国をも超えた。米国もさすがに気づいて、クリントン国務長官は今年3月、議会公聴会で米国が中国と太平洋島嶼国地域で影響力を競っていることを認めた上で、資源大国パプアニューギニアやフィジー独裁政権に対する中国の支援に懸念を表明した。

 日本も米中の競争に割って入るなどという身に余ることをせずとも、せめて太平洋の現状にもう少し敏感になりたい。先頃、かつて日本の委任統治領だったミクロネシア・パラオのトリビオン大統領が、密漁船対策に反捕鯨団体で国際指名手配中のシー・シェパードの支援を取り付け、日本の水産庁はじめ関係者を驚愕(きょうがく)させた。

 大統領が翻意し支援は反古(ほご)になったが、経済的に脆弱(ぜいじゃく)な太平洋島嶼国はまた広大な排他的経済水域(EEZ)の警備に悩んでおり、パラオが特別なのではない。助けてくれるなら、中国でもシー・シェパードでもありがたい。

 こうした危うい状況に、太平洋地域も多国間連携が重要性を増している。パラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦の3カ国と日米豪計6カ国による海上保安能力強化もその一つだ。人口約18万、陸地面積1370平方キロのミクロネシア3カ国のEEZは550万平方キロ。一国では手に余る。

 特徴は、豪州海軍以外は海上保安庁(日)や沿岸警備隊(米)が主体なことと、笹川平和財団や日本財団という民も参加しての官民共同事業であることだ。

 海軍よりコーストガードの方が現地に受け入れられやすい上に、密漁も海賊もソマリア沖ほど凶暴ではない。しかしたとえ非軍事でも、海上保安能力の向上は台頭する中国に有形無形の牽制(けんせい)球となるだろう。(ちの けいこ)

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