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21世紀の“ルブリン合同”

2015年7月28日のエントリーで取り上げたリトアニア、ポーランド、ウクライナ三カ国の合同旅団の発足が正式調印された。

昨年7月24日に半年以内に正式文書に調印されることとなり、特に波乱もなく今回、ポーランド南東部のルブリンで三カ国の国防相が会見して、4000人規模の旅団が編成されることになった。旅団名はLITPOLUKRBRIG(Lithuanian Polish Ukrainian Brigade)、直訳すると「リトアニア-ポーランド-ウクライナ旅団」。

ポーランドは、かつてのコモンウェルス(ポーランド・リトアニア共和国)旧領への影響力拡大を目指す以上、ロシアとの前衛に立たざる得ない。一方、リトアニアは第2次大戦前夜の英仏とソ連の攻守同盟を蹴ったポーランドの外交的な頑迷固陋さがポーランド第二共和国とバルト三国の滅亡の一因となったことを忘れはしないだろう。ガリツィア(ウクライナの旧ポーランド領、旧オーストリア領)に沸き起こる民族主義に引きずられ過ぎるとポーランド第三共和国は滅びかねない。

合同旅団発足が調印された都市ルブリンは、1569年7月1日にポーランド王国とリトアニア大公国の合同が議決された地でもある。三カ国の国防相が一堂に会する場に、このルブリンを選んだことに政治的な意図と歴史的な象徴性を見出さない訳にはいかない。その意図が新しいポーランド・リトアニア共和国の成立をロシアに印象づけるものであるのは間違いない。

加えて、英国がポーランドに1000人単位の部隊を2017年から派遣・駐留する見込みとなった点も留意すべきだろう。

UK to permanently station 1,000 military personnel in Poland from 2017 Friday 22 January 2016 00.24 GMT The Guardian

ロシアにらみ合同旅団発足へ=ポーランドなど3国防相 2016/01/26-11:16 時事ドットコム

 【ワルシャワAFP=時事】ポーランド、リトアニア、ウクライナの3カ国国防相が25日、ポーランド南東部ルブリンで会談し、4000人規模の合同旅団を発足させることで合意した。ポーランドのマチェレビチ国防相は「欧州の平和を乱そうとする者への非常に明確なメッセージだ」と述べ、ウクライナ南部クリミア半島を併合したロシアへの警戒心をあらわにした。

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“難民である”ための茶番劇は続く

デンマークでは中道右派の自由党政権が難民・移民に対して厳しい政策を打ち出している。就労制限を超過した留学生が国外追放処分となったり、難民キャンプに収容された難民から金品を使用料として没収する、などである。

難民から金品を巻き上げるのは財政上の理由もあるのだろうが、難民とはかくあるべきというイメージに沿っている側面もある。

難民はその国で政治的自由を奪われ、財産を失ったあげく、その生命すら危うい哀れで弱い存在でなければならない。誰もがこのイメージに乗っからなければ成立し得ない茶番劇が繰り広げられている。

“難民である”彼らはブローカーに金品を渡して地中海を渡るのだが、そもそも金品を持っている時点で“難民である”イメージにそぐわない。

また、“難民である”ためには船は漂流しなければならないから、小ぶりであればあるほど良いし、船員は途中で姿をくらますし、最悪沈没するように細工されている。

溺れた幼児が波打ち際で死んでいたりすれば、哀れな“難民である”ことをアピールできて、一挙に受け入れの世論が高まったものの、弱い“難民である”はずの連中が女子供を襲うに至って、そのイメージが崩れてしまう。

“難民である”ためには、国家が彼らから金品を巻き上げようとも、哀れで弱い存在であるというイメージを守るためには相応しいだろう。

働き過ぎ、国外追放=留学生に厳罰-デンマーク 2016/01/10-15:53 時事ドットコム

2015年6月の総選挙の結果、移民制限を訴えたデンマーク国民党を含む中道右派連合が政権に返り咲いた。しかし、中道右派の連立交渉が失敗して、自由党の少数与党内閣となっている。

デンマークの国会は一院制で定数が179議席、うち中道右派連合は過半数の90議席にギリギリ到達しているが、内閣を組織する自由党は34議席に過ぎない。閣外協力を行っている他の中道右派がさらに厳しい難民・移民政策を要求することも大いに考えられる。

デンマーク議会2015年総選挙結果(定数:179 過半数:90)
国民議会 Folketing のみの一院制

【中道右派連合】 (90)
自由党 Liberals (34) -13
デンマーク国民党 Danish People's Party (37) +15
自由同盟 Liberal Alliance (13) +4
保守人民党 Conservative People's Party (6) -2

【中道左派連合】 (55)
社会民主党 Social Democrats (47) +3
社会自由党 Social Liberal Party (8) -9

【中道左派連合に対する閣外協力】 (33)
社会主義人民党 Socialist People's Party (7) -9
赤緑連合 Red-Green Alliance (14) +2
オルタネイティヴ Alternative (9) NEW
社会民主党(フェロー諸島の政党) Social Democratic Party (1)
イヌイットコミュニティ(グリーンランドの政党) Inuit Community (1)
前進(グリーンランドの政党) Forward (1)
※フェロー諸島とグリーンランドに議席枠がある

「移民の現金没収」法案、デンマークで可決へ 2016年01月13日 10:25 AFP BB NEWS

【1月13日 AFP】デンマークで、移民らが所持している一定額以上の現金や貴重品などを、難民申請者向けの一時滞在施設の利用料として没収することを定め、物議を醸している法案が、議会で可決される見通しとなった。

 ラース・ロッケ・ラスムセン(Lars Lokke Rasmussen)首相率いる少数与党政権は12日、法案の修正案について、協力関係にある右派3党から支持を取り付け、議会の過半数の賛成を確保した。法案は13日に審議入りし、26日に採決が行われる予定だ。

 法案は、移民の所持金のうち1万デンマーク・クローネ(約17万円)を超える現金や、同額を超える価値がある所持品を、当局が没収することを認めるというもの。腕時計や携帯電話、コンピューターなどは没収される可能性があるが、結婚指輪や婚約指輪、家族写真、勲章など思い出の品は対象外とされている。

 移民らが金品を所持していないかどうか持ち物を調べるというこの計画をめぐり、インガ・ストイベア(Inger Stojberg)統合相は非難の嵐にさらされ、ナチス・ドイツ(Nazi)をほうふつさせるという批判も浴びている。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も6日、デンマーク政府の法案について、「恐怖や外国人嫌悪をあおる恐れや、世界各地で保護希望者の居場所を広げるのではなく、逆に狭める同様の制約につながる恐れのある」メッセージを他国に送るものとして、懸念を示していた。(c)AFP

帰れる難民と『自由極まりない退屈の惑星』

スウェーデンに辿り着いたシリア難民がハフィントンポスト・アラブ版に語った本音の酷さたるや、多文化主義による隔離の有用性を認めざる得なくなるものだ。

ロナルド・イングルハートの世界価値観調査でも、スウェーデン人は世俗的・合理的でかつ世界一、個人主義的であり、日本人に近く保守的ではない。合理性や個人の価値よりも、伝統と全体の生存価値を優先するアラブ社会と決定的に相容れないのは自明の理だろう。

とは云え、受け入れ側を貶していることを考慮しないシリア難民を尊重する気持ちがスウェーデン人から失われても、それほど不思議には感じない。こんなことを云われたならば。

曰く、ダマスカス大学の学位が通用しない。スウェーデンが約束の地ではないことを確かめるために、ここに来る必要があった(密航業者に数千ドルを払って)。

曰く、大いなる自由は混沌に近い。性的な自由が怖ろしい。娘を友情の名の下に、若い男と関係を持たせたくない。息子が酒を飲むのを坐って傍観する自分が想像できない。

曰く、スウェーデン人は非社交的で、内向的で、コミュニケーションスキルが欠けている。店は6時を回ると閉まり、コーヒーショップはなく、バーは週末以外営業していない。ここは別の惑星である。

そして皆、難民申請を取り下げて、故国やトルコ、レバノンに帰る、と宣う。つい昨日、戦火に逐われ、政治的迫害で自由を奪われたにも関わらず、今日帰れる難民はひとりとして難民ではない。

スウェーデン、難民流入で国境管理を厳格化 通勤客にも影響 2016.01.05 Tue posted at 12:42 JST CNN日本版

難民申請を取り消したい。スウェーデンに渡ったシリア難民の苦悩 2016年01月04日 17時56分 JST ハフィントンポスト日本版

(前段省略)

ナエル・ハマディさん(28)は、いくつかの小さな夢と将来に向けた大きな計画を抱いてトルコからスウェーデン南部のヨンショーピングにある難民キャンプの1つにやって来た。

ハマディさんはシリアにあるダマスカス大学の工学の学士号を有し、最近スウェーデンを出て中東に戻ることを決めた。「トルコか、レバノンに戻ってもいいかと思っている」。ハマディさんはハフポストアラブ版にこう述べた。「はっきりとはまだ分からないが、もっと自分に合う社会に戻りたい」。

ハマディさんは「ここでゼロから始めるというのは、私には耐えがたいこと」と言い、「これから何年も待たなければなりません」と述べた。居住権を与えられるのに1年、家族と一緒に暮らせるようになるまでさらに1年かかる。ハマディさんは妻と3カ月の娘をトルコに残してきた。

「そして、私が言語を覚えて、学位を認定してもらい、仕事を見つけるまでには何年もかかるでしょう」。ハマディさんはこう述べた。「実際、ここで生活を始めるには7~8年かかってしまい、そんなに膨大な時間を無駄にしたくない」

ハマディさんのスウェーデンまでの道のりは簡単なものではなかった。密航業者に数千ドルを払い、何カ月間も命の危険にさらされた。

ハマディさんは「トルコからギリシャのミティリーニ島までボートに乗って向かっていたのですが、転覆し、9時間以上も水の中を泳いで過ごしました」と言い、「スウェーデンが約束の地ではないことを知るために、一度ここに来る必要があったんです」と述べた。

(中段省略)

アブアデルさん(48)もまた家族を連れてトルコに戻ろうと考えている。スウェーデンは合わない、とハフポストアラブ版に話した。アブアデルさんは3人の10代の娘と幼い息子1人の父親だ。

「ここでは子供たちを育てられません。大きな自由は混沌に近く、どこへ行っても付きまとう幽霊に変わりました」とアブアデルさんは話した。「子供たちが身に着けた独立心、勝手気ままにする自由、そして、故郷の習慣や伝統に従わせようとしたら子供を失うかもしれないという絶え間ない恐怖が、毎晩私を苦しめる悪夢となってきました」。

アブアデルさんは自らが育った「保守的な社会」に慣れていて「性的な自由が最も恐ろしい」と語った。

アブアデルさんは「子供たちを連れて、祖国へ帰ろうと思います」と話し、「娘の1人に友情の名の下に、若い男と関係を持たせたくありません。息子が酒を飲もうとした時、座って傍観している自分も想像できません。すべてはここで許されていますが、私にはそのようにはできません」。

ハムザ・アガーンさん(22)もまたヨーロッパのライフスタイルに合わないと感じている。「こんな風に生活できません」と言い、「この国の人は私たちとまったく違っている」と話した。

また出会った人々について「非社交的で、内向的で、コミュニケーションスキルが欠けている」と指摘、スウェーデンに来て7カ月、誰とも継続的な人間関係を築けないでいる。

アガーンさんもまた、スウェーデンでの生活になじめないという。「道路は午後6時を過ぎるとガランとしています。コーヒーショップもありません。バーは週末以外、営業していません」と話した。「単に退屈でみじめな場所です。言葉を覚えたり、仕事を探したりするのは難しいです。ここには、なじめそうな希望がありません」。

「移民として直面する困難は、街で家を探すところから始まり、最近難民に向けられる人種差別まで数多くあり、そのことが出て行く決心をさせました」。アガーンさんはこう続けて語った。「家族、友人の元に戻ります。そして私が理解でき、私を理解してくれる国で未来を築こうと思います。ここは完全に別の惑星で祖国とはまったく正反対の場所です」。

多文化主義の是正と「女性の扱い方講座」

ノルウェーでは、2011年7月に首都オスロとその近郊で、移民推進派の労働党の青年部会を狙った銃乱射・爆破テロが起きている。

このテロに対する反発はあっても、労働党が連立を組む中道左派連合が選挙に敗れ、移民制限を訴える進歩党の属する中道右派連合が政権を獲得した。

こうして、ノルウェーとデンマークはどちらも中道右派の政権が誕生し、難民危機を受けて、さらなる移民制限が行われる。

ノルウェーの議会選挙は他の北欧諸国同様、完全な比例代表制のため、劇的な政策転換は起きない。中道政党を軸とした左右両派いずれかの連立政権が組閣される。そのためか、移民の受け入れ体制は多文化主義に基づかないものに徐々に軌道修正されようとしている。

Norway Offers Migrants a Lesson in How to Treat Women DEC. 19, 2015 The New York Times

国内に設置されている難民センターで、イスラム圏から来た男性の移民を対象に「女性の扱い方講座」が開かれている、とニューヨーク・タイムズが伝えている。

彼らの目には、ノルウェーの女性は売春婦に見える、と云う。こうした認識を持っている結果、移民による強姦犯の比率が高止まりしていることを受けて、ノルウェー社会の風俗に合わせるように教育を始めている。

これがニュースバリューを持つということは、ひとつに多文化主義の名の下にそうした教育をせず隔離しようとしていたがそれが行き詰まったということ、ひとつに人間の欲求を宗教的規範で抑制しようとしたためにその規範と通俗概念が結びついて犯罪を正当化しているということだろう。

明らかにイデオロギーと宗教がいずれも思惑と違う方向に向かっている。少なくとも隔離と同化を併存させつつ、多文化主義の是正が始まった。しかし、当のイスラム的観念は是正できるものであろうか。

ノルウェーの主要政党
【中道右派連合】
自由党・・・リベラル
キリスト教民主党・・・キリスト教民主主義
保守党・・・保守主義
進歩党・・・リバタリアン

【中道左派連合】
労働党・・・社会民主主義
中央党・・・伝統的中道主義
社会主義左翼党・・・社会主義

「デンマークは移民を歓迎しません」は選挙公約

ドイツでは、今年流入する約80万人の難民の約半数が生活保護受給の対象になる、と予測されている。

我が国の生活保護受給者はここ数年、約216万人程度で推移している。我が国に当てはめてみて、いきなり40万人もの外国籍を持つ人々に生活保護を与えるなど民意が受け入れる訳がない。はてさて日本が世界の標準から外れているのだろうか。

法務省が難民認定見直し案、再申請抑制など盛り込む 2015年 09月 9日 20:16 JST ロイター

例えば、英国のキャメロン政権は移民の数を年間10万人未満に抑えるという公約を守れず、批判を受けている。また、デンマーク政府は、レバノンの新聞に「移民を歓迎しない」という広告を出稿した。

キャメロン英首相、難民危機の「捕虜」に苦悩する保守党 2015年9月7日 19:47 JST WSJ日本版

デンマークでは今年6月の総選挙の結果、移民制限を訴えたデンマーク国民党を含む中道右派連合が政権に返り咲いた(2015年6月20日のエントリー参照)。つまり、広告の出稿は直近の民意の反映である。

かつて、パレスチナ難民とパレスチナ解放機構(PLO)の流入が、ヨルダン内戦とレバノン内戦を引き起こした。再び、シリア難民の流入で宗派間のバランスが崩れたレバノンは政治的混乱のさなかにあり、状況が悪化すればレバノン国籍を持つ人々も難民となりかねない。

パレスチナ難民が4度に渡る中東戦争だけでなく、周辺国の内戦の原因となっている事例からも、人種・言語・宗教・民族・文化など歴史的所産の違う集団を受け入れることが国家の安定を脅かすのは間違いない。主権国家が安定的に存立して、初めて基本的人権の尊重もできる。

遠い中東に目を向けずとも、在日韓国人・朝鮮人の存在がそれを証明している。当時、GHQの占領期にほとんど密入国されたため、十全に民意を反映できなかった。

本来、民意が難民受け入れを左右する。その意味で、ドイツやスウェーデンの難民受け入れの特異さが際立つ。

デンマークと同じ北欧のスウェーデン議会は、移民制限を訴えて、議席を増やし、予算案などのキャスティングボートを握ったスウェーデン民主党を排除するために、政府与党(中道左派)と野党(中道右派)の間で2022年までの枠組み合意がつくられ、直近の民意に問う解散総選挙を回避した。

難民46万人が来年には生活保護受給対象に-ドイツ Montag, 07 September 2015 07:00 ドイツニュースダイジェスト

デンマーク議会2015年総選挙結果(定数:179 過半数:90)
国民議会 Folketing のみの一院制

【中道右派連合】 (90)
自由党 Liberals (34) -13
デンマーク国民党 Danish People's Party (37) +15
自由同盟 Liberal Alliance (13) +4
保守人民党 Conservative People's Party (6) -2

【中道左派連合】 (55)
社会民主党 Social Democrats (47) +3
社会自由党 Social Liberal Party (8) -9

【中道左派連合に対する閣外協力】 (33)
社会主義人民党 Socialist People's Party (7) -9
赤緑連合 Red-Green Alliance (14) +2
オルタネイティヴ Alternative (9) NEW
社会民主党(フェロー諸島の政党) Social Democratic Party (1)
イヌイットコミュニティ(グリーンランドの政党) Inuit Community (1)
前進(グリーンランドの政党) Forward (1)
※フェロー諸島とグリーンランドに議席枠がある

デンマーク、ドイツへ難民送還開始 2015年09月09日 16:06 AFP BB NEWS

デンマーク「難民にとって魅力のない国」を目指して 2015年9月8日(火)18時00分 ニューズウィーク日本版

「難民歓迎せず」デンマークがレバノン紙に広告 2015年9月8日 13:18 JST WSJ日本版

デンマーク政府はレバノンの新聞に遠慮のない広告を掲載した。そこには「この小さな北欧の国は難民を歓迎しません」とあった。

この広告は7日付の新聞4紙に掲載された。広告の中には、デンマークの右寄りの新政権が移民法を厳格化するために取り組んでいるいくつかのステップが列挙されている。そこには、新たに到着した難民に対する社会保障給付の50%削減も含まれている。

同国の移民・統合・住宅省が掲載したこの広告には「デンマークで一時的な保護資格を得ても、滞在1年以内に家族をデンマークに連れてくる権利はない」とある。

この動きは右寄りのデンマーク新政権が打ち出した厳しい移民政策の一環で、難民・移民問題をめぐる対応でいかに欧州連合(EU)加盟諸国の姿勢が異なるかを浮き彫りにしている。

ドイツやスウェーデンは内戦で疲弊したシリアからの難民をこれまで以上に受け入れる姿勢を示し、EU域内でのより公平な受け入れ分担を訴えているが、デンマークの姿勢はこれら2国とはまったく異なるものだ。

シュトルベルク移民相は7日、デンマークのテレビ番組で「われわれは選挙で勝利すれば、(移民に対する規則を)厳しくすると公約していた」とし、「これからもっと厳しくなる。(難民申請を求める人の)デンマークへの流入が多すぎるからだ」と述べた。


[009/010] 22 - 衆 - 法務委員会 - 23号 昭和30年06月18日

○小泉政府委員
 韓国人が、日本に生活をしたい、また戦争中疎開いたしまして、子供が日本に在留しておられる両親のもとで生活をしたいと申して、その手段方法を選ばず日本に入ってくるというようなことは、ただいま神近先生がおっしゃいましたように、人道的な問題といたしましては、夫婦を一緒に生活させ、親子を一緒に生活をさせたいということは、管理局の取り扱われる方々も常にその苦衷を訴えておられるのでございます。

私どもも最初、両親が日本にいて子供が日本に入ってくる、かわいそうじゃないかというような考えを持っておったのでございますが、いろいろと実態に触れて研究をして参りますと、人道的、人情的には非常に忍びないものがございますけれども、それがあまりにも数が多い。

最近においては、子供だけ三十人くらいの団体を連れて密航をして、大人だけは完全に逃げてしまっている、がんぜない子供だけがつかまっておるというような事実もありまして、この取扱いには非常に係の者も苦慮いたしておるようでございます。

神近先生がおっしゃいましたように、日本に住まいたい者を住まわせて、韓国に帰りたい者は返す、こういうふうに参りますと事は最も簡単で、いろいろの難問題が漸次解決をするのでありますが、問題はそう簡単でなく、極端かもしれませんけれども、六十万と推計をせられる朝鮮人のうち、日本から母国に帰りたいという者は一人もいないといっても大した言い過ぎではない。

一方向うからは、入れれば、それこそ手段方法を選ばず、命がけでも密航をして、方法さえつけば怒濤のごとくどんどん入ってくる。

そしてこちらから強制送還をしようといたしましても、韓国の政府がこれを容易に受け付けないというところに、人道問題だけでは解決しない大きな国と国との外交問題と申しますか、もう入国管理局だけでは手に負えない大きな外交問題となってここに横たわっておるのは、私が申し上げるまでもなく、御理解をいただいておると思うのであります。

ですから、要するに、こちらは国際的ないわゆる紳士としての態度をもって韓国に接しましても、韓国の方は、紳士的でないとは申しませんが、御承知の通り李承晩ライン、その他漁船の拿捕の問題、こちらから、密航した者を密航したという確証をあげて韓国に申し入れましても、その送還を容易に受け付けない、こちらは向うから出てきた者を受け入れっぱなし、不法入国であろうが何であろうが、返すことができないで、大村収容所にはますます人員がふえていく、それをみな国費で、国民の血税で養ってやらなければならない、その取扱いについても、きわめて懇切丁寧にしなければ、人権じゅうりんというような問題まで起きてくる。

これを大まかに考えますと、一体日本のためにやらなければならないのか、日本国民の血税の犠牲において、韓国人をまず第一義として大事にしてあげなければならないかというようなところまで、考え方によっては行く問題であると私は思うのであります。

最近において法務大臣も申し上げました通り、何とかこの問題を根本的に解決しなければならないと思います。

私が政務次官に就任をいたしましてからも、一、二の有力な韓国人の団体の長の方で、私に、密入国者を送還するとかしないとかは問題ではなくて、六十万人という朝鮮人が日本に在留して現存しているというこの現実に立って、在留朝鮮人の問題やこれから入ってくる人々の問題について、出入国管理令というようなこまかい規則を越えた根本的な対策を政府は立てる必要があるではないかというようなことで、非常に傾聴すべき御意見を言ってこられた人もございます。

近くは、私に、一つ法務省の政務次官として、外務省、入管の当事者とわれわれ朝鮮人の団体の長という首脳部との懇談の機会を作ってくれないかというような申し出まで最近ありまして、どういうふうにそのことを進めようかと私は考えておるのでございますが、要するに最後の決着は、日本と韓国との外交関係を正常な軌道に乗せるということがなければ、根本的な解決はできないのではないかと思います。

最近におきまする韓国人の強制送還等の事務折衝の経過にかんがみますると、なかなか正常化というものは容易ではなく、日本に対する韓国側の態度はますます悪化するのではないかと憂えしめる情報がむしろ多くて、向うの密入国に対する取締り、こちらからの送還をスムーズに受け付けていただくというような話し合いが、円満に好転をするという見通しがきわめて少いのを私は遺憾としておるのでございます。

的確かどうかわかりませんが、最近の情報によりますれば、今の金公使が、韓国のいわゆる代表部と申しますか、そういうものを場合によっては引き揚げるのではないかというような憂うべき情報すら私個人は最近耳にいたしておるのでございまして、何とかこれは、鳩山内閣の手によって日本と韓国との間を外交的に大きく打開をしていただき、その線に乗って入国管理局としての仕事をより以上合理化すと申しますか、今仰せられましたように、できるだけ人道的な取扱いができ得るような軌道に乗せることを熱願いたしておる次第でございます。

リトアニア-ポーランド-ウクライナ旅団の誕生

ウクライナ危機とドンバス紛争が落着するとして、次にロシア連邦のカリーニングラード州を両端に挟んだポーランド、リトアニアに他のバルト三国のエストニア、ラトビア、そしてカレリア地方に面したフィンランドが緊張を強いられる。

ポーランドは、かつてのコモンウェルス(ポーランド・リトアニア共和国)旧領への影響力拡大を目指す以上、ロシアとの前衛に立たざる得ない。一方、リトアニアは第2次大戦前夜の英仏とソ連の攻守同盟を蹴ったポーランドの外交的な頑迷固陋さがポーランド第二共和国とバルト三国の滅亡の一因となったことを忘れはしないだろう。ガリツィアに沸き起こる民族主義に引きずられ過ぎるとポーランド第三共和国は滅びかねない。

次いでミンスク合意を横目で見たリトアニアは、独ソ不可侵条約の秘密協定において、ソ連側がポーランド分割でカーゾン線を基礎として譲歩した見返りに、ドイツ側がリトアニアを引き渡したことも忘れてはいないだろう。

この歴史的教訓から、リトアニア-ポーランド-ウクライナ三カ国は旅団規模の部隊を合同で設置することになった。旅団名はLITPOLUKRBRIG、直訳すると「リトアニア-ポーランド-ウクライナ旅団」とそのまま。2009年前後から討議が続けられていたが、ウクライナ危機を受けて、約1年以内に部隊運用できる状態となる。

Lithuanian, Polish and Ukrainian Defence Ministers sign agreement on joint military brigade 2015-07-27 The Baltic Times

On Friday July 24, the Defense Ministers of Lithuania, Poland and Ukraine signed an agreement which sees the establishment of a three-way military brigade between the countries.

The technical agreement supplements and elaborates on the agreement of establishing the LITPOLUKRBRIG (Lithuanian Polish Ukrainian Brigade), which was formed by the three defence ministers in Warsaw in September 2014.

"It has been signed," Viktorija Cieminyte confirmed to the BNS news service on July 24.

The agreement states within 6 months after the document was signed on July 24, the LITPOLUKRBRIG command will have reached its initial operational capability.

Within 12 months it will be fully capable of commanding the unit. The capacity of the LITPOLUKRBRIG command will then need to be approved by international certification.

The brigade commander, his deputy and the Chief of Staff will be assigned by Lithuania, Poland and Ukraine for a period of three years on a rotating basis.

According to Lithuanian Minister of National Defense, Juozas Olekas, Monday July 27 will see eight Lithuanian army officers leave for Lublin in Poland, where the brigade will be headquartered.

"I cannot say when the first field training event will take place but it should take place shotly," Olekas told BNS.

The brigade will be formed following the model of multinational crisis response capabilities, the European Union Battle Groups (EU BGs).

The LITPOLUKRBRIG is planned to be made up of an international staff, three battalions and special-purpose units.

Lithuania, Poland and Ukraine will each be assigned an infantry battalion. Each country will provide personnel for special-purpose units and the LITPOLUKRBRIG staff.

The agreement allows LITPOLUKRBRIG personnel to participate in joint training and exercises, plus the deployment of the brigade or its elements to international operations mandated by the United Nations Security Council.

Decisions regarding the deployment of the LITPOLUKRBRIG to international operations will be made by the general consent of Lithuania, Poland and Ukraine.

The LITPOLUKRBRIG battalions will be held on standby in their native countries.

The Lithuanian contribution to the LITPOLUKRBRIG will be formed from the personnel of the Grand Duchess Birute Uhlan Battalion.

デンマークは静かに移民制限する

デンマークは総選挙の結果、中道右派連合が政権に返り咲く見込みとなった。2011年以来、政権を担っていた中道左派連合は閣外協力の政党を含めても過半数に及ばなかった。一方の中道右派連合は移民制限の急先鋒であるデンマーク国民党を入れて過半数ぴったりの90議席となった。

すると、スウェーデン議会のように中道右派と中道左派が移民制限を訴える保守(あちらでは極右の扱いになる)を切り離して、妥協するのは難しい。

2014年12月28日のエントリーで触れたように、キャスティングボートを握った極右のスウェーデン民主党を排除するために、2022年まで政府与党(中道左派)と野党(中道右派)の枠組み合意がなされた。この合意では野党の予算案丸呑みすらあり得る。

スウェーデンの与野党合意は、有権者が選んだ比較第1党が政権を握る議会制民主主義を全否定しかねないギリギリの行為である。ここまでしなければならないところに、欧州における従来の移民政策の歴史的転換点における困難と摩擦を垣間見る。

デンマーク議会2015年総選挙結果(定数:179 過半数:90)
国民議会 Folketing のみの一院制

【中道右派連合】 (90)
自由党 Liberals (34) -13
デンマーク国民党 Danish People's Party (37) +15
自由同盟 Liberal Alliance (13) +4
保守人民党 Conservative People's Party (6) -2

【中道左派連合】 (55)
社会民主党 Social Democrats (47) +3
社会自由党 Social Liberal Party (8) -9

【中道左派連合に対する閣外協力】 (33)
社会主義人民党 Socialist People's Party (7) -9
赤緑連合 Red-Green Alliance (14) +2
オルタネイティヴ Alternative (9) NEW
社会民主党(フェロー諸島の政党) Social Democratic Party (1)
イヌイットコミュニティ(グリーンランドの政党) Inuit Community (1)
前進(グリーンランドの政党) Forward (1)
※フェロー諸島とグリーンランドに議席枠がある

デンマーク政権交代へ 総選挙で野党陣営勝利 2015.6.19 13:09 産経ニュース

 デンマークで18日に投票が行われた国会(一院制、定数179)総選挙は即日開票され、DPA通信などによると前首相のラスムセン自由党党首率いる中道右派の野党陣営が過半数に達し、勝利した。ラスムセン氏が約4年ぶりに首相に返り咲く見通しで、政権が交代する。

 自由党は議席を減らしたが、移民排斥を唱える右派デンマーク国民党が躍進し、陣営全体で議席増となった。デンマーク国民党は自由党を抜き、トーニングシュミット首相率いる社会民主党に次ぐ第2党となったもよう。反欧州連合(EU)も掲げるデンマーク国民党の伸長は対EU外交にも影響がありそうだ。

 ラスムセン氏は財務相を務めていた2009年4月、当時の首相の辞任に伴い首相に就任。11年9月の総選挙でトーニングシュミット氏率いる中道左派に敗れるまで首相を務めた。(共同)

軍事演習が映す恐怖の均衡

北大西洋条約機構(NATO)加盟のエストニアは、軍事演習「Siil/Steadfast Javelin」を実施した。兵士1万3千人・予備役7千人超、併せて約2万人を動員した。エストニアは人口の3分の1がロシア系であり、ウクライナ危機と同じ火種を抱えている。

ウクライナ危機以降、制裁によって経済規模が縮小しているロシアが軍事力によって形勢逆転を図るのではないか、と云う懸念が拭い去れない。

エストニアのほかNATO加盟のバルト三国、ポーランド、NATO非加盟のグルジアで軍事演習が行われている。一方、地中海では初めて中共とロシアの軍事演習が行われている。

Fearing Russian expansion, Baltic nations step up military exercises May 16, 2015 Washington Post

エストニアで4日 NATO軍部隊も参加し同国史上最大の軍事演習始まる 2015年05月04日 20:04 スプートニクニュース

(前段省略)

現在、エストニアの都市タパの軍事基地には、ローテーションに従い、4両のM1A2 Abrams(エイブラムス)戦車からなる米陸軍第3歩兵師団第7連隊の戦車小隊や、第173空挺旅団の空挺部隊2小隊が駐留しているが、彼らも演習に参加する予定だ。


コラム:中国とロシア「友情」の賞味期限 2015年 05月 14日 14:50 JST ロイター

ロシア、今年後半に中印と合同軍事演習実施へ 2015年 05月 14日 09:29 JST ロイター

[ソチ 13日 ロイター] - ロシア大統領府は13日、今年後半に中国、インド、ベラルーシ、モンゴル各国軍との合同軍事演習を実施し、それにロシア地上部隊が参加する方針を明らかにした。

(後段省略)


A Net Assessment of the World By George Friedman May 20, 2015 STRATFOR

ジョージ・フリードマンのエッセイでは、現状の世界秩序は新世界秩序の構築が図られているよりは、無秩序へと転げ落ちているように見える、と書かれている。

特にリーマン・ショック以降の債務危機に苦しむ欧州と不動産バブル崩壊に直面している中共。この二地域は、経済のみならず政治的改革とコミュニティの再編に代表されるような社会変化に対応しきれていない。

むしろ、アングロ・サクソン系の英米の急進的な改革が先行しているように見える。NATOやIMF、世界銀行に対抗する勢力や機構をつくる動きが目立っているが、まだ秩序形成の一翼を担うのか、遠大な構想だけで終わるのか判然としない。

一度、フラグメント化していく社会を再統合する、そのダイナミズムに欠かせないカネの動きが萎みつつある。中国共産党は経済モデルの転換が出来ていない。勃興しつつある富裕層から中間層(約1200万人)が、日本に“爆買い”しに来ているだけでも分かる。中共で思想と言論の統制が起きている原因でもある。

リトアニアの『対エスキモー戦の前夜』

テニス帰りのタクシー代をいつも全額支払わされていることに納得行かないジニーは、その相手の同級生セリーナの家に絶交覚悟で押しかける。そのセリーナが母親にカネをせびる間、セリーナの兄フランクリンや友人と会話しているうちに、ジニーはタクシー代のことなんて、どうでも良くなってしまう。

これが、J・D・サリンジャーの短篇集『ナイン・ストーリーズ(九つの物語)』に所収されている「対エスキモー戦の前夜(対エスキモー戦まぢか)」の筋書きだ。彼の作品には大抵、戦争の影が覆いかぶさっている。そして救いを求める人と受容する救い手が現れる。

「対エスキモー戦の前夜」では、フランクリンの救い手がジニーであることが示唆されている。

ちょっと調子の外れたフランクリンは、もうすぐエスキモーとの戦争が始まるんで徴兵されるんだ、とか云う。彼はジニーに食べかけのチキンサンドウィッチをくれたりする。もちろん彼女は、要らないから捨てようとするけれど、なぜだかイースターの時に買ってもらったあと死んだヒヨコを捨てるのに3日かかったことを想い出す。

閑話休題。

ウクライナ危機とドンバス紛争が落着するとして、次にロシア連邦のカリーニングラード州を両端に挟んだポーランド、リトアニアに他のバルト三国のエストニア、ラトビア、そしてカレリア地方に面したフィンランドが緊張を強いられることについては、2014年9月4日のエントリーで述べた。

ポーランドは、かつてのコモンウェルス(ポーランド・リトアニア共和国)旧領への影響力拡大を目指す以上、ロシアとの前衛に立たざる得ない。一方、リトアニアは第2次大戦前夜の英仏とソ連の攻守同盟を蹴ったポーランドの外交的な頑迷固陋さがポーランド第二共和国とバルト三国の滅亡の一因となったことを忘れはしないだろう。ガリツィアに沸き起こる民族主義に引きずられ過ぎるとポーランド第三共和国は滅びかねない。

次いでミンスク合意を横目で見たリトアニアは、独ソ不可侵条約の秘密協定において、ソ連側がポーランド分割でカーゾン線を基礎として譲歩した見返りに、ドイツ側がリトアニアを引き渡したことも忘れてはいないだろう。

ただしエネルギーに関しては、フィンランドからバルト三国、ポーランドの原発契約は加速すると思われる。リトアニアはウクライナ危機以降、にわかに日立GEニュークリア・エナジー(日立とGEの合弁)と原発事業会社の協議に舵を切った。ポーランドでも、日立GEニュークリア・エナジーは国営電力会社のポルスカ・グルパ・エネルゲティチュナ(PGE)とともに現地の機器製造会社の選定を進め、ポーランド国内の大学と覚書を結び、人材育成を進めている。

コラム:クリミア併合1年、「ロシア侵略」に備える周辺国 2015年 03月 17日 14:29 JST ロイター

Ola Cichowlas

[16日 ロイター] - ロシアによるクリミア併合から約1年。ウクライナ危機は東欧に衝撃を与えたが、中でも、北大西洋条約機構(NATO)に属するエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト三国にとっては、ロシアからの攻撃は真の脅威となっている。

ロシアの恐怖をリアルに感じている小国リトアニアは、徴兵制の再開を計画している。リトアニアはラトビアやエストニアとは違い、ロシアと国境を接してはいない。ただ南側には、プーチン大統領の「操り人形」である独裁者ルカシェンコ大統領が率いるベラルーシがあり、そこではロシア軍が存在感を増している。また西には、ロシアのバルト海沿岸の飛び地カリーニングラードがあり、そこにもロシア軍の大規模な施設がある。

新たな兵役の計画を発表したリトアニアのジューカス軍司令官は、「兵士の危機的な不足により、国家主権に対する現実の脅威に備えることができなくなっている」と語った。また、グリバウスカイテ大統領は、徴兵制復活は「不可欠」であり、人口約300万人のリトアニアには「それ以外に軍強化の方法はない」と言明。法案が議会を通過すれば、早ければ今年9月にも19─26歳の男子約3000人が徴兵される可能性がある。

欧州最少の軍隊の1つであるリトアニア軍の兵力は現在1万5000人。2004年のNATO加盟以降、同国軍は主として、アフガニスタンやコソボなどでの共同作戦の一翼を担う存在であり、自国領土防衛の準備はしていなかった。しかし、ロシアが修正主義の動きを急速に強めるなか、リトアニア政府は安全保障政策を見直さざるを得なくなった。

徴兵制復活は、ロシアからの脅威が空想の世界ではないと国民に心構えさせる一連の動きを締めくくるものだ。リトアニア政府は先に、プーチン大統領の非正規軍(正式な軍の記章を付けずに外国に潜入するロシア人兵士)による侵入を警戒し、国民が軍隊様式の服を許可なく着ることを禁じた。今月14日にはドイツ政府が、リトアニアは榴弾砲の購入に関心を持っているようだと明らかにした。先月には、リトアニア国防省が98ページに及ぶ「戦時マニュアル」を発表し、他国による侵入や占領、軍事衝突に対する国民の備えを説いた。

ロシアによるクリミア併合以降、安全保障問題の専門家の多くは、ロシアによる「ハイブリッド戦争」はバルト3国にも広がる可能性があると警告してきた。しかし、東欧研究所の上級アナリスト、マリウス・ラウリナビシャス氏は、リトアニアが直面している真の脅威は、カリーニングラードからの従来型の侵入だと指摘。「彼ら(ロシア政府)は、ちょうどクリミアから(ウクライナ東部の)ドンバスに通じる道のように、カリーニングラードからロシア本土までの陸路を必要としている」と述べた。

カリーニングラードはこれまで長く、東西対立の最前線だった。バルト3国が2004年にNATOに加盟した主な理由の1つがカリーニングラードの存在だった。そしてウクライナ危機の何年も前から、同地域からの危険信号は発せられていた。

例えば、2013年8月にロシアとベラルーシが実施した大規模共同軍事演習では、プーチン大統領はカリーニングラードに有する軍事力を誇示していた。

ただ、ロシアがバルト3国に侵攻するというシナリオが起こり得るのは、プーチン大統領がグルジアとウクライナで領土拡大の野心を達成した後だろう。欧州連合(EU)は、ロシアもNATO加盟国を攻撃するような愚は犯さないだろうと考えているようだ。しかし、前出のラウリナビシャス氏は、自分たちの価値観を通してプーチン大統領を見ている西側には誤算がある指摘。「プーチン大統領は、NATOが核の対決というリスクを冒してまで、それほど重要ではない国々(バルト三国)を守るとは考えていない」と語った。

他の専門家らは、プーチン大統領がバルト三国でもロシア系住民の存在を干渉の口実に使う可能性を指摘する。しかし、リトアニアのロシア系住民の数は、ラトビアやエストニアに比べて大幅に少ない。リトアニア最大の少数民族は約20万人のポーランド系住民だ。ロシアはそこに目をつけている。

リトアニアでは小政党「ポーランド人の選挙運動」が物議を醸している。党首のワルデマール・トマシェフスキー氏は、ウクライナの政変を激しく批判し、クリミア併合をコソボと比較する。また、ウクライナ東部で親ロシア派が腕に巻く「聖ジョージのリボン」を公然と身に着けている。同党はロシア系政党「ロシア人同盟」と選挙連合を組み、欧州議会で1議席を獲得し、ビリニュス市長選でも3位の票を集めた。

親ロシア派を鮮明にするトマシェフスキー氏の姿勢は、ロシアの「スパイ」が東欧地域で活発に動いていることを思い出させるものだ。しかし、プーチン大統領との衝突は東欧だけの問題ではない。冷戦後の世界秩序破壊は、西側の結束の強さも試す。東欧では多くの人が、西側の懐柔政策が大きな災厄につながった1938年のミュンヘン会談を振り返っている。チェコスロバキアのズデーテン地方のドイツへの帰属問題を協議した同会談では、英仏伊が独ヒトラー政権の要求を全面的にのむ格好となったが、その後の戦争を防ぐことはできなかった。

リトアニアのミーコラス・ロメリス大学の専門家アルビダス・メダリンスカス氏は筆者に「われわれは、ミュンヘン会談が侵略者の欲求をいかに高めたかを思い出す必要がある」と語った。

プーチン大統領が次にどう動くかは誰にも分からない。リトアニアは最悪の事態に備えている。

*筆者はロイターのコラムニスト。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

正教会とカソリックの分断線

ウクライナ危機を受けて、ドイツに駐屯していたアメリカ欧州陸軍の第2騎兵連隊がバルト3国に移動していたが、米国本土から第3師団第1旅団が到着して、第2騎兵連隊はドイツに戻った。対ロシアの最前線として、北海(バルト3国)からウクライナ、コーカサス(特にグルジア)までの線が繋がると考えられる。

米国はグローバリゼーション(アメリカナイゼーション)を諦め、宗教・宗派や民族や文化圏の分断線上に焦点を当てて、その周辺で起きる戦いを一定の管理下に置く方法にシフトしつつある。

欧州では正教会とカソリックの分断線、ブラックアフリカではイスラム教とキリスト教の分断線、アラブ・中東ではスンニ派とシーア派の分断線、東アジアでは法治と人治の分断線にそれぞれ戦いが起きることになる。

法治と人治の対立概念でロシアを捉えると、我が国とロシアの二国間関係は完全な中立には至らない。正面の敵に集中するために利害の一致する限り、協力可能ということになる。対ロシア封じ込めに米国が専念しようとして、部分的な対中融和に走る可能性があるのが我が国にとっての懸念材料だろう。

戦車など750両・機派遣=バルト3国と軍事訓練-米軍 2015/03/10-06:24 時事ドットコム

 【ワシントン時事】米国防総省のウォレン報道部長は9日、陸軍第3歩兵師団傘下の機甲旅団戦闘団に所属する戦車・車両、ヘリコプターなど約750両・機が、米本土からラトビアの首都リガに海路で到着したと明らかにした。同戦闘団は、バルト3国との合同軍事訓練などに参加する。

 同戦闘団の米兵約3000人も、米欧州陸軍傘下の第2騎兵連隊(司令部ドイツ)の兵員と入れ替わる形で、来週以降、米本土から順次現地入りする。派遣期間は90日。訓練は、欧州での抑止体制を強化する「欧州再保障イニシアチブ」の一環で、ロシアの軍事動向を懸念するバルト3国に対する防衛義務履行の強い決意を示す狙いがある。


参考URL:
3rd Infantry Division arrives to support Operation Atlantic Resolve March 10, 2015 United States European Command

スウェーデン、2022年までの問題先送り

政治における左右のスタンスは各国の事情によって大きく異るものがある。北欧諸国では市場原理の重視や移民の制限、高福祉の縮小を唱えるだけで極右扱いされる。ノルウェーの進歩党然り、スウェーデンの民主党然り。

2010年選挙で20議席を獲得したスウェーデン民主党は、2014年選挙で49議席と躍進して、一挙にキャスティングボートを握るに至った。

彼らは政権与党の中道左派連合が出した予算案に反対票を投じて、野党の中道右派連合の予算案に賛成票を投じた。結果、野党の予算案が可決された。このとき、政権は総辞職して野党に政権を譲るか、解散総選挙して国民に信を問うしかない、はずだった。

そして一度は2015年3月22日、56年ぶりの解散総選挙と定まった。しかし急転直下、中道左派と中道右派の間で事実上の大連立合意ができた。予算案は一旦野党案を丸呑みし、2022年まで、つまり次々回まで議会は任期満了を続け、解散総選挙なし、スウェーデン民主党を議会の合意形成プロセスから排除するという枠組みがつくられた。

長らくスウェーデン社会民主労働党による長期安定政権が続いてきたため、少数与党による政権が就いているときの政治的慣例が積み重なっていなかった隙を突いてきたスウェーデン民主党の戦術敗れたり、といったところだろう。

我が国では、衆参がねじれ状態に陥ると、特例公債法案をめぐり、野党の強硬派がキャスティングボートを握り、何らかの形で政権交代が起きてきた。スウェーデン議会はそうした道を封じたことになる。

しかしながら、モスク放火事件が大連立合意に前後して起きるなど、通底として移民に対する反感は根強い。移民の制限に応じなければ、スウェーデン民主党は次回、次々回の選挙でさらに議席を伸ばすことだけは間違いない。

ともあれスウェーデンは、ムスリム系移民を多文化主義と定義して居住区画ごと隔離したまま、加えてスウェーデン民主党を極右と定義して議会の中で隔離したまま、2022年まで移民問題という政治的爆弾を先送りする賭けに出た。確かにアラブ・中東の紛争やユーロ圏の迷走など外的条件が7~8年までに大きく変わっている蓋然性は高い。その意味で合理ではある。あとは内在的な条件がどこまで変化するかに懸かってくるだろう。

スウェーデン約50年ぶりの解散・総選挙へ、議会が政府予算案否決 2014年 12月 4日 11:01 JST ロイター

スウェーデンでモスク放火、5人負傷 別のモスクも窓割られる 2014.12.27 10:54 産経ニュース

スウェーデン総選挙を回避 中道左派、右派が協力合意 2014.12.28 00:23 産経ニュース

 政府予算案の否決を受けて混迷が続いていたスウェーデンのロベーン首相は27日、自ら率いる中道左派の連立政権と中道右派の野党4党が政治を安定させる枠組み合意に達し、いったん実施を表明した来年3月の総選挙は回避されたと発表した。ロベーン氏は首相にとどまり政権は存続する。

 合意により、中道左派、中道右派の両陣営が拮抗する議会内で事実上の決定権を握っていた極右の民主党を排除、政治を安定化させた形だ。

 現地からの報道によると、枠組み合意は来年4月から2022年の総選挙まで有効。この間、両陣営は政府予算案に反対せず、協議による合意をめざす。年金や防衛、エネルギーをめぐる政策でも協調する。

 首相は合意について「議会が困難な状況に置かれた時でも、スウェーデンは政治を運営できることを示した」と述べた。(共同)

中道しかないスウェーデンに保守は生まれるか

スウェーデン議会では与党の予算案が否決され、野党の予算案が可決された。左派と右派どちらの連合にも属さない独立勢力のスウェーデン民主党が野党案の賛成に回ったため、野党案が可決された。

予算をどう使うかこそ国家の役割であり、政権与党が予算案を通せなければ、解散総選挙しかないのは世の東西変わりない。

ところが1958年以来、スウェーデン議会では任期満了に伴う総選挙しかなかった。

2015年3月22日の解散総選挙は実に56年ぶりとなる。

そもそもスウェーデンの選挙制度は完全な比例代表制・非拘束式名簿のため、4%以上の得票率をクリアできれば、少数政党が成立・維持しやすい。各政党は左右の連合をつくり、いずれかが過半数を握ることができた。このため、長らくスウェーデン社会民主労働党の一党優位支配が続いてきた。

しかし、2010年選挙で20議席を獲得したスウェーデン民主党は、2014年選挙で49議席と躍進して、一挙にキャスティングボートを握った。

政権は比較第1党の社会民主労働党と環境党(緑の党とも訳される)の連立政権となっており、もともと政権基盤が弱かった。

環境党が連立の条件として出したのは稼働中の原発10基のうち、2基を4年以内に閉鎖するというものだったが、原発の総電力量が43%もあり、将来的に水力や風力などの持続可能なエネルギー源に置き換えていく原則を確認し、委員会設置で合意したに留まった。

我が国の左翼・リベラルと違って現実的ではある。ならば同様に右翼も現実的と考えて良いのではないか。なぜなら高福祉国家を支える方策として、継続的な移民の流入による人口増とGDP増が彼らのコンセンサスだからだ。

スウェーデン民主党は、当地や欧州のマスメディアから極右政党と名指しされているが、国内事情を考えて福祉容認は変わらない。移民の制限(移民禁止ですらない)こそ焦眉の急と訴えている。

下記のフィナンシャル・タイムズを訳した日経の記事によれば、2004年の移民数が1万8000人、2013年の5万4000人に対して2015年の移民数が約9万5000人と予想されている。

すでに約960万人の人口のうち、外国生まれが約140万人、父母共に外国生まれの子女が約40万人となっている(我が国の在留外国人は約200万人)。北欧・英国やドイツ系移民ならともかく、イスラム系が多くなる現状では世論が受け入れがたいのは当たり前と云える。

スウェーデンの解散総選挙の場合、議員任期は延長されず2014年選挙時の満了までとなる。

選挙は小選挙区制度などの急激な議席変化が期待できないため、スウェーデン民主党の後退はありえない。おそらくスウェーデン民主党を右派連合が連立政権に取り込むか、閣外協力にしなければ、毎年予算案否決で政権が倒れることになる。以外ではスウェーデン民主党を排除した左右の大連立しかない。

我が国では衆参ねじれが起きている場合、予算に必要な特例公債法案が否決されかねず、与野党妥協のために毎年政権が倒れてきた。これが数年つづくと思われる。スウェーデン社会民主労働党の一党優位支配の終わりとリベラルの概念見直しが始まったと言えるだろう。

なおスウェーデンの議会は1院制。選挙制度は比例代表制・非拘束名簿式であり、議席配分には全国で最低4%、選挙区で最低12%の得票が要件とされる。2014年選挙←2010年選挙←2006年選挙推移を併記した。

スウェーデン議会現有勢力(定数349 過半数175)

【中道左派連合】(赤緑同盟、現在政権与党、左翼党は閣外協力)
スウェーデン社会民主労働党(Sveriges Socialdemokratiska arbetarparti) 113←112←130
環境党or緑の党(Miljöpartiet de Gröna) 25←25←19
左翼党(Vänsterpartiet) 21←19←22

【中道右派連合】(スウェーデンのための同盟、野党、前連立政権)
穏健党or保守党(Moderata samlingspartiet) 84←107←97
中央党(Centerpartiet) 22←23←29
人民自由党(Folkpartiet Liberalerna) 19←24←28
キリスト教民主党(Kristdemokraterna) 16←19←24

【独立勢力】
スウェーデン民主党(Sverigedemokraterna) 49←20←0

[FT]移民巡るスウェーデンの政局混乱、欧州に警鐘 2014/12/5 16:05 日経

スウェーデンは長い間、有名な社会モデルでも金融危機への対応でも、ほかの欧州各国の政策の模範となってきた。

 だが、今週の政局の混乱で、ポピュリズム政党が不安定な状態をもたらす欧州の先例となる危険が高まっている。

 反移民を掲げる民主党は発足からまだ2カ月の中道左派政権を倒すことに成功した。これに伴い、スウェーデンでは来年3月22日に約半世紀ぶりの解散による総選挙が実施される。

 ほかの欧州各国では、英国独立党(UKIP)やフランスの国民戦線(FN)、スペインのポデモス、フィンランドの真正フィン人党など反既成政党の勢力が支持を急速に伸ばしている。各国の既成政党はスウェーデンが同様の運命からどう逃れるかを注視することになりそうだ。

■世論は移民問題に否定的

 スウェーデンの政治専門家や他党の政治家は、民主党があえて伝統を破り、政府の予算案を否決することはないと踏んでいた。だが実際には、民主党はちゅうちょなく否決に踏み切った。しかも(次回の総選挙の)得票率は9月に躍進した際の13%を上回る可能性が高いため、今回の政局で唯一の勝者になるだろう。同党は来年3月の総選挙を、人口1人あたりの移民受け入れ比率が欧州で最も高い同国で移民の是非を問う国民投票と位置づけようとしている。

 これはスウェーデンがほかの国と違う点だ。移民問題で既成政党がUKIPの後を追う英国とは異なり、スウェーデンではこれまでほかの7党の間で意見が一致していた。来年の移民数は9万5000人と予想され、10年前の1万8000人や13年の5万4000人から急増しているのに、移民の制限を訴えているのは民主党しかない。

 だが、世論はもっと否定的だ。シンクタンクのジャーマン・マーシャル・ファンドがスウェーデン市民を対象に実施した調査によると、政府の移民問題への対応を支持しないと答えたのは38%で、移民が社会にうまく融和できていないとの回答は65%にのぼっている。

 各会派が予算案を提示するスウェーデンの政治制度には、これまでは少数与党でも存続しやすい利点があったが、現状では膠着状態を招く恐れが出ている。キャスチングボートを握る民主党は、移民増加を想定した予算案を断固として否決すると警告している。

 スウェーデンの混乱を解決する手段は2つある。どちらも欧州にも当てはめることができる。ひとつは左派と右派が連携する「大連立」で、ドイツや隣国のフィンランドでもみられる。

 スウェーデンのローベン首相は「会派を超えた」連携の可能性に言及している。これは政党間の政策の違いがかなり小さいスウェーデンでは比較的たやすいはずだ。

 ただし、次回の総選挙は政策よりも、左派か右派が連立を組めるかが焦点になるかもしれない。ポピュリズム政党が台風の目になるからだ。このため、中道右派がこれまで距離を置いてきた民主党に近づくかもしれないことがもうひとつの解決策になる。ただ、中道右派4党が移民を90%削減するという民主党の案に同意する可能性は低い。

 北欧諸国は長い間、欧州の大半の地域で政治が動揺している時も安定しているオアシスだとみられてきた。今週の事態は、経済や財政が比較的強くても、ポピュリズム政党が安定を揺るがし、政治的混乱を引き起こす可能性があることを示している。

By Richard Milne

(2014年12月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


スウェーデン首相にロベーン氏 議会が承認 2014/10/2 23:48 日経

スウェーデン総選挙は左派勝利で政権交代へ、少数与党の見通し 2014年 09月 15日 16:30 JST ロイター

参考URL:
スウェーデンにおける選挙政治の変容と 新右翼政党の議会進出 2013年 龍谷大学(渡辺博明) PDFファイル

ユーロ圏に『18人もいる!』

軍事的にはロシアへの恐怖、文化的にはドイツへの憧憬、経済的には北欧(特にスウェーデン)への依存。これらがバルト三国の共通した傾向だろう。ギリシア、ポルトガルとスペインの惨状を間近にしても、なお好んでユーロ圏の地獄に入るという訳がわからない状況だ。

しかし、以前2012年6月23日のエントリー2013年3月25日のエントリーで言及したが、オフショア金融センターとしてロシアの富豪たちの資金逃避先の一つとなっていたキプロスが事実上陥落した以上、その代替国としての可能性はあるかもしれない、と思いきや、ドル決済を武器にできる米国は機先を制してきた。

我が国の傾向、というより家計を預かるとき、総合スーパー(GMS)や地場のスーパーを見ると、円安傾向の中で独自通貨のトルコやポーランド、さらにユーロ圏で経常収支の悪化しているスペインの一般消費財、特に食料品が多く店頭に並ぶようになった。これまたあまり知られていない中堅・中小の商社が輸入し始めている。

ラトビアは、ギリシアのように輸入品も見かけない。産業も継承者もいない。おそらくは若年労働者もドイツに移民を始めるだろう。

歴史は繰り返すとは言うけれど、かつてのハンザ同盟のようにモノ・ヒト・カネの盛んな流れは最早なく、ヒトが一方向にしか流れないかもしれない。またソ連のバルト三国併合はあからさまな事態は起きないが、かつての北方戦争のようにスウェーデンとロシアの静かで壮絶な草刈り場と化すかもしれない。

ラトビアがユーロ導入、18カ国目 2014年 01月 2日 17:46 JST ロイター

[リガ 1日 ロイター] -バルト3国の1つであるラトビアで1日、欧州単一通貨ユーロが導入された。ユーロ導入は同国が18カ国目となる。

ドムブロフスキス暫定首相はユーロ導入の式典で、ユーロ導入は同国にとって好機であるが、豊かさを保証していないとし、財政政策を緩めるべきではないと指摘した。

暫定首相は、「責任ある財政およびマクロ経済政策を実行しない言い訳にはならない」と強調した。

ラトビアは2008─10年に経済危機に見舞われたが、政府が厳格な緊縮政策を実施後、2012年の経済成長率は5.6%となった。欧州連合(EU)の当局者はラトビアの取り組みを高く評価している。

欧州委員会のバローゾ委員長は今週、「ラトビアはこれまでよりも強固な状態でユーロ圏加盟を果たす。経済の厳しい調整を経験している他の国々にとって励みとなるだろう」と述べた。

ただ、懸念材料はいくつかある。欧州中央銀行(ECB)はこれまで、ラトビアの国内銀行が預かるロシア人をはじめとする外国人の預金が高水準であることがリスク要因だと警告してきた。

また、ドムブロフスキス首相が12月に辞任した後、新政権が樹立されないままでのユーロ導入となった。


JPモルガン、ラトビアの銀行向けドル決済を停止 2014/01/03 03:51 JST ブルームバーグ

1月2日(ブルームバーグ):米銀JPモルガン ・チェースは、ラトビアの金融機関に対するドル送金の決済サービスを停止した。ラトビアの銀行協会が明らかにした。JPモルガンは米監督当局からマネーロンダリング(資金洗浄)対策の強化を命じられている。

ラトビア商業銀行協会のマーティンス・ビセブスキス会長は取材に対し、「JPモルガンは重要なパートナーだった。それは間違いない」としながらも、「取り組みを前進させ、他のパートナー探しが妨げられることはない」と述べた。

ラトビアは1日、欧州単一通貨ユーロを導入し、ユーロ圏は18カ国体制となった。ラトビアをめぐっては、80億ドル(約8400億円)に上る非居住者預金に注目が集まっている。汚職防止活動を展開する団体グローバル・ウィットネスは、ラトビアの規制および顧客審査が不十分だと指摘している。JPモルガンは昨年10月11日に、約500の外国銀行に対するドル決済サービスを停止するとともに、政治的に問題のある外国人の当座預金口座を閉鎖すると明らかにした。

JPモルガンのサービス停止により、ラトビアの金融機関が国際ドル送金で利用できる西側諸国の銀行はドイツ銀行とコメルツ銀行のみとなった。

原題:JPMorgan Halts Latvia Dollar Deals After Probes, GroupSays (3)(抜粋)

移民制限が極右扱いされる国で

ノルウェーの総選挙で与党の中道左派連合が敗れ、野党の中道右派連合が勝った。2011年7月に起きたオスロ及びその郊外でのテロを多文化主義の破綻の前駆的かつ先鋭的現象と捉えれば、中道右派の勝利は自ずと理解できる。

ノルウェーの議会選挙は他の北欧諸国同様、完全な比例代表制のため、劇的な政策転換は起きない。中道政党を軸とした左右両派いずれかの連立政権が組閣される。

ノルウェーの主要政党
【中道右派連合】
自由党・・・リベラル
キリスト教民主党・・・キリスト教民主主義
保守党・・・保守主義
進歩党・・・リバタリアン

【中道左派連合】
労働党・・・社会民主主義
中央党・・・伝統的中道主義
社会主義左翼党・・・社会主義

特筆すべきなのは、進歩党が市場原理の重視や移民の制限、高福祉の縮小を唱えることで極右扱いされて、大抵は閣外協力に追い込まれていることだ。所変われば品変わるで、極右のなんたるかも変わる訳だ。

以前、2011年7月24日のエントリーで以下のように取り上げた。

福祉国家を維持する年齢構成や人口規模のために移民受け入れを奨励したとして、植民地なしの北欧では自国の言語を喋れる人材は限られる。我が国の中国残留孤児の帰国者のように満足な就職先などない。となれば、そのまま彼らが納税せず生活扶助を受け、犯罪を起こし治安が悪化すれば財政負担になり、本末転倒となる。そして彼らを受け入れる政治的方便である多文化主義が国内を社会的に分断させる。その中長期的な政治的コストは誰も算定できない。

おそらくこの選挙結果は、北欧全体にとって高福祉と移民許容、男女平等などの過度なリベラルな政策を緩やかに転換していく分岐点になると思われる。

たとえば女性の社会進出を義務づけた(企業の取締役の40%を女性にする)クォーター制などは見直されていくだろう。これは、逆差別に繋がりやすい典型的なアファーマティブ・アクションだからだ。

ノルウェー選挙は野党の中道右派連合が大勝、連立交渉は難航も 2013年 09月 10日 09:04 JST ロイター

[オスロ 10日 ロイター] - 9日に投開票が行われたノルウェー議会選挙では、野党の中道右派連合が大勝し、同連合を率いる保守党のエルナ・ソルベルグ党首が次期首相に就任する見通しとなった。

保守党は、石油資源や国営会社に依存する経済を多様化し、世界最高水準の部類に属する税率について一部を引き下げると約束している。ただ、これまでの石油収入をもっと歳出に回すべきと主張するとともに、移民の制限を掲げる右派の進歩党との間では、連立政権樹立に向けて厳しい交渉を迫られる。

投票集計率76%の段階で、保守党と進歩党、自由党、キリスト教民主党の中道右派連合は、過半数を11議席上回る96議席を確保する見込み。一方で労働党を中心とする中道左派の与党連合は72議席にとどまり、2期8年にわたって職務を遂行してきたストルテンベルグ首相は退陣を表明した。

ノルウェーは過去10年間、海底油田産業の活況のおかげで、ユーロ圏の危機もほとんど波及せずに経済的な繁栄を享受してきた。しかし現在は成長率が鈍化し、競争力も伸び悩んでおり、ストルテンベルグ首相は有権者から好況期間を無為に過ごしたとの批判を浴びた。

こうした中で選挙に勝利したソルベルグ氏は「有権者は中道右派連合に歴史的な勝利をもたらしてくれた。われわれはこの国に新しい政府を与えるだろう」と語った。

ソルベルグ氏にとって最も厄介な仕事は、反移民と反税金を掲げて初めて与党に加わる進歩党をなだめることになる。

進歩党は以前に比べると論調を和らげたとはいえ、なお政権入りするには過激過ぎるとの見方が一部から出ている。2011年に爆破・銃乱射事件を起こしたブレイビク被告がかつて所属したという経緯もある。

政権確保にやはり必要なキリスト教民主党と自由党は、いずれも進歩党の移民や歳出に関する政策には反対で、連立を組むことに乗り気ではない。

ノルウェー社会調査研究所のヨハネス・ベルグ研究員は「進歩党と中道政党側の考えの違いは大きい」と指摘。政権は成立するだろうが、その道のりは非常に険しくなるとの見方を示した。

ローカライゼーションを拒む多文化主義の傲慢さ

以前、2013年5月30日のエントリーで、英国におけるジャマイカ人のレゲエとパキスタン人のバングラ・ビートというふたつのポピュラー音楽の受容を通して、移民の同化の相違を考察した。

今さらではあるが、同じように音楽面の受容からスウェーデン・ストックホルムの移民暴動を考察したい。

北欧はハードロック、ヘビーメタル好きで知られている。つとにフィンランドはヘビーメタルのバンドが多い。民族的にタテノリが得意で、R&Bが不得意なのかもしれない。

そのハードロック好きの流れかもしれないが、去年のサマソニに出ていたヴィジアル系バンドSeremedyのボーカリストYOHIOが今年の「ユーロビジョン」のスウェーデン決勝で準優勝という結果を残した。

「ユーロビジョン」は、アバやジンギスカンなどのアーティストを輩出している。

彼はともすれば我が国のヴィジアル系について、辛辣になりがちな質問、たとえばホモかヘテロか、もしくは女装趣味なのかに関して、正確にグラム・ロック期のデヴィッド・ボウイや初期のキッスからの影響を把握した上で、あくまで理性的に応えている。

結果として、彼は我が国の文化をローカライゼーションしている訳だ。一方で、スウェーデンに来ている移民の文化はローカライゼーションされていない。1970年代以降のスウェーディッシュ・ポップでは、1990年代にエイス・オブ・ベイスがレゲエを受容しているが、白人のみのバンド構成である。

階級別や人種別ではなく、所得別に移民が隔離されているとしても、集住した地域で自分たちの文化を保持することは間違いない。なぜならスウェーデンの国是は多文化主義だからだ。それでもなお移民以外のスウェーデン人に移民の文化は受け入れられていない。では彼らスウェーデン人は保守的すぎるのか。それも違う。

ロナルド・イングルハートの世界価値観調査でも、スウェーデン人は世俗的・合理的でかつ世界一、個人主義的であり、日本人に近く保守的ではない。たとえ実例が少数であってもレゲエやヴィジュアル系は受け入れられているではないか。

その文化に魅力がない、という身も蓋もない可能性はさておき、多文化主義そのものがローカライゼーションを拒む政策であることは間違いない。移民の文化は純粋に保持され、現地民への同化を促す契機はない。加えて現地民側にも受け入れる機運は求められない。つまり、そこには文化を受容する際の葛藤もなければ、そこから生まれる新たな文化の可能性もない。

ドイツ・北欧圏の若年層がギャルサーをつくったり、ゴシック・ロリータの服を自作したり、ヴィジュアル系のバンドを結成したりする現在に、その前段階で、多文化主義そのものが文化の受容を拒んでいる。究極の寛容が究極の不寛容を生んだのであって、移民暴動の根本的原因は経済的格差ではなく、政策決定即ち、多文化主義の裏返った傲慢さに起因しているということになる。

スウェーデンの暴動、経済格差の拡大示す 2013年 5月 27日 12:19 JST WSJ日本版

焦点:移民大国スウェーデン、暴動で露呈した「寛容政策」のひずみ 2013年 05月 26日 10:56 JST ロイター

移民大国スウェーデンで暴動相次ぐ 募る不満、どうなる欧州の寛容政策 2013.5.28 07:39 MSN産経

参考URL:
The WVS Cultural Map of the World

参考動画:
YOHIO on Swedish TV (Skavlan) english sub

ふたつの恐怖を秤に掛けて

リトアニア国民が投票によって、原発建設に反対してからも各国の原発建設計画が進められている。世界は“脱原発”の趨勢に動いているように思えない。また、リトアニアの国民投票の結果は政策変更に対する拘束力を持たない。もともと、リトアニアの原発計画はロシアへのエネルギー依存を減らすためのものだった。

となると、“脱原発”の選択は、原発のメルトダウンによる放射線障害への恐怖とエネルギー依存含む安全保障への恐怖というふたつの恐怖を秤に掛けた上で決められるように思われる。

“脱原発”方針の急先鋒はドイツだが、彼らとて国内の原発を未だに全廃できていない上に、ロシアとパイプラインを直結してしまっている。

それでもそうした方針を定められるのは、ロシアに対する集団安全保障(NATO)が存在して、核兵器を保有していなくても、米国と戦術核におけるニュークリア・シェアリングを結んでいるからだ。NATO自体、東方拡大して縦深が深くなっているのも好材料だろう。そして、なによりライン川の向こう側の宿敵だったフランスとEUをつくり、彼らの原発の電力を融通して貰えるからではないか。

リトアニア含むバルト3国の対ロシア恐怖症を考慮すれば、リトアニアの国民投票の結果を議会がそのままポピュリズム的に受け入れるのではなく、戦略的に原発建設を優先する可能性は残っていることになる。

リトアニアの原発建設計画、国民投票で反対が優勢 2012年 10月 15日 19:09 JST ロイター

[ビリニュス(リトアニア)15日 ロイター] リトアニアで14日実施された原発建設の是非を問う国民投票で、国民の多くが建設反対の意思を示した。昨年の福島での原発事故が影響したとみられる。

今回の国民投票の結果は強制力を持たず、原発建設計画の白紙撤回にはつながらないものの、ロシアへのエネルギー依存度を和らげることを目指した将来の原発政策に大きな疑問を残すものとなった。

リトアニア国内の約75%の地区の開票結果によると、反対票は62.7%、賛成票は33.96%だった。

また、投票率は約52%と、国民投票の成立に必要な50%をわずかに上回った。

この計画では、日立製作所(6501.T: 株価, ニュース, レポート)と米ゼネラル・エレクトリック(GE.N: 株価, 企業情報, レポート)の原子力事業合弁会社が原発を建設する見込みで、隣国のラトビアとエストニアも計画に関わっている。

リトアニア財務省によると、原発の建設費用は68億ユーロ。


中国は原発建設計画を再開、15年までに沿岸部で若干数承認へ 2012年 10月 25日 14:28 JST ロイター

[北京 24日 ロイター] 中国政府は24日、エネルギーセクターの最新の5カ年計画(2011─15年)を発表し、2015年までに国内の沿岸部に限って若干数の原発の新設プロジェクトを承認する方針を示した。

中国は、昨年3月に起きた東日本大震災後の東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原子力発電所での事故を受けて国内での原発建設計画を見合わせていた。新設プロジェクトの認可を再開することでエネルギー分野の民間投資を促進し、景気刺激につなげる狙いがある。

当局による原発建設計画の一時停止で原発設備関連の長期契約が凍結していた、上海電気集団(601727.SS: 株価, 企業情報, レポート)や東方電気(600875.SS: 株価, 企業情報, レポート)といった国内の重電メーカーにとって、これは朗報となる。

また中国政府が、新たに建設される原子炉については安全性のより高い「第3世代」技術を採用する必要があるとしたことから、第3世代炉を手がける仏原子力大手アレバ(AREVA.PA: 株価, 企業情報, レポート)や東芝(6502.T: 株価, ニュース, レポート)の子会社である米原発プラント大手ウェスチングハウスなどにも恩恵が及ぶ可能性がある。


チェコCEZ、原発事業入札で仏アレバを再選考とせず 2012年 10月 30日 11:36 JST ロイター

[プラハ 29日 ロイター] チェコ南部テメリン原発の拡張事業の発注先を決める入札で選考外とされた仏原子力大手アレバ(AREVA.PA: 株価, 企業情報, レポート)が決定の見直しを求めていた問題で、発注元のチェコ国営電力会社CEZ(CEZPsp.PR: 株価, 企業情報, レポート)は29日、アレバを選考対象に戻さない方針を明らかにした。

同事業の入札では、アレバに加え東芝(6502.T: 株価, ニュース, レポート)傘下のウエスチングハウスとロシアのアトムストロイエクスポルトの3社が応札したが、CEZは今月、アレバはビジネスと法律の両面で基準を満たしていないとして、同社を選考対象から外した。このため、今回の決定は予想されていた。

CEZは声明で「個々の理由を慎重に検討した結果、(CEZはアレバの)反論を支持しなかった」と説明。ただ、アレバは公共入札を監督するチェコの競争監督当局に申し立てを行う可能性があるとした。

同原発の拡張計画は100億ドルを超える規模とみられている。CEZは来年に発注先を選定する見通し。


日立が英の原発事業会社ホライズン買収、海外展開強化 2012年 10月 30日 23:44 JST ロイター

[東京/ベルリン 30日 ロイター] 日立製作所(6501.T: 株価, ニュース, レポート)は30日、英国で原子力発電所建設を計画している事業会社ホライズン・ニュークリア・パワーを買収すると正式に発表した。買収額は6億7000万ポンド(約854億円)。東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第一原発事故の影響で国内での原発新設が難しいなか、日立は買収により海外での事業拡大を図る。

日立は、ホライズンの株式を保有する独電力・エネルギー大手RWE(RWEG.DE: 株価, 企業情報, レポート)と同業エーオン(EONGn.DE: 株価, 企業情報, レポート)から全株式を取得し、11月中に買収を完了する予定。RWEとエーオンは買収額を6億9600万ポンドと発表したが、日立の羽生正治執行役常務によると、その金額にはホライズンが保有する現金が含まれており、現金が両社に戻されるため、日立が拠出する買収費用は2600万ポンド下回る。

都内で会見した羽生常務は、買収目的について「発電所を建設する場が欲しかった」と説明。また、当初は出資比率が100%となるが、5年ほどかかると想定している許認可取得後の原発建設時には出資パートナーを募る予定で、最終的には過半数の株式を売却したい意向を示した。高額になる原発建設費用を抑えるとともに、日立が現状では事業として関われない電力会社などのパートナーを探す予定。

日立は今後、ホライズンの事業計画を引き継ぎ、英国の2カ所での130万キロワット級の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を計4―6基建設する。このうち最初の1基は2020年代前半の運転開始を目指す。日立は原発建設と稼働後の保守・管理を請け負う方針。

原発建設費用は精査中として公表しなかった。原発の建設費は1基5000億円前後とされており、資金調達の具体的な手段については、財務アドバイザー(FA)のみずほフィナンシャルグループ(8411.T: 株価, ニュース, レポート)と米投資銀行エバコア・パートナーズと相談中で、政府系金融機関からの調達も検討する。羽生常務は、投資回収には18年程度かかる見通しで、出資と融資の割合は3対7を想定していると語った。

ホライズンはRWEとエーオン2社が出資し、英国で原発事業を展開するため2009年に設立した。しかしドイツ政府が脱原発政策に転じたのを受け、今年3月に売却する方針を表明、買い手を探していた。

日立は20年度の原子力事業の売上高を1600億円だった11年度に比べ、約2.3倍となる3600億円に増やす目標を掲げている。日立の受注が内定していたリトアニアでの原発建設計画が10月の国民投票で反対多数となるなど、海外での事業環境も先行き不透明感が強まっており、今回のホライズン買収で海外開拓に弾みをつけたい考えだ。

(ロイターニュース 白木真紀;編集 大林優香)

*内容を追加して再送します。

ひとりならば狂気、全員ならば正義

ノルウェーの銃乱射・爆破事件の容疑者は精神障害で責任能力なし、と判断されたらしい。ノルウェーの司法もとより社会が現実を拒否した結果のように思われる。

ノルウェー乱射容疑者は「精神障害」、治療施設収容の公算 2011年 11月 30日 07:49 JST ロイター

[オスロ 29日 ロイター] 今年7月に77人の犠牲者を出したノルウェーの銃乱射・爆破事件で逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者について、裁判所が任命した精神科医らは29日、犯行当時、妄想型統合失調症で責任能力がなかったと結論付ける鑑定書を提出した。

鑑定結果を受けて記者会見した検察当局は、「結論は精神障害というものだ。彼は妄想の世界で生きており、思考や行動はその妄想で支配されている」と語った。

同精神鑑定書を裁判所が受け入れれば、ブレイビク容疑者は刑務所ではなく、治療施設に入れられる公算が高い。裁判所は鑑定結果を拒否して再鑑定を指示することもできるが、その可能性は低いとみられる。社会に対する脅威と判断される限りは治療施設内に収容され続けるが、回復したと判断された段階で社会に戻る可能性もあるという。

銃乱射事件の生存者の1人は、ロイターの取材に「自分にとって一番重要なのはブレイビクを罰することではない。彼がこれ以上、社会を脅かすことがないようにすることだ」と語った。

事件は今年7月、ノルウェーの首都オスロと郊外のウトヤ島で発生。銃乱射が起きたウトヤ島では当時、与党・労働党の青年部会の集会が開かれていた。目撃情報などによると、警察官姿で現れたブレイビク容疑者が若者たちに向かって銃を乱射。特殊部隊が島に到着して容疑者の身柄を確保するまで、銃乱射は約1時間半に及んだという。

今月に入って行われた初公判前の尋問では、ブレイビク容疑者は「私はノルウェーのレジスタンス運動における司令官であり、テンプル騎士団でもある」と発言。「私が行った行為については認めるが、罪は認めない」とした上で、多文化主義を支持するノルウェーの司法には従わないと主張していた。


この論理を突き詰めれば、ユダヤ人600万人を虐殺したと豪語したヒムラーも「精神障害」だったことになりはしないか。要するには悪かったのは全てナチスであって、嬉々としてユダヤ人迫害に参加した市井の人々(協力したのはドイツ人に限らなかった)は無実だったと云わなければならないのと同じではないか。

そのように相手を狂人と決めつけることで自らが正しいとするのは、社会全体のフィクション、全員が信じなければならない一種の虚構を守るためには必要かもしれない。だがしかし、虚構を信じることもまた狂気ではないのか。虚構も、ひとりだけが唱えるならば狂気、社会全体が唱えるならば正義となるわけだ。

どちらにせよ多文化主義は破綻する

ノルウェー・オスロ及びその郊外でのテロの背景には、多文化主義の破綻がある。PIIGS危機のさなかでEU以外からの移民を受け入れる余裕がなくなっている今こそ、混乱するマグレブからの難民流入を食い止めなければならない。それがリビア内戦への介入の一因となっている。現にフランスは、本来は自由な域内移動で認められているイタリアとの間でチュニジアからの経済難民に関して揉めているのだ。

容疑者 銃所有、菜園経営「キリスト教徒で保守派」2011.7.23 19:06 MSN産経

テロの脅威最少の国での犯行を外交評論家が分析 2011.7.23 20:25 MSN産経

狙われた「平和の象徴」移民排斥の声強く 2011.7.23 21:44 MSN産経

首相を狙った連続テロ 92人死亡、32歳男逮捕 2011.7.23 23:36 MSN産経

「平和の国」で起きた大量殺戮 2011.7.23 23:46 MSN産経

容疑者「犯行必要だった」 1時間半にわたり乱射 2011.7.24 10:11 2011.7.24 10:11 MSN産経

「爆弾作りに80日」犯行前、ネットに文書 入念準備か 2011.7.24 18:59 MSN産経

テロの被害にあった与党・労働党の集会に参加していた青年たちに、多くのアラブ系や黒人系がいたことからも多文化主義の浸透度合いとその反動としてのキリスト教原理主義に基づくテロの凶悪さが分かる。そもそもアラブ・中東やブラックアフリカに植民地を持っていなかった北欧各国が移民を受け入れる歴史的経緯はないはずだ。

福祉国家を維持する年齢構成や人口規模のために移民受け入れを奨励したとして、植民地なしの北欧では自国の言語を喋れる人材は限られる。我が国の中国残留孤児の帰国者のように満足な就職先などない。となれば、そのまま彼らが納税せず生活扶助を受け、犯罪を起こし治安が悪化すれば財政負担になり、本末転倒となる。そして彼らを受け入れる政治的方便である多文化主義が国内を社会的に分断させる。その中長期的な政治的コストは誰も算定できない。

その危惧に対して最大野党の進歩党が、市場原理を導入して過度な福祉国家からの修正と自国文化を尊重できない移民の禁止を求めることさえも急進的と捉えられる国情では、極右的な考えを受け入れる素地は少なかったろう。かくて犯人は法廷でのみ、ようやく最も大きな声で自らの正義を開陳することができるわけだ。

さて、この事件のためだけに死刑を復活させることはあるだろうか。法の不遡及を否定した時点で民主主義の理念の根幹をひとつ否定することになるだろう。また犯人の主張を法廷で述べさせなかったり、マスコミが公表しなければ、それも多文化主義の否定となる。信教と言論の自由とは本来、悪魔を信仰していることを告白する自由にほかならないからだ。経済的、思想的どちらにせよ多文化主義は破綻せざるを得ないだろう。
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