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生活水準に遜色なし、とメキシコ人が云う

ピュー・リサーチ・センター(ピュー研究所)は、メキシコを経由する合法・不法移民の実態を伝えている。

以前の2015年11月27日のエントリーで述べた通り、

ヒスパニック、特に米国に在住するメキシコ移民が減少すると同時に、米国からメキシコへ帰国する元移民が増加している。

この背景にはリーマン・ショックによって住宅を手放したヒスパニック、リショアリングによって製造業がますます盛んになっているメキシコ国内の事情がある。

ヒスパニック系はサブプライムローンの主要顧客でもあった。住宅を手放さず、米国に留まったヒスパニックは急速にカトリックからプロテスタントに改宗している。

5 facts about Mexico and immigration to the U.S. FEBRUARY 11, 2016 Pew Research Center Fact Tank

メキシコは南部国境に接する中米諸国(グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル)からの不正移民を、2015年には約15万人強制送還している。

こうした強制送還の執行が増えているにも関わらず、2015年10月1日から2016年1月31日までに2万4616世帯と、親などの同伴者のいない子供2万455人が米国-メキシコ国境を越境した。

子供の単身入国については、保護された時点で合法的な移民に変われるので、戸籍を売買した可能性もある親権者が名乗り、合法的に入国しようと図り、社会問題となっている。

しかし、キューバ~メキシコ~米国と不法越境するキューバ人は2015年では4万3159人と中米諸国からのそれよりも多い。

他方、メキシコ人の米国移民は減少している。1995年から2000年の間では約294万人ものメキシコ人が米国へ流入した。

しかし、リーマン・ショック以降ではメキシコ~米国よりも、米国~メキシコへ帰還するヒスパニックの方が多くなった。2009年から2014年の間に約100万人のヒスパニック系米国人が帰還する一方で、不法合法問わず米国への移民は約87万人に留まった。

移民減少については、米国とメキシコの生活水準は同じである、という認識が広がっていることが、その背景にある。2015年、成人に達しているメキシコ人の33%がメキシコの暮らしは米国と遜色ないと答えており、2007年の23%から上昇している。

止めどない不法移民の流入を防ぐために移民の出先を豊かにして、予め社会の不安要因を取り除く意味合いでは、我が国が支那本土や東南アジア諸国に投融資し、米国がメキシコに投融資したことは、欧州が難民危機に見舞われている一方で相対的に正しかったと云える。
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キューバとシリアにおける米露協調

中南米のキューバにおいて、フランシスコ教皇とロシア正教会の総主教が会談を行った。バチカンでもなく、モスクワでもなく、ましてや福音派のいる米国の何処かでもなく、選ばれた場所はキューバであった。そこに何らかの政治的意図や水面下の政治的働きかけが隠されているのではなかろうか。

米国とキューバの国交を回復させる橋渡し役となったバチカンは、米国の資本流入を助けて、社会主義のラウル・カストロ政権を打倒して、“カリブの春”を演出するのではないか、と筆者は考えていた(2014年12月26日のエントリー参照)。

現在のロシア連邦は共産主義でも社会主義でもない。プーチン政権とロシア正教会との関係は良好と云って良い。バチカンはオバマ政権(~ケリー国務長官)とプーチン政権との橋渡し役にロシア正教会を使ったのではないか。その傍証として、キューバにおけるカトリックとロシア正教会の会談から類推したい。

シリア内戦の和平交渉に見られる米露協調と同様に、キューバの現体制維持に関する米露協調も存在していて、ラウル・カストロ政権は続くもの、としよう。

シリアにおける協調の必要性から、キューバにおける協調も派生したのかもしれないし、もともと連携していたのかもしれない。そして、この協調にはオバマ政権だけが関与していて、議会の多数派を占める共和党や国防総省などは関与していない、と思われる。

Pope meets Orthodox patriarch but reunion of churches unlikely, Tokyo priests say FEB 13, 2016 The Japan Times

カトリックとロシア正教会をつなぐ接点のひとつは、内戦下のシリアの正教会と東方典礼カトリックの悲惨な境遇にある。シリアでキリスト者が生存するためにはアサド政権の庇護下に入らざるを得ない。

ISIS(イスラム国)は彼らを容赦なく虐殺するか奴隷にするであろうし、アサド政権に抗するムスリムもまた原理主義に傾くし、クルド人も勢力範囲を拡げるために他の民族集団と宗教集団を弾圧・追放する。

現状最も自国民を殺して、難民の境遇に追いやっているのはアラブ社会主義を掲げるアサド政権に間違いはない。しかし、その無慈悲さは政権に反対する者には宗派の別なく平等にもたらされる。つまり、この無慈悲な平等にしか宗教的多様性が存在しないところにシリア内戦の度し難さが表れている。

米露はアサド政権の存続について対立しているものの、ISIS(イスラム国)の打倒では一致している。アサド政権もしくはその後継となるであろうアラブ社会主義政権をカトリックとロシア正教会が擁護せざるを得ない以上、オバマ政権とプーチン政権にその旨を働きかけしている、と見るのが自然であろう。

“ボリバル革命”という共同幻想

チャベス前大統領の“ボリバル革命”が呪縛となって、ベネズエラのマドゥロ政権はここ2年世界で最も悲惨な経済という不名誉の中でもがいている。原油の50~60%を米国に輸出しながら、それを原資として国家予算の40%を社会福祉に回してきた。

原油価格が1バレル50~120ドルで高止まりしていた時期(2005年~2014年)は、チャベス政権が2002年のクーデターを乗り越えて相対的に安定した2期目(2004年~2007年)、全盛期の3期目(2007年~2013年)、任期半ばで倒れた4期目(2013年)と重なっている。

この外的要因を自らの功績と考えたかどうかは知らない。しかし、極左の“ボリバル革命”を打倒するカウンターとしての軍部はチャベス政権時にクーデターに失敗して、代替となりうる政治勢力が弱まっている。軍部が再度、クーデターなり何らかの打開策を見出さない限り、ベネズエラは“ボリバル革命”という共同幻想の中で緩やかに死んでいく。

These Are the World's Most Miserable Economies February 4, 2016 — 7:00 PM JST Bloomberg Business

与党・ベネズエラ統一社会党(PSUV)が“ボリバル革命”の一定の成果を保ちたければ、ラテンアメリカのポプリスモの究極の形のひとつとしての先達、メキシコの制度的革命党(PRI)のように左右両極を包摂する形で利害調整を行わなければならないはずだった。

本来、長期政権というものは往々にして左右両派の極端な勢力を切り捨てて、中道化していくものである。“ボリバル革命”の現在が中道というのならば、ラテンアメリカのポプリスモは度し難い。

オバマ政権の最後の1年と“カリブの春”

オバマ大統領最後の任期となる1年もまた、党派対立の中で始まる。上下両院は相変わらず共和党が抑えているため、立法によらず大統領令によって自らの政策を実行することを一般教書演説で述べた。

先日の新しい銃の販売規制がそうであったように、こうした大統領令の濫発は三権分立を壊していくものであるし、左右の党派対立を激しくするばかりとなる。演説の上手さで引き立てられた大統領だけに、議会に根回しして、利害を調整する能力がなかったことも対立を助長させた。

外交面でも、長年米国と対立してきた諸外国との関係改善に、レガシーづくりの機会を見出している。大統領の行っているイラン、キューバといった国々との接近は当然のごとく、共和党と従来の同盟国・友好国の反発を買うには充分すぎるほどだ。

オバマ大統領、最後の年に立ち上がれるか 2016 年 1 月 12 日 14:01 JST 更新 WSJ日本版

【オピニオン】北朝鮮とキューバを結ぶ危険な点と線 2016 年 1 月 12 日 12:41 JST WSJ日本版

ウォール・ストリート・ジャーナルは、行方不明になった米国製のヘルファイアミサイルが「キューバに到着している公算が大きい」ことを国務省が2014年6月には知っていた、と報じた。 キューバとの国交正常化交渉は同じ2014年12月に始まった。2015年4月には国務省はテロ指定国解除を勧告して、2015年7月には国交正常化している。

もしも、国務省がこのヘルファイアミサイルの件をリークしていれば、政権にとっては、リビアの“ベンガジ・ゲート”事件のように打撃となり、国交正常化は頓挫したかもしれない、と上記の記事は指摘する。そして、未だに北朝鮮とキューバは友好関係を保っており、両国間で軍事技術や物資が行き交う可能性がある。

史上初のイエズス会出身、南米出身としても初のフランシスコ教皇は、カリブ・中南米にかけて戦略的な外交を仕掛けている。バチカンに協力したオバマ政権がレガシーづくりのためだけにキューバとの国交正常化を選んだならば、“カリブの春”が起きた場合にはアラブ・中東のように混乱を収拾できなくなるかもしれない。

2020年のニカラグア運河開通ならず

上海株式市場のバブル崩壊の煽りを受けて、ニカラグア運河の利権を持っている香港ニカラグア運河開発投資公司(HKND Group)は、2016年まで運河の建設着工を延期する、という報道があった。この野心的な計画は当初、2020年までの開通を予定していたが、これが遠ざかっただけではなく計画頓挫の可能性も強まってきた。

Chinese company postpones US$50 billion canal project in Nicaragua as chairman’s personal fortune tumbles Thursday, 26 November, 2015, 2:11pm South China Morning Post

投資グループの香港ニカラグア運河開発投資公司(HKND Group)に対して、ニカラグア運河のファイナンス、設計・開発・建設・メンテナンスから所有・操業管理に関する50年間リースの利権が2013年6月、ニカラグア政府から付与された。

グループを率いるのは、信威通信産業集団(Beijing Xinwei Telecom Technology Group Co., Ltd.)という通信キャリアを経営する王靖(Wang Jing)。しかし、上海株式市場のバブル崩壊の煽りをまともに喰らい、彼の資産時価総額は$10.2 billionから$1.1 billionへと84%急減した。

着工延期は、手元の現金が不足し始めている現状を示している。製鉄所の鉄鉱石在庫投げ売りなども起きている。

アングル:苦境の中国製鉄所、鉄鉱石在庫を投げ売り 2015年 12月 7日 14:42 JST ロイター

さて、ニカラグア運河の建設構想は、中国共産党の“一帯一路”からは外れているが、パナマ運河とその運河地帯の戦略的価値を下げて、ニカラグアに中国共産党の牙城をつくる意味合いは大きい。

もしも実現性を高めたいならば、民間ベースではなく、共産党と国有企業が前面に出て来るべきだろう。

アルゼンチン大統領選で保守派候補が勝利 政権交代へ 2015年11月23日 BBC

ベネズエラ国会議員選で野党連合勝利、大統領が敗北認める 2015年 12月 7日 16:35 JST ロイター

折しも中国経済の減速とともに中南米では、反米を唱える左派のポピュリズム政権が窮地に立たされている。

アルゼンチン大統領選は決選投票まで進み、保守派のマクリ氏が逆転勝利を果たした。また、ベネズエラ議会選はマドゥロ大統領率いる与党が過半数を失った。

彼らの外交的スタンスと経済的利権の分配を支えていた中国向けの輸出と中国からの投融資の減少は、彼らの政権基盤そのものを崩している。

ヒスパニックを撥ね付けるプロテスタンティズム

2010年の中国の1人あたり名目GDPは4382ドルで10年前の約2倍、このまま推移すれば、あと10年でメキシコの1人あたり名目GDPと並ぶ。人件費のみを理由とする限り、中国に生産拠点を置く意味がない。

と書いたのが、2014年3月07日のエントリーの時点で、

2014年の中国の1人あたり名目GDPは7589ドルで、あと30%ほど上昇すればメキシコの1人あたり名目GDPと並ぶ。

と書いたのが、2015年7月8日のエントリーの時点。

人口において我が国とほぼ同数で米国に隣接するメキシコ、米国と平準化していくNAFTAの労務コスト、中共からの流通コストを考えれば、まずは製造業、のちにサービス業の直接投資(FDI)が増加するのは明らかだろう。

米国へのリショアリングは隣接するメキシコに及んでいる。ヒスパニック系の移民のうち、合法不法を含め、メキシコ人の占める割合が低下しているのは道理であって、北米及びNAFTAにとっては、TPP発効有無に関わらず、支那本土の生産拠点は必要ない。

下記のCNN日本版の記事では、ピュー・リサーチ・センター(ピュー研究所)の調査結果によって、ヒスパニック、特に米国に在住するメキシコ移民が減少すると同時に、米国からメキシコへ帰国する元移民の増加を伝えている。

以前、移民したヒスパニックが急速にカソリックからプロテスタントへと改宗している、というピュー・リサーチ・センター(ピュー研究所)の調査結果を2014年11月5日のエントリーで取り上げた。

わずか3年間ほどで約380~400万人がカソリック信仰から離れている。急速な改宗の理由は分からないとされているが、リーマン・ショック後の不況下、人工中絶を選択したメキシコ移民の女性を襲った自我崩壊の危機が一気呵成にカソリックからの福音派への改宗、もしくは棄教して無宗教化を促した可能性がひとつ考えられる。

自我崩壊の危機に晒されたメキシコ移民は男女問わず、中絶を容認しないカソリック的な精神世界に属しながら、中絶をせざるをない現実世界に直面したという精神的乖離に伴う自我の動揺を克服するためには、社会的自我を中絶容認か中絶反対のどちらかに合わせることで精神的自我を安定させる必要があり、そこから無宗教かプロテスタントになる選択肢があった。

この二者択一を避けたメキシコ移民は自国に帰国する選択肢を選んだのであって、経済的豊かさとその機会の享受の有無だけが理由ではない。

メキシコから米国への移民、帰国者の数を下回る 2015.11.20 Fri posted at 16:19 JST CNN日本版

(CNN) 2009~14年の間にメキシコから米国に移住した人は、米国からメキシコに戻ってきた人より少なかったことが、ピュー・リサーチ・センターの研究で明らかになった。

メキシコや米国の統計を元にした同センターの論文によれば、2009~14年の間に米国から戻ってきたメキシコ人とその家族(米国生まれの子どもを含む)の数は約100万人。一方、同時期に米国に移住したメキシコ人の数は推計87万人だった。

メキシコ人が米国を去る最大の理由は、米景気の回復が遅れていることと、母国に残してきた家族への思いだ。以前は家族に会うために母国と米国を行き来するのが容易だったが、国境管理の強化で困難になり、郷愁の念にかられて帰るケースが増えているという。

国境および米国内での不法滞在者への取り締まりが厳しくなったのも、米国への流入が減った一因かも知れない。移民税関捜査局(ICE)による強制送還数は急増し、オバマ政権は歴代政権で最も多くのメキシコ人を送還した。

「2014年度にメキシコ人の米国境での摘発数は急激に減少し、23万人になった。1971年以降最も低い水準だ」と論文は指摘する。

もっとも、09~14年にかけて母国に戻ったメキシコ人の大半は自分の意思で帰国している。強制送還された人の割合は14%に過ぎない。

メキシコ国内では「米国のほうがいい生活ができる」との見方は今でも優勢だが、成人の3分の1は米国に行っても生活は変わらないと考えている。また、アメリカに魅力を感じない人も増えてきている。

メキシコ人はこれまで長きにわたり、米国への移民で最も大きな割合を占めてきた。だが、近年ではアジア系の割合がほぼ同じくらいになりつつある。

『サンディニスタ!』とニカラグア運河

ザ・クラッシュのアルバム『サンディニスタ!』(1980年)は、当時、ニカラグア革命を起こしたサンディニスタ民族解放戦線(FSLN)政権をそのまま表題に掲げ、パンク・ロックの精神を突き詰めた、より政治的メッセージの濃い3枚組の大作であった。もっとも、前作『ロンドン・コーリング』(1979年)の方が評価も高く、セールスも良かったし、個人的にも好きではあるが。

FSLNの指導者だったダニエル・オルテガは、2007年から現在、ニカラグア大統領を務めている。2013年6月にニカラグア政府は、中国の大富豪が率いる投資グループに、ニカラグア運河のファイナンス、設計・開発・建設・メンテナンスから所有・操業管理に関する50年間リースの利権を付与した。

投資グループは、香港ニカラグア運河開発投資公司(HKND Group)という企業体で、率いるのは中共の通信キャリア、信威通信産業集団(Beijing Xinwei Telecom Technology Group Co., Ltd.)で、財を成した王靖(Wang Jing)という大富豪だ。しかし、上海株式市場のバブル崩壊の煽りをまともに喰らい、彼の資産時価総額は$10.2 billionから$1.1 billionへと84%急減した、とブルームバーグは報じている。

ニカラグア運河の完成期限は2020年とされているが、土地の収用や環境調査などは進んでおらず、その実現性は懐疑的に見られている。中国共産党の国営企業の過剰供給力を以ってしてもどうにかなるものでもない。

運河の予定地であるEl Tuleという小さな街では、建設労働者の姿を見かけることもなく、地元のJuharling Mendozaという人は「計画は進みっこない」と、2階建てゲストルーム付きの店舗併設の自宅を建てていた。

中南米・カリブ海地域での中共の壮大なインフラ整備計画は、中南米諸国特有のポプリスモ政治と同化しながら、腐敗を巻き散らす存在に成り果てるかもしれない。

ジョー・ストラマー(1952年生~2002年没)が、アルバム『サンディニスタ!』で、抑圧的な帝国主義として批判したのはチリの軍事政権、ニカラグア革命に介入する米国、アフガニスタンに介入するソ連、チベットを侵略する中国共産党だった。

その中国共産党に運河の利権を与えているのが、ニカラグア革命の指導者だったFSLNのオルテガ大統領、というのは皮肉この上ないではないか。

This Chinese Billionaire Has Lost More Than Glasenberg in 2015 October 2, 2015 — 10:54 AM JST Bloomberg Business

中資尼加拉瓜運河項目「充滿風險和不確定」 2015年 9月 30日 BBC NEWS中文

China's Building a Huge Canal in Nicaragua, But We Couldn't Find It August 20, 2015 — 6:00 AM JST Bloomberg Business

Comparing The Nicaragua Canal to Other Chinese Investments(上記記事からJPG)

一方、パナマ運河の拡張工事も約1年の遅延を経て、2016年4月に完了予定となっている。パナマ運河拡張には、日米両国の液化天然ガス(LNG)プロジェクトも関係している。2018年の輸入開始に向けて、テキサス州フリーポート、ルイジアナ州キャメロン、メリーランド州コーブポイントのLNG輸出入プロジェクトが進行しており、我が国の政府系金融、商社、電力、都市ガス、造船、海運すべてが参画している。

東シナ海~南シナ海のシーレンにおいて中共海軍が脅威になろうとしているさなか、カリブ海~パナマ運河~太平洋のシーレーンは我が国にとって、フェイルセーフの役割を担うことになる。すでに東シナ海~南シナ海の紛争の阻止限界点は突破しているのか、それとも2018年で間に合うのか。未だ分からない。

三菱重工と川重、LNG運搬船を2隻ずつ受注-新パナマ運河対応、燃費改善技術を駆使 掲載日 2015年09月10日 日刊工業新聞

パナマ運河拡張工事9割完成 来年4月完了予定 2015.7.7 12:13 産経ニュース 

パナマ拡張・スエズ複線化… 国際航路、大競争時代 2015/2/3 7:00 日経

参考URL:
パナマ運河拡張が国際物流に与える影響について 2015年5月20日 (公財)日本海事センター(PDF)

パナマ運河は日本とともに 2015.1 国際協力銀行(PDF)

パナマ運河拡張とニカラグア大運河計画 2014/9/10 JOGMEC(PDF)

パナマ運河拡張が世界の海運・造船 産業に与える影響に関する調査 2009年 3月 社団法人 日本中小型造船工業会(PDF)

パナマ運河と「ニカラグア大運河計画」との比較 2006年12月29日 国士舘大学文学部(PDF)

原油安に“ボリバル革命”は崩れ去る

チャベス前大統領は原油の50~60%を米国に輸出しながら“反米”を唱えていた。それを原資として国家予算の40%を社会福祉に回してきた。原油価格が1バレル50~120ドルで高止まりしていた時期(2005年~2014年)は、チャベス政権が2002年のクーデターを乗り越えて相対的に安定した2期目(2004年~2007年)、全盛期の3期目(2007年~2013年)、任期半ばで倒れた4期目(2013年)と重なっている。

ベネズエラ原油バスケット価格、30ドル以下に下落へ=大統領 2015年 08月 26日 12:47 JST ロイター

しかし、チャベス前大統領の跡を継いだマドゥロ大統領は原油価格の低落期と重なってしまい、チャベス前大統領の強権姿勢をそのまま行っても、潤沢な社会保障予算を回せないために政権の支持層であった貧困層の離反を抑えられない。

食糧不足で混乱するベネズエラ 略奪や闇市も横行 2015年8月26日 12:34 JST WSJ日本版

原油価格の低落によって消費財の輸入が滞り、スーパーマーケットの棚から商品が消えてしまった。まるでソビエト連邦の末期と同じ状況に陥っている。マドゥロ政権は消費財がなくなっているのをコロンビアなど近隣諸国の密輸にある、と主張しながら、全長2200キロの国境線を監視するには無理があるので、小売店での指紋認証を導入していた。

しかし、実際には生産供給能力(国内自給能力)の乏しいまま鎖国経済を敷いた政策の矛盾が露呈しているに過ぎない。すでにベネズエラ国民の2割から3割程度が1日3食を満足にありつけず、闇市と略奪が横行し始めている。不満の矛先は野党指導者の弾圧に転化して、米国が制裁措置を取り始めている。

ベネズエラ政権、人権弾圧強める 国連も懸念表明 2015年5月11日08時31分 朝日新聞

米、人権弾圧に関与の7人制裁 ベネズエラとの関係悪化の一途「反政府勢力に対する威嚇増大」 2015.3.10 20:50 産経ニュース

さらにベネズエラとコロンビアの関係も急速に悪化し始めている。ベネズエラ北西部タチラ州とコロンビアの国境地帯で消費財と麻薬の密輸を巡って小競り合いが起きた。この事件に激高したベネズエラ側が非常事態を宣言、国境検問所を閉鎖した。

南米コロンビアとベネズエラ、国境めぐる対立で大使を召還 2015年 08月 28日 15:10 JST ロイター

ベネズエラ、コロンビアとの国境を無期限で閉鎖 非常事態宣言も 2015年08月22日 15:11 AFP BB NEWS

コロンビアにしてみれば、ベネズエラが消費財の価格統制をやめれば良いことであるし、麻薬はベネズエラ国内での利権争いが絡んでいるので、何もできることはない。それでもベネズエラのコロンビア敵視姿勢はエスカレートし、タチラ州に居住していたコロンビア人の住居を破壊して、強制送還を始めた。これに恐怖した他のコロンビア人も持ち出せるだけの家財道具を担ぎながら、5000人以上が国境を越えた。ここに至ってコロンビア政府は大使召喚を決めた。

チャベス前大統領の唱えていた“ボリバル革命”は、あくまでも原油価格の高止まりという条件があってこそ存続できた。マドゥロ大統領が前大統領と同じ手法を使っても、前提条件が失われているため、強権の印象しか残らない。

メキシコへのリショアリング進む

2010年の中国の1人あたり名目GDPは4382ドルで10年前の約2倍、このまま推移すれば、あと10年でメキシコの1人あたり名目GDPと並ぶ。人件費のみを理由とする限り、中国に生産拠点を置く意味がない。

人口において我が国とほぼ同数で米国に隣接するメキシコ、NAFTAと流通コストを考えれば、まずは製造業、のちにサービス業の直接投資(FDI)が増加するのは明らかだろう。

と、2014年3月07日のエントリーで述べたが、下記の記事のように、米国へのリショアリングは隣接するメキシコに及んでいる。ヒスパニック系の移民のうち、合法不法を含め、メキシコ人の占める割合が低下しているのはこのためである。

2014年の中国の1人あたり名目GDPは7589ドルで、あと30%ほど上昇すればメキシコの1人あたり名目GDPと並ぶ。

労務コストの問題は意外と避けて通ることができず、プエルトリコ(米国のコモンウェルス)のデフォルト騒動も米国本土と同じ最低賃金を適用していることが一因となっている。米国では市町村はデフォルト可能だが、州とコモンウェルスはデフォルト不可能である。さらに、中南米・カリブ海の諸国ではベネズエラとグレナダがデフォルトする怖れがある。

ブラジル自動車生産、6月は約6年半ぶり低水準 販売も低調 2015年 07月 7日 11:16 JST ロイター

メキシコ6月の自動車生産は前年比6.7%増、輸出も増加=業界団体 2015年 07月 7日 11:19 JST ロイター

[メキシコ市 6日 ロイター] - メキシコ自動車工業会(AMIA)が6日発表した6月の自動車生産は、前年同月比6.7%増の30万6694台となった。

輸出は5.3%増の24万2720台。対米輸出が10.3%増加し、欧州向けも23.3%増えた。


プエルトリコ、債務再編作業に着手へ 8月末までに改革計画 2015年 07月 7日 11:34 JST ロイター

[ニューヨーク 6日 ロイター] - 財政危機に直面する米自治領プエルトリコは、債務再編交渉を行うためにアレハンドロ・ガルシア・パディラ知事が設置した作業グループの会合を7日から開始する。知事の事務所が6日、明らかにした。

ガルシア・パディラ知事は先週のテレビ演説で、プエルトリコは財政問題の解決に向け債務再編が必要だと訴えた。

知事はそれ以降、政府の今後の対応などをめぐり外部のアドバイザーらと協議してきた。

知事の事務所当局者によると、作業グループの初回会合は7日に政府開発銀行で開催される。

作業グループは8月30日までに経済・財政改革の最終的な計画を示すことを目指す。改革案は議会の承認が必要になる。

ハバナの米国大使館に主なし

キューバとの国交正常化は、次期大統領選におけるスイング・ステートのひとつであるフロリダ州の票の行方を大きく左右することになる。

上下両院への働きかけについては、キューバへの禁輸措置とキューバ国内の民主化支援を定めた「Helms-Burton Act」が頑然とあり、大統領令のみ、議会承認なしの禁輸解除はできない。キューバとのビジネスチャンスをちらつかせ、将来的な体制転換の含みを持たせられるか、が焦点になる。

キューバの体制転換の可能性をアピールできるかについては2014年の中間選挙のひとつ、フロリダ州知事選を振り返ると、キューバとの国交正常化を訴えたCharlie Cristが敗退している。

合衆国全体としてキューバとの国交正常化賛成が多数でも、亡命してきたキューバ系移民及びベネズエラ系移民の多いフロリダ州は国交正常化反対の傾向にあるし、有権者登録をした人々はさらに反対傾向が強い。

共和党の大統領候補のひとり、キューバ系のマルコ・ルビオ上院議員はもちろんのこと、ロバート・メネンデス上院議員(民主党、キューバ系)ですら大統領の方針に反対している。大統領は議会に禁輸解除と駐キューバ米国大使の承認を求めるであろうが、星条旗は翻っても、ハバナの米国大使館に主なしの事態もあり得る。

米・キューバ、54年ぶりに国交回復 相互に大使館設置 2015年 07月 2日 03:56 JST ロイター

[ハバナ/ワシントン 1日 ロイター] - 米国とキューバは1日、54年ぶりに国交を回復することで正式合意した。

オバマ米大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長が親書を交換し、大使館を相互に開設することで一致した。キューバ外務省は今月20日にも開設の予定としている。

オバマ大統領はホワイトハウスで声明を読み上げ、「関係の正常化に向けた歴史的な第一歩」と述べた。

ケリー米国務長官は今夏にハバナを訪問し、米大使館に米国旗を掲げるとしている。

“一帯一路”はラテンアメリカには届かない

中国共産党の李克強首相が南米諸国をブラジル~コロンビア~ペルー~チリの順で歴訪する。VOAの中文記事では“一帯一路”がラテンアメリカにも到る、と云う見出しを付けている。

ブラジルにおけるインフラ投資の目玉はブラジル~ペルーを結ぶアンデス山脈横断鉄道計画の合同調査である。

中共はブラックアフリカにおいて同様に、大西洋からインド洋を横断するアフリカ大陸横断鉄道を2018年までに実現させる方針である(2014年8月31日のエントリー参照)。

また、すでにロシアのモスクワ~カザン間の高速鉄道建設に関する覚書が露中両国間で調印された。

こうした華々しい動きで先手を取られることの多い我が国の外交ではあるが、ブラックアフリカにおけるプロジェクト・ファイナンスでは日本が中共を上回った、と英国の法律事務所が明らかにした(2015年3月25日のエントリー参照)。

同じく政府はアフリカ開発会議(TICAD)の開催周期を5年周期から3年周期へ、開催場所を国内のみから国内とアフリカの持ち回りへと変更して、6回目となるTICAD VIを2016年にケニアのナイロビで開催する方向で調整を開始した(2015年2月21日のエントリー参照)。

東南アジアでは日立製作所-三菱商事-JICAがミャンマーの鉄道信号システムを受注。中東では国際石油開発帝石が政府の後押しによってUAEアブダビの陸上油田権益を5%獲得するなど、我が国は着実に巻き返しを図っている。

さて彼らがインフラ投資の戦線拡大を行う一方で、そのウィークポイントは資本の流出である。アジアインフラ投資銀行(AIIB)もそうだ。ではBRICS銀行はどうなったのだろうか。

国際石油帝石、アブダビの陸上油田権益5%獲得 2015年 04月 27日 19:31 JST ロイター

“一帶一路”到拉美 07:03 2015年05月12日 VOA CHINESE

モスクワーカザン高速鉄道プロジェクトにおける「中国元素」  2015年05月14日11:28 人民網日本語版

中国「利下げ」は経済自滅のシグナル 止まらない資金流出 2015.5.17 11:00 産経ニュース

日立、ミャンマーで鉄道信号システム受注 三菱商事と 2015/5/18 2:00 日本経済新聞 電子版

中国首相、南米投資計画を発表へ 2015年5月18日 16:01JST WSJ日本版

 【ブラジリア】中国の李克強首相は今週、南米諸国に対する一段の財政支援を打ち出すとみられる。同国は、自らの資源需要減退により打撃を受けている途上国に安心感を与えるため、広範な措置を展開している。

李氏は19日にブラジルで同国のルセフ大統領と会談し、大型鉄道の建設計画や企業買収、老朽化した同国インフラの改修について話し合う見通しだ。

李氏はその後、コロンビア、ペルー、チリを訪問し、中国経済の減速が中国の南米関与に影響しないことをそれら貿易相手国に請け負うとみられる。中国政府は、同国がコモディティー(商品)だけでなく最終製品を買う形の取引を提案している。既に、中国の貸し手は中南米諸国に対する有数の投資家になっている。

ブラジルのセルジオ・アマラル元外相は「中国は過小評価されている企業や資産に資金を投じている」と述べた。「それは政治的な好機であるばかりでなく、優れた事業機会でもある」という。

中国列車メーカーに対する世界の需要構築に努めてきた李氏は、資金の潤沢な中国メーカーの好機を海外で演出しようとしている。

中国は米国を抜き、ブラジルにとって最大の貿易相手国となった。李氏は、アンデス山脈を横断してブラジル農業ベルトとペルーの太平洋岸を結ぶ鉄道の建設実現可能性を探る合同調査の契約に調印するとみられる。官僚的手続きで何年も停滞しているこのプロジェクトは、ブラジルの対中輸出の輸送コスト低減が狙いだ。

李氏率いる訪問団は、最大530億ドル相当のブラジルでの各種インフラプロジェクトも発表する見通しだ。財政赤字に直面したブラジル政府は資金注入を切望している。


参考URL:
我が国企業がアブダビ陸上油田の権益を獲得しました 平成27年4月27日(月) 経済産業省

マルコ・ルビオの穴となるキューバ

米国とキューバ国交正常化交渉が進捗している。米国とキューバの首脳会談・外相会談が行われ、米国国務省の勧告によってキューバに対するテロ国家指定が解除される見込みとなった。

このキューバとの国交正常化は、次期大統領選におけるスイング・ステートのひとつであるフロリダ州の票の行方を大きく左右することになる。

オバマ米大統領、キューバのカストロ議長と11日会談へ 2015年 04月 11日 02:47 JST ロイター

米・キューバ首脳が電話会談、8日に=当局者 2015年 04月 10日 23:43 JST ロイター

米キューバ外相が会談、半世紀以上ぶり テロ支援国指定解除へ 2015年 04月 10日 14:31 JST ロイター

米国務省、キューバのテロ支援国指定解除を大統領に勧告=上院筋 2015年 04月 10日 10:09 JST ロイター

米国、キューバ「テロ支援国」解除の是非検討完了 正式勧告待ち 2015年 04月 10日 09:30 JST ロイター

米財界トップ、対キューバ貿易制裁解除の議会承認を楽観視 2015年 04月 9日 13:41 JST ロイター

上下両院への働きかけについては、キューバへの禁輸措置とキューバ国内の民主化支援を定めた「Helms-Burton Act」が頑然とあり、大統領令のみ、議会承認なしの禁輸解除はできない。キューバとのビジネスチャンスをちらつかせ、将来的な体制転換の含みを持たせられるか、が焦点になる。

キューバの体制転換の可能性をアピールできるかについては2014年の中間選挙のひとつ、フロリダ州知事選を振り返ると、キューバとの国交正常化を訴えたCharlie Cristが敗退している。

合衆国全体としてキューバとの国交正常化賛成が多数でも、亡命してきたキューバ系移民及びベネズエラ系移民の多いフロリダ州は国交正常化反対の傾向にあるし、有権者登録をした人々はさらに反対傾向が強い。

キューバの国交正常化交渉がクローズアップされれば、共和党の大統領候補のひとり、キューバ系のマルコ・ルビオ上院議員を相対的に押し上げるかもしれないし、合衆国全体が国交正常化支持となると、彼は足元で掬われるかもしれない。

既得権益化する価格統制

ベネズエラの社会主義的実験(ボリバル主義)を新自由主義と対比するならば、グローバリゼーションの後退とともに両者はともに変質するかその終焉を迎えることになる。既得権益を壊して、再分配する役割を持っていたイデオロギーが既得権益と化して、分配の公正を損ない始めている。

輸出の95%を原油に頼る典型的なモノカルチャー経済、他の産業の競争力がなくなる典型的なオランダ病に陥っているベネズエラは原油価格の低迷から外貨不足を来し、デフォルト懸念を招いている。国内では石油収入に頼ったため一般消費財の供給能力が失われ、極端なモノ不足に陥り、社会不安と政治的闘争が始まっている。

ベネズエラ国内の民間スーパー7社が指紋認証センサー約2万台を導入して、モノ不足とそこから派生する買い占めと横流しと密輸の防止を図ることになった。民間スーパー7社も他社の新規参入がない状態と考えれば、彼らも既得権益者となっている。究極的には一般消費財の供給能力を増やさなければこの問題は解消されない。横流しや密輸なども物流や店舗在庫の過程で損品扱いにされて、引き続き行われるだろう。

またも中国の影 今度はベネズエラ? 米国の裏庭で破綻ドミノの危機迫る 2015.3.10 11:00 産経ニュース

物不足ベネズエラ、全土のスーパーで指紋認証 センサー2万台設置へ 2015年 3月9日 12:28 JST WSJ日本版

【カラカス(ベネズエラ)】物資不足に苦しむベネズエラは、全土のスーパーマーケットに指紋認証センサー約2万台を設置する。政府は買いだめや買い占めがスーパーでの長蛇の列や生活必需品の不足につながっているとみており、対策を強化する。

 ベネズエラは数か月前から、隣国コロンビアとの国境付近の国営スーパーで指紋認証センサーを使った配給制度を導入している。この地域では、価格統制による安い商品がコロンビアへ密輸されて大きな問題となっている。

 マドゥロ大統領は7日、民間の大手小売りチェーン7社が自主的に指紋認証センサーの設置に同意したことを明らかにした。

 エコノミストらは、こうした取り組みは失敗に終わるとみている。10年に及ぶ価格統制は地元メーカーに壊滅的な打撃を与えているほか、商品を闇市場やコロンビアで転売して巨額の利益を得ようとする密輸業者を引きつけていると、彼らは批判している。

 このところベネズエラの通貨ボリバルは下落しており、密売のうま味は増している。国境付近の為替取引に基づいて違法レートを追跡しているサイト「ドラートゥデイ」によると、ボリバルの闇相場はここ2週間で35%急落し、現在は輸入品の支払いに使用される公式レートの40分の1近い水準で取引されている。

 世界の原油価格が昨年11月以来、5割近く下落していることが、輸入に必要なドルの供給を細らせており、これも物資不足に影響している。原油はベネズエラの輸出の95%を占めている。(AP通信)

“ボリバル革命”は継続するか

ベネズエラのチャベス前大統領は自身のポプリスモ的政策を“ボリバル革命”と呼んだ。2002年のクーデターを乗り越えて相対的に安定した2期目(2004年~2007年)と全盛期の3期目(2007年~2013年)、4期目(2013年)の政権担当時は原油価格が1バレル50ドル~120ドルに安定していた2005年~2014年までと重なる。

ポプリスモ的政策の原資は原油の販売益である。原油価格の低落はポプリスモ的政策にかかる予算削減とサービス低下を意味する。チャベス政権の跡を継いだマドゥロ政権は、デフォルトを回避するために硬直化・肥大化する利権再分配の構造にメスを入れなければならない。

与党・ベネズエラ統一社会党(PSUV)が“ボリバル革命”の一定の成果を保ちたければ、ラテンアメリカのポプリスモの究極の形のひとつとしての先達、メキシコの制度的革命党(PRI)のように左右両極を包摂する形で利害調整を行わなければならない。そうしなければ“ボリバル革命”の成果全般が失われるだろう。

ベネズエラ経済危機で米企業に多額損失発生の恐れ 2015年 02月 3日 16:27 JST ロイター

[2日 ロイター] - ロイターの分析によると、S&P総合500種に組み入れられた米企業のうち少なくとも40社は、ベネズエラの経済危機で大きな影響を受ける資産構成となっており、合計で何十億ドルもの損失計上を余儀なくされる可能性がある。

これらの企業がベネズエラの通貨ボリバル建てで保有する資産を合計すると最低でも110億ドルに上る。

ベネズエラでは公式には3段階の外国為替管理制度が導入されている。固定相場の公式レートは1ドル=6.3ボリバルだが、競売形式の制度「SICAD1」では約12ボリバル、昨年導入された新制度「SICAD2」では約50ボリバルとなっている。

これに対し、ウェブサイトdolartoday.comによると、1日時点で闇市場での相場は1ドル=約190ボリバルだった。

問題は、多数の米企業が開示したボリバル建て資産のドル換算の評価額は1ドル=6.3ボリバルもしくは12ボリバルで計算されているが、これらのレートで認められている取引の量が限定されている点にある。企業のボリバル建て資産は1ドル=50ボリバルでドル換算すると大きく減少し、闇市場のレートで換算するとほぼ消滅してしまう。

ベネズエラのマドゥロ大統領は1月21日、同国の通貨管理制度を刷新する方針を発表した。これを受け、ボリバル安がさらに進むとの懸念が広がった。

こうしたなか、一部の米大手企業は1ドル=6.3ボリバルの公式レートや12ボリバルのSICAD1レートが実態を反映していないと判断している。

日用品大手の米キンバリークラーク(KMB.N: 株価, 企業情報, レポート)は、これまで使っていた1ドル6.3ボルバルの公式レートよりもSICAD2の50ボリバルの方が適切との結論を下し、昨年第4・四半期にベネズエラ事業で4億6200万ドルの特別費用を計上、これが同四半期の損失に結び付いた。

また米フォード・モーター(F.N: 株価, 企業情報, レポート)と油田サービス会社シュルンベルジュ(SLB.N: 株価, 企業情報, レポート)もベネズエラ事業で四半期の損益に大きな打撃を受けている。フォードは第4・四半期に8億ドル、シュルンベルジュは4億7200万ドルの特別費用を計上した。

ベネズエラでは外国企業は為替制度をめぐる不透明感に加え、需要の低迷や商品の不足、部品や製品の輸入に伴う障害、ハイパーインフレに合わせた値上げの承認を政府に依存する状況など、多様な問題に直面している。

ロイターが最新の四半期決算に基づいて分析したところでは、S&P総合500種対象企業のボリバル建て資産は10社に集中しており、開示された評価額は10社の合計で約73億ドルとなっている。

これらの企業は1ドル=6.3ボリバルもしくは12ボリバルのレートを使っているが、SICAD2の約50ボリバルが適用されると、合計の資産は58億ドルに減少する。

ベネズエラに15億ドルの資産を保有するゼネラル・モーターズ(GM)(GM.N: 株価, 企業情報, レポート)の広報担当者は「現時点で発表するものはない」としながらも、現地の状況を注視していると表明した。

米製薬大手メルク(MRK.N: 株価, 企業情報, レポート)などの企業は、ベネズエラで医薬品など重要な商品やサービスを提供しているため、最も有利なレートで現地資産を評価することが正当化されると主張している。メルクは一部のボリバル建て資金を1ドル=6.3ボリバルでドルに転換することに成功したと発表した。

それでも一部の企業はボリバル安によって被る可能性のある影響を投資家に伝えている。米飲料・食品大手ペプシコ(PEP.N: 株価, 企業情報, レポート)は、1ドル=50ボリバルでベネズエラ資産を再評価した場合に4億4000万ドルの税引き前特別費用が発生すると説明した。同社は昨年9月初旬時点で正味5億0500万ドルのボリバル建て金融資産を保有していると開示している。


チャベス政権の行った“ボリバル革命”は、ベネズエラ国営石油公社(PDVSA)の原油収入を貧困層に手厚く分配するものだった。このバラマキは貧困層の既得権益となった。

原油はベネズエラの輸出の96%を占め、昨年6月に1バレル99ドルだったベネズエラ産原油は1バレル38ドル前後で取引されている。もちろん原油価格が下落するだけで現行制度は維持不可能になるが、再分配を減らせば貧困層の暴動が起きてしまう。昨年の暴動でも40人以上の死傷者が出ている。支持基盤を失うことを恐れるマドゥロ政権はこれらの公共支出を削減できない。

チャベス政権の統制経済は外貨不足とインフレを常態化させてしまった。インフレは70%に達しており、今年は110%まで昂進すると思われる。外貨不足の影響は広範に現れており、新聞用紙の不足により休刊に追い込まれる新聞社や国際航空便の減便・廃止なども起き始めている。

マドゥロ政権が改革を強行するには軍部の支持を取り付けられるかに懸かってくる。改革の過程で貧困層が離反して、中間層以上が軍部と結びつくだけでも2019年までの任期を全うできない可能性も出てくる。その場合、“ボリバル革命”の継続性は怪しくなる。

パナマ運河VSニカラグア運河

米国のシェールガス革命の余波でメキシコでもシェールガスとシェールオイルの開発が進み、2020年以降に我が国への輸出が始まるだろう。その場合、カリブ海~パナマ運河~太平洋のシーレーンが重要視される。

一方、中国共産党はニカラグア運河を着工、2020年を目途に開通させようとしている。キューバ、ベネズエラ、エクアドル、ボリビアなどの反米的な国家にとどまらず、中共は中南米諸国への足掛かりを作ろうと躍起になっている。

ニカラグア運河は地政学的な観点からも大きなインパクトを持ちうるが、これに対して米国の動きが見えないことが不思議でならない。サンディニスタ(FSLN)との過去のいきさつを考えると、共和党政権になった場合などに、介入の可能性を排除すべきではないだろう。

ニカラグア運河、着工 中国資本でパナマ上回る規模 2014年12月24日18時07分 朝日新聞

中国の中南米向け投資、今後10年間で2500億ドルに=習主席 2015年 01月 8日 13:46 JST ロイター

[北京 8日 ロイター] - 中国の習近平国家主席は8日、中南米地域への投資が今後10年間に2500億ドルに達し、中国と中南米との貿易額は5000億ドルに拡大するとの見通しを示した。

中南米とカリブ海の33カ国で構成するラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)の会合が9日まで2日間の予定で北京で開催され、そこでの演説で述べた。

“カリブの春”を誘発させるオバマ大統領

ポーランド出身、スラブ系としても史上初だった教皇ヨハネ・パウロ2世(在位1978年~2005年)が、1979年6月に母国を訪問して以降、1989年の東欧革命につながるうねりが起きた。

ポーランドでは1981年から1983年に戒厳令が布かれ、その翌年、当時非合法だった自主労働組合「連帯」のワレサ委員長とも親しかった神父イエジ・ポピエウシュコが治安警察の手によって誘拐・殴殺されて、遺棄された死体はワルシャワ郊外の人造湖で発見された。

彼の殺害の経緯と葬儀の様子を撮ったビデオテープは大量にコピーされて、教会のネットワークを通じて拡散・浸透して、民主化を促す力となった。我が国ではあまり知られていないが、神父はポーランド民主化運動の重要人物とされ、2010年には列福されている。

さて、オバマ大統領は教皇フランシスコ(史上初のイエズス会出身、南米出身としても初)の仲介によってキューバとの国交正常化交渉を開始すると発表した。かつての教皇ヨハネ・パウロ2世のひそみに倣うことは出来るのだろうか。上下両院が野党の共和党に抑えられている現状、大使館の開設や渡航や送金の制限緩和を進めるものと考えられる。

キューバと国交正常化交渉、米大統領が開始発表 2014年 12月 18日 06:55 JST ロイター

キューバと国交正常化交渉開始に共和党反発も 12月18日 17時16分 NHK NEWSWEB

「カストロ政権には両刃の剣」 アジア経済研究所 山岡加奈子氏 2014.12.19 06:00 産経ニュース

キューバへの禁輸措置とキューバ国内の民主化支援を定めた「Helms-Burton Act」が頑然とあり、大統領令のみ、議会承認なしの禁輸解除はできない。大統領は議会に禁輸解除と駐キューバ米国大使の承認を求めるであろうが、ロバート・メネンデス上院議員(民主党、キューバ系)ですら大統領の声明に怒っている。となれば、ハバナの米国大使館に主なしの事態もあり得る。

また、今年の中間選挙のひとつ、フロリダ州知事選ではキューバとの国交正常化を訴えたCharlie Cristが敗退している。

合衆国全体としてキューバとの国交正常化賛成が多数でも、亡命してきたキューバ系移民及びベネズエラ系移民の多いフロリダ州は国交正常化反対の傾向にあるし、有権者登録をした人々はさらに反対傾向が強い。

しかも、フロリダ州は大統領選を左右するスイング州のひとつであることも国内政治を混迷に追い込む。 共和党の大統領候補のひとり、と取り沙汰されるキューバ系のマルコ・ルビオ上院議員を相対的に押し上げるかもしれない。

行政府であるホワイトハウスは、自国の金融政策(QE1~QE3、テーパリングと利上げの時期模索)が世界に及ぼす影響力の強さを理解せず、外交政策によるフォローを怠った。意図的か無能なのか判別が付かないほどだ。

“アラブの春”のさなか、安易なロシアとの妥協によってシリア内戦の激化を招き、ISIS(イスラム国)の台頭を許し、事態を深刻に捉えたサウジアラビアがOPEC会合での減産に応ぜず、原油価格の暴落は新興国の通貨を暴落させ、ドル建ての債務を抱えたままの各国政府や企業をデフォルト危機に陥らせる。

つまり上記の流れを逆に読めば、ベネズエラのデフォルト危機と米国・キューバの国交正常化は連動する。

キューバでは、医者など技能職関係の人件費を低廉に抑えている。例えば、彼らの人的移動が自由化されれば、自主的に国外脱出するだろう。これを抑えるためには彼らの人件費を適正価格まで上げるしかない。そうしなければ、社会主義的な国家群を支える技能職を中心とした人的交流の遮断から、キューバ~ベネズエラ~ボリビアなどの社会保障政策の破綻まで至り、否応なく“カリブの春”が訪れる。

そして、立法府(上下両院)と行政府(ホワイトハウス)の対立のなかで、カリブ・中南米の政治的混乱が放置される可能性も高くなるだろう。

ベネズエラの夜空に死兆星は見えるか

ソシエテ・ジェネラルのストラテジストがベネズエラのデフォルト(債務不履行)に来年10~12月期、早ければ1~3月に陥る可能性を指摘した。

産油国の国家財政が均衡するためのブレークイーブンコストはベネズエラが161ドル、イエメンが160ドル、アルジェリアが132ドル、イランが131ドル、ナイジェリアが126ドル、バーレーンが125ドル、イラクが111ドル、ロシアが105ドル、そしてサウジアラビアが98ドルである(シティグループ調べ)とも云われている(2014年12月12日のエントリーより抜粋)。

ベネズエラのブレークイーブンコストは1バレル161ドル。

これが事実ならば、2014年12月10日のエントリーで、以前のベネズエラに関する考察をまとめたが、手厚い社会保障政策を最低でも縮小しなければならない。チャベス政権の路線を引き継いだマドゥロ政権は突然死を迎えるかもしれない。それは反米を吠えながら、原油輸出先を米国に頼り切っていた甘えの構造の破綻、ぬるま湯がいつの間にか熱湯に変わっていたようなものだろう。

ベネズエラの対米原油輸出は、2004年には日量約180万バレルだったが2013年には約80万バレルに減っている。しかもベネズエラは、自国内の産油及び精製施設のメンテナンスが恒常的に不足しがちになっている。

シェール革命がイノベーションによるものだと考えれば、フラッキング(水圧破砕)の技術も常に革新されていく可能性が高い。シェールガスやシェールオイルのためのイニシャルコストも最初に投資した会社が精算されることで消え、ランニングコストも下がっていくのではないか。彼らは米国を侮った。そのツケを払う時期に来たのかもしれない。

ベネズエラは恐らく来年デフォルト状態に陥る-ソシエテG 2014/12/18 13:08 JST ブルームバーグ

(ブルームバーグ):原油価格の急落に伴い、ベネズエラは恐らく来年デフォルト(債務不履行)状態に陥るとの見解を仏銀ソシエテ・ジェネラルが示した。

ソシエテ・ジェネラルのクレジット・ストラテジスト、レジ・シャトリエ氏は17日、ロンドンからの電話インタビューで、「原油のこうした動きはベネズエラがデフォルト状態となる可能性が高いとの私の見解裏付ける。時期は10-12月(第4四半期)の可能性が非常に高く、1-3月(第1四半期)も若干あり得る」と説明した。

原題:Venezuela Default Expected Next Year as Oil Tumbles, SocGen Says(抜粋)

デフォルト懸念は第五共和国運動の弔鐘となるか

反米国家の雄ベネズエラが原油価格の急落によって、にわかにデフォルト懸念を高めている。

2012年10月16日のエントリーでは、

ベネズエラは反米を唱えながら、その実際は米国に経済的に依存している。また文化的にも米国の影響は色濃い。たとえばサッカーの盛んな中南米各国で、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の出場国に名を連ねるのはメキシコ、プエルトリコ(米国の連邦自治区)、キューバ、ベネズエラである。中南米諸国の反米の度合いはその歴史的経緯、政治経済的依存度、文化的影響度の多寡に左右されていることが分かる。

話を戻すと、ベネズエラの手厚い社会保障政策の原資は米国民の財布から出ているのが現実だ。チャベス政権は国家予算の約40%を社会保障に回し、乳児死亡率の減少、初等教育の充実を達成した。これは功績と云って良い。

はて我が国の資本財と基幹部品に依存している、どこかの半島国家や大陸国家を彷彿とさせるが、ベネズエラは米国を汚く口で罵っても実効性のある反米政策は採ってこなかった。一線を踏み越えさえしなければ、米国も対抗策を採ることはないだろう。

そもそも社会保障政策の原資を増やそうと思えば、それだけ原油生産量を増やさざるを得ず、日量1000万バレルを突破したサウジアラビア、ロシアと同じく増産の列に続くことになれば、それだけ共闘するイランの首を絞めることになる。その意味においても米国は対抗策を採ることはない。

チャベス政権の歴史的役割は、メキシコ革命(1910年~1920年)、もしくはキューバ革命(1953年~1959年)を彷彿とさせる。両革命は、米国の利害関係から脱却しようとする内戦と米国からの軍事介入をはねつける戦いでもあった。

メキシコにおいては、最終的に革命の成果を制度的に擁護する、制度的革命党(PRI)が結成され、事実上の一党支配となる長期政権によって、内戦は終結した。政策的には1934年、ラサロ・カルデナスが大統領の座に就き、1937年の鉄道国有化、1938年の石油産業国有化(これは米国のサウジアラビア進出にも影響を与えた)によって完成した。

つまり、超長期的な視点からベネズエラの未来を予測すると、約30年~50年後、キューバのように反米のまま推移することで満足し続けるか、メキシコのように利権構造の硬直化によって腐敗が進み、中間層が左派リベラル的な政策の転換を求め、米国とNAFTAのような自由貿易協定を締結する。そんなふたつの選択肢が見えてくる。

と、述べた。

それから、2014年9月2日のエントリーになると、すでに手厚い社会保障政策の矛盾が露呈し始めていた。

価格統制しているベネズエラの生活必需品を求めて、周辺国の密輸入業者が買い占めするのを防ぐため、コロンビアとの国境封鎖を行なってきたが、全長2200キロの国境線を監視するには実効性に欠ける。そこで、小売店での指紋認証を導入することで実効性を上げようとしている。

グローバル経済と国民経済の相克といった様相を示しているが、生産供給能力(国内自給能力)の乏しいまま鎖国経済を敷いた政策の矛盾が露呈している。チャベス前大統領の死によって跡を継いだマドゥロ政権はこうした硬直化した利権を調整しなくてはならない。

と、述べた。

おそらくデフォルト懸念から硬直化した利権再分配の構造を変えざる得なくなるだろう。新自由主義に対抗する形で勃興した第五共和国運動(現在はベネズエラ統一社会党)が新自由主義の後退と同時に終わりを迎えるのもむべなるかな、であろう。もしも第五共和国運動の一定の成果を保ちたければ、ラテンアメリカのポプリスモの究極の形のひとつとしての先達、メキシコの制度的革命党(PRI)のように左右両極を包摂する形で利害調整を行わなければならない。

焦点:デフォルト懸念のベネズエラ、原油依存で深まる苦境 2014年 12月 10日 18:03 JST ロイター

[ニューヨーク 9日 ロイター] - 世界的な原油安が、産油国のベネズエラ経済を脅かしている。デフォルト(債務不履行)懸念に市場が身構える中、9日の取引で債務保証コストは急上昇。国債価格も急落し、ベネズエラの苦境は一層深まっている。

市場は警戒を崩していないが、デフォルト転落を先延ばしする選択肢が政府にはあるとの指摘も多く聞かれる。マドゥロ大統領は、これまで対外債務の支払いが遅れたことはなく、今後も責務を全うすると強調する。

ベネズエラは重債務国ではないというのがアナリストの見解。経済が輸入に大きく依存する中、問題の核心はむしろ通貨ボリバルの下落にある。厳しい規制の影響で、企業はドル不足に陥っている。

ジェフリーズの中南米戦略責任者、シオブハン・モーデン氏は「企業の生産が滞り、輸入に依存する中でのデフォルトとなるだろう。債務のほかに、構造的にドル建て負債を多く抱える状況を彼らは作り出してきた」と指摘。輸出関連の歳入のうち石油が占める割合は96%で、代金は米ドル建てとなっている。

ウェブサイト「ダラートゥデー・ドット・コム(dolartoday.com)」 によると、ボリバルは外国為替の闇市場で1ドル=約175ボリバル。3つの公定レートのうち最高値は1ドル=6.3ボリバルで、闇市場でのレートはその27倍だ。

ベネズエラは多額の国債を、原油関連収入で裏付けており、それによって財政を均衡させ、数百万人を貧困から救うための社会保障費をまかなってきた。

9日に米原油先物CLc1は1バレル=63.82ドルで5年ぶり安値を付け、6月以降の原油価格の下落率は40%となった。こうした原油相場の急落で、ベネズエラの経済モデルは立ち行かなくなっている。

指標となるベネズエラのグローバル債(償還期限2027年)VENGLB27=RRの価格は2ドル以上下落して48.646ドル。利回りは過去最高の20.887%に上昇した。

<構造改革でデフォルト懸念払しょくへ>

インフレ率は高止まりし、通貨が急落する中、マドゥロ大統領は自国の政策を顧みず、苦境の原因は他国の敵対的な対応にあるとの見解を示しており、市場の懸念は絶えない。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスの分析では、ベネズエラの1年予想デフォルト確率(EDF)は13.07%と、5年ぶり高水準となった。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの世界経済調査共同責任者でGEM債券戦略を統括するアルベルト・アデス氏は、今年だけでなく来年に再び、為替レートが大幅な調整局面を迎えると指摘。原油安で政府が経済構造改革を実施し、歪みを解消せざるを得なくなるとの見方を示した。

デフォルトを回避したい政府の一連の行動で、最終的には成長率が現行水準よりも高まる見通しだ。

バンカメメリルは、ベネズエラの国内総生産(GDP)が2015年に1.2%増加すると予想。今年は3.3%減が見込まれている。

バンカメメリルは今年末までにボリバルが対ドルで1ドル=13ボリバルまで切り下げられると見方を示した。2015年末までには30ボリバルに、2016年末までに66ボリバルに切り下げられ、闇市場のレートに近づく見通し。

一連の動きが短期的には状況を緩和し、ベネズエラがデフォルトに向かっているとの懸念を後退させることになりそうだ。

ただ、投資家はデフォルトシナリオを捨ててはいない。弁護士事務所のクリアリー・ゴットリーブ・スティーン・アンド・ハミルトンのソブリン債務再編の専門家が主催するパネルディスカッションが先週開催され、投資家の見解が明らかになった。

アナリストの1人によると、クリアリー側はベネズエラが若干の債務のリプロファイリング(返済期限延長)を行ったとしても、ベネズエラ資産を投資家が取得した場合、資金回収は困難になるとの見方を示している。

あるアナリストは「国債がデフォルトして、(国営企業の)PDVSAはデフォルトしていない状況で、PDVSA資産買いは困難だ」と指摘した。

一方、新興市場の債券投資家の1人は、自身の勤務先ではすぐにデフォルトに陥るシナリオは想定していないと述べ、「デフォルト前にできることは多くある。(通貨)切り下げが一番簡単な方法。資産売却もできるし、補助金の削減も可能だ」と指摘した。

(Daniel Bases記者 翻訳:青山敦子 編集:加藤京子)

*カテゴリーを追加し、見出しを修正して再送します。

バナナ共和国とバナナ・ボートの合併劇

チキータ・ブランズ・インターナショナルとファイフスは、ブラジルのジュース生産大手クトラーレ・グループと同国の投資会社サフラ・グループからのチキータ買収提案を退ける新しい合併案に合意した。

この合併案が両者の株式総会で認められれば、トロピカルフルーツを扱う世界的な企業は合併したChiquitaFyffes(チキータ・ファイフス、公開企業)、Dole Food Company(ドール、未公開企業)、Fresh Del Monte Produce(フレッシュ・デルモンテ、未公開企業)の3社に集約される。

チキータとファイフス以外の2社については、

ドールの加工食品部門とアジア圏の青果物部門と商標使用権は伊藤忠商事に買収(2012年9月25日のエントリー)されており、ドール本社はMBOと上場廃止(2013年8月13日のエントリー)している。

デルモンテは、のちにコールバーグ・クラビス・ロバーツ(現社名:KKR)に買収(LBO)されたRJRナビスコによって、青果物部門と加工食品部門に分けられ、加工食品を扱うDel Monte FoodsはKKRなどPEファンドの傘下となっている。

かつてバナナ共和国を支配したチキータ(旧ユナイテッド・フルーツ社)、労働歌として口ずさまれたハリー・ベラフォンテの歌声でお馴染みのバナナ・ボート・ソングを生み出したファイフスの合併劇は古い植民地経営の残像のように映る。

実像はすでに金融資本による新興国支配の時代に移り変わっている。それすらもQE3の終了によって再び大きく揺らぎつつある。

バナナ生産の米チキータ、ファイフスと新たな合併条件で合意 2014年 09月 27日 01:25 JST ロイター

[ダブリン/サンパウロ 26日 ロイター] - バナナ生産・販売のアイルランドのファイフス は26日、米チキータ・ブランズ・インターナショナル と進めている合併計画で、チキータが新会社の持ち株比率を引き上げる条件で合意した。

これによって、チキータの持ち株比率は従来の合併条件だった50.7%から59.6%に上昇する。新たな合併条件は両社の取締役会によって承認された。

ブラジルのジュース生産大手クトラーレ・グループと同国の投資会社サフラ・グループが、チキータに6億1100万ドルの買収案を提示していることもあり、条件の変更はこれを回避することが狙いと見られる。

新たな条件の下、両社の前営業日の終値に基づく新会社の価値は9億7600万ユーロ(12億4000万ドル)に迫る。また、1株当たりでは11.8ドルと、クトラーレ・サフレによる同13ドルの提示額を約10%下回る。

新条件の承認を目指し、両社は株主総会を10月終盤まで延期するとしている。


ブラジルのクトラーレとサフラ、米チキータに買収提案 6.1億ドル 2014年 08月 12日 08:00 JST ロイター

[11日 ロイター] - ブラジルのジュース生産大手クトラーレ・グループと同国の投資会社サフラ・グループは11日、バナナ生産・販売大手の米チキータ・ブランズ・インターナショナル に対し、現金6億1050万ドルで買収する提案を示したと発表した。

クトラーレとサフラによると、両社はチキータ株1株当たり13ドルでの買い取りを株主に提案する方針。これは先週末8日の終値に29%上乗せした価格となる。

両社は既にチキータの取締役会に提案書を送付したとも説明。最終的な取引契約への署名に向けた協議に入るよう要請したとしている。


チキータとファイフスが合併合意―バナナの世界最大手誕生へ 2014年3月11日 09:13 JST WSJ日本版

死せるチャベス大統領、生ける担ぎ屋を走らす

価格統制しているベネズエラの生活必需品を求めて、周辺国の密輸入業者が買い占めするのを防ぐため、コロンビアとの国境封鎖を行なってきたが、全長2200キロの国境線を監視するには実効性に欠ける。そこで、小売店での指紋認証を導入することで実効性を上げようとしている。

グローバル経済と国民経済の相克といった様相を示しているが、生産供給能力(国内自給能力)の乏しいまま鎖国経済を敷いた政策の矛盾が露呈している。チャベス前大統領の死によって跡を継いだマドゥロ政権はこうした硬直化した利権を調整しなくてはならない。

年度ごとの違いはあっても、米国が輸入している原油の約10%はベネズエラから、ベネズエラが輸出している原油の約50~60%は米国へ、というデータを踏まえないと、この二国の特殊な関係性は語れまい。

ベネズエラは反米を唱えながら、その実際は米国に経済的に依存している。また文化的にも米国の影響は色濃い。たとえばサッカーの盛んな中南米各国で、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の出場国に名を連ねるのはメキシコ、プエルトリコ(米国の連邦自治区)、キューバ、ベネズエラである。中南米諸国の反米の度合いはその歴史的経緯、政治経済的依存度、文化的影響度の多寡に左右されていることが分かる。

話を戻すと、ベネズエラの手厚い社会保障政策の原資は米国民の財布から出ているのが現実だ。チャベス政権は国家予算の約40%を社会保障に回し、乳児死亡率の減少、初等教育の充実を達成した。これは功績と云って良い。

はて我が国の資本財と基幹部品に依存している、どこかの半島国家や大陸国家を彷彿とさせるが、ベネズエラは米国を汚く口で罵っても実効性のある反米政策は採ってこなかった。一線を踏み越えさえしなければ、米国も対抗策を採ることはないだろう。

と、2012年10月16日のエントリーで述べたが、この前提条件が変わりつつある。

中長期的には、ベネズエラ原油の最大の顧客である米国はシェールガスとシェールオイルの革命によって、反米国家ベネズエラの原油を必要としなくなっていくからだ。

潤沢な原油利権の分配によって安定した社会は、かつてのカダフィ政権下のリビアを彷彿とさせる。国内の供給能力を自国民に担わせない限り、カダフィ政権崩壊後のリビアと同じく手に職を持たない者達が手に銃を握って、利権を巡る争乱を起こす最悪の展開すら待っているかもしれない。

スーパー全店で客の指紋チェック導入へ、ベネズエラ 2014年08月22日 15:22 AFP BB

【8月22日 AFP】南米ベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領は20日、国内のスーパーマーケット各店に指紋認証スキャナーを導入する計画を発表した。生活必需品の価格規制を行っている同国で食品や日用品を安く購入し、周辺国に密輸出している業者を取り締まるためという。

 ベネズエラでは価格規制により、食品をはじめとする生活必需品の値段が周辺国に比べて最大10分の1の安さとなっている。

 マドゥロ大統領は、ベネズエラ国内で生活必需品が供給不足に陥っているのは、密輸業者が越境してベネズエラで安い商品を買いつけ、周辺国、特に隣国コロンビアで販売して莫大な利益を得ているせいだと非難している。

 指紋スキャナーの導入は、何度もスーパーに来て異常なほど大量の食品を買い込む行為などを防止するのが狙い。

 マドゥロ大統領は「(ベネズエラ・ボリバル)共和国内の全てスーパーマーケットと商業・流通チェーンに生体認証システムを導入するよう、価格規制監督当局に命じた」と発表。「生体認証システムは完璧だろう」「不正防止のための神のたまものだ」などと述べた。

 ベネズエラ政府は今月初旬には、密輸取り締まりのため全長2200キロに及ぶ隣国コロンビアとの国境を毎晩封鎖する措置を開始している。

 ベネズエラは世界でも最大規模の石油埋蔵量があるにもかかわらず経済危機に陥っており、増大する財政赤字と慢性的な供給不足に悩まされている。政府は2か月前に年間インフレ率60%を発表して以降、インフレ率を発表していない。(c)AFP

カリブ海~パナマ運河~太平洋のシーレーン

米国からのLNG及びシェールガスが輸入され始める2017年を待たずに、円安による燃料費の増大と原発再稼働の遅れから電気料金の再値上げが取り沙汰されるようになった。

北海道電力は2013年9月に平均7.73%値上げしたが、2014年10月に平均17.03%値上げ予定。関西電力は2013年5月に約9.75%、九州電力も2013年5月に平均6.23%、東京電力は2012年9月に平均8.46%値上げしてきた(すべて一般家庭向け)。

すでに電力小売り自由化も决定しているが、参入業者の多くはLNGを利用する。民主主義の決定プロセスの遅さが、原発再稼働を遅らせ、結果的に国富を流出させている。

原発19基再稼働ならGDP8000億円押し上げ エネ研 2014/7/24 19:41 日経

 日本エネルギー経済研究所は24日、2015年度までの日本の経済・エネルギー需給見通しを発表した。原子力規制委員会に安全審査を申請した原子力発電所19基が全て再稼働する場合を試算。火力発電用の液化天然ガス(LNG)の輸入が減り、実質国内総生産(GDP)を年間で8千億円押し上げる効果があるとした。

 東日本大震災後の原発稼働停止に伴う火力代替でLNG需要が大幅に増えている。14年度の輸入量は8930万トンと過去最高を更新する見通し。同研究所は14年度中に川内原発(鹿児島県)などの7基、15年度末までに19基が再稼働するケースを想定し、15年度のLNG輸入量は8020万トンに減ると予測した。

 再稼働する原発が半分の9基の場合、15年度のLNGの輸入量は8880万トンと微減にとどまり、実質GDPの押し上げ効果は3千億円程度との試算も示した。

 原発が再稼働すれば発電コストの削減効果も見込める。10年度の発電コストは1キロワット時あたり8.2円だったが、火力依存が高まり現在は同13円まで上昇している。原発が19基再稼働した場合には同11.2円、9基の場合には12.3円まで下げられるとしている。

 安全審査では川内原発が規制委から実質的な「合格証」を得たが、審査が緒についたばかりの原発が多いうえ、地元の同意も必要。想定のようなペースでの再稼働は難しいとみられる。


安倍首相は、7月25日から8月4日までの11日間の日程で、メキシコ~トリニダード・トバゴ~コロンビア~チリ~ブラジルの中南米諸国を歴訪する。

米国のシェールガス革命の余波でメキシコでもシェールガスとシェールオイルの開発が進み、2020年以降に我が国への輸出が始まるだろう。最低でもその頃には原発再稼働はすべて決着していると思いたい。そして、カリブ海~パナマ運河~太平洋のシーレーンが重要視されるようになる。資源及びシーレン確保に向けた中南米諸国への働きかけが歴訪の目的となる。

安倍首相、中南米でも「資源外交」 チリと銅鉱山開発で協力強化 2014.7.22 08:27 MSN産経

太平洋と大西洋つなぐニカラグア運河、中国企業の出資でまもなく着工予定 「実現不可能」との声多く 2014.7.28 06:30 MSN産経

日本向け米LNG輸出、来週にも最終決定へ 2014 年 7 月 30 日 16:51 JST WSJ日本版

【東京】米ルイジアナ州から日本に液化天然ガス(LNG)を輸出するプロジェクトの関係各社は、75億ドル(約7700億円)の融資確保を受けて、来週にも最終決定を下す。この案件に詳しい複数の関係者が明らかにした。

 この「キャメロン」プロジェクトに関する最終的な投資判断は、米国からのエネルギー供給を確保しようとする日本の取り組みにとって節目になる。これは日本企業が米国からLNGを購入するプロジェクト3件のうちで最初のもの。LNGは2011年の福島第1原発事故以来、日本での発電にとって中心的存在となっている。

 同プロジェクトはサンディエゴに本社を置くセンプラ・エナジーが権益の50.2%を所有している。三井物産とフランスのGDFスエズ、日本郵船と三菱商事の合弁会社の3社がそれぞれ権益の16.6%を所有する。

 経済産業省の資源エネルギー庁資源・燃料部石油・天然ガス課長の南亮氏によると、米国からの輸入で日本国内の燃料コストの低減や、アジア諸国が欧米より高い料金を支払っているLNG「上乗せ価格」の削減につながる見通し。米国のシェールガス革命がやっとアジアに波及する、と南氏は述べた。


米が日本向けLNG輸出認可 三井物産など参画 2014.2.12 08:45 MSN産経

【ワシントン=柿内公輔】米エネルギー省は11日、三井物産などが参画するルイジアナ州キャメロンでの液化天然ガス(LNG)の輸出プロジェクトを認可したと発表した。米国が自由貿易協定(FTA)を締結していない日本へLNG輸出を認めるのは3例目で、エネルギー需給の改善につながりそうだ。

 同プロジェクトは米エネルギー大手センプラ・エナジーが事業主体で、三井物産のほか三菱商事や日本郵船が参画。20年間にわたり年間約1200万トンの輸出が認められ、2017年の輸出開始を目指している。

 米国はLNG輸出をFTA締結国に限っていたが、シェールガスの生産拡大で、FTA非締結国にも輸出を拡大。日本向けでは昨年、中部電力などが参画するテキサス州フリーポートと、住友商事などがかかわるメリーランド州コーブポイントの輸出プロジェクトがそれぞれ承認された。


参考URL:
米国キャメロンLNGプロジェクトに関して合弁事業会社を設立―エネルギーの安定供給、供給ソースの多様化に貢献― 2013年5月17日 日本郵船

米国産LNG輸出に向けた取り組み 2013年5月17日 三菱商事

米国産LNG輸出プロジェクトで天然ガス液化加工契約及び合弁会社設立契約を締結 2013年5月17日 三井物産

米国キャメロンプロジェクトからの軽質LNG購入について - 軽質LNG年間1,000万トン導入に向け、第一弾のプロジェクトに基本合意 - 平成25年2月6日 東京電力

米国キャメロンLNGプロジェクトからの液化天然ガス購入に関する売買契約の締結について 2014年3月31日 関西電力

米国キャメロンプロジェクトからのLNG購入に関する売買契約締結について 2014年1月30日 東邦ガス

米国キャメロンLNGプロジェクトからの液化天然ガス購入に関する契約書の締結について 平成26年7月24日 東京ガス

“売られた世代”が奔るのは何マイル?

グローバリズムからナショナリズムに反転しようとするうねりは、社会的な歪みや摩擦を産み出しながら、利害調整されていく。ヒトとモノとカネの動きが徐々に再管理されていくなかで、外国人がG7など先進国の社会保障にタダ乗りしようとする方法も遵法意識や人権意識の差異を利用して、「えげつない」なやり方になっていくばかりだ。

オーストラリアはかつて白豪主義を採用して、アボリジニの子弟を親元から引き離し、同化政策と隔離政策を同時に行なった。“盗まれた世代”と呼ばれた彼らについて、ラッド政権は2008年、謝罪したが、かつては優生学に基づいた正しい行為として扱われていたのだ。

映画『裸足の1500マイル』(原題:Rabit-Proof Fence、本邦公開は2003年)は、この“盗まれた世代”の脱走劇を題材にしている。

1931年当時、寄宿舎から脱走した子供たちが、生態系保護と伝染病予防のため、西部オーストラリアを縦断するように設けられたウサギよけのフェンスを辿って、親元に向かう、という筋立てだ。

ところが2014年現在のメキシコ国境には、親から売られた子供が遥か中米のグアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラスから密入国している。オバマ政権は議会に対策予算20億ドルを要請する見通しとされる。この“売られた世代”がテキサス州やカリフォルニア州の国境線まで費やした距離は何マイルなのだ?

国民国家が自省のなかで人権意識を向上させ、グローバリズムが国民国家を空洞化させ、国民国家を取り戻そうとする機運が上がる今、グローバリズムに巣食っているグールーは、国民としてのアイデンティティを投げ捨て、果ては子供を売り、そのくせ大義名分(既得権益の打破やヘイトクライムの連呼)を以って買わせようとする。

米国に単身密入国の子ども急増、ホワイトハウス「大半は滞在認めず」 2014年 07月 8日 18:03 JST ロイター

[ワシントン 7日 ロイター] - 中米から米国南部に単身で密入国する子どもが増えていることをめぐり、米ホワイトハウスのアーネスト大統領報道官は7日、こうした子どもの大半について、米国内の滞在を認めない方針だと明らかにした。

家庭内暴力の犠牲になった子どもは、亡命が認められる可能性があるという。

昨年10月以降、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラスから家族の同伴なしに、メキシコから米国に密入国しようとした未成年者は5万2000人以上に達し、前年同期の数から倍増となった。米国境に到着した子どもは滞在が認められるとのうわさを、密入国業者が広めていることも急増の理由だという。

ホワイトハウスは8日、子どもの密入国急増に対応するための緊急資金20億ドルを米議会に要請する見通し。


独高級車、メキシコで激戦 3強出そろう 2014/7/8 12:30 日経

 【マクデブルク(独東部)=加藤貴行】ドイツの高級車メーカーのメキシコ進出が相次いでいる。すでに現地生産しているフォルクスワーゲン(VW)傘下のアウディに続き、ダイムラー、BMWが相次ぎ進出を決め、3強が出そろう。メキシコは労働コストが米国より大幅に安いが、「質の高い労働者が確保できる」(BMW)と判断。北米自由貿易協定(NAFTA)を使った米国への輸出拠点として活用する。

 BMWは3日、メキシコ中部に組み立て工場を建設すると発表した。投資額は10億ドル(約1020億円)で、年産能力15万台。2019年に稼働する予定だ。

 BMWは3月末、同じく10億ドルを投じ米サウスカロライナ州の工場の増強を決めたばかり。「グループで最も成長する地域の一つ」(ハラルド・クリューガー取締役)の北米で大型投資に動く。

 ダイムラーも6月下旬、日産自動車とメキシコ中部での合弁生産を決めた。18年から「メルセデス・ベンツ」の乗用車の生産を始める計画で、小型車の生産が有力だ。

 メキシコで一日の長があるのがアウディ。VWの現地生産ノウハウを生かしつつ、16年に先陣を切ってメキシコ中部の工場が稼働する。年産能力は15万台で、多目的スポーツ車(SUV)「Q5」などを生産する。

 ライバルの進出に向けた手も打つ。「現地従業員に医療サービスや個々人のスキルアップの手段を提供している」(ルペルト・シュタートラー社長)。募集の10倍の応募が集まり、人材確保には自信を見せる。

 メキシコの13年の自動車生産台数は293万台。同国は欧米主要国などとFTAを結び、多くの自動車メーカーが進出する。大衆車の生産拠点としてみられてきたが、自動車産業の集積によって労働者の質が高まり、部品調達もしやすくなったことから、高級車の生産拠点としても十分に機能すると判断した。

 今年に入り3社の新車販売は2ケタ増と勢いは止まらない。中国や米国は堅調で、欧州もようやく回復してきたためだ。1~5月ではBMWブランド車が前年同期比10.9%増の72万台に対し、アウディは11.5%増の71万台、メルセデスは14%増の64万台。BMWにじりじり差を詰めてきている。

 各社とも主戦場は米国。BMW、メルセデスとも米国が世界販売の2割を占める。メキシコを輸出拠点とし、販売が好調な米国への製品供給を増やす。

NAFTAによる経済的果実を収穫するメキシコ

グローバリゼーションの名の下に支那大陸を舞台にした日米経済決戦は両者の痛み分けで終わり、日米双方は自国へのリショアリングを進めている。北米自由貿易協定(NAFTA)はメキシコにおけるその本来の政治的意味と経済的効果を取り戻し、貿易上の利点の大きい北部及び首都周辺の地域以外にも徐々に恩恵をもたらすようになる。

さて、2012年7月17日のエントリーの一部再掲となるが、

1994年のNAFTAの発効以後、ブロック経済圏ではなく世界的な単一市場が形成されたことで、NAFTAによる利権再分配の効果は限定されてしまった。利権を失った没落農民や先住民の支持を受けたサパティスタ民族解放軍が最南端のチアパス州で蜂起した。また密貿易の利権が集中する米国国境付近の各州でメキシコ麻薬戦争が勃発した。

しかし、日米双方のリショアリングがこれらの問題の解決策となる時が来た。

2010年の中国の1人あたり名目GDPは4382ドルで10年前の約2倍、このまま推移すれば、あと10年でメキシコの1人あたり名目GDPと並ぶ。人件費のみを理由とする限り、中国に生産拠点を置く意味がない。

人口において我が国とほぼ同数で米国に隣接するメキシコ、NAFTAと流通コストを考えれば、まずは製造業、のちにサービス業の直接投資(FDI)が増加するのは明らかだろう。

と、2012年4月23日のエントリーで述べたように、

中間層の厚みをつくるのに最適な自動車産業の直接投資(FDI)が増えている。2013年から2014年にかけて、すでに日産自動車、本田技研工業、マツダが新工場を建設している。マツダの工場ではトヨタ自動車が5万台の生産契約を締結している。下記ロイター電のダイムラーと日産自動車の新工場建設もその流れにある。

三菱自動車工業はタイの工場からフィアット・クライスラー・オートモービルズに小型車をOEM供給する。これはサプライチェーンが日本~ASEAN(台湾含む)~メキシコ~米国の間で回り続けるように再構築されつつあることを象徴している。

NAFTAの再活性化は、米国へのヒスパニック移民にも影響を与える。メキシコ人の合法・非合法を問わず、米国への移民は減少するだろう。

三菱自がクライスラーへ小型車OEM供給、メキシコで販売=関係筋 2014年 06月 28日 13:29 JST ロイター

[東京 28日 ロイター] - 三菱自動車(7211.T: 株価, ニュース, レポート)がフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FIA.MI: 株価, 企業情報, レポート)に小型車をOEM(相手先ブランドによる生産)供給することが28日、分かった。関係筋によると、クライスラーがメキシコで販売する。

クライスラーは、メキシコではミニバンや多目的スポーツ車(SUV)など大型車が中心のため、小型セダンをラインアップ(品揃え)に加えることで販売拡大を狙う。

三菱自は、タイの工場で生産した小型セダン「アトラージュ」を年内にOEM供給する。生産台数などは決まっていないが、長引く政情不安からタイ工場の稼働率が低下しているため、OEM供給で稼働率を少しでも高めて収益向上を図る。

(白木真紀、久保田洋子)


日産と独ダイムラー、次世代小型車を開発・生産へ 2014年 06月 28日 01:26 JST ロイター

[フランクフルト/メキシコ市 27日 ロイター] - 日産自動車(7201.T: 株価, ニュース, レポート)と独ダイムラー(DAIGn.DE: 株価, 企業情報, レポート)は27日、共同で13億6000万ドルを投じてメキシコに工場を建設し、次世代コンパクトカーを開発、生産すると明らかにした。「インフィニティ」「メルセデス」両高級ブランドの連携を深める。

メキシコ中部のアグアスカリエンテスに、年間30万台の生産能力を持つ工場を建てる。日産は同地ですでに工場を構える。

両社は高級コンパクトカーの研究や設計、生産で連携し、両ブランドで世界販売されるとしている。

折半出資の合弁事業で、インフィニティの生産開始が2017年、メルセデスの生産は2018年を予定する。

メキシコでの生産で、為替や関税費用の一部負担を回避しつつ、米国での販売が可能になる。メキシコは、日米やドイツより労働コストが安いことも利点だ。

日産のカルロス・ゴーン社長兼最高経営責任者(CEO)は「高級コンパクトカーの共同開発や、アグアスカリエンテスでの共同生産はともに(日産・ルノー連合とダイムラーの)最大事業の1つだ」と述べた。

インフィニティが将来、欧州のメルセデス工場で生産される可能性について問われると、ゴーン氏は「必要がない」と語った。

ダイムラーのディーター・ツェッチェCEOは、両社の完全合併を検討するかとの質問に「合併した結果でないから、ここまで協力がうまく行っている」との認識を示した。

メキシコ生産車種の詳細について、両社は明らかにしていない。

リショアリングの余波をメキシコが受ける

2014年1月16日のエントリーで触れたように、メキシコ革命の帰結だった石油国有化とは様変わりして、石礫を投げて追いやった米国資本を再び呼び戻そうとする動きが、メキシコに起きている。これは米国のリショアリングと同調している。

2012年4月23日のエントリーの再掲となるが、

2010年の中国の1人あたり名目GDPは4382ドルで10年前の約2倍、このまま推移すれば、あと10年でメキシコの1人あたり名目GDPと並ぶ。人件費のみを理由とする限り、中国に生産拠点を置く意味がない。

人口において我が国とほぼ同数で米国に隣接するメキシコ、NAFTAと流通コストを考えれば、まずは製造業、のちにサービス業の直接投資(FDI)が増加するのは明らかだろう。

一方、我が国から中共へのサービス業の直接投資(FDI)も順調に増加している。この点は2013年10月20日のエントリーで取りげたが、

チャイナプラスワンやチャイナシフト以前に、国内消費依存が顕著な非製造業の中で、ジャパナイゼーションの一翼を担えるだけのオリジナリティを持ち、かつリスクテイカーとなるだけの資本を持って、海外におけるマネジメントに対応できるだけの人材を抱える企業はオペレーションが画一化しやすいコンビニエンスストアやファーストフードに多いのは致し方がない。

と、筆者自身書いている。大量に水を使う「讃岐うどん」の店を上海や北京にドミナント展開しているファーストフードもあり、この会社の奈辺は中共の環境汚染事情を考えると、良く分からない。ベンチャー精神の発露と好意的に思いたい。

マツダ、メキシコ新工場に米事業の将来託す-円相場の影響軽減 2014/02/28 09:36 JST ブルームバーグ

対メキシコFDI、16年までに年300億─400億ドルに拡大=経済相 2014年 02月 19日 15:25 JST ロイター

[メキシコシティ 18日 ロイター] -メキシコのグアハルド経済相は18日、最近行われている一連の改革により同国への投資額が増加し、2016年までに対メキシコ海外投資(FDI)が年300億─400億ドルに拡大するとの見通しを示した。

ペニャニエト大統領は昨年、通信、銀行、エネルギーの改革法案を議会で可決させた。

グアハルド経済相は、ロイターとの電話インタビューで「ペニャニエト政権の後半には、我が国への投資が300億─400億ドルになると予想している」と述べた。

大統領は2012年末に就任。任期は2018年12月まで。

経済省ウェブサイトの統計によると、2000─2012年の同国へのFDIは、平均230億ドルとなっている。


1月の対中国直接投資は16.1%増、日本向けは500%増 2014年 02月 18日 15:49 JST ロイター

[北京 18日 ロイター] - 中国商務省は18日、海外から中国への直接投資(FDI)が1月は前年比16.1%増の107億6000万ドルだったと発表した。経済成長の伸びは鈍化しているものの、中国経済への期待がなお高いことを示した。

同時に中国企業の海外投資も活発で、1月は前年比47.2%増。日本への投資は500%も増加した。

2013年通年の海外からの直接投資は前年比5.3%増の1176億ドルとなり、過去最高となった。

1月の対中FDIのうち、約63億3000万ドルがサービス業向け。製造業向けの投資は21.7%減少した。

商務省の沈丹陽・報道官は記者会見で、特にサービス分野における中国の経済改革が海外投資家の期待を高めたとの見方を示した。

報道官は「1月の対中FDIが2桁増となったことは、中国の投資環境が依然として魅力的なのかどうかという疑問に対する答えとなった」と指摘。「われわれは、FDIの堅調なモメンタムが年内も維持されると予想している」と述べた。

1月のアジア10カ国・地域(香港、台湾、日本、韓国など)からの対中FDIは22.2%増の95億5000万ドル。

米国からは34.9%増の3億6900万ドル。

一方、欧州連合(EU)からは41.3%減の4億8200万ドルとなった。

<中国から海外への投資も活発>

1月の中国から海外への直接投資は前年比47.2%増の72億3000万ドル。特に日本向けは500%増加した。

中国企業による対外投資のペースはここ数年速まっており、投資先もアジアからアフリカや欧州へと拡大している。

1月だけでも、中国のパソコンメーカーであるレノボ・グループ(聯想集団)(0992.HK: 株価, 企業情報, レポート)が米国で2事業を50億ドル超で買収すると発表した。

沈報道官は1月の中国貿易統計について、データが水増しされたとの市場観測を否定。統計では輸出が前年比10.6%増加し、伸び率を2%とした市場予想の5倍超となっていたため、一部ではデータの水増しを指摘する声も出ていた。

同報道官は、「一部のアナリストは、偽りの取引で輸出が押し上げられたとみているが、それはただの憶測で、根拠がない」と述べた。

*内容を追加して再送します。

バンドネオンの響きが世界を震わせる

アルゼンチンから始まった新興国通貨安の直接の引き金は、HSBC(香港上海銀行)の発表した中国PMI(製造業購買担当者景気指数)の1月速報値が50を割ったという材料だった。

しかし、背景としては、米国において金融経済主導型モデルから製造業回帰(リショアリング)モデルへの転換に目処が付いたことに尽きる。

長いようだけれど意外と短く、2008年から2014年までの経過を振り返る。

リーマン・ショックによる米国の金融機関のバランスシート毀損のために量的緩和(まずはQE1)が開始される。量的緩和(QE2~QE3)の間に、米国の金融機関は、国内では底値になった不動産債権を買取、国外ではコモディティなどで利鞘を抜く。

しかし、その反動も大きく、米国内では、貧困層ではフードスタンプ支給者が1億人近くになり、中間層でもかつての労使関係は継続不能と判断され、オバマケアの実施など社会保障政策を一大転換する。米国外では、コモディティの乱高下によって、暴動~革命~内乱~内戦が頻発して、米国の外交・安全保障政策も一大転換する。

それでも、当初の目的通り、米国の金融機関のバランスシートは大幅に改善されたことにより、量的緩和(QE3)のテーパリングが開始される。

テーパリングの緩衝策として、米国内での資金滞留のためボルカー・ルールを一部導入し、同時に多国籍企業の租税回避防止のための条約整備、テロリスト及び国際犯罪組織と反米国家と指導者層締め付けのためのオフショア金融センターの監視体制も整備される。

すると、経常収支赤字基調の新興国(トルコ、インドなど)に資本投下されなくなる怖れが出て、かつ経常収支黒字基調の新興国であっても、金融機関のストレステストを行ったら、内情は終わっているのではないか、と云う疑念(中共のシャドーバンキング、韓国のストレステスト発表延期など)も高まリ、ついにアルゼンチンから新興国通貨安が連鎖的に始まった。

アルゼンチン・ショックが日本にも波及、世界経済への自信は堅持 2014年 01月 24日 15:59 JST ロイター

[東京 24日 ロイター] -アルゼンチンに端を発した新興国通貨安が日本にも波及している。リスクオフムードが強まり、株安・円高が進行。日経平均は節目を割り込んだ。

米金利上昇を警戒し新興国から資金が流出した昨年5月と違い、今回は米金利は低下しており、昨年と異なる様相もみせている。ただ、今年を通じてみれば、先進国を中心にグローバル経済は堅調とみられており、大規模な信用収縮には至らないとの見方も依然強い。

<13年ぶりの衝撃>

材料にされたのは下振れした1月の中国PMI(中国製造業購買担当者景気指数)だったが、世界的なリスクオフの引き金を引いたのはアルゼンチンだ。同国中銀がペソ支援の介入を止める姿勢を支援したことで、ペソが急落。下落率は11%と1日としては2002年の金融危機以来最大の下げとなった。

中銀がペソ介入を断念したのは、これまでの相次ぐ介入で同国の外貨準備が294億ドルと小さくなっており、介入を今後も続けることは難しいという台所事情のためだ。同国のインフレ率は公式には10%程度だが、民間の推定では25%を超えるとの指摘もある。ペソの急落でハイパーインフレへの懸念も強まってきた。

アルゼンチンは、2001年に債務不履行(デフォルト)宣言をし、世界の投資家に深いダメージを与えた。その後、一時的に経済は回復したが、最近は高いインフレ率などにより内需が疲弊。経済が一段と悪化している。

ペソの急落は、トルコリラなどもともと弱い通貨だけでなく、南アフリカのランドなど多くの新興国通貨の売りに波及。マーケット全体のリスクオフにつながり、米ダウ.DJIは175ドル安、ドル/円も一時102円台まで円高が進行した。日経平均.N225の下げは一時400円を超え、節目の1万5500円を割り込んだ。「日本株にもマクロ系のグローバルファンドからの売りが出ている」(米系証券)という。

<昨年と違う米金利低下での資金流出>

新興国からの資金流出は昨年5月にもあった。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長が量的緩和策の縮小を示唆したことで米金利が急上昇。過剰流動性の縮小懸念から、投資家が新興国から資金を引き揚げたためだ。

だが今回、米金利は低下している。米10年債は23日の市場で一時2.759%と6週間ぶりの低水準をつけた。昨年5月と異なり、今回は実際にテーパリング(米量的緩和縮小)が始まっており、その影響への警戒感はあるが、金利高予想が高まっているわけではない。むしろリスクオフによる米株下落で、安全資産である米国債に資金が流れ込んでいる形だ。

このため「今回の方が心配」(三菱東京UFJ銀行・金融市場部戦略トレーディンググループ次長の今井健一氏)との声もある。前回は、米利上げは当分先との見方が広がるに従い資金流出も止まったが、今回は一部の新興国への懸念が強い。アルゼンチンの国内総生産は約4700億ドルと日本の九州よりやや大きい程度。同国の経済減速自体が世界経済全体に与える影響は限定的だが、13年前のように、金融マーケットを通じて悪影響が及ぶおそれがある。

<米経済への自信は揺るがず>

一方で、実体経済が悪くなっているわけではない。国際通貨基金(IMF)は、今年の世界経済の成長率予想を10月時点の3.6%から3.7%に引き上げた。見通しの上方修正は約2年ぶり。15年は3.9%を見込む。新興国経済は低調だが、先進国が成長のバトンを引き継ぐとの見方を示している。

前日の米市場でも「パニック的な動きはみられなかった。マクロ的なリスクを落とす動きが中心だった」(国内証券の米支局)という。23日の米株市場で下落率が大きかったのは景気敏感株よりも金融株だ。「1─3月期は在庫調整で米経済は鈍化する見込みだが、今年は財政面からの圧迫要因が消えるため、米経済は順調に成長する」(シティグループ証券チーフエコノミストの村嶋帰一氏)と、米経済への信頼は揺らいでいない。

製造業PMIの下振れが懸念された中国だが、24日の上海総合指数.SSECはプラスで推移。構造改革を進める同国の成長率が今年低くなるかもしれないという懸念は、今に始まったことではない。中所得層に消費は順調に拡大しており、中国需要を反映させやすいベースメタルの価格も上昇している。

世界的な株安は、昨年末に広がった過剰な楽観をベースにしたリスクオン・ポジションの巻き戻しの範囲内を出ていないとの強気な見方は依然多い。

また、BNPパリバ証券・債券調査部EMKストラテジストの前島英彦氏は、「昨年5月のときも、経常赤字や財政赤字、外貨準備などが悪い国とそれ以外の国で影響は二極化した。投資家はそれを覚えており、すべての新興国から資金を引き揚げることはないだろう」との見方を示している。

(伊賀大記 編集:田中志保)


中国工商銀、問題抱えた信託商品の投資家を救済も-時代周報 2014/01/23 16:25 JST ブルームバーグ

アルゼンチンで国債デフォルト懸念が再燃-停電頻発し略奪横行 2014/01/24 11:39 JST ブルームバーグ

NY外為:円とフランが上昇-新興市場通貨安で逃避需要 2014/01/25 08:03 JST ブルームバーグ

新興国通貨が軒並み下落、インドなど一部中銀は介入実施か 2014年 01月 25日 08:14 JST ロイター

ドル一時101円台に急落、安全資産に資金逃避=NY市場 2014年 01月 25日 08:19 JST ロイター

米株は大幅続落、新興国懸念でダウ平均318ドル安 2014年 01月 25日 08:43 JST ロイター

存続困難な銀行は破綻させるべき=ドラギECB総裁 2014年 01月 25日 09:03 JST ロイター

ブラジル大統領が財政均衡化に決意、懸念払しょくの具体策示さず 2014年 01月 25日 09:09 JST ロイター

アルゼンチンが為替管理緩和、ペソ急落後に-24日は1.5%安 2014/01/25 14:02 JST ブルームバーグ

新興市場株が大幅下落-中国経済の失速への懸念増大 2014/01/25 11:50 JST ブルームバーグ

1938年から2014年、サウジから再びメキシコへ

メキシコ革命終焉後、革命の最終的な成果として、ときのラサロ・カルデナス政権が石油利権を国有化(現在のペメックス社)した1938年。

この経緯については2012年7月17日のエントリーを参照していただくとして、国家の命運を左右する利権を失った米国は、当時むしろ英国と関係の深かったサウジアラビアで1933年来、採掘を続けていたスタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア(現在のシェブロン)が、同年ダンマン油田を掘り当てることに成功する。

そして現在のサウジアラムコ社の前身、アラビアン・アメリカン・オイル・カンパニー(通称:アラムコ社)が操業を開始する。絶対王政のサウジアラビアと共和政の米国の奇妙な蜜月はここに始まった。

もっとも2013年10月26日のエントリーで述べたように、シリアとイランを巡ってサウジと米国の蜜月期は終わった。シェールガス革命も影を落としているだろう。

しかし、サウジに限らず湾岸諸国の多く、エジプト、イスラエルとの良好な外交関係も同時に失っているオバマ政権は、筆者にしてみればカーター政権以上の外交上の失敗を犯している、と思える。

NAFTA以降の利権再分配が一巡したメキシコは、新たな投資を呼びこむために1938年来のペメックス社の独占を一部緩和して、2013年末、法案を通し、米国資本を招致する。実際の操業開始が早くて2015年末とは云え、2014年初頭、このニュースを読むと、歴史の皮肉を感じるではないか。

米墨戦争からメキシコ革命まで米国の人口圧力に押されてきた彼ら、ヒスパニックが米国に対して逆に人口圧力によって押している背景を考えると、革命の成果を米国に再分配してもバランスは取れるのかもしれない。

メキシコでの外資石油大手の開発投資開始、2年後か-法整備 2014/01/16 10:14 JST ブルームバーグ

 1月15日(ブルームバーグ):米エクソンモービル やシェブロン などの大手石油会社がメキシコの石油・ガス業界に投資できるようになるまでにはさらに2年間を要する見通しだ。メキシコでは昨年12月、外国企業に石油・ガス開発事業を開放する法案が可決された。

メキシコのエネルギー省のエンリケ・オチョア副大臣はメキシコ市でのインタビューで、外国の原油生産会社による油田探査の入札とインフラ開発や操業開始が可能になるのは早くても来年末になるとの見通しを示した。操業を認可する前に法的枠組みを決定し、メキシコ国営石油会社(ペメックス)が開発を継続する油田を選択する必要があると述べた。

原題:Big Oil Faces Two-Year Wait as Mexico Works on ContractTerms(抜粋)

“反米国家”ベネズエラを支える米国

ベネズエラ大統領選で反米で名高いチャベス大統領が4選を果たした。任期は2019年までとなる。ベネズエラは、米国に政治経済及び文化で近付きすぎた国家群の類型のひとつとして見ることが出来る。

年度ごとの違いはあっても、米国が輸入している原油の約10%はベネズエラから、ベネズエラが輸出している原油の約50~60%は米国へ、というデータを踏まえないと、この二国の特殊な関係性は語れまい。

ベネズエラは反米を唱えながら、その実際は米国に経済的に依存している。また文化的にも米国の影響は色濃い。たとえばサッカーの盛んな中南米各国で、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の出場国に名を連ねるのはメキシコ、プエルトリコ(米国の連邦自治区)、キューバ、ベネズエラである。中南米諸国の反米の度合いはその歴史的経緯、政治経済的依存度、文化的影響度の多寡に左右されていることが分かる。

話を戻すと、ベネズエラの手厚い社会保障政策の原資は米国民の財布から出ているのが現実だ。チャベス政権は国家予算の約40%を社会保障に回し、乳児死亡率の減少、初等教育の充実を達成した。これは功績と云って良い。

はて我が国の資本財と基幹部品に依存している、どこかの半島国家や大陸国家を彷彿とさせるが、ベネズエラは米国を汚く口で罵っても実効性のある反米政策は採ってこなかった。一線を踏み越えさえしなければ、米国も対抗策を採ることはないだろう。

そもそも社会保障政策の原資を増やそうと思えば、それだけ原油生産量を増やさざるを得ず、日量1000万バレルを突破したサウジアラビア、ロシアと同じく増産の列に続くことになれば、それだけ共闘するイランの首を絞めることになる。その意味においても米国は対抗策を採ることはない。

ベネズエラ大統領選 野党、チャベス氏を猛追 反米の盟主ピンチ! 2012.10.3 22:18 MSN産経

 【ニューヨーク=黒沢潤】南米の産油国ベネズエラで7日、大統領選が行われる。4選を目指す反米左翼チャベス大統領(58)が戦いを優位に進めているが、主要野党統一候補のカプリレス前ミランダ州知事(40)が激しく追い上げ、両者の差は縮小傾向にある。政権交代は中南米地域における反米勢力の“盟主”の退場を意味するだけに、米国や域内各国は選挙の行方を注視している。

 チャベス大統領は前回選(2006年)では得票率63%で圧勝した。今回は主要世論調査によれば、カプリレス氏に対し10ポイントほど優勢だが、カプリレス氏は終盤に入って猛追している。

 約14年間にわたり、独裁体制を敷いてきたチャベス大統領は、豊富な石油資源を背景に衣料や教育の無償化、貧困層への住宅提供や現金支給など、広範な“バラマキ”を実施してきた。

 しかし年間のインフレ率は30%近くへと上昇。相次ぐ企業の国有化で、産業界からは反発を買っている。

 マフィア同士の抗争などを除く殺人事件は昨年、前年比約30%増の約1万9千件に達した。昨年確認された誘拐事件も1999年の政権発足時に比べ26倍(1150件)で、治安悪化への国民の不満は小さくない。チャベス大統領は過去数回、腫瘍摘出手術も受けるなど、健康不安ものぞかせている。

 一方、25歳で政界入りし、若くして国会議長も務めたカプリレス氏は基本的に市場重視派だ。ただ、国営石油会社(PDVSA)を早急には解体せず、財務・運営面で政府からの独立を強化させていく方針。油田開発分野で外国投資も積極的に受け入れ、日量300万バレル弱の現在の石油生産を倍増させたい考えだ。

 石油資源をもとに貧困対策も当面は堅持し、政権交代に伴う急激な社会変革は回避する意向とみられる。

 政権が交代した場合に注目されるのは外交政策だ。

 ベネズエラはキューバ、ニカラグア、ボリビア、エクアドルといった中南米の反米諸国の急先鋒。しかし「(カプリレス政権誕生なら)6カ月以内に駐ベネズエラ米大使が復帰するのは確実」(ベネズエラ・オリエンテ大学の米国人教授スティーブン・エルナー氏)とされるなど、対米関係改善が劇的に進む見通しだ。

 さらに、石油提供などの見返りに維持されてきた中南米地域の反米同盟は、“盟主”を失うことで存在基盤を弱めることになる。チャベス政権の経済支援に頼ってきた中南米諸国も、政権交代の影響を免れることはできない。

 ベネズエラは、核兵器開発疑惑で国際社会から非難を浴びるイランとも共闘してきた。アフマディネジャド大統領は今年2回、ベネズエラを訪問し、共闘姿勢を再確認している。


チャベス大統領が4選 ベネズエラ大統領選 2012.10.8 11:59 MSN産経

 【カラカス=黒沢潤】南米の産油国ベネズエラの大統領選は7日投開票され、チャベス大統領(58)がカプリレス前ミランダ州知事(40)を破って4選を果たした。

 中央選管によれば、チャベス氏の得票率は54.43%、カプリレス氏は44.47%。開票結果が発表されると、カラカスではチャベス大統領支持派が数カ所で一斉に巨大な花火を打ち上げ、歓喜の声を上げた。

 チャベス大統領はこれまで3期にわたり、貧困層への“バラマキ”政策で貧困層から絶大な支持を得た。4選を決めたことで、在職期間は2019年までの計20年間に及ぶことになる。

 一方、カプリレス氏は、国営石油会社(PDVSA)への民間投資導入や、企業の国有化反対を訴えるなどして中産階級への浸透を図ったが、当選は果たせなかった。


チャベス政権の歴史的役割は、メキシコ革命(1910年~1920年)、もしくはキューバ革命(1953年~1959年)を彷彿とさせる。両革命は、米国の利害関係から脱却しようとする内戦と米国からの軍事介入をはねつける戦いでもあった。

メキシコにおいては、最終的に革命の成果を制度的に擁護する、制度的革命党(PRI)が結成され、事実上の一党支配となる長期政権によって、内戦は終結した。政策的には1934年、ラサロ・カルデナスが大統領の座に就き、1937年の鉄道国有化、1938年の石油産業国有化(これは米国のサウジアラビア進出にも影響を与えた)によって完成した。

つまり、超長期的な視点からベネズエラの未来を予測すると、約30年~50年後、キューバのように反米のまま推移することで満足し続けるか、メキシコのように利権構造の硬直化によって腐敗が進み、中間層が左派リベラル的な政策の転換を求め、米国とNAFTAのような自由貿易協定を締結する。そんなふたつの選択肢が見えてくる。

参考URL:
『ラテンアメリカの一次産品輸出産業 ―資料集 ―』 ベネズエラの石油輸出 アジア経済研究所 2006 年

BBVAもサンタンデールに続け、と誰かが囁く

サンタンデールのメキシコ子会社上場が好調だったことで、BBVAも同様に子会社上場の可能性が出てきた、とロイター電が伝える。スペインのストレステストの結果を見る限り、この2大メガバンクを生き残らさせて、残余は整理していくのが妥当だろう。特にスペインの旧植民地地域に基盤を持つこの2行を守ることこそ、たとえば英国経済の旧植民地の金融支配構造の維持と同様にスペイン経済にとって最重要だからだ。

それ以外の銀行についてはストレステストのあと、不良債権処理のバッドバンクをつくることになるだろう。

それぞれ対象がキャッシュフローを生みだせない不動産主体の場合、猛烈な貸し剥がしをした我が国の整理回収機構の例に近くなり、キャッシュフローを生みだせそうな有望な企業の場合は我が国の産業再生機構の例に近いものになる。

さらにバッドバンクに移さずとも、一度破綻処理をすれば継続したキャッシュフローを生みだせそうな不動産(ホテルやゴルフ場などのリゾート)ならば、外資系のPEファンドが買収・再公開する例が近似するだろう。スペインは北欧と英独からのリゾート客が見込まれる。ここが最も稼ぎ場所になりそうだ。

サンタンデール、メキシコ子会社上場で34億ユーロ調達目指す 2012年 09月 5日 06:19 JST ロイター

[マドリード/メキシコ市 4日 ロイター] スペインの大手行サンタンデール(SAN.MC: 株価, 企業情報, レポート)のボティン会長は4日、今月予定しているメキシコ子会社の株式新規公開で、最大34億ユーロ(43億ドル)の調達を目指していることを明らかにした。

ユーロ圏で最大の規模を持つサンタンデールは、メキシコ子会社のグルポ・フィナンシエロ・サンタンデール・メヒコの株式、最大24.9%を上場する。時価総額は最大137億ユーロと算出され、メキシコでは過去最大規模の新規株式公開(IPO)となる見通し。

新規株式公開(IPO)のプライシングは29.0─33.5メキシコペソ(2.20─2.54ドル)。アナリスト予想の最上限は36ペソだった。取引はメキシコ市場とニューヨーク市場で26日頃に開始されるとみられている。

ボティン会長はメキシコ市で開いた記者会見で、メキシコ子会社の上場により、サンタンデール本体の資本増強が望めると期待を表明。ただ、上場で得られた資金は「1ペセタたりとも、不動産事業による損失の穴埋めには使わない」と言明した。

同会長は、メキシコ子会社に続き、その他の有力な子会社も向こう5年以内に上場させる計画を表明。「スペインはメキシコのような状況にないことは周知の事実だ。メキシコはすばらしいが、スペインは今は一番良い時期ではない」と述べた。

サンタンデールによると、メキシコ子会社の上場により、同行の中核的自己資本比率は約0.5%ポイント上昇する。

サンタンデールの上半期の純利益は、不動産部門の損失が重しとなり、前年から半減。こうしたなか、同行のメキシコ子会社は好調なメキシコ経済が追い風となり、事業も好調。サンタンデールの利益の半分はラテンアメリカ地域での事業によるものとなっている。メキシコ事業からの利益は全体の12%を占める。

サンタンデールはこれまでにブラジルとチリの子会社を上場。アルゼンチンと英国の子会社は未上場となっている。


サンタンデールのメキシコ子会社、上場初日に一時9%高 2012年 09月 27日 07:31 JST ロイター

[メキシコ市 26日 ロイター] 26日に新規株式公開(IPO)したスペインの銀行大手バンコ・サタンデール(SAN.MC: 株価, 企業情報, レポート)のメキシコ子会社サンタンデール・メヒコ(SANMEXB.MX: 株価, 企業情報, レポート)の株価は、大幅に上昇した。

バンコ・サンタンデールはメキシコ市場で40億ドルを調達。これはメキシコ市場への上場では最大規模となる。

サンタンデール・メヒコのIPO価格は31.25ペソで、これに基づくと同社の価値は165億3800万ドル(127億8000万ユーロ)となる。同行株価はこの日、IPO価格から一時9%高の34.10ペソをつけた。

同行はニューヨークへも上場。この日株価(BSMX.N: 株価, 企業情報, レポート)は一時13.18ドルをつけ、IPO価格の12.185ドルを上回った。

ニューヨーク市場への上場規模としては、フェイスブック(FB.O: 株価, 企業情報, レポート)に次いで今年2番目となる。

サンタンデール・メヒコのマルコス・マーティネス最高経営責任者(CEO)は、ロイターとのインタビューで、IPOへの公募は募集枠の5倍近くに達し、予想以上の需要があった、と明らかにした。そのうえで「確かにかなりの労力を費やしたが、投資家の反応には若干驚いている」と述べた。

ただ、今後さらに株式を上場する計画はないと語った。

今回の同行IPOに対する投資家の反応が良好だったことから、スペインのBBVA(BBVA.MC: 株価, 企業情報, レポート)のメキシコ部門もメキシコと米国で資金を調達する可能性がある、とアナリストは指摘する。


〔情報BOX〕スペインの主要14銀行のストレステスト結果概要 2012年 10月 1日 11:10 JST ロイター

[マドリード 28日 ロイター] スペインは28日、国内主要14行に対して実施したストレステスト(健全性審査)の結果を明らかにし、景気が大幅に悪化した場合の資本不足額は総額で593億ユーロ(760億ドル)と発表した。ストレステストは米コンサルタント会社のオリバー・ワイマンが実施した。

結果の概要は以下の通り。

基礎シナリオ下での所要自己資本比率は9%、景気の大幅悪化を想定したシナリオ下での同比率は6%に想定された。大幅悪化シナリオに基づいた銀行セクターの資本不足額は税額控除を含む額が537億ユーロ。含まない額が593億ユーロ。

基礎シナリオ(%)
    2012 2013 2014
国内総生産(GDP)伸び率 -1.7 -0.3   0.3
失業率  23.8 23.5 23.4
住宅価格  -5.6 -2.8 -1.5
株価   -1.4 -0.4 0.0

大幅悪化シナリオ(%)
    2012 2013 2014
国内総生産(GDP)伸び率 -4.1 -2.1 -0.3
失業率  25.1 26.8 27.2
住宅価格  -19.9 -4.5 -2.0
株価   -51.3 -5.0 0.0

大幅悪化シナリオ下での個別銀行の資本不足額(単位10億ユーロ)

サンタンデール(SAN.MC: 株価, 企業情報, レポート)、BBVA(BBVA.MC: 株価, 企業情報, レポート)、カイシャバンク(CABK.MC: 株価, 企業情報, レポート)、Kutxabank、サバデル(SABE.MC: 株価, 企業情報, レポート)、バンキンター(BKT.MC: 株価, 企業情報, レポート)、ウニカハは追加資本不要と判断された。

イベルカハ・リベルバンク・カハの3銀行(統合予定)2.1
バンコ・マレ・ノストルム 2.2
バンコ・ポピュラール 3.2
バンコ・デ・バレンシア 3.5
ノバガリシア 7.2
カタルーニャバンク 10.8
バンキア(BKIA.MC:株価, 企業情報, レポート) 24.7

*ストレステスト結果のリポート全文は以下をクリックしてご覧下さい。
ASSET QUALITY REVIEW AND BOTTOM-UP STRESS TEST EXERCISE September 28, 2012

ここがサンタンデールの正念場

以前、HSBC(香港上海銀行の持株会社)が損保部門の売却を日本勢に打診、また韓国国内のリテール部門の売却を韓国産業銀行に打診、現在までに日本のリテール部門から撤退、韓国のリテール部門を韓国産業銀行に売却したニュースをエントリーで触れた。

HSBCは、欧州債務危機に際して格付けが引き下げられ、バランスシートが毀損したため、海外資産の整理を進め、すぐ現金化できる株式などの処分を行い、次に部門子会社や不動産などの処分を進めた。これらの動きは英米の金融機関すべてに云えた。

バランスシートの調整を進めた結果、植民地金融に起源を持つHSBCやスタンダード・チャータードなどは、極東アジアやインド・中東における貿易金融などの分野では、危機の渦中にある独仏勢よりも先んじて攻勢に転じ、我が国の金融機関とともに存在感を増している。大英帝国の遺産はまだ生きている。そして、アングロ・イラニアン、現在のBPを生んだイランへの制裁に、またHSBCとスタンダード・チャータードを生んだ上海と香港からの資本流出に眼を光らせている米国政府に追い込まれる結果にもなっている。

一方なおも続く、独仏の金融機関とそれらに影響を与える南欧諸国の金融機関の格付け引き下げは、彼ら自身の海外資産売却を加速させる。バランスシートを調整し、自己資本の増強することが早急の課題なのだ。

サンタンデールは、メキシコ部門のIPOで資本増強を図りたいようだ。

スペインのサンタンデール銀、メキシコ部門のIPO計画 2012年 08月 16日 21:41 JST ロイター

[マドリード 16日 ロイター] スペインのサンタンデール銀行(SAN.MC: 株価, 企業情報, レポート)は16日、メキシコ部門の一部について、数日中に新規株式公開(IPO)計画を当局に申請する方針を発表した。

同行によると、メキシコ市と米ニューヨークの証券取引所に株式を上場する。

メキシコ部門のどの程度の株式を上場するかはまだ決めていないが、いずれにしても親会社が過半数株式を保有するとしている。

ブルームバーグは15日、同行がIPOで最大40億ドルを調達する計画だと報じていた。

同行はスペイン最大の銀行だが、アルゼンチン、ブラジル、メキシコなど中南米地域でも広く事業を展開。2009年にはブラジル部門の一部について株式を上場している。


以前のエントリーの再掲となるが、特にスペインの旧植民地地域に基盤を持つサンタンデールやBBVAなども国内の問題に目途を付けられないと、ポルトガルのようにかつての帝国の遺産を失い、スペインそのものが小国に転落する可能性がある。

ポルトガルは、貿易の人脈を活用しながら仲介加工貿易をするとか、植民地の利権を発展させながら多国籍企業をつくるとか、銀行や保険の情報を駆使しながら島嶼植民地におけるオフショア金融を発達させるとか、イギリスやオランダの採った道をたどれなかった。

それどころか、1975年のカーネーション革命によって、マカオを除く全植民地を一遍に喪失した。アフリカに植民していたポルトガル系(レトルナードス)が帰国して、労働需給が壊れ失業率が上昇した上に、石油など天然資源の豊富なポルトガル領西アフリカ(アンゴラ)・ポルトガル領東アフリカ(モザンビーク)といった領域植民地と、中継貿易拠点かもしくはオフショア金融の拠点になりうるポルトガル領ギニア・マカオ・ゴア・東ティモールなどを自国のために活用できなかった。

たとえばマカオの発券銀行である大西洋銀行の規模と名声は、香港のそれである香港上海銀行(HSBC)とは比べるべくもない。また2008年~2013年までの6年をかけてポルトガル語の正書法をブラジルに合わせるという逆転現象が起きている。イギリスのアメリカナイゼーションの比ではない。

かつてのポルトガルの没落を想起すると、ギリシアは論外として、スペインの正念場が今まさに訪れている。

NAFTAによる利権分配の再調整に入るメキシコ

内戦であるメキシコ革命(1910年~1920年)は、主に米国からの外資導入で貧富の格差が増大したため、要求として沸き起こってきた利害関係の調整を穏健な政権交替と政策変更によって実現できなかったゆえに発生した。

最終的に革命の成果を制度的に擁護する、制度的革命党(PRI)が結成され、事実上の一党支配となる長期政権によって、内戦は終結した。政策的には1934年、ラサロ・カルデナスが大統領の座に就き、1937年の鉄道国有化、1938年の石油産業国有化(これは米国のサウジアラビア進出にも影響を与えた)によって完成した。

しかしながらメキシコ革命によって構築された利害関係を維持・分配する役割を担ってきた制度的革命党(PRI)も、1980年代以降は利権構造の硬直化によって腐敗が進む。その打開策のひとつとしてNAFTAが締結されたと言える。

1994年のNAFTAの発効以後、その恩恵を受けた中間層が勃興する一方、没落する農民や先住民の支持を受けたサパティスタ民族解放軍が最南端のチアパス州で蜂起する。また麻薬の一大市場である米国国境付近の各州でメキシコ麻薬戦争が勃発する。

これらは北米自由貿易協定(NAFTA)によってもたらされた利権の再分配の過程で引き起こされたと言えるだろう。従来のメキシコ革命の利権構造が壊れて、その支持者の多くが、利権の再分配に大きく預かることの出来なかった制度的革命党は徐々に議会多数、大統領職を失い、野党へと転落した。

政治的対立のすべてはNAFTAが中心軸にあった。

新自由主義的な国民行動党(PAN)は、貿易上の利点の大きい北部及び首都周辺の地域に地盤を持つ。左派・左翼的な民主革命党(PRD)は、逆に貿易上の利点の少ない南部に地盤を持つ。制度的革命党(PRI)はそれ以外の地域に地盤を持ち、かつ他の党が進出している地域でも一定の議席を有している。

制度的革命党(PRI)の政権復帰は、NAFTAの利権分配の効果が一巡したことを示している。おそらく利害関係の再調整が求められての結果だろう。メキシコは今後、NAFTAによる政治的混乱の収拾期に入る、と思われる。

それにしても、過去の歴史からの俯瞰的立場で現在の世界情勢を見るとき、第2次世界大戦の前哨戦となる紛争や体制変革が起きた1936年前後に似通っているのは気に掛かるところだ。

メキシコの制度的革命党が大統領選勝利を宣言、政権交代へ 2012年 07月 2日 12:03 JST ロイター

[メキシコ市 1日 ロイター] メキシコの大統領選挙で政権返り咲きを目指す野党・制度的革命党(PRI)は1日、ぺニャニエト候補(45)の勝利を宣言した。出口調査で同候補の大幅なリードが伝えられたため。

1日夜の投票終了後に伝えられたメキシコの主要3テレビ局による出口調査では、ぺニャニエト候補が2番手につける左派のオブラドール候補を8─11パーセントポイントリードし、得票率は約40%。与党・国民行動党(PAN)のモタ候補は3番手となった。

PRI選挙対策本部の幹部はこれを受けて即座に勝利を宣言。上院だけでなく下院でも過半数議席が確保できる可能性があるとの見方を示した。

PRIは、2000年に政権を奪われるまでの71年間、与党の座を守っていた。ぺニャニエト氏は、国営石油会社ぺメックスの外資への開放と税収増、労働市場の自由化を掲げている。


メキシコ大統領選、2位候補が異議申し立ての可能性も 2012年 07月 3日 09:22 JST ロイター

6月のメキシコ製造業PMIは55.9に上昇、新規受注・生産の伸びが加速=HSBC 2012年 07月 3日 12:02 JST ロイター

 [メキシコ市 2日 ロイター] 英HSBCが2日発表した6月のメキシコ製造業購買担当者景気指数(PMI)MXPMIM=ECI(英マークイット算出)は季節調整済みで55.9と、5月の55.2から上昇した。新規受注と生産が高い伸びを示した。

 製造業セクターの景気の拡大と縮小の分岐点となる50も上回っている。

 項目別では、新規受注と新規輸出受注がともに前の月から上昇。新規受注は2011年4月以降、前月比での上昇を続けている。

 HSBC(メキシコ)のチーフエコノミスト、セルジオ・マーティン氏は「製造業セクターに引き続き、外部からの逆風に対する弾力性があることを示している」とのコメントを発表した。

 統計ではこのほか、インフレ懸念の高まりにつながる投入価格の上昇傾向も示された。


メキシコ政権交代、新大統領の麻薬対策に怒りと期待交錯 2012年 07月 4日 13:36 JST ロイター

[エルパソ(米テキサス州) 3日 ロイター] 「何のために6万人の命が奪われたのか」──。メキシコ大統領選で当選したぺニャニエト氏(45)が、麻薬犯罪の撲滅を訴える姿を見て、国境を接する米テキサス州エルパソの実業家リカルド・フェルナンデスさん(33)は怒りを覚えた。

生まれ故郷のメキシコで麻薬戦争を目の当たりにしてきたフェルナンデスさん。「本当に多くの人が殺され、苦しんでいる。何のためだろうか。われわれは、昔の状態に戻ろうとしているだけではないか」と語気を強める。

ぺニャニエト氏の当選で、2000年まで約70年間政権を握ってきた制度的革命党(PRI)が再び与党に。フェルナンデスさんのようにメキシコとの国境沿いに住む住民の反応は、怒りの声から期待の声までさまざまだ。

メキシコでは、カルデロン現大統領が軍を動員するなどして、麻薬犯罪撲滅に乗り出して以降、5万5000人以上が死亡。死者の大半が、荒廃した国境に近い州で命を落としている。

<連邦警察の定員を5万人以上に>

ぺニャニエト氏は、麻薬組織との戦いよりも暴力抑制に重点を置くと宣言し、現政権とは異なる戦略で麻薬対策に臨むと表明。連邦警察の定員を5万人以上に増員するなどの方針を示している。

これに対し、麻薬密輸の中継地となっている米アリゾナ州南部のサンタクルス郡の保安官は、「彼(ぺニャニエト氏)は、メキシコに苦痛と悲しみをもたらしている暴力の抑制に集中しようとしている。カルデロン大統領から劇的に変化することになると思う」と語る。

一方、犯罪が多発するシウダフアレスの若者と活動するNPO団体を率いるフェルナンデスさんは、汚職がまん延したPRIの政権与党時代に逆戻りすると危惧。「彼らは今まで通り、麻薬組織と交渉を行うことで問題を解決しようとするだろう」と、不安を隠せない様子で話した。

ただ、ぺニャニエト氏が昔のPRIと決別し、シウダフアレスなどの治安対策を強化してくれると期待を寄せる声もある。エルパソのジョン・クック市長は「ぺニャニエト氏は麻薬組織との取引はないと誓った。これはとてもポジティブなニュースだ」と述べた。

また、大統領選前に麻薬組織の犯行とみられる爆発があったヌエボラレドと国境を接するテキサス州ラレドのラウル・サリナス市長は「慎重ながらも楽観的にならなければならない。ネガティブに考え続けると、事態が好転することはない」と指摘。その上で「彼の計画は知らないが、暴力を減らしたいと言っているのであれば、それは本当だろう」と話した。


メキシコ大統領選の再集計、ペニャニエト候補の当選確実に 2012年 07月 6日 12:43 JST ロイター

[メキシコシティ 5日 ロイター] 1日に投票が行われたメキシコの大統領選について、5日までに行われた票の再集計の結果、野党・制度的革命党(PRI)のペニャニエト候補(45)の当選が確実となった。

ペニャニエト候補の当選に関しては、票の集計または再集計が全体の99%まで進み、ペニャニエト候補の得票率は38.2%と民主的革命党(PRD)のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドル候補に6.7ポイント差をつけている。

オブラドル候補は、全ての票の再集計を求めていたが、連邦選挙機関(IFE)は選挙法に従い投票所全体の54%でのみ再集計を行うとした。

同候補は5日の記者会見で、PRIが有権者に対して小売りチェーン店で使用可能なギフトカードを配布し、不正を行っていたと主張した。

IFEは8日にも正式な選挙結果を発表する見込み。

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