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メイド・イン・チャイナは安くない

オックスフォード・エコノミクス社の調べでは、米国の単位労働コストと中国のそれの間ではわずか4%の差しかなくなった。生産コストと物流コストを考慮すれば、もはや中国で同等の製品を生産して輸入する意味は皆無となった。

2015年7月18日のエントリーにあるように、

もともと2018年に米中の生産コストが逆転するという予測があった。これは経済誌フォーチュンの報道による。この報道よりも、米中の生産コストの逆転が2年も早まったことになる。

しかし、米国へのリショアリングはそう簡単ではない。米国では長年、海外(特に中国)にアウトソーシングしてきたために、熟練工は高年齢化し、技術継承できる人材層が薄くなりすぎている。

また、技術力を有した企業よりも『ジョブ・ショップ』と呼ばれる製造請負業者が活況を呈しており、そこでも労働者のミスマッチが起きており、派遣業者ですら充分に人材を供給できていない。

そして、米国への生産拠点回帰には、労組なし・法人税安・補助金付きを求める企業とそれに呼応する失業者と州の思惑が交錯する。

米国内の各州にとって工場誘致のための切り札は労組をなくすことだ。すべての労働者に組合費の支払いを義務付ける契約を禁じる法律を制定することで、労組の組織化を困難にしている。

世界の工場、中国に陰り 「労働コスト」日本を逆転 2015/12/6 1:30日本経済新聞 電子版

Made in China Not as Cheap as You Think March 17, 2016 — 7:00 AM JST Bloomberg

日本よりもはるかに高い中国の労働コスト、生産性向上を上回る給与上昇が問題に―中国紙 2016年3月23日(水) 16時30分 レコードチャイナ

2016年3月22日、北京青年報はこのほど、「中国の労働コストは日米を超えたか?」と題した記事を掲載した。

英リサーチ企業オックスフォード・エコノミクス社は驚くべきリポートを発表した。2003年、2012年、2016年と3つの時期において米国と中国の労働コストを比較したものだ。2003年時点では中国の労働コストは米国の4割前後。2012年では中国は米国にかなり接近し、2016年にはわずか4%しか差がないことが判明した。さらに日本の労働コストは2016年段階で中国のわずか70%しかないという。

なぜこのような状況に陥ったのか。労働コストとは単なる給料の多寡ではなく、一定の付加価値を生み出すために必要となる労働者のコストを意味する。つまり、たとえ給与が高くともそれ以上の付加価値を生み出せれば労働コストは低くなるわけだ。

中国では生産性向上よりも早いペースで給与が上昇したことが労働コストが上昇した原因となった。2003年から2016年にかけて中国製造業の賃金は倍増したが、生産性はこの伸び率に追いついていない。(翻訳・編集/増田聡太郎)

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ネオコンの『裏切られた革命』

ネオコン(新保守主義者)には、永続的な革命論を説いたトロツキーの影響が垣間見られる。世界に民主主義を輸出する、といった姿勢はイラク戦争や色の革命に見られてきた。共産主義者が革命を輸出するのなら、こちらは民主主義を輸出するという具合だ。

トロツキーは一時、レーニンの後継に擬せられたが、官僚機構を支配するスターリンとの権力闘争に敗れて、亡命先のメキシコで暗殺される。彼はスターリンの一国社会主義に対比して永続革命論を説いていた。

ネオコンは、思想的にはトロキストが現実主義に目覚め、政治的には保守派勢力に転向して、党派としては民主党から共和党に鞍替えしたものだった。

民主党のふたりの大統領、ジョン・F・ケネディとリンドン・ジョンソンが、公民権運動に代表されるような社会改革を行って、リベラルの一大潮流を作り上げた。

これに対して、モンロー主義を支持する伝統的保守、公民権運動で民主党から離れた福音派、小さな政府を支持するリバータリアン、そしてネオコンに代表される反共主義者を結集させたのが、現在の共和党の姿である。

しかし、『フランス革命の省察』を著したエドマンド・バークがフランス革命とつづく革命戦争に遭遇したとき、保守が誕生したことを考えれば、イデオロギーを輸出していくネオコンの姿勢は、そもそも保守に馴染まないとも云える。

共和党・民主党異色の大統領候補二人がいずれも従前の世界政策に対して、伝統的な孤立主義に回帰している。

2016年2月26日のエントリーでも述べたように、

保守系のアメリカン・コンサヴァティブ誌は民主党の大統領候補、自称社会主義者のサンダース上院議員が最も孤立主義の傾向が強いと断じる。

また、共和党の大統領候補、資本主義の権化であるトランプ氏は1980年代の日米経済戦争の頃の対日観を以ってジャパン・バッシングを行っている。もとより平均的な米国人の北東アジアの認識においては日本も韓国も中国も同じであるが。

トランプ氏のジャパン・バッシングを批判するナショナル・インタレスト誌は、経済と軍事の両面において日本は競争者ではなく同盟国である、と指摘する。

OPEN LETTER ON DONALD TRUMP FROM GOP NATIONAL SECURITY LEADERS MARCH 2, 2016 War on The Rocks

GOP hawks declare war on Trump 03/02/16 05:55 PM EST Politico

伝統的な孤立主義に回帰する大統領候補、特に共和党の大統領候補に一番近いトランプ氏に対して、安全保障の政策を立案する専門家たちの反発は大きい。

117人の連名で公開書簡を送りつけたり、共和党にすら反旗を翻して、ネオコンの創始者アーヴィング・クリストルは「第三の候補を見出して支援するべき」と述べ、ロバート・ケーガンは「ヒラリー・クリントン女史で行くしか選択肢はない」と断じる。ネオコンが民主党に帰還する日も近いのかもしれない。

孤立主義に回帰する合衆国

“戦後レジームからの脱却”が成就した世界は無秩序に陥る。覇権国の国力が交差する、特に生産供給力で交差するとき、戦争の危機が訪れる。その危機を利用して、“戦後レジームからの脱却”以降のレジームで自国の優位な立場を作ろうとしているのが我が国、現在の安倍政権である。

覇権国の国力が交差せんとする、今まさに共和党と民主党双方の大統領候補にモンロー主義(伝統的な孤立主義)へ回帰する動きが見られる。

保守系のアメリカン・コンサヴァティブ誌は民主党の大統領候補、自称社会主義者のサンダース上院議員が最も孤立主義の傾向が強いと断じる。共産主義から転向したネオコンが共和党の外交軍事政策を左右したように、民主党でもねじれ現象が起きつつある。

A 2016 Foreign Policy Report Card February 25, 2016 The American Conservative

また、共和党の大統領候補、資本主義の権化であるトランプ氏は1980年代の日米経済戦争の頃の対日観を以ってジャパン・バッシングを行っている。もとより平均的な米国人の北東アジアの認識においては日本も韓国も中国も同じであるが。

トランプ氏のジャパン・バッシングを批判するナショナル・インタレスト誌は、経済と軍事の両面において日本は競争者ではなく同盟国である、と指摘する。この関係は1990年代以降の日米経済戦争が続くなかで行われた日米安保の再定義の成果と云える。

Trump Shouldn't Bash Japan February 25, 2016 The National Interest

中国共産党の台頭と合衆国の覇権縮小によって、“日本株式会社”の再興及び日本に有利な形での新しいレジーム形成の機会が訪れている。

以下、2015年11月26日のエントリーの再掲となる。

日米もし戦うとすれば、大陸政策で対立・激突したときに限られる。これは我が国が先の大戦で学んだことだ。

1980年代の日米経済摩擦を経て、1989年の冷戦終結と天安門事件を境目にして、当時は日米経済戦争が現実の弾丸に取って代わるのではないか、と結構真剣に考えられていた。あの当時の空気感を一言で云えば表すには『ザ・カミング・ウォー・ウィズ・ジャパン』という表題の本が出版されていたことで理解できるかもしれない。

現在の中国の繁栄は、その日米資本主義の決戦における両者の廉価な労働力の供給源として見出されたからに他ならない。この補助線として、1980年代当時の我が国では、単純労働と特殊な技能労働の給与水準に大きな差がないことの方が問題とされたことを忘れてはならない。

危惧されていたのは、その抗争のさなかにかつての日英同盟の破棄同様、日米安保条約が破棄されるかもしれない、ということだった。米国側の一部は“ビンの蓋”論を提唱したし、日本側の一部は“自主防衛”を提唱した。実際は日米安保の再定義が両者の決定的破滅を防いだが。

もちろん、我が国の日本型資本主義(いわゆる“日本株式会社”)は、バブル崩壊と金融ビッグバンとバランスシート不況、デフレを経て、大きくその様相を変えた。

製造業は資本財や基幹部品で競争力を維持しつつ、航空宇宙・原子力などインフラ部門でも米国にキャッチアップしてきた。また、脆弱とされたメガバンクなど銀行セクターの自己資本比率の強化、所得収支の黒字化、知財やソフトウェアのサービス収支の改善など、より強靱さを増した。

引き換えに多くの社会的代償(永続的な雇用関係の破壊や自殺率の上昇、出産率の低下)を支払ったし、その点では米国の勝利と云えなくもない。

しかし、中国のGDPが世界第2位となり、米国への挑戦者として浮上してきたことは我が国にとっても“日本株式会社”再興の契機でもあるのだ。強靱さを維持したまま、それが達成出来るならば、これを利用しない手はないだろう。

大統領選よりも連邦最高裁判事の指名争いを見よ

立法府(上下両院)と行政府(ホワイトハウス)の対立が続き、法案は通らず、大統領令が濫発され、機能不全に陥っている米国政治にあって、唯一政治的主導権を持っているように思われるのが、連邦最高裁である。

2012年6月のオバマケアの合憲判決(2012年7月6日のエントリー参照)、2015年6月の同性婚の合憲判決(2015年6月28日のエントリー参照)など、決定的な役割を果たしている。

その最高裁の判事、アントニン・スカリア氏が死去した。最高裁判事は終身であり、ときの大統領が指名して上院が助言と同意(承認)すれば、一生涯、その任を務める。スカリア氏は1986年に当時のレーガン大統領によって任命されて、在任期間が30年となっていた。

死去したスカリア氏を含めて、現在の最高裁は定員9名の内保守4名、リベラル4名の同数、中間派1名となっていた。宗教的にはカソリックは6名、ユダヤ教は3名。いずれの大統領が任命したかについては、レーガン大統領がスカリア判事を含めて2名、ブッシュ・シニア大統領が1名、クリントン大統領が2名、ブッシュ・ジュニア大統領が2名、オバマ大統領が2名となっている。

スカリア米連邦最高裁判事が死去、後任人事は難航の公算 2016年02月14日 10:03 AFP BB NEWS

当然、共和党は保守系の最高裁判事を指名・承認したいと考えている。リベラル系の判事がオバマ政権のうちに指名されることには抵抗するし、承認もしないだろう。定員9名の内リベラル5名、保守3名、中間派1名となった場合、リベラルによる法の支配がやってくることは間違いないからだ。左右問わず極端な候補が大統領になり、立法府と行政府の対立と機能不全が続く可能性も捨てきれない以上、大統領選よりも連邦最高裁判事の指名・承認の方が重要かもしれない。

合衆国の民主主義の終わり

黒人を除外することで白人の平等を達成して合衆国の民主主義は実現した、とエマニュエル・トッドほか多くの識者が指摘したように、肌の色そのものが差別を規定しており、公民権運動やアファーマティブ・アクションも最終的には差別を解消することはなかった。

下記のBBCの記事にある通り、白人と黒人の棲み分けは21世紀の今、むしろ徹底されている。この棲み分けの静かなる進展は、戦争による強制的な住民交換と同じ効果を持っている。

Why don't black and white Americans live together? 8 January 2016 BBC NEWS

How American democracy sustains racial inequality February 5 2016 Washington Post

オバマ大統領の任期8年が経とうとしているが、白人優位と黒人劣位の構造は変わっていない。この構造が合衆国の民主主義と密接不可分の関係にある以上、税制による所得再分配を通じて、人種差別を解消しようという福祉国家への道も険しいものとなる。この所得再分配への抵抗は我が国で言えば、高年齢層と若年層の対立として浮かび上がる。バーニー・サンダース上院議員の台頭はその文脈から読み取りやすい。

“社会主義者”のバーニー・サンダース上院議員が大統領になり、よしんば所得再分配が可能になるならば、逆説的に合衆国の民主主義は終わる、ということでもある。

The sexist double standard behind why millennials love Bernie Sanders February 4 2016 Washington Post

2 Questions for Bernie Sanders FEB. 4, 2016 The New York Times

Home-Field Advantage Is Only Part of Sanders's Appeal in New Hampshire February 8, 2016 — 10:15 PM JST Bloomberg Politics

サンダースを熱狂的に支持する若者たちは、民主主義を信じていない 2016年2月9日(火)18時32分 ニューズウィーク日本版

(一部抜粋)

 民主主義は崩壊しつつある。ハーバード大学のロベルト・フォアとヤスチャ・モンクが先ごろ発表した研究によると、政治や選挙についてだけでなく、民主主義そのものに対する失望が広がっているのだという。

 これは世界的な傾向だが、アメリカの若い世代でとくに顕著だ。1980年以降に生まれたアメリカ人で、民主主義国家に暮らすことが大切と答えた人の割合は30%に満たない。1970年以降に生まれたアメリカ人では、民主主義を「悪い」あるいは「非常に悪い」とした人が5人に1人を超える。1950年から1970年の間に生まれた人と比較してほぼ2倍の割合だ。

イスラムフォビアに閉じる合衆国

カリフォルニア州サンバーナーディーノで発生したムスリムによるテロ事件を受けて、合衆国下院は賛成407票、反対19票の圧倒的多数で90日滞在できるビザ免除の条件を厳格化する法案を可決した。テロとイスラムフォビアが相まって、テロの発生から1ヶ月足らずで施行されることとなった。

内容は、過去5年間にイラン、イラク、シリア、スーダン4ヵ国を訪問した者と4ヶ国の二重国籍者はビザ免除の対象から外れる。ただし、核合意に伴って経済制裁が解除されたイランに関しては、ビジネス目的の訪米は認められるとしたホワイトハウスに対して、共和党の下院議員は反発している。

GOP explodes in anger as feds create Iran carve-out for visas  01/21/16 03:23 PM EST The Hill

米政府がビザ免除の条件を厳格化 1月22日 6時45分 NHK NewsWEB

一方、難民の審査を厳格化する法案は下院通過後、上院で廃案とされた。シリアとイラクからの難民受け入れを停止するものだったが、賛成55票、反対43票、白票2票で動議可決に必要な60票に達しなかった。民主党からは2名が造反、ウエストヴァージニア州選出のマンチン上院議員が賛成票を投じ、サウスカロライナ州選出のグラハム上院議員が白票を投じた。民主党の大統領候補レースに加わっている無所属のサンダース上院議員も白票を投じた。

Refugee bill stalls in Senate after battle over Trump amendment January 20, 2016, 03:31 pm The Hill

難民審査厳格化法案、廃案へ=米上院が動議否決 2016/01/21-09:47 時事ドットコム

【ワシントン時事】米上院は20日の本会議で、昨年11月に下院を通過したシリア・イラク難民の受け入れ審査厳格化法案について、審議を進めるのに必要な動議を与党・民主党の反対で否決した。米メディアは法案は廃案になる見通しになったと伝えている。

 法案はパリ同時テロを受けて野党・共和党が提出したもので、シリア・イラク難民を受け入れる場合、政府が米国の安全の脅威にならないと議会に証明することを義務付ける内容。「受け入れが不可能になる」と批判もあり、オバマ大統領は反対を表明したが、11月の下院採決では民主党議員188人のうち47人が賛成に回り、可決された。

 20日の採決でも民主党系46人中2人が造反し、共和党議員53人と共に賛成票を投じたが、動議可決に必要な60票には届かなかった。


参考URL:
U.S. Senate Roll Call Votes 114th Congress - 2nd Session(難民厳格化法案の賛否)

“社会主義アメリカ”の勃興

共和党・民主党それぞれの大統領候補レースは、共和党では富豪のトランプ氏の首位が続き、民主党では自称“社会主義者”のバーニー・サンダース上院議員がクリントン女史を猛追している。いずれもアウトサイダーが支持を集めている点で、8年前の茶会党と「ウォール街を占拠せよ」運動の延長線上にあり、分断が埋めがたい差となっている米国社会の現状を象徴している。

Can Clinton find the spark to fend off the challenge from Sanders? January 16 2016 The Washington Post

The GOP Is Learning to Love Trump JAN. 15 2016 1:44 AM Slate

クリントン女史を猛追しているバーニー・サンダース上院議員は、バーモント州選出の上院議員として民主党と統一会派を組んでいるもののあくまでも無所属議員である。それが民主党の大統領候補として名乗りを挙げて、本命視されるクリントン女史に対して、いくつかの世論調査で凌駕する。これを受けて予定されていなかった民主党候補同士のテレビ討論が企画されるようになるなど、意外なほどの善戦を繰り広げている。

この背景にあるのは「ウォール街を占拠せよ」運動の延長線上で、リベラル州を中心に一層“社会主義化”する米国社会の変容である。

サンダース上院議員は自らを社会主義者であると主張する。そして、彼を支持する人々もまた、社会主義者として自らを規定して始めている。ワシントン・ポストの記事ではすでに民主党員の43%が社会主義者である、と云う。果たして、サンダース上院議員が民主党候補となる場合、資本主義の権化と社会主義者の対決が見られることになる。

オバマ大統領の8年間は残り1年に差し掛かり、彼の政権は、右の茶会党と左の「ウォール街を占拠せよ」のふたつの潮流が産み出す社会的分断を修復するどころか悪化させてしまった。全体としては移民の増加に伴う左傾化は進む。富の格差が拡大しつつ、税による再分配要求も声が大きくなるのは避けられないだろう。

こうした米国社会の変容に棹さす存在としてトランプ氏が登場したのならば、彼が負けた以降は“社会主義アメリカ”が本格的に勃興するのかもしれない。

参考URL:
アメリカ大統領選挙UPDATE 2:オバマ大統領最後の一般教書演説とトランプ主義の影 2016/01/18 東京財団

党派性の時代来たりなば

ISIS(イスラム国)に感化されたテロリストが、カリフォルニア州サンバーナーディーノで起こした銃乱射事件を受けて、オバマ大統領は新たな銃規制を打ち出した。見本市の即売会や通販で銃が購入される場合の本人確認の厳格化が骨子となる。

その際のスピーチにおいて、大統領が涙を流したことを保守系のメディアであるFOXニュースは「タマネギでも目に入ったのか」と揶揄する一方、リベラル系のメディアは「感動的だった」と持ち上げる。

動画:オバマ米大統領、涙流し銃規制の必要性訴え 2016年01月06日 13:26 AFP BB NEWS

Fox News claims Barack Obama used 'raw onion' to make him cry during gun control speech Wednesday 6 January 2016 Independent

つまり、導入される新しい銃規制の内容(見本市の即売会や通販で購入される場合の本人確認の厳格化など)そのものの効果などの妥当性よりも、主義主張の独善性から来る感情的な対立ばかりが浮かび上がっている。グローバリゼーションが反転して、経済規模そのものが縮小する世界では心理的な許容範囲も狭まっていくからだ。

そもそも己の宗教や信条の視点、属する国家や組織の利害でもってしか他者を見ることはできない人間にとって、見たいものしか目に見えなくなり、聞きたいものしか耳に届かなくなるのは自然だが、それが一層激しくなる。自らの主張の延長線上や自らを取り囲む関係性から外れたものは排除されやすくなる。

そして、従来から議会やメデイアに見られていた、こうした保守とリベラルの対立は一層攻撃的になり、事柄全てに党派性を帯びていく。また中庸的な意見を持っている人は左右両派から叩かれてしまい、いつしかその平衡感覚と他者への慈愛を失って、彼らも狭量な意見に堕して、攻撃的になっていく。

米国では、民主党の大統領候補も極左のバーニー・サンダース上院議員が支持を伸ばし、引きずられる形でクリントン女史も左傾化している。当然、対する共和党は右傾化している。経済が好調とされる米国ですら、こうなのだから欧州でも中道が没落して、極右と極左が台頭するのは自明の理と云える。

すでにマグレブから中東、ウクライナで起きた戦乱の直接的影響が難民危機となって欧州に及んでいる。また南シナ海から東シナ海の情勢も悪化するだろう。ドイツ・ケルンの難民と不法移民による集団暴行事件、サウジアラビアとイランの国交断絶、北朝鮮の“水爆実験”、中共の上海株式市場の急落など年初来の展開は早い。

この流れではグローバリズムが衰退し、ナショナリズムが台頭する。同時にヒューマニズムも押しやられる。国家を越えて個人同士の結び付きで世界を捉えても、如何ともし難い状況が芽生え始めている。ここ20年ほどのグローバリゼーションの進展などで、二重国籍となった人々には心理的な当惑やアイデンティティの危機が訪れるだろう。

リベラルの世界秩序に亀裂が入る

ニューヨーク・タイムズのコラムニストRoss Douthat氏は2015年を振り返り、ベルリンの壁崩壊から25年を経て、リベラルの秩序に亀裂が入った、と述べている。

欧州統合や難民受け入れを唱える一方で、プーチン大統領率いるロシアと中国共産党とムスリムの攻勢にさらされているリベラルは、その脆弱性ではなく、強靭性が問われようとしている、と。

最後にはリベラルの強靭性が勝るとコラムニストは信じているようだが、現時点ではリベラルの既成政党を挟んで極右と極左、ポピュリストと分離独立主義者の新政党が欧州各国の2015年の議会選挙などで台頭して、欧州連合の統一の夢を脅かしている。

北米から鳥瞰する立場からでもこの事実は動かせないようだ。では、欧州各国の2015年の動きを振り返って見よう。

まず、欧州債務危機によって経済が縮小していく南欧では概ね極左が台頭している。

2015年1月と9月に行われたギリシアの総選挙では、極左で反グローバリズムを唱える急進左派連合(Syriza)が第1党であり、政権を担い続けている。

2015年12月に行われたスペインの総選挙では王政復古以来の二大政党制が崩れ始めた。中道右派の国民党と中道左派の社会労働党いずれも過半数に達せず、左翼のポデモスとポピュリストのシウダダノス、そしてカタロニア独立を図るカタルーニャ共産主義左翼などの分離主義者が票を伸ばした。

次いで、難民危機に見舞われた中欧諸国では、それまでドイツに反旗を翻してきたハンガリーにとどまらず、各国で右派が台頭してきた。

2015年12月に行われたポーランドの総選挙では大統領選に続いて、保守・中道右派に属する「法と正義」が上下両院の過半数を制した。右傾化と欧州連合(EU)に対する懐疑的姿勢が顕著になり、首都ワルシャワでは政権に対する抗議デモが起きた。

ドーバー海峡を隔てて、ユーロ圏に属さず、さらに欧州連合からの脱退が取り沙汰される英国ではどうだろうか。

2015年5月に行われた総選挙では予想に反して、保守党が過半数を維持して、分離独立を訴えるスコットランド国民党が労働党の地盤を奪った。惨敗した労働党は、サッチャリズムとニューレイバー路線を全否定する強硬左派(ハードレフト)のジェレミー・コービンが新党首となった。

ドイツとともに欧州連合の核となっている2015年のフランスは難民危機とパリ同時多発テロに見舞われた。2015年12月の地域圏議会選挙では国民戦線の第1党進出を防ぐために社会党が第2回投票から降りて、サルコジ前大統領率いる共和党を中心とする右派連合が13地域圏のうち7地域圏で過半を制した。しかし、二大政党の一翼を担うはずのサルコジ前大統領は新自由主義的傾向から、その支持率は低迷したままだ。

従来、難民に寛容で多文化主義の牙城であった北欧諸国ではどうだろう。

スウェーデンでは、移民制限を訴えたスウェーデン民主党が2014年総選挙で49議席と躍進した。彼らは定数349、過半数175の議会で一挙にキャスティングボートを握り、政権与党の予算案を否決したために、2015年3月22日に56年ぶりの解散総選挙を行う、と定まった。しかし、2014年12月に中道左派と中道右派の間で事実上の大連立合意ができて、スウェーデン民主党を議会の合意形成プロセスから排除するという枠組みがつくられた。にも関わらず移民制限の主張は浸透し始めている。

2015年6月に行われたデンマークの政権を担っていた中道左派連合を中道右派連合が破った。中道右派連合とその政権は、移民制限の急先鋒であるデンマーク国民党を含んでおり、難民危機に際してレバノンの新聞に「この小さな北欧の国は難民を歓迎しません」という広告を出稿した。

ノルウェーでは2011年7月にオスロ及びその郊外で、移民推進派の労働党の青年部会を狙った銃乱射・爆破テロが起きている。2013年9月の総選挙では移民制限を訴える進歩党の属する中道右派連合が勝利して、政権を獲得した。難民危機に際しては移民担当大臣を新設して、移民制限の実効性を高めようとしている。

上記のコラムニストは締めくくりに、労働党のジェレミー・コービンが英国の首相とはならない、国民戦線のマリーヌ・ル・ペンが大統領とはならない、欧州連合はバラバラにはならない、と楽観的である。また、自国でもトランプ氏が大統領の座を獲得しないと信じているようだが、欧米の中心部と周縁部で起きている分裂と闘争に、リベラルが和解をもたらす妙案を持ち合わせているとまでは云えないだろう。

Cracks in the Liberal Order DEC. 26, 2015 The New York Times

IN the twenty-five years since the fall of the Berlin Wall, the architecture of liberal modernity has looked relatively stable. Not flawless or wonderful or ideal, to be sure; not free of discontents and decadence. But it’s been hard to imagine the basic liberal democratic capitalist order cracking up, let alone envision what might take its place.

Through the dot-com bust, 9/11, the Iraq war, and the financial crisis, it was striking how consensus held, how elites kept circulating, how quickly populist movements collapsed or were co-opted, how Washington and Brussels consolidated power even when their projects failed. No new ideological movement, whether radical or reactionary, emerged to offer the alternative to liberalism that fascism and Marxism and throne-and-altar traditionalism once supplied. And no external adversary, whether Putinist or Islamist or Chinese, seemed to offer a better way than ours.

Here in the dying days of 2015, though, something seems to have shifted. For the first time in a generation, the theme of this year was the liberal order’s vulnerability, not its resilience. 2015 was a memento mori moment for our institutions — a year of cracks in the system, of crumbling firewalls, of reminders that all orders pass away.

This was especially true in Europe, where for generations the parties of the center have maintained a successful quarantine against movements that threatened their dream of continental integration — be they far-right or far-left, nationalist or separatist.

On the Eurozone’s periphery, in Greece and Hungary and now in Poland, that quarantine is dead. But in 2015 it began to weaken in the European core. Elections in Great Britain empowered Scottish Nationalists, handed the Labour Party back to crypto-Marxists, and raised the odds that the United Kingdom could depart the European Union or dissolve. Elections in France kept Marine Le Pen’s National Front out of power — but by a narrower margin than ever before. Elections in Spain empowered both the populist left and Catalan separatists. And in Sweden, that blessed end-of-history paradise, the most popular political party was suddenly the Sweden Democrats, whose roots are in homegrown fascism.

Europe’s extremes gained, in part, because in 2015 the center was unusually feckless. Angela Merkel’s decision to open Germany’s borders to a million Middle Eastern refugees earned her the praise of her globalist peers. But it also pushed a fast-forward button on long-term trends threatening the liberal project in Europe — the challenge of Islam, the pressure of migration from Africa, the danger of backlash in countries with little experience of mass assimilation.

In the process, Merkel handed ammunition to the argument, expressed in artistic form in Michel Houellebecq’s novel “Submission,” that late-modern liberalism might have a certain tendency toward suicide. And she did so at a moment when both the Islamic State and Vladimir Putin’s Russia were supplying evidence that the liberal project can be at least temporarily defied.

Yes, ISIS probably won’t endure, and Putin’s ambitions exceed his grasp. But by pulling volunteers from Western countries and inspiring terrorists from Paris to San Bernardino, the would-be caliphate has provided a new template for revolts against modernity. And by playing power politics in his near abroad and the Middle East, Putin has helped make the Pax Americana look more fragile than at any point since 1989.

Meanwhile, in the American heart of that neoliberal imperium, were it not for Donald Trump the big political story of the year would be the emergence of a new New Left — visible in the continued potency of Black Lives Matter, the turmoil on college campuses, and the appeal of an avowed socialism on the Democratic Party’s campaign trail.

Except that Trump is the big story, and deservedly. His mix of reality-TV shamelessness, European-style nationalism and boastful authoritarianism might be a genuinely new thing in U.S. politics. And the fact that so many disaffected voters find it attractive is a revelation, an objective correlative to polls showing declining faith in democracy, and a window, perhaps, into a more illiberal politics to come.

Now: Trump will not be the Republican nominee (yes, really). Bernie Sanders won’t beat Hillary. Far-left antics at Amherst and Oberlin and Claremont McKenna and Yale are not as significant as elite college graduates like to think.

In Europe, Jeremy Corbyn probably won’t be Britain’s next prime minister, Marine Le Pen probably won’t be France’s next president, Sweden probably isn’t about to turn fascist, the E.U. probably isn’t about to break apart. Houellebecq’s vision of an Islamified Europe, like ISIS’s vision of a new Islamic empire or Putin’s Stalinist nostalgia, is more a resonant fantasy than a plausible atlas of the future.

It’s still wise to bet on the current order, in other words, and against its enemies and rivals and would-be saboteurs.

But after liberalism’s year of living dangerously, for the first time in a long time it might make sense to hedge that bet.

シェールガスは暖冬とOPECに敗れるか

米国の独立系シェールガス(シェールオイル)業者が暖冬によって窮地に立っている、というロイター電。原油安競争に巻き込まれても内需中心で回せることが出来るのが強みだったが、その条件が天候ひとつで崩れ去っている。

とは云え、シェールガスで米国国内のエネルギーコストが低下、その恩恵をこうむった製造業のコストも大幅に下がり、支那本土の人件費が上がり続けていて、物流コストや社会福祉コストを含めた米中の生産コスト逆転がもうすぐそこまで来ている。

生産コスト逆転のトレンドに寄与しているのは、工場の機械化・ロボット化である。金融経済化が進む間に熟練工が高齢化して、次世代の育成が難しくなったために、最終的にオートメーション化、ロボット化という解決策を目指すことになる。その場合、工場の立地と採算を最も左右するのは低廉な人件費ではなく電気代となる。

カリフォルニア州とテキサス州で高速鉄道の建設計画があるが、これはガソリン自動車や航空機と違って原油に頼らずにシェールガスで発電した電気を大量消費してくれる安定需要を作り出す必要性と絡んでいる。

また、中国共産党が湾岸産油国から南シナ海・東シナ海に及ぶシーレーンに脅威を与えている。我が国にとっては、2017年から始まる北米産シェールガスの輸入によって、シーレーン分断のリスク分散が図れる。

独立系シェールガス業者の破綻は相次ぐだろうが、シェールガス(シェールオイル)重視のトレンドは変わらないだろう。

米ガソリン平均価格、6年強ぶり低水準に=調査会社  2015年 12月 21日 08:32 JST ロイター

アングル:苦境の米シェールガス業界に暖冬が追い打ち 2015年 12月 21日 14:50 JST ロイター

[21日 ロイター] - チェサピーク・エナジー(CHK.N)をはじめとする米シェールガス開発業者が正念場を迎えようとしている。既に多額の債務を抱え、原油価格下落のあおりを受けて苦闘しているところに、暖冬が到来しているためだ。暖冬によって暖房需要が減退し、天然ガス価格も下落しており、経営環境が厳しいこの局面で収入が急減する恐れが出てきた。

気象情報サービスの米アキュウェザーのシニア予報士、デール・モーラー氏によると、例年12月後半までには、全米の3分の1から半分の地域が雪で覆われるのに、今年は主として人口が少ない中西部の北半分やロッキー山脈周辺に降雪が限定されている。

こうした中でポイントロジック・エナジーのバイスプレジデント、チャールズ・ネブル氏は、米国中のガス田では「どうやって成長するかを考えるどころか、どうやったら生き残れるかの心境にある。そして今は天気のことしか関心が持たれていない」と指摘した。

足元ではテキサス州に拠点を置くマグナム・ハンター・リソーシズ(MHRCQ.PK)とキュービック・エナジー(CBNRQ.PK)が破産を申請。米天然ガス生産第2位のチェサピークは、エバーコア・アドバイザーズと協力して債務再編や資産売却を模索している。

18日にはニューヨーク・マーカンタイル取引所で、米天然ガス価格が100万英熱量単位(BTU)当たり1.68ドルと16年ぶりの安値に沈み、1990年代以降で初めて来年第1・四半期中の受け渡しまでの取引が軒並み2ドルを下回った。

IAFアドバイザーズ・アンド・クライテリオン・リサーチのエネルギーアナリスト、カイル・クーパー氏によると、あと2カ月暖冬が続けば、天然ガス先物は1.25ドルまで下落する可能性がある。これは開発業者にとって採掘コスト割れを意味する。

<減産迫られる事態も>

一方、暖房用の天然ガスが欠かせない地域にとって、この12月はかつてないほど気持ちが楽になりそうだ。アキュウェザーのデータでは、12月前半は暖房が必要な気温に達した日数の割合がシカゴでは毎年平均より36%、セントルイスでは42%少なくなった。

このため先週の米天然ガス在庫は1年前よりも16.4%増加。半面、生産は9月の過去最高水準からわずかにしか減っていない。

MDAウェザー・サービシズの気象予報士ドン・キーニー氏は、過去2回の冬は厳しかったが、今回はエルニーニョ現象の影響で穏やかな状況が続く可能性があるとみている。

来春になっても在庫が減らなければ電力会社の貯蔵スペース不足の問題などで、開発業者は減産に動かざるを得ない。

これまで業者は実際に減産しなくても済んでいた。例えば2002年の暖冬期には、より妙味のある原油開発にシフトしたのだ。

しかし現在は原油先物価格も約6年ぶりの安値となっており、新規油田開発を進めようという意欲も高まっていない。

<ヘッジもままならず>

天然ガスを輸入に頼っているアジア地域などでは価格は米国よりもずっと高い。ただ米国から即座にそうした地域に天然ガスを輸送できるインフラは整っていない。米国産天然ガスの最大5%を消費するまでに成長したメキシコ市場向けにはパイプラインが通っているが、拡張してもそれに見合う需要が出てくるかは不透明だ。

米国内では天然ガス価格が非常に安くなったことで、電力会社による石炭からの切り替えが進み、この面での天然ガス消費が今年過去最高水準(米生産量の35%)になったのは明るい材料といえる。

それでも暖冬が開発業者にもたらしている悪影響の方がはるかに大きい。業者は価格下落からのヘッジもままならずにいるのが実情だ。

コンサルティング会社エナジー・アスペクツによると、独立系上位20社の来年見込まれる生産量に対するヘッジ比率は32%と、過去数年間よりも大幅に低い。

人口密度の高さが銃乱射を引き起こすならば

米国における銃乱射事件の発生比率と人口の相関関係を示すAFP電の記事。

人口2位のカリフォルニア州は1年間で全米ワースト2位となる25件の銃乱射事件が起き、人口3位のフロリダ州はワースト1位の27件。

一方、銃乱射事件が起きていない州は、ハワイ州、ニューハンプシャー州、ノースダコタ州、ウエストバージニア州、ワイオミング州であり、それぞれ人口密度が低い。

つまり、銃乱射事件の横行を防ぐためにはどうするか。

ひとつは人口動態の面からは人口密度を低くする。ひとつは人口密度を低く出来ないならばゲーテッド・コミュニティを形成を促進することだろう。

異なる人種、異なる階層、異なる宗派間の接触を減らして、学校や病院など公共施設の立地もゲーテッド・コミュニティの中で完結させるしかないだろう。

同化による心理的抑圧、人間関係の摩擦そのものが銃乱射とテロを引き起こすならば、集住と隔離を徹底するしかなくなる。

全米で今年、銃乱射ないのは5州 2015年12月13日 17:20 AFP BB NEWS

【12月13日 AFP】銃乱射事件が相次いで発生している米国で今年、こうした事件が発生していない州が5州ある。専門家らは、それが偶然によるものか、それともなにか理由があるのかを議論している。

 銃撃事件の統計を掲載しているウェブサイト「shootingtracker.com」によると、12月2日の時点で、220都市で353件の銃乱射事件が発生し、462人が死亡、1317人が負傷した。

 集計は、4人以上が死亡または負傷した事件を基にしており、カリフォルニア(California)州サンバーナーディーノ(San Bernardino)で今月発生した、夫婦が銃を乱射し14人が死亡、22人が負傷した事件も含まれている。

 銃乱射事件が起きていない州は、ハワイ(Hawaii)、ニューハンプシャー(New Hampshire)、ノースダコタ(North Dakota)、ウエストバージニア(West Virginia)、ワイオミング(Wyoming)の5州。

 さらにウエストバージニア州を除く4州では、同サイトが当局の公式発表ではなく、メディアの報道やその他の情報筋から入手した情報を基にした集計結果を掲載し始めた2013年以降、一件も銃乱射事件が起きていない。

 専門家らは、こうした州で銃乱射事件が起きていない理由の一つとして、人口密度が低いことを挙げている。3880万人と最も人口の多いカリフォルニア州では今年、2番目に多い25件の銃乱射事件が発生。最多となる27件が発生したフロリダ州は、人口1990万人と、全米で人口が3番目に多い州だ。(c)AFP/Shahzad ABDUL

既存の知性に対する反逆者たち

神と直接対話しようとするために既存の知識を詰め込むことは悪い、という観念が米国の宗教的風土と社会そのものをつくってきた。この観念を体現した人物としてのトランプ氏を受容するか、受容しないかで、支持と不支持が分かれているように思われる。

トランプ氏が、共和党の大統領候補の指名レースで首位を走り続けて、約半年が経とうとしている。トランプ氏のポリティカル・コレクトネスを気にしない発言を、メディアが失言として攻撃しているにも関わらず、支持が落ちないことに困惑しているように思われる。

ロイターのコラムニストは、世論調査から高学歴層と低学歴層の対立が反映されていて、「オバマ大統領とトランプ氏は異なる知性を象徴している」と指摘する。

コラム:米大統領選、不動産王トランプ氏人気上昇の理由 2015年 12月 8日 17:03 JST ロイター

このコラムニストは、異なる学歴をバックボーンに持つ異なる知性が何故対立するのかは、掘り下げていない。米国に根強い“反知性主義”に触れないと、この対立は理解できないし、トランプ氏の支持が続くのが理解できない。

“反知性主義”は一言で云うと、既存の知識に対する反逆心を持ち、既存の権威や組織に頼らずに、自らの経験によって新しい知性を獲得しようと欲する人間の心性である。

宗教のリバイバル(信仰復興運動)を繰り返してきた米国にとって、神と対話するためには、インテリのように知識を詰め込むことがマイナスに繋がる、という考え方があって、インテリ然としている人たちに対する反感にも繋がる。

同性婚の容認、国民皆保険制度(オバマケア)の発足などインテリ然としている人たちがリベラル化を進めてしまった結果、“反知性主義”の心性を持った人たちの反感が浮かび上がって、その体現者としてトランプ氏も浮上してきた、と考えるべきではないか。

合衆国におけるムスリムの運命

カリフォルニア州サンバーナディーノのテロ事件で動揺の奔る米国のムスリム社会には、第二大戦下の日系人と同じ運命が待ち構えているのかもしれない。

米デトロイト近郊にムスリム多数派の市議会 新たな安定探る 2015年12月10日 BBC NEWS JAPAN

米国のイスラム教徒への嫌がらせ激増、ホットライン報告 2015.12.10 Thu posted at 18:33 JST CNN日本版

イスラム教徒入国禁止、共和党支持者で賛否拮抗 2015年12月11日 10:20 JST WSJ日本版

イスラム系団体に不審物=職員ら一時避難、乱射事件背景か-米 2015/12/11-11:18 時事ドットコム

揺れる米国のイスラム教徒「変わる必要あるか」―テロで議論噴出 2015年12月11 日 13:50 JST WSJ日本版

ISが狙う「報復の連鎖」、試される西側社会 2015 年12月11日 14:50 JST WSJ日本版

ムスリムの誰がテロリストなのか、そうでないのか見分けがつかない。誰もがテロリストになる可能性を秘めているとすれば、ほかの国民の疑念や猜疑心を払拭して、良き合衆国国民であることを証明する必要性が生じてくる。

グローバリゼーション=アメリカナイゼーションが反転して、ヒト・モノ・カネの動きが縮小していく、分配する利権が減少していく世界では、属する社会秩序の不穏分子と判断されれば、少ないパイを最大化するため、それだけ排除の論理が働きやすくなり、ポピュリストが発言力を増す土壌が出来る。

共和党の大統領候補としてトランプ氏が首位に立っている。彼がポピュリストとして、ムスリムを排除しようと主張する背景には、縮小する利権とその再分配がある。

自己証明する以外には、合衆国のムスリムは利権そのものを拡大して社会全体への不満を抑えるしかない。しかし今のところ、グローバリゼーション=アメリカナイゼーションと同等の利権そのものの拡大はムスリムには不可能なように思える。

人工中絶をテロ攻撃する原理主義者

カリフォルニア州のSan Bernardinoにある発達障害者を支援する医療施設で少なくとも14名が死亡する銃撃事件が発生した。射殺された容疑者はイスラム系の姓名を名乗っており、連邦捜査局(FBI)は、「テロ行為」として捜査を続けている。

米銃乱射事件を「テロ行為」として捜査、イスラム国に忠誠  2015年 12月 5日 10:43 JST ロイター

米乱射で14人死亡、容疑者の男女射殺 FBI「テロ排除せず」 2015年 12月 3日 16:16 JST ロイター

San Bernardino: couple die in gun battle with police after mass shooting Thursday 3 December 2015 11.15 GMT The Guardian

しかし、筆者にはもうひとつ別の事件も「テロ行為」に思われる。

コロラド州で人工中絶を支援する医療施設に宗教右派と思われる容疑者が、関係者を殺傷する事件が起きた。ここ最近、人工中絶された胎児の体組織を研究目的などで取引していることが発覚して、これに宗教右派や彼らを支持基盤とする共和党の反発が強まっていた。容疑者は"no more baby parts"と叫んだ、とロイター電にある。

Planned Parenthood says Colorado shooter opposed abortion  Sun Nov 29, 2015 7:20pm EST Reuters

Suspect in Colorado clinic shooting told he faces murder charge  Mon Nov 30, 2015 8:34pm EST Reuters

以前、連邦最高裁が同性婚に合憲判決を下した2015年6月28日のエントリーでも触れたが、

最も厳しく同性愛に反対するであろう宗教右派は、もはや同性愛者と同じコミュニティに住んではいない。お互いの性愛の嗜好によって棲み分けできるほどの土地は、いくらでも合衆国にはある。それどころか、リーマン・ショック後には人種・民族だけでなく、思想・宗教的相違と冨の偏在を背景とした生活様式ごとに棲み分けられたコミュニティが形成されている。

そして、宗教右派の過激派が妊娠中絶を行う病院や医師をテロ攻撃することがあるが、同性愛者は基本的にこの攻撃に晒されることがない。このため、宗教右派と摩擦が起きなくなっている。

さらに2015年11月27日のエントリーなどでも何度か取り上げているが、

移民したヒスパニックも急速にカソリックからプロテスタントへと改宗しているように、米国のプロテスタンティズムとその原理主義のダイナミズムは健在である。

わずか3年間ほどで約380~400万人がカソリック信仰から離れている。急速な改宗の理由は分からないとされているが、リーマン・ショック後の不況下、人工中絶を選択したメキシコ移民の女性を襲った自我崩壊の危機が一気呵成にカソリックからの福音派への改宗、もしくは棄教して無宗教化を促した可能性がひとつ考えられる。

自我崩壊の危機に晒されたメキシコ移民は男女問わず、中絶を容認しないカソリック的な精神世界に属しながら、中絶をせざるをない現実世界に直面したという精神的乖離に伴う自我の動揺を克服するためには、社会的自我を中絶容認か中絶反対のどちらかに合わせることで精神的自我を安定させる必要があり、そこから無宗教かプロテスタントになる選択肢があった。

同性婚の合憲判決、ヒスパニックの棄教と改宗、人工中絶医療施設へのテロ、すべてプロテスタンティズムとその原理主義のダイナミズムの作用と反作用によっている。

『イナゴ身重く横たわる』が現実化した世界で

旭日旗とナチスの鷹の紋章をモチーフに使用した、列車のラッピング広告が非難を浴びて撤去されることになった。ニューヨーク市地下鉄に掲出されたこのパブリシティは、アマゾン・ドット・コムが配信するSFドラマ『高い城の男』の世界をイメージしたものだった。

SFドラマの原作者は、かのフィリップ・K・ディック。以前、彼の手になる『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』をマスメディアの凋落と極左・リベラルの精神的錯乱と絡めて取り上げた(2013年7月19日のエントリー参照)。

今回、渦中に巻き込まれた彼の長篇小説『高い城の男』(初出1962年、邦訳1965年)の筋立ては、以下のとおり。

枢軸国が第2次大戦に勝利したIfの世界。

合衆国の東海岸は第三帝国の支配を受け、西海岸は同様に大日本帝国の支配下にあり、中部は緩衝地帯として辛うじて独立を保っていた。そして、大戦後の米ソのように日独は世界を二分割しながら、深く静かに対立しており、全面核戦争勃発の危機が進行していた。

敗戦国となっていた合衆国では、精神の卑屈が蔓延して、懐古趣味から戦前の製品が大量生産され、まがい物の古美術品が取引され、芸術家は偽物を作り、ユダヤ人は東海岸から西海岸に逃れて名前を偽り、彼らを狩るナチのスパイも身分詐称している。

緩衝地帯のどこかにあるとされる“高い城”、そう呼ばれる建物に棲んでいる男によって、執筆され流布している『イナゴ身重く横たわる』という題名の書物は、連合国が勝利した世界を描き、発禁処分とされており、所持しているだけで命を狙われる代物だった。

精神の卑屈に囚われていたジュリアナ・フリンク(ドラマ版ではジュリアナ・クレイン)は、それを手に入れて一種の解放感に酔いしれる。ふと思い立ち、その謎と真偽を確かめに“高い城”に棲む男に会いに向かうのだった。

小説版とアマゾン・ドット・コム製作のドラマ版では、『イナゴ身重く横たわる』を手にした、その女主人公の名前は違う。また、発禁処分とされているのは書物ではなく、フィルムという違いはある。ただ、動機は異なるにせよ、“高い城”に棲む男に会いに向かう筋立ては変わらないだろう(ドラマはまだ配信中)。

女主人公は、同行者の裏切りに遭いながらも、ついに『イナゴ身重く横たわる』の作者に出逢い、『イナゴ身重く横たわる』に描かれた連合国が勝利した世界こそ、真実の世界であると告げられて、彼女の物語は終わる。

しかし、作品世界を現実の世界とあくまで考えるならば、枢軸国が第2次大戦に勝利した、日独冷戦の世界では、今まさにナチスの後継者争いも絡んで、全面核戦争が始まろうとしている。

その秘密を携えた連絡役を助けるため、暗殺者を逆に殺した日本の外交官はなすすべがない。彼は深く絶望したまま、精神の均衡を失い、連合国が勝利したもう一つの世界を垣間見るが、それは現か幻か判然としない、しかして彼の物語は終わる。

つまり、彼女と彼らが生の躍動を見せる物語とは、悪の神デミウルゴスの作り出したという宇宙にほかならないというグノーシス派の世界のようなものだ。すると、グノーシス派の信徒であるかによって見方はまったく変わる。

ある者にとってはこのディストピアの世界がディストピアではないと、そう思い込まされる。もしかしたらそれは欺瞞かも知れないが、ユートピアを信じたい者は信じるがいい。

ある者にとっては理想的ではないにせよ、曲がりなりにも破滅していない世界が、今まさに本当のディストピアに変わるかもしれない戦慄のなかで、世界がもしかしたらメタフィクションかもしれないと、幻覚だけ見させられるが、到底救われない。

物語のプロットは破綻していないが、物語世界の危機はなにひとつ解決しない終局。現実世界の解決しないストーリーの代償にカタルシスを求める読者にとって、『高い城の男』は暗澹とした読後感しかもたらさない。

閑話休題。

あえて露悪趣味や皮肉を込めたりした、暗喩的なグラフィックやパブリシティを許容できなくなった精神の卑屈が蔓延した、フィクションすら笑い飛ばせない世界。

世の東西を問わず、虚構で成り立っている方を信じたいモノ(者と物)たちに溢れ、メタフィクションを優先しかねない世界の有り様こそ、ことの醜悪さと深刻さを示している。

旭日旗とナチスの鷹の紋章をモチーフに使用したパブリシティを撤去したことで、ニューヨーク市地下鉄と、ニューヨーク市民の生きる現実世界は、問題は容易に解決しないという重さから遠ざかって、安易という世界へ走り去っていく。

旭日旗とナチスのデザインで物議、アマゾンがNY地下鉄の広告撤去 2015年11月25日 11:25 AFP BB NEWS

【11月25日 AFP】米インターネット小売り大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)がニューヨーク(New York)の地下鉄に掲示した、ナチス・ドイツ(Nazi)の鷹の紋章と日本の帝国主義の象徴とされる旭日旗のデザインを使用したドラマ広告が、非難が殺到したために撤去に追い込まれた。

 米国旗に日独の両シンボルを融合させたこの広告は、同社制作のドラマ「The Man in the High Castle(高い城の男)」のプロモーションとして、ニューヨーク州都市交通局(MTA)から許可を得た上で、タイムズ・スクエア(Times Square)を走る地下鉄の座席を塗り替える形で掲示された。

 先月放映が始まった同ドラマは、フィリップ・K・ディック(Philip K. Dick)の同名小説が原作。第2次世界大戦(World War II)に敗れ、東部をナチスに、西部を日本に占領された1960年代の米国を舞台にした架空のシナリオが展開される。

 広告については、第2次世界大戦とホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の生存者の感情を害するものだとして、ニューヨーク市のビル・デブラシオ(Bill de Blasio)市長などが広告の撤去を呼び掛けていた。当局者がAFPに語ったところよると、広告は当初、来月まで掲示される予定だったが、現在、撤去作業が進められているという。(c)AFP

インダストリアル・アメリカとともに進む日本

トヨタ自動車は米国本部をカリフォルニア州からテキサス州に順次、移転すると発表した。確かに労組なし・法人税安・補助金付きを求める企業とそれに呼応する失業者と州の思惑が合致している。であるにせよ、リベラル的な州から保守的な州へと移転する日系メーカーの動きは、富裕層と貧困層が分断された州から(漸減しているとはいえ未だ)中間層の多い州への移転と見るべきではないか。そして、それはリベラル州に集住する中韓系の移民との取引を避けようとする未来にも繋がりそうだ。

日系メーカーに限らず、建機メーカーのキャタピラーや航空機メーカーのボーイングなども保守的な州に移転したり、移転せずを条件として優遇措置を受けるようになっている。

これら優遇策によって、製造業が残存するか、移転する州では中間層を維持したり、育成したりする機会が与えられる。一方、製造業を失う州では都市と田舎の断層やゲーテッド・コミュニティの成立、最後は自治体の独立によって富裕層と貧困層が分断されていく。市や郡単位で冨の再分配が機能しなければ、その州では全体的にはむしろリベラル的な政治傾向が強まる。この冨の再分配がもうひとつのカギとなる。

冨の再分配の機会の少ない田舎と冨の再分配の必要性がない富裕層がつくった自治体へは、冨を持たない国内外の住民が移る契機がない。その逆に、州から冨の再分配の機会が与えられているか、熟練労働が求められないサービス業の職が多い貧困層の集住地域には、投資移民を除く一般的な外国人移民は入りやすくなる。

つまり、富裕層と貧困層が分断されている州では民主党支持が強まるのみならず、中韓系の移民も集中する。特に北東部(ニューイングランド)と南部に挟まれて、もともと中道リベラル、宗教的寛容の強かった中部の諸州に集まりやすい。カリフォルニア州やニュージャージー州、ニューヨーク州で慰安婦像設置の政治的動きが起きるのはあながち偶然ではないのだ。そして、中間層向けの製品・サービス提供を得意とする日系メーカーは保守的な州に立地するようになり、米国の社会的分断とその政治的闘争に巻き込まれていく。

と、2014年5月9日のエントリーで詳述したが、

カリフォルニア州とテキサス州両方に高速鉄道計画が存在するにも関わらず、テキサス州のそれに高い優先順位を付ける行動を、海外交通・都市開発事業支援機構が採ったことは、我が国の官民がひとつの方向性を明確に示しているように思われる。もちろん、トヨタ自動車はシリコンバレーの企業群と自動運転技術において提携するなど、国益を代表する立場と営利企業としての立場両方の保険を掛けているが。

官民機構が米テキサスの高速鉄道に出資、JR東海の新幹線採用を計画 2015/11/21 18:26 JST ブルームバーグ

(ブルームバーグ):国土交通省は21日、官民で作る海外交通・都市開発事業支援機構が米テキサス州の高速鉄道事業に4千万ドル(約49億円)を出資することを認可したと発表した。米国への日本の新幹線システム導入を後押しする。

発表によると、同事業は米民間企業のテキサス・セントラル・パートナーズ(TCP)が主体で、同州の主要都市ダラスとヒューストンを約90分で結ぶ計画。機構はTCPに出資、事業に参画することになる。TCPはJR東海の新幹線システム(N700-I Bullet)の採用を前提に事業を推進している。

発表文での国交省の説明によると、今回の出資は同プロジェクトが今後2年程度かけて実施する第2段階(詳細設計や資金調達など)での事業参画となり、日本の新幹線システムの導入の流れを後押しする効果が期待できるなどとしている。


ベガスとロス結ぶ高速鉄道、米中合弁で建設計画 2015年09月18日 09時14分 読売新聞

UPDATE 3-China firms sign deal for high-speed Las Vegas-Los Angeles rail link ahead of Xi's US visit Thu Sep 17, 2015 11:49pm EDT Reuters

China, U.S. Reach Agreement on High-Speed Rail Before Xi Visit September 17, 2015 — 3:38 PM JST  Bloomberg

China Trainmaker CRRC Plans to Double Its Overseas Sales September 11, 2015 — 7:32 AM JST Bloomberg

CRRC: China economy woes won't stop Springfield project on September 04, 2015 at 6:40 AM MassLive

米加州の高速鉄道受注競争、中国勢優勢か 資金調達力に強み 2015年 05月 21日 17:58 JST ロイター

中国、対米鉄道輸出へ攻勢=車両大手合併で競争力強化-加州整備計画に照準 2015/01/19-17:27 時事ドットコム

[FT]高速鉄道着工に沸く米カリフォルニア州 2015/1/8 7:00 日経

中国鉄道車両、2強合併 売上高3.7兆円の超巨大メーカー誕生 2014/12/31 1:06 日経

加州最高裁、高速鉄道建設費調達のための債券発行を支持 2014年 10月 16日 14:18 JST ロイター

参考URL:
XPRESS WEST

California High-Speed Rail Authority High-Speed Rail Program Maps

中国共産党の「Radio Free Europe」

最初に聴いたR.E.M.の曲は「Fall on Me」(1986年)で、そこから遡って最初のシングル「Radio Free Europe」の収められたアルバム『Murmur』(1983年)を捜して、渋谷のタワーレコードまで行かなくてはならなかった。

当時のタワレコは、井の頭通りを登った東急ハンズの先にあった。散財しまくったCiscoやManhattan Records、DANCE MUSIC RECORDSの系列店も、その多くがこの近辺にあって、レコード店街の様相を呈していた。

往時の面影は、代わりのテナントに入ったカフェや服飾系のお店が同資本の経営だったり、そこで遊んでいた人が運営してたりすることで雰囲気を保っているところに、わずかに残っている。

渋谷系という呼称が廃れ、アナログレコード全盛期が過ぎた現在でも、意外なことに欧米から渋谷や新宿へと、中古のレコードを買いに来る人がいたりする。逆輸出の形態を採っているのだが、その理由は、あらゆる国のあらゆるジャンルのレコードが大量に効率的に集積されていることにある。

こうして、モノの集積とヒトの集住が、ものすごく狭い地域のなかで起こり、それらが知的集合体となって、文化を産出するところにメガロポリスとしての東京の文化的魅力がある。それも極端なカネの格差を伴わずに。

閑話休題。

件の「Radio Free Europe」とは、合衆国議会が反共プロパガンダのために始めたラジオ・フリー・ヨーロッパ(RFE)のことで、同様の放送に合衆国政府が運営するボイス・オブ・アメリカ(VOA)がある。

現在では、一括してプロパガンダと云わずとも、各国政府の予算(資本)とバイアスが入った海外放送は多く存在する。例えば、英国の「BBC」、カタールの「アルジャジーラ」、ロシアの「RT」、中共では「CCTV」が挙げられる。

「CCTV」を持つ中共はそれにとどまらず、米国国内の中小ラジオ局の買収を続けている、とWSJが伝えている。記事では、カリフォルニア州のロサンゼルス郡にあるウエストコビーナ(West Covina)にある「The G&E」を買収した、とされる。

我が国と違い、米国のFM/AMラジオは開設に規制がほとんどなかった歴史的経緯もあり、国土の広さと相まって中小のラジオ局が乱立している。

また、トーク・ラジオと呼ばれるパーソナリティの政治的スタンスに大きく左右されるラジオ局がある。これはむしろ全米を網羅するマスメディアにリベラル傾向が強い、という事情に対抗するために保守の牙城として現れた。リベラル的な州の中に保守的な地域がある場合、こうした情報の需要が発生する。

そうした需要の発生に倣い、単純に支那系の移民の利害関係を訴えるに留まらず、ここに目をつけた中国共産党が自国のプロパガンダに利用するために買収しているのではないか、という疑念が持たれている訳だ。

さて、ここで大まかに北東アジア系の移民の流れを振り返る。

太平洋に浮かぶハワイ州、次いで西海岸のワシントン州とカリフォルニア州、さらに宗教的寛容の強かった東海岸の中部諸州のニュージャージー州とニューヨーク州に、まず日本人が移民して、日系人のコミュニティが形成されていった。すべてリベラル的な州であることに留意されたい。

そして、中韓系の移民がフォロワーとしてやって来る。これらの州で、慰安婦像設置の政治的動きが起きるのはあながち偶然ではないのだ。

世代を重ねた移民から順番に日系人は、白人層と婚姻によって融解しつつある。この融解現象と同様に、米国の多種多様なニーズに対応した日系メーカーは、むしろリベラル的な州から保守的な州へと、本社と工場を移転し始めている。

トヨタ自動車は米国本部をカリフォルニア州からテキサス州に順次、移転すると発表したのが象徴的事例だろう。トヨタは、カリフォルニア州では州の独自規制から「プリウス」と「MIRAI」を売り、テキサス州では専用工場を立ち上げて「タンドラ」を売る。

フォロワーとしての中韓系移民が白人層と婚姻によって融解する道を辿るとしても、保守的な州へと移る未来が待っているかは分からない。階層が分断されたゲーテッド・コミュニティの多いリベラル的な州の方が、彼らの社会的通念に合っているかもしれない。もちろん社会の上層部に喰い込むことが条件だろうが。

プロパガンダとともに、この条件づくりの一助として、メディアを買収している、と思われる。

話は戻り、冒頭に紹介したR.E.M.は、そのインディーズ時代にカレッジ・チャートからその人気に火が付いた。

米国の大学(カレッジ)は、隔絶された環境で学問を修める、という理念から、州の郊外や田舎に立地して、その多くは全寮制だった。学生は、自治の一環からFM局を開設して、自分たちのリコメンドを流すようになった。それらが組織化されていき、カレッジ・チャートとなって、音楽的潮流を作り出していった。R.E.M.がオルタナティブ・ロックの元祖的存在となったのはそうした経緯があった。

トーク・ラジオにおいても、カレッジ・チャートにおいても、米国のラジオ局はオルタナティブな位置付けにあった。

そして、時代は移り変わり、中国共産党の意向に従って、ラジオ局の買収が続き、世論形成のためのプロパガンダに利用されるとすれば、R.E.M.の最初のシングルが「Radio Free Europe」だったことに想いを馳せると、なんとも皮肉な展開ではないか。それとも、これもオルタナティブなモノに終わるのだろうか。

China’s ‘Soft’ Power Exposed Nov. 8, 2015 4:58 p.m. ET WSJ

(上段省略)

Listeners would have been less surprised if the stations had disclosed that the communist government in Beijing controls their content. More than a dozen stations across the US are among a total of 33 globally that operate covertly, with Beijing hiding behind front men.

Last week it came to light that Beijing's state-run China Radio International secretly owns 60% of a US company, G&E Studio, which leases stations and airtime in Washington, Philadelphia, Boston and San Francisco, among other cities.Beijing uses similar subterfuges in Europe and Australia.

China went to great lengths to hide its role.Reuters broke the story after deploying 39 reporters to investigate in 26 countries, including the review of “scores of regulatory, zoning, property, tax, immigration and corporate records, including radio station purchase contracts and lease agreements.”

Beijing’s involvement was discovered via a footnote in a Federal Communications Commission filing on behalf of a separate company also affiliated with James Su, a Shanghai-born naturalized U.S. citizen, whom Reuters exposed as Beijing’s minority partner in its American radio operations.

(下段省略)

英語圏の中道左派は日本の中道右派と近似する

カナダは下院(庶民院)総選挙の結果、中道左派の自由党が政権を担うことになった。その経済政策は大胆な財政出動を公約としている。今後3年間に渡り、年50億カナダドルの財政赤字を出してでも、インフラ整備を行う、というものだ。

次の政権に就くトルドー党首率いる自由党の財政政策は、強硬左派(Hard Left)との呼び声高い英国の労働党、コービン新党首が打ち出している政策のうち、反緊縮(量的緩和継続と財政支出拡大)という点で一致している。こうした英語圏の中道左派政党の政策一般は、我が国ではむしろ中道右派の自民党が得意とするところだ。

こうした自民党の融通無碍は、他者の目からは中道と分類されても、広く右派から左派まで取り込んでいるから、一貫性も節操がないのだ、という見方もある。

しかし、ポーランドの右派・保守に分類される政党「法と正義(PiS)」は、社会福祉予算の充実や退職年齢の引き下げなど、おおよそ英語圏では中道左派やリベラルの主張する政策を公約に掲げている。

なぜ英語圏の左派とポーランドと日本の右派の政策が類似、一致するのか。その謎は、世界価値観調査(World Values Survey)の調べる文化的地図(Cultural map)で紐解ける。

世界価値観調査の文化的地図は、縦軸に世俗的・合理的価値(Secular-rational values)と伝統的価値(Traditional values)を対比させ、横軸に生存価値(Survival values)と自己表現価値(Self-expression values)を対比させている。

縦軸の上方に向かう世俗的・合理的価値観が強いほど、以前の共産主義圏、現在の正教圏(バルト三国含む)と儒教圏やプロテスタント圏との親和性が高くなる。

横軸の左側に向かう生存価値が強いほど、共産主義の傾向が強まる。横軸の右側に向かう自己表現価値が強いほど、プロテスタント圏の北欧諸国が多くなり、スウェーデンは自己表現価値の極限に立つ。

そして、日本は世俗的・合理的価値の極限にあり、生存価値と自己表現価値の中間点に立つ。日本だけが他国の一神教的宗教性を排除したポストモダンを生きている証左である。

一方、英語圏は横軸の右側の自己表現価値に寄りつつ、プロテスタント圏よりは伝統的価値が強い。欧州のカソリック圏はすべての価値の中間点に広く分布する。

つまり、日本とカソリック圏の政党とその政策が右に寄ると、プロテスタント圏と英語圏の政党とその政策の左に近付く。自民党が中道右派ながら、中道左派的な政策を採用する理由はこれで明らかになる。

ただ一国ポストモダンの世界に生存して、世俗的・合理的価値の極限に存立する日本には、現実的な極左と極右の選択肢はない。極左に赴かんとすれば全人類の生存価値を尊重するために、空想的な平和主義に向かう。極右に赴かんとすれば全人類の自己表現価値を尊重するために、人種平等的な大アジア主義に向かう。

なぜならば、ポストモダンの先は誰も見たことのない空想の未来であり、世俗的・合理的価値の先は超世俗と超合理の神々の世界だからである。

中国懸念を切り抜けた中欧諸国、選挙やVW不正が次のリスクに  2015年 10月 15日 19:24 JST ロイター

目先の懸念は10月25日に総選挙が行われるポーランドだ。同国は欧州の優等生といわれる堅調な経済成長を続ける。欧州連合(EU)で唯一、2008─09年の世界金融危機後のリセッションを回避できた国でもある。

世論調査では一貫してポピュリストの右派政党「法と正義(PiS)」が高い支持を集めるが、同党の掲げる大胆な福祉支出や非課税所得の拡大、退職年齢の引き下げといった政策は、投資家を不安にさせている。


2015年10月 カナダ庶民院の総選挙結果(定数338・過半数170)

自由党(中道左派) 184
保守党(中道右派) 99
新民主党(社会民主主義) 44
ケベック連合(ケベック州地域政党) 10
緑の党(極左) 1

コラム:カナダ新首相の「蜜月」は短期終了か 2015年 10月 21日 17:48 JST ロイター

[FT]新首相と中道左派に託したカナダ(社説) 2015/10/21 14:23 日経

カナダ次期首相、対「イスラム国」戦からの撤退を米国に伝達 2015年 10月 21日 12:19 JST ロイター

カナダ政権交代でマリファナ市場拡大期待、関連株が一時急伸 2015年 10月 21日 10:23 JST ロイター

カナダ自由党の政権獲得、当面は加ドルとエネルギー株の重しに 2015年 10月 20日 17:46 JST ロイター

カナダで10年ぶり政権交代、野党第2党の自由党が単独過半数 2015年 10月 20日 15:53 JST ロイター

カナダ総選挙、10年ぶり政権交代へ:識者はこうみる  2015年 10月 20日 13:26 JST ロイター

参考URL:
World Values Surveyより
Inglehart–Welzel Cultural Map Cultural map - WVS wave 6 (2010-2014)

家庭内イデオロギー対立劇『Family Ties』再び

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズの主演俳優として知られる、マイケル・J・フォックスのコメディセンスが認められたのが『ファミリータイズ』(Family Ties:1982年~1989年)というTVドラマシリーズだった。一時期、東京12チャンネル(現テレビ東京)で放送されていた記憶がある。

このドラマのスケジュールがタイトだったので、主人公マーティ・マクフライ役は別の俳優(エリック・ストルツ)に割り振られて、撮影が進んだが、センスが合わず降板、マイケル・J・フォックスに再オファーが回ってきた、というエピソードは有名。

『ファミリータイズ』の面白さは、親がヒッピー崩れのリベラル、子供がレーガノミクスの申し子という世代間のズレが醸し出す会話劇にあったのだが、当時、そんな政治背景を知らないし、興味もなかったのでまったく面白くなかった。後番組の『俺がハマーだ!』の方が断然、面白かった。

マイケル・J・フォックスは、コメディを散りばめたサクセス・ストーリーの『摩天楼<ニューヨーク>はバラ色に』(The Secret of my Success:1987年)や、当時のジェネレーションXと呼ばれた世代の青春の苦悩を描いた『再会の街/ブライトライツ・ビッグシティ』(Bright Lights, Big City:1988年)などの劇中では、1980年代の雰囲気を体現していたが、2000年代以降はパーキンソン病の闘病で第一線を退いでしまった。

米二大政党、「異常性」は変貌の証し 25年で支持層が一変 2015 年 10 月 13 日 17:50 JST WSJ日本版

振り返ると、マイケル・J・フォックスの世代であるジェネレーションXは親の世代であるベビーブーマーの対極にあった。レーガノミクスによる金融経済化の始まりとともにウォール街に就職するのが正しく、冷戦に勝利を収めた強い合衆国の瞬間を脳裏に刻み込んで、平和の配当に基づくリストラ(人員整理)の嵐にも巻き込まれた。そんな彼らもいつしか親になり、子供を持つ。

すると、その子供の世代はジェネレーションYと呼ばれて、オバマ大統領を当選させる原動力になった。つまり、ドラマ『ファミリータイズ』の逆転版が現代米国の家庭の情景だったりする。親の因果が子に報い、ではないが政治的スタンスが逆転するのは夜の東西を問わないのかもしれない。しかし、米国の社会変動の程度は並大抵ではない。

タバコは規制がかかる一方だがマリファナは解禁され、そもそもファンダメンタリズム(原理主義)の本場であるはずの国でゲイ同士の結婚が合法になった。

ポリティカル・コレクトネスはただの粗探しに陥り、ボストン美術館の着物試着イベント“キモノ・ウェンズデー”は人種差別で中止、オフ・ブロードウェイで上演される予定だったオペレッタ『ミカド』も人種差別で中止。中止に追い込んだアジア系米国人とやらに日系人はいないことは容易に想像は付く。

「動くなよ、的が外れるから」とか曰ってた『俺がハマーだ!』も白人警官を殺した黒人を撃ったら、クビになったり、逮捕されたり、訴追されて45分1回で打ち切りになってしまうのでしょうね。

参考URL:
上記記事からJPG画像で見るDifferent Faces(1990年と2015年に実施されたWSJ/NBCによる共和党・民主党支持者層の世論調査比較)

34人の上院議員とイスラエル・ロビーの敗北

オバマ政権は、イランとの核合意について上院の民主党議員34人を確保して、核合意の承認に近づいた。

合衆国の政治制度では、条約の承認には上院議員の3分の2の同意が必要となっているが、イランとの核合意は条約ではないため「2015年イラン核合意審査法」による上下両院の議会承認が必要となる。

上下両院の法案可決もしくは否決を大統領が覆そうとするとき、拒否権(veto)を行使して議会に差し戻す。ただし、議会がさらに覆して上書き(overdrive)するために3分の2で再可決もしくは再否決すると、拒否権は二度行使できない。

イランの核合意に関しては、上院が合意に反対する場合、過半数51人で不承認を決議する。これに対して大統領は拒否権を行使して、上院に差し戻す。

現在の共和党上院議員は54人だが、拒否権を上書きするには67人の票が必要となる。大統領はすでに民主党内の上院議員34人を確保した。これで66人の票までしか確保できず、上院での再否決の見込みは不可能となった。下院も拒否権上書きに必要な3分の2の確保が難しいとされている。

Obama secures Iran victory as 34th senator endorses nuclear deal Wednesday 2 September 2015 17.50 BST The Guradian

米大統領、イラン核合意で議会の支持確保 2015年9月3日 00:39 JST WSJ日本版

核合意はイラン国会の承認が必要=イラン最高指導者と国会議長 2015年9月4日 09:01 JST WSJ日本版

もうひとつ興味深いのは民主党内のイスラエル・ロビーの力が弱まり、共和党の宗教右派の方が親イスラエルになっていることだろう。

イスラエルがイランとの核合意を覆すには、オバマ政権の後継が共和党かつ宗教右派の支持の高い政権が成立することで、180度の政策転換が起きることを期待するしかないように思われる。

アイデンティティ・ポリティクスに死すリベラル

同性婚の容認、国民皆保険制度(オバマケア)の発足など社会風土のリベラル化が急速に進む米国では、反作用として保守的なトランプ氏(共和党)の直言が支持を集めている。

一方、従来のリベラルが中道化することでクリントン女史(民主党)は左傾化を余儀なくされている。それでも自ら社会主義者と称するバーニー・サンダース上院議員に支持率で逆転されてしまい、バイデン副大統領の予備選出馬が取り沙汰されるようになった。

【アメリカを読む】浮上する副大統領 民主党期待?の失言王 2015.8.25 08:30 Sankei Biz

バイデン氏、出馬を真剣に検討か オバマ大統領も「賛意」 2015.08.25 Tue posted at 13:33 JST CNN日本版

米民主党内にバイデン氏擁立論が拡大、クリントン人気に陰り 2015年 08月 24日 15:02 JST ロイター

コラム:米大統領選、トランプ氏の勝利に必要なもの 2015年 08月 19日 19:31 JST ロイター

民主にバイデン氏擁立論=クリントン氏人気に陰り-米大統領選 2015/08/18-14:33 時事ドットコム

米国の社会風土のリベラル化は、ポリティカル・コレクトネスに辟易した保守陣営のトランプ氏支持に結実している。一方で、ポリティカル・コレクトネスを事あるごとに唱え、アイデンティティ・ポリティクスに固執しているリベラルは政治的議論の発展性を失い始めている。

identity politics(アイデンティティ・ポリティクス)とは、社会的不公正に晒されている白人以外の人種・民族・宗教、男性以外のジェンダー・特殊な性的嗜好を持つ人々などマジョリティではない特定のアイデンティティ集団の利害に沿った政治を指す。

他者に差別主義者のレッテルを貼ることで、共和党のみならず民主党の穏健派や保守寄りの議員や党員を排除する力学が働き、結果として民主党の論議が逼塞して、政策の自由度が失われて、硬直化していく。

テネシー大学法学部教授のレイノルズがUSAトゥディに書いているコラムでは、“自ら唱えたアイデンティティ・ポリティクスにけしかけられる民主党”を論じている。

米国の政治では言葉狩りで政治的議論が萎縮する状況が続いている。オバマ大統領の発言を捉えて、全米女性協会の会長であるテリー・オニール女史が“女性蔑視”と非難する。また同じくオバマ大統領をオハイオ州選出のSherrod Brown上院議員も“女性蔑視”と非難する。

こうした言論環境では、白人男性だけが自由に非難される対象となってしまい、それ以外の人種・民族・ジェンダーに関する発言をすれば、政治生命を失いかねない。

こうした集中砲火を浴びる白人男性の鬱積を晴らすべく、トランプ氏が直言を繰り返している。彼の高支持率にはこうした背景もある、と思われる。

Reynolds: Democrats sic identity politics on their own 10:38 a.m. EDT May 18, 2015 USA TODAY

The left has handicapped its ability to debate policy, even among themselves.

They told me if I voted for Mitt Romney, we'd have a condescending president who looked down on his female critics as "little ladies" who didn't understand how the world works. And they were right! I voted for Romney, and, well, keep reading.

Sure, we wound up with President Obama, not with Mitt. But that didn't change how things turned out. Just ask National Organization for Women President Terry O'Neill. Right before Obama's trade bill cratered in the Senate last week, Obama complained that its chief Senate critic, Sen. Elizabeth Warren, D-Mass., didn't understand the real world. O'Neill then chalked Obama's attitude up to sexism.

O'Neill told The Hill she took issue with Obama calling Warren by her first name during an interview with Yahoo News published May 9.

"Yes, I think it is sexist," O'Neill said. "I think the president was trying to build up his own trustworthiness on this issue by convincing us that Sen. Warren's concerns are not to be taken seriously. But he did it in a sexist way."

O'Neill said Obama's "clear subtext is that the little lady just doesn't know what she's talking about."

Sen. Sherrod Brown, D-Ohio, joined the chorus, also suggesting Obama's remarks were sexist, and then refused to apologize. Now some are tittering over Obama's supposed "seven-year history of sexism." This caused Twitter humorist David Burge to joke: "NAACP president: NOW president's critique of Obama's critique of Elizabeth Warren is racist."

Well, that's fair. The worst aspect of Obama's presidency has been the willingness of some defenders to characterize any and all criticisms of his policy or style as racist. With Warren (despite her denials) revving up for a potential 2016 presidential campaign — and already with Hillary Clinton's effort — we're seeing a new line of argument: That any criticism of a female politician is sexist. Apparently, the only kind of politician you can criticize on the merits in America nowadays is a white male.

The Democrats' tendency to argue identity politics over policy is more awkward when it's aimed at other Democrats. As The Washington Post's Jennifer Rubin comments: "Is the 'war on women' being waged by the White House, or have Democrats become so accustomed to demonizing their opponents that they can't engage in civil debates even among themselves? It does not speak well of the Democrats' ability to persuade and lead. But it does portend a non-stop stream of gender bias claims in the 2016 presidential election."

In my experience, people argue identity when they don't want to argue policy. And the reason they don't want to argue policy, usually, is that they're wrong. But in arguing that everyone who disagrees with them is a racist, or a sexist, or a tool of Big Money, or whatever, the Democrats run the risk of self-destruction. This is basically what happened to the the Labour Party in Britain: A reliance on easy tropes that please the base but alienate other voters.

As Daniel Hannan notes: "When leftists attack the Tories, they're not just having a go at 300 MPs, or 100,000 party members: They're scorning everyone who has contemplated supporting the party. ... How do you think this sort of thing goes down, not only with anyone who has ever voted Conservative, but with moderate people who, though they haven't voted Tory themselves, have friends and family who have? When you adopt a bullying tone, you find that 1) voters don't like it; 2) you solidify the other side's core support; and 3) some people hide their voting intentions."

Likewise, too many prominent Democrats and supporters have spent the past six years calling everyone who doesn't agree with Obama a racist. Now some of the same folks are gearing up to call everyone who doesn't support Clinton (or, perhaps, Warren, the backup-Hillary) a sexist. For instance, one group of Hillary supporters makes the preposterous claim that saying she is "out of touch" or 'insincere" reflects a sexist worldview. This technique worked pretty well so far for Obama's presidency, but it now seems to be wearing thin, even within the Democratic Party.

The 2016 election is still more than a year a way. It's not too late for the Democrats to start arguing policy. But if they want to stick with shouting about identity, well, the Republicans may be happy to let them.

Glenn Harlan Reynolds, a University of Tennessee law professor, is the author of The New School: How the Information Age Will Save American Education from Itself.

“アンカー・ベイビー”を巡るマイノリティの対立

合衆国憲法修正第14条は「合衆国で出生または帰化し、その司法権に属する者はすべて合衆国の市民である」とされている。この条項は本来、南北戦争後の解放奴隷の法的地位を確定し、保護する意味があった。

しかし、時代は移り変わり、条項の趣旨を逸脱した濫用が目立つようになった。

例えばヒスパニック系と中韓系の妊婦が遠征出産をすると、その子供には生得市民権が自動的に与えられる。市民権を持つ子供が21歳に達した時には、子供を保証人にさせて、親族が移住する。このやり方から侮蔑的に“アンカー・ベイビー(anchor baby)”と呼ばれている。

正式な調査はないが、合衆国では毎年約4万人~30万人の“アンカー・ベイビー”が誕生している、と言われている。

こうした相手側の人道主義を盾に取ったやり方は、先進国と途上国との間で、どんどんエスカレートしている。

例えば乳幼児を航空便で送りつけるか、10歳前後の子供を不法越境させて、相手国に保護させる。その後、保護された子供の親権を訴えて、親が難民申請するか、在留許可を得て、成人後に市民権を行使した子供を保証人として親族一同がぶら下がる。

果てはシリア難民がシェンゲン圏に入り込む際に、誰かの子供を買い取って親子として振る舞い、同情と保護の両方を買う者も一定数存在する。

生得市民権の廃止を公約に掲げたトランプ氏に追随する形で、ジェフ・ブッシュ氏は“アンカー・ベイビー”を非難した。これに対して、全米アジア太平洋系米国人評議会がブッシュ氏の批判を始めた。

AFP電によれば「私が言ってきたのは、組織的に行われている不正の事例のことだ。そしてそれは、率直に言うと、組織的にわが国に来て出産し、生得市民権という高貴な概念を悪用するアジアの人々により密接に関連している」と、ブッシュ氏は弁明している。

リーマン・ショック以降、ヒスパニック系移民は減少しており、残るヒスパニックもカソリックを棄教して、プロテスタントになるか無宗教になるなど、急速にアメリカナイゼーションされている。

また、ヒスパニック系移民の最大の輸出先だったメキシコも米中の生産コスト逆転に伴って、リショアリングの恩恵を受け始め、不法移民する必要性を失い始めている。

一方、中韓系を筆頭にアジア系の移民はヒスパニック系を凌駕しつつある。そこに中韓系による法治概念に対する軽視と、マイノリティが獲得してきた既得権にフリーライドする手法に、次第にマジョリティと中韓系以外のマイノリティが不満を募らせている。

米国の大学適正試験における不正(成り済まし受験、替え玉受験、試験内容の漏洩など)の摘発、留学生による成績不良とカンニングによる退学処分の増加、大学におけるスパイ事件の多発でマジョリティの反発を受けている。さらにニューヨークの「専門学校」試験制度改革では黒人系とヒスパニック系と対立している。

“アンカー・ベイビー”はこうした動きと同列にある。“アンカー・ベイビー”を生むために、わざわざツアーを組み、マタニティ・ホテルに逗留して遠征出産するアジア系に非難の矛先を向けて、不正を行っていると断じるのは事実であり、間違ってはいない。

出来うるならばアジア系ではなく中韓系であることを堂々と披瀝してもらいたいものだ。

トランプ氏、今度はアジア人の「でたらめ英語」皮肉る 2015年08月28日09時42分 中央日報日本語版

中国人の妊婦ホテル・憲法問題が争点に トランプ氏に反応したブッシュ氏ら「墓穴」 2015.8.28 19:54 産経ニュース

ジェブ・ブッシュ氏、アジア人が生得市民権を乱用と非難 2015年08月25日 17:00 AFP BB NEWS

[オピニオン]米大統領選挙と「アンカー・ベビー」 AUGUST 27, 2015 07:06 東亜日報日本語版

ブッシュ氏が“アジア系”の生得市民権乱用を批判、韓国人団体は猛反発・・韓国ネットは「金持ちはみんな米国で出産」「米国にまともな政治家はいないか?」 2015年08月27日 フォーカスアジア

米当局、米国籍取得目的の中国人「出産ツアー」を一斉摘発 2015年3月4日 19:06 JST WSJ日本版

 【ロサンゼルス】米連邦捜査当局は3日、子どもに米国籍を取らせるため米国で出産する中国人が増えている問題で、カリフォルニア州南部の高級ヴィラなどを一斉捜索した。

 中国人妊婦の米国での出産と子どもの米国籍取得を支援するビジネスは数百万ドル規模に達するとみられており、今回の捜査では、不正ビザ取得のほか脱税、不法移民をかくまった疑いなどが持たれている。

 米当局によると、越境出産を手助けするビジネスは拡大しているが、この種のビジネスに対する刑事事件としては最大級のものとなりそうだ。

 捜査員は観光ビザで入国した中国人の妊婦が出産前後に滞在したアパートや、越境出産ビジネスを行っていたとされる米国に拠点を置く個人の居住地などを捜索し、関連資料を押収した。この人物は、ロサンゼルス、オレンジ郡、サンバーナーディーノ郡でビジネスを営んでいた。ウォール・ストリート・ジャーナルが確認した文書によると、国土安全保障省、財務省、内国歳入庁もこれに関する捜査を進めている。

3日早朝、40人ほどの捜査員がオレンジ郡にある高級ヴィラ、カーライル・アパートメントの敷地に入った。入居者からは、これまで多くの妊婦が出入りしていたのとの声が聞かれた。捜査員はおむつの入った箱やパソコン、関係文書を押収。これまで逮捕者は確認されていない。

 越境出産はこれまで、子どもに国籍を取得させる目的で米国に移住するメキシコ人の間で多かったが、最近では富裕層向けのビジネスに発展。当局の話では、米国に足がかりをつくりたいと望む中国人が主な顧客になっており、仲介業者に5万ドル(約600万円)支払うこともあるという。これには出産に関わる医療費は含まれていない。

 米国で生まれた子どもは自動的に米国籍を取得できる。そのため、外国人の妊婦が正規あるいは不法に入国して出産した子ども(アンカーベビーと呼ばれる)も、米国の教育や社会保障などを受けられる。21歳になると、子どもが保証人となって家族を合法的に米国に移住させることもできる。

 米国のアンカーベビーの数をまとめた公式統計は存在しないが、越境出産の取り締まり強化を求める移民研究センター(ワシントン)によると、年間約4万人の子どもが越境出産で生まれているという。

ポリティカル・コレクトネスを気にしない男

トランプ氏を支持する共和党員は、彼のポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)を無視した発言を大いに歓迎している。

そもそも政治的正しさとは何なのか、それに妥当性が本当にあるのかと疑問を感じている共和党員にとって、彼らの目に映る行き過ぎたリベラル的政策と風潮が蔓延した現在の米国の姿は、焦燥感や危機感となってトランプ氏の存在を押し上げている。

共和党員は他のエスタブリッシュメントの候補者が、献金する利害関係者の影響を受けて、発言が慎重すぎることにも不満を感じている。

トランプ氏は、もともとリアリティ番組「アプレンティス(The Apprentice)」で視聴者が見ていた傲岸不遜なパーソナリティが認められており、かつ選挙資金を自己資金で賄っている発言の自由さがある。トランプ氏を通じて見えるのは、米国の強さを体現した人格的にも率直さを持つ大統領への待望論があり、これが他の候補者に伝播することを期待されている、ということだ。

そして、トランプ氏の言動の影響はジェブ・ブッシュ氏にも現れ始めた。中韓系米国人に多く見られる市民権目当ての遠征出産「アンカー・ベビー」をブッシュ氏が非難するようになった。

[オピニオン]米大統領選挙と「アンカー・ベビー」 AUGUST 27, 2015 07:06 東亜日報日本語版

米大統領選、トランプ氏が支持率リード広げる=世論調査 2015年 08月 26日 15:43 JST ロイター

[ワシントン 25日 ロイター] - ロイターとイプソスがこの日公表したオンライン世論調査によると、2016年の米大統領選に向けた共和党指名争いで、ジェブ・ブッシュ氏の支持率が低下する一方、最有力候補となっているドナルド・トランプ氏は2番手のライバルに20ポイントの差をつけてリードしている。

調査は、共和党員511人を対象に実施。過去5日間に共和党員らのブッシュ氏支持率は16%から8%に低下した。

ブッシュ氏は移民政策をめぐってトランプ氏と激しく対立。また、ブッシュ氏は最近のインタビューで、不法移民の親から生まれた子供を表す用語で一部に差別的との指摘がある「アンカー・ベビー」という言葉を使用して人権団体などから批判を浴び、反論するなどしている。

トランプ氏の支持率は30%前後で、過去1週間ほぼ変わっていない。

順位としては、ブッシュ氏の支持率は元神経外科医のベン・カーソン氏と同一の3位。ハッカビー前アーカンソー州知事は支持率10%で2位となった。

トランプ氏は、本音を語って権力に立ち向かう一匹狼のイメージで人気を保っている。

同氏が注目される理由として、共和党員の77%前後が「政治的な正しさ」に関心がないことや、メディアと対決していることを挙げた。約68%が、資産家であるため寄付に頼っていないことを挙げた。

また、トランプ氏の参戦で既成組織が挑戦を受け、共和党に新しい発想をもたらすと考えている共和党員が多数を占めている。


参考URL:
ワシントンUPDATE  「ドナルド・トランプの沸騰する人気をどう考えるか?」 2015/08/19 東京財団

アメリカNOW第128号 「ブローハード・イン・チーフ?」:トランプ現象の解釈 前編(渡辺将人) 2015/08/27 東京財団

アメリカNOW第129号 「ブローハード・イン・チーフ?」:トランプ現象の解釈 後編(渡辺将人) 2015/08/27 東京財団

命にまつわる保守とリベラルの逆転現象

同性婚の容認などリベラル化が急速に進む米国において、本来は最も保守的な宗教右派が命に対して最もリベラル的なスタンスに立っていることがある。それが妊娠中絶手術だ。

妊娠中絶された胎児の臓器が売買されているという疑惑が持ち上がり、共和党はこれを材料に予算不成立と政府機関一時閉鎖を行っても、党の支持率は落ちない、と見込んでいる。

2015年6月28日のエントリーでも取り上げたが、

宗教右派にとって最後の拠り所になるのが、妊娠中絶の問題であり、ユダヤ人ではないが宗教的な理由からイスラエルを支持する彼ら強硬派は同時に胎児の命を尊重する。同性婚する人々は、配偶者同士では妊娠できない故に中絶もしない。また養子を引き取るので、宗教右派の直接攻撃対象とならなくなった。

この主義主張においてはリベラルは保守となり、保守はリベラルに立場を代える。

米NPOに「臓器売買」疑惑 補助金打ち切り争点 政府機関閉鎖の恐れも 2015.8.17 19:42 産経ニュース

 【ワシントン=小雲規生】米国の医療関連の非営利組織「全米家族計画連盟(PPFA)」が臓器売買に関わっていたとされる疑惑が浮上している。PPFA幹部が関連医療機関で妊娠中絶された胎児の臓器の価格交渉をする動画がインターネット上で公開されたためで、議会ではPPFAへの補助金を打ち切るか否かが争点になっている。民主党側は女性の中絶する権利を脅かすとして打ち切りに反発しているが、9月以降の予算審議の行方次第では政府機関閉鎖の引き金になるとの見方も出ている。

 動画はカリフォルニア州の市民団体が隠し撮りし、7月14日にネット上で公開した。市民団体は臓器買い取りを希望する医療機関の関係者を装ってPPFAに接触し、PPFA幹部が「臓器ひとつあたり30~100ドル」と価格を示唆する様子を撮影した。

 幹部らは動画のなかで、中絶時に胎児の臓器を傷つけないために特殊な中絶方法をとることにも言及。市民団体は「臓器の売買や、PPFAが用いている特殊な中絶方法は違法行為にあたる」と主張している。

 一方、PPFAは「臓器は合法的に研究用に寄付されており、利益は得ていない」と反論。全米700拠点で乳がん検診や中絶処置などを行う「米国で最も信頼されている女性向けの医療機関」としての立場を強調している。

 しかしPPFAは連邦政府から年間5億ドル(約624億円)の補助金を受け取っていることから、議会で下院エネルギー・商業委員会が調査を開始した。2016年の大統領選挙で共和党からの候補指名を目指すジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事も「極めて深刻な政治問題だ」として事態の究明を促している。

 一方、上院では8月3日、共和党主導でPPFAへの補助金をカットする法案について投票が行われたが、賛成は53票に留まり、議事進行に必要な60票に届かなかった。エリザベス・ウォーレン上院議員(民主党)は「保守派による女性の権利に対する手の込んだ攻撃だ」と批判している。

 しかしPPFAへの補助金は9月以降の予算審議で再び争点になりそうだ。共和党では、大統領選で党からの候補指名を争っているテッド・クルーズ上院議員が、補助金をめぐる対立で予算が成立せずに政府機関が閉鎖されることも辞さない姿勢を表明している。臓器売買疑惑の展開次第では、大統領選の行方にも影響する可能性がある。

 米紙ワシントン・ポスト(電子版)は4日、「共和党は米国民が政府機関閉鎖に思い悩むより先に胎児からの臓器売買問題に嫌悪感を抱くだろうと考えている」と分析している。

戦略的価値の失われた辺境、プエルトリコ

デフォルト危機に陥って、福祉削減が予想されるプエルトリコから米国本土への移住が増加している。

人口が多くても、気象条件が悪かったり、工業に必須な電力や水源に乏しかったりするよう小国にとって、自国の存立と繁栄には、地政学的条件で有利な位置に存在しているかは重要だろう。

トルコとロシアを抑える要地にあるギリシア、太平洋のキーストーンと呼ばれる沖縄と違って、チョークポイントでもない米国の自治領(コモンウェルス)であるプエルトリコは、長年対立していたキューバの国交回復でますます戦略的価値が損なわれていく。

ちなみにヒスパニック系のうち、プエルトリコからの移民の多い州は、ニューイングランド地方の6州(コネチカット州、ニューハンプシャー州、ヴァーモント州、マサチューセッツ州、メイン州、ロードアイランド州)と、中部大西洋沿岸地域の3州(ニュージャージー州、ニューヨーク州、ペンシルベニア州)、フロリダ州の北東・中央部、ハワイ州となっている。

なかでもプエルトリコに最も近いフロリダ州への人口流入のスピードが早すぎて、住宅需給が逼迫している。ディズニー・リゾートなどがあるオレンジ郡の公営住宅の空きを待っている人は1万4000人以上いる。福祉行政の対応が追いつかないのが現状だ。

米国本土と同じ最低賃金が企業の進出を妨げ、同じ市民権を持つことが、プエルトリコ人の本土流入に拍車を掛けている。英語が話せなくても、生活できるコミュニティがあることも見逃せない。

プエルトリコ住民の米本土移住が加速、負担増に悩む自治体 2015年7月21日 17:23 JST WSJ日本版

【オーランド(米フロリダ州)】財政危機に陥った米自治領プエルトリコから米国本土に移住する人が増加し、受け入れ側の自治体が負担増に苦しんでいる。

特に変化が目立つのはフロリダ州だ。同州は米国の州の中でプエルトリコからの人口流入が最も多いが、そのセーフティネットは流入が多い州の中では比較的脆弱だ。プエルトリコの住民は米国の市民権を持つ。

専門家によると、プエルトリコでは先月末、パディラ知事が720億ドル(約8兆9000億円)の債務を返済できないと表明し、今月には消費税が7%から11.5%に引き上げられたため、今後数カ月は米国への移住を決める人がさらに増える可能性があるという。通常でも、子どもの学校が休みになる夏場は家族での移民が多くなる時期だ。

フロリダ州オーランド市が運営する支援センター「HOLA(ヒスパニック・オフィス・フォー・ローカル・アシスタンス)」の調整官、アリシア・ラミレス氏は、プエルトリコの現状はあまりに悲惨で、多くの人がほとんど何の財産も持たず計画も立てないままプエルトリコを発つと明らかにした。米国にやって来たばかりの人がHOLAの事務所を訪れて仕事や住宅、公的支援について相談することが増えているそうだ。

プエルトリコからの人口流入で手頃な家賃のアパートが不足しているため、自分の車や安いモーテルで暮らす人もいる。「これほど切羽詰まった状況は見たことがない」とラミレス氏は言う。「多くの人は米国でどんな状況が待ち受けているかを知らないのではないか」。

プエルトリコ出身の米国市民は東沿岸部に集中しており、2011年から13年までにプエルトリコから差し引きで年間約5万人が米国本土に移住した。ニューヨーク州立大学ハンター校のプエルトリコ研究センター所長、エドウィン・メレンデス氏によると、オーランドがあるフロリダ州中央部には現在、38万人を超えるプエルトリコ住民が暮らす。

ニューヨークやイリノイなどの州にもプエルトリコから多くの人口が流入している。ニューヨーク市ブロンクス地区のルービン・ディアス区長によると、最近やって来たプエルトリコ住民からの需要が増加し、病院や社会福祉機関は四苦八苦しているという。

先日、建設作業員のアルベルト・スアレスさん(57)がオーランドのHOLAの事務所に立ち寄った。職探しの相談をするためのだ。今年5月に米国本土に来てから整備やサービス業までさまざまな仕事に就こうとしたが、うまくいかなかった。それでも、「仕事がない」とスアレスさんが言うプエルトリコにいた時よりも先行きは明るいそうだ。

新たな移住者全員が苦労しているわけではない。昨年米国本土にやって来たイスラエル・メルカドさん(58)はプエルトリコで航空機整備を監督する仕事をしていた。本土に来てから2カ国語で航空機の技術者を訓練する施設を設立し、既に100人近い生徒を送り出した。航空機とヘリコプターの修理に特化した別会社の立ち上げも計画中だ。プエルトリコではこのような展開は不可能だっただろうと話す。

HOLAのラミレス氏は、プエルトリコから来た人の中には政府の支援に非現実的な期待を寄せる向きもあると指摘する。プエルトリコの住民は米国市民であり食料配給券(フードスタンプ)などの連邦政府の福祉手当の受給資格があるが、フロリダ州の福祉プログラムには限界がある。家賃や公共料金を支払うために現金給付を利用することはできないと説明しなければならないこともあるそうだ。ラミレス氏によると、オーランドのあるオレンジ郡の公営住宅の空きを待っている人は1万4000人以上いる。

プエルトリコ出身の専門家3人のグループが昨年、プエルトリコからやって来たばかりの人たちが新しい生活に適応できるように支援に乗り出した。図書館や教会でセミナーを開き、職場でするべきこと、してはいけないことからオーランドの生活費に至るまでさまざまなテーマについて説明している。

グループに参加するサミー・ハイマン・マレロさんは「計画を立てずに引っ越してくる人たちを見ると胸が痛い」と話した。「セーフティネットがないため、彼らはここに来ても状況が変わらない可能性が非常に高いことに気付いていない」。

オレンジ郡のプログラムマネージャーで、このグループにも参加しているナンシー・シャリフィさんは35年前にプエルトリコからこの地域にやって来たそうだ。寝室1つのアパートに母親と2人の兄弟の4人で暮らした。「思い切って行動した勇気のある人々は本当に素晴らしいと思う」ものの、雇用情勢や住宅事情は厳しくなっていると指摘した。「この世の終わりではないが、楽園でもない」とシャリフィさんは言う。

WSJより全米50州におけるプエルトリコ人の分布

クー・クラックス・クランVS新ブラックパンサー

南北戦争以前、合衆国南部のプランテーション経済は奴隷制を前提として成り立っていた。しかし、奴隷制廃止の急進派が多い北部の得票だけで、リンカーンが大統領選に当選したことを受けて、最初に合衆国から離脱したのは、サウスカロライナ州だった。

サウスカロライナ州は、1832年~1833年にかけて、連邦政府の関税に反対して、離脱しようとした過去(“無効化の危機”)があり、州の独立性維持への関心が強かった土地柄だった。

そして、1861年4月12日、同州にあった合衆国の軍が保持するサムター要塞の接収を要求、受け入れられず砲撃して、南北戦争の火蓋を切った。この内戦は合衆国にとって、史上最大の人的被害を被った戦いだった。

サウスカロライナ州の州議会議事堂から、南軍海軍旗(レベル・フラッグ)が降ろされたことに歴史的意義があるのは間違いない。この議事堂からの南軍旗撤去を巡って、白人至上主義のクー・クラックス・クランと黒人至上主義の新ブラックパンサーが衝突した。むしろ古典的な対立構図と云える。

新ブラックパンサーは、かつて公民権運動の後期に活動したブラックパンサーの後継を名乗っている。ブラックパンサーは、黒人至上主義で、毛沢東主義の極左にして、武装して革命を目指すテロリスト集団だった。

映画『パンサー』(1995年、本邦公開1996年)は、ブラックパンサー側の視点から当時の活動を描いている。

当時、本編を観るよりも先に輸入盤のオリジナル・サウンドトラックが入手できた。主題歌のFreedom (Theme from Panther)はアーリヤ、メアリー・J・ブライジ、TLC、SWV、MCライトなど1990年代の女性ヒップホップR&Bアーティストが総出演している豪華な曲で良く聴き込んだものだ。

その唄い出しはこう始まる。

We will not bow down to racism
私たちは人種差別に屈しない
We will not bow down to injustice
不正義になど屈したりはしない
We will not bow down to exploitation
搾取されようとも屈することなく
I'm gonna stand
立ち上がるんだ
I'm gonna stand
立ち上がるんだ

振り返ると1995年は、洋楽ではヒップホップR&B、ブリット・ポップが隆盛を極め、邦楽もミリオンが続出していた最良の時代と云えるだろう。

さて、映画本編に戻ると、その筋立てはFBIが麻薬を黒人に蔓延させようとしている、という陰謀論で締めくくられていたのには眉を顰めた。公平性を保つには、クー・クラックス・クラン側の視点で描いた『国民の創生』(1915年)と併せて見ることをお勧めする。

下記、NHKとCNNのWEB記事を載せた。NHKは両団体の白人至上主義については触れても、黒人至上主義については指摘していない。新ブラックパンサーが黒人至上主義を放棄したとは寡聞にして知らない。NHKの記事は公平性を欠くように思われる。

米黒人青年殺害、差別訴えるアートに遺族が抗議 2015年07月17日 12:15 AFPBB NEWS

南軍の旗撤去で大規模なデモ 米南部 7月19日 6時21分 NHK NewsWEB

アメリカ南部・サウスカロライナ州で南北戦争当時、奴隷制を支持した南軍の旗が議事堂から撤去されたことについて、18日、白人至上主義団体と黒人の団体がそれぞれ大規模なデモを行い、一時、小競り合いが起き、現場付近は緊迫した雰囲気になりました。

アメリカの南北戦争の舞台となったサウスカロライナ州では、奴隷制の存続を主張した南軍が使用していた旗が、長年、議事堂に掲げられてきましたが、先月、黒人9人を銃殺した白人がこの旗を好んで使っていたことが明らかになり、今月10日、旗が撤去されました。

州都コロンビアでは、18日、旗を南部の誇りととらえきた白人至上主義の団体100人ほどが、議事堂の南側で南軍の旗を掲げながら抗議活動を行いました。

一方、議事堂の北側では、黒人の権利擁護を主張する団体が集まり、「南軍旗は人種差別の象徴だ」などと批判しました。

警察当局は双方のグループが近づかないよう警備を強化していましたが、白人の団体の周りを黒人など1000人以上が、取り囲み、一部の白人団体の支持者と黒人の間で小競り合いになり、数人が逮捕されたということです。

街では、「このようなデモが行われるのは恥ずかしい」といった声や、「意見があるならば話し合いを持つなど別の解決方法を模索するべきだ」といった声が聞かれました。

南軍の旗を巡っては、地域の伝統だと考える人がいる一方で、人種差別を思い起こさせるという批判もあり掲揚の中止をきっかけに、人種を巡る考えの違いが改めて浮き彫りになった形です。


KKKとブラックパンサーのデモ隊衝突、負傷者も 米南部 2015.07.20 Mon posted at 11:13 JST CNN日本版

(CNN) 人種対立が続く米南部サウスカロライナ州の州都コロンビアで18日、白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」と反白人至上主義を掲げる政治団体「新ブラックパンサー党」のデモ隊が衝突した。

州治安当局によると、この衝突で5人が逮捕され、負傷者7人が救急車で搬送された。

この日は両団体とも州議会議事堂前で集会を開催し、時間の経過とともに緊張が高まった。州警察が間に割って入ったがその後も小競り合いが続発したため、当局は集会を予定より1時間早く終了させ、推定約2000人の参加者らに解散を指示した。

同議事堂では今月10日、米南北戦争で奴隷制を支持した南部連合の軍旗が撤去された。KKKは撤去に抗議する運動を展開している。衝突の現場ではKKKが掲げる南軍旗を奪い、引き裂き始めるグループの姿もみられた。

2018年、米中の生産コスト逆転

中共側でも米国への製造業回帰(リショアリング)について、注目するようになった。前年度に不動産のバブル、今年度に株式のバブルが崩壊したとは云え、最低賃金は年10%程度上昇し続けている。

経済誌フォーチュンは2018年に米中の生産コストが逆転すると、報道した。すでにいくつかの州では生産コストの逆転が起きている、とも云う。ドル安局面で中国で部品生産、製品を組立加工して輸送するよりも国内生産する方が、コストが安くなっていることが、まず背景にある。

しかし、長年海外(特に中国)にアウトソーシングしてきたために、熟練工は高年齢化し、技術継承できる人材層が薄くなりすぎている。

また、技術力を有した企業よりも『ジョブ・ショップ』と呼ばれる製造請負業者が活況を呈しており、そこでも労働者のミスマッチが起きており、派遣業者ですら充分に人材を供給できていない有様らしい(2012年3月10日のエントリー参照)。

この解決策のひとつは機械化、オートメーション化による無人化工場である。

例えば我が国でも、市場規模が年々大きくなっているウォーターサーバ向けのボトリング工場は完全無人化されているところが多く、誘致した地方自治体に新規雇用が生まれないこともある。

そして、米国への生産拠点回帰には、労組なし・法人税安・補助金付きを求める企業とそれに呼応する失業者と州の思惑がある。

米国内の各州にとって工場誘致のための切り札は労組をなくすことだ。すべての労働者に組合費の支払いを義務付ける契約を禁じる法律を制定することで、労組の組織化を困難にしている(2014年1月28日のエントリー参照)。

労組を無くすことがリショアリングを加速して、米中の生産コスト逆転を早めているのは皮肉なことだろう。

江蘇省、11月1日から最低賃金を10.1〜15.5%引き上げ (中国) 2014年11月06日 JETRO

中国で賃金上昇、広東省は19%引き上げ 2015年 02月 28日 02:12 JST ロイター

米国内の生産コスト低下で、米大手企業の「脱中国、米回帰」進む―中国紙 配信日時:2015年7月18日(土) 13時35分 レコードチャイナ

2015年7月13日、環球時報(電子版)によると、米国内の生産コスト低下で、米国大手企業の「脱中国、米回帰」が進む可能性があり、中国国内で波紋を呼んでいる。

米経済誌フォーチュンはこのほど、「今年に入って米国の一部の州で、生産コストが中国に肩を並べるほど下がった」と報道。18年には完全に中国を下回ると伝えた。オーストラリアのオーストラリア・ニュージーランド銀行の中国首席経済学者も「米国の生産コストは下落を続けている」と指摘。逆に中国では上昇が止まらず、いずれ逆転する可能性があると予測している。

また、グーグル、ゼネラル・エレクトリック、キャタピラー、フォードなどの大手企業も次々と「米国回帰」を計画。民間シンクタンクの統計によると、現在の生産コストは中国に比べて5%程度上回るのみで、18年には2~3%安くなる可能性がある。さらに、中国の人件費は依然米国をはるかに下回る安さだが「生産拠点を自国に戻せば機械化、オートメーション化が進んでいるため、コスト全体は肩を並べるまでに下げることが可能になる」とも指摘している。(翻訳・編集/大宮)

「Modernization」ではなく「Hyundaization」

合衆国の兵器輸出に関して、他の兵器生産国との輸出競争が激しくなり、友好国(ブラジル、インド)などへの輸出案件の成約に関してシェアを失うのではないか、さらに同盟国との取引でも遅れを取るのではないか、と云う論争が始まっている。

当の同盟国である韓国が、これまた対中共で重要な同盟国のひとつとなってきたフィリピンにFA-50を輸出してことを懸念している。つまり、合衆国の兵器システムとそのメンテナンスは高価になりすぎた、と。

Global Arms Trade: ‘Hyundaization’ Clarified June 08, 2015 The Diplomat

The Global Arms Trade and the ‘Hyundaization’ Threat April 15, 2015 The Diplomat

See why "Hyundaization" is a defense term you need to know 2015年4月11日 LinkedIn

US Facing Global Threat from 'Hyundaization' of Arms Race Monday, 06 Apr 2015 12:38 PM Newsmax

The ‘Hyundaization’ of the Global Arms Industry 2015/04/05 WSJ

議論では、それは噂レベルに過ぎないという見方と、同盟国や友好国の財政状況や要求水準を考えればあり得る見方とに分かれている。

韓国のFA-50とインドのTejasはいずれもGEのF404sエンジンを使っている。つまり、過去に合衆国や我が国の弱電製品と情報通信機器がコモディティ化とサプライチェーンのグローバル化によって駆逐されたのと同じように、国際兵器市場から退場させられるのではないか、という指摘がある。実際に合衆国が生産・輸出する兵器のスペックと同等のものを諸外国が作れるようになり、コストが50~60%安く手に入れることが出来る。

この辺の事情は我が国も合衆国と変わらないだろう。面白いのはこうした危機感を韓国の現代自動車の新興国や合衆国の低所得層へのシェア獲得になぞらえて、「Hyundaization(ヒュンダイゼーション、ヒュンダイ化)」と名付けていることだ。

限られた人種に信じられるアメリカン・ドリーム

アメリカン・ドリームが過去のものになりつつある、もしくは非白人系のものになりつつある、と複数の世論調査が伝える。以前は、底抜けなほどのオプティミズムで、階層間の上昇につながるような社会的成功を収めることができると信じられてきたはずなのに、だ。

確かにクリエイティビティを尊重する風土と多様なバックグラウンドを持つ人々をマネジメントする能力において、我が国は米国に劣位する。しかし、人種などの多様性はそのままに階層間のモビリティ(流動性)が失われつつあり、階層社会の徹底化と相互隔離が進んでいる。

白人系がアメリカン・ドリームが過去のものになりつつあると云うのは、1950年代に頂点を極めたインダストリアル・アメリカが作り上げた中間層の安定した雇用と生産・消費が、製造業の国内回帰(リショアリング)によっても元通りにはならない、と予感しているからにほかならない。

新たに入ってくる移民はインダストリアル・アメリカの隆盛と没落を知らない。マイノリティの若年層に雇用機会を提供しようとする企業の取り組みは好ましいが、同時にマンパワーに頼るサービス業に限られていることにも目を向けなければならない。

米国民、「アメリカンドリーム」期待せず-ブルームバーグ世論調査 2011/06/22 13:00 JST ブルームバーグ

「アメリカンドリーム」、今は非白人層のもの? 米調査 2015.07.03 Fri posted at 15:46 JST CNN日本版

スターバックスなど、若年マイノリティー10万人雇用構想 2015年7月14日 08:21 JST WSJ日本版

米コーヒーチェーン大手スターバックスは、企業十数社と連合を組み、向こう3年間にわたって若年のマイノリティー労働者の雇用を増やす方針だ。

スターバックスとともに参加する他の企業は、アラスカ・エア・グループ、CVSヘルス、リフト、マイクロソフト、ウォルマート・ストアーズなどで、16歳から24歳までの低所得層の若者たちを、見習い、インターン、パートタイムおよびフルタイム労働者として2018年までに合計10万人雇うという。

この企業連合は、スターバックスのハワード・シュルツ最高経営責任者(CEO)が呼び掛けたもの。同CEOは3月に、向こう3年間で低所得の若者を少なくとも1万人雇用すると約束した。同CEOは、スターバックスが採用する若者の中には同社を退職する従業員に代わる者も一部にあるが、大半は新規のエントリーレベルの(経験の必要のない)仕事に就くだろうと述べた。同社の米国の総従業員は現在15万人強で、1万2000店を超える店舗を運営している。

その他の企業もおおむね新規の時間給職を、主にアフリカ系米国人やラテン系米国人の若者を対象に創出する予定だ。シュルツ氏はインタビューで「誰かを置き換えるのではなく、漸進的に雇用機会を創出していくつもりだ」と語った。

雇用構想は「10万人の機会イニシアチブ」と命名されており、8月13日のシカゴ雇用フェアで立ち上げられる。同フェアでは向こう1年半でシカゴ地域において少なくとも1000人の雇用につながると企業連合は予想している。シュルツ氏は、企業連合は他の都市でも雇用フェアを開催する計画だと述べ、この構想にもっと多くの企業が参加するよう希望していると語った。

雇用構想の一環として、シュルツ氏と同氏の妻によって発足した一族の財団が地元の職業訓練やメンターシップ(指導)プログラムに向けて3000万ドル(約37億円)を拠出する。

雇用構想に参加するその他の企業には、ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス、シンタス、HMSホスト、JPモルガン・チェース、JCペニー、メイシーズ、ポーチ・ドット・コム、ポットベリー、ヤム・ブランズ傘下のタコ・ベル、ターゲット、ウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスがある。

像を倒し、墓を暴き、名を奪いて

警察と黒人の対立から端を発し、度重なる黒人暴動が起きた。その黒人暴動のカウンターとして、黒人教会を白人至上主義者が襲撃した事件が起きて以降、白人至上主義の象徴として南軍の海軍旗(レベル・フラッグ)が引きずり降ろされた。

しかし、それだけにとどまらず、南軍で戦った将軍の銅像が撤去され、墓が暴かれて移され、南部人の名を冠した名称が変更されようとしている。

ソ連崩壊の際に、レーニン像は倒され、レニングラードはサンクトペテルブルクに名を変えられたことを想起する。今や静かなる革命が合衆国に起きている。その革命の波が、死せるアメリカ連合国(CSA)の骸に鞭打つがごとき所業となって、押し寄せている。

南軍の英雄ロバート・E・リー将軍の名を刻んだ記念碑を撤去せよ、とニューオーリンズ市では協議が始まった。

墓に眠るネイサン・ベッドフォード・フォレスト中将夫妻の骸を暴き移転せよ、とメンフィス市議会が求めた。

南部の利害を代弁した当時の有力政治家ジョン・カルフーンの名を冠したカレッジの校名を変更せよ、とエール大学に求める請願書が出された。

ウェイド・ハンプトン少将の名が付けられた非自治郡(ウェイドハンプトン国勢調査地域)の名称を変えよ、とアラスカ州知事が命じた。

以前、2011年2月21日のエントリーでも取り上げたが、

クークラックスクラン(KKK)の誕生を扱った、ハリウッド映画草創期の監督D・W・グリフィスの作品『国民の創生』(1915)を見ると、南部人にとってアメリカ合衆国の国民国家としての合意は、北部人(ヤンキー)への敵意ではなく黒人に対する敵意を持つことで形成された、と主張されている。

シャーマン将軍の“海への進軍”に代表されるように、根こそぎ社会的・文化的インフラを破壊された南部人にとって、いわゆる“レコンストラクション(北部と南部の再統合)”の最中、精神的紐帯をつなぎ合わせ、コミュニティを再び作り上げるには、スケープゴートが必要だった。

つまり、北部への敵意を捨てて、“レコンストラクション”に従うために、南部は戦争に敗れた無条件降伏を余儀なくされた側として、失われた大義を強調し、黒人の法的・政治的・社会的・経済的すべての自由な地位は犠牲にした。

この先送りされた問題は1960年代に隆盛を極めた公民権運動によって解決策が提示された。ところが2世代近くかけた黒人全体の経済的・文化的な平等の実験はどうやら失敗した。ミズーリ州ファーガソン、メリーランド州ボルチモアなどの黒人暴動に示されている。

ボルチモアは市長も警察署長も黒人であり、リベラルの民主党市政が50年続いてきた。

リベラル市政の結果は、シングルマザーの増加により家族制度が事実上崩壊し、教職組合の運営に任された公教育は教育水準の向上に寄与せず、就業に必要な技能を持つ若年層がいないため治安は悪化し、シングルマザーの再生産と生活保護などの社会保障費の増大を賄うのに、度々固定資産税を上げて、企業と中間層が逃げ出し、所得再分配も機能しない失敗都市の典型例となった。

こうした民主党の政策失敗は暗黙のうちにゲーテッド・コミュニティの形成、つまり人種隔離を促進させる。たしかに異なる人種、異なる階層、異なる宗派間の接触がなくなれば社会的な摩擦も起きない。

しかし、分断されたままの合衆国の国民の統合という問題は残る。再統合の犠牲者として、滅びたアメリカ連合国(Confederate States of America)が選ばれている。すでに黒人貧困層のコミュニティ救済は諦められており、その悲惨なコミュニティの現状に死せるアメリカ連合国が利用されているのだ。

サウスカロライナ州議会 南部連合の旗を撤去へ 2015.07.10 Fri posted at 15:27 JST CNN日本版

南部連合軍のシンボル排除、全米に拡大 墓移動の要求も 2015年7月10日 19:31JST WSJ日本版

米サウスカロライナ州チャールストンの教会で6月に9人の黒人が犠牲になった銃撃事件を受け、南部連合軍のシンボルに対する反感が全米で巻き起こっている。記念碑の撤去や学校の名称変更、連合軍のリーダーの名前を公共施設から抹消することを求める要求のほか、連合軍将校らの墓を移転するよう求める声まで広がっている。

ルイジアナ州ニューオーリンズのミッチ・ランドリュー市長は9日、公的不法妨害条例を引き合いに、南北戦争時の南軍のロバート・E・リー将軍など、市内にある連合軍関連者の記念碑の撤去をめぐって市議会と正式な協議を開始した。また、テネシー州メンフィスでは、市議会が今週、白人優越主義の秘密結社「クー・クラックス・クラン(KKK)」の「グランド・ウィザード」(最高幹部)だった南軍のネイサン・ベッドフォード・フォレスト中将夫妻の墓について、掘り出して公共の公園から移動するよう求めた。

一方、テキサス大学は、オースティンのキャンパスから連合軍関係者の像を撤去するかどうかをめぐって公聴会を開いている。テネシー州ナッシュビル市役所は、フォレスト中将の像が幹線道路から見えないように隠すよう州当局に求める決議を採択した。この像は私有地に立っており、その周りを連合軍の旗が取り囲んでいる。

コネティカット州では、南北戦争前の政治家で奴隷制度を支持したジョン・コールドウェル・カルフーン元副大統領の名前を冠するカルフーン・カレッジの校名を変更するようエール大学に求める請願書に1300人以上の署名が集まった。

さらにアラスカ州でも、ビル・ウォーカー知事が連合軍騎兵隊の司令官だったウェイド・ハンプトン少将の名前を、ベーリング海に近い地域の名称から取り除くよう命じた。

こうした動きを推し進めている人々の一部は、変化に向けた歴史的機運を利用しようとしており、奴隷制を永続させるために戦った人々を国家がたたえるべきではないと主張している。また、南北戦争終結から150年がたち、今こそ国家として、人種間関係に及ぼす永続的な影響について正直に釈明すべき時だと主張している。

こうした人々は迅速な行動を求めており、6月17日の銃撃事件以来、熱気が高まっている。この事件の容疑者は連合軍のシンボルを信奉する白人至上主義者とされている。

全米有色人地位向上協会(NAACP)メンフィス支部のマデライン・テイラー支部長は「これは暴力と中傷の遺産で、助長されるべきものではない」と述べた。

しかし、一部の歴史学者は、こうした熱気が興奮状態に変わっていると警告している。連合軍のシンボルを取り除こうとする人々は、歴史を理解しようとするのではなく、歴史を消し去ろうとしていると指摘した。

ジョージア州のケネソー州立大学の歴史学教授で、フォレスト中将に関する著書のあるブライアン・S・ウィルス氏は「歴史を真剣に学べば、不快な思いもする」とし、「両方の立場の人々に要請したい。互いに攻撃し合ったり、むやみに歴史を取り除かないようにと。物事が起こった理由について、より良い理解に達することが目標だ」と語った。

サウスカロライナ州は、州議事堂敷地内に掲揚されている連合軍旗を降ろす準備を進めており、旗は10日に厳粛な儀式の中で降ろされ、近くの博物館に移される予定だ。ただ、博物館での展示方法をめぐっては議員の間で議論が続いている。同州のゲーリー・シムリル下院議員(共和)は連合軍旗の撤去について、南北戦争の歴史の「文化的大量殺りく」だと批判した。

メンフィスでは反連合軍感情が根強い。ここは米国でも黒人が多数を占める大都市の一つで、2013年には市議会が連合軍に関連の深い3つの公園の名前を変更するため投票を行った。その一つは、奴隷の取引に携わったことのあるフォレスト中将をたたえる公園だ。今週、同市議会は中将の像と中将夫妻の遺体を移動する決議を可決した。ただ、この計画は、遺体を掘り起こすための裁判所の承認や像を移動するための同州歴史委員会からの承認など、法的障害に直面している。

こうした動きを支持する市会議員のエドムンド・フォード・ジュニア氏は、この議論が「全米で人種間関係や二極性の問題に関する対話につながる」ことを期待すると述べた。

友愛団体「南部連合軍退役軍人の息子たち」のメンフィス支部のスポークスマンで、ネイサン・ベッドフォード・フォレスト・ヒストリカル・ソサエティのプレジデントも務めるリー・ミラー氏は、こうした提案を「ばかげている」と一蹴。フォレスト中将は晩年に人種間の和解を求め、黒人組織向けに演説をしたと指摘した。さらに、「ここは北朝鮮でもキューバでもイスラム国でもない。ここは米国であり、全ての国民の歴史を尊重すべきだ」と述べた。

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