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チョークポイントとしての北方領土

ロシアのショイグ国防相は、北方領土に地対艦ミサイル「バル」「バスチオン」と無人偵察機「エレロン3」を展開する、と述べた。さらに海軍基地の建設も検討する。

ロシアが北方領土における軍事力拡充の狙いとは何か。そもそも北方領土がロシアにもたらす利益とは何なのだろうか。

我々の視点からは対日交渉のカードとしての役割があると見られがちだが、サハリン州の税収40%を占める漁業権益とその産業集積地としての価値を持っている。

さらに安全保障上も見逃せない点がある。オホーツク海は戦略原潜が遊弋するロシアの内海となっており、国後水道・択捉水道は原潜の通過するチョークポイントとなっている。内海(オホーツク海)~国後水道・択捉水道~カムチャッカ半島(ペトロパブロフスク・カムチャツキー)と繋ぎ、北極海航路が活発化すればシーレーンの要衝ともなる。

Russia says to deploy new weapons on disputed Kurile islands Fri Mar 25, 2016 6:05am EDT Reuters

Russia will this year deploy some of its newest missile defense systems and drones on the Kurile islands where Moscow and Tokyo have rival territorial claims, Defence Minister Sergei Shoigu said on Friday.

The dispute over the islands, known as the Kuriles in Russia and the Northern Territories in Japan, has strained relations between the two countries since World War Two, when Soviet forces occupied four islands at the southern end of the chain.

The dispute is so acrimonious that Moscow and Tokyo have still not signed a formal peace treaty.

The new weapons were part of a drive to rearm military units already deployed in the Kuriles, Shoigu said, in comments broadcast on state TV.

"Coastal missile systems Bal and Bastion and new generation Eleron 3 drones will be deployed there this year," he told a meeting at the Defence Ministry.

The Bastion is a mobile defense system armed with two anti-ship missiles with a range of up to 300 km (188 miles). It has also been deployed in Crimea, which Russia annexed from Ukraine in 2014. The Bal anti-ship missile has a similar range.

Shoigu announced in October that Russia would build a military base on the Kurile islands.

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プーチン大統領の“格付け会社”

ロシアは独自の信用格付け会社「ACRA」を設立した。ブルームバーグの記事では、プーチン大統領自身の格付け会社、と見出しが付いている。

「ACRA」の設立に併せて、新しいルールが施行されて、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とムーディーズ、フィッチ・レーティングスなど米英資本の格付け会社はソブリン債の格付けに規制がかかり、業務の縮小を余儀なくされる。

2015年1月から2月にかけて、S&Pとムーディーズが相次いで、外貨建て長期債(ソブリン債)格付けを非投資適格級(ジャンク級)に引き下げていた。

政治的思惑から引き下げられているのではないか、との反発に加えて、金融機関の格付けが取れず、国内の投資家の業務が滞っていたこともあり、年金基金、保険、銀行などが出資して「ACRA」が設立された。

ロシアでは、ウクライナ危機以降の経済制裁がつづき、原油価格の下落に自国通貨の下落が連動して、資本流出と財政悪化と経済成長鈍化を招いていた。

Vladimir Putin Starts His Own Ratings Firm March 18, 2016 — 6:00 AM JST Bloomberg Business

以前、2014年3月28日のエントリーなどで紹介したように、

米国の対ロシア経済制裁で一時、ビザ(Visa)とマスターカード(MasterCard)が一部銀行で使えなくなり、対応策としてロシア側では銀聯(UnionPay)とJCBに倣い、ロシア独自の決済システムを開発・導入するべき、とプーチン大統領が発言していたが、独自の信用格付け会社「ACRA」もそうした流れにある。

ロシア独自の決済システムを開発・導入する意図を明らかにしたプーチン大統領は、中共の銀聯(UnionPay)と我が国のJCBに言及して、その次のパラグラフでは、ロシア国外に流出した資本を再還流させること、給与所得を引き上げられる環境を整備することにも触れている。

しかし、進捗状況ははかばかしくない。政治経済の変数の増加でさらなる対応に追われていく上に、根本的な問題がロシアの社会にふたつ横たわっているからだ。

ひとつ目の問題は、欧州のような協調関係を作り出す周辺外交の積み重ねがなく、安定を生み出す安全保障の仕組みが構築されていないために、コーカサス山脈の南北ですり潰され続ける自国の軍隊。

ふたつ目の問題は、常に国外への自国資本の逃避か、国内の自国資本の横領を許さざる得ない、強権とは云いながらも法治が徹底されず、徴税組織の弱体な自国の行政。

このふたつの問題を解決するダイナミズム(つまりはボトルネックとそれを壊すブレイクスルー)には、ボトルネックとなっているエネルギー産業に依存した経済成長ではなく、中間層を育成できる製造業主体の経済成長がブレイクスルーとして必要であり、それを提供できるのは我が国だけという状況は変わっていない。

プーチン大統領、ヘゲモンの凱旋

2015年9月以降、ロシアがシリア内戦への軍事介入を始めたことが契機となって、急激なパラダイム・シフトがアラブ・中東地域に起こった。中東の覇権を握る覇者(ヘゲモン)が、合衆国からロシア連邦に替わった。

2月26日の停戦合意を経て事実上のGeneva3である和平協議が再開したことを受けて、ロシアは空爆における所与の目的を達したと考えて、防空・制空戦力を除く大部分の部隊撤退を敢行した。停戦及び和平協議の枠組みに参加していないISIS(イスラム国)とヌスラ戦線に米英の空爆は続いている。

ロシアは和平協議を軌道に乗せつつ、アサド政権を存続させて、シリア国内への一定の影響力を保持した。また、撤退によって発言権を増す。

ウクライナ危機によって制裁を行っている欧米諸国との関係改善の芽を残し、スンニ派のトルコとサウジアラビアの介入を牽制しつつ、アサド政権に対する圧力と影響力を保持しての撤退は時宜を得たものと云えるだろう。

米英はイラクからシリアに跨るISISの脅威を除去できていないし、トルコはクルド人のテロに悩まされ続け、サウジアラビアはふたつの内戦介入で泥沼に嵌り込んでいる。

和平協議では、新たな統治機構の設置や2017年9月までの大統領選を議論している。ロシアはアサド政権そのものが存続しなくても、後継政権にバース党系の誰かが担うことは容認する、と思われる。

Russia 'to pull its forces out of Syria' 10:11PM GMT 14 Mar 2016 The Telegraph

シリア介入、絶好の引き際 和平協議「主導権」狙い 戦費が重荷、内戦深入り回避も 2016年3月16日 毎日新聞

【シリア内戦の経過】
2011年03月
“アラブの春”が波及して南部ダルアーから反アサド政権デモ始まる
2011年04月
非常事態法撤廃の大統領令とともに無許可デモ禁止の大統領令、反政府デモ応ぜず鎮圧開始
2011年11月
アラブ連盟とトルコはシリア制裁開始、軍から離反した民兵との戦闘頻発

2012年02月
シリアに対する安保理決議は露中の拒否権で否決、反体制派の国民評議会が成立して内戦突入
2012年06月
反政府勢力はアナン前国連事務総長がまとめた最初の和平合意破棄、シリア難民は約18万人突破
2012年08月
アルジェリアのブラヒミ元外相が和平特使に就任
2012年10月
トルコがシリアに越境砲撃
2012年11月
暫定政権「シリア国民連合」をアラブ連盟とフランスほかが承認
2012年12月
中部ホムスで化学兵器使用の疑惑

2013年02月
シリア内戦の死者7万人突破
2013年05月
ヒズボラはアサド政権側に立って内戦介入、イスラエルはダマスカス近郊空爆、ブラヒミ特使辞任表明するも後任なく続投、シリア難民は約135万人突破
2013年06月
仏米はアサド政権側のサリンガス使用認定
2013年08月
ダマスカス近郊で化学兵器使用確認、内戦介入を討議するが英国議会は否決、米国も同調
2013年09月
アサド政権は化学兵器禁止条約への加盟を宣言、化学兵器廃棄で米露合意

2014年02月
シリア内戦の死者14万人突破
2014年04月
シリア国内3ヶ所で塩素ガス使用の疑惑
2014年09月
米国主導の有志連合はISIS(イスラム国)への空爆開始

2015年09月
ロシアはアサド政権を支援するため空爆開始
2015年12月
国連安保理はシリア和平の決議案採択

2016年02月
アサド政権とISISとヌスラ戦線除く反体制派の間で停戦合意
2016年03月
アサド政権と反体制派の和平協議再開、ロシアは主要部隊の撤退開始

原油とルーブルが織りなすカスケード

ロシア経済は原油価格の下落に自国通貨の下落が後追いで連動して、資本流出と財政悪化と経済成長鈍化を招くようになっている。プーチン大統領とメドベージェフ首相が提唱し続けている、エネルギー資源依存型経済からイノベーション主導型経済への移行は日欧米の資本・技術導入が困難になり、ほとんど不可能事になりつつある。

2014年9月に原油価格は1バレル100ドル以下となった。2014年11月から12月にかけて、ロシア・ルーブルは年初来のレートから50%以上オーバーシュートした。ドル建て債務を精算するために、外貨準備高が急減して資本流出を止められない状態に陥っていた。しかし、2015年1月に原油価格が1バレル48ドルの下限に達してからは相対的安定に転じて、2015年2月から3月にかけて外貨準備高は3500億ドルから3600億ドルで推移するようになった。

ところが、2015年12月から2016年1月にかけて原油価格は1バレル40ドルを割り、次いで30ドルを割った。この原油価格の下落に併せて、ルーブルも値を下げ始めている。ただし、まだ外貨準備高の減少には繋がっていない。

Ruble sets new historic low against US dollar 20 Jan, 2016 11:07 RT

【ロシア中央銀行 外貨準備高推移】
2014年10月10日: 4517億ドル
2014年11月14日: 4206億ドル
2014年12月11日: 4146億ドル

2015年01月16日: 3794億ドル
2015年01月20日: 3781億ドル
2015年01月30日: 3763億ドル
2015年02月06日: 3747億ドル
2015年02月13日: 3683億ドル
2015年02月20日: 3646億ドル

2015年03月06日: 3567億ドル
2015年03月13日: 3517億ドル
2015年03月20日: 3529億ドル
2015年03月27日: 3608億ドル
2015年04月03日: 3553億ドル

2016年12月18日: 3689億ドル
2016年12月25日: 3702億ドル
2016年01月08日: 3681億ドル
2016年01月15日: 3683億ドル
2016年01月22日: 3693億ドル

Russian oligarchs lose $11bn in just 10 days during oil price crash 1:02PM GMT 17 Jan 2016 The Telegraph

フィナンシャル・タイムズは、プーチン大統領は経済の構造改革を拒否している、と指摘する。プーチン大統領の2期目(2004年~2008年)は、自由化推進派のアレクセイ・クドリン氏(元財務相)、ゲルマン・グレフ氏(元経済発展貿易相)を起用していた。大統領は、2期目の終わりに近づいた2008年2月8日『2020年までの発展戦略』を発表、大統領退任後のエネルギー資源依存型経済からイノベーション主導型経済への移行を目指した。

イノベーション主導型経済への移行を妨げるボトルネックは、その広大な国土ゆえのインフラの弱さにあった。特にウラル山脈の西側と東側の人口比重の違い、エネルギー資源の分布比重の違いがそこに拍車を掛けてきた。これが過度のエネルギー資源に依存した経済構造と効率性の悪さ、所得格差と男性の平均寿命低下・人口減少を生じさせていた。

エネルギー資源依存型経済からのブレイクスルーには、シベリア鉄道・バム鉄道の延伸及び複線化などウラル山脈の東西を繋ぐインフラの整備、日本など先進国からの資本・技術導入、イノベーティブな経済成長を果たすための企業家精神とそれを守る法秩序の確立を必要としている。

しかし、伝統的な支那社会と同様に、官吏となって利権を貪ることが富貴への最適な道なのだ。我が国や欧米など先進国と違い、新しい技術やサービスを作り出し、それを提供する企業家となることが富貴への最短ルートではない。

ロシア社会の支配者は、ロマノフ朝の大貴族からソ連邦のノーメンクラトゥーラ(世襲化した共産党官僚)へ、次いで市場経済導入の過程で形成されたオリガルヒ(ロシア経済を寡頭支配した資本家)からシロヴィキ(治安・国防官僚出身者による勢力)へと変遷してきた。

どちらにせよエネルギー資源産業に依存した経済構造が変更された訳ではない。税金を収めず国富を独占して、権威と権力がひとつの階級・階層に集中されるのも、ロシアの歴史に通底する特徴であった。

ソ連邦時代につくられたテトリスやチェブラーシカがカネ儲けの種となると分かった途端、著作権で争った件に垣間見られるように、企業家精神とそれを守る法秩序が欠如している。これは他の資源についても同じである。つまり、企業家が勃興する際に起きる不安定(利害関係の変化)を政治的強権でしか正せないことになる。

企業家精神の育成と法秩序の構築を無視してイノベーティブな経済成長を果たすためには、中国と同じように我が国の資本と技術が必要になる。しかしそれには日露間の講和条約は必須であるが、我が国の反応は鈍い。

特に、我が国の経済界にとっては、ウラル山脈の東側の人口の少なさはボトルネックであり、2006年のサハリン2の開発中止と国営ガスプロムによる権益奪取、2015年の北方漁業権の喪失などが続発して、法秩序未整備によるカントリーリスク以上の利益をもたらしてくれる希望が見出だせない。

3期目に入ったプーチン大統領の現在も、イノベーション主導型経済への転換は進まず、選択肢は“富の国外流出か、闇経済の国内拡大か”くらいしかなかった。せめて国外脱出を図るオリガルヒを締め上げ、シロヴィキの闇経済を容認するくらいしか出来なかった、と言える。

しかし、エネルギー資源依存型経済には明るい兆しもあった。中国をはじめとする新興国の“爆食”によって、モスクワとサンクトペテルブルクの二大都市圏のサービス業依存から、北コーカサスではダゲスタン(石油化学工業)、ウラルではチュメニ(石油工業)、南部ではクラスノダール(機械工業)と、それぞれ各地方の中核都市が発展した。

ウクライナ危機と欧米の経済制裁、チャイナ・ショックと原油安につづく新興国の通貨安は、モスクワとサンクトペテルブルク以外の地方都市を苦境に追い込んでいる。じわじわと給料遅配の事例が散見されるようになってきた。ソ連末期からエリツィン政権期に見られた物流停止やハイパーインフレーションの際に、庶民は郊外のダーチャ(菜園付き別荘)に頼った。国家財政が破綻するにしても、こうしたバッファーがロシアには存在している。

ロシア、賃金未払い頻発 制裁・原油安、企業の業績低迷 2016年1月20日05時00分 朝日新聞

[FT]プーチン氏の野望くじく経済低迷(社説) 2016/1/25 15:50 日経

 ロシアのプーチン大統領の地政学的な野望が経済とグローバル化の現実に打ち砕かれようとしている。原油価格の再急落とウクライナへの軍事介入を巡る欧米の経済制裁とが再び相まって、ロシア経済を圧迫している。ルーブルの下落が不況に転じて2年目を迎えたロシアを脅かしているこの危機的な状況は、少なく見積もっても2014年後半の最初の原油価格急落時と同じぐらい厳しいものだ。

 エネルギー価格と経済制裁以外にも、より根本的な問題がある。今世紀に入って最初の10年間のロシアの経済成長モデルが行き詰まってしまったことだ。その時期、原油収入の伸びが消費ブームを呼び、休止していた旧ソ連時代の生産施設が再稼働した。今それなりの経済成長を達成するには、新たな生産設備に十分な投資を行い、生産性を高めるしかない。しかし、近代化やプーチン政権下で腐敗が進んだ国家資本主義の制度改革の失敗が経済制裁で長期化し、投資を低迷させてしまった。

 ロシア政府は、過去2年間の孤立は輸入制度を通じた国内産業の発展の機会であるかのように見せようとした。しかし、そうした状況下でさえ、投資や海外の技術は必要となる。緊密に結びついた世界では、自給自足経済という選択肢はない。一方で、ロシアの中国への「方向転換」は、欧米の資金調達やノウハウに代わるものはないということを明確にした。

 ロシア政府にとって最も差し迫った課題はルーブルの急落だ。かつては考えられなかったほどの通貨の急落で、ロシアの購買力や生活水準は大きく損なわれた。クリミア併合以降のプーチン氏の高支持率も移ろいやすいようにみえる。ロシアが持つ3600億ドル以上の外貨準備の切り崩しや金利の大幅な引き上げ、通貨管理などの通貨下支え策はいずれも好ましいものではない。

■改革をことごとく回避してきたプーチン氏

 ロシアの経済的な苦境に対する真の長期的な解決策となるのは、経済を自由化し法の支配を強化する全面的な構造改革だけだ。しかし、プーチン氏は自身の支配力が弱まるのを恐れ、これまでそうした対応をことごとく回避してきた。プーチン政権下で利益を得てきた同氏の取り巻きなど、有力な既得権者も反対した。

 一方、改革が成功する真の可能性を生み出すには、プーチン氏の最初の2期で自由化推進派だった2人、元財務相のアレクセイ・クドリン氏か元経済発展貿易相のゲルマン・グレフ氏のうちどちらか1人を首相にするなどして復帰させることがほぼ間違いなく必要となる。プーチン氏は、この必要な政治的刷新を認めることはやはり気が進まないようだ。

 代わりに、プーチン氏は欧米による経済制裁の緩和を探っているようだ。ウクライナ東部の紛争に関して去年結ばれたミンスク合意の履行により建設的な姿勢を示し、側近を交渉役に任命した。4年に及ぶシリアの内戦を終わらせるための外交努力が強まると、同氏もシリアのアサド大統領に休戦するよう働きかけている。

 心からの取り組みであればこうした努力は歓迎すべきだ。しかし、欧州連合(EU)や米国は08年にロシアがジョージア(グルジア)に侵攻した時のように過去を水に流して「リセット」すべきではない。また、ミンスク合意が完全に履行されていなくても、シリア問題でのロシア政府の支援を維持するために経済制裁を解除するという薄汚れた合意を検討すべきでもない。

 今年の議会選挙と18年の大統領選挙を前に、プーチン氏は経済制裁の緩和を通じて経済成長をいくらか立て直して時間をかせぐことができる。しかし、改革を遅らせ続ければロシアの未来を損ない、世界の先進諸国にさらに後れを取ることになる。ロシアの生活水準が停滞し続ければ、結局のところプーチン氏自身の未来に極めて悪い影響を及ぼしかねない。

(2016年1月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

“プーチンの世界”と“オバマの世界”の衝突

現代の世界、そのすべては1989年のベルリンの壁崩壊に始まった。それは世界をひとつにしたと云われる。

25年前、共産主義者のイデオロギー輸出が破綻した一方で、グローバリストと資本家とリベラルのイデオロギーが世界を席捲した。この三者が、我が世の春を謳歌した時代は、2008年のリーマン・ショックと世界金融危機によって反転して、全世界的な混乱期を迎えている。

世界金融危機以降、先進国で政権を担ってきたリベラルは、自国とその周縁部(欧州では、ギリシアやスペインなど)で起きている極右と極左の台頭と、その党派性による社会の分断に困惑している。

一時期、リベラルが諸手を挙げて称賛した“アラブの春”は、マグレブから中東にかけて、むしろ地域的不安定を生み出した。また、彼らのナイーブな理想主義に由来する軍事介入の不徹底は、難民の奔流となって彼らの政権基盤とイデオロギーの正しさを揺るがしている。

現実主義とナショナリズムに立脚するロシアのプーチン大統領は、リベラルの理想主義の対極にあるがゆえに舌鋒鋭く彼らを批判する。

下記のアトランティック誌が取り上げる、2015年末のロシアの国営放送で放映されたプーチン大統領の演説は、自国の国益を追求する各国の利害を無視した欧米の主権侵害によって、世界はより混迷を深めている、と指摘する。この演説は2015年9月の国連演説と基調を同じくする(2015年10月7日のエントリー参照)。

The World According to Russia DEC 30, 2015 The Atlantic

プーチン大統領、米国をロシア安全保障上の脅威と位置づけ 2016年 01月 4日 13:43 JST ロイター

ロシアにとっては、衛星国だった東欧諸国の革命と民主化、バルト三国の独立、NATOの東方拡大、EUとユーロ圏の出現、旧ソ連に及んだ色の革命、非イスラム化が進んだ中央アジア諸国を揺るがす原理主義の台頭、ウクライナのクーデターとクリミア併合とドンバス紛争、中東の内戦(リビア内戦、シリア内戦、イエメン内戦など)すべてに欧米、現在はオバマ政権の外交的攻勢とその稚拙さに伴う地域的混乱を見出す。

プーチン大統領は米国との対決姿勢を強めている。彼にとってISIS(イスラム国)の脅威ではなく米国の世界政策が脅威なのだ。それを形作る世界観の違いが根底にある以上、関係修復の道は険しい。対決姿勢の中、ロシアでは徐々にプーチン大統領に近い官僚と資本家たちが新しいエリートとして台頭する一方、原油安と経済制裁の下で貧富の差が拡大している。

特別リポート:プーチン氏の娘と台頭するロシア新エリート層 2015年 11月 13日 17:22 JST ロイター

貧富の格差拡大…原油安や経済制裁ズシリ 2016年1月5日 12時19分 毎日新聞

【モスクワ真野森作】原油安や米欧の経済制裁に苦しむロシアで、貧富の格差が深刻化している。昨年1〜9月期における貧困者数は前年同期より230万人増加した。一方、クレディ・スイスの調査によると、ロシアでは現在、上位1割の富裕層が国内の家計資産の約9割を保有し、米国や中国以上の富の偏在が生じている。

 露連邦統計庁の発表によると、2015年1〜9月期における貧困者数は2030万人で、国民の14.1%が貧困ラインとされる月9673ルーブル(約1万6000円)以下の収入で暮らす。

 全ロシア世論調査センターが先月中旬に実施した全国世論調査では、「新しい衣類を買う余裕がない」と回答した世帯の割合は39%に上り、1年前の1.7倍となっていた。

 昨年9月時点の別の世論調査では国民の7割が「過去15年で貧富の格差が拡大した」と答えた。

 プーチン大統領は先月17日の年末記者会見で「ロシア経済の危機はピークを越えた」と豪語したが、首都モスクワでも街頭で物乞いする年金生活者らの姿が目立つ。年末会見では、政権上層部の子息ら「特権階級」の出現を危惧する質問もあった。

 ウクライナ危機など外交面での対立を受け、ロシア政府が米欧やトルコなどの食料品を禁輸したことも影響し、15年の年間物価上昇率は暫定値で12.9%となり、13.3%を記録した08年以降で最高。特に貧困世帯の家計にとっては大きな痛手だ。

プーチンの東方への“ピボット”は失敗したか

ウクライナ危機が勃発した結果、欧州とロシアを繋ぐ天然ガスパイプライン「サウス・ストリーム」の建設計画が断念・中止された。「サウス・ストリーム」は、黒海からブルガリアに上陸してセルビア~ハンガリー~スロベニア~イタリアを通り、支線がクロアチア、オーストリアに達する予定だった。

「サウス・ストリーム」に代わる天然ガスパイプラインは、ロシアから黒海を経由してトルコに至る「ターキッシュ・ストリーム」で、これをギリシアまで延長して、同国を欧州向けエネルギー・ハブにする計画が持ち上がった。ところが、この代案もシリア内戦を巡るロシアとトルコの対立が激化して、雲行きが怪しくなってきた。

中東の紛争拡大によってウクライナ危機が相対的に落ち着いて「サウス・ストリーム」が復活する可能性、プーチンとエルドアン両国の首脳が代替わりするまで「ターキッシュ・ストリーム」が塩漬けになる可能性、ロシアとトルコ両国を我が国やインドが仲介役になって「ターキッシュ・ストリーム」が復活する可能性などがあるが、短期的には改善は見込めない。

Putin's Pivot East Isn't Working DEC 10, 2015 2:00 AM EST Bloomberg View

(前段省略)

In the meantime, Putin's aggressive foreign policies have closed off other potential sources of growth. Bulgaria, for example, was planning to host the landing of South Stream, a gas pipeline that would have connected Russia and the EU across the Black Sea. As the war in eastern Ukraine escalated, however, Bulgaria blocked construction.

Undeterred, Putin turned to Turkey. South Stream was to become TurkStream. And the Russians are building a nuclear plant in Turkey. But that relationship is in a deep freeze following Russia's bombing of Turkish allies in Syria, and Turkey's downing of a Russian jet. As a result, Gazprom is left holding almost $2 billion worth of TurkStream pipes that can only be used under the Black Sea and billions more in stranded investment costs. Russians will no longer be able to go on vacation to Turkish beaches.

(後段省略)


残るは中露が接近して、エネルギー輸出と貿易の比重を東アジアに“ピボット”することだったが、中共のバブル崩壊が起きてしまい、今後はむしろ貿易の縮小が起きかねない。ロシアの輸出するエネルギーの需要そのものが減っている。

この需要減がロシア含む産油国の運命を左右する。第4次中東戦争で原油価格を武器に使ったサウジアラビアは、これ以降は原油増産・価格低落へと方向を転じた。10年を経ずに、ソ連は原油価格の低落によって、当時の西側からの食糧の確保に行き詰まった。これがソ連滅亡の一因となった。

今回の原油価格の低落によって、体制崩壊の憂き目に合うのはスンニ派の雄サウジアラビアか、シーア派のイランか、それともイスラム原理主義と直接対峙するロシアか。自らのレジーム・チェンジを賭けた消耗戦が続いている。

バナナ共和国に変貌するウクライナ

10月25日に行われたウクライナの地方議会選挙は、当然のごとく、親露派が人民共和国を名乗り、実効支配するドンバス地方のドネツクとルガンスクでは選挙実施の兆しすら感じられなかった。

また、親露派の多い地域、例えばKrasnoarmeyskとSvatovoでは投票が中止された。親露派地域の利害を代表する議員がいなければ、遠からず紛争は拡大せざる得ない。

それ以外の親欧米派の支持率だが、大統領を務めるポロシェンコ・ブロックは24.15%、極右のスボヴォダは12.74%、元首相を務めたティモシェンコ・ブロックは11.46%と鼎立の様相を見せている。いずれの親欧米派勢力も主導権を握れずに、内政と外交の混乱が続く、と思われる。

ウクライナ政府は、欧米とロシアの間で敵対と妥協を繰り返しながら、経済援助と投融資を引き出すしかないだろう。

ともあれ将来的には、親欧米派がポーランド・リトアニア共和国やオーストリア=ハンガリー二重帝国の旧領域と、親露派がウクライナ・コサックの故地とクリミア・ハン国の旧領域に分割されるのではなかろうか。

They’re Brawling at the Polls in Ukraine 10.26.155:45 PM ET The Daily Beast

親露派と親欧米派、さらに親欧米派も一枚岩ではない政治的混乱のなかで、ウクライナの経済的基盤が壊れ始めている。特にウクライナ危機に伴って、旧ソ連時代から継承されてきた軍需産業とその企業が破綻の危機に晒されている。

下記の記事に挙げられているPivdenmash(Yuzhmash、ユージュマシュ)社は、その象徴的実例であろう。バイコヌール宇宙基地で打ち上げられるロケットやミサイルを製造する、この国営企業の苦境はウクライナで最も有望な産業クラスターの破滅を意味している。

国破れて山河あり、ではないが、近代国家はたとえ一敗地にまみれても軍需産業だけは守らなければならない。

ドイツ帝国が敗れたあとのワイマール共和国は、ホーエンツォレルン家の帝冠、バイエルン、ザクセンなどの王冠が失われることは傍観したが、極右と極左に翻弄されつづけたエーベルト大統領にしても軍部と軍需産業は守り抜いた。

昨今の我が国でも、日産自動車がルノーに買収される際に、(それとは明示されなかったが)政治的理由から、日産自動車の航空宇宙部門(現在のIHIエアロスペース)は、石川島播磨重工業(現在のIHI)に売却された。

一度、滅びた軍需産業、航空宇宙産業の再興にはつくり上げるのに掛かったのと同等かそれ以上の時間を要する。第2次大戦後、自国の航空機製造を禁止された企業と技術者の多くは、新幹線や国産ロケット、自動車の開発に携わったが、航空機では往時の栄光を取り戻せなかった。

そして“戦後レジームからの脱却”が果たされた現在でも、三菱航空機のリージョナルジェット「MRJ」(エンジンはP&W)、川崎重工業の哨戒機「P-1」(エンジンはIHI)、Honda Aircraft Companyのビジネスジェット機「ホンダジェット」(エンジンはGEとの合弁)を見る限り、航空機のエンジンでは未だ劣位にある。

さて、Pivdenmash(Yuzhmash、ユージュマシュ)社に代表されるウクライナの軍需産業の今後だが、破綻した企業の設備や人員がロシアや中共に流出していくだろう。特にモトール・シーチ(Motor Sich)社から、軍用ヘリコプターのエンジンを供給されていたロシアにとっては、政治的理由によるサプライチェーンの途絶は死活的な問題でもあり、多少強引でも人材の引き抜きが横行するのは間違いない。大型輸送機のアントノフ(Antonov)社もおそらく同様の憂き目に遭っているだろう。

Ukrainian space and missile industrial giant is on the verge of bankruptcy Jul 24, 2015 Strata Forum

さて、ウクライナの民生は悪化の一途を辿っている。2010年~2013年と2014年~2015年を比較していくと、GDPは+10%と-15%、消費者物価は+1%と+70%、外貨準備高は、200億ドルと70億ドル、政府債務はGDPの40%とGDPの100%、産品の輸出は+60%と-50%となっている。

もともとウクライナの航空宇宙産業はロシアとサプライチェーンを築いていたが、旧ソ連の崩壊後、大型民間航空機の分野では欧米のボーイングとエアバスが全世界にサプライチェーンを拡げて、シェアを二分するに至った。

この事例に倣うならば、ウクライナの産業全般がいずれの側のサプライチェーンからも疎外され、バナナのような単一作物をつくるような「bananization」に陥るのではないか、かつての中南米諸国がバナナ・リパブリック(バナナ共和国)と揶揄されたような産業構造に転落するのではないか、と下記記事は伝えている。

Ukrainian economy after a year of "reforms": Banana republic without bananas 7/5/15 Fortruss

(段落省略)

All the industrial complexes, as well as some key areas of infrastructure, have already closed or are on the verge of default and bankruptcy: Yuzhmash, Zaparozie car factory, Sumy factory complex, Antonov plane manufacturer, TurboAtom, Motor Sich, Kharkov Tractor plant, ElectroTyazhMash, etc. etc [huge companies, like GM or Boeing in the USA - ed.]. The metallurgical complex "MetInvest", owned by Ahmetov, which unifies the leading metallurgical companies, declared default back in April.

(段落省略)

Of course I don't expect to convince imbeciles of anything, but this high-tech industry exemplifies the degradation of what used to be Ukrainian economy and economic / industrial might. After the collapse of the Soviet Union there were only three countries in the world which were capable of designing and independently building heavy civilian and military transport planes: USA (Lockheed Martin), Russia (OAK) and Ukraine ("Antonov").

Despite the fact that Ukraine had unique capabilities in producing passenger and cargo civilian airplanes, the production of aircraft has quickly dropped to less than one-tenth of former capacity, for some kinds – less than one percent.

By 2000s, Ukraine could produce at most two aircraft a year – and even that was accompanied by huge problems, constant government supervision, and huge subsidies from state budget. World aviation industry was developing exclusively in the direction of growing monopolies (mergers and acquisitions).

Centralized planning and economies of scale, controlled by supposedly commercial corporations (although those are, ultimately, controlled by national governments), turned out to be necessary for surviving and staying competitive on the world market in this high-tech era, where victor is the one who can concentrate the most expertise and industrial capacity in his hands.

The costs are extremely high, and staying competitive requires not just large, but gigantic super-scale production. Currently, the "Boeing" airliners are being made across eight countries, even if they are technically "made in the USA" (some parts and alloys are even provided by the Russian aircraft industry).

European "Airbus" is a work of 16 countries (mostly Germany, France, Italy and Spain). So while these mergers and acquisitions of Western aerospace corporations and industrial capacities were going on... Ukrainian aircraft industry broke off their segment from a larger whole and went looking for mythical "Western investors".

(段落省略)

After the Union's collapse, this market was divided between the victors, and countries like Ukraine, with its fractured industry, have no hope of catching up. So basically the village idiots that came to power in newly independent fragments of the Union chose fairytales over scientific and industrial integration with the rest of industrial base, preferring to believe that the West will come and throw money at them.

And while they were waiting, the lion's share of the world market has passed under control of the two aforementioned megacorporations – Boeing (49% of sales) and Airbus Industries (43%).

So now they reap all the rewards, and all the other countries combined produce only 8% of the world's aircraft. That's what "bananization" looks like in practice - first world gets high-tech monopolies, the rest are divided and get to grow bananas for minimum wage.

(以下省略)

日中両国がロシアの脇腹を食い破る

旧ソ連から独立した中央アジア5カ国と外交関係を樹立して約四半世紀が経った。また、小泉政権期の川口外相により、「中央アジア+日本」対話、という枠組みが作られてから、10周年を記念して同地を舞台にした漫画『乙嫁語り』の作者、森薫女史の手になるイメージキャラクターが生み出された。

今回のモンゴル~中央アジア5カ国歴訪に向かう安倍首相夫妻が乗り込む、政府専用機の搭乗口の横には、このキャラクターが描かれていた。

当時の風俗が丁寧に描かれている『乙嫁語り』の時代とその舞台は、大英帝国とロシア帝国のグレートゲームの狭間で飲み込まれようとする時代のトルキスタンにほかならない。

物語の狂言回しを担う、朴訥そうな英国人探検家スミスは、当時の緩衝国ペルシアからオスマン帝国に向かう途上、英露の対立に巻き込まれぬように、と手紙で忠告を受けたりするし、ロシアとの関係悪化を嫌うペルシアの官憲に捕まったりもする。

森薫、中央アジア+日本外交10周年キャラを 2014年7月7日 14:15 コミックナタリー

安倍首相、中央アジア歴訪 「日本の果たす役割ある」「トップセールスで関係を飛躍的に強化したい」 2015.10.22 10:39 産経ニュース

中央アジアで日本巻き返し 首相5カ国訪問 2015/10/22 18:00 日経

かつて、グレートゲームの英国側代理人として満州で戦った我が国が中央アジア5カ国を歴訪するに当たって、元駐日ロシア大使が、米国側代理人として乗り込んで来たのではないか、と訝しんでいるコラムは、そのロシア的な言い回しとともに、なかなか趣深い。

“自由と繁栄の弧”はロシアの柔らかな脇腹である中央アジアと、ロシアに対する欧州の外郭部のヴィジェグラート4カ国(V4)を重視している。

拡大されたNATOの内側にあるV4はともかく、中央アジアはロシアの金城湯池である。我が国がこの遠隔地に派兵するなど思いもよらない。本来、ロシアとの合意により利権は保持されるのが望ましい。そもそもウクライナ危機の発生まで、ロシアとの信頼醸成を進めていたのはこれも理由のひとつだ。

現状、我が国の“自由と繁栄の弧”と、中共の“一帯一路”と、ロシアの“ユーラシア経済連合”の3つの戦略がぶつかり合っている。中央アジアにおける安全保障はロシアが担当する、と自認しているようだが、フィナンシャル・タイムズの指摘するように、中国共産党の安全保障面での影響力は無視できなくなりつつある。新疆ウイグル自治区を通って大兵を送り込める、という好条件は中露分断の要因として燻り続けるだろう。

China’s Great Game: In Russia’s backyard October 14, 2015 7:47 pm FT

ロシア人専門家、日本が中央アジアで露中と競争するのは時期尚早 2015年10月23日 20:38 スプートニクニュース

安倍首相はモンゴル、中央アジア歴訪を開始した。このなかで安倍氏はトルクメニスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタンも訪れる。日本の複数の専門家らは、安倍首相の歴訪の目的はこの地域で拡大する中国の影響を抑止することと指摘している。有名なロシア人東洋学者で元駐日ロシア大使のアレクサンドル・パノフ氏は、この地域で中国と争うというのは日本には時期尚早との見方を示し、次のように語っている。

「日本の政治が常に何らかの大きな戦略的目的を持っていると信じたいものだ。今回の安倍首相の中央アジア諸国歴訪はずいぶん前から準備されてきた。だが、その主たる目的はおそらく経済的なものだろう。なぜなら中央アジアに対し、日本の外交はシリアスな政治的立場を持ったことはかつてなく、この地域についての知識もそこで起きているプロセスについての知識も持ち合わせていなかった。ところが地域の重要性を考慮し、特に中東情勢が複雑な今、この訪問の中で地域情勢の評価について指導者らからの情報を得ようとするのだろう。特にテロの危険性が念頭に置かれていると思う。

もうひとつ、日本が中央アジアに関心を持つファクターは中国がシルクロード・プロジェクトを積極的に推し進めていることに関連している。このプロジェクトの地上部分は今まさに安倍氏が訪問しようとしている諸国の領域を通過している。安倍氏はこの地域で中国人がどれだけ立場を強化できたか、露中の協力がどこまで現実性があるのか、この目で確認しようとしている。この協力については露中はユーラシア経済共同体とシルクロードの統合プロセスの枠内で合意に達した。こうした計画の実現化で中央アジア地域の前には非常によい展望が開けてくる。このため日本も列車に乗り遅れないようにせねばならない。」

「スプートニク」:これより以前、日本は米国に強いられて中央アジアに金銭的支援を行い、事実上これで彼らの米国への忠誠心を買い集めた。今回もこの実践に立ち戻ることになるのだろうか?

パノフ氏:「15年前、日本は『自由と繁栄の弧』というキーワードを推し進めていた。これは中央アジアを含めたものだ。コメンテーターのなかには、この政策は米国にとって都合のよい政治勢力を支援することに向けられたものだろうとの見方を表していた。だが、いくら米国が日本の目の前にこうした野心的課題を掲げたところで日本人には経験も人材もロジスティックスな支援もない。この地域の政治情勢に効果的に影響を及ぼす可能性も有していない。」

「スプートニク」:日本は中央アジアへ復帰した場合、そこで中国、ロシア、上海協力機構のライバルとして振舞うのか、それともこれらの国の協力のための可能性が見つかるだろうか?

パノフ氏:「今の段階では日本はこの地域で自国の側から競争について語れるほど、そんなに強い立場を有していない。将来、日本が中央アジアの経済プロセスに参加すれば、これはただただ歓迎されるだろう。だが、日本がここでリーダーシップをとることはないのは明白だ。仮に日本が今この地域で起きている経済統合プロセスに加わりたいと思うのであれば、私はそのための可能性はあると思う。この地域では中国の万里の長城で自分を囲い込む国はない。だがすべては中央アジアの活性化に対して日本指導部がいかなる戦略課題をたてるかにかかってくる。これに関しては答えより疑問のほうが多い。今回の安倍氏の歴訪はどうやらテスト訪問のようだ。訪問がどう行われるかではなく、このあと何が続くのかを見守らねばならない。」


参考URL:
「中央アジア+日本」対話 平成27年4月7日 外務省

プーチンと同じ地平に立つメドベージェフ

現在、首相を挟んで3期目(2012年~現在)を務めるプーチン大統領は、2期目(2004年~2008年)の終わりに近づいた2008年2月8日『2020年までの発展戦略』を発表、大統領退任後のエネルギー資源依存型経済からイノベーション主導型経済への移行を目指した。

イノベーション主導型経済への移行を妨げるボトルネックは、その広大な国土ゆえのインフラの弱さにあった。特にウラル山脈の西側と東側の人口比重の違い、エネルギー資源の分布比重の違いがそこに拍車を掛けてきた。これが過度のエネルギー資源に依存した経済構造と効率性の悪さ、所得格差と男性の平均寿命低下・人口減少を生じさせていた。

エネルギー資源依存型経済からのブレイクスルーには、シベリア鉄道・バム鉄道の延伸及び複線化などウラル山脈の東西を繋ぐインフラの整備、日本など先進国からの資本・技術導入、イノベーティブな経済成長を果たすための企業家精神とそれを守る法秩序の確立を必要としている。

しかし、伝統的な支那社会と同様に、官吏となって利権を貪ることが富貴への最適な道なのだ。我が国や欧米など先進国と違い、新しい技術やサービスを作り出し、それを提供する企業家となることが富貴への最短ルートではない。

ロシア社会の支配者は、ロマノフ朝の大貴族からソ連邦のノーメンクラトゥーラ(世襲化した共産党官僚)へ、次いで市場経済導入の過程で形成されたオリガルヒ(ロシア経済を寡頭支配した資本家)からシロヴィキ(治安・国防官僚出身者による勢力)へと変遷してきた。

どちらにせよエネルギー資源産業に依存した経済構造が変更された訳ではない。税金を収めず国富を独占して、権威と権力がひとつの階級・階層に集中されるのも、ロシアの歴史に通底する特徴であった。

ソ連邦時代につくられたテトリスやチェブラーシカがカネ儲けの種となると分かった途端、著作権で争った件に垣間見られるように、企業家精神とそれを守る法秩序が欠如している。これは他の資源についても同じである。つまり、企業家が勃興する際に起きる不安定(利害関係の変化)を政治的強権でしか正せないことになる。

企業家精神の育成と法秩序の構築を無視してイノベーティブな経済成長を果たすためには、中国と同じように我が国の資本と技術が必要になる。しかしそれには日露間の講和条約は必須であるが、我が国の反応は鈍い。

特に、我が国の経済界にとっては、ウラル山脈の東側の人口の少なさはボトルネックであり、2006年のサハリン2の開発中止と国営ガスプロムによる権益奪取、2015年の北方漁業権の喪失などが続発して、法秩序未整備によるカントリーリスク以上の利益をもたらしてくれる希望が見出だせない。

3期目に入ったプーチン大統領の現在も、イノベーション主導型経済への転換は進まず、選択肢は“富の国外流出か、闇経済の国内拡大か”くらいしかなかった。せめて国外脱出を図るオリガルヒを締め上げ、シロヴィキの闇経済を容認するくらいしか出来なかった、と言える。

しかし、エネルギー資源依存型経済には明るい兆しもあった。中国をはじめとする新興国の“爆食”によって、モスクワとサンクトペテルブルクの二大都市圏のサービス業依存から、北コーカサスではダゲスタン(石油化学工業)、ウラルではチュメニ(石油工業)、南部ではクラスノダール(機械工業)と、それぞれ各地方の中核都市が発展した。

この恩恵で、リーマン・ショック後に海外出稼ぎ労働者が帰国したものの、これらの労働力を吸収できた。また、政府が2人目以降の出産にはドル換算で1万ドルを支給したことで、人口が一時的に増加した。“爆食”に伴う雇用創出と所得再分配効果が起きていた。よって、構造問題が改めて顕在化したのは、ウクライナ危機による経済制裁以降である。上海株式市場のバブル崩壊で始まったチャイナ・ショックはこれに拍車を掛けるだろう。

2012年にもメドベージェフ首相は、フェイスブックのCEOに国内投資を呼びかけるなど、自らが発案したロシア版シリコンバレー「スコルコヴォ(Skolkovo)」の育成に努めてきた。スコルコヴォ5周年でのオープンイノベーションについての議論で、首相はロシアの構造改革とその条件、法治社会の確立を挙げた。つまり、アプローチは違うにせよ、プーチン大統領と同じ地平に到達しているのだ。しかし、その前途はプーチンの辿った道と同じく暗い。それはロシアの近世から近代の歴史に起因する。

ロシアを正しく理解するメドベージェフ首相の前途多難 2015.10.8(木) JB PRESS

欧州では、各国の資本主義の進展によって異なるが、ブルジョワの勃興が絶対君主を生んだと言える。ブルジョワの台頭初期の国家における絶対君主の役割とは、その権力の集中によって彼らの生命と財産の自由を擁護することだった。

ところがロシアは、新規税収とイノベーションの源にして国力を増大させる原動力たるブルジョワ(のちの産業資本、今で云えば企業家)が存在しない国々のひとつだった。こうした遅れた国々においては、上からの近代化を進める絶対君主=啓蒙専制君主が現れた。

そこに到るには大空位時代ののち1613年に成立した、ロマノフ朝にまで遡る。

アレクセイ帝(厳密にはロシアのツァーリ)のときは地主と農民は契約関係であったが、ピョートル大帝(ここからインペラトール)のときに人頭税導入によって土地に縛られ、啓蒙専制君主として名高いエカテリーナ女帝のときに完全な農奴制となった。

ロシアの農奴制は、英国のエンクロージャーによって逐われた農民が賃金労働者となったのとは真逆である。当時のスウェーデン、トルコ両帝国に対抗する国力を得るためにブルジョワのまったくいない国家においては、こうした逆コースもやむなしであったかもしれない。そして、ブルジョワも産業資本が充分に育たないまま、第1次大戦と二月革命と十月革命を迎える。

今に至るまでロシアを悩ませる決定的な歴史上最大の失敗は資本主義を経ないで共産主義に移行したことだった。

資本主義を経なかったロシアは、イノベーションを担う企業家精神とそれを守る法秩序が欠如している。これらは中韓も同様だ。そして、中共が均一化された労働力、もしくは均一化の選別に耐えうる労働人口さえあれば、資本主義の精神がなくとも、先進国の資本と技術によって近代化されうる実証例となった。

ロシアはただそれに倣いたいだけなのだ。プーチン大統領は自動車産業を、メドベージェフ首相はIT産業を誘致したい違いがあるだけで思惑は変わらない。

その倣いの先に拡がるのは生命と財産の自由がなく、言論と信教の自由がなく、また集会と結社の自由がない、ツァーリと大貴族とコサックと農奴が存在したロシアの歴史の変奏曲となる可能性は高い。

ロシア経済最良の時期に、富の再分配を強権で行うことが出来なかったのは痛い。外的要因でエネルギー資源依存型の経済成長は終わった。給料未払いやインフレによる給料減価によって、シロヴィキの自主防衛手段、賄賂の横行が猖獗を極め始めている。今後、インフラの維持が滞れば、ソ連滅亡の最大要因となった物流の停止が起きるかもしれない。

シリア内戦はイスラム原理主義のピークとなるか

シリア内戦へのロシアの軍事介入は、周辺各国の軍事外交から難民政策に至るまで大幅な転換を促している。

ウクライナ危機から独仏が半ば手を引いた。イエメン内戦では国連による和平勧告がなされた。欧州は“難民の行軍”のトルコルートを潰す一環に、対ロシアを名目として、シリア-トルコ国境沿いにNATO即応部隊展開を企んでいるのではないか。

Yemen conflict: Houthi rebels commit to UN peace plan 6 October 2015 BBC NEWS

歴史上、もっともイスラムの世俗主義化に貢献してきたのはソビエト連邦と、その後裔国家であるロシア連邦だった。

しかし、ソ連のアフガン侵攻(1979年~1989年)は、全世界におけるイスラムの世俗主義化から原理主義化へのターニングポイントになった。ソ連崩壊の一因ともなった。

米国のカーター政権はイランのイスラム革命(1979年)には有効な対応策を取れず、アフガニスタンではムジャヒディンを支援した。共産主義を打倒するために、原理主義を援助した当の米国が逆撃を被り、アフガニスタンとイラクに大兵を送り込んで、疲弊したのはつい最近の歴史の教えるところだ。

ソ連崩壊後の血みどろのチェチェン紛争(1994年~1996年、1999年~2009年)は、イスラムの原理主義化のロシア国内のピークであった。

血みどろの戦いを産湯として、エリツィン大統領からプーチン大統領へ権力委譲が行われ、ロシアは国内経済の自律性を回復した。この回復過程は、グローバリゼーション=アメリカナイゼーションの時代のさなか、世界貿易が倍増した期間とも重なっていた。

そして、ロシアのシリア内戦への軍事介入(2015年~現在)は、イスラムの原理主義化を押しとどめ、反転させるターニングポイントになるかもしれない。

ロシアは、ISIS(イスラム国)全体を潰す必要はないが、参画しているチェチェン人及び北コーカサスの原理主義過激派を誘引して、クルドと挟み撃ちにすることは望むだろう。

トルコを含むスンニ派の諸国に対するロシアの軍事と外交は、原理主義勢力への牽制に力を割くことになる。

原理主義のイデオローグを輩出して、過激派の思想的母胎となったムスリム同胞団(同胞団自身は、相対的に穏健派である)の要人は、エジプト本国から追放されたが、カタール次いでトルコが保護している。また、サウジアラビアの新国王もムスリム同胞団との関係改善を望んでいる。

サウジアラビアなど湾岸諸国は、王族や大富豪の財力を以って、原理主義過激派の民兵組織を支援してきた。米国もそのひそみに倣おうとある程度、穏健とみられる民兵組織への援助を行ってきたが、シリアではどうやら失敗に終わったようだ。

シリア反体制派の「イスラム国」掃討、米支援内容見直し 2015年 10月 10日 04:25 JST ロイター

Obama Administration Ends Effort to Train Syrians to Combat ISIS OCT. 9, 2015 The New York Times

ロシアがアラブ社会主義(世俗主義)で最後に残ったアサド政権を支援することは、その意味で欧米のみならず我が国にも利益をもたらす結果になるかもしれない。

現在、非難と怨嗟の声を浴びながらも、ロシアは原理主義過激派を一手に引き受ける役割を担っている。舌戦を繰り広げても欧米が本格的な対ロシア制裁に踏み出さない理由は、自らは失敗した汚れ仕事を押し付けたいからであろう。

ポロシェンコ大統領、敗れたり

ウクライナ、ドンバス紛争の停戦合意「ミンスク2」の進捗に関して、ドイツ-フランス-ロシア-ウクライナの4ヶ国会談がパリで行われた。この停戦合意「ミンスク2」は、あくまでもドンバス紛争に関するものであり、ロシアのクリミア半島の事実上併合とは何ら関係ない。

「ミンスク2」の停戦プロセスは、親露派のドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国に一定の自治を認める一方、ウクライナの領土の一体性保全を保証する(ウクライナ-ロシア間の国境管理権を回復する)、というものだった。

また、ウクライナの主権を残しつつ、両共和国の選挙を行うためには、ウクライナ最高議会(ヴェルホーヴナ・ラーダ、一院制)による法改正が必要であったが、これには議会内の紛糾が予想され、散発的な戦闘の発生を理由に、ポロシェンコ政権は法改正を遅らせていた。

ポロシェンコ政権は、和平合意に関わった独仏の後援を期待していたが、シリア内戦の“難民爆弾”が炸裂して、その爆風が独仏をロシア側に追いやる結果となってしまった。

ロシアは、親露派の独自選挙を取り下げる代わりに、独仏は、OSCEの選挙監視オブザーバーを同地に入れることとし、ポロシェンコ政権は本来、出来る限り、先送りしたかった両共和国の選挙実施を迫られることになった。

Ukraine Is Being Told to Live With Putin OCT 5, 2015 7:44 AM EDT Bloomberg View

Russia Turning The Corner On Sanctions OCT 7, 2015 @ 11:27 AM Forbes

ukrine's Diminishing Air Force Thursday, October 08, 2015 Radio Free Europe

ポロシェンコ政権が議会の紛糾を乗り越えて、「ミンスク2」に基づく選挙を行っても、政権と政権与党の支持率が上がることはないだろう。領土の一体性保全は確認されても、親露派の勢力がプーチン大統領の意を受けて、ウクライナの鼻面を引き回すのは大概、予想できる。

しかも、クリミア半島の辺土一片すら還ってくる訳ではない。合意の進捗を理由に、独仏にはロシアへの経済制裁緩和の可能性すらある。

そうした仕打ちをされても、デフォルト寸前のウクライナには、ドンバス紛争を再開する余力が財政的にない。

しかも、ラジオ・フリー・ヨーロッパの記事では、ウクライナ軍の稼働航空戦力が、2014年から2015年のうちに漸減し続けていると、指摘されている。MiG-29は80機から19機、Su-24は25機から11機、Su-25は36機から15機、Su-27は36機から16機、となっている。

NATOはウクライナ危機を受けて、師団規模の即応部隊を編成しているが、クリミア半島にもドンバス地方にも投入される気配はない。ウクライナはNATO加盟国ではない。ただし、NATOは加盟国外のユーゴスラビア内戦に国連安保理議決なしに空爆している。

1995年のOperation Deliberate Force(ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争)と1999年のOperation Allied Force(コソボ紛争)がそれである。それぞれの紛争終結後の和平合意の実施、治安維持の部隊派遣は安保理決議に基いている。

ポロシェンコ政権は現状の政治的敗北を受け入れるしかないだろう。敗北の中で希望を見出すとすれば、クリミア半島の切り離しで、親露派の大統領が誕生することはなくなった。そして、経済制裁の緩和があるならば、ロシア経済圏からの急速な離脱に伴う経済的苦境はひとまずなくなる、ということだ。

プーチン大統領の演説に見られる国際連合の性格

第2次大戦終結から70周年、つまりは国際連合の総会も第70回目を迎えて、9月末に各国の首脳が米国を訪れた。我が国の安倍首相を始め、ロシアのプーチン大統領、インドのモディ首相、中共の習国家主席、バチカンのフランシスコ教皇、ほかにも多くの首脳が自国のプレゼンスを示し、企業との大規模契約にサインし、それぞれが首脳会談を行い、あるいは総会に登壇して演説を行った。

「アラブの春」を恐れるロシア 2015年10月07日(Wed) WEDGE Infinity

(翻訳・抜粋)
尊敬する代表の皆さん!尊敬する国連事務総長殿!尊敬する各国首脳の皆さん!紳士の皆さん!

 国際連合の70周年は、歴史と我ら全員の将来を考えるのによい機会です。1945年、ナチズムを打倒した諸国は、戦後世界の秩序を築くべく努力を結集しました。

 思い起こしたいのは、国家間関係の原則に関する重要な決断と、国際連合の創設に関する決断は、我が国のヤルタにおける反ヒトラー連合の首脳会談で採択されたということです。ヤルタ体制は、この星で20世紀に起こった二度の世界大戦に出征した何千万という人々の生命に実際に敬意を払ったものであり、過去70年間の過酷で劇的な出来事の中で客観的に人間性を保つ助けとなり、世界を巨大な波乱から救ったのです。

 国際連合は、その正当性、代表性及び広範さにおいて比類なきものであります。たしかに過去、国連の場においては少なからぬ批判がありました。これは効率性の不十分さを示すものであり、特に国連安保理のメンバー国間では重要な決定に関して覆いがたい対立があります。

 しかし、申し上げたいのは、国際連合が存続してきた70年間において、意見の相違は常に存在していたということです。そして拒否権も常に行使されてきました。米国も、英国も、フランスも、中国も、ソ連邦も、そして後のロシアもこれを行使してきました。これは多面的な代表機関ではごく自然なことです。国際連合の基本として、そこでひとつの意見が圧倒的であるということは想定されていなかったし、今後もないのです。この組織の本質とは、妥協を模索し、生み出すことなのであり、多様な意見や観点を考慮に入れることがその力になっているのです。

 国際連合の決定を巡る議論は、決議という形で合意されます。合意に至らない場合については、外交官達の言うところの「うまくいったりいかなかったり」ということになります。そして、この手順を外れれば、いかなる国の行動であっても、それは非合法で、国際連合憲章と現代の国際法に違反することになります。

 いわゆる冷戦が終結した後、世界にはひとつの支配的なセンターが残ったことを我々は知っています。そして、このピラミッドの頂点に立った者は、次のように考える誘惑に駆られました。いわく、彼らはかくも強く、特別で、物事をどうすればよいか誰よりもよく知っているのだと。そして彼らには国際連合を顧みる必要などなく、国際連合は彼らの決断に判子をついて追認すればいいのだと。この組織はすでに古くなり、歴史的な使命を負えたのだという話も出ました。

 たしかに世界は変化しており、国際連合はその自然な変容に合わせなければなりません。ロシアには、広範な合意に基づき、国際連合のさらなる発展に関する作業に全てのパートナーとともに関与する用意があります。しかし、我々は、国際連合の権威と正統性を損なう試みは極めて危険なものだと考えます。それは、全ての国際関係の枠組みの崩壊につながりかねないものです。そうなれば我々には力のルール以外、いかなるルールも残らないでしょう。

 それは、エゴイズムが協調に、平等と自由が支配に、真の独立国家が外から指図される保護領に取って代わられる世界となるでしょう。

 では、すでに同僚の皆さん達がここで語った国家主権とはどのようなものでしょうか?これは何よりも自由の問題であり、各人、各民族、各国家が自らの運命を自由に決せるということであります。

 そこで、尊敬する同僚の皆さん、いわゆる正統な政府というものについても語りたいと思います。言葉を弄んではなりません。国際法及び国際関係においては、それぞれの擁護は明確かつ透明でなければならず、共通の意味を持ち、共通の基準で定義されなければなりません。我々はみんな違っているのであり、そのことについて敬意をもって臨まねばなりません。何人も、誰かが正解だと決めた単一の発展モデルに従わされる必要はないのです。

 我々は過去の経験を忘れてはなりません。たとえば我々はソ連邦の経験を援用することができます。ソ連は社会実験を輸出し、イデオロギー的な理由から他国の社会変革を推進しましたが、その結果はときとして進歩ではなく混乱でした。

 しかしながら、誰もがそのような誤りに学ぶわけではなく、それを繰り返す者もいます。そしていわゆる「民主的な」革命の輸出を続けています。

 これ以前の登壇者の方が触れた、中東及び北アフリカの状況を見れば充分でしょう。たしかにこれらの地域における社会経済的状況は長らく混乱しており、人々はそれを変革したがっています。ですが、実際の結果はどうでしょうか? 改革をもたらす代わりに、攻撃的な介入が国家機関と現地の人々の生活を破壊しているではありませんか。民主主義と進歩の代わりに、今そこにあるのは暴力、貧困、社会不安、そしてただ生きる権利を含めた人権の全くの無視ではありませんか。

 そこで、このような状況を作り出した人々に私は問いたい。あなた方がやったことを少なくとも理解くらいはしているのだろうか、と。しかし、私が恐れるのは、傲慢と、例外主義と、罪悪感のなさゆえに彼らがその政策を撤回せず、答えがないままこの問いが虚しく空中に消えることです。


プーチン大統領もまた、国連総会で演説した。上記のコラムから、その演説を抜粋するに、国連の歴史的経緯とその功罪を述べながら、それでもなお、自国の国益に沿って国連の価値を再評価している。

冷戦終結後の一極支配が、ユーゴスラビア内戦に見られたNATO単独の軍事介入を許す結果となり、その前例に従って、現在のシリア内戦に見られるロシアやイランの軍事介入につながったことを正当化しつつも、一極支配の中で米国の民主主義と資本主義こそがスタンダードであり続けた弊害が、別の価値観を持つ側の人権を抑圧しているのではないか、と主張する。

まるで自国の弱さを半ば告白する形で、多様な世界の有り様では、多様なイデオロギーを持つ国家の生存権が認められるのではないか、と。

国連に集う主権国家は多様であり、それゆえにイデオロギーや宗教や国家体制についても自由であるべきだ、と主張している。そして、イデオロギーや国家体制の異なる各国と現実主義的な外交を展開している。

ロシア、サウジと石油市場めぐり先週協議=エネルギー相  2015年 10月 6日 19:36 JST ロイター

ロシアは、アラウィー派(シーア派の一分派)のアサド政権を支援するため、シリア内戦に介入した。その一方で、ザイド派(これもまたシーア派の一分派)を倒すためにイエメン内戦に介入するサウジアラビアとも協力関係を模索する。

次いでロシアは、イランをシリア内戦に引き込む一方で、イランの核開発に反対の姿勢を崩さないイスラエルとの間にゴラン高原には進出しない旨の協議を行っている。

さらにロシアは、シリアなどからの“難民爆弾”に悩む独仏との間にウクライナ和平会談を進め、ドンバス地方の親露派地域における選挙にOSCEを巻き込み、むしろウクライナのポロシェンコ大統領を守勢に追い込んでいる。

ウクライナがそうであるようにトルコもまたロシアの牽制を受けて、退かざる得なくなりつつある。ロシアは、トルコと同じくISIS(イスラム国)を大義名分にすることで、欧米に協調のシグナルを送り続けると同時に、シリアからイラクに勢力を伸ばしているクルド人勢力の支持を得て、ISISをクルド人勢力弱体化の隠れ蓑に使うエルドアン大統領を追い詰める。

無論、これらは自国の兵力を極力使いたくない米国、オバマ政権の思惑に支えられている、と思われる。

国連での演説から、ロシアの立場はよく分かる。また国連の性格も再認識できる。過去から現在に至るまで、国連憲章は戦争を拒否していなかったし、国連は普遍的(ユニバーサリズム)な機関でもなかったし、敵国条項を有するように第2次大戦後のレジームの現状維持のための機関であったし、加盟国が政治的了解を模索する場に過ぎない、ということだ。

二正面作戦を避けるロシアと同意する欧米

シリア内戦への軍事介入を深めているロシアに対して、欧米は経済制裁を強化するでもない。ウクライナ危機に伴って、ドンバス地方で起きていた紛争の停戦合意(ミンスク2)のプロセスが進捗していないにも関わらず、独仏はさらなる圧力をかけずに、停戦を延長する。

ミンスク合意では、親露派の支配地域は「ウクライナ法に基づく選挙」を行うこととされている。合意を素直に読めば、ウクライナ政府に干渉できる余地があると考えるのはむしろ当然であろう。親露派は独自の選挙を行おうとしていたが、これを先送りした。また親露派を後援するロシアも兵力の後退を進めていると見られる。親露派の軟化は、彼らへのロシア側の影響力の高さを実証している、とも云える。

欧州安全保障協力機構(OSCE)のオブザーバーも選挙監視のため、ドンバス地方に入る。このプロセスが実現すれば、南オセチア紛争の停戦と同様の経過をたどる。

かつての冷戦期ならば、欧米はあらゆる紛争地域で覇権を競い合った。しかし、新冷戦と呼ばれている昨今にも関わらず、ウクライナとシリアで戦闘を行うロシアに対して、欧米の圧力は強まってはいない。

欧米は、ロシアとアサド政権に対する非難はすれども、シリア内戦への本格的な軍事介入を避けている。NATO加盟国として、シリア国内の飛行禁止区域を訴えるのはトルコのみ。

むしろ、シリアやイエメンなどで繰り広げられているスンニ派とシーア派の勢力争いの均衡のためには、イラン1ヶ国だけでは役不足と見て、ロシアを巻き込むことを黙認している、と考えられないか。そうでなければ、二正面作戦を避けたいロシアの思惑に付き合う欧米の意図が容易には理解できない。もっともこの黙認がいつまで続くか分からないし、ロシアも欧米の相対的な好意をいつまでも期待している訳ではないだろう。

ウクライナ:停戦履行期限先延ばし 親露派地域、選挙延期 4カ国合意 2015年10月04日 毎日新聞

【モスクワ真野森作、パリ宮川裕章】パリで2日に行われたウクライナ東部情勢に関するフランス、ドイツ、ロシア、ウクライナの4カ国首脳会談は、親露派武装勢力の支配地域で予定されていた独自選挙の先送りなどに合意し、紛争沈静化へ向けて一定の成果を上げた。ただ、年内の和平プロセス完了を想定した2月の停戦合意(ミンスク合意)は、期限があいまいなまま引き延ばされた。シリアで空爆を始めたロシアの思惑を反映し、ウクライナ東部紛争は当面、対立の火種を宿した現状を維持する形で推移しそうだ。

 「我々はミンスク合意に反したウクライナ東部での選挙は望まない」

 約5時間に及んだ会談後の記者会見でオランド仏大統領は、争点となっていた親露派独自の地方選挙を先送りさせるとの合意内容を明らかにした。今月18日と11月1日に計画されていた親露派支配地域の地方選は、ウクライナの法律と全欧安保協力機構(OSCE)の基準に合致させたうえで、OSCEの選挙監視の下で実施させることに決まった。オランド氏は「投票までに3カ月を要する」との見方を示し、ミンスク合意の履行期限が来年以降にずれ込むことを確認した。

 2月に4首脳がまとめたミンスク合意では、年末までに親露派支配地域を特別自治区にするなど政治面での和平を達成し、ウクライナ政府による国境管理を回復させると規定していた。ウクライナのポロシェンコ大統領は今回の会談について「停戦の条件は整えられている」と評価した一方、「全ての領土が解放されなければ戦争は終わらない」と述べ、今後の展望には厳しい見方を示した。

 停戦合意の履行期限があいまいになったことで、ウクライナ政府に課された地方分権へ向けた憲法改正と特別法制定の手続きや、東部の経済復興などが停滞する恐れもある。

 一方、ロシアのプーチン大統領は今回、親露派による地方選挙の延期を容認するという譲歩を示した。ペスコフ露大統領報道官は「プーチン大統領は『この問題について代表者に伝えるよう指示する』と約束した」と述べ、親露派に影響力を行使する姿勢も見せた。

 プーチン氏の柔軟姿勢の背景には、国際的に守勢に立たされるウクライナ問題は当面沈静化させ、露軍が9月末に空爆を始めたシリア問題で国際社会の「プレーヤー」として復活を果たそうという思惑が透けて見える。

 プーチン氏は2日、4首脳会談に先立ってオランド仏大統領と会談。シリアでの露空軍の作戦概要や、過激派組織「イスラム国」(IS)に対抗するためとしてロシアがシリア、イラク、イランと計4カ国で設置した情報センターについてオランド氏に説明した。

 ロシアは、シリア問題に関して軍事・外交攻勢をかけることで、ウクライナ危機を巡る欧米諸国の経済制裁を解除させることも狙っている模様だ。欧州連合(EU)はミンスク合意の履行状況を見極めて年末までに制裁延長の是非を決める予定だからだ。

 ただ、ドイツのメルケル首相は会談後の記者会見で「(シリア内戦の)政治的解決へ向けた支援をロシアから得るために、ウクライナ危機で譲歩することはない」とクギを刺した。


ウクライナの親露派、戦車撤収開始と発表 かつてない和平の兆し 2015年10月03日 20:54 AFP BB NEWS

【10月3日 AFP】ウクライナ危機をめぐる4か国首脳会議から一夜明けた3日、ウクライナからの分離独立を掲げる親ロシア派の武装勢力が、ウクライナ東部の緩衝地帯からの戦車の撤収を開始したと発表した。

 ウクライナ東部の公式報道機関は、「ルガンスク人民共和国(Lugansk People's Republic、LPR)の民兵は、ミンスク合意に従い、接触線からの戦車の撤収を開始した」と伝えた。ミンスク合意とは今年2月にベラルーシの首都ミンスク(Minsk)で、欧州連合(EU)の支援で結ばれた停戦合意を指す。

 ウクライナ政府と親露派武装勢力は今週、緩衝地帯から戦車と軽火器を引き揚げる作業を3日から開始することで合意していた。双方が口径100ミリ以下の迫撃砲やロケット砲を交戦ラインから15キロ離れたところまで移動させるには、40日以上かかる見込み。

 ウクライナ危機に終止符を打つため、ウクライナ、ロシア、フランス、ドイツの首脳は2日、仏パリ(Paris)で4か国首脳会議を行った。その際ウクライナのペトロ・ポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領は報道陣に対し、「撤収は明日始まる。欧州安保協力機構(OSCE)との調整など技術的な問題は全て解決した」と語っていた。

 ここ数週間、ウクライナ東部での戦闘はほぼ止まっており、2014年4月からこれまでに8000人以上が命を落としたウクライナ紛争は、かつてないほど和平に近づいているように見える。(c)AFP

プーチン外交の挑発的言辞と示威的行動の先に

ポーランド駐在ロシア大使のSergey Andreevは「1939年の(独ソ不可侵条約の秘密議定書に基づく)ポーランド分割は侵略ではなく、自国の防衛のためであった」と発言し、ポーランド外相 Grzegorz Schetynaは「“歴史的真実を損ない”、スターリン主義の犯罪を正当化しようとしている」と反駁し、外交措置としてロシアに駐在するポーランド大使を召還すると発表した。

Russian Ambassador Blames Poland for WWII, Sparking Outrage Sep 27, 2015 3:37 AM Haaretz

出先の全権大使や出向いた外務大臣クラスが挑発して、両国関係が紛糾すると、最後にプーチン大統領が相互の利害を調整する会議の席を設けようと、したり顔で出てくる。安倍首相の唱える“法の支配”や“価値観外交”などの、わかりやすいコンセプトが打ち出せないロシアは、力の均衡の隙間でしか利害対立の解決法を見出だせない。

なるほど、ナチスとボリシェビキのポーランド分割は、人類最大の地上戦、独ソ戦の幕間劇と考えれば、自国防衛のための時間稼ぎであった、と強弁できなくもない。ただ、“彼らの正義”を分割されたポーランドに向かって、堂々と披瀝することに直接的な利益は見出だせない。すでにリトアニア-ポーランド-ウクライナの合同旅団なども誕生している。復古的な対ロシア包囲網が作られていく過程のように思える。はてさて、これが将来的な均衡をもたらすのだろうか。

プーチン外交は挑発的な言辞と示威的な戦力展開を伴っている。各国が容易ならざる事態に追い込まれたとき、まるで救い手であるかのように登場する。すべての要求が認められる訳がない、とロシア側も知っている以上、そこから妥協点を探っていく。こうした妥協の方法論が定着するのかは未だ分からない。

プーチン大統領の危険なバーター取引

ロシアは、シリアに勢力を拡げているISIS(イスラム国)を爆撃する計画を明らかにし、米国の協力を求めている。協力が得られなくても、アサド政権とイランの協力を得て爆撃する、とプーチン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相に述べた。国連総会に出席するプーチン大統領は、米露首脳会談の席上で提案する、と見られている。

ロシアの中東回帰、米国の影響力覆す可能性も 2015年 9月 25日 19:53 JST WSJ日本版

米、シリア問題で露との協調模索へ-首脳会談 2015年 9月 25日 18:37 JST WSJ日本版

Putin Said to Plan Islamic State Strike With or Without U.S. September 24, 2015 — 6:00 AM JST Bloomberg

プーチン大統領は危険なバーター取引を提案している。材料はウクライナ危機か、経済制裁の緩和か、原油価格の低落傾向の反転といったところだろう。

これだけ大きな釣り餌にそのまま引っ掛かるとしたら、オバマ大統領とケリー国務長官は無能の極みと云えるだろう。オバマ政権は、アサド大統領の退陣(ただし、アラウィー派の地方政権は残す)と引き換えに、対ISIS(イスラム国)作戦での欧米露協調を図るという落とし所を模索するかもしれない。

難民の大量発生を招いているのはアサド政権であって、ISIS(イスラム国)ではない。正しい解決策の第一歩は、シリア国内に飛行禁止区域を設置して、難民が安全に暮らせる領域をつくることにある。もはやタイミングは逸しているが、NATOとアラブ連盟がそれを行い、ロシアが容認するようにすべきであって、その後に対ISIS(イスラム国)作戦で協調すべきだろう。

事は緊急を要する。対応策を講じずにいれば、シリアに投入されるロシア軍が増えるほどに、飛行禁止区域の実現も難民の流出防止も難しくなり、最悪、何らかのバーターに応じざるを得なくなるに違いない。

ロシア“冷戦後レジームからの脱却”の戦い

今年に入って、4月の合衆国上下両院合同の議会演説、8月の戦後70年談話、9月の安保法制成立など、一連の“戦後レジームからの脱却”を受けた直後の日露外相会談が口角泡を飛ばすのは当然だろう。何より北方領土問題は第2次大戦によるレジームそのものだ。

北方領土問題、ロシア側が交渉拒否 日ロ外相会談 2015年9月22日05時09分 朝日新聞

欧米と対決姿勢を強めているロシアにとって、日米同盟が強化されることに利益はない。が、同時に中共ほどの不利益を被ることもない。ロシアは大陸国家であって海洋国家になる意志はない。同様に我が国は海洋国家であって大陸国家になる意志はない。

どちらも人口動態から見て、その余力はない。つまり、ロシアは太平洋艦隊を外洋艦隊に増強しない。我が国は朝鮮半島から満州を占領するだけの兵力を増強しない(=この観点からも徴兵制はありえない)。そして、互いを縛るレジームからそれぞれ脱却したいがために双方を利用し合う点において、日露両国は利害が一致する。

ロシアは冷戦終結後のレジームから脱却すべく戦線を拡げている。しかし、ウクライナの政変のさなか、クリミア半島を事実上併合して、ドンバス地方での紛争にも介入して、ロシア語話者の比重が下がったために、ウクライナに今後、親ロシアの大統領が誕生する可能性はなくなった。

ウクライナ危機に伴う欧米主導の経済制裁と、原油価格の長期低落傾向はロシアの財政を圧迫する。クリミア半島とドンバス地方への財政支援が追加され、グルジアに隣接するアブハジアと南オセチアへの財政支援は継続しているが、モルドバに隣接しウクライナに挟まれた沿ドニエストルは、ロシアから分断されて国内経済が破綻しつつある。

ロシアの脇腹である中央アジアは、中共の“一帯一路”における“シルクロード経済ベルト”、我が国の“自由と繁栄の弧”における“ユーラシア・クロスロード構想”が喰い合う状態になる。ユーラシア経済連合(EEU)は設立されたばかりで、経済共同体としてはまだ未知の組織だろう。

プーチン大統領は、中国共産党の抗日戦勝利70周年軍事パレードに臨席したが、同時に上海市場の株式バブルが崩壊しており、資本流出が止まらない中共から思惑通りの投資額を引き出せるとも思えない。モスクワ~カザン間の高速鉄道計画の進捗がひとつの試金石になるだろう。

シリア内戦ではアサド政権の弱体化に伴って、自ら介入しなければならなくなった。対ISIS(イスラム国)で欧米と協調できる可能性もあるが、アラブ諸国とイスラム原理主義過激派のさらなる介入を誘い、シリアが“アフガニスタン化”する可能性もある。どのようにアサド政権の負け戦をロシアがソフトランディングさせるか、難しい舵取りを迫られる。また、ウクライナでドンバス紛争が再燃して兵力分散を余儀なくされるかもしれない。

このように、ロシアの“冷戦後レジームからの脱却”を目指す対外戦争は始まったばかりだが、序盤戦はかなり厳しいものになっている。

一方、我が国のロシアに対する圧力は、“対中封じ込め”へと注力される過程で相対的に減殺される含みを残している。なぜなら膨張主義によって、現在のレジーム・チェンジを図る主役はあくまでも中国共産党にほかならない。我が国にとっては中露分断が戦略目標である。

北洋サケ・マス漁 100年超の歴史に幕 2015.9.2 09:14 産経ニュース

特集:東方経済フォーラム2015 スプートニクニュース

ロシアは対日交渉のカードを増やすために北方領土の駐屯地整備、資源の囲い込みを続けている。北洋サケ・マス漁の全面禁止は典型例だ。その一方、極東ロシアへの投資を誘うため、9月にはウラジオストクで「東方経済フォーラム」を開催して、プーチン大統領も出席している。互いのレジーム脱却の間合いを図るように、「東方経済フォーラム」の席上、国際協力銀行(JBIC)は円決済を提案している。

彼らは資本と技術の供与なしには、領土の一寸どころか1コペイカすら払わない。日露双方は譲歩を小出しにしながら、北洋漁業の再開や地対空ミサイルの撤去に1コペイカが要求され、1銭を支払うといった具合になる。

とは云え、ウクライナ危機とシリア内戦に対露外交は左右される。なぜなら日米同盟とNATOとの協力関係構築が優先されるからだ。交渉窓口を閉ざさず、ウクライナ停戦が破綻したり、シリア内戦でアサド政権が打倒される場合にも備えておくべきだろう。

露、北方領土に新型ミサイルか 2015.9.23 22:13 産経ニュース

政府、経済協力てこに北方領土交渉の進展狙うが、一方的な経済協力を警戒 2015.9.22 23:39 産経ニュース

日露外相、次官級協議の10月再開で合意 2015年09月22日 22時47分 読売新聞

たとえば普天間から辺野古への移転が一層紛糾して、“対中封じ込め”政策の進展が遅延し、窮余の策の一環として、米国がウクライナ危機やシリア内戦に関して妥協点を探る動きを見せたり、日本がシーレーン封鎖時のリスク分散を考えて、シベリアやサハリンのエネルギーに興味を持って接近してくるならば、なおのこと好ましいと、ロシア側が打算をめぐらしていても不思議ではない。

日露外相会談後の記者会見でのラブロフ外相のゼロ回答は、この辺の打算に依るものだろう。

参考URL:
東方経済フォーラム(英文)

アサド政権はロシアの傀儡となる

プーチン大統領は「難民危機は欧米の責任だ」と、述べている。なるほどNATOとアラブ連盟がシリアのアサド政権打倒のため、飛行禁止区域の設定など欠くべからざる介入を怠ったという意味において、その言は逆説的に正しい。不介入の結果、現在の危機に直面している欧州連合(EU)を嘲笑うかのように、ロシアはアサド政権を支援するために部隊を派遣し始めている。

その理由は“人道的”と強弁されている。たしかにアサド政権の主体となっているアラウィー派などは宗教的マイノリティである。しかし、アサド政権は化学兵器を使用して無辜の市民を虐殺した。現在も戦闘地域以外の市街地を無差別に爆撃している。ISIS(イスラム国)ではなく、彼らが大量の難民を発生した主犯であることは疑う余地がない。

別の側面からロシアの介入を見ると、アサド政権が最早、戦線を維持するだけの兵力を保有しておらず、瓦解の危機にあることを示している。今年6月にはアル=ヌスラ戦線がイドリブ県のほぼ全土を掌握した。イドリブはシリア北西部のちょうど真ん中に位置しており、北上すればアレッポ、南下すればハマー、ホムスを窺える要衝となっている。

つまり、シリア北西部におけるアサド政権とその軍は、背後に山岳地帯がある港湾都市ラタキアとタルトゥース以外は失墜の可能性が高まっている。

アサド政権と反体制派が3戦線で部分停戦 2015.9.20 23:00 産経ニュース

Russian troops 'fear secret Syria mission' 18 September 2015 BBC NEWS

ロシア、「人道」前面にシリア支援=難民で困る欧州けん制-孤立脱却に利用か 2015/09/15-19:47 時事ドットコム

【社説】米シリア政策の失態、ロシアが軍配備か 2015年9月8日 13:58 JST WSJ日本版

ロシア、シリアに軍事介入か 米ロ外相が電話会談 2015.09.06 Sun posted at 09:52 JST CNN日本版

米国のケリー国務長官はアサド政権の退陣を求める、と英国外相との会談で述べている。アサド政権の化学兵器撤去で米露が協調する以前ならばともかく、この要求は明らかに外交的センスを欠いている。

そもそも2012年7月の時点では、ロシア政府はラタキアに揚陸艦を寄港させ、アサド政権のエリート層と結婚したロシア人女性を中心にロシア国籍保有者を帰国させるとともに、アサド政権に対する武器供給を凍結していた(2012年7月19日のエントリー参照)。

この頃のロシアは、現在の介入姿勢とはまったく逆で、リビア内戦の結末と同様、アサド政権の退陣も視野に入れていた。欧米もアサド政権が早期に倒れると見て、ロシア側の譲歩の徴候をことごとく見逃した。ケリー国務長官が見込み違いを認めない限り、退陣要求など一蹴されるに決まっている。

さらに奇妙なことにロシアに対する経済制裁強化の動きが見られない。すでにロシアと中共などを除く各国は、シリア国民連合に対して統治の正統性を付与している。英米仏とアラブ連盟はさらに踏み込んで、“シリア人の唯一の正統な代表”としているにもかかわらず。ケリー国務長官などが、ISIS(イスラム国)に対する欧米露などの協調を考えているのだとしたら、それもまた外交的失策に繋がるだろう。

米国務長官、シリアのアサド大統領の退陣を要求 2015年09月20日 16:07 AFP BB NEWS

難民流入、アサド政権への欧米不介入のツケ 2015年9月18日 10:59 JST WSJ日本版

ロシア大統領:キプロス寄港が可能に-あらたな軍事協定で 2015/02/26 01:59 JST ブルームバーグ

“シルクロード経済ベルト”に打ち込む楔

10月下旬に予定されている安倍首相の中央アジア5ヶ国(カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギス)歴訪に際して、トルクメニスタンのガルキニシュ・ガス田のガス汚染物質除去施設の建設支援を表明する。

安倍首相、10月に中央アジア歴訪 トルクメニスタンで日本5社がガス汚染物除去装置建設へ 2015.9.7 05:00 産経ニュース

トルクメニスタンのガルキニシュ・ガス田は世界第2位の埋蔵量(13.1兆~21.2兆立方メートル)を誇り、昨年の開業式には習近平国家主席が出席している。中共は中央アジアパイプラインA、B、Cを通して全量輸入している。ガス処理設備は中国石油天然気集団(CNPC)と現代エンジニアリング、LG商事が受注している。

中国の習国家主席、トルクメニスタンの大規模ガス田開業式に出席 2013年 09月 5日 01:29 JST ロイター

旧ソ連圏の中央アジアは、中共の経済圏構想“一帯一路”の陸路に当たる“シルクロード経済ベルト”の最重要地域になる。

ロシアはユーラシア経済連合(EEU)を新たにつくり、権益維持に努めている。中共は上海協力機構の枠組みと“一帯一路”経済構想を以って取り込もうとしている。一方、我が国は「中央アジア+日本」対話という枠組みがあるが、出遅れ感は否めない。

しかし、トルクメニスタン~アフガニスタン~パキスタン~インドへの天然ガスパイプライン(TAPIパイプライン)建設が、我が国とインドによる中央アジア5ヶ国への突破口になりつつある。

2014年11月にトルクメニスタンのトルクメンガス社、アフガニスタンのアフガン・ガス社、パキスタンのインター・ステート・ガス・システムズ社、インドのGAIL(国営ガス公社)4社の合弁会社「TAPI」が特別目的事業体(SPV)として設立された。

日本政府と金融機関(邦銀、国際協力銀行、日本貿易保険)が支援し、日系企業5社(三菱商事、千代田化工建設、双日、伊藤忠商事、日揮)が受注するガス処理設備は、このTAPIパイプラインのものである。

モディ印首相、中央アジアで資源外交 中国を牽制「裏庭」に接近 2015.7.9 20:59 産経ニュース

インドが、イラン南東部チャーバハール港開発計画に投資 2015/05/07(木曜) 21:13 IRIB

インドは、NATOに対する軍事同盟となりつつある上海協力機構(SCO)に正式加盟している。また、世界銀行に対するBRICS開発銀行(New Development Bank BRICS)と、アジア開発銀行に対するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の構成国ともなっている。

その一方で、新疆ウイグル自治区~パキスタンのグワダル港に至る回廊に対抗し、イラン南東部(バルチスタン)チャバハルの港湾開発計画に投資して、中央アジア~イランの回廊を独自につくろうとしている。

こうして、ロシアの柔らかい脇腹でもある中央アジアには、各国の思惑と外交が絡み合っている。

参考URL:
中国の習近平主席、「シルクロード経済ベルト」を提唱 2013年9月18日 07:46 knak

トルクメニスタンの積極的中立外交 2015年5月 国際協力銀行(PDF)

「オレはドルをやめるぞ!」と、プーチンが叫ぶ

RT(TV-Novosti)の記事によれば、ロシアのプーチン大統領は、CIS諸国間の貿易からドルとユーロを排除することを目的とした法案を起草した。

これにはロシア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、タジキスタンなどの旧ソ連圏を単一の金融市場として創設する意味合いがある。

Putin says dump the dollar Published time: 1 Sep, 2015 09:06 RT
China approves usage of ruble instead of US dollar for border city Published time: 9 Aug, 2015 18:27 RT

Time for Russia & Vietnam to think of switching to local currencies – Medvedev Published time: 7 Apr, 2015 07:47 RT

ロシアは旧ソ連圏のCIS諸国間の貿易決済からドルとユーロを排除する法案を作成している。また、中国人民銀行は黒竜江省でルーブルと人民元流通の試験導入を始め、通貨スワップ協定を結んでいる。ユーラシア経済連合(EEU)による通貨の一体化も協議されていて、EEUと自由貿易協定(FTA)を結んだベトナムにロシアの銀行が進出しようとしている。

自発的な形を採っているが、ウクライナ危機とクリミア半島の併合に対する経済制裁によって、ロシアを否応なしに日欧米のレジームから排除されつつある。そして、それに中共も随伴しつつある。

プーチン大統領の夢の終わり

極東地域と欧州地域の間のインフラを整備して、サプライチェーンを構築して、両地域間の人口密度などの格差を解消する。シベリア鉄道を高速鉄道として再整備して、モノとヒトの動きを高める。そのために自動車産業を極東地域に誘致する必要があった。その最初の取り組みとなるはずだったトヨタ自動車のウラジオストクでの生産が終わる。これは、プーチン大統領が1期目の終わりに掲げた夢の終わりでもある。

2011年2月20日のエントリーで取り上げたが、

トヨタ自動車のウラジオストクでの生産は、三井物産を介したセミノックダウン方式となっている。これはロシア極東連邦管区の市場規模からと考えられる。かつ条件として、生産車を中央アジアもしくはウラル山脈の西側に輸送する際の鉄道補助金が継続されなければならない。

極東地域の市場規模の制約を乗り越え、シベリア鉄道で運ぶ補助金の継続を得ても、トヨタ自動車は、ロシア全体の市場規模が縮んでいくのには耐えられなかった訳だ。

ロシアのボトルネックとは、その広大な国土ゆえのインフラの弱さである。特にウラル山脈の西側と東側の人口比重の違い、エネルギー資源の分布比重の違いがそこに拍車を掛ける。これが過度のエネルギー資源に依存した経済構造と効率性の悪さ、所得格差と男性の平均寿命低下・人口減少を生じさせている。ただしこれらのブレイクスルーに必要な全般的に国民の知識水準が高いこと、エネルギー資源・穀物を他国に依存しないという利点を持っていることは理解しておかねばならない。これは中国と大きく違う点である。

このボトルネックを解消する技術と資本を我が国に頼るというのが、従来の方針だったが、ウクライナ危機による両国関係の悪化に伴い、ロシアは次善の策として中国の資本と技術に頼ろうとしている。モスクワ~カザン間の高速鉄道計画がそれに当たる。

トヨタSUV、ロシア極東の生産終了 輸出に転換 2015/8/18 13:42 日経

 トヨタ自動車は18日、ロシアのウラジオストク市で、三井物産と現地の自動車大手ソレルスの合弁会社「ソレルス・ブッサン」がトヨタ車の生産を終えたことを明らかにした。車種は多目的スポーツ車(SUV)の「ランドクルーザープラド」で、6月下旬に終了した。生産終了後は日本からの輸出に切り替えた。

 ソレルス・ブッサンは2013年2月から同車種の組み立てを始めた。今年6月までの累計生産実績は2万9千台。生産終了の理由についてトヨタは、「中長期的な事業継続性の観点から、困難と判断した」としている。

 トヨタのロシアでの生産拠点はウラジオストク市とサンクトペテルブルク市の2拠点から、1拠点に集約される。サンクトペテルブルクの拠点では主力のセダン「カムリ」を生産しており、16年からは同工場でSUV「RAV4」の生産を始める予定だ。

 トヨタはロシアで14年は前年比6%増の18万3千台を販売した。だが最近は通貨安などの影響で市場が落ち込んでおり、15年は1~6月で前年同期実績を約3割下回っている。

ウクライナの仇をイランで討つ

2015年4月19日のエントリーの続報。

国連安保理の制裁下で、渡航禁止のイラン革命防衛隊の司令官が高性能地対空ミサイルシステム「S300」の導入などを協議し合うために、ロシアに入国した、と見られている。

米国がイランへのエンゲージメントを許せば、ロシアもまた自国の利益を追及できるところまで兵器輸出と石油のバーター取引をするのも自明の理、と踏んでいた。

もともとペルシア(イラン)は英露両国のグレート・ゲームの狭間にあって、緩衝地帯として勢力範囲を二分割された。第2次大戦にはイランは英国とソ連の進駐を受けて、米国のレンドリースを中央アジアのソ連領に輸送するペルシア回廊を持たされた。

冷戦期に入っては、石油利権を国営化された英国に代わって、米国がイランの白色革命を強烈にバックアップしたが、カーター大統領~ブレジンスキー大統領補佐官のラインは、意図的か愚鈍か不明だがイスラム革命の脅威を見誤って、パーレビ朝を失い、のちのイラン・イラク戦争~湾岸戦争~イラク戦争の大きな契機をつくった。

ロシアは、ウクライナ危機でクリミア半島を併合して、ドンバス地方で紛争を起こして、ロシア寄りの大統領が当選する票田そのものをなくした。ちなみにブレジンスキー大統領補佐官は、かつてのポーランド・リトアニア共和国(現在の一部ウクライナ領も含まれる)の貴族階級・シュラフタであり、その先祖もウクライナ出身でもある。

米国が核合意に関する議会批准承認で時間を費やしている間に、ロシアはイランに喰い込む。ウクライナの仇をイランで討つ構図が、そこにある。

国連制裁で渡航禁止のイラン司令官が訪露、武器輸出入を協議か 2015.8.8 16:30 産経ニュース

ロイター通信は7日、イラン政府当局者の話として、革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官が7月下旬にモスクワを訪問したと伝えた。イランの対外工作を担う同司令官は、国連安全保障理事会の制裁で海外渡航が禁じられている。

 ロシアからイランへの高性能地対空ミサイルシステム「S300」などの武器輸出について話し合ったという。米国のパワー国連大使は7日「懸念すべき報道だが、事実を確認中だ」と語った。

 米FOXニュースも複数の「西側情報筋」の話として、司令官が7月24日から3日間モスクワに滞在し、プーチン大統領やショイグ国防相と会ったと報じた。(共同)

漁業利権で争う北方領土

ロシアのメドベージェフ首相は、北方領土への訪問と、2025年までに北方領土の開発に700億ルーブル(約1500億円)を投じる意向を表明した。2025年までに約1500億円、つまり年間150億円に過ぎない。しかも人口が集中していない離島では、1/3程度の投資効果しか見込めない。

この金額は我が国の戦略的要地である沖縄に投じられる内閣府の振興予算の20分の1以下。

ちなみに政府の振興予算は年間約3000億円規模で、地方交付税と国庫支出金は併せて年間約3600億円、沖縄方面の防衛費は年間約1800億円、軍用地の賃貸収入は年間約900億円。

あまり知られていないが、沖縄の地方銀行には軍用地ローンという金利優遇の貸出枠がある。ここに沖縄の保守と革新がタッグを組んで、普天間基地の移設反対を訴える本当の理由がある。基地が返還されてしまえば、ディベロッパーとしてのノウハウを持たない軍用地主が担保価値の急落した土地を持て余し、基地反対の大義名分で票を得ている左翼が議席を失う。彼らの利害は基地利権の維持で一致している。

閑話休題。

一方、北方領土は漁業利権の争いに収斂する。大きくは、プーチン大統領の派閥とメドベージェフ首相の派閥の間で漁業利権を巡る争いがある。

北方領土の択捉島に本社があるギドロストロイ社、という水産品加工会社があり、この一社でサハリン州の税収の40%を担い、択捉島のインフラ整備も自社で行っている。色丹島に加工工場を持っていたオストロブノイ社を凌いで、択捉島はギドロストロイ社の企業城下町となっている。ギドロストロイ社の社長ベルホスキーはメドヴェージェフ首相と関係が深い。

一方、2011年から2012年にかけて、パシフィックアンデス社という中国企業がロシアEEZのスケソウダラ漁の漁獲枠を60%支配していたために、独占禁止法に抵触したとされ、漁獲枠を持つ子会社の売却を命じられた。これを買収したのが、モスクワに本社があるルスコエモーレ社(直訳すると、ロシアの海)。ルスコエモーレ社の社長チムチェンコはプーチン大統領と関係が深い。

サンクトペテルブルクの副市長として政治的キャリアをスタートさせたプーチン大統領の地盤は、モスクワやコーカサスの中央にある。北方領土のインフラ整備や軍事力強化に積極的なメドベージェフ首相の地盤は、沿海州やサハリン州などの極東にある。地盤の違いが日露間の交渉に影響を及ぼしている。

両者の利害対立にカムチャッカ州の漁業利権なども絡んで、2012年締結・2014年発効の日露違法操業防止協定と、今年ロシア上下両院で可決されたサケ・マス流し網漁禁止法とで、乱獲を防ぐ姿勢をロシアは見せている。

ロシア首相、北方領土に1500億円投資表明 日本をけん制 2015/7/23 21:51 日経

【モスクワ支局】ロシアのメドベージェフ首相は23日の閣議で北方領土を訪問する意向を示した。具体的な島名や時期は明らかにしていない。2025年までに北方領土の開発に700億ルーブル(約1500億円)を投じる意向も表明した。

 雇用創出や社会インフラの開発により「民生を改善し、現在の人口を維持する」などと語った。防衛インフラの必要性も強調し「我々の国境を守る意味もある」と述べ、日本をけん制する姿勢を示した。

 2010年11月、メドベージェフ氏が大統領当時、国家元首としては初めて北方領土の国後島を訪れたほか、首相就任後の12年7月にも同島を視察した。

 ロシア首相の北方領土訪問が実現すれば、第2次安倍政権発足後では初めてとなる。


北方領土事業に日本参加を=望まなければ韓国を検討-ロシア知事代行 2015/07/25-20:58 時事ドットコム

 【モスクワ時事】タス通信によると、ロシア極東のサハリン州のコジェミャコ知事代行は25日、記者会見で「クリール諸島(北方領土と千島列島)発展の共同プロジェクトに日本も参加するよう今後活発に提案していく」と述べた。一方で「日本にその希望がなければ、韓国などの合弁企業参加を検討する」との考えを示した。

 ロシア政府は23日、現行の「クリール諸島社会・経済発展計画」(2007~15年)の次期計画(16~25年)を閣議決定。予算は700億ルーブル(約1500億円)で、インフラを整備して事実上の支配を固定化する狙いがある。 

 発展状況を視察するため、メドベージェフ首相は3回目の北方領土訪問を8月にも予定。プーチン大統領の年内訪日を控え、日ロ関係への影響が懸念されている。


ロシア人3000万人に極東移住の用意あり 2015年07月26日 16:58 スプートニクニュース

ロシア内務省職員11万人を解雇、経済苦境でプーチン氏 2015.07.25 Sat posted at 16:29 JST CNN日本版

号外 中国企業“パシフィックアンデス”にロシア漁業資産売却命令 2012/11/29 北海道機船漁業協同組合連合会

2012年11月28日
モスクワ発
[中国企業“パシフィックアンデス”にロシア漁業資産売却命令]

ロシア漁業会社を実質支配し、ロシア海域のスケトウダラの漁獲枠を管理しているとされた中国企業“パシフィックアンデス” (PacificAndes International Holdings)に対して、ロシア連邦独占禁止庁長官アルテミエフが、2012年11月28日、外国投資政府委員会は、法令違反により、ロシア漁業資産の売却命令をする決定をしたと発表した。

アルテミエフは、中国企業“パシフィックアンデス”の極東における現在の活動は合法的ではないと指摘、中国同社は違法に取得したロシア漁業資産を売却し、ロシアから退去しなければならないと言及した。

また、アルテミエフはロシアにおいて漁業は戦略的産業分野に位置付けられていて、現行法律の下では、外国投資管理のための政府委員会の承認を受けてのみ、その投資活動が許されるが、現時点において同社はその許可を得ておらず、また、ロシア政府も同社によるロシア漁船等資産購入のための許可を与えていないと語った。

更に、アルテミエフは、中国企業“パシフィックアンデス” はロシア漁業会社を実質支配し、ロシア漁業者名義で漁獲割当を確保して、主たる利益を得ていたと加えた。

(関連過去情報)
2012年10月19日 モスクワ発
[問題解決のため“パシフィックアンデス”と「ロシアの海」が合弁へ]

世界最大のフィレ製品取引業者の中国企業“パシフィックアンデス”(Pacific Andes International Holdings)は、ロシアの水産投資企業グループ“Русское море”(“ルスコエモーレ”「ロシアの海」)と主要事業を合弁で行う可能性がでてきた。

これは、ロシア漁業会社を実質支配し、ロシア海域のスケトウダラの漁獲枠を不当に管理していたとされる“パシフィックアンデス”の展開に関する問題を、ロシア政府が平和的に解決させるためのシナリオとみられ、先週(2012年10月7日からの週)、石油トレーダーで“ルスコエモーレ”主要株主のチムチェンコとロシア第1副首相シュバロフが、この件について協議したとされる。

ロシア側の提案には、中国側の加工施設の無料での使用等が盛り込まれている模様だ。

ロシア連邦独占禁止庁は、この合弁事業を行う場合、ロシア側が51%以上、中国側は49%以下に資本比率を設定すべきだとしている。

2012年04月26日 ウラヂオストク発
[ロシア大手“ルスコエモーレ”「ロシアの海」が極東漁業参画へ]

専門家が、最近、中国人オーナーとの提携について極東漁業会社の調査を開始したことを示唆する一方、大手水産グループ*“Русское море”(“ルスコエモーレ”「ロシアの海」)が、極東漁業会社から資産売却の申し入れを受けていることを明らかにした。

投資関係者は、この中国資本に関する調査が、同グループの資産入手コストを下げ、低下価格なものにすると指摘している。

大手水産グループ“ルスコエモーレ”「ロシアの海」は、かねてから極東漁業に関心をもっており、幹部関係者によれば、中国企業“パシフィックアンデス”(Pacific Andes International Holdings)に関する噂と、提携されていたとされる極東漁業会社への調査は、彼らの資産価値を削減させ、市場価値を下げる、安全な圧力ということができると語った。


参考URL:
オストロブノイ社(色丹島・本社ユジノサハリンスク)
ルスコエモーレ社(本社モスクワ)
ギドロストロイ社(択捉島)

グルジア大統領がオデッサ州知事になる滑稽

ウクライナ危機で起きたドンバス紛争で親露派に占拠された都市ドネツク。6月3日には、ドネツク郊外のマリインカやクラスノゴロフカで、政府軍と親露派(最大1000人規模)の戦闘が起きて、住民に計20人超の死者が出た、とされる。

2月の和平合意(ミンスク2)のプロセスでは撤去されることになっていた重火器を双方が使用した。

最初の和平合意(ミンスク1)は2014年9月に成立。ミンスク1は、2015年1月にドネツク空港などで大規模衝突が再発して破綻した。2月までに和平合意(ミンスク2)が発効したものの融雪期とサミット直前を迎え、戦闘が再発した。

首相、ウクライナ初訪問 2015年 06月 6日 07:55 JST ロイター

サミット前に東部で戦闘激化 双方が非難合戦 和平合意もはや形骸化 2015.6.5 21:57 産経ニュース

親ロ派がウクライナ東部に侵攻、政府軍と激しい戦闘 2015年 06月 4日 10:40 JST ロイター

そんなさなか、サアカシビリ前グルジア大統領がウクライナのオデッサ州知事に就任した。

サアカシビリ氏は、2008年の南オセチア紛争を仕掛けて、ロシアの逆撃を被り、敗北してグルジア国民の支持を失った。

今回はウクライナ国籍を取得して、親露派の反乱を鎮圧した経緯のあるオデッサ州の知事になった。欧米とのコネクションを期待しての人事のひとつであるが、国内の人材が払底している印象を受ける。グローバリゼーションからナショナリズムへの時代に逆行するあたり、ウクライナの弱さを示している。

ウクライナの知事に「反露」ジョージア前大統領 2015年05月31日 10時15分 読売新聞

【モスクワ=緒方賢一】インターファクス通信によると、ジョージアの前大統領で、親欧米路線を掲げてロシアと敵対したミハイル・サアカシビリ氏(47)が、ウクライナ南部オデッサ州の知事に就任する見通しとなった。

 ポロシェンコ大統領が近く、政府の提案に基づき任命するという。

 ポロシェンコ大統領は、「反露」の旗手であるサアカシビリ氏と共闘し、東部の武装集団を支援するロシアへの対抗姿勢を強める狙いとみられる。

 同氏は知事就任に必要なウクライナ国籍を取得したといい、29日にはフェイスブックに「私はオデッサを愛している」と書き込んだ。

草刈り場となるロシアの“柔らかい脇腹”

インドネシアとトルコ、イスラム開発銀行(Islamic Development Bank、IDB)は先月、イスラム法準拠のインフラ銀行の立ち上げ
を計画し、両国がそれぞれ少なくとも3億ドルを拠出する予定だと発表した。アジアインフラ投資銀行(AIIB)と連携する可能性とともに、その対抗馬となる可能性も秘めている。

主として、東南アジアのイスラム圏(マレーシアとインドネシア)と中央アジアの旧ソ連圏(カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、タジキスタン、キルギス)が対象とされるだろう。

100年前のオスマン帝国によるアルメニア人虐殺が、未だに欧州とトルコに外交的亀裂を生じさせている。トルコに対するロシア外交のアプローチは、NATOに加盟する彼らに、「同盟外」の安全保障の構築を訴え、相手国の国益になりそうな利害関係へのアクセスの可能性を見せる。

その見せ玉が中央アジアへのアクセス保障となるだろう。エルドアン政権以降のトルコは、テュルク系民族を統合させようとする大トルコ主義(汎テュルク主義)に傾いているように見える。イラクのクルド人支配地域への傾倒もその一環かもしれない。

正教徒の守護者を自任して、数えきれないほどの露土戦争を闘った、あのロシアがアルメニアという最大の障害を除いて、テュルク系の諸国家への回廊を作ってくれるならば、トルコの中央アジア進出は画餅とは云えなくなる。

アジア開発銀行(ADB)とアジアインフラ投資銀行(AIIB)、そしてイスラム開発銀行によるインフラ投資構想の実現。それらはインフラ提供国による規格や特許、メンテナンスにまで至る支配を促進する。これは領域的支配を伴わない帝国を誰がつくるか、という争いでもある。ロシアの最も柔らかい脇腹が、インフォーマルな帝国の草刈り場になろうとしている。

焦点:イスラム諸国がインフラ銀設立へ、アジアの案件が標的 2015年 06月 3日 12:44 JST ロイター

[2日 ロイター] - イスラム圏諸国はイスラム法(シャリア)に準拠したインフラ銀行の設立を計画している。アジアで見込まれる大量のインフラプロジェクトを狙った動きだ。

アジア開発銀行(ADB)の推計によると、アジアでは向こう10年間に毎年8000億ドル相当のインフラ投資が必要になる。また資産を裏付けとするイスラム金融の性質は、理論的には道路網や港湾などインフラを建設する上で理想的だ。

しかし法律面や政治面などの問題からイスラム金融によるインフラ投資はこれまで期間の短い中規模の案件に限られ、プロジェクトファイナンスは一握りにすぎない。

イスラム圏諸国はこうした問題を克服しようと努めている。インドネシアとトルコ、イスラム開発銀行(IDB)は先月、イスラム法準拠のインフラ銀行の立ち上げを計画し、両国がそれぞれ少なくとも3億ドルを拠出する予定だと発表した。

インドネシアのブロジョネゴロ財務相は「まずインフラ銀行を設立し、それから他の国に参加を呼び掛ける」と述べた。

IDBは中国の当局者との間で、中国政府が設立を計画しているアジアインフラ投資銀行(AIIB)によるイスラム金融活用の可能性について協議している。IDBとAIIBが共同でプロジェクトファイナンスを手掛けることになるかもしれない。

IDBとAIIBが組めば強力な存在になるだろう。AIIBが関与することで中国の外貨準備や政治的影響力が後ろ盾となり、イスラム金融に新たな投資家が参入するだろう。

マレーシアでスクーク(イスラム債)の取扱いがトップクラスであるAmインベストメント・バンクのシニアバイスプレジデント、モフド・エフェンディ・アブドラー氏は、期間が長めのイスラム債発行増加が将来のインフラ絡みの案件のプライシングに役立ちつつあると述べた。

イスラム債のインフラプロジェクトにおける役割が拡大するならば、アレンジャーは償還期間の長い案件の扱いに慣れる必要がある。トムソン・ロイター傘下のザウヤによると、昨年に国際市場で発行されたイスラム債は1140億ドルで、このうち期間が10年以上の銘柄は245億ドルにとどまった。アブドラ―氏によると、アジアのインフラ債は通常、期間が20年に達する。

イスラム債の構造が複雑なこともインフラ案件での利用が難しい一因となっている。資産の特別目的会社への移転が必要な場合があり、大規模な国家プロジェクトの場合は政治面や法制面の理由から問題になり得る。

フィッチ・レーティングスは調査ノートで、資産が管理できなくなるリスクがあったり必要な法令・規則がない場合、国や政府機関はイスラム債の採用を望まないだろうと指摘した。

(Bernardo Vizcaino記者)

ユーラシア経済連合と一帯一路の同床異夢

対ロシア外交で有名・悪名を馳せた佐藤優氏が辺野古基金に名を連ねているところから、ロシア側の対日外交の思惑はそれとなく想像できる。現在の我が国にとっての最重要課題は、シーレーンの確保とそのシーレーンを分断しようと図る中共の南シナ海における侵略を日米の軍事力で封じ込めることにある。

ロシアに対する圧力は、“対中封じ込め”に注力する中で相対的に減殺される。

たとえば普天間から辺野古への移転が一層紛糾して、“対中封じ込め”政策の進展が遅延し、窮余の策の一環として、米国がウクライナ危機に関して妥協点を探る動きを見せたり、日本がシーレーン封鎖時のリスク分散を考えて、シベリアやサハリンのエネルギーに興味を持って接近してくるならば、なおのこと好ましいと、ロシア側が打算をめぐらしていても不思議ではないし、その駒として外交官だった佐藤優氏が動くこともありえるだろう。

ここ数年のうちに正式な日露講和が成立して、北方領土が全部もしくは一部返還されても、経済的なメリットもなければ、軍事とエネルギー双方で安全保障の死活的な問題も解決できない。“対中封じ込め”の進捗に一定の成果が出て、その余波で一挙に対露交渉のボトルネックも解消する、と思われる。

日米VS中共の主戦場は南シナ海となっているが、中共が自らのシーレーン構築に頓挫する場合、頼むは“一帯一路”構想のうちの「一帯」=「新シルクロード」となる。中央アジアに対するインフラ整備をアジアインフラ投資銀行(AIIB)を使って行おうとするのに際して、ロシア側は警戒心を持ちながら自らの“ユーラシア経済連合”実現との利害調整を図っていくだろう。

習主席の3カ国訪問、各国の国家戦略と「1ベルト、1ロード」の連結に注目 2015年05月11日13:03 人民網日本語版

どこまで膨張する? 中国の「新シルクロード構想」 南太平洋からアフリカまで… 国営メディアが地図公表 2015.4.16 22:50 産経ニュース

しかし、同時にAIIBに対抗して、我が国はアジア開発銀行(ADB)と国際協力機構(JICA)と国際協力銀行(JBIC)と民間のメガバンク・総合商社などを使って、ロシアの柔らかな脇腹である中央アジア諸国に喰い込む。

麻生財務相が唱えてきた“ユーラシア・クロスロード構想”の縦線は中央アジア→アフガニスタン→アラビア海、横線は中央アジア→カスピ海→カフカス→東欧である。

ロシアが同意する場合は、シベリア鉄道とバム鉄道を再活性化させて、沿海州やシベリアに向かう中共の経済進出上の盾として協力して行動する。同意しない場合は、シベリア鉄道とバム鉄道を立ち腐れにさせて、中共との投融資競争に紛れて中央アジアからロシアを刺すべく行動する。

つまりは、ロシアとの信頼関係の構築が難航する場合には、ヴィシェグラード・グループ4ヵ国からGUAM諸国(グルジア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバ)に切り込み、米国が失敗したロシア圏からの再分離を図り、カフカスの両側で暴れ回り、カスピ海を渡ってロシアの脇腹である中央アジア諸国に喰い込むことも方策として考えられるのだ。

米 対ロシア関係で日本にくぎ刺す 5月22日 14時56分 NHK NewsWEB

首相「プーチン氏と対話」オバマ氏「慎重に」 2015年05月16日 07時00分 読売新聞

和やかながら、進展なし-米ロ外相が会談 2015年5月13日 09:00JST WSJ日本版

米国務長官、ロシア大統領と12日会談へ 2015年5月12日 01:22JST WSJ日本版

First Russia-China naval war games underway in Mediterranean MAY 11,2015,7:13 PM LA Times

プーチン氏がギリシャ企業に資金供給用意、ガスパイプライン延長で 2015年 05月 8日 00:56 JST ロイター

グレート・ゲームを忘れたオバマ政権

19世紀から20世紀にかけて英露両国はグレート・ゲームと呼ばれる覇権争奪戦を行った。グレート・ゲームは、日露戦争終結後の1907年に英露協商が結ばれるまで続いた。

その過程でペルシア(イラン)は独立を保ったが、中央アジアのチュルク系民族を支配するロシアとインド亜大陸のムガル帝国を継承した英国の狭間にあって、英露両国の緩衝地帯として勢力範囲を二分割された。同様にアフガニスタンも緩衝国の位置付けがあった。

第2次大戦にはイランは英国とソ連の進駐を受けて、米国のレンドリースを中央アジアのソ連領に輸送するペルシア回廊を持たされた。

この故事を理解すれば、米国がイランへのエンゲージメントを許せば、ロシアもまた自国の利益を追及できるところまで兵器輸出と石油のバーター取引をするのも自明の理ではなかろうか。

米国務長官が露外相に懸念 イランへのミサイルシステム禁輸措置解除で 2015.4.14 09:02 産経ニュース

ロシア、イランへのS300ミサイル禁輸を解除 2015年04月14日 07:45 AFP BB NEWS

【4月14日 AFP】イランが欧米との核協議で画期的な枠組み合意に至ったことを受け、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は13日、イランに対する高性能地対空ミサイルシステム「S300」の禁輸措置を解除する大統領令に署名した。

 イランによる核兵器開発阻止を目指した協議は今月2日に枠組みでの合意に至ったものの、難しい技術交渉はこれからで、イランに対する制裁はまだ一切解除されていない。ロシアによる禁輸解除は、それに先んじる形で行われた。

 イスラエルのユバル・シュタイニッツ(Yuval Steinitz)情報活動相は、ロシアの禁輸解除について、「準備中の核協議合意からイランが得ている国際社会での正当性の直接的な結果であり、制裁の解除に続くイランの経済成長が自国民の幸福のためではなく自国の武装に使われることを示す証拠だ」と非難。

 ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相に直接電話をかけ、同ミサイルの禁輸措置解除に関する米政府の懸念を表明。また米国防総省のスティーブ・ウォーレン(Steve Warren)報道官は首都ワシントン(Washington D.C.)で記者会見し、「わが国はこういった売却に対し、以前から公の場で反対の立場を示してきた。有用なものにはならないと考えている」として、「適切な外交ルートを通じてその点を指摘していく」という意向を明らかにした。

 一方イランは、ロシアの決定を歓迎。国営イラン通信(IRNA)によると、ホセイン・デフガン(Hossein Dehqan)国防軍需相は「(ロシアや)近隣各国とさまざまな分野で二国間協力が進めば、地域の安定と安全の維持に大きく寄与し得る」と述べた。

 ロシアは2010年、国連(UN)がイランの核開発疑惑をめぐり高性能兵器を禁輸する制裁を科したことを受けて、イランに対する同ミサイルの引き渡しを阻止していた。イランはロシアが8億ドル(約960億円)の契約を破棄したとして、スイス・ジュネーブ(Geneva)にある国際仲裁裁判所に40億ドル(約4800億円)の損害賠償を求める訴訟を起こしていた。


ロシア、イランへのミサイル禁輸を解除 原油のバーター取引開始 2015年 04月 14日 08:12 JST ロイター

[モスクワ 13日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は、イランへの地対空ミサイルシステム「S300」の禁輸措置を解除する大統領令に署名した。大統領府が13日発表した。禁輸措置は2010年に導入されていた。

ロシアを含む主要国とイランは今月、スイスのローザンヌでイラン核問題の包括的な解決に向けた枠組みで合意した。禁輸解除はこの合意を受けたものとみられる。

ロシアのラブロフ外相は、ローザンヌでの合意により「S300」の禁輸の必要はなくなったと指摘。同システムは防衛目的であることから、イランと敵対するイスラエルにとって脅威にはならないと説明した。

また、リャブコフ外務次官は、イランとの間で、原油と引き換えに穀物などを供給するバーター取引を開始したことを明らかにした。同次官は「イランから原油の供給を受ける代わりに、特定の物品を輸出している」とし、これらの物品は制裁対象ではないと述べた。

米国務省のハーフ報道官代行は、ケリー国務長官がイランへのミサイル輸出についてラブロフ外相に懸念を伝えたと発表した。

「衰微するロシアの挑戦」をどう受けて立つか

かつてソフト・パワーを説いた民主党系の論客、ジョセフ・ナイ氏が「衰微するロシアの挑戦」という題名でプーチン政権下のロシアの挑戦にどのように対処すべきか、そのロシアが抱える中長期的な社会問題とはなにかを説いている。

題名からして、ロシアは中長期的に見ても衰退の過程にある、と断じる。エネルギー資源が輸出の3分の2を占めていることを“単一作物経済”と揶揄する。また人口が減少する中で平均寿命が他の先進国と比べても10歳以上低い65歳に留まっていることを述べて、ロシアの社会システムの不健全性をまず指摘する。

彼の論旨はさらに、プーチン政権は戦略的というよりは近視眼的な機会に乗じていることを述べる。ロシアはウクライナ危機に介入し、次いでクリミア半島を併合し、その後のドンバス紛争を戦っている。そして、ロシアは中国共産党との経済的連携を深めて、欧米からの経済制裁に対応したユーラシア経済同盟を築こうとしている。この経済圏を徹底的に封じ込めるだけでは、ロシアの反発で軍事的対決の危険が拡大する。

この予測に対して欧米側は、場合によって我が国も含むが、価値基準や原理原則、安全保障体制を堅持しながらロシアとの現実的な対応が求められる、と云うのが、ジョセフ・ナイ氏の論じるところだが、ロシア側の国内生産回帰(リショアリング)も進むことは間違いなく、この件については、ニューズウィークの記事に取り上げられている。

What Sanctions? The Russian Economy Is Growing Again BY BILL POWELL / APRIL 13, 2015 2:33 PM EDT Newsweek

The Challenge of Russia’s Decline APR 14, 2015 Project Syndicate

CAMBRIDGE – As Europe debates whether to maintain its sanctions regime against Russia, the Kremlin’s policy of aggression toward Ukraine continues unabated. Russia is in long-term decline, but it still poses a very real threat to the international order in Europe and beyond. Indeed, Russia’s decline may make it even more dangerous.

Make no mistake: what is happening in Ukraine is Russian aggression. President Vladimir Putin’s pretense that Russian troops were not participating in the fighting was all but shattered recently, when a Russian fighter in Donetsk confirmed to the BBC Russian service that they are playing a decisive role in rebel advances. Russian officers, he reported, directly command large military operations in eastern Ukraine, including the siege and capture of the important transport center of Debaltseve in February.

But the threat posed by Russia extends far beyond Ukraine. After all, Russia is the one country with enough missiles and nuclear warheads to destroy the US. As its economic and geopolitical influence has waned, so has its willingness to consider renouncing its nuclear status. Indeed, not only has it revived the Cold War-era tactic of sending military aircraft unannounced into airspace over the Baltic countries and the North Sea; it has also made veiled nuclear threats against countries like Denmark.

Weapons are not Russia’s only strength. The country also benefits from its enormous size, vast natural resources, and educated population, including a multitude of skilled scientists and engineers.

But Russia faces serious challenges. It remains a “one-crop economy,” with energy accounting for two-thirds of its exports. And its population is shrinking – not least because the average man in Russia dies at age 65, a full decade earlier than in other developed countries.

Though liberalizing reforms could cure Russia’s ailments, such an agenda is unlikely to be embraced in a corruption-plagued country with an emphatically illiberal leadership. Putin, after all, has sought to promote a neo-Slavophile identity defined above all by suspicion of Western cultural and intellectual influence.

Instead of developing a strategy for Russia’s long-term recovery, Putin has adopted a reactive and opportunistic approach – one that can sometimes succeed, but only in the short term – to cope with domestic insecurity, perceived external threats, and the weakness of neighbors. He has waged unconventional war in the West, while pursuing closer ties with the East, raising the likelihood that Russia will end up acting as China’s junior partner, without access to the Western capital, technology, and contacts that it needs to reverse its decline.

But Russia’s problem is not just Putin. Though Putin has cultivated nationalism in Russia – according to Harvard University’s Timothy Colton, at a recent meeting of the Valdai Discussion Club, Putin called himself the country’s “biggest nationalist” – he found fertile ground to plow. Given that other high-level figures – for example, Dmitry Rogozin, who last October endorsed a book calling for the return of Alaska – are also highly nationalistic, a successor to Putin would probably not be liberal. The recent assassination of former Deputy Prime Minister and opposition leader Boris Nemtsov reinforces this assumption.

So Russia seems doomed to continue its decline – an outcome that should be no cause for celebration in the West. States in decline – think of the Austro-Hungarian Empire in 1914 – tend to become less risk-averse and thus much more dangerous. In any case, a thriving Russia has more to offer the international community in the long run.

In the meantime, the US and Europe face a policy dilemma. On one hand, it is important to resist Putin’s challenge to the fundamental principle that states should not use force to violate one another’s territorial integrity. Though sanctions are unlikely to change Crimea’s status or lead to withdrawal of Russian soldiers from Ukraine, they have upheld that principle, by showing that it cannot be violated with impunity.

On the other hand, it is important not to isolate Russia completely, given shared interests with the US and Europe relating to nuclear security and non-proliferation, terrorism, space, the Artic, and Iran and Afghanistan. No one will benefit from a new Cold War.

Reconciling these objectives will not be easy, especially given Ukraine’s continuing crisis. At February’s Munich Security Conference, many US senators advocated arming Ukraine – an approach that could exacerbate the situation, given Putin’s conventional military dominance there. With German leaders, including Chancellor Angela Merkel, opposed to this approach, pursuing it would also split the West, strengthening Putin’s hand further.

Others at the conference argued that the West should change the game by expelling Russia from SWIFT, the international framework for clearing bank payments. But critics point out that this would damage SWIFT and the West, whose banks would lose the hundreds of billions of dollars that Russia currently owes them. For their part, the Russians have warned informally that this would be “the real nuclear option.”

Designing and implementing a strategy that constrains Putin’s revisionist behavior, while ensuring Russia’s long-term international engagement, is one of the most important challenges facing the US and its allies today. For now, the policy consensus seems to be to maintain sanctions, help bolster Ukraine’s economy, and continue to strengthen NATO (an outcome that Putin undoubtedly did not intend). Beyond that, what happens is largely up to Putin.

ロスネフチとルクオイルが支えるロシア

ロシアの資本流出に下げ止まり感が出てきた。3月の外貨準備高は3500億ドルから3600億ドルで推移している。また原油生産量も減少していない。

ロスネフチがサハリン州のLNG施設開発に遅延が生じる、と述べているように新しい油井の開発を制限して対応するものと思われる。ふたつの石油会社、ロスネフチの生産コストは1バレル当たり4ドル、ルクオイルのそれは1バレル当たり25ドルであり、原油価格の低下に充分耐えられる。

一方、ロシア政府は予算上の要求を満たすために1バレル当たり115ドルが必要とされていた。石油会社が負担する税などのコストがどれほどのものか想像できるし、現在の財政をロシア政府は維持できないことも容易に想像できる。石油に関する税制の変更によって輸出税は引き下げられ、生産税は引き上げられている。輸出に対してインセンティブが働くだろう。

【ロシア中央銀行 外貨準備高推移】
2014年10月10日: 4517億ドル
2014年11月14日: 4206億ドル
2014年12月11日: 4146億ドル

2015年01月16日: 3794億ドル
2015年01月20日: 3781億ドル
2015年01月30日: 3763億ドル
2015年02月06日: 3747億ドル
2015年02月13日: 3683億ドル
2015年02月20日: 3646億ドル

2015年03月06日: 3567億ドル
2015年03月13日: 3517億ドル
2015年03月20日: 3529億ドル
2015年03月27日: 3608億ドル
2015年04月03日: 3553億ドル

ロシア、第1四半期の純資本流出は326億ドル=中銀 2015年 04月 10日 06:22 JST ロイター

ロシア:外貨準備高-4月3日終了週(一覧表) 2015/04/09 21:03 JST ブルームバーグ

サハリンLNG施設開発、最低2年遅れの公算=関係筋 2015年 04月 7日 23:45 JST ロイター

[モスクワ 7日 ロイター] - ロシア国営石油会社ロスネフチが、サハリンの液化天然ガス(LNG)生産施設の開発を少なくとも2年遅延せざるを得ない状況にあることが7日、関係筋の話で分かった。

価格下落に加え、ウクライナ問題をめぐる西側諸国による対ロ経済制裁で、資金調達が困難なことが背景にある。

ロスネフチは2013年、2018年からサハリンのLNG施設で年間500万トンの生産開始を目指すことで、米石油大手エクソンモービル(XOM.N: 株価, 企業情報, レポート)と合意していた。

ロシアは世界最大の天然ガス輸出国だが、大半はパイプラインを通じて欧州に輸出されている。液化することで海上輸送が可能になり、アジア諸国など新たな市場へ輸出することが期待されていた。

関係筋は2018年の目標はもはや現実的ではないと指摘。関係筋の1人は「資金難と燃料価格安で、おそらく3━5年遅れるだろう」との見方を示した。

ロスネフチの広報担当はプロジェクトの日程に変更はないと述べた。

エクソンのモスクワ支社、および米テキサス本社の広報担当はともにコメントを控えた。


ロシアから東南アジアへの旅行者が急減、ルーブル安で 2015年 04月 6日 20:10 JST ロイター

参考URL:
ロシア: 油価下落のロシア経済と石油生産に及ぼす影響 :2015/1/19 JOGMEC(PDFファイル)

最も危険なオリガルヒの一時退場

ソ連崩壊後の急進的な経済改革の過程で生まれたオリガルヒ、と呼ばれる寡占的な資本家たちはロシアのプーチン政権下で政治的主導権を奪われて、国家資本主義的な体制に取り込まれた。しかし、ウクライナのオリガルヒは未だ政治的主導権を握るだけの力を持っている。オリガルヒの影響力を減殺できるか否か、2014年のクーデターが革命と呼べるかどうかの試金石になるだろう。

ウクライナ第3位の富豪、イーゴリ・コロモイスキー氏は大統領権限によってドニプロペトロフスク州知事(任官制)を解任された。

コロモイスキー氏は、ドネツクに隣接したこの州で民兵アゾフ大隊(のちに内務省傘下)を組織して、ドネツクの親露派民兵と戦わせた。停戦が発効してからは石油輸送企業「ウクルトランスナフタ」と石油ガス国営企業「ウクルナフタ」の事務所を民兵に占拠させた。コロモイスキー氏が株式の42%を所有する「ウクルナフタ」の株式比率は現在、国会審議されていた。この不法占拠を指示したことで州知事を解任された。

その後、コロモイスキー氏は米国に短期滞在ビザで入国した、と与党「ペトロ・ポロシェンコ・ブロック」の議員が述べている。彼はウクライナ、イスラエル、キプロスのビザを所持している。

「キエフの忠実な支援者」切った大統領 ウクライナの“複層対立軸” 2015.4.6 07:00 産経ニュース

(前略)

■私財で義勇兵部隊を創設

 コロモイスキー氏は、ウクライナ最大の石油ガス国営企業ウクルナフタの株式配分などで政権側と対立を深めていた。3月22日、キエフのウクルナフタの事務所に重武装の要員が詰めかけ、周囲を取り囲んだ。警察の部隊や正規軍兵士ではない。コロモイスキー氏に忠誠を誓う民兵たちだった。

昨年、コロモイスキー氏は巨額の私財を投入し、ウクライナの領土を守る義勇兵部隊を創設した。コロモイスキー部隊は、ロシアの軍事支援を受けた親露派武装勢力との戦闘のため、ドネツク州に派遣され、のちにウクライナ正規軍の一部となった。ドニプロペトロフスク州に戦火が及ぶことはなく、州の多くの住民は「コロモイスキーが、軍事的な脅威から街を守ってくれた」と感謝した。

 昨年5月に誕生したポロシェンコ大統領はロシアのウラジーミル・プーチン大統領(62)とのパワーゲームに加え、汚職政治家が巣くう国家を立て直す責務が重くのしかかり、内憂外患状態にあった。今年に入り、キエフでは法の支配や中央の命令になびかないオリガルヒを排除する動きが広がっていた。コロモイスキー部隊の出来事は、権力闘争を繰り広げるエリートたちの目には「混乱の中で力をつけてきたコロモイスキーが強引に国営企業を乗っ取ろうとしている」と映った。

(後略)


ウクライナ議員:大富豪コロモイスキー氏 米国へ 2015年04月05日 17:20 スプートニクニュース

ウクライナの大富豪、キエフの石油会社本社を武装占拠 2015年3月24日 ウクライナ最新ニュース

ウクライナ危機に凍りつく北極海航路

かつて世界を二分した冷戦の最中、北極海の氷河を挟んで米ソ両大国は直接対峙していた。冷戦が終わり、グローバリゼーションが始まり、支那の“爆食”に代表されるようにコモディティの価格が高止まりし、コスト高になるシェールガスや極地の資源開発が進んだ。さらに氷河が溶けて北極海のシーレーンが開拓される余地が生まれた。

しかし、氷河が溶けた自然現象以外の条件が反転しつつある。ウクライナ危機から新たな冷戦が始まるかもしれず、北極海航路の安全を担保するロシアが積極的に行動できなくなる。また支那本土のバブル崩壊で“爆食”は終わりつつある。特に原油価格はサウジアラビアの政治的主導によって長期低落が始まった。シェールガスを採掘する米国、僻地からの運搬コストが掛かるロシア、核開発を進めるイランすべてに対してサウジアラビアは挑んでいる。

外交というゲームのルールを若干修正するものがあるとすれば、おそらく一番目に重要なのが米国のシェールガス革命(埋蔵エネルギー分布の変化)、それに劣後するのがロシアの北極海航路の開通(物流ルートの追加)だろう、と考えていたが、このふたつに政治経済的リスクが付随するようになった。

北極圏、権益確保へ駆け引き=日本、中国が着々布石-ロシア、制裁で動けず 2015/03/28-17:15 時事ドットコム

資源や航路開拓のフロンティアとして期待される北極圏で、将来の権益確保に向けた主要国の駆け引きが活発化している。世界経済で台頭著しい中国は発言権を高めようと、圏内諸国に急接近。日本も布石を打ち始めた。一方、ロシアはウクライナ情勢をめぐる米欧との対立で、動きが取れなくなっている。

 ◇アイスランドに500人常駐
 「資源とシーレーンの確保を念頭に、着々と布石を打っている」。英極地調査会社ポラリスク・グループのミコ・メアド氏によると、中国は既に極地用の砕氷船を保有し、観測・探査を積極的に進めているという。

 米紙によると、中国の金融機関は、資金調達が難航するロシア北極圏ヤマル半島の液化天然ガス(LNG)プロジェクトへの出資に意欲を表明した。また、メアド氏によれば、中国は北大西洋上の小国アイスランドの大使館に、常時500人が駐在。北極圏での拠点作りに余念がない。

 ◇日本、北欧を視野
 これに対し、日本が注目するのがフィンランド、スウェーデン、ノルウェーなどの北欧諸国だ。在フィンランド日本大使館によると、3カ国とロシアにまたがるバレンツ地域には大量のエネルギー・鉱物資源が眠り、冬でも凍らないため、開発が進んでいる。

 特にフィンランドは「開かれた北極海の利用に積極的で、日本の有力なパートナーとなり得る」(外交筋)存在だ。冬場に氷結するバルト海で培った航海技術、砕氷船の開発など、極地開発のさまざまなノウハウを備えており、日本企業関係者も「技術協力に大きな可能性を感じる」と話す。

 メアド氏によると、グリーンランドやカナダも、北極圏での日本との協力に高い関心を示しているという。

 ◇ウクライナ情勢が影
 北極圏には、世界の石油の13%、天然ガスの30%が埋蔵していると推定され、エネルギーを中心に資源が豊富な北極大陸棚は、ロシアが6割を有している。同国は先進国企業の技術協力を得て開発を進める計画だった。

 また、地球温暖化による海氷の縮小で、欧州とアジアを結ぶ貨物船の往来が急増。スエズ運河経由と比較すると距離を30~40%短縮することが可能だ。港湾整備など多くのプロジェクトが本格スタートすると各国企業の期待が高まったところで、長い沿岸を持つ主役のロシアが制裁でつまずいた。

 「ウクライナをめぐる対立でプロジェクトの先行きが不透明になった」。3月中旬、フィンランド北極圏で開かれた経済フォーラムで、ラップランド商工会議所のラウタヨキ会頭は嘆いた。(ヘルシンキ時事)(2015/03/28-17:15)

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