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“愛国ポルノ”が蔓延する世界とは

ベネディクト・アンダーソンはその著作『想像の共同体』において、ナショナリズムの発生過程を紐解き、国民(ネイション)が想像によってつくられた政治的共同体である、と喝破・説明した。

政治的共同体には、過去と現在と未来を均質に貫く歴史的空間が存在している。そして、国語によって語られる神話と物語が国民を涵養する。

まさに現在の台湾人は国語によって語られる神話と物語を模索している。

例えば、侯孝賢の『悲情城市』(1989年)に始まり、魏徳聖(ウェイ・ダーション)監督・脚本の『海角七号 君想う、国境の南』(2008年)、『セデック・バレ』(2011年)、『KANO 1931海の向こうの甲子園』(2014年)から成る三部作、客家を取り上げた『一八九五』(2008年)、台湾生まれの日本人を取り上げた『湾生回家』(2015年)などの作品群が、それである。

これらの映画を通じて、外来政権の正統性をすべて認めた上に、いくつかのエスニック・グループを統合したひとつのネイションを創るという、国民の創生を行っている。ここに外省人とその政党である国民党の抱擁と接合をいかに行うかが彼らの課題だろう。

(耕論)快さの裏側に 辻田真佐憲さん、早川タダノリさん 2016年2月3日05時00分 朝日新聞

上記の朝日新聞に掲載された対談形式のコラムでは、現在の保守は、軍歌がつくられた当時の状況を認識せず、違う文脈で再利用している、などと云うのを読むと、いやいや左右両派いずれにせよ芸術(サブカルチャー含む)を政治利用するではないか、とは想う。ただし、我が国のリベラル・左翼には国民という視点がすっぽり抜けていることは間違いない。

国民をつくるための物語とはあくまでも虚構と入り混じった存在である、これは間違いない。しかし、それを信じて共有することで初めて国民の一体性が出来上がる。

国民の創生という観点からは、大日本帝国の支配下・影響下にあった北東アジアの国々はいずれもその創生の神話の構築に苦しんでいる。

韓国は、李承晩の大韓民国臨時政府に正統性を求めようとして、ついに破滅の道を辿ろうとしている。朝鮮半島統治の正統性は、李氏朝鮮→大日本帝国→連合国の軍政(ソ連と米国のふたつに分裂)→北朝鮮と韓国となっている。

中共は、対日勝利70周年式典を敢行したが、これは中華民国を放伐して正統性を得た立場を否定することになる。むしろ台湾では国民党~共産党の継続性が浮上する。対日戦勝利のプロパガンダと将来の両岸統一のためには国民党との接近は欠かせない。

そして、戦後日本のリベラル・左翼にとって、国民の帰るべき時空間とは1947年の日本国憲法の制定時の前後に限定されてしまう。ひとつの憲法典の創生された瞬間に彼らは舞い戻ってしまうのだ。

“戦後レジームからの脱却”によって、戦後レジームを肯定した上で新しいレジームをつくる段階に入った我が国では、彼らリベラル・左翼は国民の創生の神話・物語をつくる想像力を失いつつある。日本国憲法制定時の狭い時空間では、物語を再生産できる材料が少なすぎるのだ。

夫婦同姓を否定するために、それは明治中期以降につくられた制度と云うが、それは近代と近代の法体系、近代国家の歩みを否定するに等しい。その時、日本国憲法も否定される可能性があることにはついぞ気付かない。彼らはあたかも日本国憲法だけが、近世と近代とポストモダンを超越した時空に存在するかのように振る舞う。それでは唯一神に等しい。

それ故に“戦後レジームからの脱却”以降のレジームに語られる神話が萌芽を見せていても、その共同体の一体性を培う物語であるはずのものを“愛国ポルノ”と揶揄する他ないのである。

彼らの愛してやまない“護憲ポルノ”以外の物語はすべて唾棄すべき国民の神話・物語に映る。彼らの想像力が枯渇しつつあり、“愛国ポルノ”に代わる物語を提示できないからこそ、彼らの叫びはより狂気じみていく。

つまりは“愛国ポルノ”が蔓延する我が国は、健全化しつつあるということになる。真に危惧するべきは、言論の自由を抑圧する“ヘイトスピーチ”が呼号されて、言葉をポリティカル・コレクトネスの名の下に見えない地下水脈へと追いやるとき、その伏流がより危険な形で噴出することにある。欧米の極左・極右の急激な勃興がそれに他ならない。
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伝統を利用できなくなったリベラルの敗北

夫婦別姓の賛否を巡り、反対派は「夫婦同姓は日本の伝統」と云い、賛成派は「夫婦同姓は明治中期以降の新しい制度」と云う。賛成派は、近代国家が法における婚姻を定義して、それが(近代国家の)伝統になったことを否定しようとする。

彼らは近代国家が制定した言語・文字体系を駆使して、江戸時代を前近代的・封建的と非難してきた。つまり、右翼・保守は歴史に回帰して、その要素を換骨奪胎しながら利用してきたのに対して、左翼・リベラルは歴史を否定して、自らの言説や立場を強化してきた。

歴史を否定してきた左翼・リベラルは、彼らが全面的に崇拝する日本国憲法が時を刻むに従って、時の呪縛にかかり、否定する手法を失って、歴史の隘路に入り込んで行かざるを得ない。

毎日新聞のコラムでは、伝統を否定してきた彼らが進んで歴史の隘路に入り込む様子がわかる。

それホンモノ?「良き伝統」の正体 2016年1月25日 毎日新聞

中国人観光客のマナーはかつての日本人のマナーと同じである、夫婦同姓は明治中期以降に制定された、江戸しぐさなるものは捏造された、戦前・戦中の殺人事件件数は今よりも多かったなどなど。

こうした過去を紐解いたところで彼らの言説が何を目指したいのかは一向に分からない。最後の段落で参院選と安倍首相の憲法改正への意欲、自民党の憲法改正草案の前文を取り上げているところから、彼らは日本国憲法が施行された1947年の瞬間をタイムリープし続けているかのようだ。日本国憲法の歴史的蓄積を否定出来ないために、歴史を否定する方法論に説得力がなくなっている。

国民(ネイション)を形成するために過去を題材に物語がつくられる。最近では台湾にこの実例を見出すことが出来る。

侯孝賢の『悲情城市』(1989年)に萌芽が見られ、魏徳聖(ウェイ・ダーション)が監督・脚本を手がけた『海角七号 君想う、国境の南』(2008年)、『セデック・バレ』(2011年)、『KANO 1931海の向こうの甲子園』(2014年)の三部作は興行的にも成功を収め、『一八九五』(2008年)は客家を取り上げ、『湾生回家』(2015年)は台湾生まれの日本人を取り上げた。

台湾人は自らを再定義するために伝統に回帰して、それらを素直に利用している。それは彼らが未来を構築するために必要だからだ。対して、我が国の左翼・リベラルは歴史の隘路から袋小路に入ろうとしている。

有害図書は事前検閲できない

現在、それぞれの地方自治体は事後検閲の形で有害図書を指定しているが、政府は消費税増税に伴う軽減税率を導入する機会に、業界の自主規制もしくは法律に基いて有害図書を定めようとしていた。

しかし、租税法律主義に基づけば、予め条文に有害図書の範囲を定めなければならない。法律によって有害図書を決めることは事前検閲に該当し、言論の自由・表現の自由の侵害となる。

参議院の予算委員会において、日本を元気にする会の山田太郎議員は、言論の自由・表現の自由の侵害との言質を首相ほか閣僚から引き出した。

書籍・雑誌における有害図書の線引きは今国会では見送りとされたが、事前検閲になる以上、憲法を改正しないかぎり、永遠に見送りにされるのは間違いない。

軽減税率、「書籍」の線引きを今国会は見送り 政府・与党 2016/1/18付 日本経済新聞

麻生財務相が「『チャタレイ夫人の恋人』を回し読み」を“告白” 軽減税率線引きめぐり奇妙な例え… 2016.1.18 12:43 産経ニュース

与党は税制改革大綱で、有害図書に対しては消費税増税に伴って導入される書籍・雑誌の軽減税率を適用しないよう検討することとなった。菅官房長官は、有害図書を線引きするには各自治体の条例が全国一律ではないため、議員立法か業界の自主規制によって、その一律化を図ろうとした。

ここで憲法上、租税は法律によって定めなければならない、という憲法第84条にある租税法律主義が出てくる。

有害図書を軽減税率の対象から除外するには、業界の自主的な基準ではなく法律によって定義するしかない。それが租税に関するものであっても、法律によって有害図書を先に指定することは事前検閲に当たる。

もともと法律よりも下位にある条例が、事後検閲の形で有害図書を指定するのは言論の自由の侵害スレスレの行為である。しかも担当者の恣意的運用に左右される。また、業界の自主規制なる目に見えない事前検閲というのも厄介である。

少なくとも、事前検閲は言論の自由・表現の自由の侵害に当たるので、法的に有害図書を指定することは出来ない、という言質は重要な成果だろう。

参考URL:
今日の山田太郎議員の質問を見て感心した2016-1-18 ニコ生を見て大幅追記1-21 togetter

ポストモダンにおける宗教の換骨奪胎と再構築

欧米を覆う多文化主義やダイバーシティ(多様性)の促進は、近代の脱宗教化によって力を失ってきたキリスト教の文化的影響力そのものを社会から排除しようとしている。

ニューヨークの高級百貨店のショーウィンドウからクリスマス色が失われていることを嘆くWSJのコラムニストの将来への危惧が正しければ、いずれ信仰心と関わりない形式的なキリスト教の残滓も奪われる。

合衆国の公的な場から「Merry Christmas!」という挨拶が無くなり、「Happy Holidays!」という挨拶に代わりつつある。そして、合衆国の大統領は就任の際、聖書に手を置いて宣誓することもなくなるだろう。

【オピニオン】死に絶えたクリスマス、様変わりのNY繁華街 2015年 12月25日 18:15 JST WSJ日本版

一方、我が国ではポストモダンにおける宗教の換骨奪胎と再構築が進んでいる。宗教の再構築、そして行き着く社会の再構築に必要なものは回帰しうるものに左右される。つとに遡及しうる過去の文化的財産によって、それぞれの文明圏の将来が決まる。

大安・仏滅など「六曜」掲載 冊子の配布見送り 12月25日 大分合同新聞

In 'non-religious' Japan, the shrine can still exert a pull SEPTEMBER 6, 2015 The Christian Science Monitor

Japan’s Enduring Spookiness NOV 1, 2015 The Atlantic

東アジアで共産国家の中国と香港に続いて非宗教的な国でありながら、明治神宮への初詣や伊勢神宮の式年遷宮への参拝数増加を例に挙げて、無宗教を名乗る日本人の根強い宗教性にクリスチャン・サイエンス・モニターの記事は「ただの観光か、それともそれ以上の何かが」と、まるで困惑しているかのようだ。

日本の宗教が絶対的な神を中心とせず、自然と人間の関係中心に回っていることを理解していない。

アトランティック誌の論説は、我が国におけるハロウィンの受容を取り上げ、より具体的な歴史的連関を捜して、江戸時代の大衆文化と現在のサブカルチャーである『ゲゲゲの鬼太郎』や『妖怪ウォッチ』などとの親和性を見出した。

ところが、こうした米国の意見を代弁するコラムニストたちは、明治神宮が高々100年の歴史しか有さないことを指摘しない。「明治」という近代化の時代を記念する社に、古代と同じ原生林を人工的に作り出したことを彼らが発見しない限り、その困惑は解消しないだろう。

つまり、明治人はその締めくくりに1万年続いた縄文時代との接点をつくり、近代化の果てに古代への回帰と再生が可能な文化的種子を蒔いたのだ。

ギリシア・ローマを再発見した人文主義が現在の多文化主義に行き着いた西欧。日本と違い天然・自然にではなく万里の長城の向こうに脅威を感じた支那。人工的な宗教国家であるがゆえに対極的な非宗教性が力を持ち、ポリティカル・コレクトネスとダイバーシティに左右される北米。伝統的イスラムへの執着と離脱の間で混乱するアラブ・中東。

これらの文明圏と日本の文明がポストモダンにおいて決定的に違う点は、それぞれの文明が有する遥かな過去にまで遡及される。

ボーイング737と777X、ARJとMRJ

日中両国が競って民間航空機市場に参入しようとしている。そんな中、我が国では三菱航空機が手掛けるリージョナルジェットのMRJが試験飛行に成功した。

一方、中共にも同様のリージョナルジェットのARJを2007年以降生産して、2008年に試験飛行に成功している。

事業主体は、国有企業の中国商用飛機(COMAC)である。彼らは中型機のC919 の開発も進めている。ただし、これらの国産機は欧米での型式証明を取得できないため、事実上の国内専用の運用となる。

習国家主席の訪米の際に、ボーイング社との間にボーイング737の300機発注と現地工場の生産契約を結んでいるが、その事業主体も中国商用飛機(COMAC)であり、さらにややこしいことにエアバス社も天津に類似の施設を既に保有している。

どうやら、中国共産党とその国有企業は、初手から供給過剰の問題にぶつかるように思われる。

さて、我が国の思惑はどうか。

2014年6月15日のエントリーで述べたように、

ボーイング777Xの生産に参画する三菱重工業(子会社通じて、MRJも生産)、川崎重工業(XC-2、P-1も生産)、新明和工業(US-2も生産)、日本飛行機の5社が新たに設備投資を行なう都道府県は、愛知県、岐阜県の東海地方、広島県などいずれも自動車産業の基盤がある地域に限られている。必然的に下請け、孫請けの設備投資もこの近辺が多くなっていく。航空宇宙関連に限らず、防衛産業全般もこの傾向が高まっていくと思われる。

航空宇宙産業の産業集積地を作ろうとしている。

その余録に与ろうと、関東地方ではIHIエアロスペースのように「(横田基地に近い)瑞穂工場では防衛省向けだけでも常時800基超のエンジンのメンテナンスを請け負っている」と、外注に頼る格安航空会社(LCC)の増加により、メンテナンスで収益を上げようとしている。

また、IHIはエンジン部品をOEMで製造している。

動力を伝達するロングシャフトなど中核部品を手掛け、250人乗り以上の航空機向けエンジンに限れば世界7割のシェアを持つ。

2014年3月期連結決算を見ると、営業利益ベースでは航空・宇宙が全体の56%を占めている。おそらく、艦船用の蒸気タービンとジェット機用のガスタービンの類似性がノウハウの蓄積と継承、転用に役立っている。

YS-11の教訓を生かし海外シェア狙う 2015.11.14 08:30 産経ニュース

 航空機器メーカー、大起産業(三重県東員町)に勤める小森禎和は11日、小型ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」の初飛行の模様を、自宅のテレビで娘と観賞した。同社は、MRJの中胴前部や後部ドアの周辺部材を造っている。「お父さんも一緒に造ったんだよ」と話しかけると、娘は「すごいね」とほほ笑んだ。

 三菱航空機が拠点を置く中部地方は、航空機関連の中小企業による産業集積が進む。三菱重工業は来年10月から中小企業10社を集め、松阪工場(三重県松阪市)でMRJの部品を共同生産する。一貫生産でコスト競争力を高めるのが狙いだ。中胴前部の組み立てを手がけるテックササキ(名古屋市熱田区)専務の大西清幸は「納期短縮やコスト削減に貢献し、量産を支えたい」と力強く話す。

(下段省略)


安全性証明 ゼロからの出発 納期順守へ正念場 2015.11.13 08:00 産経ニュース

納入事業者から脱却、「やり遂げる」と訴えた血判状 13年前の悲願 2015.11.12 08:03 産経ニュース

MRJ初飛行に成功 半世紀ぶり国産機 すでに400機を受注 2015.11.11 17:56 産経ニュース

夢を乗せて離陸、53年ぶりに国産旅客機が初飛行 2015.11.11 09:36 産経ニュース

MRJ、11日初飛行 事業化から7年 初の国産ジェットがいよいよ大空へ 2015.11.10 19:00 産経ニュース

中国初の中距離ジェット旅客機C919は国産ではない?疑問視の声に開発メーカーが反論「外国人には一銭も払っていない」―中国 2015年11月3日(火) 21時50分 レコードチャイナ

習近平の航空機”爆買い” チタン業界に漂う軍事産業の影 2015年10月09日(Fri) WEDGE Infinity

日米で装備共同開発加速を アジア向け供給網を構築 森本敏・元防衛相インタビュー 2015.10.8 07:00 産経ニュース

豪潜水艦受注が国産装備輸出の試金石 初動立ち後れの舞台裏 “日英同盟”も浮上 2015.10.7 07:00 産経ニュース

「日本装備の技術は洗練されている」 課題はコスト 求められる海外での実績作り 2015.10.6 07:00 産経ニュース

防衛装備の海外移転で中国封じ込め 太平洋の安全保障に力こぶ 民間各社も海外展開前のめり 2015.10.5 07:00 産経ニュース

政投銀、国産小型ジェット「MRJ」に大規模投資へ 1千億円規模も 2015.9.27 12:10 産経ニュース

川崎重工、ボーイング「777X」新工場建設に着手 2017年の生産開始に向け 2015.9.24 13:07 産経ニュース

ボーイング、中国から380億ドル相当の受注獲得 2015年 09月 24日 08:38 JST ロイター

中国が米ボーイングにジェット機300機発注、施設建設も合意-新華社 2015/09/23 17:18 JST ブルームバーグ

IHIの航空事業、快走の秘密に迫る 牽引役はエンジンメンテナンス 2014年6月10日(火) 日経BP

「事故なく飛べるのか?」日本『MRJ』に敵愾心むき出し中国『ARJ』だが…航空市場からは“無視”の哀愁 2015.1.6 06:00 産経ニュース

“同盟調整メカニズム”の運用開始

2015年は、安倍首相の米国上下両院合同議会での演説、戦後70年談話の発表によって、“戦後レジームからの脱却”が成就・宣言された、と同時に新しいレジーム構築の端緒となった年として歴史に刻まれるだろう。

2016年頃までには、新しいレジームの姿はかなり明確な形になっていくのではないか。

筆者は2012年11月15日のエントリーで、2012年の世界情勢を1936年に比定していた。

すると、2013年は1937年、2014年は1938年、2015年は1939年、2016年は枢軸国(日独伊三国同盟)が形成された1940年となる。

当時の日米戦争の阻止限界点は、1940年の北部仏印進駐であり、日独伊三国同盟の締結にあった。

1940年の昔、日米関係は悪化の一途を辿り、当時のフランクリン・D・ルーズベルト政権は、屑鉄の対日輸出禁止を行った。当時、本邦の鉄鋼業界は電炉主体で、充分な高炉を持っていなかった。また、松岡外相が日独伊三国同盟の自動参戦条項を骨抜きにしていたことを米国側は掴んでいなかった。

さて、2015年の今、日米ガイドラインの改定、安保法制2法の成立公布、TPPの大筋合意、米中首脳会談の不調など一連の結果を受けて、「航行の自由作戦」が始まった。

現在のところ、米国側は人工島周辺の12海里以内に空母を通過させず、中共側は外交筋は人工島の“領海”という文言を使用していない、など互いに抑制的ではある。

さらに、中印の合同軍事演習の実施や米中海軍同士の電話会談が行われ、日中韓首脳会談の定例化が約束される、など対立国同士の思惑を相互理解する機会を設けたり、軍隊同士の偶発的衝突を回避するメカニズムを構築しよう、という動きも多々見られる。

US Astrategic Ambiguity in the South China Sea? November 05, 2015 The Diplomat

How China Maintains Strategic Ambiguity in the South China Sea October 29, 2015 The Diplomat

China and India Hold Joint Military Exercise October 12, 2015 The Diplomat

しかし、第1次大戦前の欧州協調が互いの動員計画を優先したために壊れたことや、冷戦下でもキューバ危機以前には米ソホットラインが存在しなかったことを考えあわせると、現在のアラブ・中東地域の内戦と、中共が建国以来初めて経験するバブル崩壊の進捗次第では、こうした対立国の危機回避が破綻する可能性もある。

その意味で、日米ガイドラインの改定に伴う日米両軍の同盟調整メカニズムの運用開始は、「グレーゾーン」事態への対処や「航行の自由作戦」への海自参加に道を開くことになり、安全保障の枠組みがより強力な抑止力として働くことになる。

首相動静―11月4日 2015年11月4日21時26分 朝日新聞

【午前】9時37分、官邸。43分、谷垣禎一自民党幹事長。10時37分、谷内正太郎国家安全保障局長、北村滋内閣情報官、秋葉剛男外務省総合外交政策局長、河野克俊防衛省統合幕僚長。11時20分、中国経済連合会の山下隆会長ら。45分、ダンフォード米統合参謀本部議長の表敬。

(後段省略)


日米が同盟調整の新たな仕組み、自衛隊と米軍の共同対処を強化 2015年 11月 3日 17:55 JST ロイター

[東京 3日 ロイター] - 日米両政府は3日、自衛隊と米軍の共同対処力を強化する新たな「同盟調整メカニズム」の運用を開始することで合意した。当局同士が平時から連絡や政策調整を行うための仕組みで、今年4月の「防衛協力の指針」(ガイドライン)改定で強化した日米同盟の実効性を担保する。

外務・防衛当局の局長級からなる日米防衛小委員会が同日、了承した。朝鮮半島有事など日本の周辺事態や、日本が直接攻撃を受けた有事にのみ始動する従来の調整メカニズムを変更し、「グレーゾーン」事態や日本の大規模災害時にも、この枠組みを使って自衛隊と米軍の活動を調整できるようにした。

北朝鮮がロケットと呼ぶ飛翔体を打ち上げたり、武装した漁師が日本の島を占拠した場合も対象となる。「ガイドラインの実効性を確保する上で非常に重要な仕組み。平素から緊急事態まで活用できるようになる」と、防衛省幹部は話す。

あわせて両政府は、共同作戦計画を策定するための「共同計画作成メカニズム」を設置することでも合意した。日米はこれまで作戦計画をあくまで「検討」するとしてきたが、新たな枠組みのもと、実際の策定作業に移行する。共同作戦の存在を対外的にアピールすることで、抑止力を高める狙い。

日本と米国は今年4月、自衛隊と米軍が協力し、平時から有事まであらゆる事態に対処できるようガイドラインを改定した。新しい同盟調整メカニズムを設置することも明記し、運用開始に向けて協議を続けてきた。

“戦後レジームからの脱却”の成就を宣言する

すでに2015年5月5日のエントリーでまとめたが、今年4月末の訪米における上下両院合同の議会演説で、安倍首相は事実上、“戦後レジームからの脱却”を宣言した。

議会演説は当然のごとく対米関係の視点から述べているのに対して、今回の戦後70年談話は国民の視点から述べられている。内外で2回に渡って宣言したことで、明快に“戦後レジームからの脱却”は成就した、と受け取って良いだろう。

8月14日という日付にも意義を見出すことができる。もしも、村山談話と河野談話の上書きをポツダム宣言受諾の8月15日に被せると、戦前回帰の疑念を深めさせてしまい、“対中封じ込め”に参画する英米や豪州、インド、ASEAN、台湾との間に角が立つ。

我が国の方法論としては、現代の東アジアと太平洋の国際秩序を形成する根幹、サンフランシスコ講和条約を否定する中共のレバレッジを借りて、戦後レジームから脱却するべきだろう。我が国はあくまでも講和条約に沿って行動しつつも、一方で彼らを煽り立て、国際秩序を再構築する。

と、2013年6月3日のエントリーで予測していたように、彼らの稚拙な外交軍事政策が我々のレバレッジとしてすべて有利に働いた。その意味で敵手たる中国共産党に感謝しなければならないだろう。

そして、談話が発表された只今からは戦後レジームの既得権益を国内で享受する者たちに対する追撃戦、掃討戦が始まる、と考えられる。

【戦後70年談話】 首相談話全文 2015.8.14 18:03 産経ニュース

戦後70年の安倍首相談話の全文は以下のとおり。



 終戦七十年を迎えるにあたり、先の大戦への道のり、戦後の歩み、二十世紀という時代を、私たちは、心静かに振り返り、その歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならないと考えます。

 百年以上前の世界には、西洋諸国を中心とした国々の広大な植民地が、広がっていました。圧倒的な技術優位を背景に、植民地支配の波は、十九世紀、アジアにも押し寄せました。その危機感が、日本にとって、近代化の原動力となったことは、間違いありません。アジアで最初に立憲政治を打ち立て、独立を守り抜きました。日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけました。

 世界を巻き込んだ第一次世界大戦を経て、民族自決の動きが広がり、それまでの植民地化にブレーキがかかりました。この戦争は、一千万人もの戦死者を出す、悲惨な戦争でありました。人々は「平和」を強く願い、国際連盟を創設し、不戦条約を生み出しました。戦争自体を違法化する、新たな国際社会の潮流が生まれました。

 当初は、日本も足並みを揃えました。しかし、世界恐慌が発生し、欧米諸国が、植民地経済を巻き込んだ、経済のブロック化を進めると、日本経済は大きな打撃を受けました。その中で日本は、孤立感を深め、外交的、経済的な行き詰まりを、力の行使によって解決しようと試みました。国内の政治システムは、その歯止めたりえなかった。こうして、日本は、世界の大勢を見失っていきました。

 満州事変、そして国際連盟からの脱退。日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました。

 そして七十年前。日本は、敗戦しました。

 戦後七十年にあたり、国内外に斃れたすべての人々の命の前に、深く頭を垂れ、痛惜の念を表すとともに、永劫の、哀悼の誠を捧げます。

 先の大戦では、三百万余の同胞の命が失われました。祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦陣に散った方々。終戦後、酷寒の、あるいは灼熱の、遠い異郷の地にあって、飢えや病に苦しみ、亡くなられた方々。広島や長崎での原爆投下、東京をはじめ各都市での爆撃、沖縄における地上戦などによって、たくさんの市井の人々が、無残にも犠牲となりました。

 戦火を交えた国々でも、将来ある若者たちの命が、数知れず失われました。中国、東南アジア、太平洋の島々など、戦場となった地域では、戦闘のみならず、食糧難などにより、多くの無辜の民が苦しみ、犠牲となりました。戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません。

 何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。一人ひとりに、それぞれの人生があり、夢があり、愛する家族があった。この当然の事実をかみしめる時、今なお、言葉を失い、ただただ、断腸の念を禁じ得ません。

 これほどまでの尊い犠牲の上に、現在の平和がある。これが、戦後日本の原点であります。

 二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。

 事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。

 先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓いました。自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら不戦の誓いを堅持してまいりました。七十年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは、静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります。

 我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。

 こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります。

 ただ、私たちがいかなる努力を尽くそうとも、家族を失った方々の悲しみ、戦禍によって塗炭の苦しみを味わった人々の辛い記憶は、これからも、決して癒えることはないでしょう。

 ですから、私たちは、心に留めなければなりません。

 戦後、六百万人を超える引揚者が、アジア太平洋の各地から無事帰還でき、日本再建の原動力となった事実を。中国に置き去りにされた三千人近い日本人の子どもたちが、無事成長し、再び祖国の土を踏むことができた事実を。米国や英国、オランダ、豪州などの元捕虜の皆さんが、長年にわたり、日本を訪れ、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれている事実を。

 戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人の皆さんや、日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜の皆さんが、それほど寛容であるためには、どれほどの心の葛藤があり、いかほどの努力が必要であったか。

 そのことに、私たちは、思いを致さなければなりません。

 寛容の心によって、日本は、戦後、国際社会に復帰することができました。戦後七十年のこの機にあたり、我が国は、和解のために力を尽くしてくださった、すべての国々、すべての方々に、心からの感謝の気持ちを表したいと思います。

 日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。

 しかし、それでもなお、私たち日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません。謙虚な気持ちで、過去を受け継ぎ、未来へと引き渡す責任があります。

 私たちの親、そのまた親の世代が、戦後の焼け野原、貧しさのどん底の中で、命をつなぐことができた。そして、現在の私たちの世代、さらに次の世代へと、未来をつないでいくことができる。それは、先人たちのたゆまぬ努力と共に、敵として熾烈に戦った、米国、豪州、欧州諸国をはじめ、本当にたくさんの国々から、恩讐を越えて、善意と支援の手が差しのべられたおかげであります。

 そのことを、私たちは、未来へと語り継いでいかなければならない。歴史の教訓を深く胸に刻み、より良い未来を切り拓いていく、アジア、そして世界の平和と繁栄に力を尽くす。その大きな責任があります。

 私たちは、自らの行き詰まりを力によって打開しようとした過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきである。この原則を、これからも堅く守り、世界の国々にも働きかけてまいります。唯一の戦争被爆国として、核兵器の不拡散と究極の廃絶を目指し、国際社会でその責任を果たしてまいります。

 私たちは、二十世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい。二十一世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしてまいります。

 私たちは、経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、いかなる国の恣意にも左右されない、自由で、公正で、開かれた国際経済システムを発展させ、途上国支援を強化し、世界の更なる繁栄を牽引してまいります。繁栄こそ、平和の礎です。暴力の温床ともなる貧困に立ち向かい、世界のあらゆる人々に、医療と教育、自立の機会を提供するため、一層、力を尽くしてまいります。

 私たちは、国際秩序への挑戦者となってしまった過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、我が国は、自由、民主主義、人権といった基本的価値を揺るぎないものとして堅持し、その価値を共有する国々と手を携えて、「積極的平和主義」の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献してまいります。

 終戦八十年、九十年、さらには百年に向けて、そのような日本を、国民の皆様と共に創り上げていく。その決意であります。

 平成二十七年八月十四日

 内閣総理大臣 安倍晋三


参考URL:
20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と 日本の役割を構想するための有識者懇談会 報告書 平成27年8月6日 首相官邸(PDF)

TPPで密航船お断りします

豪州の野党・労働党は、党大会で密航船を水際で阻止し、代替措置として2025年までに難民受け入れ枠を現行2倍の年間2万7千人する方針を明らかにした。

また、我が国は難民審査を厳格化して、難民申請中に就労可能とする現行制度の見直しを進めている。この動きを国連、日弁連が非難している、と朝日新聞が伝えているが、豪州と我が国の政策転換には、TPP交渉の進展がある。

特別リポート:「スバル」快走の陰で軽視される外国人労働者 2015年 07月 28日 22:28 JST ロイター

米「マレーシアの人権改善」 15年版報告書で評価引き上げ 2015/7/28 1:01 日経

難民審査厳格化「見直しを」 国連・日弁連・NGO、次々意見 2015年7月26日05時00分 朝日新聞

密航船、水際で追い返せ 豪野党、難民対策を強硬路線に 2015年7月25日19時42分 朝日新聞

TPP交渉の権限を大統領に与えるTPA法には、米国国務省が毎年発表する人身売買報告書で最低ランクとされた国家との間の通商協定を禁じる条項がねじ込まれている。

今年度の報告書発表を遅らせ、ランクを一段階引き上げたマレーシアについて、早速疑惑あり、と民主党のメネンデス上院議員が追及し始めている。

富士重工業(スバル)の好業績に、仲介業者(国務省の報告書にかかると人身売買業者)が連れてきた亡命申請者など、安価に使われる外国人労働者の闇がある、とロイターは伝えている。200人程度のロヒンギャのコミュニティが群馬県館林市にあるのも事実だ。

TPPは域内間のヒト・モノ・カネの流動性を高めるが、同時に不法移民や反社会的組織と構成員、犯罪性のある財貨を締め出す効果もある。この点は見逃せない。

インバウンド消費とラチェット効果

外国人観光客には消費税免税となる一般消費財(コスメや食料品)が増えて、観光ルートにあるコンビニでも免税カウンターを試験的に導入するようになった。

見方を変えると、ひとつには旅行収支の黒字で貿易収支の赤字を調整している。ひとつには消費税は輸出には掛らないので非関税障壁(もしくは一種の輸出促進税)になり得る、ということだ。

外国人観光客の誘致はある意味で諸外国の消費を奪うことでもあるのだが、移民でGDPを拡大させようとする欧米各国よりは社会混乱のタネにはなりにくい。

との主旨を2014年12月8日のエントリーでは述べた。

2014年のビザ発行は287万件、その7割が中国人向け 2015年05月22日 21時39分 IRORIO

外務省は2014年におけるビザ発給の概況を発表した。概況によると、発給数が過去最高になったことが分かった。2014年のビザ発行は287万件、その7割が中国人向けとなっている。これは“爆買い”を裏付ける結果となった。

2014年のビザ発給数は287万3755件。2013年の186万4425件と比較して約54%増加で、2010年の188万5584件、2012年の198万6539件を超えて過去最高となった。インバウンド観光客を増やそうとする政策効果が順調に出ている。

“爆買い”と政策効果が重なったため、中国が圧倒的となっており、国別で上位は次の通りとなった。

1位 中国:204万8108件
2位 フィリピン:16万3386件
3位 インドネシア:14万3437件
4位 ベトナム:9万6648件
5位 インド:6万6696件
6位 ロシア:5万7606件
7位 ブラジル:3万4217件
8位 タイ:2万1322件
9位 アメリカ:1万9017件
10位 韓国:1万8861件

上記記事から特筆すべき点をいくつか挙げられる。

1. 過去最高のビザ発給数。
2. この発給数の7割が中国人。
3. 南アフリカ除くBRICS諸国は上位10位に入る。
4. フィリピン、インドネシア、ベトナム、タイなどASEAN諸国は、発展途上の国(人口ボーナス期ピークが遅い)ほど発給数が多い。
5. 民主党政権下に推進された沖縄数次ビザ、東北三県数次ビザは機能していない。

となると、以下2014年12月11日のエントリーで、

人口ボーナスの最先発は1993年にピークを迎えた日本。2020年までに人口ボーナス期を終える先発国グループには2014年の韓国、2015年の中国、2017年のタイ、他に香港、台湾、シンガポールが含まれる。後発国グループは2030年のインドネシア、2040年のベトナム、2045年のインド、2050年のマレーシア、2055年のフィリピンなどが並ぶ。

先発国グループの富裕層と中間層を訪日観光客として取り込み、後発国グループは順番に中間層を育成して現地需要を取り込む我が国の戦略が現在行われていると云って良い。

と、述べたよりも後発国グループの富裕層の来日が増えていると思われる。

北東アジアと東南アジア及び南アジア各国の人口ボーナス期から人口オーナス期に移る時間差が、我が国の経済成長率の鈍化と安全保障予算の縮小と中共の経済成長率の伸びと安全保障予算の拡大という対称的な変化を招いた。

これと同じ流れが中国共産党の挑戦を受けているインド、フィリピン、ベトナムに起きる。そして、インドネシアもこの流れに追随する。こうして人口オーナス期に入る中共はタイを除くASEAN諸国とインド、これに連動する日米豪の挑戦を受ける形になる。

ASEAN諸国と、さらに防衛協力関係を強化するベトナム、フィリピンなどの経済発展で中共に対抗しようとする図式もある。

次はインバウンド消費の今後について、2015年2月10日のエントリーの一部再掲となる。

もうひとつはインバウンド消費を促す円安は日銀の量的質的緩和が根本にあるが、日銀の質的量的緩和によって、円は対ドルで約20%下落した。円安は実質的に「賃金」を上昇させるとともに、外国人労働者の過度の流入を防ぐ。

なぜなら円高では、ドルで換算される「賃金」が上がるものの輸出は不利となり、国内雇用は総じて減少する。また輸入品価格が下がるものの円で換算される「賃金」にデフレ圧力が掛かる。ドルベースでは「賃金」が上がっているため、外国での雇用もしくは外国人労働者の輸入が有利になり、円ベースの「賃金」にさらなる下落圧力が掛かる。

2014年訪日外国人は1341万人、うち中国人は240万9200人に及び全体の約18%を占める。さらに訪日外国人の旅行消費は約2兆円、うち中国人は約5600億円。旅行消費全体の25%を超えている。インバウンドを増やす方が、中共にサービス業を進出させるよりもリスクは少なくて済む。彼らの旺盛な消費意欲はバブル崩壊から起算して5年から8年は継続するだろう。

インバウンド消費の行方は大体、ラチェット効果に沿って推移すると思われる。可処分所得が低下しても、人間は慣れ親しんだ(転売・賄賂含む)消費行動をそう変えられないからだ。2020年の東京オリンピック前後をインバウンド消費のピーク、と予想するのが自然だろう。

〔クロスマーケットアイ〕急落する中国株、「インバウンド消費」への冷水警戒 2015年 06月 22日 17:16 JST ロイター

[東京 22日 ロイター] - 日本の国内消費を支える「インバウンド消費」に、減速警戒感が強まっている。バブル的様相を示していた中国株が急落。高値からの下落率が本格調整のめどとなる10%を超えてきた。中国株がさらに下落し、消費ムードに水を差せば、海外旅行や日本国内でのいわゆる「爆買い」に影響が出る可能性もある。

<本格調整入りめどの10%超える下落>

面白いデータがある。中国からの訪日観光客の出身別地域と、株式投資の含み益の比較だ。来日観光客の出身別では、2013年7─9月時点で、上海が25%、北京16%、広東11%の順となっている。一方、今年1─4月の株式含み益は上海地区の株式保有者が15万元でトップ、2番目が北京の8万元(広東は浙江に次いで4番目)と、ともに1位、2位が同じ都市となっている。

入手可能なデータの違いで比較する時点が異なるほか、大都市から多くの観光客が来日するのは当然とも言えるが、このデータに注目するSMBC日興証券・金融経済調査部シニアエコノミストの肖敏捷氏は、中国株が急落すれば来日観光客の中心である大都市層の「懐」に、多少なりとも影響が出る可能性があると警戒する。

上海総合指数 は前週19日の市場で6%を超える大幅安となった。6月12日に付けた7年半ぶりの高値5178ポイントからの下落率は13%となり、本格調整入りのめどといわれる10%を割り込んできた。年初からみれば、依然として38%高の水準にあるが、このまま急落が続けば「逆資産効果」への懸念が強まる。

肖氏によると、中国では今こんなブラックジョークが流行っている。「株が急落すると、朝までの下落ならなら、お土産はなし、昼までなら海外旅行はなし、夕方までなら、パパはなし(帰ってこない)」。それだけ中国株の急落が庶民の話題になっているということだろう。

<所得水準上昇で底堅い消費>

ただ、中国経済が、これまでの株価の上昇でバブル的な活況を呈していたわけではない。消費は小売売上高が5月まで3カ月連続で前年比10%を超える増加となり、比較的堅調だが、国内総生産(GDP)成長率は投資の減速で7%台に減速。反動はそれほど大きくならない可能性がある。

また、中国人の消費や海外旅行を押し上げているのは、株高よりも所得水準の上昇とみられている。国民の平均的な所得水準を示す1人当たり国民総生産(GDP)は、2014年の4万6652元(1元=20円で約93万円)と10年前の約3.8倍に増加している。

円安も中国観光客の「爆買い」を誘っている。いわゆるアベノミクス相場が始まる前は1人民元13円程度だったが、今や20円程度と約54%上昇した。中国人からみれば、円が54%減価し、かつて1000円だった日本の商品が500円程度で買える印象だろう。

さらに昨年は中国から240万人が来日したが、中国の海外旅行者全体の2%に過ぎない。香港へは4000万人が訪れており、訪日中国人の増加余地は大きいといえる。その意味で「インバウンド消費」は始まったばかりの可能性が高い。

だが、中国における株式市場のインパクトが。日々大きくなっているのも事実だ。中国の個人金融資産に占める株式保有比率は、2012年で10%程度(中国住民収入分配年度報告)だったが、足元の株ブームで口座数は急増。中国証券登記結算(CSDC)のデータによると、上海と深センの両市場で今年5月の株式口座開設数は、1200万口座を超えている。

<日本株市場でもインバウンド関連株が人気>

日本人投資家の中国株の保有額は10億ドル程度とみられ、それほど大きいわけではない。センチメントには影響を与えるかもしれないが、中国株の急落を受け、日本株を投げ売りする必要性に迫られる投資家は少ないとみられている。

しかし、日経平均 が15年ぶり高値に達した日本株の中身をみると、輸出株がさえない一方で、内需株が支えている。年初からの値上がり率上位銘柄には、コーセー などインバウンド消費関連株が多数占める。中国からのインバウンド消費がどうなるかは、日本株市場にとっても大きな問題だ。

5月の全国百貨店売上高は、店舗数調整後で前年比6.3%増の4886億円と大きなプラス。中でも訪日外国人売上は、中国や韓国、ASEAN諸国からの旅行客数が増加したことから、前年比266.4%増と、過去最高の伸びを記録した。   その中でも使うお金は中国が断トツだ。2014年でみると、旅行者数は台湾や韓国の方が中国より多かったが、旅行支出額は中国が5583億円と全体の4分の1以上を占める。1人当たりでみても、中国は23万1753円と、韓国の7万5852円や台湾の12万5248円を大きく引き離している(トップはベトナムの23万7814円)。

海外旅行客のための宿泊所が足りない、接客する人が足りないとして、非製造業の設備投資や雇用も増加。日本に経済の好循環をもたらしているのは、実はインバウンド消費の占める要素が大きい。インバウンド消費が減速してしまえば、日本の経済自体の好循環が止まってしまいかねない。中国株の行方はアベノミクスの先行きを占うキーポイントでもある。 (伊賀大記 編集:田巻一彦)

イルカ追い込み漁で追い込まれるリベラル

世界動物園水族館協会(WAZA)は、日本動物園水族館協会(JAZA)へ会員資格「停止」をちらつかせて、イルカ追い込み漁を通じたイルカ入手を禁じた。

この顛末は、グローバリゼーションの帰結のひとつとして、極左から中道左派・リベラルの世論形成力が世界規模で失われている証左として見ることもできる。

もともと、極左からリベラルまでが掲げる手厚い弱者救済策は、冷戦下の西側諸国だけで閉鎖された国民経済の成長力と、再分配の合意に頼っていた。そのために政治基盤は、労組に所属する製造業などの労働者だった。

しかし、先行した新自由主義とそれを助長したグローバリゼーションのなかで、彼らの政治的基盤は失われた。

現在、彼らの拠って立つところは、ごく一握りの人々がグローバリゼーションのなかでリベラル的な連帯感を持てる場所に限られてしまった。そのために幅広い支持層を持てず、発言はますます過激化し、支持層はさらに先細りしていく。

人事と予算は独占され、チェック機能が働かない、腐敗と汚職が隣り合わせの閉じられた世界の出来事は、外部からは特に醜いものになる。

腐敗と汚職を是正する民主的な投票の機会もなく、閉じられた世界では得てして常識が通用しなくなる。分配のための破壊を呼号するポピュリズムと、破壊のおこぼれに与ろうとする機会主義者すら存在せず、妄想の入り混じった陰謀論と、それに追随する妄信者だけが存在する。

彼らは、人事と予算を掌握している圧力団体(WAZA)を使って、影響下に置かれている人々に選択の余地がない選択肢を迫っているに過ぎない。そして、日本の水族館に対してイルカの入手方法を変更せよ、しなければ団体から除名する、と通告した。一見ソフィスティケートされているが、内実は脅迫である。

除名されれば希少種は入手不可になる。集客の目玉になる希少種がいなくなれば、旭山動物園のような“行動展示”など目立った特徴を持たなければ、中長期的に存続不可になるからである。

しかし、視点を転じてみよう。多数派を占めている圧力団体が、世界情勢の変化で団体の成員ごと入れ替えられてしまったり、団体の持つ利権分配能力に不満が高まり、誰も右に倣えをしなくなれば、もはや取るべき方法がないことを逆に証明している。

下記の記事によれば、イルカ漁で捕獲されたイルカを輸入している国々は意外と多い。イルカが水族館の集客の目玉であれば、それもまた利権である。

相手国で最も頭数が多いのは、急速な経済発展で水族館建設がブームになっている中国で、毎年30~50頭。韓国にも2014年に12頭、2013年にはロシアへ15頭、ウクライナへ20頭を輸出。過去10年を見るとアメリカ、台湾、ベトナム、タイ、イラン、トルコ、サウジアラビア、UAEなどにも輸出実績がある。

つまり、交渉の進展中に、日本側が多数派工作を成功させる可能性もあった。

そもそも、日本の領海で行われ、国内法で規定されているイルカ追い込み漁を、国際法で即時禁じることはできない。

なぜ、イルカ追い込み漁が残酷なのか、については証明できていない。なぜ、イルカが賢い動物なのか、については証明できていない。この議論のボトルネックは、これが動物権論の延長線であり、もとを正せば人種優越論の反転であり、この点を突かれては彼らのリベラル的正義も瓦解する。

だからこそ、交渉が進展する前に、脅迫する強行手段しか選択肢がないのだ。

日本のイルカ漁非難のWAZA 太地のイルカ輸入国も除名すべき 2015.05.22 07:00 NEWSポストセブン

水族館からイルカが消える?世界動物園水族館協会と朝日新聞に共通の偏向 2015年5月23日 DIAMOND ONLINE

Japanese dolphin-hunting town may add breeding farm Fri, May 22, 2015 Taipei Times


人種優越論者が動物権を主張する論者へと反転した論理的帰結については、以下にある2011年10月5日のエントリーを一読していただきたい。

ビートたけしがホスト役を務める日本人(捕鯨賛成)VSオーストラリア人(捕鯨反対)の討論をYoutubeで見返してみた。番組の演出や討論者の仕込みがあることを差し引いても、オーストラリア人は自らが主張する論理的帰結が到達する危険性をまったく理解していない。

曰く賢い動物は殺してはいけない、曰く管理できない動物は殺してはいけない、曰く他に食べる動物があるから殺してはいけない、曰く欧米化したのだから食文化も欧米化すべきとのことだ。

文化様式を守る点では同じだがイヌイットは捕鯨をして良いことになっている。完全に欧米化するか、もしくは白人の脅威にならなければ捕鯨は認めて良いらしい。確かにイヌイットやアボリジニは最早、脅威にはならないからだ。

さらに恐るべきは、賢い動物を殺してはいけないのなら、賢くない動物は殺して良いことになる。管理できない動物を殺していけないのなら、管理できる動物は殺して良いことになる。何が賢さを決定するのかは措くとしよう、管理云々に既にして生殺与奪の決定権があると思っているのも措くとしよう。これを論理的に突き詰めると以下のことが正当化できる。

賢いゲルマン民族は殺してはいけないが、賢くないユダヤ人やロマは殺して良い。管理できるスラブ人はゲルマン民族の奴隷にして、管理できないユダヤ人やロマはゲットーに送るか強制収容所で抹殺して良い。然してナチズムが亡霊の如く甦る。

この論理的帰結がもたらす危険性に気付いていないとすれば、気付かせた方が良いだろう。まだしも偽装されたもしくは対象をすり替えた人種差別主義を続けるならば、白豪主義に回帰した方が良い。それもまた言論・思想の自由に他ならないからだ。別段、彼らが人種差別主義を唱えたところで我々はそれを覆すだけの実力は持っている。

されば先島諸島にも基地利権を与えよ

自衛隊と米軍の基地利権が奄美群島、先島諸島に分散することで、沖縄が抱える構造的な経済格差は是正されなくとも、少なくとも沖縄本島に集中している利権の再分配には役立ち、地元の政治的力学も変化を余儀なくされる。しかし、それ故に沖縄本島の基地反対運動は衰えるべき理由が見当たらない。

基地利権にまつわる土地の賃貸収入(年間約900億円)、沖縄県に支払われる地方交付税(年間約2000億円)と国庫支出金(年間約1600億円)、内閣府に計上される沖縄振興予算(年間約3000億円)、さらに防衛省の沖縄方面に費やされる予算(年間約1800億円)程度が沖縄本島から与那国島や宮古島、石垣島などの先島諸島、または鹿児島県の奄美群島に分散されることになる。

基地利権は、インフラを整備する供給力の保持とその富の再分配にも直結する。地元資本の建設土木企業が請け負い、東京に本社を置くゼネコンやコンサルが関与する仕組みにせよ、冷戦終結からバブル崩壊を受けて、拓銀破綻でとどめを刺されて、そうした利権誘導装置を喪失した北海道に比べれば、優遇されていることは間違いない。

地元が持っている理想として、中継貿易や観光への待望論を語る向きがあるにせよ、前提条件としてインフラの整備維持と米軍と自衛隊の安全保障を抜きにしては、どんな高邁な理想も語れまい。

陸自警備部隊、宮古島2カ所に配備 ゴルフ場と牧場、市長に伝達へ 用地取得費の数十億円計上へ 2015.5.11 05:00 産経ニュース

 防衛省は10日、沖縄・宮古島に配備を計画している陸上自衛隊「警備部隊」について、島中部にあるゴルフ場「千代田カントリークラブ」と北部の「大福牧場」の2カ所の用地を取得し、部隊を配備する方針を固めた。左藤章防衛副大臣が11日、宮古島市を訪れ、下地敏彦市長に配備方針を伝える。下地氏から部隊の受け入れに同意を得られれば防衛省は平成28年度予算案概算要求に用地取得費として数十億円を計上する。

 防衛省は警備部隊の施設として(1)駐屯地(2)訓練場(3)隊員宿舎-を整備し、30年度末までに約600人の隊員を擁する部隊配備を完了させる。1カ所に地対艦ミサイル(SSM)、もう1カ所に地対空ミサイル(SAM)を置く。

 宮古島の警備部隊は、東シナ海で挑発を強めている中国軍の海・空戦力ににらみを利かせるため、艦艇と航空機に対処するSSMとSAMの配置を重視している。宮古島や周辺離島で災害が発生した場合も警備部隊が対応にあたる。

 中国を念頭に置く南西防衛強化に伴う警備部隊配備は鹿児島・奄美大島に続くもので、防衛省は沖縄では石垣島にも配備する方針。

 左藤氏は11日、石垣市も訪問し、中山義隆市長に部隊配備に向けた調査に着手したい意向を伝え、了承を得られれば約1年かけて配備候補地を絞り込む。石垣島でも宮古島と同規模の部隊を配備し、SSMとSAMも配置する。


先島諸島の宮古島は軍事空白域となっており、早急に航空自衛隊の基地も置くべきだろう。

2015年には宮古島と伊良部島間に伊良部大橋が開通しており、休止中の下地島空港までのアクセスも可能になっている。民間の訓練用に開設されたこの空港は、3000m滑走路と滑走路両端にはILS(計器着陸装置)が整備されているものの、フライトシミュレーターの普及によって2014年以降は大型機の訓練はなくなり事実上休止状態となっており、抜本的な黒字化策は軍民共用化しかない。

下地島と伊良部島は入江で隔てられているが隣接している。2005年には宮古島の自治体と合併して宮古島市となっている。

下地島空港の軍事利用は、1971年の屋良覚書と1979年の西銘確認書が障害となっている。しかし、2004年の漢級原子力潜水艦領海侵犯事件に際して、沖縄県が抗議声明も出さず沈黙したために、旧伊良部町の住民の一部が自衛隊を駐屯させるべきとの請願が提出されて、のち反対派により撤回される動きもあった。

宮古島に配備される予定のSAMと12式SSMの対空・対艦ミサイル部隊とレーダーサイト施設の監視部隊を展開する目的は、中共の主張する第一列島線の防衛となりそうだ。人民解放軍は、長距離巡航ミサイルとそのキャリア爆撃機、車載移動型ランチャーを保有している。彼らは、ここを突破してグアム島の第二列島線に進出するための飽和攻撃を行うとするだろう。

中国軍機、沖縄本島と宮古島の間を通過 初の西太平洋往復の遠海訓練「今後も実施する」 2015.5.21 22:19 産経ニュース

 【北京=川越一】中国国防省は21日、同国空軍機が同日に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡上空を抜け、西太平洋上空で訓練を終えて帰還したことを明らかにした。空軍機が同海峡を抜け、西太平洋で訓練を行ったのは初めてとしている。

 中国空軍機は3月にも台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通過し、初めて西太平洋に入るなど、対米防衛ラインとして設定する第1列島線(九州-沖縄-台湾-フィリピン)を越える訓練を活発化させている。

 同省公式サイトに掲載された写真から、21日の訓練に使われたのは、中国軍のH-6K爆撃機とみられる。中国空軍の申進科報道官は「航空部隊による遠海での機動作戦能力を高めた」と主張した。

 カナダの中国語軍事専門誌は最近、中国空軍が第1列島線を突破し、小笠原諸島やグアムを結ぶ第2列島線まで作戦行動範囲を拡大するため、新型の長距離爆撃機を開発する方針を決めたと報じた。

 申報道官は「訓練は特定の国や地区、目標に対するものではない」と“脅威論”を牽制(けんせい)しつつ、「今後も状況を見ながら、第1列島線を越えて展開する遠海訓練を実施する」と述べた。

ついに今“戦後レジームからの脱却”は果たされた

改定された日米新ガイドラインや我が国の常任理事国入りを支持する日米共同ビジョン声明など日米首脳会談の注目点は多々あれど、その白眉は上下両院合同の議会演説だった。この議場で、安倍首相は同じ文言は使わなかったが事実上、“戦後レジームからの脱却”を宣言した。

米国の民間情報機関STRATFOR(ストラトフォー)もまた、これらの施策を実行するには、第2次大戦後の日本の秩序のa fundamental breakが必要と論じており、米国側からも“戦後レジームからの脱却”は追認されたと考えて差し支えないだろう。

さて、2013年6月3日のエントリーで、

我が国の方法論としては、現代の東アジアと太平洋の国際秩序を形成する根幹、サンフランシスコ講和条約を否定する中共のレバレッジを借りて、戦後レジームから脱却するべきだろう。我が国はあくまでも講和条約に沿って行動しつつも、一方で彼らを煽り立て、国際秩序を再構築する。

と、述べたように果たせるかな、米国の“ピボット”もしくは“リバランス”と中共の“海のシルクロード”を利用して、言い方を換えればワシントンの賛意と北京の敵意を受けて、“戦後レジームからの脱却”は成就した。控えめには脱却の第一歩かもしれないが、第1次安倍政権からの念願が叶ったことは実に慶賀に堪えぬ。

もちろんその代価は高い。歴史の針は1939年と相似しており「欧州情勢奇々怪々」が再現されつつある。米国VS支那VSロシアVS欧州VS英国の構図に敢然として我が国は米国に付いた。この同盟は勝ち馬にしなければならない。

U.S.-Japan: A Pacific Alliance Transformed May 04, 2015 The Diplomat

Prelude to a Japanese Revival April 29, 2015 Real Clear World / Stratfor

【復活する日本の前奏曲】

(一部抜粋)
Stratfor has long argued that the post-Cold War status quo of relative introversion and economic stagnation in Japan was unsustainable. We believed that internal and external pressures ultimately would compel Japan to play a far more proactive role in regional and global affairs. And we said this process would likely entail a fundamental break with the social, political, economic and foreign policy order that has defined Japan since World War II.

ストラトフォーは、ポスト冷戦下の日本の国際関係における相対的な内向性と経済的停滞を現状として維持することは不可能である、と長らく論じてきた。我々は、内外の圧力が究極的には日本をして地域情勢及び国際情勢に積極的役割を果たすように強いるであろう、と信じてきた。そして我々には、このプロセスはおそらく第2次大戦以降の日本を定義してきた社会的、政治的、経済的、外交政策の秩序を基礎から破壊することが必要である、と述べました。


首相の米議会演説の全文 2015/4/30 1:33 日経

■はじめに

 議長、副大統領、上院議員、下院議員の皆様、ゲストと、すべての皆様、1957年6月、日本の首相としてこの演台に立った私の祖父、岸信介は、次のように述べて演説を始めました。

 「日本が、世界の自由主義国と提携しているのも、民主主義の原則と理想を確信しているからであります」。以来58年、このたびは上下両院合同会議に日本国首相として初めてお話する機会を与えられましたことを、光栄に存じます。お招きに、感謝申し上げます。

 申し上げたいことはたくさんあります。でも「フィリバスター」(長時間演説による議事妨害)をする意図、能力ともに、ありません。皆様を前にして胸中を去来しますのは、日本が大使としてお迎えした偉大な議会人のお名前です。

 マイク・マンスフィールド、ウォルター・モンデール、トム・フォーリー、そしてハワード・ベーカー。民主主義の輝くチャンピオンを大使として送って下さいましたことを、日本国民を代表して、感謝申し上げます。

 キャロライン・ケネディ大使も、米国民主主義の伝統を体現する方です。大使の活躍に、感謝申し上げます。私ども、残念に思いますのは、ダニエル・イノウエ上院議員がこの場においでにならないことです。日系アメリカ人の栄誉とその達成を、一身に象徴された方でした。

■アメリカと私

 私個人とアメリカとの出会いは、カリフォルニアで過ごした学生時代にさかのぼります。家に住まわせてくれたのは、キャサリン・デル・フランシア夫人。寡婦でした。亡くした夫のことを、いつもこう言いました、「ゲイリー・クーパーより男前だったのよ」と。心から信じていたようです。

 ギャラリーに、私の妻、昭恵がいます。彼女が日ごろ、私のことをどう言っているのかはあえて聞かないことにします。デル・フランシア夫人のイタリア料理は、世界一。彼女の明るさと親切は、たくさんの人をひきつけました。その人たちがなんと多様なこと。「アメリカは、すごい国だ」。驚いたものです。

 のち、鉄鋼メーカーに就職した私は、ニューヨーク勤務の機会を与えられました。

 上下関係にとらわれない実力主義。地位や長幼の差に関わりなく意見を戦わせ、正しい見方ならちゅうちょなく採用する。

 この文化に毒されたのか、やがて政治家になったら、先輩大物議員たちに、アベは生意気だと随分言われました。

■アメリカ民主主義と日本

 私の名字ですが、「エイブ」ではありません。アメリカの方に時たまそう呼ばれると、悪い気はしません。民主政治の基礎を、日本人は、近代化を始めてこのかた、ゲティズバーグ演説の有名な一節に求めてきたからです。

 農民大工の息子が大統領になれる――、そういう国があることは、19世紀後半の日本を、民主主義に開眼させました。日本にとって、アメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした。出会いは150年以上前にさかのぼり、年季を経ています。

■第2次大戦メモリアル

 先刻私は、第2次大戦メモリアルを訪れました。神殿を思わせる、静謐(せいひつ)な場所でした。耳朶(じだ)を打つのは、噴水の、水の砕ける音ばかり。一角にフリーダム・ウォールというものがあって、壁面には金色の、4000個を超す星が埋め込まれている。その星一つ、ひとつが、斃(たお)れた兵士100人分の命を表すと聞いたとき、私を戦慄が襲いました。

 金色(こんじき)の星は、自由を守った代償として、誇りのシンボルに違いありません。しかしそこには、さもなければ幸福な人生を送っただろうアメリカの若者の、痛み、悲しみが宿っている。家族への愛も。

 真珠湾、バターン・コレヒドール、珊瑚海……、メモリアルに刻まれた戦場の名が心をよぎり、私はアメリカの若者の、失われた夢、未来を思いました。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。私は深い悔悟を胸に、しばしその場に立って、黙とうをささげました。

 親愛なる、友人の皆さん、日本国と、日本国民を代表し、先の戦争に斃れた米国の人々の魂に、深い一礼をささげます。とこしえの、哀悼をささげます。

■かつての敵、今日の友

 みなさま、いまギャラリーに、ローレンス・スノーデン海兵隊中将がお座りです。70年前の2月、23歳の海兵隊大尉として中隊を率い、硫黄島に上陸した方です。近年、中将は、硫黄島で開く日米合同の慰霊祭にしばしば参加してこられました。こう、おっしゃっています。

 「硫黄島には、勝利を祝うため行ったのではない、行っているのでもない。その厳かなる目的は、双方の戦死者を追悼し、栄誉をたたえることだ」

 もうおひとかた、中将の隣にいるのは、新藤義孝国会議員。かつて私の内閣で閣僚を務めた方ですが、この方のおじいさんこそ、勇猛がいまに伝わる栗林忠道大将・硫黄島守備隊司令官でした。これを歴史の奇跡と呼ばずして、何をそう呼ぶべきでしょう。

 熾烈(しれつ)に戦い合った敵は、心の紐帯(ちゅうたい)が結ぶ友になりました。スノーデン中将、和解の努力を尊く思います。ほんとうに、ありがとうございました。

■アメリカと戦後日本

 戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました。自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代首相と全く変わるものではありません。

 アジアの発展にどこまでも寄与し、地域の平和と、繁栄のため、力を惜しんではならない。自らに言い聞かせ、歩んできました。この歩みを、私は、誇りに思います。焦土と化した日本に、子ども達の飲むミルク、身につけるセーターが、毎月毎月、米国の市民から届きました。山羊も、2036頭、やってきました。

 米国が自らの市場を開け放ち、世界経済に自由を求めて育てた戦後経済システムによって、最も早くから、最大の便益を得たのは、日本です。下って1980年代以降、韓国が、台湾が、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国が、やがて中国が勃興します。今度は日本も、資本と、技術を献身的に注ぎ、彼らの成長を支えました。一方米国で、日本は外国勢として2位、英国に次ぐ数の雇用を作り出しました。

■環太平洋経済連携協定(TPP)

 こうして米国が、次いで日本が育てたものは、繁栄です。そして繁栄こそは、平和の苗床です。日本と米国がリードし、生い立ちの異なるアジア太平洋諸国に、いかなる国の恣意的な思惑にも左右されない、フェアで、ダイナミックで、持続可能な市場をつくりあげなければなりません。

 太平洋の市場では、知的財産がフリーライドされてはなりません。過酷な労働や、環境への負荷も見逃すわけにはいかない。許さずしてこそ、自由、民主主義、法の支配、私たちが奉じる共通の価値を、世界に広め、根づかせていくことができます。

 その営為こそが、TPPにほかなりません。しかもTPPには、単なる経済的利益を超えた、長期的な、安全保障上の大きな意義があることを、忘れてはなりません。

 経済規模で、世界の4割、貿易量で、世界の3分の1を占める一円に、私たちの子や、孫のために、永続的な「平和と繁栄の地域」をつくりあげていかなければなりません。日米間の交渉は、出口がすぐそこに見えています。米国と、日本のリーダーシップで、TPPを一緒に成し遂げましょう。

■強い日本へ、改革あるのみ

 実は……、いまだから言えることがあります。20年以上前、関税貿易一般協定(GATT)農業分野交渉の頃です。血気盛んな若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとり、農家の代表と一緒に、国会前で抗議活動をしました。

 ところがこの20年、日本の農業は衰えました。農民の平均年齢は10歳上がり、いまや66歳を超えました。

 日本の農業は、岐路にある。生き残るには、いま、変わらなければなりません。私たちは、長年続いた農業政策の大改革に立ち向かっています。60年も変わらずにきた農業協同組合の仕組みを、抜本的に改めます。

 世界標準にのっとって、コーポレート・ガバナンスを強めました。医療・エネルギーなどの分野で、岩盤のように固い規制を、私自身が槍(やり)の穂先となりこじあけてきました。人口減少を反転させるには、何でもやるつもりです。女性に力をつけ、もっと活躍してもらうため、古くからの慣習を改めようとしています。

 日本はいま、「クォンタム・リープ(量子的飛躍)」のさなかにあります。親愛なる、上院、下院議員の皆様、どうぞ、日本へ来て、改革の精神と速度を取り戻した新しい日本を見てください。日本は、どんな改革からも逃げません。ただ前だけを見て構造改革を進める。この道のほか、道なし。確信しています。

■戦後世界の平和と、日本の選択

 親愛なる、同僚の皆様、戦後世界の平和と安全は、アメリカのリーダーシップなくして、ありえませんでした。省みて私が心から良かったと思うのは、かつての日本が、明確な道を選んだことです。その道こそは、冒頭、祖父の言葉にあったとおり、米国と組み、西側世界の一員となる選択にほかなりませんでした。

 日本は、米国、そして志を共にする民主主義諸国とともに、最後には冷戦に勝利しました。この道が、日本を成長させ、繁栄させました。そして今も、この道しかありません。

■地域における同盟のミッション

 私たちは、アジア太平洋地域の平和と安全のため、米国の「リバランス」(再均衡)を支持します。徹頭徹尾支持するということを、ここに明言します。

 日本はオーストラリア、インドと、戦略的な関係を深めました。ASEANの国々や韓国と、多面にわたる協力を深めていきます。日米同盟を基軸とし、これらの仲間が加わると、私たちの地域は格段に安定します。日本は、将来における戦略的拠点の一つとして期待されるグアム基地整備事業に、28億ドルまで資金協力を実施します。

 アジアの海について、私がいう3つの原則をここで強調させてください。第1に、国家が何か主張をするときは、国際法にもとづいてなすこと。第2に、武力や威嚇は、自己の主張のため用いないこと。そして第3に、紛争の解決は、あくまで平和的手段によること。

 太平洋から、インド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。そのためにこそ、日米同盟を強くしなくてはなりません。私たちには、その責任があります。

 日本はいま、安保法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき、日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応が、はるかによくできるようになります。この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう。

 戦後、初めての大改革です。この夏までに、成就させます。ここで皆様にご報告したいことがあります。一昨日、ケリー国務長官、カーター国防長官は、私たちの岸田外相、中谷防衛相と会って、協議をしました。いま申し上げた法整備を前提として、日米がそのもてる力をよく合わせられるようにする仕組みができました。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みです。

 それこそが、日米防衛協力の新しいガイドラインにほかなりません。昨日、オバマ大統領と私は、その意義について、互いに認め合いました。皆様、私たちは、真に歴史的な文書に、合意をしたのです。

■日本が掲げる新しい旗

 1990年代初め、日本の自衛隊は、ペルシャ湾で機雷の掃海に当たりました。後、インド洋では、テロリストや武器の流れを断つ洋上作戦を、10年にわたって支援しました。その間、5万人にのぼる自衛隊員が、人道支援や平和維持活動に従事しました。カンボジア、ゴラン高原、イラク、ハイチや南スーダンといった国や、地域においてです。

 これら実績をもとに、日本は、世界の平和と安定のため、これまで以上に責任を果たしていく。そう決意しています。そのために必要な法案の成立を、この夏までに、必ず実現します。

 国家安全保障に加え、人間の安全保障を確かにしなくてはならないというのが、日本の不動の信念です。人間一人ひとりに、教育の機会を保障し、医療を提供し、自立する機会を与えなければなりません。紛争下、常に傷ついたのは、女性でした。わたしたちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけません。

 自衛隊員が積み重ねてきた実績と、援助関係者たちがたゆまず続けた努力と、その両方の蓄積は、いまやわたしたちに、新しい自己像を与えてくれました。いまや私たちが掲げるバナーは、「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」という旗です。繰り返しましょう、「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」こそは、日本の将来を導く旗印となります。

 テロリズム、感染症、自然災害や、気候変動――。日米同盟は、これら新たな問題に対し、ともに立ち向かう時代を迎えました。日米同盟は、米国史全体の、4分の1以上に及ぶ期間続いた堅牢(けんろう)さを備え、深い信頼と、友情に結ばれた同盟です。自由世界第一、第二の民主主義大国を結ぶ同盟に、この先とも、新たな理由付けは全く無用です。それは常に、法の支配、人権、そして自由を尊ぶ、価値観を共にする結びつきです。

■未来への希望

 まだ高校生だったとき、ラジオから流れてきたキャロル・キングの曲に、私は心を揺さぶられました。

 「落ち込んだ時、困った時、……目を閉じて、私を思って。私は行く。あなたのもとに。たとえそれが、あなたにとっていちばん暗い、そんな夜でも、明るくするために」

 2011年3月11日、日本に、いちばん暗い夜がきました。日本の東北地方を、地震と津波、原発の事故が襲ったのです。そして、そのときでした。米軍は、未曽有の規模で救難作戦を展開してくれました。本当にたくさんの米国人の皆さんが、東北の子供たちに、支援の手を差し伸べてくれました。

 私たちには、トモダチがいました。被災した人々と、一緒に涙を流してくれた。そしてなにものにもかえられない、大切なものを与えてくれた。希望、です。米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、希望である、希望でなくてはなりません。

 米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。希望の同盟――。一緒でなら、きっとできます。ありがとうございました。


日米が共同ビジョン声明を発表-70年に及ぶ同盟関係を称賛 2015/04/29 01:25 JST ブルームバーグ

日米共同ビジョン声明要旨 2015/04/28-23:22 時事ドットコム

 日米両首脳が28日に合意した「日米共同ビジョン声明」の要旨は次の通り。

 第2次世界大戦終戦から70年を迎える本年、かつての敵対国が不動の同盟国となり、和解の力を示す模範となっている。

 安倍晋三首相とオバマ大統領との会談は日米のパートナーシップの変革における歴史的な前進を画する。日本の「積極的平和主義」、米国のアジア太平洋リバランス(再均衡)戦略を通じ、地域および世界の平和で繁栄した将来のために緊密に連携する。

 日米はダイナミックかつ急成長するアジア太平洋地域および世界中で、貿易および投資のルールを定めるため取り組みを主導。環太平洋連携協定(TPP)の2国間交渉で大きな進展があったことを歓迎し、より広い協定の迅速かつ成功裏の妥結を達成するために取り組む。

 新たな防衛協力の指針(ガイドライン)は、日本がグローバルな安全への貢献を拡大することを可能にする。この地域およびそれを超えた地域において日米が海洋安全保障を含む事項で緊密な形で取り組み、他の国々と連携することを可能にする。米国は日米安全保障条約に基づく自らのコミットメントに固い決意を持つ。

 日米は気候変動および環境悪化が引き起こす脅威などグローバルな課題に対処する。

 米国は日本を常任理事国に含む形で国連安全保障理事会が改革されることを期待する。

 日米はグローバルな協力を拡大すべく努める上で、航行および上空飛行の自由を含む国際法に基づく規範の促進などの原則に従う。力や強制により一方的に現状変更を試みることで主権および領土一体性の尊重を損なう国家の行動は、国際的な秩序に対する挑戦だ。(ワシントン時事)

「文官統制」の廃止とは「文民統制」の確立

内閣府の世論調査によれば「自衛隊増強すべし」との意見は6年前の14.1%から29.9%となった。安全保障の関心は「中国の軍事力の近代化や海洋における活動」を挙げた人は60.5%でトップとなり、「朝鮮半島情勢」の52.7%を上回った。国民の対中シフトが鮮明になった訳であり、防衛省設置法12条の改定もその流れにあると云える。

現行法では大臣の下に制服組の各幕僚長がいて、背広組の官房長と局長が補佐することになっており、大臣の下に置かれていなかった。改正法では制服組と背広組は等しく大臣の下に置かれる。東京新聞はこれを「文官統制」の廃止と見出しを付けて批判的である。しかし、ようやくこれで文民統制(シビリアン・コントロール)が確立することになる。つまり、シビリアン・コントロールとは国民によって選ばれた代議士が軍人を統制することであって、国民に選ばれていないキャリア官僚が軍人を統制することなどでは断じてないのだ。

内閣府世論調査:安全保障の関心、中国の軍事力・海洋活動がトップ 2015/03/07 19:02 JST ブルームバーグ

「文官統制」廃止閣議決定 防衛省設置法改正案、議論なく 2015年3月6日 夕刊 東京新聞

政府は六日午前、防衛省の内部部局(内局)の背広組(文官)が制服組自衛官より優位に立つと解釈される「文官統制」規定を廃止する、同省設置法改正案を閣議決定した。今国会での成立を目指すが、政治を軍事に優先させた文民統制(シビリアンコントロール)を損なう懸念が残る。改正案は、武器輸出を拡大する司令塔となる「防衛装備庁」(仮称)新設も盛り込んでいる。 (中根政人)

 改正案では、防衛相が制服組の統合幕僚長や陸海空の幕僚長に指示などをする場合、背広組の官房長や局長が補佐するとした現行法の規定を廃止。各幕僚長が、官房長や局長と対等な立場で防衛相を補佐するように改める。また、自衛隊の運用を担当している内局の運用企画局を廃止し、業務を制服組の統合幕僚監部に一元化する。

 文官統制は戦前の旧日本軍の暴走を教訓に、政治を軍事に優先させた文民統制の一環。文官を制服組自衛官より優位な立場に置くことで、防衛省内の文民統制を補強する手段とされてきた。今回の法改正は、文民統制を弱体化させるとの懸念が出ている。

政治的に“正しく人の命を弄ぶ”

人命は政治的には票と利権と予算に換算され得るし、経済的には金銭に換算され得る。かつ他者の人命に対しては、他人であるがゆえに、我々は少なからず自己投影を余儀なくされる。

こうした身も蓋もない現実には得てして倫理の仮面が付けられ、社会的常識によって抑制されるものだ。しかし、当の後藤氏の母親が記者会見の席でまったく関連性のない反原発の主義・主張を行ったことで、倫理的節度のメーターが振り切れてしまった。

もはやこの時点で、一般常識とか道徳とか倫理は投げ捨てられたに等しい。これでは事件を政治的利用するに歯止めが効かない。倫理的な外見を失うとすれば、著しく露悪的な情景が展開されても構わなくなる。

後藤さん殺害とみられる動画投稿、安倍首相「テロに屈しない」 2015年 02月 1日 10:08 JST ロイター

アングル:自衛隊の邦人救出、人質事件で今国会の論点に急浮上  2015年 02月 1日 23:26 JST ロイター

“他者の視点にまったく立たずに、自己の都合でいいように捻じ曲げる”という病的なまでの自己投影が映し出す独善さ、その極北に立つ意味で、安倍政権を批判する左翼とリベラルの態度は、自らをジハーディストと規定しているISIS(イスラム国)のテロリストと何ら変わりない。コーランには、ジハードに際しては異教徒は殺すか、身代金を取るかの二者択一とされており、明快極まりない露骨な人命の政治的・経済的利用が説かれている。

我が国の左翼とリベラルも、露骨な人命の政治的・経済的利用を行い続けるだろう。彼らは、政治的に“正しく人の命を弄ぶ”には彼らの道徳や倫理は他者に対する情愛に欠けているように想う。

そこにあるのは何ら自己犠牲ではない。一切の客観視を捨てた自己陶酔と、傲慢さを絵に書いたような自己投影の発露であって、他者が感じる痛みも悲しみも、無意識のうちに自己の利益を計算して自己に編入されている。それではまったく立場の違う他者を救うなど、政治的にも経済的にも倫理的にも果たせないだろう。

燃料電池車は間に合ったか

米国が先行・主導しているシェールガスとシェールオイル、オイルサンドの掘削・生産技術が確立した背景には、原油価格の高止まりがあった。我が国で先行・主導している燃料電池車(FCV)の開発も同様の背景がある。

原油価格のトレンドが反転した2014年のうちに「トヨタ・MIRAI」が販売開始できた。タイミングとしてはギリギリ間に合った感がする。1バレル100ドルのレンジの間に、シェールガスの採掘が立ち上がり、燃料電池車の生産が立ち上がり、日米ともに産油国に対するカウンターやブラフを持てるようになった。

そして、政府の税制優遇、財政援助、インフラ整備がこれらのイノベーションを助けるのに大きな部分を占めている。特にEVベンチャー、テスラ・モーターズの収益源は他の自動車メーカーに販売する「ZEV排出枠(クレジット)」に頼っている。カリフォルニア州政府の定める制度がこのメーカーの死命を握っている点は憶えておきたい。

トヨタの燃料電池車1カ月で受注約1500台、納車は2年以上先 2015年 01月 15日 18:21 JST ロイター

「ものすごい英断」と驚きの声、トヨタ燃料電池車の特許無償開放 2015年 01月 7日 00:34 JST ロイター

トヨタが燃料電池車関連の全特許を無償開放、普及狙い異例の対応 2015年 01月 6日 13:25 JST ロイター

「ミライ」に賭けたトヨタ社長、半世紀先へ創業祖父の魂胸に 2014/12/18 10:02 JST ブルームバーグ

トヨタ、「ミライ」に透ける焦り 米国規制で揺らぐ立場 2014/11/21 7:00 日経

(前段省略)

■エコカーの先行指標で苦境に

 ひっそりと公表されたデータに重要な意味が込められていた。2014年10月17日、米カリフォルニア州大気資源委員会は、2014年9月末までの1年間の自動車各社による「ZEV規制」対応の状況を公表した。

 カリフォルニア州は、自動車メーカーに対して販売台数の一定割合を電気自動車(EV)など排ガスゼロの車(ZEV :Zero Emission Vehicle)とするよう義務付けるZEV規制を導入している。基準未達のメーカーは罰金を払うか、超過達成するメーカーから「ZEV排出枠(クレジット)」を購入しなければならない。

 トヨタはプリウスの販売効果で、これまでクレジットを売り続けてきた。2013年9月末までの1年間のデータでは、トヨタは507クレジットを販売し、EV専業の米テスラ・モーターズに次いで全体の2位だった。しかし、直近1年で販売上位からトヨタの名前が消えた。

 2017年から規制が強化され、エンジンと併用するハイブリッド車がZEVの対象車種から外される。同州で販売台数の多いトヨタはZEV規制の要求達成が難しくなるため、今からZEVクレジットを蓄えているようだ。

■テスラからのクレジット購入を検討

 ZEVのクレジット売買はエコカー市場の先行指標とも言える。ZEV車は渋滞を避けるために同州の高速道路に設けられた「カープールレーン」を優先して走れるため、ユーザーの関心も高い。プリウスの快走はカリフォルニア州から始まり、トヨタのエコカー戦略の基盤となった。その地で基盤が崩れる足音が聞こえ始めたのだ。

 苦境に立たされたトヨタは様々な手を講じていく。ZEV規制の未達で罰金を払うのは、長年培ってきた環境ブランドを損なうため何としても避けたい。そのため、大量のクレジットを抱えるテスラからZEVクレジットを購入する検討に入った。

 ちなみに、そのテスラはZEVを収益源としている。同社は2013年1~3月期に約6800万ドル(約80億円)のZEV排出枠を販売した。固定費がほとんどかからず大半が利益になり、テスラの四半期としての初の黒字化に寄与した。ZEV規制はニューヨークやメリーランドなど全米各州でも導入の動きがある。

(後段省略)


コラム:原油相場の「遠い底値」 2015年 01月 14日 16:06 JST ロイター

原油安の主な理由としては、相対的に高コストな産油国が全力操業する一方、低コスト産油国であるサウジアラビアが減産を嫌ったことが挙げられる。サウジは昨年6月、原油価格を下支えようとするのを止めた。産油国カルテルに亀裂が生じて以降、北海ブレント先物は1バレル115ドルから一気に同46ドルまで急落した。

カルテル崩壊後の原油相場は、ある水準で需給の均衡ポイントを見つけるだろう。ここに2つ目の教訓がある。つまり、総費用と限界費用の違いだ。少量生産は、原油価格が1バレル30ドルを下回るまでは非経済的となる。

油田掘削にどれほど費用がかかっても、油田所有者は閉鎖コストが操業コストを下回るまで産出を続けるだろう。原油ビジネスでは、費用の多くは探査や掘削、パイプライン敷設など、操業開始前に発生する。操業自体の採算価格は通常は極めて低く、必死のコスト削減でそれはさらに低くなる。

需要についてはどうだろうか。価格の下落が消費拡大を促すなら、原油価格はより高い水準で安定するのかもしれない。

しかし、3つ目の教訓である価格の非弾力性は、そうはならないことを示している。たとえ政府が安価になった石油に対する税率を引き上げないとしても(中国政府は引き上げたが)、原油の井戸元価格は、石油などの消費量にほとんど影響を及ぼさない。


イラン大統領、原油安でサウジ・クウェートを批判 2015年 01月 13日 18:13 JST ロイター

OPECは原油生産の戦略変更しない=UAEエネルギー相 2015年 01月 13日 16:30 JST ロイター

原油先物がアジア取引で一段安、中国輸入拡大は支援材料にならず 2015年 01月 13日 15:11 JST ロイター

1バレル=30ドル台後半も、ゴールドマンが価格見通し引き下げ 2015年 01月 12日 23:09 JST ロイター

米シェール開発会社が経営破綻=原油安で資金繰り悪化 2015/01/08-15:33 時事ドットコム

原油価格はもう上がらない、20ドル台まで下落も=中原元日銀委員 2015年 01月 6日 19:03 JST ロイター

コラム:原油が20ドルまで下がり得る理由=カレツキー氏 2014年 12月 22日 16:41 JST ロイター

本邦にリショアリング来たる

在阪の電機メーカーであるパナソニックとシャープが国内販売向けの製品について、リショアリング(製造業の国内回帰)を進めるようになった。量的緩和(QE1~QE3)によるドル安同様、質的量的緩和(QQE1~QQE2)による円安の影響が大きい。

中共からの撤退スキームとしては、現地の合弁相手や欧米のファンドに全株式・機械設備・仕入れ在庫を売却することが考えられる。

米国では各州政府ごとに、労組抜き・法人税割引・補助金付き、の製造業誘致競争を行っており、リベラル州から保守州へと雇用が移っている現状がある。すると、アベノミクスが唱える“地方創生”でも米国と同じような展開がある、と思われる。政労使協調・法人税引き下げ・地方向け補助金、がそれぞれ対応・比定される。

また、他の分野でも米国とイコールフッティングしていくならば、電気代がボトルネックになる。企業向け電気料金の値下げに対応するため、原発再稼働が喫緊の課題として迫ってくる。

前回と今回の総選挙で、リベラルと保守それぞれの支持地盤の固定化が顕著に見えてきた。浮かび上がる対立軸の構図、それ自体は、ここでも米国と比べることが出来るだろう。保守もしくはリベラルに寄り過ぎた自治体の性格によって、各企業の地方進出・撤退の是非が左右されることが今後、起きてくる訳だ。

国内製造業 脱中国で国内回帰が鮮明 TDK、中国生産の3割を国内に切り替えへ 2015.1.7 05:57 産経ニュース

(前段省略)

 TDKは、中国で25の主要生産拠点を持ち、売上高全体の4~5割程度が中国生産とみられる。このうち、スマートフォンや自動車向け電子部品の生産を順次国内生産に切り替える。

 同社によると、中国の工場での従業員の定着率が落ちているほか、人件費も高騰している。こうしたリスクを軽減するため、秋田県や山梨県にある既存工場の遊休施設を活用する方向で検討している。

 パナソニックも、中国で生産し日本で販売する家電を国内生産に順次切り替える。縦型洗濯機を静岡県袋井市の工場、電子レンジを神戸市の工場に生産移管する。すでに家庭用エアコンなどは滋賀県草津市の工場への移管を一部で始めている。

 同社は中国を含め海外で生産する家電約40機種を国内に切り替える方針だが、その背景には円安の影響がある。現在の為替相場は1ドル=120円前後の水準だが、海外で生産した製品を輸入すると採算がとれず、業績面での減益が避けられないという。

 一方、シャープの高橋興三社長も6日の記者会見で、テレビや冷蔵庫の生産の一部を栃木県矢板市や大阪府八尾市の工場に移す方向で検討を始めていることを明らかにした。高橋社長は「1ドル=120円で(国内生産に)移した方がよいものは出てくる。工程数の少ないものから移したい」と述べた。

 このほかには、ダイキン工業が家庭用エアコンの一部生産を中国から滋賀県草津市の工場への移管を完了した。ホンダも国内販売する原付きバイクの一部を熊本県大津町の工場への移管を検討中だ。

 国内生産は海外に比べ、工場の電気代がかなり高いという課題も残るが、かつて多くの製造業が海外生産に踏み切った最大の要因である過度な円高は解消された。今回の国内回帰の動きは、地方で新たな雇用を生み出す可能性がある。


シャープも国内生産回帰へ…TVなど家電の一部 2015年01月07日 07時13分 読売新聞

パナソニック、国内生産回帰…円安・人件費高で 2015年01月05日 08時50分 読売新聞

関西電、家庭向け電気料金の平均10.23%値上げを申請 2014年 12月 24日 12:45 JST ロイター

再送-〔焦点〕東電、苦心の値上げ回避 銀行団は融資継続へ抜本策求める 2014年 12月 18日 07:30 JST ロイター

東電会長が値上げ「1年間しない」と明言、コスト削減で2年連続黒字 2014年 12月 17日 20:02 JST ロイター

建て替えで将来の原発維持 経産省の「中間整理」2014/12/17 02:00 【共同通信】

 経済産業省が原子力政策の課題をまとめるため、有識者会合で検討を進めている「中間整理」の最終案の全容が16日、判明した。既存原発の敷地内で古い炉を廃炉にし、新しい炉を設置する建て替え(リプレース)を今後の課題として新たに盛り込み、将来の原発維持に向けた姿勢を打ち出した。

 衆院選の勝利で安倍政権は再稼働を急ぐ方針を示している。しかし脱原発依存を求める世論の声は強く、建て替えは老朽化などで廃炉が進んだ後も原発維持につながるため、反発を招く可能性がある。

 24日に総合資源エネルギー調査会原子力小委員会を開き、最終案を示す。


UPDATE 1-原子力規制委、高浜3・4号機は「基準に適合」の審査書案了承 2014年 12月 17日 11:19 JST ロイター

関電、電気料金の値上げに向け具体的に準備へ 2014年 12月 17日 11:26 JST ロイター

円安と原油安のシンクロニシティ

下記のカレツキー氏のコラムでは、OPECが影響力を行使し始めた原油価格のトレンドを1974年~1985年(1バレル48ドル~120ドル)、1986年~2004年(1バレル21ドル~48ドル)、2005年~2014年(1バレル50ドル~120ドル)と3つに分けて、2015年以降は1バレル20ドル~50ドルのレンジに入ったのではないかと捉えている。

興味深いのは、それぞれのトレンド転換の前年に為替相場に異変が起きていることだろう。1973年の変動相場制移行、1985年のプラザ合意、2004年のテイラー・溝口介入と円キャリートレードの活発化、2014年のFRBの量的緩和終了と日銀の質的量的緩和第2弾と言った具合に。

円安と原油安のシンクロニシティは1973年以前まで遡らなければならないほどだ。

コラム:2015年は「逆プラザ」への一里塚=斉藤洋二氏 2014年 12月 30日 14:53 JST ロイター

コラム:原油が20ドルまで下がり得る理由=カレツキー氏 2014年 12月 22日 16:41 JST ロイター

(前段省略)

米国の消費者物価指数で考えた物価調整後の原油価格の過去の推移は、興味深いヒントを提供してくれている。OPECが影響力を行使し始めた1974年以降の40年間は、3つの局面に分かれる。1974─1985年は、原油価格は現在の価値でみて48─120ドルで取引され、1986─2004年のレンジは21─48ドル(1991年の湾岸戦争と98年のロシア危機は別)、05年から今年までは50─120ドル(08─09年の金融危機で短期間価格が跳ね上がったケースは別)となった。

これら3つの局面で重要なのは、過去10年間の取引レンジがOPECが支配力を最初に確立した1974─1985年と酷似しているが、1986─2004年はまったく異なる枠組みだった点だ。この差は1985年にOPECの支配力が崩れてそれから20年が独占市場から競争市場に移行したことと、2005年になって中国の需要増大を利用してOPECが価格支配力を取り戻したことで説明できる。


原油安はインフレターゲットにとっては厳しいだろうが、実質的な可処分所得が上がる意味で好ましい。それに円安は実質的に「賃金」を上昇させる。

円高では、ドルで換算される「賃金」が上がるものの輸出は不利となり、国内雇用は総じて減少する。また輸入品価格が下がるものの円で換算される「賃金」にデフレ圧力が掛かる。ドルベースでは「賃金」が上がっているため、外国での雇用もしくは外国人労働者の輸入が有利になり、円ベースの「賃金」にさらなる下落圧力が掛かる。

2005年~2014年(1バレル50ドル~120ドル)までのトレンドを支えた中共の旺盛な需要が剥落して、日米ともにリショアリング(製造業の国内回帰)が起きている現状でなら、円安は歓迎すべきだろう。

尖閣の領海を守る12隻とEEZを守る9隻

2014年8月25日のエントリーでも取り上げた領海侵犯に対応する(2015年度までに)大型巡視船12隻に次いで、平成26年度(2014年度)の補正予算にEEZでの密漁船に対応する小型巡視船3隻建造の予算が盛り込まれた。来年度以降も3隻ずつ予算が組まれ、2019年度までに小型巡視船9隻、航空機3機の運用体制が整う。

サンゴ密漁対策へ新型巡視船 3隻新造 補正に36億円計上 2014.12.29 14:12 産経ニュース

 政府は、小笠原諸島(東京都)と伊豆諸島(同)周辺での中国サンゴ密漁船の急増を受け、対策強化のため海上保安庁の巡視船3隻を新造する方針を固めた。平成26年度補正予算案に約36億円を計上する。巡視船は新型で、高速で航行する機動性に加え、接触に耐え得るよう船体の強度を高めるのが特徴。中国に近く密漁が活発化する恐れの強い尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺での取り締まりに投入し、小笠原方面などに向かう密漁船についても沖縄周辺海域で早期に摘発することを想定している。

 新造するのは「規制能力強化型」と呼ばれる小型巡視船。海保は平成11年の能登半島沖の不審船事件や13年の奄美大島沖の北朝鮮工作船沈没事件を教訓に、小型巡視船については高速航行を重視し、軽量化のため船体をアルミにしていた。

 ただ、中国密漁船の船体は鋼材が多く、アルミ船体の小型巡視船が密漁船と接触した場合、巡視船の方により大きな損傷が出ることが懸念されている。このため鋼材に改良し船体を強化する。

 中国密漁船は沖縄周辺でも日本の排他的経済水域(EEZ)に頻繁に出没。25年2月から26年10月にかけ、沖縄・宮古島沖のEEZで許可を得ずに操業した疑いでサンゴ密漁船の中国人船長が逮捕される事件が相次いでいる。

 尖閣諸島周辺にもサンゴは生息しており、海保はまず宮古島と尖閣の周辺海域の密漁対策を強化する。補正予算で新造する3隻は28年秋の運用開始を目指し、拠点は宮古島か石垣島に置く見通し。同海域でサンゴ密漁対策にあたる巡視船は最終的に9隻態勢とし、31年までに整備する。

 上空からの密漁対策も強化。監視能力を高めた航空機3機を31年度までに導入し、密漁を24時間監視できるようにする。


我が国で、巡視船・巡視艇を現在建造できるのは、三菱重工業、ジャパンマリンユナイテッド(JFE、IHI及び日立造船系列、住友重機械の艦艇部門も一部合流)、三井造船、墨田川造船(横浜倉庫系列)、新潟造船(三井造船系列)、木曽造船、三保造船所、長崎造船(日本水産系列)くらいなので、船艇の大きさと外洋航行能力の有無によって、いずれかの企業から調達される。

今後は巡視船・巡視艇及び海自の艦艇の供給能力拡大のため、防衛産業向けの予算措置や各種の減税と政府系の投資ファンドの出資が必要になってくる、と考えられる。

華夷秩序をすすめる滑稽を笑う

朝日新聞同様、毎日新聞の年頭の社説も珍妙なものに成り果てている。社説子が表題に掲げる序列思考とは“華夷秩序”そのものであるからだ。はてさて遣隋使の国書以来、華夷秩序に入ることを忌避し続けたのが我が国ではなかったか。

社説:戦後70年 日本とアジア 脱・序列思考のすすめ 2015年01月01日 02時30分 毎日新聞

 内閣府が実施する世論調査では、中国、韓国に親しみを持てないと答えた日本人が昨年は過去最高を記録した。中韓の反日感情と日本の反中・嫌韓感情が衝突し、相互の不安といらだちをあおっている。

 要因はいくつかあろう。だがその根本は、中国の大国化にみられるパラダイムシフト、つまり時代の大きな枠組みと秩序の変革に日本が直面している、ということだ。

 日本は国内総生産(GDP)で中国に抜かれ、世界第2の経済大国の座を明け渡した。軍事面でも尖閣諸島で中国から圧迫され続けている。韓国も政治の民主化と経済発展、自意識の高まりなどで、臆せずに日本に向き合うようになった。

 アジアの中でぬきんでた先進国だった日本は今、近現代史の中で初めて「強いアジア」と向き合う体験を迫られている。「アジアで1番」という序列意識の揺らぎこそ、不安といらだちの正体であろう。

(後段省略)


李氏朝鮮の朝貢に恋々としてこだわった清朝に対して、朝鮮半島の領土保全を大義名分に掲げ、列強の支持を取り付けた日清戦争の往時と同じように、人類の共通財産(コモン)としての“海洋における法の支配”を大義名分に掲げ、東南アジア諸国や豪州、インドなどの支持を取り付けようとする安倍ドクトリンの現在もおいても、やはり我が国は華夷秩序に与してなどいない。

社説子の言にある通り、「不安がある」とすれば、原因は率直にパワー・オブ・バランスの変化にほかならない。中共は軍事的に拡大せねばならなくなり、その対応策を進める過程で、守るのに縦深のない韓国は捨てるのだと、国民の合意が形成されたのが内閣府の調査の根底にある、と素直に理解すべきだろう。

エガリテが失われて利益を得るのはリベラルと左翼

朝日新聞が「失われた平等を求めて」という表題で、トマ・ピケティ教授のインタビュー記事を取り上げている。アベノミクスに批判的なリベラルな言論人が、トマ・ピケティ教授の“格差拡大”の是正の主張をつまみ食いして、その権威を利用し始めている、と考えて良いだろう。

リベラル・左翼の原体験としてのフランス大革命のジャコバン派やロシア十月革命のボリシェビキの事例に立ち返れば、格差の拡大による社会の混乱こそが、彼らの権力奪取の最大の近道となる。今またグローバリゼーションが格差の拡大による社会の混乱を伴っているならば、新自由主義の継続などは実際のところ、彼らにとって都合の良い親和性の高い政策だろう。

朝日新聞も年頭の社説で“グローバル時代の歴史”なる奇妙な概念を創りだそうとしている。そもそもトマ・ピケティ教授はネイションを否定などしていないのにも関わらず。

(社説)グローバル時代の歴史 「自虐」や「自尊」を超えて 2015年1月1日05時00分 朝日新聞

失われた平等を求めて 経済学者、トマ・ピケティ教授 2014年12月31日21時32分 朝日新聞

(前段省略)

 ――最近は、減らす力が弱まっているのでしょうか。

 「20世紀には、不平等がいったん大きく後退しました。両大戦や大恐慌があって1950、60年代にかけて先進諸国では、不平等の度合いが19世紀と比べてかなり低下しました。しかし、その後再び上昇。今は不平等が進む一方、1世紀前よりは低いレベルです」

(後段省略)


ナポレオン戦争から第1次大戦まで、欧州ではドイツ統一とイタリア統一といった国民国家の再編以外での大きな利害関係の変更を伴う戦争がなかった。

そして、列強による帝国主義の時代が訪れ、社会の格差は拡大し、ふたつの大戦と大恐慌の狭間で、共産主義や国家社会主義といった資本主義のカウンターとなる思想が生まれ、それらが引き起こした膨大な人的損害の反省の中から、資本主義の是正が行われた。カウンターがない今、どのような資本主義の是正が必要なのか。

それに対するトマ・ピケティ教授のインタビューで、彼が言及した数々の発言を見る限り、

「米ハーバード大学で学ぶエリートの親の平均収入は、米国の最富裕層2%と一致します。フランスのパリ政治学院というエリート校では9%。米国だけではなく、もっと授業料の安い欧州や日本でも同じくらい不平等です」

「民主主義や平等は効率とも矛盾しないのです。危険なのは資本主義が制御不能になることです」

「私たちはかつてないほど裕福なのです。貧しいのは政府」

「国の借金がGDPの200%だとしても、日本の場合、それはそのまま民間の富に一致します」

「仏独は第2次大戦が終わったとき、GDPの200%ほどの借金を抱えていました。けれども、それが1950年にはほとんど消えた。(中略)債権放棄とインフレです」

「インフレは公的債務を早く減らします。しかしそれは少しばかり野蛮なやり方です」

「インフレ率を上昇させる唯一のやり方は、給料とくに公務員の給料を5%上げることでしょう」

「私は、もっとよい方法は日本でも欧州でも民間資産への累進課税だと思います」

「グローバル化に合わせて、国家を超えたレベルでの税制上の公正を達成しなければなりません」

「ユーロ圏でいうと、18の異なった公的債務に、18の異なった金利と18の異なった税制。国家なき通貨は危なっかしいユートピアです。だから、それらも共通化しなければなりません」

高等教育の時点で所得格差が反映されている問題以外では、欧米と我が国では教授の示唆する解決策に進んでいる。エガリテが失われて利益を得るリベラルと左翼と踏まえて読むと、教授と朝日新聞などの利害が一致していられるハネムーン期間は短いように思われる。

逆向きのオイルショックで潤う日本

1973年の第4次中東戦争に端を発したオイルショックは、世界全体の政治経済と産業に大きな影響を与えた。原油価格が高騰するだけにとどまらず、コモディティ全般にインフレが波及して、産業構造の転換(重厚長大から軽薄短小)が促進された。我が国は省エネ技術を中心としたイノベーションで危機を乗り越えた。

2014年中盤から起きている今回の逆向きのオイルショックは、やはり原油価格の暴落にとどまらず、コモディティ全般に値崩れが起きていてる。例えばCRB指数は下降傾向を示している。1バレル20ドルでも減産しない、とプレスリリースするサウジアラビアが対イランなど輻輳した地政学的理由から、原油価格を低いままに留める意向なら、再び世界の政治経済と産業に大きな影響を与える。

下記のフィナンシャル・タイムズの記事から、原油価格が10%下落すると我が国は2.6兆円プラスになるという。現状の50%下落が続けば、11.2兆円の収支改善の効果が見込めることになる。さらにロイターのコラムニストは1バレル20ドルという最低レンジがあり得ると論じている。

Winners and losers of oil price plunge December 15, 2014 8:20 pm FT.com

Winners and losers of oil price plunge
「原油価格急落の勝者と敗者」から「日本」のみ抜粋

Japan

Japan is a clear winner from falling crude. In the last fiscal year to March 2014, the energy-poor nation spent Y28.4tn ($236bn) on mineral fuels, of which more than 90 per cent was linked to oil. Every 10 per cent drop in the price of a barrelrepresents a dividend of about Y2.6tn. And a 30 per cent drop hands back about as much cash as was raised by the government this year, when it put up consumption tax by 3 percentage points. In effect, a narrowing in the country’s budget deficit has been “totally paid for, from abroad”, says Hideo Hayakawa, a former chief economist at the Bank of Japan. But lower oil is a mixed blessing for the BoJ, as it could make it more difficult to achieve its 2 per cent target for inflation.

【日本】

日本は明らかに原油価格下落における勝者である。2014年3月期に資源を持たない国は鉱物資源に28.4兆円を費やした。これら資源の90%は原油価格に連動している。原油価格の10%の下落は2.6兆円の収支改善になり、30%の下落は今年度の3%の消費税増税と同じキャッシュを得ることに等しい。海外からの支払い分で政府予算の赤字幅を減少させた、と日銀の元チーフエコノミストだった早川英男が云う。ただし、原油暴落は日銀にとって迷惑な面もある。日銀の2%のインフレターゲットの目標達成が困難になる。


コラム:原油が20ドルまで下がり得る理由=カレツキー氏 2014年 12月 22日 16:41 JST ロイター

(前段省略)

米国の消費者物価指数で考えた物価調整後の原油価格の過去の推移は、興味深いヒントを提供してくれている。OPECが影響力を行使し始めた1974年以降の40年間は、3つの局面に分かれる。1974─1985年は、原油価格は現在の価値でみて48─120ドルで取引され、1986─2004年のレンジは21─48ドル(1991年の湾岸戦争と98年のロシア危機は別)、05年から今年までは50─120ドル(08─09年の金融危機で短期間価格が跳ね上がったケースは別)となった。

これら3つの局面で重要なのは、過去10年間の取引レンジがOPECが支配力を最初に確立した1974─1985年と酷似しているが、1986─2004年はまったく異なる枠組みだった点だ。この差は1985年にOPECの支配力が崩れてそれから20年が独占市場から競争市場に移行したことと、2005年になって中国の需要増大を利用してOPECが価格支配力を取り戻したことで説明できる。

過去の例からすると、市場が独占的か競争的かは価格が50ドル弱当たりで区別するのが、新たな長期の取引レンジの落ち着きどころを推測する上では合理的に見受けられる。だが50ドルは今後のレンジの下限なのか、それとも上限なのか。

1986─2004年の局面と同じく、これから価格が最低20ドルから50ドルまでに取引レンジが切り下がると予想されるいくつかの理由がある。

技術面と環境面の圧力は長期的な原油需要を減らし、中東以外の高い生産コストの原油を、膨大な埋蔵量があって引き合いが乏しい石炭と同じような「普通の資産」へと変貌させる恐れが出てきている。長期的に原油を押し下げる圧力としては、イランやロシアへの制裁が解除されたり、イラクとリビアの内戦が終結し、サウジよりも多い原油が国際市場に供給される可能性も挙げられる。

米国のシェール革命は恐らく今後、1974─1985年もしくは2005─14年のようなOPECの価格支配力が再度定着するよりも、価格競争が起きる状況に戻ると考える強力な根拠だろう。

シェールオイルは比較的コストがかかるが、生産作業の稼働と停止は従来型油田よりずっと簡単で費用も少ない。つまり今や、シェール業者はサウジの代わりに、国際市場における調整役「スウィング・プロデューサー」になっているはずだ。

(後段省略)

立法府と行政府を国民の手に

第3次安倍内閣が発足した。消費税増税の延長の是非をめぐる解散総選挙では、三党合意の当事者であった民主党も増税延期に傾いてしまったため、むしろ敵に値するのは自民党内の税調会長の野田毅氏など党内の増税派であり、またその背後の財務省という構図となっていた。

もっとも官僚が主導する政治からの打破という面からは「課税の是非において議会が解散総選挙で民意を問う」、財務省より優位に立つ前例を作れたことは大きい。

第97代首相に安倍晋三氏 2014年 12月 24日 15:13 JST ロイター

安倍内閣の至上命題はデフレ脱却、全力で達成したい=経済再生相 2014年 12月 24日 10:00 JST ロイター

思えば、鳩山政権下の小沢幹事長が官僚間の意見調整を図る事務次官会議を廃止した。おそらくこれが民主党政権の官僚支配の打破の唯一の成果かもしれない。事務次官会議は閣議前に行われ、キャリア官僚は先議権と拒否権を有していたからだ。

事務次官会議は、菅政権の混乱のなかで東日本大震災各府省連絡会議として復活し、野田政権においては各府省連絡会議と名を替えた。

第2次安倍政権以降は、事務次官連絡会議となった。重要なのは以前の事務次官会議と違い、先議権と拒否権は付与されていない点だろう。行政府も官僚優位から大臣優位になった証左である。もしも、これを独裁と言われてしまったら国民に任免権のない官僚よりは大いにマシというより他にない。

475番目の男とメザニーンの3人

海江田万里民主党代表が比例復活なく落選しながら、菅元首相が東京ブロックの惜敗率レースに勝ち抜き475番目の代議士の席を奪った。今回は惜敗率90%の選挙区が多かった。組織票の重要性を再認識したが、それだけに菅元首相に鵺的な底知れないモノを感じさせる。

海江田氏が辞任を正式表明 民主、年内にも新代表選出へ 2014.12.15 21:35 産経ニュース

最後の議席、言葉詰まらせ 復活当選の菅元首相 2014.12.15 06:00 産経ニュース

それから見逃せないのが、保守系無所属で勝ち抜いた山梨2区の長崎幸太郎氏、兵庫12区の山口壮氏、茨城7区の中村喜四郎氏の3人は二階派(志帥会)の客員会員という待遇を受けている点だ。志帥会は亀井静香氏が立ち上げ、平沼赳夫氏も所属していた。

彼らを二階派のメザニーン(中二階)に生息する代議士とでも呼ぶべきか。自民党の獲得議席291にメザニーンの3人を足したら、自民党の前回獲得議席294に並ぶ。

自民沖縄、山梨全敗ショック 谷垣氏、辺野古移設は「守る」 2014.12.15 02:20 産経ニュース

兵庫12区“無所属対決”は山口氏が制す 自民入りめぐり「有権者の信任は得られた」 2014.12.14 21:43 産経ニュース

『生活の党と次世代の党は死んだ』

戯曲『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』は、ハムレットの劇中の端役であるローゼンクランツとギルデンスターンが、もしも台本も知らない状況で物語の世界に放り込まれたら、と云う不条理劇で1990年に映画化もされている。

さて「なぜ解散したんですか」と、問いかける非実在小学4年生まで現れた今回の解散総選挙のなかで、存在意義の自問自答の迷路に入り込んだ第3極は埋没した。リベラルに大きく寄った維新の党だけが党勢を維持した。みんなの党は戦わずして死んだ。政党要件を失った生活の党は死んだに等しい。そして最右派の次世代の党は、衆議院の議席数を19から2に減らして壊滅した。

総選挙の台本を読み誤った次世代の党の最大の過ちは、安倍首相が唱える“戦後レジームからの脱却”などのレトリックを自分たちの願いの方向にばかりへと希望的な解釈を繰り返したことにある。

衆院選は自公圧勝の展開、「安倍政権信任」と首相 2014年 12月 14日 22:43 JST ロイター

コラム:真珠湾攻撃から73年、衆院選が問う日本の未来 2014年 12月 9日 16:13 JST ロイター

なぜなら“戦後レジームからの脱却”は、戦前回帰ではなく、中韓や左翼リベラルの主導する過剰なプロパガンダからの超克と日米同盟などの深化による国際的地位の向上であろうと思われる。核保有による自主防衛の確立などではない。

“海洋における法の支配”や“民主主義を守るセキュリティ・ダイヤモンド”は、ならず者国家として中韓を規定することによって欧米先進国と新興国のつなぎ役になり、国際的地位を向上させるためのレトリックでもある。中韓と敵対することは歴史的にも価値観的にも我が国に沿ったものだから保守層の受けも良い。

とは云え、これらのレトリックを唱える以上、過度に国粋的であってはならない。グローバリズムとナショナリズムを両立できると考えたればこそ、石原元都知事と橋下大阪市長は一時的に党を合同できたのであって、安倍首相とも共鳴する可能性を感じさせたのだ。

しかし、過度に合理を追求して新自由主義であろうとすれば、保守側からもリベラル側からも揺り戻しが来る。そのためにみんなの党から結いの党が別れ、日本維新の会と合流して、リベラル寄りの維新の党と保守寄りの次世代の党ができた。

次世代の党の核となっていた代議士、議員の面々が自民党内の抗争に敗北した政治家であったために選挙に弱いのは致し方ないだろう。彼らがもっとも政策的に近似するのは現在、自民党の二階派(志帥会)と思われる。生活の党が民主党の別働隊となったのと同様に、次世代の党も二階派に合流するか共同歩調を採るべきだろう。

非関税障壁としての消費税

外国人観光客の増加で、ごく普通の飲食店でもインバウンド向け対応の案件が増えてきた。居酒屋や焼肉店からも打診が結構出てきたりしている。

さらにセブン-イレブンがコンビニ初の免税カウンターを訪日客の多い浅草と京都西院で導入する。外国人観光客には消費税免税となる一般消費財(コスメや食料品)が増えた。一方で大量に粉ミルクを買い占めるケースなどは摘発もされるようになった。

見方を変えると、ひとつには旅行収支の黒字で貿易収支の赤字を調整している。ひとつには消費税は輸出には掛らないので非関税障壁(もしくは一種の輸出促進税)になり得る、ということだ。

外国人観光客の誘致はある意味で諸外国の消費を奪うことでもあるのだが、移民でGDPを拡大させようとする欧米各国よりは社会混乱のタネにはなりにくい。

また、関西でも外国人観光客が順調に増加すれば、新自由主義的な利権の再分配の必要なく全体のパイが拡大する。つまり橋下大阪市長率いる維新の党にとっては、自らの存在意義を失わせかねない情勢変化が足元で起きつつあるのだ。

ラーメン店「一風堂」の海外展開支援に20億円 クールジャパン機構 2014.12.8 18:34 産経ニュース

10月の経常黒字8334億円 黒字は4カ月連続 2014/12/8 9:55 日経

財務省が8日発表した10月の国際収支状況(速報)によると、海外との総合的な取引状況を示す経常収支は8334億円の黒字だった。黒字は4カ月連続。1543億円の経常赤字だった前年から黒字転換し、QUICKが5日時点で集計した民間予測の中央値の3580億円の黒字も大幅に上回った。海外投資から得られる利子などの第1次所得収支が10月として現行基準で統計を遡ることが可能な1985年以降で最大となり、経常収支の改善に寄与した。

 10月の貿易収支は、輸送の保険料や運賃を含まない国際収支ベースで7666億円の赤字。赤字額は前年同月比で16.9%縮小した。貿易赤字は16カ月連続。自動車や船舶などの増加が目立ち、輸出額は前年同月比11.2%増の6兆5669億円。20カ月連続で前年を上回った。輸入額は7.4%増の7兆3335億円。スマートフォン(スマホ)を含む通信機や航空機関連などの輸入が増え、5カ月連続で前年を上回った。

 一方、サービス収支は2165億円の赤字で、赤字額は前年の5092億円から大幅に縮小した。訪日外国人観光客数の増加などで旅行収支が改善したほか、海外企業との知的財産権のやりとりで得られる収入が比較可能な1996年以降で最大となり、サービス収支全体での赤字幅の縮小につながった。

 海外投資から得られる利子や配当収入などを示す第1次所得収支は2兆186億円の黒字。黒字額は前年同月比48.3%増と大きく拡大し、10月の黒字額としては比較可能な1985年以降で最大だった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕


セブン、「免税コンビニ1号店」に透ける深謀 2014年12月05日 東洋経済オンライン

アングル:近畿・中部で海外観光客が急増、私鉄株押し上げ  2014年 12月 3日 17:25 JST ロイター

コンビニ初!? 外国人観光客は消費税を免税 セブン-イレブン、「西院駅南店」(京都)と「浅草雷門前店」(東京)2014.12.1 17:15 産経ニュース

西成暴動の余波で敷石のない駅…訪日外国人増加で「南霞町」→「新今宮駅前」に変更 2014.12.1 12:12 産経ニュース

アベノミクス解散、問われる野党の大義

安倍首相の解散の一声によって、結果としてみんなの党が解党した。現職だった代議士が民主党に鞍替えするとともに、民主党と維新の党が一部で選挙区調整を行っている。有権者にとっては選択肢としての第3極がなくなる上に、野党全体の左翼リベラル色が強まっている。

解散直後から公示日前の駆け込みの離合集散と政策協調に大義はあるのか否か。これらの動きに対しても有権者は“審判”するのだという視点が欠けているように思われる。与党の政策への対案を提示する以前に、ここが問われなければならない。

比例投票先、自民37%・民主11% 朝日新聞連続調査 2014年11月23日22時07分 朝日新聞

第3極の事実上の瓦解は与党側では自由民主党と公明党、野党側では民主党、共産党を利することになる。

みんなの党はすでに消滅、次世代の党は政党要件を満たすのに精一杯、維新の党は10議席減ならマシという結果に終わり、民主党の退潮が覆い隠される。共産党を除く野党の空白区も未だ50超。比例票狙いのいわゆるカカシ候補を擁立できる余力も民主党に残っていない。

民維、競合区25程度=野党50超空白、擁立急ぐ【14衆院選】2014/11/23-21:59 時事ドットコム

また実際に連合の企業系労組が動くとも思えない。アベノミクス批判や原発再稼働反対を訴える場合、参議院のように自動車労連と電力労連の候補が立つわけではないので、影響力を誇示する必要性に欠く。トヨタ城下町の愛知11区や工業都市の四日市(イオン発祥の地)を含む三重2区・3区などしか目立たないだろう。

さよなら、みんなの党

衆院解散を前にして、みんなの党が解党となった。渡辺喜美前代表ひとりで始めた党、志す者は独りでも立てばよし。もはや山本太郎議員の政党名はからかいの対象ではない。

みんなの党が四分五裂…5年の歴史に幕 2014.11.19 21:15 産経ニュース

乱入、怒号…解党決定のみんなの党 「裏切りだ」総会は騒然 2014.11.19 20:27 産経ニュース

以前の日本維新の会の分党について書いた2014年5月31日のエントリーのように、

東京は内に向かっては現状維持による利権保持、外に向かっては現状打破による戦後レジーム脱却。大阪は内に向かっては現状打破による利権再分配、外に向かっては現状維持による戦後レジーム続行を選択したのだ。

公明・山口代表「維新橋下氏の挑発には乗らない」 2014.11.19 23:59 産経ニュース

利権再分配をしなくても新しい利権が生まれているので、東のみんなの党の構造改革的な主張は必ずしも要らなくなった。渋谷の桜丘町辺りで石を投げれば、ファンドがカネを突っ込んでいるベンチャー企業に当たるからだ。

一方で、西の維新の党は新しい敵を“発見”して利権再分配を主張しつづけなければならない。その意味で維新の党と橋下大阪市長の役割はまだ終わっていない。

民主党政権の後始末が終わっていない

民主党の鳩山政権による安全保障政策(普天間基地県外移設の頓挫と日米同盟の毀損など)、菅政権によるエネルギー政策(福島第一原発事故以降の原発停止と液化天然ガス輸入増による国富流出など)、野田政権による税制・社会保障政策(三党合意による消費税増税)の後始末が終わっていない。

“大義なき解散”と後世の史書に書かれるかは知らないが、民主党(含む野党)はこれら過去の政策を転換しない限り、政権には就けないだろう。

焦点:増税と閣僚辞任絡んだ解散の決断、追加緩和も後押しに 2014年 11月 18日 21:28 JST ロイター

安倍首相が増税延期と衆院解散を表明:識者はこうみる 2014年 11月 18日 20:56 JST ロイター

安倍首相が経済対策とりまとめを指示、赤字半減目標にも配慮 2014年 11月 18日 19:50 JST ロイター

10%への消費増税を1年半延期、21日に衆院解散=安倍首相 2014年 11月 18日 19:46 JST ロイター

アベノミクスは失敗してない、増税延期は当然=浜田内閣官房参与 2014年 11月 18日 13:47 JST ロイター

「住宅エコポイント」復活へ…景気下支えが狙い 2014年11月14日 08時28分 読売新聞

7~9月期四半期別GDP速報 (1次速報値)を見ると、民間住宅の需要先食いの影響が一番大きい。

民間住宅は、実質▲6.7%(4~6月期は▲10.0%)、名目▲6.8%(4~6月期は▲8.0%)。民間企業設備は、実質▲0.2%(4~6月期は▲4.8%)、名目▲0.0%(4~6月期は▲4.4%)。民間在庫品増加の成長率に対する寄与度は、実質▲ 0.6%(4~ 6月期の寄与度は1.2%)、名目▲0.7%(4~6月期の寄与度は1.2%)。

参考URL:
2014(平成26)年7~9月期四半期別GDP速報 (1次速報値) 平成26年11月17日 内閣府経済社会総合研究所 国民経済計算部

「ヘキサムーン」なんて見えやしない

レイザーラモンRGと椿鬼奴からバービーボーイズに入りましたと云う世代がいるだなあ、と想う。

藤井隆、RG、椿鬼奴「kappo!」CDジャケ公開 2014年11月15日 19:35 ナタリー

ノーナ西寺生誕祭「郷太祭り」今年は藤井隆、小宮山雄飛らDJに 2014年11月14日 21:35 ナタリー

tofubeats×森高、藤井コラボが待望アナログ化 2014年10月20日 20:53 ナタリー

そんな彼らに藤井隆が加わって、新たにレーベルも立ち上げてシングルリリースする。KOJI-1200(今田耕司)の「ナウ・ロマンティック」のカバーを唄う。“今田はNow Romantic”って歌詞そのままに。

個人的にはメロウなトラックに超くだらない歌詞の「ブロウ ヤ マインド」の方が好きなんですけどね。

吉本興業所属の芸人の中では、1995年頃のGEISHA GIRLS(ダウンタウン)やKOJI 1200(今田耕司)以外で、音楽性の高い楽曲を2000年以降、藤井隆はリリースしてきた。

1stシングル「ナンダカンダ」(2000年)が一番売れた。楽曲的にはTommy february6提供の「OH MY JULIET!」(2005年)やキリンジ提供の「わたしの青い空」(2004年)のが好みだったが、売り上げ的には伸び悩んでしまって、リリースが一時途絶えてしまった。

キリンジのせいですか?

まあ、再評価されるまでには、その楽曲を聴いた世代が客演に使ってみようとかそういうことが必要だったりする。

閑話休題。いや本題かな。

キリンジの「雨は毛布のように」、くるりの「ばらの花」、ノーナ・リーヴスの「LOVE TOGETHER」、SUPERCARの「Strobolights」など2001年度のマイ・フェイバリット・ソングスの棚には、小林建樹の「ヘキサムーン」も並んでいる。

やまだないとのジャケットイラストに惹かれて買ったのだが、まったく売れなかったし、再評価される気配もない。小林建樹が第二の原田真二となるような気もしたのだが、気のせいだったようだ。

以下、小林建樹の「ヘキサムーン」の歌詞。

街ゆく人の群れには罪なんか少しもない
ただそこに僕と君がいるだけでいいのさ
ただ永遠に

例えば波に映る月の形は何なのさ?
僕が丸いといえば君は六角形という
そう当然に

同じ態度同じ考え方気持ち悪いよ
君と僕は違うこそからただ美しいんだ
同じタイプ同じ考え方気持ち悪いよ
君と僕が違う人間だからこそ美しい美しい

夜の街はとても綺麗で意味なんか少しもない
ただそこに僕と君が溶けてばいいのさ
あの月たちと

抱き合うたび体中溢れる君のリズムが
言葉よりももっと大事なもの語りかけてくる

同じ態度同じ考え方気持ち悪いよ
君と僕は違うこそからただ美しいのさ
同じタイプ同じ考え方気持ち悪いよ
君と僕は違うからこそそう求め合うのさ

対テロ関連3法案が天王山だった

報道各社の増税延期と衆院解散総選挙のニュースを集めてみると、11月5日から6日にかけて「テロ資金提供処罰法改正案」「犯罪収益移転防止法改正案」「テロ資金凍結法案」の対テロ関連3法案が、続々と委員会と本会議において可決されてから、徐々に流れが出来ていったことが読み取れる。

同様に麻生財務相や野田自民党税調会長が「増税延期すべきではない」と、職責上の立場からポジショントークでエクスキューズを打っているのも分かる。

民主党は三党合意を反故にしてでも、独自に消費税増税延期の対案を出すべきであったし、遅延戦術で閣僚をスキャンダルで潰したこともまったくの裏目に出た。

革マル派が浸透するJR総連・JR東労組、そのJR東労組からの献金・選挙協力を受けていた民主党の枝野幹事長について、安倍首相自ら答弁で指摘して、自身のフェイスブックに記事を上げた。以降、野党の矛先は鈍った。その数日を経ずして、京大で私服警官が学生に取り押さえられる事件が報じられていたが、ここら辺がこの臨時国会の天王山だった訳だ。

解散、首相の判断に従う…派閥会合で麻生副総理 2014年11月13日 13時47分 読売新聞

解散、大義ないとしっぺ返し…野田税調会長 2014年11月13日 09時21分 読売新聞

日銀総裁、国債大量購入は「財政ファイナンスに当たらず」 2014年 11月 12日 16:49 JST ロイター

焦点:増税延期観測で海外勢が国債売り、QQE吸収で金利低下も 2014年 11月 12日 15:52 JST ロイター

GDP3.8%以下なら消費増税は「問題外」=本田内閣官房参与 2014年 11月 12日 13:40 JST ロイター

衆院解散の判断「首相に任せる」 自公幹部が一致 2014年11月12日11時54分 朝日新聞

首相、12月衆院選の意向 消費再増税は1年半延期 2014.11.12 05:47 産経ニュース

社説:早期解散論 その発想はあざとい 2014年11月12日 02時35分 毎日新聞

解散のタイミングは何ら決めてない=安倍首相 2014年 11月 11日 18:50 JST ロイター

焦点:政府が消費増税延期を本格検討、早期解散になだれ込む可能性 2014年 11月 11日 17:00 JST ロイター

公明・山口氏、選挙準備を執行部に指示 2014.11.11 12:05 産経ニュース

山口沖縄北方担当相「経験則上、解散あり得る」2014.11.11 12:04 産経ニュース

衆院解散は首相の専権事項、発言控える=菅官房長官 2014年 11月 11日 11:05 JST ロイター

永田町に解散風、消費増税先送りで安倍政権-読売は来週表明と報道 2014/11/11 10:49 JST ブルームバーグ

再送-BRIEF-消費再増税は法律で決まっているが、経済情勢を十分みる必要=谷垣自民幹事長 2014年 11月 10日 18:59 JST ロイター

市場で浮上する衆院選観測、「郵政解散」に相似  2014年 11月 10日 19:12 JST ロイター

首相がGDP1次速報後に消費税判断も、自民幹事長が可能性示唆 2014年 11月 10日 19:26 JST ロイター

コラム:日銀の命運左右するサウジの動向、原油下落が物価押し下げ 2014年 11月 7日 14:17 JST ロイター

麻生財務相が消費税判断を明言、「予定通り上げたほうが良い」 2014年 11月 7日 10:38 JST ロイター

クルーグマン教授が安倍首相と会談、消費増税反対を表明 2014年 11月 6日 17:04 JST ロイター

コラム:ブラックホール化する日銀の国債購入 2014年 11月 6日 12:54 JST ロイター

焦点:財務省にもサプライズ緩和、増税判断で安倍首相にフリーハンド 2014年 11月 5日 13:23 JST ロイター

消費再増税、11月と12月のGDP速報値を見極める=菅官房長官 2014年 11月 5日 11:56 JST ロイター

ブログ:黒田バズーカ2、「続編」のインパクト 2014年 11月 5日 13:04 JST ロイター

ルー米財務長官 消費増税に重大警告 景気低迷に懸念 2014.10.14 ZAKZAK
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