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二重構造を持つシリア

冒頭になぜシリアに対しては、リビアのように他国の介入がなされないかを考えたい。

リビアでは、主要国(特にフランス)内部の政治情勢では、左派を納得させる“著しい人権侵害”、右派を納得させる“油田利権”、中道保守を納得させる“難民の自国への流入”とすべての勢力が介入を是認する要因がそろっていた。

またリビア国内に暫定政権がつくられ(のちに介入を要求し)、それを承認した国(フランス、カタール、イタリア)があり、国際法として国連安保理決議(主要国が利害を調整して介入を容認)がなされたことが、シリアとの違いとして厳然とある。シリアがこの条件を満たすのは難しいだろう。

さて、シリア情勢を非常事態法撤廃の時点からタイムラインで整理していく。

非常事態法撤廃の大統領令とともに無許可デモ禁止の大統領令が発布されたこの時点(4月21日)が、アサド政権の最大譲歩だったことが分かる。この転回点以降、反政府デモに対する弾圧は容赦のない過酷で熾烈なものに変わっていった。

シリアで48年ぶりに非常事態法撤廃 2011.4.21 22:32 :MSN産経

 シリアの国営テレビによると、アサド大統領は21日、1963年に施行され治安当局に強い権限を与えてきた非常事態法を撤廃する大統領令を出し、同法が約48年ぶりに撤廃された。

 シリアでは、民主化やアサド政権打倒を訴える反政府デモが各地で続いており、令状なしの拘束を治安部隊に認める根拠となっていた同法の撤廃で、デモ沈静化を図る狙いがある。

 ただ、大統領は同時に、許可のないデモを禁止する大統領令も発布。金曜日に当たる22日にはイスラム教の集団礼拝後に全土で大規模デモが呼び掛けられており、非常事態法撤廃で実際に情勢が沈静化するかどうかについては疑問の声が出ている。

 内閣が19日に同法撤廃に関する法案を承認した直後には、北西部バニヤスなどで反政府デモが起きた。(共同)


シリア全土でデモ、30人死亡 2011.4.23 00:39 :MSN産経

4月22日には、デモを組織もしくは煽動している団体が、バース党を支配政党とする憲法規定の撤廃などを求める共同声明を出した。

クルド人の多い北東部カーミシュリ、南部ダルアー、首都ダマスカス北郊の町ドゥマ、北西部バニヤス、西部ホムスでデモが起きている。

米大統領、国連事務総長はそれぞれシリア政府による『暴力』に対して非難声明を行った。

「88人が死亡」最大規模の犠牲か 2011.4.23 12:14 :MSN産経

国連事務総長声明「暴力行使、直ちにやめよ」2011.4.23 12:15 :MSN産経

葬列などに治安部隊が発砲、8人死亡 シリア弾圧続く 議員2人辞職 2011.4.23 23:39 :MSN産経

4月23日には、シリア人民議会の議員2人が辞職したとアルジャジーラが報じた。

治安部隊が市民1人射殺 シリア首都などで多数拘束 2011.4.25 01:17 :MSN産経

4月24日には、治安当局が、北西部ジャブラで市民1人を射殺した。首都ダマスカスや西部ホムスで少なくとも計25人を拘束した。

シリア南部に軍部隊展開、市民に無差別銃撃 2011.4.25 22:52 :MSN産経

 【カイロ=大内清】シリアのアサド政権は25日、デモ隊と治安部隊の衝突が続く南部ダルアーに戦車などの軍部隊を展開、部隊の狙撃手らは外出者に無差別に銃撃を加えた。フランス通信(AFP)が住民の話として伝えたところによると、少なくとも住民25人が殺害された。

 政権側は首都ダマスカス北郊のドゥマにも軍を派遣。同国の人権団体によると、3月の反政府デモ発生以来、当局の弾圧による死者は全土で少なくとも350人に達した。

 ダルアーは一連の反政府デモの「発火点」となった町。政権側はダルアーのデモを武力鎮圧することで、国民に政権への恐怖心を植え付ける狙いがあるとみられる。

 アサド大統領は21日、デモ隊の要求に応じる形で、治安機関の絶大な権限の源となっていた非常事態令を解除。その一方で、3月末に行った議会演説では、「(国の安定を乱す者と)戦争をする用意がある」と警告していた。

 一方、中東の衛星テレビ局アルアラビーヤは25日、ダルアーに派遣された部隊の一部が、市民への銃撃命令を拒否したと報じた。


「部隊展開は市民の要求」シリア軍幹部が主張 2011.4.26 08:05 :MSN産経

4月25日には、南部ダルアーほか首都ダマスカスの近郊ドゥマにデモ鎮圧のため軍が派遣された。軍幹部は「テロ組織による殺戮(さつりく)と破壊を防ぐため、市民の要求に従って部隊を展開させた」と主張した。

米大使館は、職員のうち緊急時に対応する職員以外の全員と家族に対し、国外に退避するよう命令を出した。

米、大使館職員に退避命令 シリアのデモ弾圧で 2011.4.26 12:34 :MSN産経

シリア、市民500人を拘束 デモ弾圧続く 2011.4.27 08:24 :MSN産経

シリアの死者、450人超 首都郊外に戦車30両 2011.4.27 20:26 :MSN産経

シリア 続く市民への徹底弾圧 アサド政権権力維持に恐怖支配選ぶ 2011.4.27 21:08:MSN産経

【カイロ=大内清】反政府デモ鎮圧に軍を投入したシリアのバッシャール・アサド政権が、国際社会からの非難を無視し市民への武力行使を続けている。南部ダルアーでは27日も軍による包囲が続き、AP通信によると25日からの無差別攻撃による死者は少なくとも34人に達した。政権側には、米欧諸国がシリアに軍事介入することはないとの読みがある上に、国民の怒りが増す中、権力維持には徹底した弾圧を強めるしかないと判断したとみられる。

シリアの人権活動家(45)は産経新聞の電話取材に「ダルアーでは通信網や電気、水道が遮断され、食糧不足の懸念もある」と指摘。軍が派遣された北西部ジャブレや西部ホムスなども同様の状況で、数百人が拘束されたという。同国の人権団体によれば、一連のデモ発生後の死者は全土で400人を超した。

シリアは現大統領の父ハフェズ・アサド前大統領時代の1982年、イスラム原理主義組織ムスリム同胞団の拠点だった中部ハマなどを武力弾圧し数千から数万人の市民が虐殺された。

当時は情報統制によって虐殺の実態が外部に漏れにくかったが、携帯電話やインターネットが普及した現在では、各地の様子が少しずつではあるが外国メディアにもたらされている。シリア問題では露骨な批判を控えてきた米国も、当局による市民への無差別攻撃を受けてアサド氏やその側近に対する制裁の検討に着手、ヘイグ英外相も26日、制裁の可能性に言及した。

それでもアサド政権が弾圧の手を緩めないのはまず、アフガニスタンとイラクに軍を派遣し、対リビア軍事作戦にも参加する米国や欧州各国には、シリアに本格介入する余力はないと踏んでいるためだ。

シリアのジャアファリ国連大使は26日、「デモが平和的であれば武力を使うことはない。何も隠していない」とうそぶき、政権のデモ弾圧を正当化した。

さらに、アサド氏はこれまで、非常事態令解除などデモ隊の要求に一応はこたえる姿勢を示してきたが、デモが勢いを増す中、権力維持には、徹底弾圧による恐怖支配以外の選択肢が現時点ではないのが実情だ。

リビアやイエメンのケースと同様、多数の市民が殺害されたシリア国民の怒りは大きい。アサド氏としては、この段階で暴力を停止するなどの譲歩姿勢をみせれば、各地の政権転覆を求める声がさらに強まり、自身の首を絞めることにつながりかねない。このため、政権側がデモ拡大の懸念を払拭できるまでは弾圧が続くという見方も出ている。


4月27日から28日にかけて、南部ダルアーのバース党の党員約200人がデモ鎮圧に抗議して集団離党を表明した。同日には北西部バニヤスでも党員約30人が離党を表明した。またダルアーでは、将校少なくとも5人がデモ隊側に離反。一部の兵士らは検問所で市民を拘束する命令を拒否しているという。

国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は28日、訪問先のパリで、イスラエルが2007年に空爆したシリアの施設は「建設中の原子炉だった」と表明した。

シリアの支配政党から200人以上が離党 将校5人も離反 2011.4.28 08:46 :MSN産経

政権党員200人が離党 シリア南部、将校5人離反 2011.4.28 22:20 :MSN産経

市民の死者500人に シリア、デモ本格化後 2011.4.28 22:25 :MSN産経

「建設中の原子炉だった」 シリア空爆でIAEA 2011.4.29 00:51 :MSN産経

4月29日には、非合法のイスラム原理主義組織であるムスリム同胞団が、非合法のデモを公然と呼びかけた。

シリア、警告無視し全土でデモ 同胞団が参加呼びかけ 2011.4.30 00:29 :MSN産経

現在のシリア情勢を理解するには、青山弘之東京外語大准教授の日本記者クラブにおける講演・質疑応答がわかりやすい。

准教授は、シリアの政治体制が二重構造になっていることを理解するのが肝要であると、解説してくれている。

第一層は、汎アラブ主義、社会主義、議会制民主主義を標榜するバース党により、内閣、人民議会、司法が組織され西欧的な自由と平等を形成している。

第二層は、ムスリム的共同体を体現するように血族である兄弟・いとこ間を中心に軍幹部、秘密警察、実業界が組織されアラブ的な自由と平等を形成している。

つまるところシリアは、第一層で理想的過ぎて社会の実態に合わない部分を第二層で補完しているわけだ。

社会の安定を考えると優れた構造ではあるのだが、第一層をより民主化、たとえばバース党によるヘゲモニー政党制を廃止するなどしても、第二層に加われない人々が政治的に利権の分配を受けることができないことに変わりない。

その場合、議会の多数派を獲得するためにムスリム的共同体を主張するポピュリズム的政党が発生するかもしれない。卑近な例では、レバノンにおけるヒズボラ、パレスティナにおけるハマスと同様に党内軍の保持で内戦の危険と隣り合わせになりかねない。

革命の成果が崩壊していく事例では、メキシコの制度的革命党(PRI)がNAFTA締結以降に徐々に勢力を後退させて政権を失い、メキシコ麻薬戦争が起きている現状も参考になる。

また1989年の天安門事件後の中国共産党のように、即座に鎮圧した後、何らかの開発独裁を行って第二層に属さない国民の不満をそらすのもひとつの手であろう。

「中東民主化とシリア」東京外国語大学大学院准教授 青山弘之:日本記者クラブ

「中東民主化とシリア」青山弘之 東京外国語大学 准教授 2011.4.12(Youtube)
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首相は世論調査で辞める訳じゃない

内閣総理大臣は、気力体力が衰え自ら退陣する以外は、内閣不信任決議で内閣総辞職か解散総選挙に追い込むしか辞めさせることができない。云うまでもなく首相は世論調査で辞める訳じゃない。

参議院の問責決議では、首相が辞める必要がない。実際に福田元首相、麻生元首相は辞めなかった。また菅首相には自発的に辞める意志がなく、職を続ける体力がある。鳩山前首相、安倍元首相は自発的に辞めた。

内閣不信任案を提出するほかは菅首相を辞めさせる手立てはない。

内閣不信任案で決議として通るためには、与党である民主党から内閣不信任案に同調する代議士の票読みが必要になる。非主流派を中心に最低で70人、安定して80人動かなければ案は通らない。

内閣不信任案が通れば、事実上解散総選挙は選択できない。一票の格差問題があるのと東北3県が選挙不可能だからである。これでもしも断行したら菅首相はある意味でスゴイ。

内閣総辞職の後、議会第一党である民主党から首相が出るのが通例となる。人材がいるかは知らない。今の連立の枠組みの場合、さらに悪いのが出る可能性もあるが出てから考えよう、と云う話になる。

新たに連立を組む場合は、必ずしも第一党からの首相選出に固執しなければ、最近では細川元首相、村山元首相の例もある。

法制上ならびに過去の実例から、自民党の派閥領袖が一致して内閣不信任案を推すのは
「菅は辞める気なんかさらさらないだろう? “三木おろし”があっても三木さん最後まで粘ったし。それを見習った小泉にどれだけかき回されたとでも。

俺たちが職にあったときより仕事してないから倒れるはずもない。大平さんや小渕さんみたいに絶対ならない。

問責なんて俺たちは無視した。だから内閣不信任案しかないじゃない。

民主党の票読みなんてしても仕様がない。読めてないからこその“ハプニング解散”だった。“加藤の乱”は勝つ気満々だったが切り崩されたじゃないか。とにかく出してみろ、通らなくても同調した奴らをエサにかき回せばいいじゃないか。

どうせ小沢さんは裁判終わるまで表舞台に立てないから無視して良いだろう。党のおカネが欲しいだけだ」
と、谷垣総裁と党執行部を煽っています。

自民党派閥領袖らの不信任提出をめぐるコメント(28日)2011.4.28 23:07 :MSN産経

 麻生太郎元首相「東日本大震災の発災から何日たつか。政治空白を生むなというが、(菅直人首相が震災や福島第1原発事故対応を)何もしないなら空白と同じ。5月9日から動きがあるだろう」

 町村信孝元官房長官「連休明けで出すタイミングは別にしても、とにかく不信任案を衆院で出すことを執行部に強く求めなければならない。一説には参院の問責だけでいいという意見もあるようだが、とんでもない話だ。一義的には衆院でしっかりと決着をつけるということだ」

 古賀誠元幹事長「震災の復旧・復興、原発の問題は、世論調査でも菅さんでは不安だと明らかになった。衆院でしっかりと決着すべきだ。参院で仮に問責をやったとしても本人がお辞めにならないことであれば、審議拒否になるが、被災地を抱えて到底考えられる戦法ではない」

 伊吹文明元幹事長「党執行部も菅さんではダメだといっている限り、どこかで不信任案を出さざるを得ない。民主党の中もあれだけの騒動を起こしているのだから、全員が反対ということはないと思う。政党政治の常道からいえば自民党は谷垣禎一総裁を立てて戦うのは当たり前だ」

 額賀福志郎元財務相「問責決議で菅首相がちゃんと責任を取るとは思えない。復旧、復興計画は菅政権ではできないということを衆院で自信を持って対応するのは当然だ」

 小池百合子総務会長「不信任を出して通らなければ、逆に信任することになってフリーハンドを与えてしまうことになるから、野党として何の確実なところもなく出すことはないでしょうね」


自民「不信任」大合唱 公明・草川氏の「補正賛成は菅退陣が条件」に大喝采 谷垣執行部はまだ迷い… 2011.4.29 01:02:MSN産経

民主、不信任案同調にじわり 「菅首相をサミットに行かせるな」苦悩する鳩山氏 2011.4.29 01:02:MSN産経

森喜朗元首相 内閣不信任案で「政治空白」回避せよ 2011.4.28 01:30:MSN産経

 思えば村山富市元首相は偉かったな。阪神大震災で初動が悪かったとずいぶんマスコミにたたかれたけどそんなことなかった。決断力もあった。小里貞利さんをすぐに震災対策担当相に任命して現地で陣頭指揮を執らせ、自分は首相官邸でドンと構えてね。首相が被災地でパフォーマンスする必要なんてないんだよ。被災者のみなさんに迷惑をかけるだけじゃないか。

 村山さんは就任直後の衆院本会議で自衛隊合憲と日米安保堅持を明言したでしょ。僕はすぐに官邸にお礼に行ったんだけど「首相と社会党委員長とどちらが大事だ。聞くまでもないじゃろ」って。立派だったよ。

 それと菅直人首相を比べちゃ失礼だけど。歯がゆいよね。日本国の下落ですよ。内政も外交も…。

 民主党の人たちは個々を見ると個性もあり立派な人も多いんだよ。でもチームワークがない。まだ完全なチームになってないのに「何とか枠」で春の選抜に出たって感じかな。

 平時ならそれなりにやっていっただろうけど、東日本大震災という大アクシデントが起きたら政官民一体でやらなきゃならんでしょう。それを「政治主導」と言って役人をバカにして今頃になって助けを求めてもね。会議をいっぱい作っても解決しませんよ。

 まあ、政治主導は多分に小沢一郎元代表の趣味があったのかな。破壊の趣味。小選挙区制、二大政党、官僚の答弁禁止-。理想は理想でいいんですよ。でも彼のやってきたことはみんな裏目に出てるじゃない。

 厳しい言い方だけど、今の内閣が存続すること自体が「政治空白」なんですよ。与野党含めて「菅さんじゃダメだ」って言ってるんでしょ。だったら辞めてもらうのが一番となる。それならばどうするのか。

 自民党若手は参院で首相の問責決議をやろうと言ってるけど菅さんが無視したらどうするの。現に福田康夫、麻生太郎の両元首相も無視したじゃない。それで震災関連法案を次々に出されたら参院は無視できますか。「野党は何やってるんだ」になっちゃうよ。だから問責はベストじゃない。

 民主党の「総調和の会」がやっている両院議員総会での解任動議って言うのもね…。「うちの会社は社長が悪い、製品が悪い」って社員が騒いで世間はどう思うかな。あまりよい手とは思えないよね。

 僕は昭和50年代初頭の三木武夫首相時代の「三木降ろし」を知っているからね。辞める気のない首相を交代させるのは大変なんだよ。しかも時間をかければそれこそ政治空白を生む。さっとやることだ。わかりやすい方法でね。

 つまり内閣不信任案しかないでしょ。平成23年度1次補正予算案は成立させる。内容に問題はあるけど被災地のみなさんに迷惑をかけちゃいけないから協力してもよい。

 その代わり、それが終わったら自民、公明両党が責任をもって不信任案を出す。5月末の仏ドービル・サミットもきちんとした人が首相になって行く方がいいんじゃない。

 「否決されたら信任されたことになる」と心配する人もいるけど、その時はその時だ。それが民主主義のルールでしょ。

 まあ僕はいけるんじゃないかなと思っているけど、少なくとも民主党にヒビは入る。それは大きいよ。自民党に選択の余地ができる。もしかしたら参院もよりねじれる方向に変化するかも知れない。だからやっぱり大きな変化を示す時だと思うよ。

 こんなこと言うと「小沢さんと組むのか」と勘ぐる人がいるけどまったく別次元の話。そもそも僕は何度も裏切られた人間だ。大連立だって反対なんですよ。前の大連立話では頼まれて小沢さんと福田さんの間に入ったけどもう懲りた…。

 それに小沢さんは表舞台に出ようとは思ってませんよ。言葉はよくないけど『座敷牢(ざしきろう)』のような立場に置かれてるんだから。若い人は「小沢さんは常に日の目を見ようとする」と考えているかも知れないけど、そんな人ではない。

 内閣不信任案が可決されれば首相指名では自民党は谷垣禎一総裁を当然推すことになる。もしかしたらどの候補も過半数に届かないかもしれないね。そうなりそうだったら与野党が真剣に協議して新しい首相を決めればいい。1年間の期間限定で与野党みんなが話し合いのテーブルについて震災復興策を進めていけばいいじゃない。

 大震災の影響ですぐに解散はできない。それに「1票の格差」訴訟で最高裁大法廷が「違憲状態」と判決を下したでしょ。選挙制度だって超党派で話し合わなければならないんだよ。

 とにかくもう政治空白は許されないんだからオールジャパンでやるしかない。でないとわれわれは死んでも死にきれないよ。(石橋文登、赤地真志帆)

“ネガティブでもハッピー”な日本国債

S&Pは、去る4月18日に米国債の格付け見通しをネガティブに変更したものの、実際には米国債は続伸、ドルは対円を除き上昇、米国株式だけ下落の結果に終わった。

そして今度、S&Pは日本国債の格付け見通しをネガティブに変更した。おそらくアメリカの市場の動きと同様の結果に収まるだろう。

財政収支の悪化よりも、経常収支の黒字による安定が損なわれる、つまり震災によってサプライチェーンが途絶している影響が拡大して調達先が国外に変更され、貿易収支が持続的な赤字基調となり、中長期的には経常収支が赤字になるから不安定化する、と云うアナリストもいる。

我が国の資本財と基幹部品を他国のそれで代替する場合、競争力が維持さらには強化できる保証があるのか分からない以上、上記の予測も蓋然性を見出すことができない。しかもここでは所得収支は論の埒外にある。

結果、政府の財政赤字を安定投資先と求める民間がせっせと買い込んで、国債利子を受け取りながら莫大な民間の黒字を積み上げている現状がつづくだろう。

海外の格付け会社が“ネガティブ”にしても、日本の国債を買い込んでおけば民間は最低限の利子元金が保証された“ハッピー”でいられる。民間がカネをジャブジャブ借りないことが、景気をネガティブにするのであるが、格付け会社はその点はあまり指摘しない。

S&P:日本国債の見通しを「ネガティブ」に変更-震災の影響(訂正) 2011/04/27 16:38 JST(ブルームバーグ)

(前略)
S&Pは発表で「東日本大震災とそれに起因する東京電力の福島第一原子力発電所の事故の影響を踏まえ」、見通しを下方修正したと説明。震災の復旧・復興費用について「30兆円を標準予想として、20兆-50兆円の範囲になる」との見通しを示した。

その結果、増税などの財源措置が取られない限り、政府財政赤字の対国内総生産(GDP)比率が、同社の従来予想値を2013年度までに累積で3.7%ポイント上回ると見込んでいる。
(中略)
S&Pは今年1月、日本の外貨・自国通貨建ての長期国債格付けを最上位から3番目の「ダブルA」から、「ダブルAマイナス」に1段階格下げしたと発表。その際、長期国債格付けの見通しは「安定的」としていた。短期国債格付けは外貨建て、自国通貨建てともに、「A-1プラス」に据え置いていた。


CP上乗せ金利、日銀包括緩和で震災後も低水準-リーマン後と対照的 2011/04/27 10:33 JST (ブルームバーグ)

格付け会社は、財政政策における自国通貨建て(自国向け)>自国通貨建て(海外向け)>外国通貨建ての序列を意図的に無視しているかのように見える。

また金融政策でも意図的な無視を感じる。自由に通貨発行できる政府とそうでない政府の違いは、現に金利をコントロールしている日銀と、それができないでいるPIIGS諸国に対照的に見られる。ECBに金融政策を丸投げしてしまったツケを払えと、PIIGS諸国は急ピッチな金利上昇によって迫られている。

4月18日から27日までには、ギリシア国債は次の通り推移した。

ギリシア2年債利回りは、20.23%→25.95%。ギリシア10年債利回りは、14.56%→16.34%。

欧州債:ギリシャとポルトガル国債など急落-保証コストは過去最高に 2011/04/28 01:28 JST (ブルームバーグ)

(前略)
ギリシャ2年債利回りは一時、前日比171ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇し25.95%となった。ロンドン時間午後4時17分現在は25.53%。同国債(表面利率4.6%、2013年5月償還)価格は1.35ポイント下げ69.44。ギリシャ10年債利回りは一時、101bp上昇の16.34%を付けた。

ポルトガル10年債利回りは10bp上げ9.71%、ポルトガル2年債利回りは19bps上昇し11.87%となり、ともに最高を記録。

この日のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で、ギリシャとポルトガル、アイルランドの国債保証コストが過去最高を記録。CMAによれば、ギリシャ国債のCDSスプレッドは21bp上昇の1376bpとなった。アイルランド国債は11bp上げ685bp、ポルトガル国債は7bp上昇の688bp。

ドイツ2年債利回りは8bp上げ1.81%。4月のインフレ加速で欧州中央銀行(ECB)に対する利上げ圧力が高まった。ドイツ10年債利回りは4bp上昇の3.29%。


ユーロから離脱して自国通貨を下落させない限り、ギリシアやポルトガルは貿易収支の黒字で経常収支を黒字に持って行くことができない。この状況下ではユーロを使う国家の中で“ドイツのひとり勝ち”がつづく仕組みになっている。金融政策の独立性を喪失するとは、競争力の強い国家の金融政策に隷属することと同義であった。

一方、韓国のウォンはウォン安になることで、貿易収支の黒字で経常収支を改善する好例である。もっとも通貨の騰落が激しく貿易収支の黒字を担保する為替レートのレンジが狭い。またホットマネーの流入ですぐに国内の株式・不動産でバブルが発生する。

主要通貨の騰落率:韓国ウォン、対ドルで上昇一位 2011/04/27 17:03 JST (ブルームバーグ)

主要通貨の騰落率:日本円、対ドルで上昇一位 2011/04/26 17:02 JST(ブルームバーグ)

右往左往するイタリア

八度、リビア情勢を記事の出たタイムラインで整理する。

4月21日までには、米国務長官は暫定政権に医療品などの物資援助を表明した。また米国防長官は無人機プレデターを対地攻撃に使用すると発表した。無人航空機は本来、偵察と要人暗殺に使われてきたものだ。米兵の命の値段という政治的要求と確実な戦果との釣り合いに応じられるところまで、対地攻撃力に要する技術的水準が上がってきたと言えよう。

また、前日ワシントンを訪問したアフリカ連合のピン委員長が軍事介入に引き続き反対を表明した。しかし彼らには和平させるだけの軍事力=外交力に欠ける。

カダフィ政権側は、暫定政権の勢力圏キレナイカにある石油施設を空爆した、とされる。アメリカ抜きのNATOに、飛行禁止区域の管理ができているのか、という疑念が生じる情報である。

「軍事行動は解決にならない」AU委員長、政治解決を強調 2011.4.21 10:23:MSN産経

米政権、反体制派を直接支援 医療品など20億円相当 2011.4.21 10:07 :MSN産経

米軍、攻撃に無人機「プレデター」を投入 大統領が承認 2011.4.22 07:33 :MSN産経

政府軍、東部の石油施設空爆か 反体制派の原油生産再開に影響も 2011.4.22 08:09 :MSN産経

 ロイター通信によると、リビア反体制派の拠点、北東部ベンガジにある元政府系石油会社アラビアン・ガルフの当局者は21日、カダフィ政権側の部隊が20日、東部の反体制派の支配地域にある石油関連施設2カ所を空爆したと述べた。目撃者の話では警備員8人が死亡したという。

 同施設は同国最大級のサリール油田と積み出し港の北東部トブルクの間に位置しており、事実であれば現在停止している反体制派の原油生産再開に影響を与える可能性がある。(共同)


4月22日には、米共和党の前大統領候補だったマケイン氏が暫定政権のあるベンガジを訪問した。彼は積極介入を主張している。一方で、米統合参謀本部のマレン議長は、空爆でカダフィ政権の戦力は3~4割低下、戦況は手詰まり、アルカイダの浸透は確認できず、と述べている。

マケイン氏がリビア訪問 北東部で反体制派と会談 2011.4.22 19:19 :MSN産経

「政府軍戦力は3~4割低下」 リビア空爆で米軍トップ 2011.4.22 20:04 :MSN産経

4月23日には、トリポリタニアで唯一の暫定政権の拠点として孤立するミスラタをめぐり、22日の夜までにカダフィ政権側のカイム外務次官が、政府軍撤退の可能性を示したとの報道があった。しかし24日までにはカダフィ政権側からの砲撃が再度確認された。

4月24日には、ロシア外相はカダフィ政権側に攻撃停止できるなら、アフリカ連合の主張する和平の仲介に乗り出すと前日に会談した、と伝えられた。

政府軍、西部ミスラタから撤退も リビア外務次官 2011.4.23 13:13 :MSN産経

「撤退」都市へ砲撃再開 リビア政府軍 2011.4.24 21:05 :MSN産経

戦闘停止なら解決に協力 リビア側に露外相 2011.4.24 22:55 :MSN産経

4月25日には、ミスラタ包囲戦が続く中、暫定政権の議長がクウェートを訪問し、資金援助を受けることが明らかになった。

政府軍、ミスラタ包囲を継続 反体制派に再度砲撃 2011.4.25 08:00 :MSN産経

クウェートが反体制派に149億円支援 東部住民の給料に 2011.4.25 09:29 :MSN産経

リビア政府軍がミスラタ砲撃、30人死亡 2011.4.25 20:34 :MSN産経

4月26日には、前日にイタリアのベルルスコーニ首相が米オバマ大統領に空爆参加の意思を表明した、と伝えられた。

イタリアは、リビアの旧宗主国であり国営会社だったENIを通じて、石油利権を持ち、国内のエネルギー需要も大分依存していた。

しかし、今般の事態が生じると、不可侵条項付きの友好条約の一方的な凍結、空爆への基地提供と後方部隊の投入、暫定政権をフランス、カタールに次いで正統政府として承認(アメリカ、イギリスはしていない点に注目)、フランスもしていない暫定政権への武器供与、軍事顧問団の派遣に参加、そして空爆への参加となった。

NATO各国をそれぞれ、動きたくないアメリカ、先走りするフランス、動かないドイツ、右往左往するイタリア、的確な判断こそするが動くためのお金がないイギリスと評したが、あとここに堅すぎて動きが見えないトルコを加えても良さそうだが。

確かに内政がスキャンダルで混乱しているからと云っても、本当にイタリアは右往左往している。裏切り者の系譜にまた1ページ加わっているのには、お国柄を否応でも感じざるを得ない。

伊も空爆参加へ 首相が米大統領に表明 消極的から一転 2011.4.26 07:26 :MSN産経

また暫定政権のあるベンガジで、外国人漁師が国外脱出して、漁業再開がおぼつかないとの記事が出ているが、我が国の震災後の状況と大きく違うのはその外国人依存度の違いであるのは云うまでもない。これは分裂したりとは云えリビアが如何に中産階級となる層の薄い国かを示している。

外国人脱出が漁業に打撃 魚消えたベンガジの港 2011.4.26 09:25 :MSN産経

4月27日には、難民という名の“ババの押し付け合い”に終わりを告げるべく「シェンゲン協定」の修正で一致した、と報じられた。記事を下手に読み取ると、まるで協定の修正がイタリアによる空爆参加とバーターになっているのではないか、との印象すら持ちかねない。

一方、コペンハーゲンを訪れているロシアのプーチン首相は、インタファクス通信が伝えるところ、
「いわゆる文明化した集団が、総力を挙げてそう大きくもない国に長期間居座り、インフラを破壊する。私は気に入らない」と、語った。

また「カダフィ体制は『ゆがんだ君主制で、正常ではない』と断った上で、リビア国内の軍事衝突に外国が介入する必要はないと強調した。さらに、カダフィ大佐の殺害も辞さないとの発言が出ている」とし、「だれがそれを許可したのか。裁判でもあったのか。死刑に処する権利を得たとでもいうのか」とも語った。

安保理決議の持つ法的根拠からの際限のない逸脱を戒めているのが、ロシアという皮肉を今ここに見るわけだ。

仏伊首脳会談、難民問題でシェンゲン協定修正で一致 書簡に共同署名 2011.4.27 00:59 :MSN産経

 【パリ=山口昌子】フランスのサルコジ大統領とイタリアのベルルスコーニ首相は26日、ローマで会談し、チュニジアやリビアからイタリアに難民が大量に流入している問題に関し、欧州の協定締結国間の自由な往来を認めたシェンゲン協定を修正すべきだとの認識で一致した。両首脳は、協定修正の検討を求める欧州連合(EU)欧州委員会のバローゾ委員長らに宛てた書簡に共同署名した。

 イタリアは協定を盾に、難民に半年間有効の滞在許可証を発行してフランスなどに移動させようとしたが、仏側は17日に国境を一時的に封鎖して拒否し、関係が悪化。会談では、サルコジ大統領が国境審査を例外的に復活させて難民の流入をある程度制限するため協定の条項見直しを提案し、伊側も同調した。

 会談後の共同記者会見で、ベルルスコーニ首相はフランスがイタリアの5倍の難民を受け入れていることに理解を示し、サルコジ大統領も「協定の発展を望まない者は協定を望まない者だ」と述べ、仏内にもある協定修正への批判を牽(けん)制(せい)した。

 リビア問題では、イタリアが北大西洋条約機構(NATO)からの要請で、カダフィ政権の軍事施設などへの空爆に参加することを決めた点について、サルコジ大統領が歓迎の意を表明した。


「気に入らない」露首相、多国籍軍のリビア攻撃で 2011.4.27 01:01 :MSN産経

“復仇の原則”を踏まえて

日本とプロイセンが国交を結んで150年を記念するいわゆる日独決議に際して、超党派の保守系議連である創生「日本」の代議士を中心として、退席するか反対する自民党議員が相次いだ。

興味深いのはリベラルと見られていた小渕優子、後藤田正純も加わっていること、さらに麻生元首相・安倍元首相は退席、福田元首相・森元首相は反対と、党執行部批判の意味合いも感じられることだ。

「日独決議は事実誤認」平沼氏代表の日本会議が本会議の採択退席を呼びかけ 2011.4.22 13:02 :MSN産経

歴史観めぐり不満噴出 自民「日独決議」で40人退席 2011.4.22 20:44 :MSN産経

しかし、この決議の問題点は国家間の相互性が尊重されていないところにある。
以下が、決議全文である。

日独交流百五十周年に当たり日独友好関係の増進に関する決議 (第一七七回、決議第五号)

 今から百五十年前の一八六一年、我が国は日・プロイセン修好通商条約に調印し、日本とドイツの前身であるプロイセンとの間に公式な関係が樹立された。
 一八七一年にプロイセンを中心に統一を達成したドイツは、我が国が近代化に当たり模範とした国の一つであり、日独両国はお互いに影響を及ぼし合いながら、友好関係を築いてきた。
 両国は、第一次世界大戦で敵対したものの、先の大戦においては、一九四〇年に日独伊三国同盟を結び、同盟国となった。その後、各国と戦争状態に入り、多大な迷惑をかけるに至り、両国も多くの犠牲を払った。
 しかし、両国は奇跡の経済復興を遂げ、同時に戦争への反省に立ち、今日、自由、民主主義、人権の尊重という基本的な価値観を分かち合いつつ、世界の平和と繁栄のために緊密に協力している。さらに、両国の国民は、相互の文化と価値観に対する尊敬の念を基礎に、広範多岐にわたる交流を着実に進めている。
 本院は、日独交流百五十周年に当たるこの機会に、今後とも我が国は、信頼関係に基づくパートナーであるドイツと共に、国際平和の実現に向けて最大限の努力を継続する所存であることを、ここに銘記する。
 右決議する。


決議の文中で問題なのは
「両国は、第一次世界大戦で敵対したものの、先の大戦においては、一九四〇年に日独伊三国同盟を結び、同盟国となった。その後、各国と戦争状態に入り、多大な迷惑をかけるに至り、両国も多くの犠牲を払った」
の下りであろう。

特に「多大な迷惑をかけるに至り」の文言は問題視されて然るべきだろう。この文言が書かれるには、侵略における加害者・被害者の関係性を強調するあまりに戦争当事者双方ではなく、あたかも一方のみが絶対的な悪の観念で定義されており、しかもそれらが先の大戦では敗北した側の枢軸国だと云わんばかりの文言になっている。

そも侵略の定義が、攻勢計画を有する側からの先制攻撃によって惹起されたものとするならば、独ソ戦ではナチスドイツが侵略者であろうし、日米戦では大日本帝国が侵略者であろう。しかし支那事変では中華民国が侵略者であり、ソ連の対日参戦ではソ連が侵略者である。

つまりはこの決議の問題点は、国家間における相互性遵守の原則を超えて、一方的に“迷惑をかけた”と決議しているところなのである。左翼とリベラルにおもねって「多大な迷惑をかけるに至り」と入れたいがために、右翼と保守に配慮したつもりの「両国も多くの犠牲を払った」と加えてあるのも、さらにさもしい文言に感じられるではないか。

決議文中この一文は、もっと簡素に
「両国は、第一次大戦では干戈を交えたが、先の大戦では同盟を結び共に戦ったものの一敗地にまみれ、一時国権を失った」
などで良いではないか?

同様に現在紛糾している日韓図書協定をめぐっても、国家間の相互性は尊重されていない。むしろ日韓における旧宗主国と旧植民地としての関係をいびつにしたまま継続させている現実を映し出しているように思われる。日本が韓国に対しては鷹揚により云えば甘く、韓国が日本に対して最恵国待遇を高飛車なまでに求める姿は、それこそ外交関係上の奇形ではないか。

戦時国際法においては、復仇の原則が存在する。『やられたらやり返して良い、そうしなければますますつけあがってやられる』と云う訳だが、通底しているのは国家間の相互性を尊重せよ、と云う精神であって、ある一方が不必要に譲歩したりおもねることが如何に危険かということでもある。

復仇(戦時復仇)

“破れかぶれ解散”はあるか?

統一地方選の後半戦が終わった。

下記の記事によると、自民党と公明党は、震災復興の第1次補正予算案の成立後に、衆議院で不信任決議案を、参議院で問責決議案を提出する。

政権与党である民主党、特に非主流派の選択肢としては、否決ができないならば内閣総辞職が望ましいことで間違いないのは衆目一致するだろう。

菅首相が、解散総選挙を断行する場合(東北3県で選挙が実施できるかはひとまず措くとして)、元々脆弱だった地方組織がさらに弱体化したところに、敗北必至の選挙ほど非主流派の当選一回の議員にとって絶望的な選択肢もなかろう。

自公幹部、不信任・問責提出で一致 2011.4.25 21:41 :MSN産経

 自民、公明両党の幹事長、国対委員長らが25日、都内で会談し、統一地方選の民主党惨敗を受け、東日本大震災の復旧策を盛り込んだ平成23年度第1次補正予算案の成立後、菅内閣不信任決議案や菅直人首相問責決議案を衆参で提出し、首相の退陣を求めていくことで一致した。国民新党の亀井静香代表らが呼びかけている超党派の「復興実施本部」に参加しないことも確認した。

 会談では、自民党の大島理森副総裁が1次補正予算案成立後の国会対応について「場合によっては不信任決議案や問責決議案の提出を考えないといけない局面が来るかもしれない」と提案、公明党側も応じた。

 会談後、自民党の逢沢一郎国対委員長は記者団に対し「本格的な復興までの道筋を菅首相に委ねるつもりはないというのが国民の声だ。国民の声に野党は積極的に応える努力が必要だ」と述べた。


1次補正を30日に採決 衆院予算委 2011.4.25 21:40 :MSN産経

 衆院予算委員会は25日の理事懇談会で、東日本大震災の復旧に向けた平成23年度第1次補正予算案について、30日午前の同委で採決することを決めた。1次補正予算案は同日午後の衆院本会議で可決、参院に送付され、5月2日に成立する見通しだ。理事懇は、26日午後に震災に関する集中審議を行うことも決めた。


今回の政権交代を振り返ると、小沢氏がポピュリズムとして大衆迎合的な政策(バラマキ4Kに代表される)の数々を“マニフェスト”と云うカタログに詰め込んだことで政権を獲得した。これが第1段階でまごう事なき成功。

以後、小沢氏は、党のカネを握る幹事長であり、かつ国家予算を握り、利権の分配者になろうとしたが、鳩山前首相の性格と発言が彼の想像の斜め上だったのだろう。第2段階で一緒に退陣せねばならず彼の試みは蹉跌した。

ここから歯車が狂いだした。第3段階と仕上げ段階とも云える、参議院選挙と統一地方選挙とで、矢継ぎ早な利権分配とその見返りの選挙協力を以て、自民党と公明党のそれぞれが持つ、県から市町村にまで及ぶ支持母体の各団体を根こそぎ奪ってやるくらいの“大どんでん返し”を狙ったのだろう。結果は計画のまったく逆になったようだが。

統一地方選で登場してきた地域政党でも、各地ごとの大衆迎合的な政策を打ち出す。名古屋の“減税”とか、大阪の“大阪府・大阪市の合併”とが云われる。地元に合った主張であるか、地元が迎合する風土を持つか、それらの相違がすでに議席獲得の勢いにおいて、その結果として出てきている。

そもそも民主党が、真に有権者に迎合できた理由はポピュリズムの政策如何よりも、有権者のもっと感情的な、原初的な欲求としての“嫉妬”に共鳴することができたからだと思う。自民党とそれにまつわる人々だけが『甘い汁を吸っている』に違いないと、誰かにつくられた言説や根拠に乗っかって、その“嫉妬”を爆発させてきた。その有権者から民主党は“嫉妬”を代弁してくれる仲間として認められた、と云うべきか。

しかし“嫉妬”を持てば誰かと合わせることなどできない。それを捨てなければ、政治に必要な調整ができないのだ。“嫉妬”に依拠するポピュリズムによって産み出された政治的な力を持つトップは、誰か他の人が権力を握ることをも“嫉妬”の発露によって除外もしくは粛正せんとするだろう。

それが極左政権を支持している有権者の原初的な心象風景だったのだろう。かつて彼らが青春時代に体験した『連合赤軍』『日本赤軍』に見られた外道な行いがちっぽけな“嫉妬”から始まったことからも容易に想像が付く。

菅首相もあいつには権力は渡したくない、といった一種の“嫉妬”で解散総選挙を破れかぶれで選ぶかもしれない。

風評とチャイナリスクが相まって

大震災以降、留学生や実習生など若年層の中国人が大量帰国している背景には、一人っ子政策も関係しているそうだ。さらに再入国許可すら取らずに出国している中国人も多く、文科省では災害救助法が適用された市町村に居住していた留学生への支援策を打ち出している(新旧の中国人コミュニティとして知られる池袋、横浜はもちろん関係ない)。

産経新聞によると、横浜中華街発展会協同組合の林兼正理事長は「震災の後、2500人の中国人のうち、留学生や若い調理師を中心に約300人が帰国した」と話す。さらに「約340店舗(毎日新聞では約320店舗)のうち、小さい飲食店など10店舗程度が営業停止を迫られている」と云う。

池袋駅北口辺りは、中国系飲食店などが約200店舗軒を連ねているが、関係者によると、中国人の約3割が帰国した、と云う。

『吉野家』では、震災後の1週間に中国人など外国人アルバイトが約200人退職した。外国人バイトの約4分の1に当たり、その多くが帰国したとみられる。

毎日新聞によると、4万人強の中国人実習生を受け入れていた縫製業界は、「約3万人が帰国したまま」(日本繊維産業連盟)の状態だと云う。

「風評帰国」消えた中国人 横浜・池袋、飲食店など売り上げ減 2011.4.24 08:15 :MSN産経

原発事故:戻らぬ中国人労働者 縫製業は減産も 2011年4月24日 23時16分:毎日jp

東日本大震災に関する外国人留学生への支援等について 平成23年4月7日 文科省

災害救助法適用市町村の外国人登録者数(県別・国籍(上位20カ国)別) [PDF]

海外の和食レストランについては、外国人経営者の割合を勘案しなければならないだろう。中国人、韓国人の移民の多い北米の現状を見る限り、別の意味での風評被害を想像させるものがある。

こうした和食レストラン向けにもなる農産品・海産品の輸出が、需給調整(国内の供給過剰とデフレ解消)の一助として考えられていることに言及する朝日新聞の記事は、中国と韓国の事例にしか触れていないのに「アジア商機」という見出しを付けている以外は、良質な部類だとは思う。

「このままでは100店以上閉鎖」 香港の「和食ビジネス」倒産の危機 2011.4.7 10:26 :MSN産経

日本料理店、大量倒産も=原発事故受け―香港 2011年4月5日18時6分:asahi.com

海外における日本食レストランの現状について. 平成18年11月. 農林水産省(pdf)

主要都市・地域における日本食レストランの 現状と関係組織の活動状況 [PDF] 平成19年2月1日

〈大震災と経済 復興へ向けて〉アジア商機、急停止 2011年4月18日11時13分:asahi.com

「鮮度を保証できない。しばらく見送りましょう」

北海道漁業協同組合連合会の石坂英文・加工食品部長代理は3月19日夜、電話でこう伝えた。相手は中国の水産物輸入会社の曽波社長。昨年12月に始めた上海への鮮魚輸出が止まった。

根室産キンキなど、とれたての魚は、水曜に新千歳空港から空輸。翌日夜には上海や北京の高級日本料理店などで出されていた。東京の客に届く時間と同じだ。だが、東日本大震災による福島第一原発の事故で、中国が検疫を強化。検疫を通るのに、丸一日かかる例も出始めた。

魚の輸出の狙いは価格を安定させ、漁師を守ることだ。国内は少子高齢化や魚離れで消費が減り、価格が低迷するものも多い。一方、欧米の健康志向の高まりや新興国の台頭で世界の需要は急増する。

北海道産も加工品や冷凍の形で輸出が拡大。漁連の西英司副会長は「年500億円前後が輸出され、国内の需給バランスが崩れたときの調整機能を果たしている」と話す。

鮮魚輸出は曽社長が働きかけた。日本への観光で北海道の鮮魚の味を知り、中国でも食べたいという中国人が増えた。卸値は日本の数倍だが、曽社長は2月にえりも漁協を視察した際、「北海道産というブランドで売れる」と、輸入を週2回に増やす意向を示した。

今や、日本の食自体が敬遠される。漁連の石坂部長代理は嘆く。「北海道ブランドは安全・安心といってもどうしようもない」

千葉県香取市にある「土足厳禁」のビニールハウス。厳しく衛生管理された空間で育つのは、通常の2倍の糖度を持つ小粒なトマトだ。出荷停止の対象外だが、輸出先の香港は千葉県産の野菜をすべて輸入停止とした。

トマトを生産する農事組合法人「和郷園」は、加工や販売まで手がけ、農作物の付加価値を高める「6次産業」に取り組んできた。直販店も持ち、グループ全体の雇用はパートを含め1500人規模に増えた。

木内博一代表理事は、「海外に出さないと供給過剰でデフレも解消せず、地方の雇用にも結びつかない」と話す。2007年末、香港に現地法人を設立。10年の売り上げは前年比3割増の10億円になった。出荷停止対象に含まれない米や野菜も扱うが、大震災後に輸出は半減。昨年収穫の福島産コシヒカリ18トンの注文も取り消された。

◆医療ツアーぱったり/ロケ地観光 練り直し

大阪の中心地、難波のビル地下にある「聖授会OCAT予防医療センター」。待合室にイタリア製の高級いすがゆったりと並ぶこのフロアから、中国人「観光客」の姿が消えた。

日本旅行が2009年春、中国の富裕層にがん検診を組み込んだツアーを売り出した。10年の客は前年の40人から250人に急増。検診費は日本人とほぼ同じ35万円。東京や北海道で数泊する客も多く、ツアー費は平均100万円、最高は200万円に上った。

昨年の尖閣諸島沖の漁船衝突事件で中国人観光客が激減した時も、「訪日目的が明確で、影響はなかった」(同社)。それが東日本大震災で、中国が被災地への渡航延期を勧告すると、一切来なくなった。

医療を受けるため海外にいく「医療ツーリズム」。各国の富裕層らに人気が広がり、市場が急成長し、タイや韓国などアジア各国も国を挙げて力を入れる。

日本旅行訪日医療ツーリズム推進室の青木志郎室長は「日本の医療は信頼されており、渡航延期勧告が解除されれば客は戻ってくる」とみる。ただ、富裕層に強い中国の旅行会社と提携し、商品を売ってもらっているためこうも漏らす。「解決に半年かかれば他国に切り替えられ、忘れ去られるかもしれない」

鳥取県に昨年4月、韓国の人気ドラマを手がける制作会社から打診があった。「ロケ地を探していますがどうですか」。映画やドラマのロケ地を訪ねる「スクリーンツーリズム」は、観光客を呼び込めると注目が高まる。鳥取砂丘や古い街並みが残る倉吉などに関係者を招き、平井伸治知事もトップセールスをかけロケ地を勝ち取った。

韓国で同年12月に放送が始まると、狙い通り韓国人客が急増。鳥取・米子空港―ソウルを運航するアシアナ航空は1月から機材を大型化した。2月の韓国人利用者は昨年11月の2倍近くの1664人。それが3月は529人に激減した。

宿泊や飲食など経済効果を年12億円とはじいていた県は戦略を練り直す。

◆新成長戦略 先行き暗雲

政府は昨年6月、デフレから抜けだし、成長率を高めるための「新成長戦略」を打ち出した。国内市場が縮む中、海外、特に成長が続くアジアの需要を取り込む狙いだ。

農林水産物の輸出拡大や訪日外国客の増加などを盛り込んだが、今回の大震災と原発事故で、その基盤となる安全・安心という「日本ブランド」が根底から揺らいでいる。戦略の柱である原発などのインフラ輸出にも不透明感が増す。

経済産業相として戦略策定に深く関わった民主党の直嶋正行副代表は「ある程度の経済成長を考えると、なかなか選択肢はなく、世界の成長を取り込んでいくしかない。より日本にとって厳しくなった」と話す。(田中孝文)

“リスク2位の国債”にリスク回避

国内生保各社が、リスク回避として国内株より外国株、株式より債券、外債より内債へと運用シフトする傾向が毎年続いている。

2000年の生保総資産のうち日本株15.4%、日本国債16.6%から、2008年の生保総資産のうち日本株7.9%、日本国債24.6%とのデータが日経ビジネス2009.3.23号にあった。

国債への比率がさらに高まるというのが、下記の記事から読める。

ここ10年来の国内株式市場での国内機関投資家の存在感の相対的低下、外国人投資家の存在感の相対的上昇は、こうした生保各社の保守的な姿勢が一因な訳だ。この姿勢は株価の上値を抑える要因にもなってきたと考えられる。株価が上昇すれば、運用方針に従った利益確定売りで株式の運用は結局は圧縮されるだろうから。

一方、先日出されたオランダの投資銀行ラボバンクの顧客向けリポートでは、日本国債(ソブリン債)のリスクはギリシアに次いで2位と指摘されている。そうなると国内生保各社はリスクの高い国債を安定投資先と見て、危険な運用へとシフトし続けていることになる。

形容矛盾の世界に突入していくのだが、“リスク2位の国債”にリスク回避とは、これ如何に説明すればいいのだろうか?

日本生命:新規1兆円で国内債、新興国株を増加-東電株減損処理も(1) 2011/04/22 16:28 JST (ブルームバーグ)

4月22日(ブルームバーグ):日本生命保険は2011年度の資産運用で、1兆円を見込む新規資金について7-8割を、安定的な金利収入が得られる国内債券に振り向ける方針だ。為替リスクをヘッジしないオープン外国債券も円高局面で買い入れ、残高を積み増す見込み。急落した東京電力株式は評価損計上を検討する。

財務企画部の松永陽介部長は、国内債の運用は超長期債に傾斜するが、「デュレーション(平均残存年限)の長期化ありきというより、負債コストをみながら一定の順ザヤの確保が前提」と述べた。会計基準変更などをにらみ生保各社が長期化に動く中、日生では金利低下局面で個購入を見合わせ、タイミングを図る可能性もあるという。

国内金利については、東日本大震災の影響で景気の先行き不透明感が強いため当面、長期金利上昇は抑制されると予想。ただ、震災復興が本格化する年度後半には財政問題が意識され、上昇圧力となって「(10年債で)1.3%付近のレンジ相場になるのではないか」とみている。10年度は国内債券を1兆1600億円積み増した。

外国債券は為替水準やヘッジコストを勘案。オープン外債は1ドル=80円突破したり、75円に近づく場面では買いを積極化する。また、中期的に国内金利上昇リスクに備えるため、「海外クレジットものなどへの分散投資もさらに進めていきたい」という。10年度はヘッジ付き外債を9000億円、オープン外債を3900億円増やした。

株式は財務力を考慮しながら引き続き投資する。国内株式について松永部長は、「中長期的な含みや配当収入という意味でも昨今の国内金利と比べて悪くない」と指摘した。一方、外国株式は「成長性の高い新興国を中心に若干積み増していきたい」という。10年度は国内株式の残高を100億円増やし、外国株式を100億円減らした。

同社は株価評価に月中平均を採用するが、震災後に急落した保有東電株は、「健全性の観点から月末株価でより保守的に評価損の計上も含め検討している」という。ただ、現時点で売却する考えはないとしている。東電債も「マーケットの状況には細心の注意を払うが、バタバタ動くことは考えていない」と述べた。

一般貸付残高は、数百億円の微増となる見込み。東電から追加融資要請があれば、「生保の資産運用として社会性や公共性、震災復興や電力産業を支える視点」などからの判断に加え、国の支援も勘案しながら検討する構えだ。10年度は生保各社が残高を減らす中、300億円増やした。不動産の残高は微増を計画。昨年度は400億円増だった。

3月末の日本生命の一般勘定資産は約47兆円。国内債券が20兆1300億円(全体の43%)、ヘッジ付き外債が4兆8800億円(10%)、貸付金が7兆8100億円(17%)、国内株6兆600億円(13%)、オープン外債は2兆3900億円(5%)、外国株が9500億円(2%)、不動産が1兆7500億円(4%)などとなっている。


生保、際立つ安定運用 国内債投資2.9兆円積み増し 2011/4/23/2:53 (日経)

生保大手、国内債積み増し 株式リスク敬遠、復興国債に前向き 2011.4.23 05:00(SankeiBiz)

日本のソブリン債リスク、ギリシャに次ぐ2位-蘭ラボバンクが指摘 2011/04/22 08:10 JST (ブルームバーグ)

OECDもご一緒にポジショントーク

OECDが震災の復興後には、消費税20%もあり得るとの予測をぶち上げている。何とも気の早い話で。基礎的財政収支(プライマリー・バランス)も棚上げされている時期に、それを云われると、当然誰がこのレポートに関わっているのかとか穿った見方をしてしまうものだ。『税と社会保障の一体改革』が震災で事実上頓挫したのに、消費税を復興税として増税だとか、国債の日銀引き受けを違法だとか言い出す与謝野大臣の悪あがきを横目に見ながら思うのだが、ポジショントークにもタイミングは必須だろうし、日銀引き受けの件については明らかな事実誤認への誘導として風説の流布になりかねない。

日本経済は12年に2.3%成長に回復、震災の影響長期化せず-OECD 2011/04/21 14:30 JST (ブルームバーグ)

(前段略)
消費税は20%へ-基礎的収支黒字化で

一方、対日審査報告書では、財政健全化が優先事項とし、震災の復興費の確保には歳出組み替えなどで対応するよう求めた。基礎的財政収支(プライマリー・バランス)の黒字化達成には消費税率の引き上げが不可避とし、同税率は欧州平均の20%に向かっていくことになるだろうとの見方を示した。

金融政策面では、日本銀行に対し地震の影響を含む下方リスクに注意を払い、現在の緩和的なスタンスを維持するよう求めた。先行きが悪化した場合にはさらなる措置を講じる準備をすべきだとし、長期国債の購入拡大を通じて長期金利を低下させることに焦点を当てるべきだと述べている。日銀が掲げる物価目標については、より高いインフレ目標はデフレに対してさらなるバッファーを提供するとしている。


S&Pが4月18日に、米国債の長期格付けの見通しをネガティブに下げても、市場がまったく逆の反応を示したことばかりなので、ポジショントークをするタイミングはもう少し考えた方が良い、と思う。もちろんラボバンク独自の指数には、国債の内債か外債か、自国通貨建てか外国通貨建てか、の視点は除外されている。

日本のソブリン債リスク、ギリシャに次ぐ2位-蘭ラボバンクが指摘 2011/04/22 08:10 JST (ブルームバーグ)

ラボバンクの国際経済担当エコノミスト、シャヒン・カマロディン氏(ユトレヒト在勤)は21日付の顧客向けリポートで、同行が算出するソブリン債の脆弱(ぜいじゃく)性に関する指数では日本が2位、米国は5位となると分析。一方、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場ではそれぞれ7位、11位だ。ギリシャは債務危機に陥る恐れが最も高い国という点では、市場とラボバンクの評価が一致した。

ラボバンクの指数は、金利格差や経済成長、財政赤字の水準、経常収支、既存の証券の満期を含む8つの指標を基に算出する。

カマロディン氏は「最も注目に値するのは、ソブリン債リスクの面で、債務負担の大きい日本の脆弱性がギリシャの次に高いことだ」とし、「当行の指数では、構造的に多額の財政赤字を抱える米国がスペインやイタリアよりリスクが高い位置付けだが、CDSスプレッドではそうなっていない」と指摘した。

ラボバンクの同指数でアイルランドとベルギー、スペインの順位は、CDSが示唆する水準より低かった。

新たな安保理決議の必要性

七度、リビア情勢をタイムラインで整理する。

アメリカが後方支援に回ってからカダフィ政権の打倒という短期的な解決が遠ざかった。そのために外交工作による打開が模索され、武器供与の是非が検討された。その段階を経て、より具体的に、地上軍の派遣(新たな安保理決議が必要とされる)と、武器供与の程度(暫定政権の練度を考えると軍事教練が必須とされる)へと焦点が移ってきた。

4月15日までには、NATO外相理事会も軍事作戦の行き詰まりを認めた。一方、カダフィ政権側は大佐の健在をアピールするとともに、トリポリタニアに残された暫定政権の拠点である港湾都市ミスラタに攻撃を集中してきた。そして、難民(これには出稼ぎ労働者を含む)が50万人超となった。また国連難民高等弁務官事務所は今後、難民が総計120万人近くになるとの見通しを発表した。フランスとイタリアが真に怖れるのは、リビアからの政治難民であって、これが今回の軍事介入の最大の眼目と言えよう。

NATO外相理事会 対リビア軍事作戦行き詰まり、政治的解決模索も 2011.4.15 00:52 :MSN産経

政府軍攻撃で市民23人死亡 反体制派抗議 2011.4.15 00:54 :MSN産経

国営テレビ、カダフィ氏の映像放映 健在ぶりを誇示 2011.4.15 07:56 :MSN産経

政府軍がミスラタを攻撃、港閉鎖に 人道危機の懸念高まる 2011.4.15 07:59 :MSN産経

リビア脱出50万人超に 国際移住機関 2011.4.15 23:43 :MSN産経

 国際移住機関は15日、政府軍と反体制派の内戦状態が長期化するリビアから出国した難民や出稼ぎ労働者らが13日までに51万3951人に上ったことを明らかにした。国連難民高等弁務官事務所のグテレス高等弁務官は今後、計120万人に達する可能性を指摘している。

 13日だけで5500人以上がリビアを脱出。隣国のエジプトやチュニジアからの出稼ぎ労働者が大半だったが、情勢悪化が続けば、妊婦や子どもなどが増える恐れがあるという。

 イタリアなどを目指し海路を利用する人々もおり、6日にはマルタ領海で難民らを乗せた船が沈没し約20人が死亡、約300人が行方不明になった。(共同)


4月16日には、前日のNATOとロシア外相級理事会で、ロシア外相は安保理決議に基づく介入の合法性に理解を示したことが明らかになった。裏を返せば、安保理決議から逸脱しないことを求めている。

リビア作戦の合法性理解 ロシア、NATOに表明 2011.4.16 00:56 :MSN産経

 北大西洋条約機構(NATO)は15日、外相級のNATOロシア理事会を開催、ロシアのラブロフ外相はNATOの対リビア作戦が国連決議に基づき合法だとの認識を示した。

 ロシアのメドベージェフ大統領も参加して中国海南省三亜で14日開かれた新興5カ国(BRICS)首脳会議は、NATOのリビア軍事介入に懸念を表明したが、ロシアはNATOの行動に一定の理解を示した形だ。ただ、ラブロフ外相は記者会見で「過度の軍事行動は市民の犠牲拡大につながる」と述べ、「できるだけ早期の政治的解決を目指す必要性」を強調した。

 NATO外相理事会は2日間の日程を終えて閉幕した。(共同)


4月17日には、イタリアが暫定政権側に武器供与をすると、暫定政権の報道官が発表した。イギリスも限定的な武器供与を行っているが、カダフィ政権側への武器輸出に関する評価をまとめた後で、それを行っていることに着目したい。この点でのイギリスの手順の踏み方は正しいだろう。

「イタリアが武器供給」 近く輸送と反体制派 2011.4.17 08:38 :MSN産経

4月18日には、暫定政権側はさらなる武器供与を諸外国に訴えるようになった。イギリスは地上軍派遣への地ならしを進める発言を行った。これには新たな安保理決議が必要となる。

武器供給訴える反体制側 戦力に格差 2011.4.18 09:22 :MSN産経

対リビア、地上部隊派遣の見方強まる 英紙報道 2011.4.18 23:34 :MSN産経

4月19日から20日には、依然ミスラタでの攻防が続く中、NATOの空爆において作戦機の過少さをラスムセン事務総長らが認める格好となった。作戦機を増派しても、精密爆撃が可能な装備が不足している。アメリカ抜きとはそういう結果になるのだ。また暫定政権に対して、英仏伊は軍事顧問団の派遣を決定した。

NATO、通信施設攻撃か 国営通信報道 2011.4.19 13:28 :MSN産経

リビア空爆1カ月 見えぬ着地点、反体制派に焦燥感 2011.4.19 20:13 :MSN産経

 【カイロ=大内清】欧米などの多国籍軍がリビア軍事作戦を開始して19日で1カ月となったが、同国最高指導者カダフィ大佐側と反体制派との戦闘は膠着(こうちゃく)状態に陥り、反体制派への新たな軍事支援をめぐる国際社会の歩調もそろわないままだ。外交的にカダフィ氏に退陣を促す動きも、同氏の「完全排除」を目指す反体制派の理解を得るのは難しく、交渉による着地点は見えていない。

 16日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は米当局者の話として、オバマ米政権がアフリカでカダフィ氏の受け入れ先を探す作業が水面下で進めていると報じた。国際刑事裁判所(ICC)による訴追を懸念するカダフィ氏側に配慮し、ICCへの被告人引き渡し手続きなどを定めた条約の未批准国への脱出も検討されているという。

 だが、こうした形でのカダフィ氏退陣は「カダフィ氏だけでなく、反体制派からも拒絶される可能性が高い」と、エジプトの北アフリカ専門家は指摘する。

 カダフィ氏は、各国で凍結された資産のほかにも金塊などの形で潤沢な資金を保有しているとみられる。反体制派にとっては、同氏が国外から部族対立を扇動するなどして復権を狙う懸念が払拭できないわけだ。

 ただ、反体制派も現状の戦力でカダフィ氏を追い詰めるのは難しい。カダフィ氏側はこれまでの多国籍軍による空爆で数多くの戦車や機関砲などを失っている。しかし、AP通信によると、北東部ベンガジを拠点とする反体制派組織「国民評議会」のアブドルジャリル議長は先週、空爆がなければベンガジ防衛さえ困難だとの認識を示した。

 多国籍軍を主導する英国やフランスは、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に空爆強化を求めているが、作戦の指揮権をNATOに移譲し側面支援に回った米国をはじめ、各国の反応は鈍い。イタリアなどが主張する反体制派への武器供与も反対論が根強い。

 そんな中、ロシアのラブロフ外相は15日、多国籍軍が事実上、反体制派の戦闘を支援しているとして、「(市民保護が目的の)国連安全保障理事会決議を逸脱している」と批判した。

 これを受けたように、多国籍軍はここ数日、空爆対象をカダフィ氏側の市民攻撃が続く北西部ミスラタ周辺などに集中させている。

 カダフィ氏側のクラスター爆弾使用が指摘されるなど同市への攻撃は激しく、18日には英国や国際移住機関(IOM)の救援船が、5千人規模の負傷者や外国人らの収容を開始するなど、人道支援が活発化している。

 半面、反体制派とカダフィ氏側の戦闘が続く東部地域の空爆はその分、手薄となっており、反体制派は焦燥感を強めている。


NATO、カダフィ政権の司令部空爆 2011.4.20 01:27 :MSN産経

 北大西洋条約機構(NATO)の対リビア作戦を指揮するボシャール司令官は19日、声明を発表し、NATO軍が18日夜にトリポリ近郊のカダフィ政権の政府軍司令部と通信施設を空爆で破壊したことを明らかにした。

 これらの施設は、リビア市民に対する攻撃に使用されていたという。

 また、ブリュッセルで同日、記者会見したNATO欧州連合軍最高司令部のファンウーム准将は、NATOの要請を受け一部加盟国が作戦参加の攻撃機を増派したことを明らかにした。

 NATOのラスムセン事務総長は15日「高精度の対地攻撃能力を持つ攻撃機が不足している」と述べ、加盟国に増派を求めていた。(共同)


英仏伊 リビアに軍事顧問団派遣 反体制派支援 地上部隊派遣は否定 2011.4.20 18:43:MSN産経

4月21日までには、暫定政権の首都と目されるベンガジへと仏大統領が赴き、会談を行ったことが明らかになった。ミスラタの戦況は暫定政権側にとってさらに悪化、戦線の整理を考えても、暫定政権は撤退してキレナイカに勢力を限定すべき決断を下す段階に来ているだろう。

暫定政権の報道官は、戦闘目的の地上軍派遣は必要ないと述べているが、戦況次第では覆る可能性が高い。今までもなし崩しに飛行禁止区域の設定、武器供与を容認してきたように。つまり暫定政権は政権を担う能力そのものが欠けているという認識を当事者が持っていないようだ。

リビア情勢で最も的確な判断と行動をしているイギリスが、地上軍の派遣を否定していないのもそれを踏まえてと考えられる。

望むらくは暫定政権がキレナイカに勢力を限定した上で、武器供与と軍事教練で軍を強化して、一定の打撃をカダフィ政権側に与え、国連もしくは列強の仲介によって、トリポリタニアとキレナイカの間で兵力を引き離して停戦することだろう。

ただし兵力引き離しを考えるとき、懸念されるのはキプロスのグリーンラインやゴラン高原などと比較しても、余りにも引き離し線が長大になりそうなことである。

リビア反体制派議長、サルコジ仏大統領と会談 ベンガジに招待 2011.4.21 00:03 :MSN産経

アカデミー賞候補の著名写真家が砲撃で死亡 2011.4.21 10:01 :MSN産経

反体制派、外国地上部隊を一部容認 2011.4.21 10:03 :MSN産経

 リビアのカダフィ政権との攻防を続ける反体制派「国民評議会」のゴーガ報道官は20日、ベンガジで記者会見し、政府軍の激しい攻撃にさらされている西部ミスラタへの人道支援を確実に実施するためであれば、外国による地上部隊派遣に反対しないと述べた。ただ、戦闘目的の外国地上部隊は必要ないとの考えを重ねて示した。

 最高指導者カダフィ大佐の退陣を求める英仏などは国連安全保障理事会決議に基づき、政府軍への空爆を1カ月以上続けているが、地上部隊の投入には慎重。現状の空爆作戦は決め手を欠き、政府軍と反体制派の攻防は手詰まり状態となっている。

 一方、報道官は「われわれのために戦う地上部隊については当初から望まないことを明らかにしている」と強調。反体制派の幹部が英仏に地上部隊派遣を求めたとも報じられたが、「指導部内に意見の相違はない」と述べた。(共同)


ミスラタの状況が連日悪化 国連高官、集束弾にも懸念 2011.4.21 11:05 :MSN産経

英首相、米、イタリアに圧力継続を働き掛け 2011.4.21 10:33 :MSN産経

 キャメロン英首相は20日、リビア情勢について米国のオバマ大統領、イタリアのベルルスコーニ首相らとそれぞれ電話会談し、カダフィ政権に対する軍事、外交面の圧力を継続することの重要性を訴えた。

 キャメロン首相はリビアへの地上軍派遣の可能性を完全には否定しておらず、今後の展開をにらんだ動きといえそうだ。

 同首相はカタールのハマド首相とも会談。英国はフランス、イタリアを先導する形で、リビアの反体制派「国民評議会」を支援する軍事顧問団の派遣を決めており、各首脳に英国の方針への理解を求めた。

 キャメロン首相とオバマ大統領は、リビアの市民保護を目的とする国連安全保障理事会決議の完全履行が必要だとの認識で一致した。(共同)

的確な判断だが、それを実行するカネがない

リビア情勢の推移を見る限り、NATO各国の中では、イギリスが最も的確な判断をしていることが分かる。イギリスの面目躍如といったところだが、一方でなけなしの新規空母を造る前から削減しなければならない台所事情もある。

つまりは、動きたくないアメリカ、先走りするフランス、動かないドイツ、右往左往するイタリア、的確な判断こそするが動くためのお金がないイギリス、というNATO各国の構図が見え隠れする。

さて今回、イギリス主導で、軍事顧問団が派遣されることになったので、リビア内戦介入までのNATO各国の動きを振り返る。

英外相、リビアに軍事顧問団派遣 2011.4.20 18:43 :MSN産経

【ロンドン=木村正人】リビアの最高指導者カダフィ大佐が同国第3の都市ミスラタで市民への無差別攻撃を激化させたことを受け、ヘイグ英外相は19日、軍事顧問団をリビア北東部ベンガジに派遣すると発表した。ジュペ仏外相は地上部隊の派遣を否定したが、20日付の英紙ガーディアンは英仏両国は軍事顧問団各10人を派遣すると伝えた。反体制派の劣勢を挽回するため、英仏両国が主導する軍事介入は新たな段階を迎えた。

ヘイグ外相は、経験豊富な英軍将校による軍事顧問団を反体制派組織「国民評議会」の本拠地ベンガジに派遣し、部隊編成や通信、情報収集などの面で助言を行うと述べた。「市民保護」を目的にした国連安全保障理事会決議を「逸脱した」と指摘されないよう、「反体制派の軍事訓練や軍事作戦の立案・遂行には関与しない」とも強調した。

英仏両国は昨年、軍事協力の強化で合意しており、ガーディアン紙は英仏両国は軍事顧問団各10人を派遣し、合同本部を設置すると伝えた。地上部隊派遣とは一線を画するものの、かつてベトナム戦争への米軍介入も軍事顧問団派遣から始まっており、英国内ではリビアへの軍事介入は拡大する可能性が出てきたとの見方が広がっている。

一方、カダフィ大佐側は「安保理決議に違反している」と反発。AP通信によると、リビア政府のカイム外務次官は人道物資を運ぶ車列の護衛でも「リビア政府は人道的な任務と見なさない。戦闘になるだろう」と述べたという。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)や国連児童基金(ユニセフ)によると、ミスラタはカダフィ大佐の部隊に包囲され、市民に対し無差別攻撃が行われている。市民の死者は260人を超え、少なくとも20人の子供が犠牲になったとされる。

HRWは108カ国が全面禁止条約に署名したクラスター(集束)弾をカダフィ大佐側が使用したと非難しており、反体制派も英国などにミスラタの「人道危機」を訴えていた。

北大西洋条約機構(NATO)は19日、カダフィ大佐の七男ハミス氏が率いるトリポリ南郊の最精鋭部隊「第32旅団」本部や通信施設を空爆で破壊したと発表した。一部加盟国はNATOの要請を受け攻撃機を増派、ミスラタを包囲するカダフィ大佐側の戦車への空爆などを強化している。


2月27日には、ベンガジに暫定政権が発足したが、この時点では首都トリポリでも争乱状態になっており、外国の介入なしでもカダフィ政権は崩壊寸前と観られていた。

しかし早くも2月28日には、英キャメロン首相が下院で「軍事的な飛行禁止区域を設定する計画について同盟国と協力するよう国防省と国防参謀長に命じた」と明言した。

さらに3月1日には、英ヘイグ外相がBBCの番組で『リビア上空の飛行禁止区域設定には安保理決議は「必要不可欠ではない」』と言明した。これはコソボ内戦におけるNATO単独での介入の前例を踏まえたものだったが、NATOの盟主であり、最大の軍事力を持つアメリカが難色を示すことになる。

3月8日には、これを受けて英外相が「明確な法的根拠と国際的な支持、(中東)地域での広範な支持が必要だ」と、訪英中のパレスチナ自治政府のアッバス議長との共同記者会見で語った。

3月10日には、NATO各国の思惑と行動の違いが顕著となる。

まずフランスが、暫定政権を諸外国の中で初めてリビア唯一の政権として承認した。

同日のNATO国防相理事会では、米ゲーツ国防長官が英首相らの急進的な方針に反対し、ラスムセンNATO事務総長も (1)介入が必要な実態=人道に対する危機が明確であること (2)明確な法的根拠=安保理決議 (3)地域の支持=アラブ・中東の支持 の3点を示した。ただし地中海に艦隊を増派することも同時に決定された。

さらに同日、米クリントン国務長官が、下院歳出委員会小委員会の公聴会で、イラク、コソボでの介入長期化の例を挙げて慎重な姿勢を見せた。

アメリカの慎重な姿勢が、国際法上は妥当な措置であったとは言え、もともと軍事的に劣勢であった暫定政権に対するカダフィ政権側の攻勢を助けることになったのは間違いない。しかしこの時点では、暫定政権側が油田や製油所、積み出し港などリビアの石油関連施設の8割を掌握した、という楽観的な報道もあったのだ。

3月11日には、油関連施設の多い中部ラスラヌフで両政権の軍が激突、トリポリ近郊の要衝であるザウィヤはカダフィ政権側に奪還された。

3月12日には、アラブ連盟が飛行禁止区域の設定に賛成し、これにアメリカも支持を表明した。

3月13日には、カダフィ政権側がベンジャワド、ラスラヌフに続き、北東部ベンガジから南西約200キロの工業都市ブレイガを奪還した。

3月14日には、カダフィ政権側がアジュダービヤに空爆開始、翌15日には早くも奪還したとの発表も入ってきた。

3月17日の安保理決議は、すでに暫定政権の主要拠点はミスラタ、アジュダビーヤ、そしてベンガジという切迫した状況で採択されたものだった。常任理事国のうち、中国とロシアが棄権、非常任理事国も棄権する国があったが、NATO加盟国のドイツが棄権するという有様だった。

3月19日には、暫定政権の首都と目されるベンガジにまで砲火が及ぶとともに、仏サルコジ大統領が軍事行動に踏み切ったことを宣言した。この時点からすでにアメリカは側面支援を強調していた。つまり露払いはやってやるが、最後のケツ持ちは言い出した英仏がやれよ、ということだった。そしてその通りに事態は推移している、と言えるだろう。

通貨と国債の序列

S&Pが米国債の格付け見通しをネガティブへと変更したものの、実際には米国債は続伸、ドルは対円を除き上昇、米国株式だけ下落の結果に終わった。

外為市場の動きによって、金融危機以降続く、円>ドル>ユーロの序列を再度確認できた。格付け会社のソブリン債格付けでも市場の動きによって、自国通貨建て(自国向け)>自国通貨建て(海外向け)>外国通貨建ての序列が再度確認できたことになる。

NY外為:ドル上昇、米国の見通し以上に欧州債務危機を懸念 2011/04/19 05:27 JST (ブルームバーグ)

(前略)
ドルは対ユーロで1.4%高の1ユーロ=1.4238ドル、先週末は1.4430ドルだった。ユーロは対円で1ユーロ=117円54銭。一時は、3月17日以来で最大となる2.9%安の116円48銭をつけた。ドルは円に対して0.7%下げて1ドル=82円56銭。前週末は83円13銭だった。


米国債:続伸、ギリシャ債務不履行は必至との観測で-株安も買い材料 2011/04/19 05:13 JST(ブルームバーグ)

米国の「AAA」格付け、見通し「ネガティブ」に変更-S&P(1) 2011/04/19 04:59 JST (ブルームバーグ)

ギリシアは、自国が否定しても国債の利回りの急上昇によって債務再編が織り込まれつつある。ポルトガルは、アジア通貨危機時の韓国と同じく解散総選挙前に国際的合意を要求されている。アイルランドは、自国の銀行が資金調達をすることが事実上不可能にされた。PIG各国とも外堀をどんどん埋められている、いやもう裸城だったか。

欧州債:ギリシャとポルトガル国債が急落-デフォルト懸念が強まる 2011/04/19 03:05 JST (ブルームバーグ)

(前略)
ロンドン時間午後4時12分現在、ギリシャ2年債利回りは172ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の20.23%。同国債(表面利率4.6%、2013年5月償還)価格は2.22ポイント下げ75.38。ギリシャ10年債利回りは74bp上げ14.56%となった。

ギリシャ10年債と同年限のドイツ国債のスプレッド(利回り格差)は82bp拡大の1131bpと、ブルームバーグがデータ集計を開始した1998年以来の最大。ポルトガル10年債と独10年債とのスプレッドは582bpに広がった。

独10年債利回りは前週末比13bp低下の3.25%と、3月24日以来の低水準。独2年債利回りは11bp下げ1.73%を付けた。


ムーディーズ:アイルランドの銀行5行、ジャンク級に格下げ 2011/04/19 01:08 JST (ブルームバーグ)

終わりを迎えるアラブ“諸国民の春”

アラブ・中東の政治的混乱は、その極みを超え混乱の収拾へと入りつつある。アラブ“諸国民の春”は終わりを迎えようとしている。

エジプトでは、前大統領とその政権与党を、わかりやすく云えば“スケープゴート”にすることで、軍部とムスリム同胞団との妥協が成立しつつある。つまり軍部は勢力温存となり、ムスリム同胞団は合法政党となる。

ムバラク氏、軍病院へ 2011.4.16 00:11 :MSN産経

旧ムバラク与党に解散命令 エジプトの裁判所 2011.4.16 22:57 :MSN産経

シリアでは、アサド大統領が漸進的な改革を打ち出して来ている。その一方でバース党翼賛による統治体制は、根本的には変更なく、今後もつづけていく意向である。

非常事態法、今週撤廃 シリア大統領が表明 2011.4.17 10:27 :MSN産経

イエメンでは、つづく低強度の内戦の打開のためにアラブ・中東各国からの介入を受け入れ始めている。

アラブ湾岸諸国、イエメンの反政府側と協議 2011.4.18 08:35 :MSN産経

リビアでは、内戦が行き詰まっている。その打開策としてのひとつ、地上部隊派遣は明確に安保理議決に逸脱する。「リビア市民の生命を守るためにさらに何ができるのか考える必要がある」「(英軍による)占領や侵攻はない」との英首相の発言から、安保理、NATO、アラブ連盟各国への外交如何で新しい議決まで行われるかもしれない。

対リビア、地上部隊派遣の見方強まる 英紙報道 2011.4.18 23:34 :MSN産経

 18日付英紙デーリー・テレグラフは、キャメロン英首相が英テレビとのインタビューで対リビア軍事作戦における地上部隊派遣の可能性を排除しなかったとして、英軍の地上部隊がリビアで活動するとの見方が強まっていると伝えた。

 首相は17日の英スカイニューズ・テレビのインタビューで、反体制派を支援する欧米諸国などは「リビア市民の生命を守るためにさらに何ができるのか考える必要がある」と発言。地上部隊の派遣はないと言い切れるのかとの質問には「(英軍による)占領や侵攻はない」と答え、一時的な派遣の可能性を重ねて問われても同じ答えを繰り返すだけで、派遣の可能性を明確には否定しなかった。

 将来的に地上部隊をリビアに派遣した場合でも、一時的な派遣であれば占領や侵攻には当たらないと主張する余地を残しておく思惑があるとみられる。(共同)

なし崩しの武器供与

リビア内戦の焦点は、外交工作による打開と、暫定政権側への武器供与の是非となっている。しかし、NATO加盟各国でも、武器供与に関しての姿勢は一貫していない。暫定政権を正統としては認めていないイギリスが衛星電話1000台、防弾服1000着を供与。一方認めているはずのフランスが現時点では見送っている。

英仏が微妙な対応を見せているときに、暫定政権を正統として認めているイタリアが武器供与するという。

「イタリアが武器供給」 近く輸送と反体制派 2011.4.17 08:38 :MSN産経

 リビアのカダフィ政権との攻防を続ける反体制派「国民評議会」のゴーガ報道官は16日、共同通信に対し、同評議会をリビアの唯一の正統な代表と認めているイタリアが反体制派への武器供給に合意、近く輸送が始まるとの見通しを示した。

 イタリア外務省は通信機器などを提供する方針を示す一方、武器供給には慎重な姿勢を示していたが、実際に供給が始まれば、政府軍に比べ装備が劣る反体制派にとって大きな支援となる。

 反体制派は同評議会を承認しているフランスやカタールにも、必要とする武器のリストを提供して供与を要請。報道官は「合意は要請に基づいたものだ」とし、リストに載せた対戦車ロケット砲や機関銃などの提供に期待感を示した。(共同)


暫定政権の報道官の発表をイタリア側は認めていたのだろうか? 『もっと出せよ、他も出せよ』と、イタリアが当て馬に使われている可能性もあるかもしれない。なし崩しに武器供与をしても、問題が複雑化するだけだ。アメリカの国防長官が指摘するように、必要なのは訓練であり、武器供与するなら早晩、教官付でやらなければならなくなる。

攻めも守りも本丸は“パチンコ”

石原都知事が、当確後の生中継会見で「自販機」と「パチンコ」の電力使用に触れていた。しかし、NHKですら編集後は「パチンコ」部分をカットしていた。

都知事が国家の政策を提言して、担当大臣が地元の都連をも調整できていない発言をする時点で、どちらかが有能・無能かは一目瞭然ではある。

いずれにせよ、以下の流れを見る限り、攻め手も守り手も「自販機」が二の丸、三の丸で、「パチンコ」が本丸としか思えない。

石原氏一問一答「日本の電力消費は奇形」 2011.4.10 23:25 :MSN産経

Twitter/猪瀬直樹:パチンコ業界から

パチンコ業界から「東京電力管内の全遊技場4000店舗での最大使用電力は約84万㌗」にすぎない、と抗議のメッセージが石原知事宛にきたが、これで正確が数字がわかった。それまでは“瞬間風速”的な電力は32㌗(原文ママ)というデータしかなかった。都営+メトロは最大36㌗(原文ママ)なのでやはり大きい。続く。
8:53 AM Apr 13th webから


Twitter/猪瀬直樹:飲料自販機。

飲料自販機。都議会民主党は13時~16時までの冷房停止ではなく10時~21時まで停止を提案した。連ホウ節電大臣と主張が違うようだ。その際、都議会民主党が自販機11万kwと誤記したので清涼飲料業界から「正しくは26万kw」と訂正が入った。おかげでほんとうの数字がわかった。
9:55 PM Apr 14th webから


蓮舫氏、石原氏の自販機悪玉論に反論 2011.4.14 00:18 :MSN産経

蓮舫氏、都議会・民主の自販機節電「権力で要請…国民はどう考える」疑問視 2011.4.15 09:50 :MSN産経

石原知事「パチンコ真夜中に」政令要請へ [2011年4月15日19時40分]日刊スポーツ

 東京都の石原慎太郎知事は15日の記者会見で、夏場の電力不足対策について「具体性のある政令を出さなければ効果が出ない」と述べ、自動販売機やパチンコなど特定業種への規制を国の対策に盛り込むべきだとの考えを示した。

 埼玉、千葉、東京、神奈川の4都県で共通のルールをつくり、国に要請することを検討している。

 石原知事は「自販機がこんなに林立している国はない。パチンコを好きな人が多いなら、(影響がない)真夜中にやればいい」と語った。

 一方、清涼飲料水自販機の電力使用を夏場に限って制限する都議会民主党の条例案について「首都圏全体でやらないと意味がない」と述べ、条例の必要性を否定した。(共同)

リビア“西部戦線異状なし”

六度、リビア情勢をタイムラインで整理する。しかし、これといった急激な情勢変化は起きていない。現状維持が精一杯。打開は難しい。アメリカ抜きの軍事力ではやはり政治外交的にNATOが成り立たないことをはしなくも証明してしまっている。

4月10日には、飛行禁止区域内での飛行により、暫定政権側の軍機も着陸させられた。また利害関係国の「連絡調整グループ」会合が開かれた。

ミスラタに赤十字船到着 北東部要衝陥落か 2011.4.10 10:00 :MSN産経

反体制派機に着陸命令 NATO、飛行禁止違反で 2011.4.10 11:23 :MSN産経

リビア情勢で14日に会議 アラブ連盟など、カイロで 2011.4.10 19:59 :MSN産経

4月11日には、アフリカ連合の仲介案が提示された。しかし翌12日には、カダフィ政権寄りと認識されているAUの仲介案を暫定政権側が突っぱねた。また同日、フランス外相がNATOに対して一種の自己批判を行った。

カダフィ氏、AU仲介案受諾と表明 停戦は不透明 2011.4.11 09:27 :MSN産経

反体制派、AUの調停を拒否 カダフィ氏退陣を要求 2011.4.12 08:12 :MSN産経

NATOの対応は不十分 仏外相が批判 2011.4.12 21:31 :MSN産経

4月13日には、亡命した前外相が暫定政権を承認しているカタールへ、一方で外相亡命で次官から繰り上がった現外相がキプロスへ。両政権の外交のつばぜり合いがつづく。

リビア前外相カタールへ 関係者と情勢協議 2011.4.13 01:27 :MSN産経

リビア外相、キプロス訪問へ 2011.4.13 23:31 :MSN産経

4月14日には、暫定政権側がNATOにおけるアメリカの主導権回復を要求した。これを受ける形で英仏は軍事圧力強化で一致する。しかしない袖は振れない。さらに暫定政権への資金援助はカダフィ政権の在外資産でなされるのだろうか。

リビア西部拠点で交戦 反体制派「戦況は改善」2011.4.14 00:35 :MSN産経

リビア反体制派「米軍に再び主導権を」と要請 2011.4.14 10:05 :MSN産経

英仏首脳、リビアへの軍事圧力強化で一致 2011.4.14 10:34 :MSN産経

リビアの在外凍結資産は10兆円 カダフィ政権の財務相明かす 2011.4.14 10:44 :MSN産経

リビア反体制派幹部が訪米へ 国務副長官や国防総省幹部らと会談 2011.4.14 10:46 :MSN産経

 米国務省のトナー副報道官代行は13日の定例記者会見で、リビア反体制派「国民評議会」で対外関係を担当するジェブリル氏が今週ワシントンを訪問し、スタインバーグ国務副長官や国防総省当局者らと会談することを明らかにした。

 多国籍軍に加わる欧米などの「連絡調整グループ」が反体制派支援の基金創設で一致したことについて「われわれは、財政面でもその他でも全般的な支援を行う」と強調。一方で反体制派への武器供与については「全ての選択肢が残されている」と述べるにとどめた。

 またクリントン国務長官は13日「米国はカダフィ政権が国民に残酷な攻撃を続けていることを非難する」との声明を発表、あらためて最高指導者カダフィ大佐を強く批判した。(共同)


4月15日には、NATOの外相理事会が「政治的解決」で一致した。その“政治的”が何を指すのかは『これから模索する』ということは、先延ばしに他ならない。

NATO外相理事会 対リビア軍事作戦行き詰まり、政治的解決模索も 2011.4.15 00:52 :MSN産経

 【ロンドン=木村正人】北大西洋条約機構(NATO)外相理事会が14日から2日間の日程でベルリンで始まり、リビアでの軍事作戦を継続する一方で「政治的解決」を目指すことで一致した。同国の最高指導者、カダフィ大佐と反体制派の攻防が膠(こう)着(ちゃく)する中、多国籍軍を主導する英仏両国はNATO加盟国に改めて空爆への参加を呼びかけたが、スペイン、ドイツなどは否定的な姿勢を崩していない。

 NATOのラスムセン事務総長は会合後の記者会見で「大佐側は地上の重火器を市街地に移した。破壊するには精度の高い兵器が必要になった」と地上攻撃が難航している理由を説明した。多国籍軍参加国が軍用機を提供すると述べたが、具体的な言及は避けた。

 大佐が権力に居座り、反体制派が大佐の退陣を求める中で、「政治的解決」が何を指すかは明確でなく、軍事作戦の行き詰まりを認めた格好だ。

 キャメロン英首相とサルコジ仏大統領はNATO外相理事会に先立つ13日、パリの大統領府で会談し、カダフィ政権への軍事圧力を強めることで一致した。軍事作戦に参加する軍用機の約3分の2を提供する英仏両国は、他の加盟国に政権側の戦車や武装車両に対する地上攻撃に加わるよう呼びかけた。

 すでに反体制派組織「国民評議会」に衛星電話100台を提供している英国は13日、新たに防弾服1千着を供与すると表明。殺傷兵器でないとはいえ、評議会への装備供与を公式に発表したのは英国が初めてだ。フランスは英国の対応に理解を示しながらも武器供与は見送った。

 カダフィ政権のカイム副外相によると、カタールも反体制派の本拠地ベンガジに仏製対戦車ミサイルを提供するとともに、軍事教官を派遣している。

 一方、多国籍軍の空爆で1日夜、リビア中部ブレイガ近郊で反体制派の民兵ら13人が死亡、7人が負傷した。7日にもNATO軍機が反体制派の戦車を誤爆、5人以上が死亡した。反体制派の指揮系統が混乱し、通信機器が不足していることが誤爆の原因だ。

 誤爆で市民に犠牲が出れば敵対感情が高まる恐れがあるため、米国や他のNATO加盟国は英仏両国が唱える地上攻撃の強化には慎重だ。ゲーツ米国防長官は武器供与についても「反体制派に必要なのは武器ではなく訓練」と冷ややかで、「カダフィ政権打倒」を鮮明にし始めた英仏両国の突出ぶりが再び浮き彫りになっている。


政府軍攻撃で市民23人死亡 反体制派抗議 2011.4.15 00:54 :MSN産経

“腹案”なしの腹づもり

小沢氏に“腹案”のあろうはずがない。しかし、彼として地元からの突き上げを受けて動けないのであれば、利害調整者としての自らの価値すら失わせよう。破れかぶれの一手を打つしかあるまい。

小沢氏宛てに要望書提出 岩手県沿岸部の13市町村 2011.4.12 18:54 :MSN産経

小沢氏が「内閣不信任案」への同調を示唆 菅首相に自発的退陣促す 2011.4.14 01:30:MSN産経

自民・大島氏、首相「20年住めない」発言に「人の心が分からない」批判 2011.4.14 13:00 :MSN産経

「首相は出処進退を」 自民・谷垣総裁 「この体制続くことは国民の不幸」 2011.4.14 17:50 :MSN産経

政府・与党、1次補正、月内断念 野党と財源に隔たり 2011.4.14 23:13 :MSN産経

国会の会期終了直前には、通例野党が内閣不信任案を提出する。かつて四十日抗争の怨念さめやらぬ福田派が野党の不信任案に乗り、採決を欠席して“ハプニング解散”となった。そののちも、最初の“政権交代”となった宮沢内閣不信任のとき、不発に終わった“加藤の乱”のときの例を思い起こせば、流動的ではあるが、菅首相の無思慮な発言で包囲網が狭まっている印象がある。

菅首相は、政権を一日でも長く維持したい。自己責任の概念の皆無な極左の人間であるから、国民の怨嗟や憎悪なぞ意に介す必要がない。本当に大連立を考えるならば、野党の政策を丸呑みしてしまってもいいのだが、そこまでの決断はできないということか。

自民党と公明党は、震災前の時点で解散総選挙がありうる体制で、外国人献金問題の追及に臨んでいた。しかし現時点では、事実上東北3県での選挙ができない。小沢氏はその点を突けば、内閣総辞職(菅首相がそれを選ぶのは自己責任皆無という性格上、ありえないのが難点)に追い込んで、民主党の幹事長職=要はカネを握って延命する道もあるにはある。

震災復興のデザインがないまま1ヶ月無政府状態にできない事情もあったが、震災から1ヶ月経っても会議の乱立で屋上屋を架す状態でもあるし、国民もそれを理解している。そうなっても、あと1ヶ月遅れても同じと腹をくくるしかない。まるで人質をカタに脅してくる籠城犯をどうするかのような議論になってくるだろう。

イラク戦争と「ブルカ禁止法」の類似性

NATOによるリビア空爆の政治的背景のひとつには、アラブ・中東からの難民問題がある。

すでにチュニジアからの経済難民をめぐっては、リビア空爆で共同歩調を取るフランスとイタリアの「ババの押し付け合い」が起きている。

イタリア、EU加盟の妥当性を疑問視-難民支援めぐる他国の反応受け 2011/04/12 09:15 JST(ブルームバーグ)

4月11日(ブルームバーグ):イタリアは、他の欧州連合(EU)加盟国が北アフリカの混乱を逃れて来た大量の難民の支援を拒否したことを受け、EUから脱退する恐れがあると示唆した。

イタリアのマローニ内相は11日、ルクセンブルクで開かれたEU内相会合後に記者団に対し、「イタリアは独りきりにされている」とし、「この状況でEUの一部にとどまるのが妥当かどうかと考えている」と語った。

同相は、「イタリアはチュニジアに近い」として、今回の危機に自力で対応する必要があると他のEU首脳から指摘を受けたと言明。イタリアは難民の阻止を目指すチュニジアの新政権と二国間合意に署名しており、既に自国の役割を果たしていると説明した。

イタリアには今年、北アフリカから船で2万5000人余りの難民が到着。その大半は、1月の政権崩壊以降に国境警備が手薄になっているチュニジアからだ。イタリアは先週、一時的な居住許可証を難民に発行し、EU域内を自由に移動できるようすると表明。EU加盟国への圧力を強めている。

チュニジアからの難民の多くはフランス語を話し、近隣のフランス入国を目指している。ただ仏政府は、難民が経済的に自立する能力を証明できない限り、許可証を持っていても移動の自由に関するEUのシェンゲン協定の対象とはならないとして、難民をイタリアに送り返す恐れがあるとしている。



リビア空爆のもうひとつの政治的背景には、フランスの思想的根幹とも云えるライシテ(政教分離)が関わっている。去年成立した「ブルカ禁止法」をめぐっては、アルカイダのビンラーディンも政治声明で反対表明している。

フランスでブルカ着用女性4人を聴取 「着用の禁止法」に論争広がる 2011.4.13 10:36 :MSN産経

フランスで「ブルカ禁止法」が施行 2011.4.11 23:36 :MSN産経

ブルカ法反発?「仏攻撃」 ビンラーディン容疑者が声明 2010.10.27 23:17 :MSN産経

実際のところ、イラク戦争ののちの2003年頃に「ブルカ禁止法」制定の流れはできていた。

仏大統領、イスラム教徒のスカーフ着用問題で世俗法を擁護 (ロイター)
2003年7月4日(金)14時14分
 [パリ 3日 ロイター] フランスのシラク大統領は、フランス人はフランスによる世俗秩序への取り組みを尊重すべきとして、イスラム教徒による学校や職場でのスカーフ着用を禁止する法案を制定する可能性を示唆した。
 同大統領は、国内の各宗教の融和を図る検討作業の開始に当たり、世俗主義は社会をまとめる”セメント”であり、「権利にとどまらず義務といえる」と述べた。
 同大統領は、「フランスにおいて、共和国の法律より権限の強い規則は存在しない」とし、他の人々を理解し、自分自身も(社会に)適応するためには、ある程度個人的な特質を社会に対して表現することを制限する必要がある、としている。
 フランスは、400─500万人のイスラム教徒を抱え、スカーフの着用をめぐるトラブルが頻発している。


アメリカが“法を担保する軍事の力”に頼ってムスリムを矯正しようとしたイラク戦争と同様に、フランスが“法の精神そのものに力の根源がある”としてムスリムを矯正しようとする「ブルカ禁止法」は、外にいるムスリムを教化するか、内にいるムスリムを教化するか、だけの違いで基本的には変わりがない。必然的にリビア空爆はこの問題とも密接に絡み合っているのだ。

移民の出先を民主化手術でもかまわないから、豊かにしてこっちに来させないようにしよう、という魂胆がイラク戦争にはあった。成否はともかくとして。そしてリビア空爆も同じ文脈で捉えることができる。ここではアメリカもフランスも一致する。かつての反米・親仏の立場を採った者は刮目して観よ、といったところか。

コートジボワール内戦の転換点

内戦の続くコートジボワールで、二人の大統領のうちバグボ氏がフランス軍によって拘束された。内戦の一方の当局者がいなくなることで、内戦は転換点を迎えた。

ワタラ氏に政権移行がされた場合にも、キリスト教徒の多い南部、ムスリムの多い北部、移民の多い西部の対立構造は変わらない。多分に移民増加により、利害関係を錯綜させてしまった点で、建国の父であるウフェボワニ氏の罪の部分は大きい。

少なくともウフェボワニ氏、彼が30年に渡って行った政策のツケを現在も支払い続けるコートジボワールに、属人的な政治システムを民主的な政治システムに変更させるプロセスを現在進行で見ることができるのは確かだろう。

コートジボワール、仏軍がバグボ大統領を拘束 2011.4.11 22:48 :MSN産経

【ロンドン=木村正人】昨年11月の大統領選をめぐり内戦状態に陥ったコートジボワールの最大都市アビジャンで、駐留フランス軍特殊部隊の戦車が11日、政権に居座るバグボ大統領が立てこもる邸宅に突入、地下壕のバグボ氏を拘束し、国際社会が当選を承認するワタラ元首相側に引き渡した。パリのバグボ氏側近がロイター通信に語った。

コートジボワールの憲法では、バグボ氏がワタラ氏を大統領と認める署名をしない限り政権交代が行われないことから、ワタラ氏側部隊と国連、駐留仏軍は6日から、バグボ氏の拘束作戦を展開していた。

ワタラ氏側部隊は3月28日以降、バグボ氏の勢力圏の南部に侵攻。31日以降、アビジャンでの攻防が激化し、兵力で劣るバグボ氏側の国軍、共和国防衛隊、警察の3首脳は5日、投降に応じ、国連やフランスの仲介でバグボ氏と家族、側近の安全確保など投降の条件を交渉していた。

しかしバグボ氏は同日、仏ニュース専門放送局に出演し、「大統領選の勝者は私だ。停戦を交渉中だが、投降する用意はない」と述べ、ワタラ氏を大統領として認めることも拒否したため、交渉は決裂していた。

ワタラ氏側はバグボ氏を国際刑事裁判所(ICC)に引き渡す方針。



1999年から2004年頃までのコートジボワールの概況はこの小史がわかりやすい。
コートジボワール小史

ジェトロ・アジア経済研究所所属の佐藤章氏(専門がサブサハラのアフリカ研究)のツイートもわかりやすい。
佐藤章(AKR__310)on Twitter

“裏切りの代償”は差し引き1万票

統一地方選の前半戦が終わった。

埼玉県のなかで、最激戦区となった南2区における前回と今回の結果を見比べ、ポピュリスト的政党とその政治家をして、なにが勝利と敗北を分けるのかを考えたい。

まずは以下の選挙前の記事を確認して貰いたい。

県議選・南2区(川口市) 「自粛なんて言ってられない」 2011.4.5 11:29 :MSN産経

「ここで選挙運動を自粛したら、震災後の復興を十分なものにすることができなくなってしまいます!」-。民主現職の菅克己は2日、埼玉県川口市郊外のスーパー前で、道行く有権者に向かって声を張り上げた。

南2区は定数6に対して9人が立候補する激戦区。菅は前回(平成19年)、民主推薦の無所属で出馬して初当選。今回は、当初南2区から民主公認で出馬予定の新人が南21区(鳩ケ谷市)に移ったため、ただ1人の民主公認候補として議席死守を目指す。

県議会の4会派が選挙カーでの遊説時間短縮を申し合わせるなど、県内でも自粛ムードが漂う今回の統一選。菅自身も震災後は一時、募金活動などを行っていたが、自主的にこれを中止。だが、陣営は告示直前、戦略を大転換した。

「選挙などやっている場合ではないとの声はあるが、そういう時だからこそ政策議論が大切」と、得意の街頭演説で積極的に攻めることにしたのだ。現在は市内各地での演説に余念がない。

改選前2議席の自民は今回、現職の田中千裕、奥ノ木信夫と、新人の豊田満の3人が立候補。党川口支部長も務める奥ノ木は「川口では自民が4議席を取ったこともあり、潜在的な票はある」とした上で、「党勢拡大を目指す」と意気込む。豊田も「3人で切(せつ)磋(さ)琢(たく)磨(ま)すれば、眠っている票を掘り起こせる」と期待を寄せるが、自粛ムードの中、どこまで名前を浸透できるか。田中は神根や安行地区などで豊田と地盤が重なるため、「厳しい戦いになる」と陣営の引き締めに躍起だ。

一方、前回、民主公認でトップ当選した松本佳和は今回、みんなの党で出馬。選対幹部は「現職とはいえ、みんなの党での選挙は初めて。自粛なんて悠長なことはいっていられない」とし、ほぼ通常の運動を展開。また、告示前に事務所裏に開設した困りごと相談センターなどを活用し、支持者の拡大を図っている。

各陣営では今回、震災や計画停電などの影響で投票率が低下すると分析。そうなると、有利になるのが組織力を持つ公明と共産だ。

公明は今回、現職の塩野正行と新人の萩原一寿が2議席死守に全力を注ぐ。県本部は南2区を重点区と位置付け、告示当日には党代表の山口那津男も応援に駆けつけた。最大の課題は、引退した山本晴造の個人票を新人の萩原がどこまで取り込めるかだ。

前回、僅差で涙をのんだ共産の村岡正嗣は捲(けん)土(ど)重来に燃える。このほか、無所属の根本潤も若さを武器に運動を展開しており、選挙戦の行方は混沌としている。(敬称略)


埼玉県議選:開票結果:統一地方選2007 南2区(読売新聞) 

埼玉県議会議員一般選挙(平成23年4月10日 執行)川口市開票区

前回と今回の結果を見比べると、まず政権与党の民主党は、候補者を一本に絞り込みトップ当選を果たしている。しかし、南21区(鳩ヶ谷市、今年中に川口市と合併予定)に移った民主系の無所属候補は、ひとつの席をめぐる自民系元職と自民党新人の争いに埋没、敗北している。

自民党は、3人を擁立し、そのうち前職の2人が当選して新人の1人が落選した。しかし、自民党全体の票の積み上げには成功している。次回の衆議院選挙が自公協力の前提ならば、埼玉2区の候補は基礎票で最大約9万票を得ることができる。

公明党は、現有2議席を確保している。前回よりも若干得票は落としているものの、票割りの確かさには組織の底堅さが感じられる。

共産党は、前回惜敗した新人候補が当選した。しかし、前回よりは若干得票を落としており、党組織の高年齢化による勢力停滞が感じられる。

みんなの党は、前回トップ当選した前職が共産党候補とわずか57票差で敗退した。民主党に漠とした期待のあった前回から、前職が1万票近く落としていることを考えても、民主党からみんなの党への鞍替え、つまり新党効果は効を奏さなかった。

もしくは有権者は、この候補の選挙直前の鞍替えを裏切りと受け取ったかもしれない。

この埼玉県議選・南2区から云えるのは、第1には、保守の地盤が強い地域では必ずしもポピュリストは強くない。第2には、意外にもポピュリストは共産党など極左と票の共食いを起こす。第3には、ポピュリストは保守(もしくは保守の期待感)が相乗りしないと当選できない、という点だ。

ポピュリストが勝利するためには、絶対条件として保守に期待感を持たせつつ、その後、極左の票を奪うことが重要になる。しかし、保守が攻勢をかける場合には、彼らはダイナミズムを失い、リベラルと極左の間で埋没して敗北する、と考えられる。

カダフィ大佐との親和性

五度、リビア内戦の経過をタイムラインで整理していきますが、なにやら暫定政権はその矛先をNATOにすら向け始めた様子。

そういった意味では“砂漠の狂犬”と言われたカダフィ大佐との親和性を感じさせる。逆説的な意味でリビアという国の、ひとつに統一された国民性を垣間見ることができる。

4月6日には、暫定政権側の軍司令官がNATO批判を行った。また、アメリカは暫定政権内部にアルカイダが潜入しているかの真偽を確認することを含めて代表団を送った(アメリカはまだ暫定政権を承認していない)。ロシア外相は暫定政権側への武器供与に懸念を示した。

反体制派、作戦遅いとNATO批判 2011.4.6 08:24 :MSN産経

ベンガジに米政府代表団 反体制派と協議 2011.4.6 13:25 :MSN産経

露外相、反体制派への武器供与に懸念 2011.4.6 19:00 :MSN産経

4月7日には、暫定政権が原油を輸出したとの報道があった。ひとまずは、暫定政権を承認しているカタール向けと考えられる(残る承認国はフランス、イタリア)。

反体制派が原油輸出を開始 売却先は不明 2011.4.7 08:22 :MSN産経

4月8日には、カダフィ政権側が再攻勢をかけ始め、暫定政権側はアジュダビヤから退却を開始した。退却する民兵の中からはNATO批判が飛び出した、との報道。

またNATOへの指揮権委譲を果たした米アフリカ軍司令官は早期の軍事的解決はなくなったとの観測を示した。暫定政権側の戦車に対する誤爆に関しては、NATOと暫定政権の意思疎通がうまく果たせていないことも露呈した。

イタリア、フランスの両外相は難民対策で討議した。

イタリアが、難民に欧州内の自由往来を認めるビザを出した措置に、フランスは「他国の滞在許可証だけでなく、十分な収入があるという証明が必要だ」と述べた。この点から両国の難民流入に対する警戒感(経済難民の押し付け合い)が読み取れる。

NATO誤爆か、5人死亡 反体制派、退却始める 2011.4.8 00:19 :MSN産経

 ロイター通信によると、リビア政府軍と反体制派の攻防が続く中部ブレガ近くで7日、反体制側の拠点に空爆があり、少なくとも5人が死亡した。北東部アジュダビヤの病院の看護師が明らかにした。反体制派は北大西洋条約機構(NATO)軍の誤爆とし、NATO当局者は事件を調査するとしている。

 一方、フランス公共ラジオによると、アジュダビヤでは政府軍の攻撃が迫っているとの観測が広がり、反体制派部隊や住民数千人が同派の拠点ベンガジへ退却を始めた。攻防はブレガ付近で続いたが、前線が不明確になっているという。

 ブレガ近郊では1日夜にも、多国籍軍による誤爆で反体制派の民兵ら13人が死亡、7人が負傷。アジュダビヤから退却を始めた反体制派の兵士の一人は7日、「NATOを倒せ」と不満の声を上げたという。(共同)


政府軍、東西で攻勢 アジュダービヤ再奪還か 2011.4.8 08:57 :MSN産経

政府軍と反体制派の戦闘は手詰まり状態 米軍司令官認める 2011.4.8 11:28 :MSN産経

NATO、誤爆の謝罪拒否 反体制派とは協力せず 2011.4.8 22:37 :MSN産経

 北大西洋条約機構(NATO)は8日、リビア中部ブレガ近郊で7日、NATO軍機が反体制派の部隊に誤って空爆したことを認めたが、謝罪は拒否した。また、NATOの使命は「市民の防衛」であるとして、反体制派との協力にも否定的な姿勢を示した。

 対リビア作戦の副司令官ハーディング少将がイタリア南部ナポリの司令部で記者会見し、NATOの立場を説明した。

 7日の誤爆についてハーディング少将は、市街地方向に進行していた戦車を攻撃した結果、操縦していた反体制派民兵が死亡したようだと説明。「これまで戦車はカダフィ政府軍が市民の攻撃に使用しており、反体制派も戦車を使っているとの情報はなかった」と釈明、「謝罪はしない」と述べた。(共同)


伊仏が共同パトロールへ 難民対策で 2011.4.8 23:20 :MSN産経

4月9日には、NATOはトーネード攻撃機による空爆を敢行した。作戦に参加していないドイツを除くので、イタリアもしくはイギリス空軍と思われる。アメリカのA-10やAC-130が作戦から離脱した現在、防空網を含めて対地攻撃力が少ない。

NATO軍、西部の政府軍武器庫を空爆 2011.4.9 08:01 :MSN産経

交易の取扱品を国の名に

二人の大統領が対立抗争するコートジボワール内戦で、同国に駐在する岡村大使の公邸が襲撃され、フランス軍によって救出された。岡村大使は、森元首相による積極的な対アフリカ外交の一環として、最年少大使として就任した、とある。福田政権下でTICAD Ⅳ(第4回アフリカ開発会議)が開かれて以来、民主党政権下では対アフリカ外交は停滞している。

傭兵部隊が日本大使公邸を一時占拠 仏軍が大使救出 2011.4.7 09:52 :MSN産経

Youtube動画
France Rescues Japan Ambassador in Ivory Coast :AP

コートジボワール日誌 在コートジボワール大使・岡村善文(2010年12月22日まで)

コートジボワール内戦の原因は、根底に南北の宗教文化的相違があり、さらに主要産業であるカカオの生産のため、西部に移民が流入して、政治的バランスが崩れたことにある。そのため西部の移民排除、南部優遇、北部冷遇の政策を行い、軍部が反発してクーデター、そして2002年には一度目の内戦が起きている。しかし内戦を誘発する構造は変化していない。

ちなみにこれらは、コートジボワール(旧象牙海岸)と同じくアフリカ西部のギニア湾に沿った国々、ガーナ(旧黄金海岸)、トーゴ、ベナン、ナイジェリア(すべて旧奴隷海岸)に共通している南北対立の構造である。

沿岸部に属する南部は、交易の取扱品からの旧名の通り、欧米の三角貿易の影響でキリスト教徒が多い。一方、内陸部に属する北部は、サハラ交易の影響でムスリムが多い。南北に宗教文化的な分断線が走っている。さらに土着信仰が加わり、また部族対立も存在するわけだ。

天然資源や一次産品の利権分配をめぐって、さらに内戦が激化する因子を持っている点で、一番近い例と予想されうる流れは、スーダン内戦とダルフール紛争、南北スーダンの分裂に見ることができるだろう。

利権を守る政治家、失う政治家、つくる政治家

すべての利権を絶対悪のごとく捉える人がいる。その人が利害関係のどちらの側にも立っていないとすれば、間接的にその利権の恩恵に被っていて、それに気付かないだけなのだろう。

族議員の有用性は、利権を守ってくれるためにある。以下のそれぞれの動きは利権について考える良い機会となるだろう。

自民党の野中元幹事長が離党 2011.4.5 19:26 :MSN産経

まずは利権を守ろうとする政治家。

野中氏の動きは実に政治家として誠実と言える。全土連、つまりは部落にまつわる土建利権を守るための動きだからだ。

自民党の野中広務元幹事長が同党京都府連に離党届を提出していたことが5日、分かった。野中氏は産経新聞の取材に対し、3月29日に全国土地改良事業団体連合会(全土連)の会長に3選されたことを挙げたうえで、「今後、政府と交渉していく上で、自民党幹部を経験した私が政党人のままでは団体のためにならない」と離党理由を述べた。

 離党届は4日付で、自民党は受理する方向。全土連をめぐっては、民主党の小沢一郎元代表が幹事長時代、平成22年度の土地改良事業費の大幅削減を決定。全土連の政治団体は昨年夏の参院選で自民党公認だった組織内候補の立候補を取りやめた。その後、野中氏は全土連の政治的中立を確約し民主党側と和解した経緯がある。

 平成15年に政界を引退するまで自民党を中枢で動かしてきた野中氏だが、最近は仙谷由人官房副長官ら民主党側と連携を深めているとされる。自民党離党は東日本大震災の復旧・復興をにらみ、「予算獲得や官庁や業界団体との橋渡しに本腰を入れるため」(野党幹部)との見方もある。


小沢系、埋没に危機感 仙谷氏の含み笑いに激高するあの議員 2011.4.6 00:16:MSN産経

次に利権を失おうとしている政治家。

菅首相が、民主党の代表選挙に勝利したゆえんは、国民が小沢氏の政治資金疑惑を解明すること、より先鋭的な要求としては彼の利権の撲滅を望んだことからであって、その目的に適うならば政権が続くことには意義がある。

この記事が仄めかすのは、小沢氏など非主流派が、地元の震災復興の利権の分配にまったく絡めないまま弱体化していくことに他ならない。

5日の党常任幹事会は険悪なムードに包まれた。

「岩手には小沢一郎という人がいる。震災対応にしっかり取り組むためにも党員資格停止処分に対する不服申し立てに結論を出してほしい」

被災地・岩手出身の小沢氏の「出番」を訴えた川内博史衆院議員の目に留まったのは、党内で脱小沢路線を主導してきた仙谷氏の含み笑い。

「なんでそんなバカにしたような顔をするんですか!」。思わず激高する川内氏。長老格の渡部恒三最高顧問が「岩手県民の思いを受け止めて、しっかりと小沢君が働けるようにしたい」と取りなし、何とか事を収めた。

首相は震災後、仙谷氏や馬淵澄夫氏らを官邸入りさせ、復旧・復興に向け態勢強化を図ったが、小沢系排除の姿勢に変化はない。

「1週間以内に菅さんは辞めてほしい」「この1、2週間が勝負だ」

国会内で5日開かれた小沢系の議員グループ「一新会」の定例会。出席者からは公然と首相退陣論が噴き出した。議員らの脳裏にあるのは、震災前には青色吐息だった首相が、大連立構想を延命材料にしようとしているという疑念だ。


政府の「規制改革方針」、中国人へのビザ発給緩和を明記へ 与党内にも「拙速」の声 2011.4.8 01:12 :MSN産経

最後は利権をつくろうとしている政治家。

インバウンドの観光客、とくに購買意欲の高い中国人観光客(ある意味では運び屋稼業)を誘致しようとする一部の観光業界と利害が一致する現在の民主党執行部の思惑は理解できる。というよりそれぐらい細小な部分でしか利権をつくり出せない訳だが、原発による風評被害が持続する現状ではあまり意味がない。

前年にその観光業界の利害関係者から要望のあった、(業界の需給調整のための)休日分散化が、電力需給の逼迫で他の業界が輪番休業を念頭に置き始めたことで、俄然可能性を帯びている。これが転機となって休日分散が通例となれば、利権の調整者としての民主党の必要性すらなくなる。

さて実際に、中国人観光客の個人向けマルチビザが発給されるのであれば、カウンターパートとしての利権(例えばバウンティ・ハンターの公的支援制度)などを拡充していけば良い。

政府が8日に閣議決定する「規制・制度改革の基本方針」の中に中国の個人観光客に対し、有効期間内なら何度でも日本に入国できる数次査証(マルチビザ)を発給する緩和策が盛り込まれていることが7日、分かった。中国人向けのビザは昨年、発給要件を緩和したばかりで、中国人の不法就労者増加などが懸念されており、与党内からも「拙速だ」との声が上がっている。

今回の緩和策は、購買力の高い中国人観光客のリピーターを増やすのが狙い。観光庁は平成25年までに外国人観光客を1500万人に拡大する目標を掲げており、特に経済発展を続ける中国人の観光客増加に力を入れている。

中国人個人観光客に対する査証の発給について政府は昨年7月、富裕層だけでなく中間所得層にも拡大。発給要件を年収25万元(約310万円)以上から年収6万元(約70万円)以上のクレジットカードのゴールドカード所有者とした。

ただ、発給されるのは期限内に一度だけ入国できる一次査証(シングルビザ)のため、さらなる緩和策について政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)の分科会で議論してきた。

個人観光客は、日本での身元保証人の申し出が不要なうえ、団体旅行客と違い日本国内で自由に行動できるため、ビザの有効期限が切れても不法滞在したり、不法就労したりする中国人が後を絶たず問題となっている。

緩和について、国民新党幹部は民主党幹部に「功罪を検証してからだ」と要請したが、8日の閣議決定方針は変わらなかったという。国民新党幹部は「東日本大震災で、規制緩和の大部分は軒並み先送りになったのに、問題のあるビザ緩和だけが残るのは不自然だ。震災のドサクサに紛れて押し通そうという思惑が透けている」と不信感を募らせている。

PIIGS危機の本質は“経常収支の危機”

ポルトガルのEUへの金融支援の要請は、2010年の初めにPIIGS危機が表面化して以来、3カ国目の破綻となった。

支援と引き替えに“増税・利上げ・国民サービスの削減”の三点セットを迫られる破綻国家の国民は、支援する国際機関を恨み、支援を受け入れる政府に反対票を投じる。

2月末のアイルランド総選挙でも、金融支援の条件再交渉を掲げたフィナ・ゲール(統一アイルランド党)が勝利した。ポルトガルは、総選挙前に支援要請したソクラテス首相の社会党が議席を減らし、野党の社会民主党が政権を担うことが予測されているが、同様の条件交渉が続くだろう。

支援を受けたとしても、つなぎ支援、追加支援が必要になると、緊縮財政と金融引き締めだけでは返済額に足りなくなる。そこで“貸してやるから担保寄こせ”となる。

2月中旬には、EUとIMFによる国有資産の売却額上積みを要請されたギリシア政府が反発した。とは言え何らかの形で、売却を余儀なくされるだろう。1997年以後の韓国と同様に。

ポルトガル:EUに金融支援を要請-財政危機への対応、万策尽きる 2011/04/07 09:59 JST(ブルームバーグ)

(前略)

ポルトガルが要請する支援の規模は最大750億ユーロ(約9兆2000億円)に上る可能性がある。

(中略)

外国為替市場では、ユーロは対ドルでほぼ変わらず。リスボン時間午後10時13分(日本時間7日午前6時13分)現在、1ユーロ=1.4335ドル。ポルトガルがこの日入札した2012年3月償還の短期国債利回りは平均で5.902%と、ドイツの30年債利回りを上回る水準だった。

(中略)

ポルトガル10年国債の利回り上昇には歯止めがかからず、今週にはユーロ導入以降で最高の8.804%に達した。ポルトガル国債のドイツ国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)は5日、ユーロ導入以降で最大の544ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に拡大した。

(後略)


一方でEUの主要国は、インフレ懸念から出口戦略を探っていたが、ついにECBの利上げに踏み切った。常識的に考えればPIIGS側はそれよりも長期金利が上昇し、より返済のための財政が悪化する。

ECB:約3年ぶりの利上げ、政策金利1.25%-インフレ抑止で行動 2011/04/07 21:26 JST(ブルームバーグ)

(前略)

ユーロ圏のインフレ加速とドイツ経済の好調がさらなる利上げにつながるとみられる。一方で、金利上昇はソブリン債危機を悪化させる恐れもある。ポルトガルは6日遅く、欧州連合(EU)主導の救済を申請せざるを得ないと表明した。

ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)のエコノミスト、シルビオ・ペルーゾ氏(ロンドン在勤)は、「ECBは好調なドイツなど中核国を見据えて政策を引き締める一方、周辺国のために非伝統的措置を残すことを決めた」とし、「利上げは適切であり、早ければ6月にも次の利上げがあるだろう」と話した。

(後略)


もう一方の日本は「政府債務は主要国で最悪だが、むしろ逆に長期金利は低下し、通貨は安定」で“まったく異質”であると、アナリストが指摘している。震災復興の財政出動はリーマンショック後のそれを超えず、10年債利回りは下がっていくとの予測だ。

さらに重要な指摘は、その差を生むのが“経常収支の安定した黒字”であると言う。PIIGS危機の本質は“経常収支の危機”であるとも。PIIGS各国は、経常収支の赤字を資本収支の黒字で均衡させなければならなかったのであり、それができなくなったからこその破綻なのだ、と。

しかもPIIGS各国は、ユーロ安になっても競争力で同じ通貨のドイツやフランスに太刀打ちできない(ユーロ離脱によって、それよりも通貨安にしなければ競争力を上げられない)以上、貿易黒字は計上できず、経常収支の危機は改善されない。なんという泥沼か。

ところが日本では安定した経常収支の黒字により、対外資産が約300兆円、国内家計の純金融資産だけでも約1130兆円となっている。それによって「異質」な存在たりうる訳だ。

大震災の復興事業でも10年債0.5%も、日本は「異質」-バークレイズ 2011/04/06 08:43 JST(ブルームバーグ)

(前略)

(森田氏は)国債市場が注視する今年度の増発額は「0~8兆円」と予想した。

仮に7月以降の9カ月間で4兆円増発しても月4000億円超と指摘しており、今回は世界的な金融危機を受けた麻生太郎内閣の増発額の四分の一程度にとどまる。世界経済の減速もあり、今年の10年債利回りは2月9日に付けた1.35%を「明確に超えることはない」と述べた。年末は0.9%前後、12年1-3月期には0.5%程度に低下する場面もあり得ると予測。年度末は0.7%とみる。

ブルームバーグの調査によると、市場関係者の10年債利回りの加重平均予想は年末に1.28%、年度末は1.26%となっている。

(中略)

森田氏は、昨秋頃に踊り場を脱却した世界経済が今秋にも循環的な減速局面に入ると予想。金融危機後、世界の需給ギャップはなお大きいため「景気のモメンタム(勢い)が鈍化した時、市場金利にかかる下押し圧力は意外と強い」と分析し「日本がこれまで経験してきた現象が世界的にも起こりやすい環境にある」と指摘した。

日本の公的債務残高は国内総生産(GDP)の約1.9倍と主要国で最悪。財務省によると、国債・借入金・政府短期証券を合わせた国の債務残高は10年末に過去最大の919兆1511億円に達した。11年度末には997兆7098億円に達する見通しだ。日本銀行の統計では、公的債務の国内消化余力の目安となる家計の純金融資産は昨年末に1129兆47億円だった。

(中略)

森田氏は、欧州の債務危機は1980年代の中南米と同様「経常収支の危機」が根底にあると指摘。安定した経常黒字国で対外資産が約300兆円もある日本は「異質」であり、財政破たん懸念による長期金利急騰や円の暴落は「一見起こりそうでも起こらない」と語った。

(後略)

アメリカが踏んだ轍をなぞるフランス

四度、リビア内戦の経過をタイムラインで整理していきます。

先に結論から言うと、軍事介入のさらなる長期化の懸念と脆弱な暫定政権への援助の危険性が増大している。

全体としてアメリカが抜けた影響が大きすぎる。現状、NATO(「Operation Unified Protector」)とカタールが展開している航空戦力を併せても、約160機にしかならない。短期的にカダフィ政権を軍事的に打倒することはできなくなったに等しい。今後、アメリカの方針が再度変更されない限り、もしくはエジプト軍が地上軍を投入しない限り、打倒は不可能だろう。

暫定政権の内部にアルカイダの影が見え隠れしており、武器供与と軍事教練にどこまで踏み込めるのか、暫定政権の軍事力がカダフィのそれを最低限拮抗するか、凌駕しなければ和平もおぼつかないのだが、その力が原理主義へと傾く危険性が残るわけだ。

周辺列強による外交調停にも、背景としての軍事力は必須だから、アメリカとロシアを欠くのも調停を難しくするだろう。

さて、タイムラインに戻ろう。
さかのぼること2月28日、イタリアは2008年に締結した不可侵条項を含む友好条約を事実上凍結した。

イタリア、友好条約を事実上凍結 2011.2.28 12:40 :MSN産経

これに続いて4月4日になると、イタリアは暫定政権を正統政権として認めてしまった(フランス、カタールに続き3カ国目)。暫定政権の軍を指して“今回はイタリア抜きで、ただしロンメルはいません”とか云っちゃって、本当にスイマセン。暫定政権の負けフラグが増えた気がする。

常に近代史において張り出し列強としての悲哀を味わってきたイタリアは、裏切りのタイミングを間違えると損害が増す。ムッソリーニの悲哀をベルルスコーニに重ねて見る。

多国籍軍参加のカタールの野望 中東で指導的地位狙う 2011.4.4 20:51:MSN産経

伊も反体制派承認 3カ国目、武器供与も 2011.4.4 23:15 :MSN産経

4月5日には、トルコが和平案を提示してきたが、中立勢力というのが判然としない。

またアルジェリア高官からの話として、武器が「イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ組織(AQMI)」に流れている可能性が指摘された。これは暫定政権への武器供与に対するネガティブな要素となる。カダフィ政権の報道官も「イラクやソマリア、アフガニスタンと同じことが起こる」と欧米に警告してきた。ブラフではあるが、カダフィ大佐がイスラム原理主義ではないことは事実だろう。

一方、イギリスは過去のリビアへの武器輸出を総括する報告書をまとめた。これは暫定政権側への武器供与を図り、均衡させるための布石なのだろうか? 

NATOは、リビアの航空戦力の30%を撃破したと発表した。額面通りに受け取ったとしても、アメリカの離脱でNATOの航空戦力はほぼ半減したのは上記にある通りだ。むしろ最近の軍事介入の例で見る限り、和平の機会は遠のいている。

ボスニア・ヘルツェゴビナ和平やコソボ和平にしても、アメリカの強力な介入なしでは成立しなかった。南オセチア紛争にしても、フランスの和平仲介と兵力引き離しのための派遣もロシアの自制がなければ成立しなかった。今回はそのどちらも未だない。

そしてイラクのフセイン政権は、南北に飛行禁止区域を設定されても12年保てたと考えれば、良く言えば長期戦、悪く言えば泥沼に嵌ったのではないか。フランスはイラクでアメリカが踏んだ轍を同じくなぞりつつあるようだ。

中立勢力に権限移譲後にカダフィ氏退陣? トルコが「仲介案」用意か 2011.4.5 00:03 :MSN産経

イスラム過激派が反体制派から武器入手か アルジェリア高官 2011.4.5 08:52 :MSN産経

 【カイロ=大内清】ロイター通信は4日、アルジェリアの治安当局高官の話として、内戦状態にある隣国リビアから密輸された大量の武器・弾薬が、アルジェリアなどで活動するイスラム過激派「イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ組織(AQMI)」の手に渡っている可能性が高いと報じた。AQMIが対戦車砲や地対空ミサイルを入手している恐れもあるという。

 ロイターによると同高官は、武器を積んだとみられるトラックの車列が、反体制派が制圧するリビア東部を出発し、南隣のチャドやニジェールを経由してAQMIの拠点があるマリ北部に到着しているとした上で、「今も(密輸は)続いている」と述べた。

 アルジェリアでは1990年代以降、AQMIの前身である「布教と聖戦のためのサラフ主義集団」などイスラム過激派によるテロが頻発。同国は近年、AQMI対策で米欧との協力関係を強化している。

 リビアの最高指導者カダフィ大佐は、反体制派との内戦状態が始まって以来、「反体制派はアルカーイダに操られている」などと非難。反体制派は「事実無根だ」と反論しているが、3月には米軍高官が「(反体制派に)アルカーイダがいる可能性がちらついている」などと発言していた。


「ヒトラーの100倍危険」前外相がカダフィ氏非難 2011.4.5 11:36 :MSN産経

カダフィ氏退陣案を否定 前外相「病気出国」と次男 2011.4.5 20:37 :MSN産経

 リビア政府のイブラヒム報道官は4日夜、最高指導者カダフィ大佐の退陣と次男セイフイスラム氏への暫定的権力移譲案が報道されていることについて「(カダフィ氏は)リビアの部族と人々の統合の象徴であり、多くのリビア人が彼を望んでいる」として、退陣案を否定した。

 一方、セイフイスラム氏は5日までに英BBC放送のインタビューに答え、リビアから英国に渡航して辞任を表明したクーサ前外相について「病気のため、ロンドンで治療を受けたいと訴えていた」と明かし、「出国に反対する理由はなかった」と述べた。

 報道官は記者会見で「(カダフィ氏が)いなくなれば、イラクやソマリア、アフガニスタンと同じことが起こる」と欧米に警告。カダフィ氏指導下であれば「選挙や国民投票など全てのことに道が開かれている」と主張した。(共同)


武器輸出84億円 英政府、弾圧の評価誤る 2011.4.5 22:38 :MSN産経

政権の軍事力30%を破壊 NATO 2011.4.5 23:33 :MSN産経

ベント開放をめぐる鞘当て

遅きに失したと考えられるベント開放、つづいた水素爆発と、福島第一原発の事故において、なぜ官邸主導は失敗したのか? 各新聞社・通信社の報道スタンスの違いに留意しつつ、ベント開放に関する官邸からの指示と東京電力の実施の時間を検証したい。

保安院のリリースによれば、ベント開放に対する法的根拠を持つ指示は、3月12日の6時50分に出された。

地震被害情報(第17報):経済産業省 原子力安全・保安院(pdf)より抜粋すると、以下のようにある。

【3月12日】
6:50 原子炉等規制法第64条第3項の規定に基づき、福島第一原子力発電所第1号機及び第2号機に設置された原子炉格納容器内の圧力を抑制することを命じた。

産経新聞によれば、菅首相は時刻は不明だが避難勧告と海水による炉内冷却を指示した。ベント開放には触れられていないが、水素爆発、炉心溶融など事態が悪化した後、自らの意向に従わなかったとして、市民運動家上がりの生地を現して東京電力に怒鳴り込んだ、とある。

「東電のバカ野郎が!」官邸緊迫の7日間 貫けなかった首相の「勘」 またも政治主導取り違え 2011.3.18 00:15 :MSN産経

(前段略)
■意外な自信
 (中略)この日午後2時46分の地震発生で一気に政治休戦となった。

 決算委は急遽中断され、首相は直ちに首相官邸に戻り、危機管理センターの巨大モニターから流れるメディア映像を食い入るように見た。目にとまったのが、第1原発だった。

 大津波をかぶって自動冷却装置が破損し、炉内の冷却が思うようにいかない、との報告が上がってきた。官邸内に緊張が走ったが、首相には野党の追及から逃れた安堵感とはまた別種の「意外な自信」(政府関係者)がみなぎっていた。

 「まず、安全措置として10キロ圏内の住民らを避難させる。真水では足りないだろうから海水を使ってでも炉内を冷却させることだ」

 首相の意向は東電に伝えられた。「これが政治主導だ」。首相はそうほくそ笑んだのではないか。

■外に響いた怒声

 だが、東電側の反応は首相の思惑と異なっていた。

 10キロの避難指示という首相の想定に対しては「そこまでの心配は要らない」。海水の注入には「炉が使い物にならなくなる」と激しく抵抗したのだ。

 首相も一転、事態の推移を見守ることにした。東電の“安全宣言”をひとまず信じ、当初は3キロ圏内の避難指示から始めるなど自らの「勘」は封印した。

 「一部の原発が自動停止したが、外部への放射性物質の影響は確認されていない。落ち着いて行動されるよう心からお願いする」

 首相は11日午後4時57分に発表した国民向けの「メッセージ」で、こんな“楽観論”を表明した。

 ところが、第1原発の状況は改善されず、海水注入の作業も12日午後になって徐々に始めたが、後の祭りだった。建屋の爆発や燃料棒露出と続き、放射能漏れが現実のものとなった。

 15日早朝、東電本店(東京・内幸町)に乗り込んだ首相は東電幹部らを「覚悟を決めてください」と恫喝した。直前に東電側が「第1原発が危険な状況にあり、手に負えなくなった」として現場の社員全員を撤退させたがっているとの話を聞いていたからだ。

 「テレビで爆発が放映されているのに官邸には1時間連絡がなかった」

 「撤退したとき、東電は百パーセントつぶれます」

 会場の外にまで響いた首相の怒声は、蓄積していた東電への不信と初動でしくじった後悔の念を爆発させたものだ。官邸に戻った後も「東電のばか野郎が!」と怒鳴り散らし、職員らを震え上がらせたという。(後略)


共同通信によれば、保安院がベント開放の必要性を3月11日の午後23時30分に首相に報告した、とある。最悪の想定下ではベント開放は、12日午前3時20分の予定だった。東京電力は、原子力安全委員会とベント開放の必要性を確認し、保安院に相談したのが同日午前4時だった、とされる。しかし実施通告は午前8時半、作業着手は午前9時4分と、首相の視察後であった。そしてベント開放に成功したのは、午後2時半だった、とある。

炉心溶融を震災当日予測 応急措置まで半日も 2011/03/28 08:20 【共同通信】

 経済産業省原子力安全・保安院が、震災当日の11日夜、東京電力福島第1原発事故に関して、3時間以内の「炉心溶融」を予測していたことが27日、分かった。また翌12日未明には放射性ヨウ素や高いレベルの放射線を検出、原子炉の圧力を低下させる応急措置をとる方針が決まったが、実現するまでに半日も要した。政府文書や複数の政府当局者の話で判明した。

 溶融の前段である「炉心損傷」を示すヨウ素検出で、政府内専門家の間では危機感が高まり、応急措置の即時実施が迫られる局面だった。

 しかし菅直人首相は12日早朝、原子力安全委員会の班目春樹委員長と予定通り現地を視察。政府与党内からは、溶融の兆候が表れた非常時の視察敢行で、応急措置の実施を含めた政策決定に遅れが生じたとの見方も出ている。初動判断のミスで事態深刻化を招いた可能性があり、首相と班目氏の責任が問われそうだ。

 政府原子力災害対策本部の文書によると、保安院は11日午後10時に「福島第1(原発)2号機の今後のプラント状況の評価結果」を策定。炉内への注水機能停止で50分後に「炉心露出」が起き、12日午前0時50分には炉心溶融である「燃料溶融」に至るとの予測を示し、午前3時20分には放射性物質を含んだ蒸気を排出する応急措置「ベント」を行うとしている。

 保安院当局者は「最悪の事態を予測したもの」としている。評価結果は11日午後10時半、首相に説明されていた。

 この後、2号機の原子炉圧力容器内の水位が安定したが、12日午前1時前には1号機の原子炉格納容器内の圧力が異常上昇。4時ごろには1号機の中央制御室で毎時150マイクロシーベルトのガンマ線、5時ごろには原発正門付近でヨウ素も検出された。

 事態悪化を受け、東電幹部と班目氏らが協議し、1、2号機の炉内圧力を下げるため、ベントの必要性を確認、4時には保安院に実施を相談した。また菅首相は5時44分、原発の半径10キロ圏内からの退避を指示した。

 だが東電がベント実施を政府に通報したのは、首相の視察終了後の8時半で、作業着手は9時4分。排出には二つの弁を開く必要があるが、備え付けの空気圧縮ボンベの不調で一つが開かなかった上、代替用の空気圧縮機の調達に約4時間を費やし、排出が行われたのは午後2時半だった。

 与党関係者は「首相の視察でベント実施の手続きが遅れた」と言明。政府当局者は「ベントで現場の首相を被ばくさせられない」との判断が働き、現場作業にも影響が出たとの見方を示した。

 政府に近い専門家は「時間的ロスが大きい」とし、ベントの遅れが海水注入の遅延も招いたと解説。1号機では排出開始から約1時間後、水素爆発で同機建屋の外壁が吹き飛んだ。


読売新聞によれば、首相による視察出発の3時間前に、海江田経済産業相らがベント開放を指示した、とある。

1号機ベント作業、首相視察の1時間後に (2011年4月1日09時32分 読売新聞)

 首相官邸の初動対応で、「菅首相の行動が裏目に出た」との批判が出ているのが福島第一原発の視察だ。

 地震発生から一夜明けた12日早朝、首相を乗せた陸上自衛隊のヘリコプターが官邸屋上から同原発に向かった。「とにかく現場が見たい」との首相の強い意向で、視察は約50分続いた。当時、1号機は原子炉格納容器内の圧力が高く、首相が視察にたつ約3時間前には、海江田経済産業相らが弁を通じて高圧の蒸気を放出するベント作業を急ぐよう指示。だが、実際の作業着手は、首相が視察を終えた1時間後だった。

 枝野官房長官らは視察の影響を否定するが、蒸気放出で放射性物質も原子炉外部に拡散するため、「首相に危険を及ぼさぬように作業を遅らせた」(自民党幹部)との見方が広がった。


毎日新聞は、この件をもっとも詳しく報じている。

それによれば、海江田経産相からのベント開放指示があったのが12日午前1時30分、しかし保安院は同日午前2時20分過ぎの会見で、ベント開放は東京電力の一義的な采配によると主張、同じ頃に首相は視察を決定し、午前3時頃の東京電力の現状報告に対して、原子力安全委員会の斑目委員長はベント開放を促していた、としている。そして実際に1号機のベント開放がされたのは12日午前10時17分であった、とある。

3月29日の参議院における海江田経産相の答弁では、12日午前1時30分にベント開放の指示を出した後、開放のための作業を東京電力が行っていたとある。この時間に関しては答弁と毎日新聞の報道は一致している。

それでも実際に法的根拠を持つ指示は6時50分となり、また東京電力の実施通告は8時30分となり遅きに失した理由は、おそらく官邸、東京電力、保安院、原子力安全委員会の連携不足にあったのだろうが、この一義的責任が誰にあったのかは国民の判断となるだろう。

Youtube動画より2011.03.29(火) 参議院 予算委員会 礒崎陽輔

検証・大震災:発生直後に原発ベント指示、東電動かず 首相「おれが話す」毎日新聞 2011年4月4日 東京朝刊

 東日本大震災から一夜明けた3月12日午前6時すぎ。菅直人首相は陸自ヘリで官邸屋上を飛び立ち、被災地と東京電力福島第1原発の視察に向かった。秘書官らは「指揮官が官邸を不在にすると、後で批判される」と引き留めたが、決断は揺るがなかった。 

 「総理、原発は大丈夫なんです。構造上爆発しません」。機内の隣で班目(まだらめ)春樹・内閣府原子力安全委員会委員長が伝えた。原発の安全性をチェックする機関の最高責任者だ。

 第1原発は地震で自動停止したものの、原子炉内の圧力が異常に上昇した。東電は格納容器の弁を開放して水蒸気を逃がし、圧力を下げる作業(ベント)を前夜から迫られていた。班目委員長は「視察の前に、作業は当然行われていたと思っていた」と振り返る。だが、着手は遅れた。

 首相は官邸に戻った後、周囲に「原発は爆発しないよ」と語った。

 1号機でようやくベントが始まったのは午前10時17分。しかし間に合わず、午後3時半すぎに原子炉建屋が水素爆発で吹き飛ぶ。「原発崩壊」の始まりだった。致命傷ともいえる対応の遅れは、なぜ起きたのか。

      ◆

 11日、東電の勝俣恒久会長は滞在先の北京で震災の一報を知る。心配する同行者に「情報がない」と漏らし顔をゆがめた。衛星携帯で本店と連絡を取り続けたが、帰国できたのは翌12日。清水正孝社長も出張先の関西から帰京できない。東電はトップ不在のまま対策本部を置く。

 一方、官邸の緊急災害対策本部。当初、直接東電とやりとりするのではなく経済産業省の原子力安全・保安院を窓口にした。「原子炉は現状では大丈夫です」。保安院は東電の見立てを報告した。

 しかし、事態の悪化に官邸は東電への不信を募らせる。菅首相は11日夕、公邸にいる伸子夫人に電話で「東工大の名簿をすぐに探してくれ」と頼んだ。信頼できる母校の学者に助言を求めるためだった。

 11日午後8時30分、2号機の隔離時冷却系の機能が失われたことが判明する。電源車を送り込み、復旧しなければならない。「電源車は何台あるのか」「自衛隊で運べないのか」。首相執務室にホワイトボードが持ち込まれ、自ら指揮を執った。

 官邸は東電役員を呼びつけた。原子炉の圧力が上がってきたことを説明され、ベントを要請した。しかし東電は動かない。マニュアルにはあるが、日本の原発で前例はない。放射性物質が一定程度、外部へまき散らされる可能性がある。

 「一企業には重すぎる決断だ」。東電側からそんな声が官邸にも聞こえてきた。復旧し、冷却機能が安定すればベントの必要もなくなる。

 翌12日午前1時30分、官邸は海江田万里経産相名で正式にベントの指示を出した。だが、保安院は実際に行うかどうかについて「一義的には東電が決めること」という姿勢を変えない。国が電力各社に文書で提出させている重大事故対策は「事業者の自主的な措置」と位置づけられている。

 「東電はなぜ指示を聞かないのか」。官邸は困惑するばかりだった。首相は「東電の現地と直接、話をさせろ」といら立った。「ここにいても何も分からないじゃないか。行って原発の話ができるのは、おれ以外に誰がいるんだ」。午前2時、視察はこうして決まった。

 事故を防ぐための備えは考えられていた。しかし、それでも起きた時にどう対応できるか。班目委員長は取材に「自分の不明を恥じる」と言ったうえで、こう述べた。「その備えが足りなかった」

(後略)


検証・大震災:初動遅れ、連鎖 情報共有、失敗(その1)毎日新聞 2011年4月4日 東京朝刊

(前段略)
 ■異変 11日16:36

 ◇冷却系ダウン 会見場に駆け込み「15条事態」
 ◇保安院幹部「悪夢じゃないのか」 「大丈夫」一転、首相に一報
 大津波で状況は一変した。13台ある非常用ディーゼル発電機のうち、12台が使用不能に陥った。さらに官邸を震撼(しんかん)させる緊急事態が起きたのは地震発生から約2時間後の午後4時36分。「炉心溶融」を防ぐための冷却システムがダウンした。このままでは、核燃料の損傷や放射性物質の外部漏えいにつながる。

 東京・霞が関の経産省で原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官が記者会見していた最中だった。「蒸気タービンで駆動する冷却系が働いている。バッテリー(蓄電池)は7、8時間は保持される」

 会見を終えて中村審議官が席を立とうとした午後5時前。血相を変えた保安院職員が「東京電力から15条事態と判断したと連絡がありました」と会見室に飛び込んだ。「15条とは何だ」と騒然とする報道陣に「詳細は後ほど」と繰り返すばかりだった。

 原子力災害対策特別措置法(原災法)に基づく15条通報は、原子炉内に注水できず冷却機能を失うことに代表される重大な緊急事態の発生に適用される。1、2号機は注水が確認できなくなっていた。

 これに先立つ午後3時42分には、全交流電源が失われ、冷却機能の喪失につながりかねない事態になった。東電は15条の一つ手前のトラブルとして10条通報した。「10条でさえ通報が来るなんて考えもしなかったのに、より深刻な15条なんて。悪夢じゃないのか」。保安院幹部がうめいた。

      ◆

 東電の武藤栄副社長が「発電所を見てきます」と言い残してヘリコプターで福島原発へと飛んだのは午後3時半。まだ冷却系統は作動していたが、東電内でも危機感が広がり始めた。原子力部門の幹部は「15条も適用した方がいい」と考えていた。

 東電本店2階の対策本部はすべての電源を失ったことに困惑の度を深めた。こうした事態を想定した「シビアアクシデントマニュアル」に沿って管内の事務所などから電源車をかき集める作業を始めた。

 「6台は確保できそうだ」。だが、東電から報告を受けた保安院幹部に疑念がよぎる。「仮に電源が復旧しても地震や津波で計器類だって損傷しているはず。簡単に事が進むだろうか」

      ◆

 原発事故を巡る行政機関の情報伝達ルートは「東電→経産省原子力安全・保安院→首相官邸」という流れで、通常は官邸が直接、民間企業の東電に指示・命令することはない。「原発有事」に発展するまで首相はもっぱら保安院から「原発は大丈夫です」との報告を受けていた、と複数の政府高官は指摘する。

 首相が「冷却機能不全」という事態急変を知ったのは、東日本大震災発生後、首相官邸で初めての記者会見に臨む直前だった。だが、午後4時54分からの会見では「日本の総力を挙げる」と表明し、原発事故には「一部の原子力発電所が自動停止したが、外部への放射性物質の影響は確認されていない」と触れただけだった。

 首相はこのころから原発事故対応へとのめりこんでいく。公邸の伸子夫人に電話した際、「東工大の名簿」を求めた。母校の専門家からアドバイスを受けようとしたためだった。

 「私は原子力に詳しい」との自負を後に漏らす首相。そこからは「原子力村」と呼ばれる電力業界、経産省、東大研究者が原子力政策を支配するシステムへの対抗意識がうかがえる。伸子夫人は東工大時代の首相の友人を通じて名簿を官邸に届けた。首相はその後東工大出身の日比野靖・北陸先端科学技術大学院大副学長ら3人を内閣官房参与に迎えることになる。
(後段略)
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 ■ことば

 ◇10条通報、15条通報
 原子力災害対策特別措置法に基づく。10条は、原子力事業所の原子力防災管理者(福島第1原発では発電所長)は、敷地境界付近で基準以上の放射線量を検知するなどした場合に主務大臣(東電の場合は経済産業相)などへの通報が義務付けられている。15条は、さらに厳しい事態の場合、主務大臣は首相に報告し、首相は原子力緊急事態を宣言する


検証・大震災:初動遅れ、連鎖 情報共有、失敗(その2止)毎日新聞 2011年4月4日 東京朝刊

 ◇福島第1原発、津波…燃料棒溶融…爆発 
 ◇3.11から2日間、官邸・保安院・東電は
 ■厳戒 11日19:03

 ◇「国の指示待てぬ」 福島県が避難要請
 ◇非常用電源切れ 電源車、適合ケーブルなし
 原発の異常事態は時間とともに深刻さを増していった。「安全神話」を揺るがし、「原発震災」に直面した。「現行法ギリギリであらゆる措置を取るという考えだ」。周辺は菅直人首相の決意をこう表現した。

 午後7時3分、首相は冷却系が機能不全に陥る危険性を指摘し、初めて原子力緊急事態宣言を発令。午後9時23分、半径3キロ圏内の住民に避難指示を出した。12日早朝には10キロ、同夕には20キロと範囲が拡大していく。

 発令に当たっては秘書官らが六法全書と首っ引きで首相権限を調べた。原災法に基づき15条事態になれば自動的に同宣言が出され、政治判断をはさむ余地はないが、ある閣僚は「かなり強力な権限が首相に与えられる」と語った。
(中略)
 原子炉の暴走を事前に食い止める「冷却作戦」が官邸、経済産業省原子力安全・保安院、東電のもとで進められた。

 対処方針は冷却システムを再起動させるための電源車をバッテリーが切れる7~8時間以内に福島第1原発に集めることだった。電源喪失が午後3時42分。タイムリミットは午後11時前後から12日午前0時前後。時間との闘いだった。ひとまず東電が集めた6台が福島に向かったが、陸路の輸送は困難を極めた。

 「福島まで緊急車両は通れるのか」。首相は大畠章宏国土交通相に電話で交通状況を確認。執務室にはホワイトボードが運び込まれ、電源車の現在地が刻々と書き込まれていった。しかし、思わぬ誤算が生じた。

 電源を失った1~3号機のうち、最初に危機に陥ったのは2号機だった。当初、原子炉の余熱でタービンを回し、冷却に必要な水を炉内に引き込む「隔離時冷却系」が作動し、炉内の水位を保っていた。

 だが、隔離時冷却系が午後8時半に突然止まり、炉心の冷却ができなくなった。このままだと核燃料が出す熱で炉内の水が蒸発し、燃料棒が水面から露出する恐れがあった。水面から出た燃料棒はさらに高温になり、いずれは破損し、核燃料が溶け出してしまう危険があった。

 待望の電源車が福島第1原発から約5キロ離れた、国の対応拠点「福島オフサイトセンター」(福島県大熊町)に到着したのは午後9時過ぎ。東北電力から提供された電源車2台だったが、ここでトラブルが発生する。

 電源車が高電圧だったため接続に必要な低圧ケーブルが用意されていなかったのだ。つなぎ口も津波で浸水していた。午後9時20分には福島オフサイトセンターの非常用電源が切れた。東電社員を含む職員ら15人は隣接する福島県原子力センターに移動したが、ファクス1台。パソコンはなかった。

 電源車の到着から2時間以上たった午後11時20分からの保安院の記者会見で山田知穂原子力発電安全審査課長は「電源車は接続されず、電源は回復していない」と作業難航を認めざるを得なかった。

 1、3号機はともにタイムリミットの12日午前0時を過ぎてもバッテリーは働いていた。問題の低圧ケーブルはようやく調達できたが、「関東から空輸準備中」(原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官)で作業員も足りないというありさまだった。

 2号機の水位は安定し、このころはほかにも低電圧を含む2台の電源車が到着していたが、山田課長は午前0時50分過ぎの記者会見で心もとなげに語った。「今来ている電源車では、多分足りないと思う」

 政府高官は「東電のオペレーションは準備不足で、行き当たりばったりのようだった」と振り返る。

      ◆

 原子力緊急事態宣言を受けて午後7時半、北沢俊美防衛相が自衛隊始まって以来初の原子力災害派遣命令を発令。核・生物・化学(NBC)兵器に対処する「中央特殊武器防護隊」(中特防)が出動した。

 だが、もともとの防護隊の任務はNBCで攻撃された時に放射性物質を検知し、安全な場所に部隊を誘導すること。原子炉の知識はなく、防護服や化学防護車などの装備も「防護服は外部被ばくには十分対応できない。化学防護車に中性子を遮る防護板がついたのもJCO事故以降」(陸自幹部)というのが実情だった。

 ■混乱 12日未明

 ◇「ベント」放射性物質放出へ ためらう東電
 ◇ヘリで現地視察の首相「早くやれ」
 「22時50分 炉心露出」「23時50分 燃料被覆管破損」「24時50分 燃料溶融」--

 11日午後10時、原子力安全・保安院は、原子炉内の水位が下がった2号機で何が起こるのかを予測、官邸に報告した。12日午前3時20分には格納容器内の圧力上昇が予測されていたため、弁を操作して高温の水蒸気を外部に逃がす「ベント」作業が必要と分析した。格納容器の破損を防ぐためとはいえ、意図的に放射性物質を外界に放出する「最後の手段」とも言える荒業だ。

      ◆

 事態は、冷却機能が働いていたはずの1号機でも深刻化していた。徐々に水位が下がり、燃料棒が最大90センチ露出し、原子炉格納容器の圧力が上昇。損傷の危険性が高まった。

 断続的に保安院で開かれた会見で「この事態を想定していなかったのか」と質問が記者から相次ぐ。保安院は「あらかじめ準備されているということではない」と苦しい弁明に終始した。

 一方、首相官邸では11日午後11時過ぎ、地下の危機管理センターで首相や海江田万里経産相、班目(まだらめ)春樹・原子力安全委員長、原子力安全・保安院幹部を交えて対応を協議。「早くベントをやるべきだ」との意見で一致し、東電側と連絡を取った。

 12日午前1時半には海江田経産相を通じて東電にベントで圧力を下げるよう指示。しかし、東電側からは、できるかどうか明確な返答はなく、いらだつ官邸が「何なら、総理指示を出すぞ」と威圧する場面もあった。

 それでも保安院の中村審議官は午前2時20分過ぎの会見で「最終的に開ける(ベントする)と判断したわけではない。過去にベントの経験はない。一義的には事業者判断だ」と説明した。

      ◆

 午前3時、東電は官邸に「2号機は冷却装置が働いている」と報告した。それでも、官邸にいた班目委員長は「これからベントですね」と語った。

 ほどなく、海江田経産相と小森明生・東電常務が会見した。海江田経産相は「ベントを開いて圧力を下げる措置を取る旨、東電から報告を受けた」と説明し、すぐに小森常務にバトンを渡した。これに対し、小森常務は「国、保安院の判断を仰ぎ、(ベント実施の)判断で進めるべしというような国の意見もありまして」と述べる。「東電の判断」という海江田経産相の説明と微妙な違いを見せた。

 方法は、水蒸気を直接大気に出す「ドライベント」ではなく、いったん水にさらして放射性物質を100分の1程度に減らす「ウエットベント」だった。いずれにしても前例がない。

 会見で、小森常務は当初、2号機でベントを実施すると表明したが、代わった東電の担当者は「今入った情報では、2号機は冷却機能が働いていると確認できた。1号機になるかもしれない」と説明した。記者を混乱させた。

 原発敷地内では放射線量が上昇し、保安院は午前6時、1号機の中央制御室で通常の約1000倍の放射線量が計測されたと発表した。原発正門付近でも通常の約8倍を記録した。今回の東日本大震災で初めて放射性物質の漏えいが確認された。

 政府は原子炉等規制法に基づき、東電にベントをするよう命令した。午前6時50分だった。

      ◆

 午前6時過ぎ、首相は班目委員長らと官邸ヘリポートから陸上自衛隊の要人輸送ヘリ・スーパーピューマで福島第1原発へ飛び立った。首相は線量計を携帯していた。午前7時過ぎ、同原発に着いた首相は大地震に耐えられる免震重要棟に移った。

 「そんな悠長な話か。早くベントをやれ」

 首相の怒声が響く。未明に指示したベントはまだ実施されていなかったからだ。現場を熟知する吉田昌郎福島第1原発所長は実施を約束。この後、官邸は東電本店よりも吉田所長に信頼を置くようになる。

 ■崩壊 12日15:36

 ◇指示から9時間、ようやく開始
 ◇東電「ガスボンベ爆発では」 首相「東電つぶれる」
 官邸からの再三の要請を受けて、東電では福島第1原発で現地の作業員らが冷却機能を失った原子炉の圧力を下げるため、炉内から水蒸気を外部に出すベントの準備に取りかかっていた。当初は2号機のベントが想定されたが、途中から1号機の原子炉格納容器の圧力が上昇していることが分かり、こちらを優先することになった。

 東電の原発事故時のマニュアルには手順も書かれているが、放射性物質を含んだ水蒸気を原発の外部に出すという初の事態に「福島の現場も東京の東電本店も緊張した」(保安院幹部)。しかも、停電で原子炉から水蒸気を放出するための圧力弁は自動では作動せず、放射線量が高い格納容器周辺に作業員が行き、手で弁を開く必要があった。停電で真っ暗な中での準備作業は難航。首相の視察後もなお現場は「ベントを開始できるまで、どれだけ時間がかかるか分からない」という状況だった。

 1号機の格納容器内の圧力は午前4時半には、通常の2倍超の8・4気圧に達し、核燃料が溶ける「炉心溶融」がいつ起きてもおかしくなかったが、ようやくベントが開始できたのは午前10時17分だった。

      ◆

 「ドーン」。震災対応をめぐる与野党党首会談が行われていた午後3時36分、福島第1原発1号機の原子炉建屋がごう音を立て、白い煙を噴き上げた。圧力が上昇した格納容器から漏れた水素が建屋の上部にたまり、空気と反応して水素爆発を起こしたのだ。テレビ画面では福島中央テレビが撮影した煙を上げる1号機の様子が生中継され、アナウンサーが興奮した声で爆発のニュースを伝えていた。

 与野党党首会談を終えた菅首相は執務室に戻ったが、東電からも保安院からも情報は入っておらず、問い合わせにも東電は「建屋から煙が出ている」というだけだった。首相は「なぜ官邸にすぐに報告できない。こんなことをしていたら東電はつぶれる」と、東電から派遣された幹部を怒鳴りつけた。幹部は「タービン建屋に保管しているガスボンベが爆発した可能性もあります」と説明したが、テレビ映像を見た首相には、小さなトラブルには思えなかった。約1時間後、東電からの連絡で水素爆発らしいと分かり、厚いコンクリートで覆われた建屋の上部が吹き飛ばされたことが判明する。

 「重要な情報がすぐに上がるように、東電の原発担当者を官邸に常駐させろ」。しびれを切らした首相は執務室横の特別応接室に「私設本部」を設け、東電幹部と保安院を所管する海江田経産相をそこに詰めさせた。ある政府高官は「首相は海江田さんや東電幹部を質問攻めにする一方、実務にたけている官僚とは話すらしなかった。『政治主導』にとらわれ過ぎているのではないか」と危惧した。

 一方、東電本店では、詰め掛けた取材陣に広報担当者が「建物の被害はテレビでしか確認できていない。作業員を今、現場に向かわせているところ」と繰り返すばかりだった。午後6時ごろから会見した保安院も爆発の状況や被害など正確な情報を把握していなかった。

 首相周辺は「東電も保安院も原子力安全委も(深刻な事態から目を背けようと)ぐるになっていたとしか思えない」と批判。一方、保安院を傘下に持つ経産省幹部は「事態が最悪の方向に動いたため、官邸は東電や保安院をスケープゴートに仕立てようとしている」と漏らした。

      ◆

 「これから一体、何が起こるんだ」。防衛省では、1号機の爆発をテレビで知った北沢防衛相が経産省や保安院から情報が入らないことにいら立った。「事実が分からないと、どういう対応ができるか戦略が立てられない。自衛隊として何ができるんだ」--。語気を強める防衛相に、同省の緊張感は一気に高まった。

 自衛隊は、陸自の隊員4人が1号機の爆発直前まで消防ポンプ車2台で原子炉を冷やすため、水を注入していた。爆発当時は、原発から約5キロ離れた地点に下がっており、危うく負傷や被ばくを免れた。ある防衛省幹部は「非常用電源まで落ちているとは知らなかった。ベントももっと早くから行われていたと思っていた」と、東電や保安院への不信感をにじませた。

      ×

 東電は原発の「安全神話」が崩れていく現実を直視できず、初動の対応を誤った。官邸は政治主導にこだわりながら東電や保安院との緊密な連携を図れず、結束して危機に立ち向かえなかった。それは「想定外」という言葉でけっして片づけられるものではない。
(後段略)

リビア内戦の“ローカライゼーション”を

リビア内戦の軍事面での手詰まりが感じられてきた。アメリカ軍の後方支援への移行を事実上の撤退と捉えると、暫定政権は航空優勢すら保てない。残る焦点は外交工作による打開と、暫定政権側への武器供与の是非となってくる。

ベンガジにトルコ医療船が入港 重傷者を移送へ 2011.4.4 09:42 :MSN産経

政権側、停戦望む 外務次官がギリシャに伝達 真意は不明 2011.4.4 09:46 :MSN産経

グアンタナモ収容者が反体制派に 司令官や教官 2011.4.4 10:30 :MSN産経

カダフィ氏次男が解決案 大佐退陣と民主制移行 2011.4.4 11:19 :MSN産経

内戦とはそもそも内政問題の延長線上にあるローカルなものだ。どちらかに加担する場合、常に内政干渉の危険を孕むわけだ。

もともとリビア内戦は、旧王国の母体サヌーシー教団の勢力圏にあったキレナイカでの民主化要求デモに端を発している。その実態は、リビアの原油利権分配の再構築を求めることに他ならない。いかに同国が高失業率30%といっても、現場は外国人出稼ぎ労働者が占めていた。争乱の拡大と同時に出稼ぎ労働者が脱出していたことを考えれば、国家の運営が現場レベルですら回らないことは明白だろう。

今回の内戦への介入は、左から見れば人権の抑圧に対する人道的介入であり、右から見れば油田などの利権確保を目指した介入と映る。そしてそのどちらも正しいのである。

この軍事介入にもっとも積極的なフランスの目的は上記に加え、マグレブ地域からのムスリム系政治難民が国内に流入して、雇用と移民及びフランス国民のアイデンティティの問題をこれ以上悪化させないことと、中東・アラブの争乱がブラックアフリカに波及連動しつつあり、旧宗主国フランスの海外利権が失われるのを未然に防ぐことにある。

しかし内戦の介入ほど厄介なものはない。傀儡政権の独裁者をすげ替えたら何とかなると思ったら、さらに無能な指導者しかおらず遠征軍を逐次投入しなければならなくなったり(南ベトナムにおけるアメリカやアフガニスタンにおけるソ連)、内戦の一方に軍事援助をしたら、自国にテロを仕掛ける勢力になったり(アフガニスタンにおけるアメリカ)、内戦を終わらすと意気込んで独裁者を倒したら、和平の相手がおらず戦争が終わらなかったり(イラク戦争とメキシコ革命におけるアメリカ)、ひとつ手を間違えると泥沼は必至である。

アメリカの躊躇する理由も、その厄介さがいくらなんでも身に染みてきた、そのことにある。海のものとも山のものともつかぬ暫定政権に武器供与して、それがアルカイダでした、では本末転倒なのだろう。

武器供与の是非も付かぬとなれば、内戦の現地化(ローカライゼーション)もままならないような気がする。現地化も不可となれば、外交によって打開するしかないのだが。たとえばトリポリタニアとキレナイカの線に兵力引き離しの国連軍を駐留させて現状維持するのが一番現実的な気がする。

今回はイタリア抜きで、ただしロンメルはいません

三度、リビア内戦の経過をタイムラインで整理していく。

3月28日には、飛行禁止区域での空爆が続くなかで、一路に西へと進軍する暫定政権の民兵が、カダフィ大佐の出身地シルトへの攻勢を開始した。また暫定政権は、勢力圏にある原油生産を再開して予算に充てる目論みを明らかにした。

多国籍軍、カダフィ氏の出身地を初空爆 政府軍が退去開始か 2011.3.28 08:38 :MSN産経

反体制派、カダフィ氏の出身地を制圧か 「1週間で石油輸出開始」2011.3.28 12:30 :MSN産経

3月29日には、英米独仏が、カダフィ政権の退陣を要求した。安保理決議を棄権したドイツがいつの間にか列強の席に座り、旧宗主国のイタリアの影が薄い。リビアと不可侵条約を締結していたイタリアは政権のスキャンダルと流入する難民の対応に忙殺されているようだ。カタールがフランスに続いて、暫定政権に正統性を付与した。一方、トルコは過度の内政干渉を警戒し、停戦を模索し始めていた。

外相級会合でカダフィ後にらみ協議 連絡グループ設置へ 2011.3.29 23:23 :MSN産経

 【ロンドン=木村正人】リビアで軍事作戦を展開する多国籍軍参加各国やアラブ諸国などによる外相級会合が29日、ロンドンで開かれ、カダフィ政権崩壊後をにらんだリビアの政治問題などについて協議した。

 会合には35カ国が参加。ヘイグ英外相やクリントン米国務長官、ジュペ仏外相のほか、中東のカタールやヨルダン、さらに北大西洋条約機構(NATO)、国連の代表らが出席した。

 米、英、仏、ドイツの4首脳は28日、リビアの最高指導者カダフィ大佐の即時退陣を求める方針で一致。会合の冒頭、キャメロン英首相は「リビア第3の都市ミスラタでは大佐による攻撃が続いており、国際社会の支援を強化しなければならない」と述べ、クリントン長官は「大佐が国連安全保障理事会決議を順守しない限り軍事行動は続く」と大佐に即時退陣を求めた。

 会合では(1)対リビア安保理決議の履行(2)人道支援(3)政治体制の移行-を協議した。関係各国のリビア政策を調整する「連絡調整グループ」を設置する。

 この日の会合前にヘイグ外相とクリントン長官はリビア反体制派組織「国民評議会」のジェブリル暫定首相と会談、会合では評議会のマニフェスト(政権構想)が配布された。多国籍軍に参加するカタールがフランスに続き評議会を「リビアの唯一の正統な代表機関」と承認するなど政権の受け皿として評議会を支援する動きが加速している。

 リビアでの軍事作戦の全指揮権は30日、米国からNATOに移譲される。

 こうしたなか、関係各国による水面下の折衝も活発化している。

 イスラム圏から唯一、NATOに加盟するトルコのエルドアン首相は、「リビアの未来はリビア国民が決めるべきだ」と訴え、カダフィ政権側と反体制派の停戦仲介に動いている。

 リビアの旧宗主国イタリアのフラティニ外相は、国際刑事裁判所(ICC)が「人道に対する罪」の容疑でカダフィ氏を捜査中であることから、同氏に対しアフリカのICC非加盟国への逃亡を提案している。

     ◇

 【国民評議会の政権構想骨子】

 一、国民の権利と義務、三権分立を確立する国民憲法の立案

 一、政党や労働組合、社会・市民団体などの結成

 一、自由で公正な大統領選や議会選の平等な選挙権・被選挙権の付与

 一、表現の自由や平和的な抗議活動の保障

 一、信教の自由、正義と平等の保障


同日、オバマ大統領は、軍事介入に議会の承認を経なかった批判に対して、カダフィ政権側の民主主義と人権の抑圧による緊急対応であったこと、一方でNATOへの指揮権委譲と後方支援への移行を実施し、地上軍の派遣には否定的見解を述べた。

米大統領、カダフィ氏退陣「国民が実現を」演説で訴える 2011.3.29 09:56 :MSN産経

「国益と価値観の危機には行動」米大統領、軍事介入に理解求める 2011.3.29 10:52 :MSN産経

3月30日には、暫定政権側はシルトへの攻勢を断念した。英米の外交当局は、暫定政権への武器供与は容認されると一致したが、この安保理議決の拡大解釈を他の理事国がどう反応するのだろうか? またアメリカでも国務省と国防総省との意見は一致しているのだろうか?

すでにアメリカの戦費は450億円に達したとのことだが、現実には暫定政権側の攻勢の弱さとカダフィ政権側の守備の強さとには、アメリカの投入する航空戦力の少なさに相関関係があると思われる。

反体制派、反撃受け後退 シルトの“壁”破れず 2011.3.30 08:55 :MSN産経

「反体制派への武器供与は容認される」と米国務長官 英国も同調 2011.3.30 11:08:MSN産経

米国の戦費450億円に トマホークは214発 2011.3.30 11:55 :MSN産経

新生国家構想を発表 反体制派が国際デビュー 2011.3.30 11:57 :MSN産経

反体制派への武器供与 英「除外していない」2011.3.30 21:47:MSN産経

3月31日には、カダフィ政権側の外相がイギリスに亡命した。暫定政権への入閣も視野に入れての外交工作と考えられる。

カダフィ大佐右腕の外相が英国に亡命 側近も動揺し始める 2011.3.31 09:47:MSN産経

CIAの秘密工作、米大統領が承認か 軍事介入視野に情報収集 2011.3.31 10:09 :MSN産経

4月1日には、米国防長官がリビア空爆の限定関与に、戦線拡大による戦費増大があると言及した。“トモダチ作戦”には空母ロナルド・レーガンが投入されているが、“オデッセイの夜明け作戦”には空母エンタープライズはついぞ投入されなかった。

イギリスは、外相を亡命させる一方で、カダフィ政権側とも外交交渉を続けているとの報道があった。彼らの二枚舌、三枚舌外交は功を奏すだろうか?

同日には、暫定政権側が停戦交渉を表明したが、これは明らかに早すぎた。

作戦への関与限定、理由の1つは「震災支援」 米国防長官 2011.4.1 10:22 :MSN産経

政権側近、英国と秘密会談 「出口戦略」視野か 2011.4.1 10:42 :MSN産経

 英紙ガーディアン(電子版)は3月31日、リビアのカダフィ政権が秘密裏に側近をロンドンに派遣し、英政府高官と会談させていたと報じた。多国籍軍の攻撃を受けている政権側が今後の「出口戦略」を探り始めた兆候としている。

 同紙によると、派遣されたのは最高指導者カダフィ大佐の次男の側近で、これまで兵器調達の交渉や軍事、政治的な問題で暗躍していたとされる。この側近の他にもリビア政府高官が欧米諸国と接触している。

 リビアでは、3月30日に英国に到着したクーサ外相が辞任を表明するなど、高官の政権離脱が相次いでおり、動揺が広がっているとみられる。(共同)


反体制派、条件付き「停戦」の用意を表明 2011.4.1 22:49 :MSN産経

4月2日には、カダフィ政権側は停戦を拒否した。また空爆作戦でも誤爆の事例が報告され始めた。

カダフィ政権、反体制派の停戦条件拒否 2011.4.2 09:12 :MSN産経

反体制派を誤爆か 民兵10人死亡 2011.4.2 21:34 :MSN産経

4月3日には、暫定政権は後退戦術に転換、持久戦に入る様相を呈し始めた。暫定政権側の司令官は、民兵の練度が低いこと、航空支援が鍵を握ること、兵站ルートがないことを明らかにした。

第2次大戦の北アフリカ戦線を彷彿とさせる。幸いなことに今回はイタリア抜きかもしれないが、ただしロンメルはいない。

反体制派が最前線に政権の離反兵投入 民兵は撤退の戦術転換 2011.4.3 09:52 :MSN産経

 リビア反体制派の軍事部門「殉教者旅団」幹部アハマド・カトロニ司令官は2日、カダフィ政権の政府軍との戦闘で主力だった民兵を最前線から撤退させ、政権を離反した軍の元正規兵を投入するなど戦術を転換したことを明らかにした。共同通信の取材に語った。

 一方、戦力的になお政府軍より劣ることを認め「勝利を得るための最大の要素は北大西洋条約機構(NATO)軍による空爆だ」と言明した。

 カトロニ氏によると、反体制派は1日、前線となっている中部の要衝ブレガにロケット砲や重砲を装備した元軍兵士を配備、戦闘経験がほとんどない民兵を前線から50キロ後方に退かせる「戦略的撤退」を実施した。ただ、政府軍の重砲が射程40キロであるのに対し、反体制派の重砲の射程は20キロ。カトロニ氏は「武器は政府軍から奪う以外に供給ルートがない。兵力と軍備の面で明らかな差がある」と強調した。(共同)

なぜポルトガルは先進国から後進国に逆行したのか?

ポルトガルでは、財政赤字削減策の否決によってソクラテス首相が辞意表明、総選挙後の四半期末から7月までには再び国債償還に伴うデフォルト危機が来るのだろうが、次の内閣も赤字削減策を議会に提出→否決の無限ループにでも嵌るのだろうか?

ポルトガル、6月5日に総選挙実施-大統領が国民向けテレビ演説(1) 2011/04/01 07:22 JST(ブルームバーグ)

ギリシアのようにあからさまな粉飾はなく、アイルランドとスペインのように目立った不動産・金融バブルはなく、“強いユーロ”のために競争力を損なわれたポルトガルが破綻するかもしれぬ、という現実が独仏の政治家にとっては、救済しなければならない理由を、有権者にわかりやすく説明できない問題になっている、とコラムニストが指摘している。

【コラム】ポルトガル救済、大き過ぎて引き受けられない代償-Mリン 2011/03/29 15:30 JST(ブルームバーグ)

700億ユーロの支援を負担することによってドイツやフランスが破綻することはないだろう。ただ、財政的に可能だからといって、他の面においても可能というわけではない。ユーロ圏はポルトガル救済の代償を引き受けることはできない。その理由は以下の通りだ。

第1に、なぜポルトガル救済が必要なのか、容易に説明がつかないためだ。ギリシャは数字をごまかしてユーロに加盟したために問題が起きた。同国はもともと加盟基準を満たしておらず、最初の申請は当然のことながら退けられた。アイルランドは不動産バブルや銀行バブルの崩壊で深刻なリセッション(景気後退)に陥った。どちらの国も外的な出来事が危機を引き起こしたと言える。統一通貨それ自体が引き起こしたわけではない。

バブルはない

しかし、ポルトガルはどうだろうか。数字をごまかしてはいないし、バブルもなかった。ユーロ加盟以来、ポルトガルはずっと低成長に甘んじており、それが同国の債務状況を悪化させている。

問題が通貨以外にあると結論付けるのは難しい。また、ドイツ並みの競争力を維持できない国に通貨が及ぼす影響以外に問題があると言うことも困難だ。ポルトガルが救済を受けた後で、ユーロは機能する通貨制度であり、一部の加盟国だけに問題があると主張することは不可能になるだろう。ユーロの欠点は無視できなくなる。

(マシュー・リン氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)


実のところ、独仏にとって、PIIGS(ポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシア、スペイン)は、あくまでも周縁部であり、為替リスクのない市場であり、安価な労働力の供給源であり、収益機会の多い投資先であった。

つまり、独仏国民には率直に『植民地』だったのです、と云えばいいのだが、それではEUの理念が崩壊してしまう罠が待ち受けている訳だ。

そりゃあもう話しづらいだろうが、そもそもにして、かつてのポルトガルは自らの持っていた植民地丸ごと、メシュエン条約の締結(1703年)以降、事実上イギリスの経済植民地と化してしまっていたではないか。

それまではポルトガルは間違いなくヨーロッパの最先端を行く国にして帝国だった。

ポルトガルのレコンキスタの完成(1249年)は、スペインのそれ(1492年)よりも早かった。

1415年には現在スペイン領の飛び地・セウタを占領して“大航海時代”に突入した上、ヨーロッパで最も早く絶対主義を確立(1495年~1521年のマヌエル1世の治世下)し、ブラジルの植民地化(1500年)も、ポルトガル~コンゴ~喜望峰~モザンビーク~インド洋~東南アジアの香辛料貿易ルートの確立(1509年のディウ海戦の勝利による制海権の確保、1510年のインドのゴア占領、1511年のマラッカ占領とこれらもマヌエル1世の治世下)も矢継ぎ早に行い、一気にポルトガルは全盛期を迎えた。

そんなポルトガルは(先進国から後進国へ、では大袈裟かもしれないので)なぜ先進性を持った国から後進性を持った国に逆行したのか?

結論から言うと、ポルトガルには資本主義を担うヒト(プロテスタントとユダヤ人に代表されるような資本家)、モノ(プロテスタンティズムと複式会計、自由貿易と保護貿易の考え方)、カネ(資本の原初的蓄積)がなかった。要するにアドベンチャーができてもマネジメントができなかった。

スペインのレコンキスタ完成とつづくユダヤ教徒の追放が、ポルトガルにも影響を及ぼした結果でもあった。

ユダヤ教徒の強制改宗(上記のマヌエル1世の治世下)と異端審問書の開設(1536年のジョアン3世の治世下)によって人材が流出し始め、スペイン王国との合邦(1580年~1640年)とオランダ独立戦争(1568年~1648年に及び“八十年戦争”とも呼ばれる)が、それに拍車をかけた。

プロテスタントとユダヤ人といった人材を迎えたオランダが一気に勃興し、オランダ東インド会社の設立(1602年)からマラッカ占領とオランダの出島進出(ともに1641年)までには早くも香辛料貿易ルートの独占を失う。

つまりは、ヒト(ブルジョワジーが産業資本にも金融資本にもならず大土地所有に留まり、余剰労働者が海外移民する)が出て行く、モノ(イギリスとの自由貿易のため、廉価で高品質なイギリス製品によって国内及び植民地市場が失われる)が流れ込む、カネ(海外からの資本流入と流出に国内財政が左右され、破綻を1892年と1902年の2度も経験している)が貯まらない。

さらに資本家層の薄さ(ヒト)によって、植民地の喪失後も利権を維持できる資源メジャーや国際金融が育たなかった。もはやアンゴラの石油利権やマカオの金融は中国に乗っ取られた格好ではないか。また現在に至るまで、海外に輸出する製品・サービス(モノ)の競争力は弱いままであり、資本(カネ)をEUの独仏、ついにはかつての植民地ブラジルに依存する羽目になっている。

レコンキスタのダイナミズムは、冒険的商人が海外の交易ルートを開拓する躍動力へとつながったが、近代ブルジョワジーが近代合理的な精神へと昇華させながら産業を興すことができなかった。

少なくとも没落していく帝国の方策としても、貿易の人脈を活用しながら仲介加工貿易をするとか、植民地の利権を発展させながら多国籍企業をつくるとか、銀行や保険の情報を駆使しながら島嶼植民地におけるオフショア金融を発達させるとか、イギリスやオランダの採った道をたどれなかった。

それどころか、1975年のカーネーション革命によって、マカオを除く全植民地を一遍に喪失した。アフリカに植民していたポルトガル系(レトルナードス)が帰国して、労働需給が壊れ失業率が上昇した上に、石油など天然資源の豊富なポルトガル領西アフリカ(アンゴラ)・ポルトガル領東アフリカ(モザンビーク)といった領域植民地と、中継貿易拠点かもしくはオフショア金融の拠点になりうるポルトガル領ギニア・マカオ・ゴア・東ティモールなどを自国のために活用できなかった。

たとえばマカオの発券銀行である大西洋銀行の規模と名声は、香港のそれである香港上海銀行(HSBC)とは比べるべくもない。また2008年~2013年までの6年をかけてポルトガル語の正書法をブラジルに合わせるという逆転現象が起きている。イギリスのアメリカナイゼーションの比ではない。ポルトガルのブラジル化、もしくは支那化が進んでいる、というべきか。

競争者側の国がより合理的な資本主義とその精神やイノベーションをもってすれば、先端を行く国を凌駕できる。現在が修正資本主義の時代と云えども我が国も肝に銘じておくべき事例だろう。

“狼生きろ、豚は死ね”の順番を決めるモノ

PIIGS各国のデフォルトしていく順番が、そのまま国力の弱い国から「どうぞ」となるのが、実に“狼生きろ、豚は死ね”と云うフレーズを思い起こさせる(このフレーズは石原慎太郎氏の同名戯曲から生まれたそうですが)。

ポルトガルとギリシャ格下げ、新救済枠組みで債務再編か-S&P(2) 2011/03/30 14:54 JST (ブルームバーグ)

 格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は29日、ポルトガルとギリシャの信用格付けを引き下げた。欧州連合(EU)が合意した将来の救済の新枠組みの下で、両国が最終的に債務再編に追い込まれるとの見方が理由。S&Pは先週にポルトガルを格下げしたばかり。

 今回の格下げにより、同国の格付けは投資適格級で最低の「BBB-(トリプルBマイナス)」となった。アイルランドを3段階下回る。ギリシャは2段階の格下げで「BB-(ダブルBマイナス)」と、ジャンク級(投機的格付け)の中で上から3番目。


事実上列強の手によって独立させられたギリシア、クロムウェルの鉄槌に打たれてからはジャガイモの収穫量によって人口が左右されたアイルランド、新大陸からの富を他国に流出させてしまったポルトガルとスペイン、統一によってもムッソリーニによっても北部と南部(ナポリ・シチリア)の格差を是正できなかったイタリアと、どの国にも共通しているのは低い生産性である。

そして、その生産性の改善の遅い国と富の蓄積が少ない国から破綻していく現実が待っている(イタリアの危機が一番最後になりそうなのは、そんな理屈なのだろう)。

もともとは(アイルランドは除く)地中海性気候により他の中緯度地域に比べて、低い土地の生産性が、余剰生産力の不足による大土地所有制と小作農の固定化を促し、余剰生産物によって都市人口を養えず、都市近郊に拡がる産業基盤も生まれなかったゆえに、多少の労働者が流動化しても移民するよりほかなかった。そうしなければ(つまり過剰人口を減らさねば)生産性が調整できない。

そうした状況に対して、温暖湿潤気候に多い穀物生産性の高い中緯度地域にあった国々から、先進的な思想が入ってくることで政治経済的に混乱を引き起こされてきたのが、資本主義の発生と産業革命、市民革命以降のこれらの国々の近代史の特徴と云える。

この生産性の高低は重要である。なぜ近代の支那が列強になり得なかった、そして先進国になり得ないかのひとつの解答は、穀物生産の比重が長江流域にあった事実で理解できる。若干だが熱帯に近いために生産性、収量が低くなる。

この収量の差が、江戸時代における江戸、大坂の都市文化爛熟と、その後の日本の列強・先進国の成長へとつながる一因となり、清の太平天国の乱における郷紳の絶滅と国共内戦における浙江財閥の消滅へとつながる一因となった。

現在の中国が『国力がない=軍事力がない=経済力がない=技術力がない=資本がない=以下繰り返し続く』のループを脱したのは、単純に資本と技術を日本や欧米から導入したからなのだが、数字をごまかしてユーロに入ったギリシアと、不動産と金融を膨らませたアイルランド、スペインとあまり違わないのではないか?

さらに中国の将来を予測するのに、日本の迂回貿易構造に組み込まれている点を見過ごしてはならない。いかに領土と貿易額が大きくとも、ポルトガル海上帝国が大英帝国に呑み込まれた歴史を忘れてはならないからだ。ポルトガルの中世から近代に掛けての勃興と没落を味わうのは日本であろうか、それとも中国であろうか。
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