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無秩序なフィリピンの家族制度がもたらすモノは

中共は海監・海警・海巡・漁政・海関の5つを統合して、国家海洋局に一元化して、取締りの際は中国海警局の呼称を用いることとなった。一方、我が国は資金を出して、人材を育て、ASEAN諸国のコーストガードをつくって、運用も連携することになるだろう。

日比首脳会談に対する中共のレスポンスは以下の通り。

フィリピン専門家が日米を非難、「なぜ使い古した艦船しか供与しない?これでは中国に太刀打ちできない」―フィリピン紙 2013年07月30日 新華経済

日本とフィリピンが「中国海警局」の新設にピリピリ、だが「うるさく騒ぐなら、渡り合うしかない」―中国紙 2013年07月31日 新華経済

中古の巡視艇しか供与してくれない、という与太話が出たので、実際に調べてみた。

[フィリピン沿岸警備隊現有船艇]
サンファン級×4(56m級、2000年~2003年、豪州テニックス社製)
イロコス・ノルテ級×4(35m級、2001年~2003年、豪州テニックス社製)
ブッサン・パス級×2(詳細不明、日本製)
コレヒドール級×1(設標船、1998年、旧・新潟鐵工所製)
米国コーストガードから譲渡×3

先だっての日経新聞の記事にまともに稼動しているのは、4隻とあったので現有船艇数と一致しない。このうち、サンファン級は救難艇としての用途があり、純粋な警備艇として使われているのは、イロコス・ノルテ級だけ。もしくは8隻のローテーションを考えるとギリギリ4隻稼働が限界ということかもしれない。

我が国で、巡視船・巡視艇を現在建造できるのは、三菱重工業、ジャパンマリンユナイテッド(JFE、IHI及び日立造船系列、住友重機械の艦艇部門も一部合流)、三井造船、墨田川造船(横浜倉庫系列)、新潟造船(三井造船系列)、木曽造船、三保造船所、長崎造船(日本水産系列)くらいなので、船艇の大きさと外洋航行能力の有無によって、いずれかの企業から調達されることになるだろう。

それにしてもシンガポールにせよ、フィリピンにせよ、華僑が政治経済を握っているにも関わらず、安全保障面で中共と敵対関係になってしまう。かつて英米が海洋覇権で争い、現在でも金融規制でつばぜり合いを繰り広げるように同じ民族同士でも利害の完全一致などありえない。

さて、我が国とって問題なのは、フィリピンの政治経済や社会的基盤の弱さが是正されないことにある。それでも今やギリシアのGDPを超えた(ただし、ギリシアのGDPは4分の1吹き飛んだ)。

伸び代はあるのだが、ご存知のように福建省の客家系とスペイン系、これらが混血したメスティーソが富と権力を握っている。2人の大統領を輩出したホセ・コファンコ家(客家系のメスティーソ)とマニラ首都圏・マカティ市の大地主であるアヤラ家(スペイン系)が著名だろう。

彼らの特徴は、それぞれ客家なり、スペイン人なりのアイデンティティを保っている点だ。アヤラ家にいたっては本国のスペイン人か現地のスペイン系(場合によってはスペイン国籍)としか婚姻しない。つまり、社会の根本をなす家族制度について、まったく現地のマレー系のフィリピン人と融和しないのだ。

ただし融和できない理由もある。

よくマレー系フィリピン女性と結婚して現地に移住した日本人男性が殺害される事件が起きる。カネの切れ目が縁の切れ目とも云えるが、カソリックを信仰していても、家族の紐帯に関しての考え方が秩序だっていない。融通無碍ともいえるが、ルールの一定性とその形成過程が不明なのだ。

ありていに言えば家族制度が無秩序なのだ。我が国や北欧、ドイツに見られる権威主義は当然ないし、かと言ってアングロ・サクソン系の個人主義でもない。家族制度を決定付けるイデオロギーが感じられない。これがフィリピンの、マレー系フィリピン人の社会停滞を招いている最大要因なのではないかと思う。

参考URL:
リサールの山小屋から:(カテゴリーテーマ)財閥
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安全保障の傘→ODA供与→直接投資の流れ

この地域における日米のコミットメントが進むと、南沙諸島をめぐる紛争でもフィリピンとベトナムが安全保障面で連携するようになった。“安倍ドクトリン”が云うように多国間が守らなければならない法の支配によって追い詰めていくアプローチが大事なのだろう。それは安全保障面でもビジネス面でも同じだ。

日米両国の安全保障の基に、我が国がODAを約束するとJICAなどがインフラ調査を進めて、国際協力銀行(JBIC)などが中堅・中小金融機関のフォローを進めて、中堅・中小企業の直接投資(FDI)をフォローする流れが出来ている。

もとより大企業は自社で現地の金融機関を買収したり、工場建設を始めている。

ただしインフラが貧弱であることには間違いない。そのため、JICAのコンペでは特に野田政権の終盤から第2次安倍政権のスタートアップの頃にかけて、モノとヒトの陸海空すべての物流調査が増えてきた。

フィリピンでも、JBICが仲介してフィリピン第1位のBDOユニバンク、第2位のメトロポリタンバンク&トラストと地銀40行が進出支援体制の整備に係る覚書を締結した。

自分の周辺では工場請負や人材派遣に関わることが多く、いろいろ毀誉褒貶のある外国人研修制度も利用するのだが、いかに供給源を中国からインドネシアやフィリピンにシフトするか、送り出し先各国の実情に併せた海外進出のコンサルと協力していくか、体質改善の話も進んでいる。

南シナ海問題 仲裁裁判所の審理始まり「対中抑止力」期待-フィリピン 2013.7.27 07:28 MSN産経

 南シナ海の領有権問題で、フィリピンが国連海洋法条約に基づき中国を提訴した仲裁裁判所での審理が今月、始まった。フィリピン政府筋は、裁判が軌道に乗り今後、中国の“実効支配”の動きに一定の歯止めがかかるとみている。

 仲裁裁判所での審理は11日に、オランダ・ハーグで始まった。第1回審理では今後の手続きを確認した。

 フィリピンが提訴したのは1月。「領有権が南シナ海のほぼ全域に及ぶとする中国の主張は、国連海洋法条約に違反する」というのが主な趣旨だ。とりわけ、ルソン島西部スカボロー礁に居座る中国船の退去を、主眼としている。

 「仲裁人」は計5人。本来はフィリピンと中国が各2人、残る1人を双方の協議で選定する。だが、中国が選ぶ仲裁人については、中国が仲裁手続き(裁判)を拒否したため、国際海洋法裁判所の柳井俊二所長が指名した。中国が仲裁手続きを拒否したままでも、審理は一方的に進められる。

 フィリピン軍事筋によると、スカボロー礁はルソン島のサンフェルナンドとスービック港を拠点に、中国船への監視が行われている。だが「海軍艦船は下手に近づけず、偵察機と偽装漁船による監視が主体」だという。

 中国が1995年から実効支配するミスチーフ環礁の目と鼻の先にあり、パラワン島から約200キロのアユンギン礁にも、中国船が居座り続けている。こちらはパラワン島ウルガン湾とプエルトプリンセサが監視拠点となっている。

 政府筋は「フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内の2カ所で、中国船のプレゼンスが固定化されてしまっている。中国のこれ以上の行動拡大を阻止しなければならないが、仲裁裁判所での審理が始まり、中国も不用意なまねはしにくいだろう」と指摘する。

 一方、軍事筋によると、フィリピン軍幹部が23日、ベトナムを訪れ、両国軍が人的交流や軍事対話、情報交換など協力を強化することで合意した。軍事筋は「中国をにらんだ両国の軍事協力は、新たな進展をみせている」としている。(マニラ 青木伸行)


参考URL:
安倍総理大臣のマレーシア,シンガポール及びフィリピン訪問 (平成25年7月25日~27日) 平成25年7月27日 外務省

JICAでフィリピンに海上保安庁をつくった

安倍首相は、公式訪問中のフィリピンに対して巡視艇10隻を3年間を目途に供与することを表明した。これで小泉政権と第一次安倍政権の頃までに仕込んでいたフィリピンのコーストガード育成が結実する。

対テロ戦争のさなかにJICAの「海上保安人材育成プロジェクト」として進められたこの計画は、ミンダナオ島のムスリム勢力との和平とも関連性がある。

一躍“対中封じ込め”がフォーカスされることになったが、バシー海峡のシーレーンの重要性を考えると、いずれにせよ必要とされただろう。

海上警備強化で巡視艇10隻を供与 日比首脳会談 中国けん制狙い 2013/7/27 13:16 日経

【マニラ=川手伊織】フィリピン訪問中の安倍晋三首相は27日、同国大統領府でアキノ大統領と会談した。首相は巡視艇10隻の供与を表明した。政府開発援助(ODA)の円借款を活用し、海上警備能力の向上を促す。同国と南シナ海のスカボロー礁の領有権を争う中国をけん制する狙い。災害復旧に特化した円借款の融資枠を設ける考えも打ち出した。

 首相は会談後の大統領との共同記者会見で「日本にとって基本的価値観と多くの戦略的利益を共有する戦略的パートナーとの関係を強化する」と語った。対フィリピン外交で「4つのイニシアチブ」を提唱。(1)インフラや投資環境を整える経済分野での協力(2)海洋分野での協力(3)ミンダナオ和平プロセス支援の強化(4)人的交流の促進――の4分野で構想を示した。

 巡視艇の供与は首相の「地球儀を俯瞰(ふかん)するような戦略的外交」の一環だ。海洋進出を強める中国に対する懸念や自由、民主主義などの価値観を共有する国々と中国包囲網を築く。

 フィリピンは12の管区を設けて海上を警備しているが、外洋まで警備できる35メートル級の巡視艇は4隻しか稼働していないという。日本が供与する10隻を合わせれば、管区ごとに1隻は配備できる。2014年から3年程度かけて供与する。

 各管区で外洋に出た巡視艇と順次情報をやりとりできるよう、通信システムの向上も支援する。海洋分野では、共同訓練を視野に入れた防衛当局や海上保安機関どうしの協力を推進することを確認した。船舶事故が多い内航海運の安全規制を強化するため、日本から専門家を送り込むことも提案したとみられる。

 フィリピン政府が反政府勢力との最終和平合意をめざすミンダナオ地方向けに支援を強化する考えも伝えた。ミンダナオの和平がアジアの平和と繁栄に不可欠との認識を共有。紛争地域での学校や診療所など社会基盤の建設や、農業や鉱工業など地場産業の育成を後押しする。

 経済分野では、災害復旧に活用できる円借款も設ける。資金枠は100億円規模になる見通し。災害が起きた後に道路や港湾など主要なインフラを早期に再建するための資金を提供する。

 あらかじめ災害発生後の復旧計画をつくり、それに基づいて支援を求めれば、迅速に資金を融通する仕組みにする。インフラ新設に偏っていた円借款の用途を広げ、新興国のニーズに応える。

 首相はアキノ大統領に対して、投資環境の整備も働き掛けた。年金など社会保険料の二重払いと掛け捨てを防ぐ社会保障協定の締結に向けて正式交渉に入ることも確認。日本が外貨準備として保有する米ドルを機動的に融通できるよう通貨交換協定の拡充も提案したもようだ。

 マニラ首都圏の交通渋滞を解消する道路建設など大都市圏のインフラ整備も議論した。首相は日本企業の技術やノウハウの活用を訴えた。

 人的交流では、両国間の航空定期便を増やすよう呼びかけた。首相は27日午後、マニラで東南アジア歴訪を総括する記者会見を開き、同日夜に帰国する予定。


一方、海上保安庁は初めて叩き上げがトップに立つ。今までは所管の国交省からの天下りポストだった。防衛省も背広組を排除して制服組の統幕に運用一元化する。外交に続いて、内政も首相が人事権を行使して“対中封じ込め”体制に移行する、と考えて良いだろう。もはや事務方トップになれるキャリア官僚でも対処できない政治的事案が多発してくる、ということでもある。

アヒルはやってきた、亀はどこへ行った

日本郵政がアフラックと提携拡大して、同社のガン保険を郵便局で販売する記事に、堂々と「対米TPP配慮」の見出しを付けて、各社が配信する。ダチョウ倶楽部の「絶対押すなよ」的なメッセージを感じることもできる。

大企業は望むと望まざるとに関わらず、その存在感ゆえに内外で巨大な政治的影響力を持ってしまう。トヨタ自動車が典型例だろう。

1996年から2000年にかけて、トヨタ自動車がGMのシボレー・キャバリエをバッジエンジニアリングで売り出したことがあった。所ジョージ氏を起用して大々的に広告を打ったものの、販売計画に対して3割程度の達成しかできず、前倒しで販売終了した。貿易摩擦の流れで当時、誰もがトヨタは米国でセールスするコストを支払っているんだろう、と暗黙の了解を持っていたはずだ。

トヨタ自動車は民間企業だが、日本郵政は根拠法を持つ特殊会社のひとつである。株主が100%政府である以上、日本郵政は政治に翻弄され、政権が変わる度に経営陣が総入れ替えされる。個別の事業展開でも利権が絡み、政治介入が続く。

鳩山総務相(当時)がかき回した東京中央郵便局の再開発とかんぽの宿のバルクセール。シェア拡大どころか縮小する嵌めに陥ったゆうパックとペリカン便の統合時の遅配などの混乱。そして、TPP交渉をめぐる思惑が絡むかんぽ生命の独自商品開発自粛からアフラックとの提携拡大まで至る。

日本郵政の経営陣は、多少の犠牲を払っても3社の株式上場を最優先して、経営の独立性を株主の分散化(利害関係の複雑化も起きる)によって達成しようとするだろう。民営化した三公社であったNTT、JT(日本たばこ産業)、JR本州3社のように事業展開したいと思うだろう。もちろんこれらの企業も事業ノウハウを積むまで試行錯誤を繰り返している。

日本郵政、米アフラックと提携拡大 TPP参加で米政府に配慮 2013.7.25 01:38 MSN産経

 日本郵政が、米保険大手アメリカンファミリー生命保険(アフラック)との提携を強化することが24日、分かった。現在、同社のがん保険は約1千の郵便局の窓口で販売しているが、直営の全郵便局約2万カ所で販売できるようにする。日本が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に正式参加したタイミングでの提携強化は、かんぽ生命保険の事業拡大に反対してきた米政府に配慮した格好だ。

 アフラックは平成26年秋をめどに、日本郵政グループ専用のがん保険を供給する方針。週内にも基本合意し、両社トップが記者会見して発表する。

 日本の保険市場をめぐっては、「日本には非関税障壁がある」とする米政府の圧力で、がんや医療、介護などの「第3分野」に関し、12年末まで、外資系と中小保険会社にだけ参入が許された経緯がある。このため、アフラックのがん保険のシェアは現在でも7割超に上っている。

 これに対し、国が株式を保有する日本郵政傘下のかんぽ生命が第3分野への参入など事業拡大を目指したことから、米政府が反発。日本のTPP参加をめぐる日米の2国間協議の焦点の一つになり、すでに日本は、かんぽ生命の新規事業参入の認可を事実上凍結していた。日本にとっては、日本郵政がアフラックとの提携で先手を打つことで、米政府の批判を封じることになる。


この提携に不満を感じるのであれば、参院選比例で自民党に候補を擁立し、当選させた特定郵便局長会は正当なロビー活動を行って良い。

また亀井静香氏には、日本郵政の経営陣とそれを促した安倍政権を批判する正当な資格があるだろう。しかし、彼の姿がとんと見えなくなった。

彼は、小泉政権誕生の際の自民党総裁選で、小泉支持の代わりに約束したはずの地位を反故にされて以降、復讐の念に囚われすぎて、政局に負け続けた。

自らつくった派閥の志帥会を逐われ、民主党・国民新党・社民党の連立政権に振り回され、自らつくった国民新党を逐われ、特定郵便局長会の票は自民党に奪われ、転がり込んだみどりの風は参院選の全敗で政党要件を失った。新会派をつくるか、日本維新の会に入党するくらいしか身の振り方がない。

アベノミクスで適正な財政出動が復活することで、逆説的に彼の政治的役割は終わったのだ。政局に勝つことも政治家には必要な資質なのだ、という一つの例だろう。

英国はEUからコモンウェルスへシフトする

安倍首相の歴訪先がまずマレーシア、次いでシンガポール。つまりチョークポイントであるマラッカ海峡を抑える意義を持つ。最後にフィリピンを訪れる。これも対米戦敗北の最大要因となったバシー海峡を抑えることになる。

さて、マラッカ海峡を挟んだマレーシアとシンガポールは、コモンウェルス(英連邦)に属している。ここで日英の外務・防衛閣僚級会合(2プラス2)、安倍ドクトリン及びセキュリティダイヤモンド構想、英国のEUからコモンウェルス(英連邦)シフトまでが連動した意味合いを持ってくる。

もしも、英国がEUからの脱退を決定するならば、彼らはEUに対する最恵国待遇を失い、我が国の対EU輸出拠点としての英国の役割が大きく減じてしまう。

しかも、英国は自国の金融経済のモデルチェンジを余儀なくされている。

グローバル企業の租税回避地やオフショア金融センターとなっていたタックスヘイブン(海外領土のケイマン諸島やヴァージン諸島とバミューダ諸島、王室属領のジャージー島とガーンジー島とマン島)に租税条約や情報開示によって投網が掛けられる。

価格操作による鞘取りをしていたLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)はNYSEユーロネクストに移管される。

先駆けによる鞘取りをしていたHFT(高頻度売買)はその基礎のひとつである通信社からの2秒前の配信サービスが終了する。

米国ではグラス・スティーガル法(銀行と証券分離)の復活をもくろむなど各種の金融規制法案が上程される。

HSBCの金城湯池である香港を出入口とする中共(特に太子党と裸官)がバブルをソフトランディングできるかの瀬戸際に立っている。

さらばスイス、プライベートバンクが脱出-守秘の伝統崩壊で 2013/07/02 08:16 JST ブルームバーグ

LIBOR管理、NYSEユーロネクストに移管へ-英国から 2013/07/09 22:27 JST ブルームバーグ

別料金払うと「2秒早く配信」 経済情報サービス中止へ 2013年7月9日19時35分 朝日新聞

国際スワップ規制で米欧が合意-基準一本化へ、二重規制回避 2013/07/12 01:23 JST ブルームバーグ

新グラス・スティーガル法提案へ、ウォーレン氏ら超党派議員 2013/07/12 03:19 JST ブルームバーグ

米財務長官、ドッド・フランク法修正しないよう議会をけん制 2013/07/17 23:06 JST ブルームバーグ

英国の現状の解は、金融経済の拠点を香港からシンガポールに、産品とサービスの輸出先をEUから東南アジアにシフトすることにあるだろう。その基礎は日英の2プラス2を如何に発展させていくかに懸かってくる。彼らは我が国のカネを元手に東南アジアで一稼ぎを企むに違いない。その利害が彼らを東南アジアに安全保障上のコミットをさせる理由となる。

参考URL:
20か国財務大臣・中央銀行総裁会議声明(仮訳)(2013年7月19-20日 於:ロシア・モスクワ)財務省

“平和と繁栄の回廊”、再始動

安倍首相のマレーシア~シンガポール~フィリピン歴訪と並行して、岸田外相のイスラエル~パレスチナ~ヨルダン歴訪も行われている。麻生財務相(当時は外相)が尽力していた“平和と繁栄の回廊”構想に基づく4者会合が5年ぶりに開催された。

我が国の中東和平プロセス再開に併せて、ケリー国務長官による米国の中東和平プロセスもほぼ同時に始まる。これらは日米で意見交換はされている、と思われる。先月は中共が独自の中東和平会議を開催していた。さて、どの交渉が相互不信という名のジェリコの壁を崩すのだろうか。

中東和平支援で4者会合=岸田外相出席、5年ぶり 2013/07/25-19:20 時事ドットコム

【エリコ(ヨルダン川西岸)時事】中東和平をめぐる日本、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンの閣僚級会合が25日、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区エリコで5年ぶりに開かれた。4者は日本独自のパレスチナ支援策「平和と繁栄の回廊」構想の実現に向けた協力強化で一致した。

 岸田文雄外相が議長を務め、イスラエルのシャローム地域開発相、パレスチナ自治政府のラマダン計画相、ヨルダンのマジャーリ内相が出席した。岸田氏は「中東和平の実現は地域安定化の核となる」と述べ、経済支援に取り組む日本政府の方針を強調。岸田氏は、パレスチナの観光産業育成に向けた4者協力の枠組みづくりも提案した。 

 「回廊」構想は2006年に小泉純一郎首相(当時)がイスラエル、パレスチナを訪問した際に、自立可能なパレスチナ経済の確立を目指して提唱した。エリコに農業団地を造成し、雇用創出や民間セクター育成を図る計画で、企業1社が来春にも稼働する見通しとなっている。


参考URL:
岸田外務大臣の中東訪問(平成25年7月23日~27日) 平成25年7月26日 外務省

鬼平“親子丼奇譚”

2013年1月1日のエントリーでは、英国国鉄の分割民営化後に起きた2000年10月のハットフィールド脱線事故と、道路公団の分割民営化後に起きた2012年12月の笹子トンネル天井版崩落事故を関連づけてみた。

要するに利潤を生むのはインフラでなく、そのインフラを通るトラフィックであった。どちらもインフラのメンテナンスを軽視したことが事故の遠因となった訳だが、一方は設備の減価償却を株主配当に充てられ、もう一方はサービスエリアとパーキングエリアのリニューアルを進めた辺りに、お国柄が出ていると云えなくもない。

改正道路法が成立 地方道の工事、国が一部代行 2013/5/29 19:13 日経

 道路の老朽化対策や防災強化をめざす改正道路法が29日の参院本会議で可決、成立した。地方自治体が管理する道路のうち、大規模で構造が複雑なトンネルや橋などの修繕・改築工事を国が代行できるようになる。技術的に難しく、自治体だけでは人材確保が困難な工事を国主導で速やかに実施できるようにして、老朽化した道路の適切な管理につなげる。

 自治体が要請した道路工事を国が精査し、引き受ける。国が発注から監督まで手がける。工事費用は自治体が負担し、国が一部を補助する従来のしくみと変わらない。

 このほか道路への負荷が大きい大型車両を耐久性の高い道路に国が誘導するしくみも導入。防災上重要な道路で電柱をなくすため、国と自治体の無利子貸付制度も秋ごろにつくる。


記事は地方道に対する工事代行を可能にする道路法改正だが、道路へのメンテナンス予算が潤沢になれば、道の駅、ハイウェイオアシスといった隣接施設への設備投資も問題はなくなる。

民営化早々に“速弁”が登場し、周辺住民向けのゲートを作りサービスエリアがショッピングモールと化し、集客目当てのテーマパーク型パーキングエリアまで出来る。おそらく10年を経ずに、高速道路建設のインフラ輸出のみならず、サービスエリアとパーキングエリアの運営ノウハウ併せて輸出可能になるだろう。

テーマパーク型パーキングエリアは、サン=テグジュペリの『星の王子様』をテーマにしたNEXCO東日本の寄居・上り線のパーキングエリアに続いて、池波正太郎の『鬼平犯科帳』シリーズをテーマにしたパーキングエリアがNEXCO東日本の羽生・上り線に出来る。

作中にも出てくる親子丼の元祖「玉ひで」や、最近は東京近郊の駅ナカのモールでよく見かける亀戸天神側のくず餅の老舗「船橋屋」が出店するそうだ。

埼玉県・羽生パーキングエリアが江戸時代に!? 「鬼平江戸処」誕生 [2013/07/10] マイナビ

NEXCO東日本は東北自動車道「羽生パーキングエリア・上り線(埼玉県羽生市)」を、「鬼平犯科帳」の世界観を中心とした「鬼平江戸処」にリニューアルすることを発表した。2013年12月のオープンを目指す。

■コンセプトは「温故知新」

同社は、テーマで統一された世界観をエリア全体で表現する「テーマ型エリア」を展開している。同PAは、関越自動車道 寄居PA・上り線(埼玉県深谷市)の「寄居 星の王子様パーキングエリア」に続く第2弾となる。

今回は「温故知新」をコンセプトに、江戸の世界観を故・池波正太郎氏の「鬼平犯科帳」とコラボレーションして、表現する。施設名称は「鬼平江戸処」で、これは「鬼平犯科帳」と「江戸」を組み合わせた名称とのこと。

■町人文化の花開く江戸を再現

同PAでは、鬼平こと長谷川平蔵宣似(のぶため)が生まれた1745年から、町人文化の花開いた文政時代までの江戸を表現している。日本橋大店が立ち並ぶ大通りなど、江戸の町並みを再現するとともに、暖簾の色合いや看板のデザインにもこだわった。江戸の雰囲気を出す街の明るさや音を朝、昼、夜で変える演出も施す予定だという。

■高速道路初出店の老舗も

食事所には、江戸時代から続く老舗や江戸の味を守り続ける名店が出店する。特に、鶏を使った料理の「玉ひで」と"元祖くず餅の店"として知られる「船橋屋」は、高速道路初出店となる。「玉ひで」は「鬼平犯科帳」に登場する軍鶏料理屋「五鉄(ごてつ)」のモデルになったと言われており、現在、同PA限定のオリジナルメニューを開発している。

そのほかにも、同PAは「江戸の屋台感覚」としてビジネスなどで立ち寄る利用者向けに、安くて手軽な江戸のどんぶりを再現する予定とのこと。


そこで、前段と話はがらりと変わる。

昔、長唄が趣味の祖父に連れられて、明治座で観劇した帰りに「玉ひで」の親子丼を食べさせてもらうことがあった。一時期、なぜかブロイラーをやっていた祖父は「やはり餌が違うと肉のうまみが変わるな」と半ば独りごちるが、子供の時分には(味や値段に関係なく)「この丼もの、量少ないよなあ」と頭をひねることしきりだった。夜のコースでは丼の大きさが違うからだが、未だに昼の「玉ひで」に並ぶ機会がない。まあ、いずれにせよ自分が財布を出す年になると、そんなことを口に出さなくて良かった、とは思う。

親子丼はもっぱら、老舗ではないが渋谷の並木橋交差点近く「はし田屋」で食べている。

「玉ひで」はもともと軍鶏専門の割烹で、池波正太郎のいずれの作品でも「五鉄」と云う名前で出てくる。池波作品は、良く食事の描写があるのだが、鍋というと軍鶏や泥鰌や鴨、猪がしょっちゅう出てきた。あとは饂飩に蕎麦、蕎麦、これでもかと云うくらいに蕎麦を食していた。

時代背景としては、化政文化の前の田沼時代に当たり、江戸の町人文化が勃興し始め、文化の中心が上方から江戸に移る頃である。

そうした時代の雰囲気を味わうなら、なんと云っても軍鶏鍋だろう。池波正太郎ファンなら同意するに違いない。今では「玉ひで」が池波正太郎にあやかったコースメニューを出している。

たとえば『剣客商売』のなかで、軍鶏と葱をちぎっては食べ、ちぎっては食べを繰り返す軍鶏鍋のシーンがあった。軍鶏は煮込みすぎると味が逃げてしまうので、食べ急ぐ感じは分かる。鍋は醤油も味噌も使わぬのだが、祖父の云うように昔の軍鶏は食べていた餌のおかげで良い出汁が取れたので、そんな贅沢な食べ方が出来たのだろう。

ちょっと待てその「ひゅうが」Made in Chinaかも

中国空母が撃沈されている様子が描かれているため、護衛艦「ひゅうが」のプラモのボックスアートに噛み付く、という微笑ましいニュース。プラモの販売元は、ググったら青島文化教材社(アオシマ)だった。

アオシマのプラモは『伝説巨神イデオン』(1980年~1981年、映画版は1982年)の敵側バッフ・クランのメカをつくった記憶がある。名前が思い出せなかったので調べたら、ジョングとアディゴとザンザ・ルブだった。当然、イデオンは格好悪すぎて買いませんでした。

まだ10歳にもなってない頃、映画版まで観に行ったのだが、ヒロインの顔面は撃たれるわ、幼女の首は吹っ飛んでいくわ、最期は人類滅亡まで行くわ、容赦ない“皆殺しの富野”を堪能した訳です。

そして、アオシマのプラモの件には容赦ない続報があって、2015年までに広東省で一貫生産開始という、これまた微笑ましいニュースがある。

食玩などオモチャがMade in Chinaなのは、長年の実績もあり、珍しいことではないが、箱詰めするたび自国の空母が撃沈されるボックスアートを堪能できる職場は、マネジメントする上でも、なかなかリスキーですね。

しかし“対中封じ込め”や日米のリショアリング、東南アジアへの生産シフトが進んでいくなかでの経営陣の判断こそ、撃沈するか撃沈されるかの丁半博打みたいな気分にさせられる。

海自の護衛艦「ひゅうが」が中国空母を撃沈!?どこまでも中国海軍を馬鹿にする日本人―中国メディア 2013年07月23日 新華経済

日本人は過去の交戦の歴史から、中国海軍を馬鹿にした態度を取り続けている。海上自衛隊の護衛艦「ひゅうが」のプラモデルが最近発売されたが、その外箱には「ひゅうが」がF-15と協力して中国の空母「遼寧」を撃沈するイラストが採用された。日本メディアの報道を引用し、22日付で華声在線が伝えた。

「日中が開戦したら、中国は必ず負ける」というのが日本人の一般的な認識だ。当然、そこには彼ら自身の願望も含まれている。日本人はなぜそこまで中国海軍を馬鹿にするのか?「我々の海軍は中国に負けたことがない」というのがその理由のようだ。

確かに100年以上前の甲午戦争(日本名:日清戦争)で、中国の北洋艦隊は全滅している。日本の侵略戦争時にも日本の空母が長江を封鎖して艦載機が上海や南京など大都市を猛襲した。それに対して、民国政府はわずか数隻の小軍艦しかなく、日本と一戦交えることすらできなかった。中国にとって屈辱のこうした歴史が、日本人がいまだに中国海軍を馬鹿にする材料となっているのだ。

中国人は空母を持てたと喜びの声を上げているが、それは単なる訓練用で実践に投入できるものではない、と日本人は鼻で笑っているようだ。

(編集翻訳 小豆沢紀子)


青島文化教材社、プラモデルを中国で一貫生産 コスト2割減 2013/7/12 12:00 日本経済新聞 電子版

 プラモデルメーカーの青島文化教材社(静岡市、青嶋典生社長)は2015年をメドに中国でプラモデルを一貫生産する。部品の成形や箱詰めなどの作業を日本から中国へ移管し、製造コストの2割削減を目指す。海外向け商品も拡充する。少子化などで国内のプラモデル市場が縮小するなか、コスト削減と海外市場の開拓で対応する。

(以下略)

武器輸出三原則の事実上「撤廃」へ

日英と日仏の外務・防衛閣僚級会合(2プラス2)の定期開催は、両国との共同開発が念頭にある以上、武器輸出三原則の抜本見直しは当然の流れとなる。

安倍政権、武器輸出に新指針検討 2013年 07月 23日 05:16 JST ロイター

安倍政権は22日、武器禁輸政策の抜本見直しに向けた議論を8月から本格化させる方針を固めた。新たな指針の策定により、従来の武器輸出三原則を事実上「撤廃」することも視野に入れている。安倍晋三首相は撤廃に前向きという。政府筋が明らかにした。防衛省は26日にも公表する新防衛大綱の中間報告に新指針の策定方針を盛り込む方向だ。


安倍首相、シンガポールで経済演説=25日からASEAN歴訪 2013/07/23-20:10 時事ドットコム

 安倍晋三首相は25日から、東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係強化の一環として、マレーシア、シンガポール、フィリピン3カ国を歴訪する。首相のASEAN諸国訪問は就任後3回目で、シンガポールでは経済政策に関する講演を行い、自らの経済政策「アベノミクス」の取り組みを説明するとともに、ASEANとの連携を呼び掛ける見通し。

 首相は25日に政府専用機で日本を出発し、同日午後にはマレーシアのナジブ首相と会談。経済分野での協力について協議し、鉄道や上下水道などのインフラ輸出につなげたい考え。26日午前にはシンガポールでリー・シェンロン首相と会談。同日午後には、同国を訪問中のバイデン米副大統領とも会う。

 27日はフィリピンのアキノ大統領と会談。政府開発援助(ODA)を活用した巡視船の供与を通じた海上警備能力の強化などについて意見交換し、同日夜に帰国する予定だ。


そして、日英と日仏の2+2を引き出したセキュリティダイヤモンド構想にも関連するが、安倍首相は、マレーシア~シンガポール~フィリピン歴訪も決定している。特にフィリピンは、海軍・空軍力の増強を要望して、参院選勝利に際しても祝意を伝えている。尖閣諸島からスカボロー礁での軍事衝突が起きてくる場合、さらに進んでフィリピンには、F・ルーズベルト政権が行ったレンドリース型の武器供与と軍事顧問団の派遣が必要になってくるかもしれない。

軍需産業ならば国内外問わず、生産性の向上には直接つながらない。我が国にとってはデフレ脱却のため、中共にとっては過剰供給力の捌け口として、軍備増強と武器輸出の競争が始まる可能性もある。

東にみんなの党、西に日本維新の会

二大政党としての民主党は終わった。無党派層が均等に票を分散させると、民主党の地力は業界の圧力団体票の動向に比例してしまう。

とくに参議院の比例区では、約15万票の基礎票がないと当選が難しい。ロビイストを議員として送り込みたい業界の圧力団体にそれだけの集票力がないと影響力が行使できない訳だ。

比例区開票速報(改選数48) 朝日新聞

参院選を読み解く 朝日新聞

民主党の比例区選出議員では、自動車総連と電力総連の候補が得票で1位と2位を占めた。これで民主党はアベノミクスと原発再稼働に反対を唱えにくくなった。対して自治労と日教組の退潮が目立つ。自治労支援の相原久美子議員の得票はピーク時の約半分、日教組支援の神本美恵子議員は約3分の2となった。

日教組が深刻なのは、2人区以外の1人区選挙区で従来、勢力の強かった山梨、三重、滋賀、奈良、高知すべてで議席を落としていることだ。

一方で、自民党の比例区選出議員では、前回は他党を支援した全国郵便局長会(前回は国民新党)、歯科医師連盟(前回は民主党)の擁立候補がいずれも当選。さらに国土強靱化で復調傾向にある全国建設業協会も票を回復、TPP反対の全農のみが票を落としている。

自民党比例区選出議員で、興味深いのは非拘束式名簿における予想順位16~20位の当落線上であった赤池誠章元代議士が8位に浮上、ワタミの創業者・渡邉美樹氏が16位だったことだ。この順位差はそのままネット上での支持が反映している。赤池元代議士の衆院山梨県第1区での得票は約5万票、渡邉氏の都知事選での得票は約10万票だった。

当確の早かった赤池元代議士はネットによる拡散で全国的に知名度が高まったこと同時に、当確の遅かった渡邉氏は知名度のあった東京からの得票が多かったことと推測される。

そして、野党の第3極は議席数でみんなの党、日本維新の会、共産党がいずれも当選8議席と均等に分け合う形となった。面白いのが選挙区での当選では、愛知から東がみんなの党、西は日本維新の会と分けたことだ。ポピュリズム的な保守政党の棲み分けが出来ている。

また、全体的に共産党を除く極左からリベラルの退潮は明確だった。岡崎トミ子議員(民主党)と森裕子議員(生活の党)の落選、円より子元議員(民主党)の返り咲きならず、菅直人元首相が応援した大河原雅子議員(無所属)の落選、比例でも石井一議員(民主党)の落選など、衆院選からの傾向は変わっていない。

自民党は、もともとは中道右派からリベラルまでウィングを拡げていた政党だが、河野洋平元総裁など親中派の主立った代議士と議員はパージされている。保守思想がフランス大革命の惨禍から発生したことを考えると、民主党政権の約3年3ヶ月の経験が我が国の保守思想の成長を促すだろうと思われる。

二大政党としての“民主党の死亡宣告書”

参院選は、自公は過半数(ねじれ解消)の議席獲得、さらに安定多数(常任委員会独占)まで達した。自民単独の過半数、改憲勢力の3分の2確保(162議席)はならなかったが、今後は96条に絞って、公明党との交渉と妥協が必要だろう。さらに9条改正よりも集団的自衛権の行使を認める方が先決だろう。

自公70超、過半数確実 「ねじれ」解消 2013.7.21 20:00 MSN産経

自民、単独過半数には達せず 2013.7.21 21:55 MSN産経

改憲勢力3分の2に達せず 2013.7.21 22:29 MSN産経

選挙区の勝敗で見る限り、民主党は一人区全敗。民主党の党首や幹事長を務めた戦犯のお膝元は、北海道除き軒並み敗戦。都議選の流れを受けて、共産党が都市部での党勢回復。勢いが削がれたと見られた日本維新の会が近畿圏での党勢維持。何より日教組系列の地盤の堅い選挙区での民主党の勢力後退ぶりは特筆すべき事象だろう。比例は、民主党で最初に当確が出たのは電力総連出身の候補というのもなかなか趣深い。

注目一人区では、岩手(小沢生活の党代表のお膝元、民主党から無所属に鞍替え議員勝利、自民党敗北)、山梨(山教組の地盤堅い、輿石民主党参議院会長のお膝元、12年ぶりの自民党勝利)、滋賀(大津市いじめ事件の余派続く、12年ぶりの自民党勝利)、三重(三教組の地盤堅い、岡田元民主党代表のお膝元、24年ぶりの自民党勝利)、奈良(12年ぶりの自民党勝利)、高知(12年ぶりの自民党勝利)、沖縄(基地反対の社会大衆党勝利、自民党敗北)など。

注目複数人区では、北海道(北教組の地盤堅い、鳩山元首相引退、自民党と民主党分け合う)、宮城(極左の岡崎元国家公安委員長敗北、自民党とみんなの党分け合う)、東京(事実上民主党候補一本化できず、無所属山本太郎氏勝利)、埼玉(自民党と公明党に加えて、民主党からみんなの党に鞍替え議員勝利)、神奈川(自民党と公明党とみんなの党分け合う、最後の議席に民主党滑り込めるか)、愛知(トヨタ労組の地盤堅い、民主党候補一本化で勝利)、大阪(自民党と公明党と共産党と日本維新の会分け合う)、京都(自民党と共産党分け合う)、兵庫(自民党と日本維新の会分け合う)、広島(広教組の地盤堅い、自民党と民主党分け合う)など。

スタジオジブリのリスクヘッジを読む

夏休み中の登校日、帰りに女のコと『魔女の宅急便』(1989年)を観に行ったのだが、立錐の余地がないっていうくらいの混雑ぶりで、他所から来た高校生カップルと睨み合いになったり、非常に殺伐とした記憶しか残っていない。

『風の谷のナウシカ』(1984年)は、公開初日にひとり並んだが、悠々と坐れたことを思い出しながら、当時は不思議だった。

見終わったあとに、女のコと話しながら「そうか、別にアニメージュとか読んで知った訳でもないんだっけ」と気が付いた。日テレでジブリの作品が流れて、次回作の宣伝というパターンで、彼女は知ったのだ。

ちょうど、この作品から興行収入と同時に、宣伝費が凄く跳ね上がった。

大人になって、そんなバジェットが獲れるなんてことはそうはない訳で、羨ましいやら怪しからんやら思ったりもするが、それだけ各方面の調整に挨拶回りしなければならない訳で、労力も半端ないことは想像が付く。

「風立ちぬ」が公開!「ポニョ」上回るスタート 2013.7.20 19:12 サンスポ

そして『風立ちぬ』の公開に併せて、スタジオジブリのプレスリリースが「憲法改正」反対を謳った小冊子のPDF配布ときた。

制作発表した直後に第2次安倍政権が誕生し、あれよあれよと左翼・リベラルには好ましからぬ政策が進められ、ゼロ戦設計者の映画を、参議院選挙の前日に公開するという、この絶妙のタイミングともなると、スポンサー向けに、公開される諸外国向けに、アーティストの内輪向けに、何よりも自分自身にエクスキューズせねばならない。

この各方面に対する配慮。自己矛盾の固まりを作品にして、それをおカネに換える以上、憤懣やるかたない気持ちをこれでもか、とさらけ出した文章を読むと、また『風立ちぬ』を政治批評的な側面からも楽しめる次第です。

参考URL:
小冊子『熱風』7月号特集 緊急PDF配信のお知らせ 2013年7月18日 スタジオジブリ

それはメディアを媒介し、認識によって繁殖する

テレビやラジオなどのデバイスを介して発信してきたマスメディアが、ソーシャルメディアによって相対化される時代においては、本来はマイノリティである極左や極右がマス媒体を使って、始めにマジョリティの意見を相対化させ、次いで彼らが持つ極論の認識を世論へと増幅させ、各所に偏在させることが出来なくなった。我らは、彼らの歴史的破綻の局面に立ち会っている。

(2013参院選)日本の現在地:下 木村三浩さん、太田昌国さん 2013年7月17日 朝日新聞

彼らの真実は、絶対多数が彼らの側に意識を共振しない限り、一片の現実にもなりはしない。彼らのノイズが偏在し、それらを集めてパズルのように組み立てると、一見まとまりのあるイデオロギーになる。そのために上記記事のようなセンテンスを読まなければならないとは、この段々と破綻していく物語りを聴かされる我が身を呪う。

ふと、フィリップ・K・ディックの世界を思い起こす。短篇を映画化するのは容易いが、長篇をするには至難なあの作家の世界に迷い込んだ感覚だ。

(短篇はともかく長篇となると)物語世界が直面する問題や登場人物の内面がなんら解決しないまま終わるストーリー、混乱した時空間のなかで作者にも読者にとっても破綻するプロット、フラッシュ・バックする悪夢のような読後感を漂わせるのがフィリップ・K・ディックの作品の特徴である。

そのなかで代表的な作品『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』(初出1965年、邦訳1978年)は、以下のように展開する。

焦熱にさらされる地球から火星、金星、ガニメデへの移民が強制される時代。パーキーパット人形と附属のミニチュアが移民の必須アイテムだった。それと同時に非合法の麻薬キャンDが移民に浸透していた。

不毛な環境下、キャンDを服用することでパーキーパットの小宇宙に没入できる。パーキーパットとキャンDは、ハードとソフトのワンセットのように扱われているのは暗黙、周知の事実だった。

そこに星間実業家パーマー・エルドリッチが、新種の麻薬チューZを携え、プロキシマ星系から帰還した。思わぬ競合相手の出現にパーキーパットの販売会社にして、キャンDの胴元でもあるP・P・レイアウト社の社長レオ・ビュレロは、阻止を企むが逆にチューZを服用させられる。幻覚の中で彼は、彼が小惑星シグマ14Bにおいて、人類の敵パーマー・エルドリッチを殺害した、とされる記念碑を未来に視る。

幻覚から帰還したレオ・ビュレロは再度、パーマー・エルドリッチの追い落としと暗殺を画策し始める。

一方、P・P・レイアウト社の未来予測コンサルを務めるバーニー・メイヤスンは、レオ・ビュレロとの確執から解雇され、火星の移民となる。復職の条件にとチューZを服用した彼は、立身出世のために捨てた妻との復縁をしようと、チューZの幻覚効果を頼りに過去と未来を往復するが、そのたび火星の地べたに引き戻され、諦めきれずに限度量を超えて服用する。

すると、彼はパーマー・エルドリッチと同化して、パーマー・エルドリッチもまた過度の服用と幻覚によって異星人に意識を乗っ取られたことを知る。今やパーマー・エルドリッチは人間ではないのだ。

異星人はバーニー・メイヤスンに語る。

「私はチューZの幻覚作用を媒介として、君たちの認識のうちに繁殖する生物だ。私は認識されることで姿を変える。幾人もの個人の認識、記憶の中にある曖昧さゆえに作り出される複数の過去、枝分かれするいくつもの可能性の未来を何万年と生きる。認識は現実の世界にも投影され、君たちはいくつもの私と君たちの幻影を局所的に視るだろう。顕現する。偏在する。神と呼ばれる。それが私の繁殖行為だ」

「しかし、お前は最後にシグマ14Bで斃される瞬間に戻ってしまう。どれだけの人間の過去と未来を体験しても、あの時間に引き戻されてしまうんだ。であれば、なぜ俺をパーマー・エルドリッチにせず、他の誰にもならず、永遠を生きないんだ?」

「私はいささか飽き飽きしていてね。この哀れに疎外されたパーマー・エルドリッチの認識に棲まうようになってから、むしろその死をを心待ちにしているのだよ。機を逃せば、より悲惨な運命が待ち構えているかもしれない」

パーマー・エルドリッチのつくる過去と未来に裏切られ、別れた妻に、上司に、愛人にも愛想を尽かされ、あまつさえ火星の原生生物にすら“お前は何かに触れた。穢れている。喰らうことすら出来ない”と云われたバーニー・メイヤスンは、自分の救済をついぞ予測できずに、火星に残る。

そしてレオ・ビュレロは、予め定められたパーマー・エルドリッチの殺害を決意して、物語の幕は閉じる。

作中世界に登場する麻薬キャンDとチューZ。作中の売人あるいは寄生物レオ・ビュレロとパーマー・エルドリッチ。幻覚によって過去と未来を変えようとするバーニー・メイヤスンと幻覚によってパーマー・エルドリッチを乗っ取った異星人。

現実世界を媒介するデバイスとは何か? デバイスを売る売人とは誰か? 発信する寄生物とは何か? 認識を変更しようとする者は誰か? その認識に棲まう者は一体全体、誰なのか?

結局のところ、現実とは現実世界の解決しないストーリーと破綻したプロットから把握するしかない訳だ。まさに言葉は神なりき。それが我らの繁殖させるべき行為のひとつであるかのごとく、ソーシャルメディアを使う目的となり、媒介物を使って認識を拡散することに繋がるのだろう。

彼らを“終わらせる者”、彼らの“死者の代弁者”

予め敗北を約束されたリベラル・左翼の心象風景を知るのに、今おそらく最適の記事だろう。しかし、表題が間違っている。

表題に見られる傲慢さ、それゆえに崩れるのは我々の足元ではない。戦後レジーム構築に際して、敗戦利得者となった彼らの立ち位置に過ぎない。居場所を彼らは再構築しようともがいている。その立地が我が国の中であるべきかも含めて。

(2013参院選)日本の現在地:上 蓮池透、五味太郎、中村うさぎ、熊坂義裕、小谷野敦 2013年7月13日 朝日新聞

ところで、いきなり話は変わる。

オースン・スコット・カードのSF小説『エンダーのゲーム』がついに映画化される。2000年代から企画が持ち上がって、二転三転ようやく今年全米公開の運びとなった。本邦公開はいつだろうか。

名作SF小説がついに映画化! 映画版『エンダーのゲーム』予告編 2013.05.09 21:00 Kotaku Japan

『エンダーのゲーム』のあらすじは以下の通り(完全にネタバレします)。

人類の敵・昆虫型異星人バガーを倒すための幼年学校に入学したアンドルー(エンダー)・ウィッギンは、生徒同士の死人も出る激しい訓練過程こそがバガーとの熾烈な闘いの過程であったこと、艦隊シュミレーションによるゲームこそが先遣艦隊とバガーとの交戦そのものであったこと、画面上の光彩の明滅こそが実在のパイロットたちの生から死への躍動であったことを知る。

そうとも知らずにバガーの母星を滅ぼした結果、“終わらせる者(エンダー)”として人類の英雄となった彼は、バガーを滅ぼしうる能力とはバガーの意図を余さず理解でき、バガーの心理のひだに共感できることだった、と教官から、そして何より敵であったバガーから知らされる。

兄のピーターは理解力に偏ったため、姉のヴァレンタインは共感力に偏ったため選ばれず、三番目の子供を持つことを許されない世界の中で唯一人、産児制限を外されてまで、生を享けた自分こそ、幼年学校のなかでも最も理解と共感に偏りのないために選ばれた人間であり、予め運命を仕組まれていたのだ、とエンダーは知る。

運命を選ばれなかった兄は、ネットの言論空間を舞台にし、ときに姉を稀代のデマゴーグとして使いながら権力に近づいていく。

その後、英雄として、政争の具として扱われた失意の彼は、姉とともに地球を離れ、光速の旅に出て、言葉を持たぬバガーが自分に残したメッセージに触れ、窩巣に眠るバガーの女王の代弁者となって、言葉によって価値を転倒させ、自らを虐殺者へと貶める。

人類の覇者となった兄は「あれを誰が書いたか知っているよ」と、云う。光速の時間の隔たりによって、老人となった兄は、死に際して弟に自らの内面の代弁者たることを託す。

以来、窩巣女王と覇者(ヘゲモン)の代弁書は語り継がれ、いつしか人々は死に際して自らの人生を語ってくれるよう、代理人に依頼するようになった。彼は眠れるバガーの女王が再び種を営める星を捜しながら、宇宙の辺から辺をめぐり“死者の代弁者”と呼ばれるようになった。

と、またもやいきなり話は飛んで、朝日新聞の記事に戻る。

フィクションの『エンダーのゲーム』を翻って見ると、我らは初めから意図して“終わらせる者”として彼らの眼前に立つ。いや、彼ら自身が彼らの精神の歪みによってその身を滅ぼすのかもしれない。彼らの内在する精神の死を見届けて、彼らの“死者の代弁者”となることを我らは望む。彼らに一方的な言説を与えてはならぬ。彼らが自らの“死者の代弁者”となって、贖罪を終えた者として、したり顔で再度、我が国の中で立ち位置を獲得することは、我らひとりとして望まない。

中緬鉄道VS泰緬鉄道

中共は、ミャンマーのシュエー・ガス田から雲南省への新パイプライン運営に併せて、雲南省からの回廊出口となるミャンマーのチャウピュー港を経済特区とする構想を我が国の外交攻勢によって頓挫させられてしまった。

パイプラインそのものがミャンマーの対中外交の脅迫材料になる可能性は以前にも指摘した。ロシア-ウクライナガス紛争とロシア-ベラルーシガス紛争の例もある。前者はバルカン半島諸国のガス供給まで停止して、凍死者が出る騒ぎとなった。

これ以降、欧州はバルト海のノルド・ストリームと黒海のサウス・ストリーム、アナトリア半島のナブッコ・パイプラインの建設と調達先分散によるエネルギーの安全保障を進めている。

中共はまだ諦めていない。下記記事のチャウピュー港に至る高速鉄道が経済特区開発の切り札としてと同期しているならば、我が国のティワラ港開発と直接競合することになるだろう。中緬高速鉄道と泰緬鉄道の戦いともなる上、彼らの方が一歩先んじていることは間違いない。

ミャンマー政府は日中間のバランスを考慮した開発独裁を推し進めるか、それとも根強い反中感情や利害調整を考慮した民主的手続きを採用するか。現状では前者を採りそうではある。

安全保障に微妙な影響? 中国に陸路エネルギールート ミャンマー、ガス・石油パイラインで輸出開始 2013.7.14 19:42 MSN産経

 【ヤンゴン=青木伸行】ミャンマーで14日までに、中国への天然ガス・石油パイプラインが完成し、政府は対中輸出を開始した。これで中国は、中東やベンガル湾で生産される天然ガスや石油を、マラッカ海峡などを迂回(うかい)せず、陸路で搬入するルートを構築したことになる。軍事利用が可能な、パイプラインに沿う高速鉄道の建設計画と合わせ、アジア・太平洋地域の安全保障に微妙な影響を与えそうだ。

 パイプラインは中国・雲南省と、ミャンマーのラカイン州チャウピュとを結んでいる。

 ミャンマー政府筋によると、天然ガスの年間供給量は120億立方メートル。これは、中国の天然ガス輸入量425億立方メートル(2012年)の約4分の1に相当する。当面は52億立方メートルを供給する。石油の年間供給量は220万トンだという。

 ミャンマー側の“取り分”は天然ガス20億立方メートル、石油2トンで、ほとんどが中国向けだ。

 政府筋によると、パイプラインによる対中輸出は、今月に入り始まった。試験運用の段階で、パイプラインからの漏れが見つかり修復に追われた。

 政府筋は「中国にとり陸路のルートを確保する重要性は、米国がアジア・太平洋地域へ回帰し、中国が南シナ海と尖閣諸島(沖縄県石垣市)の問題を抱える状況下で、いっそう増している」との見方を示す。

 陸路での輸送により、海路に比べて時間短縮のメリットを得られるだけではない。米軍がアジア・太平洋地域でプレゼンスを強化している中で、中国のタンカーの航行が万が一、妨げられる事態が生じても、陸路で担保できるというわけだ。

 また、ミャンマー、中国両政府は高速鉄道の建設を計画しており、東南アジア軍事筋は「中国には有事の際に鉄道を使い、武器や装備、兵員を輸送する狙いがある」と指摘する。

 一方、ミャンマーからすれば「ガス生産量の大半をタイに輸出しているなど、大量の資源を輸出に振り向けており、パイプラインによる対中輸出もその一環だ」(政府筋)という。

 そのあおりで国内は供給不足だ。電力不足などの要因でもある。このため、とりわけ対中輸出に対する国民の不満は強い。ラカイン州関係者も「天然ガスと石油は州内を通過し中国へ行くだけで、州には何ら恩恵がなく州民は怒っている」と打ち明ける。

EUの政治的紐帯を壊すドイツへの移民

フランスの人口約6200万人、ドイツの人口約8000万人。フランスの出生率(2006年)は2.005人、ドイツの出生率(2009年)は1.4人。ドイツの人口は、2060年に6500万人から7000万人になると推計される。ただしこれは移民動向を入れていない。

経済力で格差のある独仏がEUの中核として協調関係を持続できる根拠のひとつは、中長期的に独仏の人口が均衡するという(出生率に基づく)予測にあった。

この政策的協調の根拠が崩れようとしている。

まず、ユーロ圏の量的緩和と財政出動、このふたつの政策に対するドイツの硬直性がドイツ語圏以外の経済的衰退につながっていく。たとえばフランスのソブリン格付け引き下げに現れている。フランスはこれで格付け会社3社全ての最高格付けを失った。

次いで、この硬直化した政策がもたらした南欧の社会基盤の崩壊に伴う人口流出が、独仏の人口均衡という予測を外そうとしている。

UPDATE 2-フィッチがフランスを「AAプラス」に格下げ、最上級失う 2013年 07月 13日 08:10 JST ロイター

ドイツに群がる求職者たち─南欧からの移民が急増 2013年 5月 08日 17:50 JST WSJ日本版

(前段省略)

 2011年にはEU加盟国出身の移民の一番の行き先は英国からドイツに変わった。ドイツの暫定統計によると、昨年は同国への移民数は 過去最大の69万0937人となった。ギリシャとポルトガル、スペイン、イタリア、アイルランドからの移民数は13万4151人だった。これはユーロ危機が始まる前の水準の2倍以上に相当する。

 移民全体の数は108万人に達し、2011年と比べると13%増加。そして1995年以降では最高水準に達した。EU圏以外では、米国とトルコ、セルビア、中国、ロシアからの移民が最も多かった。

 それまでの数年間は近隣国ポーランドからの移民が最も多く、18万4325人だった。2番目はルーマニアからの移民で11万6964人、そして、ブルガリアからの移民が5万8862人とこれに続いた。

 しかし、現在は南欧からの移民の割合が最も上昇している。特にギリシャからの移民数は大幅に増加し、昨年は3万5811人となった。これは2007年水準の4倍以上に相当する。

(後段省略)


2013年5月25日のエントリーでは、ドイツは宗教・宗派別に社会階層を再構築する、と予想した。

また2013年7月1日のエントリーでは、セウタ、メリリャやレユニオン島など欧州以外の海外領土を除くとして、スペインのアンダルシアは2012年の失業率は34.6%(15~24歳の失業率は62.3%)、ギリシアの西マケドニアは同じく29.9%(15~24歳は72.5%)と、特に大卒以外の若年層は技術継承の道が閉ざされ、中長期的に社会が崩壊するレベルだろう、と推測した。

つまり、今後の南欧はドイツへの低廉な移民労働者供給源となる。

フランスは、早期にさらなる量的緩和と財政出動をユーロ圏、少なくともフランス国内で実施しない限り、独仏の格差は増大して、EUの政治的中核である独仏の紐帯すら失われるだろう。その場合、ユーロ圏だけではなくEUの瓦解もありうるのだ。

倒錯したポピュリズムはアナーキーへと変貌する

広東省でウラン濃縮精製工場が住民の反対によって取り消された。これを民主主義の萌芽と捉えるか、法治の無視と捉えるか、で、第2次安倍政権の提唱する“安倍ドクトリン”に対する理解力の差が生まれるのが分かるだろう。

核燃料工場 建設見送り 反対デモの翌日に決定 2013年7月14日 朝刊 東京新聞

中国で3日連続で核燃に抗議、市政府の中止発表信用せず 2013.7.14 19:34 MSN産経

これを直接民主主義と勘違いしてはならない。国民発議による国民投票の実施、もしくはスイスの一部の州の総会開催に倣った民意の発動をしているのではなく、単なるデモンストレーションの結果である。

しかも本来は、共産党一党独裁のエリート主義であるはずの中共が、あたかも大衆の護民官気取りのように歪んだポピュリズムに陥っている倒錯した現象なのだ。

我が国では集会の自由に従って、申請すればデモを行える。そもそも示威行動の趣旨は、デモを行う圧力団体がその動員数そのものを票に換えうるのだと云うアピールにある。ゼネスト以外で、一部のデモ隊が実力行使に出たりするのは単なる暴徒化である。

中共のデモは“法治”ではなく“人治”を現してる点では、たしかに支那の伝統に沿っている。概して統治者は民衆の直接行動に弱い。

例えば1900年の義和団の乱(北清事変)である。テロリストでもある新興宗教団体が外国人とキリスト教徒を襲い、その彼らに煽られて列強8カ国(日英米露独仏墺伊)に対して清朝が戦いを挑む、などと狂気の沙汰も起こりうるのは『民信なくば立たず』の考えからであり、民衆に考えるだけの認識力とそれを培うだけの財力があり、また私有財産を守り、それを稼ぎ出すための生命の保証があれば、狂気の沙汰など元より起きないだろう。

2011年8月に遼寧省大連市の化学工場の撤去。2011年10月に浙江省湖州市のミシン税導入の撤回。2012年8月に江蘇省南通市の王子製紙工場排水管建設計画の反対。そして、今回の広東省江門市の核燃料工場建設計画の取り消し。

これらすべてなんらかの法的基準に従っての決定ではない。況んやデモに参加した人数の多寡が決定する基準でもない。ルールはない、統治者の気まぐれ・弱気に過ぎない。つまりこれはガバナンスとはいえまい。

人類の文明社会において、自由はけして無制限ではあり得ない。生命と財産の自由が言論と信教の自由を担保し、言論と信教の自由が集会と結社の自由を保証する。その集会の召集によって、執行する法律が全体の法理を考慮した言論の過程で決定される。

中共の全人代が一種の代議制議会であると考えて、それ以外の直接的示威行動で決定が覆されるのならば、全人代の否定にもつながる。それはまさしく“人治”であり、民主主義ですらなく、アナーキー(無政府主義)に到達したことになる。それに共産党が対抗する手段はただ銃剣あるのみ、となる。

ヒンズーと共産主義の大海に浮かぶ王国の苦闘

ブータンの下院選挙は、中共に接近したと目された与党・調和党が敗北、野党・国民民主党が勝利、政権交代する運びとなった。しかし、いずれにせよインドと中共、ネパール系住民の圧力のなか、ヒマラヤ山脈の麓にある最後の王国の舵取りは困難であることは間違いない。

チベットは、中国共産党の侵攻以来、ダライ・ラマ14世が亡命して、今なお独立運動と弾圧が続く。シッキムは、ネパール系住民の比率が逆転して、1975年に王政廃止・インドへと併合された。ネパールはマオイストによって王政廃止され、今もなお政権は安定と繁栄をもたらしてはいない。そして、ブータンのみが王国として健在である。

ネパールの人口約3000万人、対してブータンは約70万人に過ぎない。ヒンズー教の大海に浮かぶ小島のような国だ。さらにチベット高原からは人民解放軍が浸透を続ける。“対中封じ込め”の観点とは別に、同じY染色体のハプログループDに属するチベット系民族に、我々は出来る限りの支援はしたい。惜しむらくは、彼らが半ば隔絶された内陸にある小国という厳然たる事実にある。

「幸せの国」で政権交代へ 野党、総選挙で勝利 対中接近批判で躍進 2013.7.14 01:05 MSN産経

 【ニューデリー=岩田智雄】ヒマラヤ山脈の国ブータンで13日、国民議会(下院、定数47)の任期満了に伴う総選挙が行われた。即日開票され、選挙管理委員会の集計によれば、野党国民民主党が32議席を獲得して与党ブータン調和党(15議席)を破り、政権を奪取した。民主党は、調和党政権の中国への接近が対インド関係を後退させたと批判し躍進した。新首相には民主党のトブゲイ党首(47)が就任するとみられる。

 有権者は約38万人。選管によると、投票率は66%だった。

 ブータンでは投票直前の今月初め、家庭用ガスのインドによる補助金が廃止され、価格が2倍以上に急騰した。有権者の間では、調和党政権の対中接近にインドが懸念を強めたことが、補助金廃止につながったとの見方が広がっていた。

 対中接近が指摘されたきっかけは、昨年6月にブラジルで行われたティンレイ首相(当時)と中国の温家宝首相(同)の会談で、両者は外交関係樹立を目指すと報じられた。秋には郵政公社が中国製バス15台を調達した。

 これに対し民主党は、最大の支援国インドとの関係が後退したと主張。またブータンでは農村から都市へ移住した若者の失業が社会問題化しており、調和党の雇用政策も批判していた。

 ブータンでは5年前に初の総選挙が行われ、王政から立憲君主制に移行した。今回2度目の総選挙で政権交代が実現する。前回は調和党が45議席を獲得し、2議席の民主党に圧勝した

スンニ派穏健連合の静かなる同盟者、イスラエル

“アラブの春”をイスラエルの視点から見ると、いつの間にか中東戦争の主要交戦国が混乱の極みに陥って、不安定が自国に入り込んでくる可能性が高くなってきた。

まずシリア方面。シリア内戦では、アサド政権(アラブ社会主義、アラウィ派など)と暫定政権(スンニ派など)が膠着状態に陥った。レバノンでは、イスラエルと交戦してきたヒズボラがシリア内戦にアサド政権側で参戦した。ゴラン高原では、我が国含む各国のPKOが撤収を開始し、イスラエル軍が戦線を維持しなければならなくなった。

次にエジプト方面。エジプト革命では、ムスリム同胞団が政権担当能力の無さを露呈して、再度クーデターが起き、皮肉にもナセル~サダト~ムバラクがなしえなかった原理主義勢力の権威失墜に成功した。ガザでは、イスラエルとハマスとの衝突を回避させてその庇護者となったモルシ政権が転覆されたことで緊張関係は元の木阿弥となった。シナイ半島では、ムスリム同胞団のゲリラ及びテロリストが潜伏してエジプト軍と交戦を開始した。

イスラエルにとって最悪の二正面作戦、それもテロリストとの戦闘に陥れば、レバノン南部でヒズボラに敗北した二の舞では済まない。かと云って積極的に行動する藪蛇は避けねばならない。

そこで米国と湾岸産油国の動きを見てみよう。

米国では、オバマ大統領が年間13億ドルの支援見直しを指示した。IMFでは、モルシ政権と協議していた48億ドルの財政支援について暫定政権とは協議しないと発表した。

一方で湾岸産油国の各国では、サウジアラビアが50億ドル、UAEが30億ドル、クウェートが40億ドルで総額約120億ドルをエジプトの暫定政権に支援供与することとなった。これらには現金、長期借款、原油の供与が含まれている。これは直接エジプト軍部と暫定政権の安定に繋がる。

米大統領、対エジプト支援の見直しを指示=国防総省 2013年 07月 11日 12:06 JST ロイター

エジプト向け融資、暫定政権と協議せず 国際社会の見解に基づき判断=IMF 2013年 07月 12日 04:43 JST ロイター

湾岸産油国がエジプト暫定政権に大型支援 2013.7.10 21:24 MSN産経

シリア反体制派への態度硬化 入国制限や拘束 2013.7.11 21:46 MSN産経

混乱のエジプトに食糧危機の懸念、輸入小麦の備蓄が枯渇 2013年 07月 12日 14:12 JST ロイター

他方、シリアのアサド政権はロシア、中共、イランから毎月5億ドル、年換算で60億ドルの資金援助を受けていると発表した。

援助合戦の構図としては、エジプト(軍部及び暫定政権)~サウジアラビア~UAE~クウェートのスンニ派連合と、ムスリム同胞団(スンニ派)~ハマス(スンニ派)~ヒズボラ(シーア派)~シリア(アサド政権)~イラン(シーア派)~中共~ロシアのシーア派及びバース党・共産党・原理主義政党の混成連合が出来ている。

原理主義政党それぞれ、ムスリム同胞団の急進派はエジプトから放逐されつつあり、(ムスリム同胞団から発展した)ハマスはガザに勢力を維持したまま、ヒズボラはレバノンから超法規的存在と扱われるなど、バラバラな状況から宗派を超えて、再度結合しつつある。

国から逐われることの多い原理主義政党は、それぞれの国から半独立の準軍事組織を持つことが多いので、共産主義政党と近縁性が高いと云える。もっとも宗教的には全く両者は相容れない。よって問題はここから発生する。分派する過激派は誰に矛先を向けるのか、ロシアや中共は彼らに軛を付けることができるのだろうか。

さて、イスラエルがどちらの側に与するか、少なくとも暗黙の了解を与えるのは穏健的なスンニ派連合に対してだろう。

グワダル回廊はフェザーン、それともイゼルローン?

『銀河英雄伝説』では、銀河帝国と自由惑星同盟、この相争う両勢力の間に航行不可能な宙域が立ちはだかり、二つの回廊のみが航行可能とされ、そのひとつフェザーン回廊は帝国自治領となっており、残るイゼルローン回廊の出口に要塞が築かれ、その近辺での艦隊戦と要塞戦が繰り広げられる、と云う設定だった。

中共とパキスタン両政府は、新疆ウイグルからグワダル港までの中パ経済回廊のための合同委員会発足で合意した。同時にグワダル港は開発特区とされる見込みだ。China Overseas Port Holding Company (COPHC)へとグワダル港の運営権が引き渡されて以来の既定路線をさらに進展させた格好となる。

中パ首脳が会談 経済回廊へ合同委 2013.7.5 23:19 MSN産経

さて、このグワダル回廊はフェザーン回廊となるのか、それともイゼルローン回廊になるのだろうか。おそらくは両者の性格を併せ持つものになるだろう。

もっとも中共とパキスタンともに2千キロの長大な距離を経済回廊として発展させる以外、他に選択肢はなかった。

中共は、ミャンマーのシュエー・ガス田から雲南省への新パイプライン運営に併せて、雲南省からの回廊出口となるミャンマーのチャウピュー港を経済特区とする構想を我が国の外交攻勢によって頓挫させられてしまった。それどころか、パイプラインそのものがミャンマーの対中外交の脅迫材料になる可能性が出てきた。もう他にインド洋への出口はないのだ。

パキスタンは、隣国インドの動向によって規定されてきた建国以来の運命に従わざるをえない。安全保障でインドが我が国との関係を強化する対抗上、中共しか関係強化する相手はいないのだ。財政的にもIMF支援を受けなければならないほど逼迫している。もちろんこれはインドの陸海軍予算増加のさらなる理由付けになる。

IMF、パキスタン支援で基本合意 2013.7.5 00:46 MSN産経

インド、中パ協力を警戒 潜水艦能力「危うい」 2013.4.10 00:36 MSN産経

となると、さらなる軍備増強のために税収増加となる経済発展は欠かせない。ますます中共との経済関係を促進させなければならなくなる。すると、ここにグワダル回廊を維持できる分からない政治的・社会的リスクが発生する。

今回、訪中したシャリフ首相が議会選挙に勝利するまでの間だけでも多くの混乱があった。タリバンなどの原理主義過激派はテロを頻発させ、ポピュリズム的な新政党の副党首を暗殺した。以前クーデターで政権を握っていたムシャラフ前大統領が帰国して、新党立ち上げすると、彼は逮捕され訴追された。

ムシャラフ前大統領訴追へ 反逆罪でパキスタン政府 2013.6.24 23:40 MSN産経

パキスタンは、もともとムスリムという共通項だけでつくられた人工国家だけに原理主義の傾向が強くなる。加えて、いとこ婚の比率がムスリム圏で最も高い。出生率低下につながる女性の教育と社会進出に対する反発は根強く、アフガニスタンやパキスタンで女子学生に対するテロが頻発する。

出生率の低下を望む前段階で過激派が横行することも一因となって、2005年に人口が1億6千万人を突破、現在の人口は約1億8800万人にまで増加、国民の約半数が貧困層となっている。そして、2050年には人口が約3億4000万人に達すると推計される。

通学バス爆破、病院立てこもり 連続テロ犠牲者 女子大生ら25人に パキスタン 2013.6.16 17:38 MSN産経

経済成長に伴う近代化を否応なく進めれば、かつてのイラン革命や現在の“アラブの春”などに見られる反動が、若年層の人口がピークになった段階で起きるだろう。グワダル回廊の政治的リスクはシャ-リアから発する問題に集約される。回廊を整備することで原理主義過激派の移動もまた容易になるからだ。つまり新疆ウイグルへの原理主義者の浸透は防げないということになる。

この危険性を冒しても、中共は回廊をつくらざるを得ない。しかもアサド政権を支援している彼らは、スンニ派とシーア派の対立構造にも巻き込まれる。彼らのお手並み拝見と行こうではないか。

報道が“火付け”、政府が“火消し”

参議院選挙の運動期間中なので、色々勘ぐってしまう報道側と政府側の鍔迫り合いが続いている。まるで“火付け”と“火消し”だが、政府はそろそろ“火付け盗賊改め”になっても良いと思う。

まず日経が、著作権保護期間を“死後50年から70年に延長”と飛ばし記事を書いたら、甘利経財相が「誤報」だと述べて、それを日経がまた記事にする。

経財相、著作権保護延長「具体的協議せず結論も出してない」 2013/7/9 11:15 日経

 甘利明経済財政・再生相は9日午前の閣議後の記者会見で、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に関連し、日本が著作権の保護期間を米国に合わせ延長する方針を決めたとの報道を「結論から言うと誤報だ」と述べた。「具体的な協議をしたわけでも結論を出したわけでもない」と現時点の政府の立場を説明した。

 9日付の日本経済新聞朝刊は日本の著作権の保護期間について、米国に歩み寄り、権利者の死後50年を70年に延長する方針を決めたと伝えた。TPP担当相を兼務する甘利経財・再生相は「日米間では関心事項はもちろん出し合っている。関心事項について今後協議をしていく」とも述べた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕


次いで共同通信が、尖閣諸島を「外交問題として扱い、中国による領有権の主張は妨げない」と政府が提案した、と報道して、菅官房長官が「その事実はない」と否定する。

「尖閣外交問題」報道を否定=菅官房長官 2013/07/09-11:15 時事ドットコム

 菅義偉官房長官は9日午前の記者会見で、沖縄県の尖閣諸島をめぐり日本が中国に対し「外交問題として扱い、中国による領有権の主張は妨げない」と提案していたとする共同通信の報道について、「外交当局で意思疎通しているが、日本から指摘の提案をした事実はない」と否定した。

 その上で、「尖閣諸島はわが国固有の領土であり、現に有効に支配している。解決すべき領有権問題はそもそも存在しない」と語った。


最後に朝日新聞が、IMFのチーフエコノミストのブランシャールが「アベノミクスが世界経済の新たなリスクだ」と発言した、と記事を書いた。

しかし、英文読んだら「アベノミクスは非常に野心的なプログラムだが、リスクを抱えている。残る矢のふたつが完全に的を射抜いていない」と述べている。つまり“残るふたつの矢を射抜けないとリスクが顕在化する”と云っているに過ぎない。さらに財政再建の道筋がしっかりしないまま財政出動するのは「心配だ」と、いつものIMF節を付け加えることも忘れなかった。

「アベノミクスが新たなリスク」 IMFが初めて指摘 2013年7月10日1時19分 朝日新聞

【ワシントン=山川一基】国際通貨基金(IMF)のブランシャール調査局長は9日、安倍政権の「アベノミクス」が世界経済の「新たなリスクだ」と指摘した。一方、IMFは同日、最新の世界経済見通しで、日本の2013年の実質成長率予想を前年比2・0%増に上方修正した。

 ブランシャール氏は同日の会見で、世界経済の新たな懸念材料として「中国の金融システム不安や成長の鈍化」「アベノミクス」「米国の量的緩和の縮小による世界金融の不安定化」の順で、言及した。

 IMFはこれまでアベノミクスを支持してきた。リスクだと指摘するのは初めてだ。


朝日新聞「アベノミクスが新たなリスク」誤報?=為替王 2013/07/11(木) 08:05 サーチナ

Q: 海外では「アベノミクスは世界経済の新たなリスクだ」と言われているそうですね。
A: ドイツや韓国など、日本と同じ輸出産業を主力とする一部の国からは嫉妬の類は聞かれますが、主要な国際機関や有識者から、アベノミクスそのものをリスクと見なす批判的見解は聞いたことがありません。

Q: 朝日新聞の報道によれば、IMF(国際通貨基金)の要人が「アベノミクスが世界経済の新たなリスクだ」と指摘し、これまでアベノミクスを支持してきたIMFがリスクと指摘するのは初めてだと書いてありますけど?
A: そのような発言はありません。事実とは正反対の内容を報じていると思われます。

Q: アベノミクスについて、実際には何と言われたのですか?
A: 正確に言いましょう。IMFの主任エコノミストは今月9日、アベノミクスにより、日本の経済成長率は今まで想定していたよりも高くなると評価し、実際に予想成長率率を上方修正しました。IMFは今までと変わらずアベノミクスを支持し、政策が実行されることを期待しています。

Q: なぜ朝日新聞は正反対の内容を報じたのですか?
A: IMFは「アベノミクス(による構造改革など)が実現できなかった場合、投資家の期待が失墜して、それが世界経済の(足を引っ張る)リスクになり得る」と指摘しました。

Q: IMFは「アベノミクスを実現できない場合、それが世界経済のリスクになり得る」と言っているのに、朝日新聞は「アベノミクスが世界経済のリスク」と報道したのですね?
A: そういうことです。IMFは特に「アベノミクスの3本目の矢である改革をしっかりやれ」と、「そうでないとアベノミクスの期待が高いだけに反動で世界経済のリスクになるぞ」という主旨のことを言ったわけです。

Q: 朝日新聞の報道は、誤報では?
A: 参議院選挙が近いこともあり、政権批判をしたいがために冷静さを欠いていると見られても仕方ないかもしれません。事情はどうあれ、結果的に日本では事実と正反対のニュースが流れている現状は残念に思われます。(執筆者:為替王)


IMF flags top three threats to global growth HITC Business

(該当部分のみ抜粋)

The second key threat was Japan's radical measures to boost its economy, or "Abenomics", Blanchard said.

"Abenomics is a very ambitious program - but it's a very risky one. And it seems to us that at least two of the arrows haven't quite been totally refined yet," Blanchard said. He added that fiscal stimulus without fiscal consolidation was "worrisome."


ちなみにロイターが、政府がデフレ脱却の判断基準にコアコアCPI(酒類以外の食糧品とエネルギーの価格を除いた消費者物価指数)を採用した、と報じているが、消費税増税にも関わってくるので非常に重要。編集の田巻一彦氏の悔しさが最後の段落ににじみ出ている。

〔焦点〕政府のデフレ脱却判断、「コアコアCPI」採用へ 2013年 07月 9日 21:23 JST ロイター

(前段省略)

<デフレ脱却判断の慎重化、消費増税の判断に影響も>

このようにコアコアCPIを基準にデフレ脱却時期を判断した場合、脱却を政府が宣言するタイミングは、コアCPIを基準に判断する場合よりも、かなり先送りされる公算が大きい。

そのことは、政府が秋にも判断する消費税率の引き上げ判断に対し、微妙な影響を与える可能性がある。安倍晋三首相周辺のリフレ派と呼ばれる学者や専門家が、増税実施の判断にはコアコアCPIの上昇定着を伴うデフレ脱却の確認が必要と主張しかねないためだ。

(ロイターニュース 中川 泉 編集;田巻 一彦)


参考URL:
Press Conference: Update on World Economic Outlook July 9, 2013 IMF

QE3の光と影

覇権国としてはあまりにも“無自覚な帝国”である米国は、自国の金融財政政策が他国の、とりわけ新興国・途上国の政治経済にどれだけの影響を及ぼすのか、という点についても、ときに無自覚であるか、もしくは無関心である。もっとも自国の外交当局とすら、意思疎通が図れているやら、はなはだ覚束ない点があるので致し方ない側面もあるが。

第1次オバマ政権に始まったQE2だけでも、アラブ・中東地域に革命と内戦を巻き起こす要因となり、中共のバブルをさらに拡大延命させる要因ともなった。そこでまず、下記に“アラブの春”が始まった頃、2011年2月に書いたふたつのエントリーを再掲する。

2011年2月9日のエントリーから一部抜粋

QE2による効果の光と影ということか。米国では、株価上昇による資産の増大が国内消費を下支えする。一方で、コモディティ価格の上昇がドルペッグをしている諸国のインフレを加速させ、政治の不安定化を巻き起こす。

ドルペッグ諸国がこれに対応する方法の一つは、自国通貨を実態より低いレートにして、より輸出依存度を高めることでインフレが起きる中でも雇用を維持し、政治の不安定化を防ぐと云うわけだ。

それを行っているのが、中国であり、韓国であると、ガイトナー長官は言外に指摘している。つまり、現在の中国と韓国が経済好調だとしても「人民元安景気」「ウォン安景気」であって、かつての日本の“いざなみ景気”と同じ状況にあるのだ。


2011年2月23日のエントリーから一部抜粋

QE2の効果は絶大だ。

アメリカ国内では、個人の株式資産価値の向上がそのまま個人消費の増大に直結している。思惑通りといえる。株式を持つ裕福なアメリカ国民(資産を持たない国民はデフレの影響を受ける)は相変わらずガソリンをがぶ飲みするSUVを買い続けるだろう。

しかし海外では、基軸通貨としてのドルの責任を軽視し、各国のコモディティの価格上昇とそれらに伴うインフレを誘発している。そしてアメリカはアラブの争乱に口策だけの民主化支持をする。ドルペッグでかつ石油を輸出する中東産油国は穀物が満足に買えなくなるではないか。

一方で国民国家的な閉鎖経済と、一方で帝国的なグローバリズム経済と、アメリカの歴史的二面性を垣間見ることが出来る。モンロー主義のアメリカ、国際連盟に加盟しなかった第1次大戦後のアメリカ、真珠湾奇襲後のアメリカ、冷戦下でのアメリカがあった。

そして問題なのは、冷戦終結後からの国民国家的な志向と挫折から帝国主義的な行動、そしてまたリーマンショック後からの国民国家的な志向へと繰り返されている、アメリカ自身が持つ歴史的二面性に対する一種の無自覚さ、無神経さ、そして無責任さが強まって、振れ幅が大きくなっていることだ。


“アラブの春”の近因はコモディティのインフレと人口の多い若年層の失業にあり、その遠因はリーマン・ショック以降の合衆国のドル増刷にあった。とは云え、その国の国民や政府にそれらを引き起こす政治的土壌があって、かつトリガーが引かれて、革命は胎動し始める。そもそもチュニジアのジャスミン革命は、日銭商売を官憲に邪魔された青年の焼身自殺が発端だった。

さて、アベノミクスによる量的緩和も始まり、目標と掲げてきた雇用統計も好転し始めており、バーナンキ議長がQE3からの出口戦略を唱え始めた刹那に、市場がそれらを織り込み始めた。「いや、まだ出口から一歩も出ていませんから」という事実は、先行指標を扱う市場には適用されない。

コラム:新興国の政治リスク、ブラジル・トルコは「序章」か 2013年 07月 1日 15:40 JST ロイター

焦点:新興国の中銀、自国通貨防衛に政策を急転換 2013年 07月 9日 12:36 JST ロイター

そして、QE3の出口戦略が自国の外交戦略にどう影響を与えるのか、すり合わせがないまま、第2次オバマ政権の外交はまたもや右往左往するのだろう。リビアもシリアもどちらかと云えば前面に立つのは英仏であり、フランスに至っては2011年からコートジボアール、ソマリア南部、リビア、マリ北部(アザワド)、コンゴのルワンダ隣接地に関わらざるを得なくなっている。『ブラックホーク・ダウン』再びを忌避する米国は、無人機飛ばして殺せばいいでしょう、くらいな体たらくで応じてくるに違いない。

ECB、フォワードガイダンスで低金利をコミット

ギリシアとポルトガルから再燃しかねない欧州債務危機に対して、ECBは先手を打ってきた。先例を破って将来にわたる政策指針(フォワードガイダンス)を出して、低金利を継続することを約束した。

ユーロ圏、68億ユーロの対ギリシャ融資承認 分割で実施=関係筋 2013年 07月 9日 04:02 JST ロイター

ポルトガルの債務再編リスク高まる、デフォルト確率は約3割強 2013年 07月 9日 06:13 JST ロイター

ECB総裁、低金利の長期間継続を再表明 フォワードガイダンスの効果は見守る必要 2013年 07月 9日 04:06 JST ロイター

2011年11月30日のエントリーでは、

日本のように貯蓄過剰だった訳でもないのに、ユーロ高を背景に、自己資本比率規制(銀行の経営の健全性を保つために、自行の資本以上にカネを貸さないようにする規制)をすり抜けるため、カネを投資銀行やヘッジファンド経由で、米国やPIIGS諸国、新興国に貸しまくった。

ところがまさか毀損しないだろう、と思って買い込んでいたソブリン債がヘアカット(債務を一律減らす、ギリシアは半分チャラ)される、しかもCDSによる保険金が入らない。すると当然自己資本比率は悪化するので、もう貸せない上に、それを改善しなくてはならなくなった。必要なのは約3兆ユーロだそうだ。ニュースに出る部分は事業部門の売却だが、表に出てこない投資銀行、ヘッジファンド経由の投融資の売却も同じく進むので、デレバレッジは米国やPIIGS諸国、新興国を直撃する。

リスク資産のために売れる優良資産を手放せば、さらに持っている優良資産も値下がりする。で、また手持ちを売却せねばならない悪循環にはまる。破綻したデクシアとて、直近の自己資本比率は規制をクリアしていた。日本の事例を見る限り、総資産に応じて資本注入して、毎年の利鞘でバランスシートを改善するのが、長いようで一番近道だろう。


と、述べたが、ECBは資本注入ではなく、2011年12月22日のエントリーにある通り、資金供給オペを行い、果ては2012年2月8日のエントリーのように、不胎化オペでユーロを吸収してしまった。つまり、ドイツが政策上の足枷になっていたのだ。

しかし、QE3まで続けた米国は、株式市場への資金流入によって、金融機関のバランスシート改善と個人資産家の消費増加が起きた。また、住宅ローンの借り換えと住宅市場価格の反転によって家計のバランスシートも改善した。アベノミクスの量的緩和でも、資産効果による高額商品の消費増加が起きている。

ドイツがいかに反対姿勢を採ろうともこれだけの実例があっては反対しづらい。ともかくこれで、G7の中央銀行すべてが政策目標に対するコミットメントを伴う量的緩和の方向へと舵を切った。

ただし、米国は出口戦略を模索しているので、かつてのドル高円安を利用した円キャリー・トレードの巻き戻しと同様、ドル高観測によって、新興国市場とコモディティ市場から資金が米国に戻る(ゴールドマン・サックスなどが提唱する)“グレート・ローテーション”が起き始めている。

リーマン・ショック以降、QE1からQE3までの量的緩和の副次的効果で、新興国市場とコモディティ市場にドルが流れ込んだ。これが各国の政治経済に激烈な作用をもたらした。

たとえば政治的には“アラブの春”であり、経済的には中共のバブル拡大であった。潮が満ちるときも引くときも(外貨準備が少ないなど)足腰の弱い国家から内政の危機に陥っていく。ブラジル、トルコで新しい政治的混乱の火の手が上がってくることは決して無関係ではない。つまり“アラブの春・革命戦争篇”なり、中共のバブル崩壊となる訳だ。

米国の財政当局と金融当局と外交当局が、バラバラに行動することも混乱に拍車を掛けるだろう。

グローバリズムの最大受益国が行き着く政治的隘路

イアン・ブレマーのコラムは、グローバリズムが米中二ヶ国それぞれの政治体制に与えた悪影響を教えている。

両国とも、正規の政治的プロセスに含まれている一部の政治的プロセスに過ぎないロビイストやコネが肥大化して、すべての利害関係者は政治的利益を最大化することで、そのまま経済的利益を最大化できる。

イノベーション(技術革新)ではなく、デレギュレーション(規制緩和)による市場の生成とその利益の独占が効率的と判断されれば、健全な中産階層がイノベーションによる新製品や新サービスを適正価格で購入し、企業が適正利益を上げる循環は必要なくなる。

個人的にはイノベーションが起きたときに政府は適正なレギュレーションを作るだけで市場は育つと考えている。その意味ではアベノミクスの成長戦略というタームすら究極においてはナンセンスと言うことにはなる。

Winnyの作者が急逝したが、P2Pのインパクトは高スペックのPCとHDDの購入促進や高速回線と帯域の整備促進をもたらし、一大市場をつくりあげた。政府なかんずく警察は彼の才能と時間を逮捕と訴訟で浪費させてしまった。生成した市場を追認しなかったためにイノベーションの循環過程をも阻害してしまった。

さて話を戻そう。

経済的に米国の中産階級は没落し、中共の中産階級は充分に育たない。そして、議会制民主主義国家の米国は寡頭制に陥り、共産主義国家の中共はポピュリズムに陥る。本来の政治システムとはかけ離れた統治体制をそれぞれが持つことこそ両国の最大のジレンマとなっている。

コラム:米中が抱える「似て非なる」ジレンマ 2013年 07月 7日 10:58 JST ロイター

(前段省略)

両国は、長期的に悪化しかねない解決困難な課題を抱えている。興味深いのはそれが、米国と中国では正反対に起きているということだ。米国では民間セクターの利益が政治システムを支配するが、中国はその逆で、政治家が民間セクターとその富を支配している。

米国が、ロビー活動や予算のばらまき、企業が政界に持つ大きな影響力といったことに頭を悩ませていることはよく知られている。選挙資金改革は遠い過去のものとなり、「会社の人格化」はすっかり定着した。政治資金団体である特別政治活動委員会(スーパーPAC)は勢いを増し、議会制民主主義は資本主義的民主主義に締め出されつつある。

政治とカネのサイクルを壊すのは容易ではない。政治家の利益と彼らが選挙で当選するための一助となる企業のそれとは一致するからだ。さらに厄介なのは、米国では多くの政治家が引退した後に、ロビー活動に関わっていることだ。1974年にはロビイストとなった元議員は3%だったが、現在では上院議員の半数が、下院議員の42%が引退後にロビイストに転じている。

中国も似て非なる問題を抱えている。中国では、政治家のカネに対する支配力は絶大だ。政治家やエリート層は国有企業を管理し、そこから富を吸い上げ、自分たちのみならず、一族や友人を裕福にしている。中国の産業は国家が支配しており、故に国家を運営する人たちの財産といえる。

昨年、国有企業と関連事業は中国の生産高と雇用の半分以上を占めた。米フォーチュン誌が選ぶ2012年のグローバル企業500社の中に、中国本土の企業70社が選ばれたが、そのうち65社が国有企業だった。

例えば、米議会に億万長者はいないが、中国全国人民代表大会(全人代)には83人いる。ブルームバーグによると、全人代で最も裕福な70人の資産は昨年、米議会の全議員のほか、大統領と閣僚、最高裁判事の資産の合計を上回った。もし中国に属するなら、たとえ中央集権的で腐敗していたとしても、国家資本主義は最高に違いない。

しかし、中国が抱える問題はここにある。つまり、中国が富の拡大が可能な強い産業を生み出せないことだ。それは深刻な所得格差へとつながっている。中国では信頼できる指標を入手するのは困難だが、ある大学が実施した調査では、同国の貧富格差は世界平均を大きく上回っており、上位10%の世帯が可処分所得全体の57%を占めているという結果が出た。

(後段省略)


アングル:公的支援要請の中国熔盛、「大きすぎてつぶせない」のか 2013年 07月 8日 15:01 JST ロイター

中国の造船会社:3分の1が5年以内に閉鎖か-業界団体 2013/07/05 08:07 JST ブルームバーグ

ともあれ、カルタゴは滅ぶべきである 第2章

2012年10月6日のエントリー以来の続報となるが、ポスコは新日鐵住金(旧・新日本製鐵)の「方向性電磁鋼板」に関する機密情報を入手したことを認めた。おそらく情報は入手したが、情報を利用していない、もしくは機密であることを知らなかった、といった便法を使ってくる、と思われる。

そういえば、中共の鉄鋼メーカーが高炉を止められず破綻した記事を昨日紹介したが、ここ1~2年ポスコは高炉の火災を頻発させている。新日鐵住金が損害賠償を請求するまえに潰れないで頂きたい。

新日鉄住金の機密「入手」、韓国企業側が認める 2013年7月7日14時04分 読売新聞

 鋼板製造の最先端技術を盗用されたとして、新日鉄住金(東京)が韓国の鉄鋼大手ポスコと自社OBに損害賠償などを求めた訴訟で、ポスコ側が過去に新日鉄住金の元社員に接触し、問題の技術に関して同社が「機密」としている資料の一部を入手したと認める書面を、東京地裁に提出していたことがわかった。

 技術について、ポスコ側は「独自開発したもの。盗用はない」との主張を変えていないが、少なくとも何らかの機密情報がポスコ側に渡っていたことになる。

 昨年4月に提訴した新日鉄住金は、「営業秘密」として管理してきた、発電所の変圧器などに使われる「方向性電磁鋼板」の製造技術が、「当社の元社員に接触してきたポスコにより、不正取得された」と主張。技術を漏えいした元社員として、1980~90年代に旧新日鉄を退職後、会社を設立してポスコ側と技術供与契約を結んだとされる元技術者(死亡)や、ポスコ出資の韓国の大学で教授を務めたOBら元社員4人を名指しした。

 ポスコ側は「原告の主張は事実無根」と反論していたが、今月、地裁で開かれた非公開の手続きで、元社員らの中から機密資料を受け取ったことがあることを認めたという。また、ポスコに情報を漏らしたとして訴訟で被告とされたOBは、漏えいへの関与は認めていないものの、「死亡した元技術者がポスコに協力していたことは、自分の新日鉄在職中からほとんどの技術者が知っていた」とする書面を提出。ただ、問題の技術情報については、「秘密のものとして扱ってきたことはない」と主張している。

 ポスコ側の代理人の弁護士は「取材には応じられない」としている。

資金止めて“世界の工場”の供給過剰解消

中共の金融の流動性危機が、一挙に“世界の工場”の過剰供給力に匕首を突きつけてきた。鉄鋼と造船の二題でお送りします。

そうそう火を止められない高炉メーカーが、過剰供給のチキンレースを展開、いきなり融資枠を切られて頓死した会社の社長自らカネ持って遁走しようとして捕まり、当局は設備の略奪を防ぐのが精一杯、というロイター電の記事。

中国江西省で鉄鋼会社が破産、供給過剰や価格低迷が打撃に 2013年 06月 26日 17:40 JST ロイター

(前段省略)
中国の鉄鋼会社は供給過剰による需要鈍化と価格下落にもかかわらず、ここ数カ月間、過去最高に近いペースで生産を続けてきた。セクター全体の債務は推定約4000億ドルとされ、専門家は高炉の閉鎖は避けられないと警告してきた。

鉄鋼セクター全体の生産能力は推定約10億トンで、2012年の7億1650万トンを上回っており、政府は近く、この問題に対応するため、新たな措置を打ち出すとみられている。

第一財経日報によると、Jiangxi Pingte Iron and Steelの会長兼ゼネラルマネジャーは、同社の信用枠が突然打ち切られ、工場が閉鎖されたことを受け、2億元(3300万ドル)を持って逃亡しようとした。地方当局が現在、調査を進めているという。

(後段省略)


こなた民間最大手の造船会社・中国熔盛重工集団が、約8000人削減のリストラを進め、創業者が資本提供するが、耐えきれず政府に公的支援を要請した。業界全体で5年以内に3分の1が破綻の可能性あり、と云うブルームバーグ電の記事。

中国熔盛重工集団が政府に公的支援を要請-株価急落 2013/07/05 12:45 JST ブルームバーグ

(前段省略)

同社はこの日の発表資料で、「漸進的な生産縮小」と「従業員のリストラ」とを進めており、金融機関との間で、融資枠の再設定で協議していると説明した。具体策には言及しなかった。

香港証券アナリスト協会の委員、ロナルド・ワン氏は同日の電話取材で「中国熔盛の資本不足はかなり深刻のようだ。政府や株主から得られる金融支援は状況悪化に歯止めをかける程度にすぎないだろう」と述べた。

発表資料によると、熔盛の共同創業者で株主の資産家、張志熔氏が同社に2億元(約33億円)の無利子融資提供に同意した。ブルームバーグのデータによると、張氏の出資比率は1月24日時点で28%。

(後段省略)

政権担当能力という言葉を噛みしめる中東と極東

振り返るとモルシ政権は、昨年11月15日から22日までのパレスチナ・ガザ地区(ハマス)とイスラエルの全面衝突の危機を乗り越えた時点をターニングポイントとして、自ら政権担当能力を喪失していった。おそらくこのときハマスを庇護する立場として地位を確立し、イスラエルの庇護者である米国(オバマ政権)との信頼関係を深めた、との自信がそのまま過信に繋がった。

間髪入れず11月23日に“前日発表したすべての大統領令は司法権限の対象外とする布告”を発したことが、躓きの始まりとなった。

筆者は2012年11月25日のエントリーで、

憲法がなく、議会がない状態に於いては、大統領はある程度の非常大権を持つことはむしろ自然に思える。利害の調整が付かない場合、鷹揚に出てくれば大統領の権威と権力は充分に活用できるはずであって、わざわざ大統領令を発布する必然はない。その意味ではムルシ大統領の政治的センスはあまり良いとは云えない。

ムスリム同胞団がハマス支援でイスラエルに勝利したと考えていて、その余勢を駆って軍部や穏健派やコプト教徒を抑えるために、かのジャコバン派の恐怖政治を始めたいのか。すると行き着く先は“テルミドール9日”となる。

それともイスラエルに勝利したと国民が認めているならば、これでナポレオンが総裁政府を倒した“ブリュメール18日”となり、同様に革命の終末点が訪れる。

と、述べた。

同年12月8日に布告は撤回するものの、ムスリム同胞団主導の新憲法は2回に渡る国民投票で過半数を得た。しかし、大統領布告以降の混乱を受けて徐々に下げていたエジプト・ポンドの対ドル相場は、新憲法承認が決まった年末から一気に暴落する。

筆者は2012年12月31日のエントリーで、

2度の投票を経て、エジプト新憲法は承認された。憲法を覆すにはもう一つの革命を起こすだけのダイナミズムが必要になる。

エジプト革命の最初の脱落者は革命の発端をつくり原動力となった学生、イスラム原理主義の台頭を望まない世俗派やコプト教徒となりそうだ。

となると、革命の競争者は国内治安を掌握する内務省や軍事力を保有する軍部など社会主義の影響を受けたアラブ民族主義勢力とモルシ大統領を擁するムスリム同胞団などイスラム原理主義勢力の妥協と衝突の政治的闘争に移ることになり、学生や世俗派はその道具として動かされる存在になるか、疎外される中で諦めた存在になるだろう。

と、述べた。

政権の担当能力に疑念が生じ、度重なるデモは治安の悪化を招き、エジプト経済を支える旅行収支(観光収入)に打撃を与え、外資の逃避が加速し、インフレが昂進して、最終的にアラブ民族主義勢力のテクノクラートである軍部が学生や世俗派の支持を受けて、イスラム原理主義勢力のモルシ大統領をクーデタによって放逐した。

経済運営の失敗が、再度の革命のダイナモを動かした訳だ。

モルシ政権は、あまりの傲慢さと無能さにしびれを切らした国民と軍部に逐われた。オバマ政権は、イスラエル・ガザ紛争の再演を防いだ恩義と民主的手続きに選ばれたために最後まで支持した。

クーデタを起こした軍部を支持したサウジアラビアとUAEとバーレーン、クウェート。ムスリム同胞団を支持したカタール。すでに湾岸諸国ですら一枚岩ではない。そして、シェールガス革命によって相対的に中東依存が減る米国の主導権はこの地域から自然と後退していく。サウジアラビアなどが、経済再建を助ける過程で利権分配を決定して、国内和平を推進させる可能性が一番穏当で、高確率となってきた。

参考URL:
XE Currency Charts (USD/EGP) 1 Year

「政権交代、一度やらせてみよう」のエジプト篇終了

「一度やらせてみようか、ダメならそのとき考える」と、何処かの国で見た光景は色々な国で再現される。エジプト軍がムスリム同胞団出身の大統領を引きずり下ろして、権力移行のロードマップを自分で提出してきた。

エジプト軍が大統領執務施設包囲、モルシ氏側近「クーデター」 2013年 07月 4日 02:55 JST ロイター

エジプトのモルシ大統領の権限、事実上剥奪=シシ国防相 2013年 07月 4日 05:05 JST ロイター

各国の議会制民主主義を定着させるまでの苦闘を考えると、それほどエジプト軍部は暴虐とも思えない。

明治維新後の自由民権運動は教科書などでは理想化されている。

が、政変で野に下った板垣退助は、やっぱり政治力はないので党首すら全うできない。試しに大隈重信に政権任せてみたら、やっぱり短期政権で終了。

仕方ないから伊藤博文が立憲政友会をつくり、この党が大政翼賛会ができるまで、二大政党の一翼を担い、ほとんど政権与党の地位にあった。

しかも、立憲政友会から原敬が平民宰相になるまでは、桂太郎と西園寺公望で政権交代を繰り返して人材が育つのを待つ。そして、原敬以下の党人政治家はもちろん利益誘導政治の権化で鉄道引っぱって利権バラマキし放題。反感を買い、しょっちゅう暗殺されることになる。

五・一五事件辺りで暗殺され尽くして人材枯渇に陥ったため、最後の元老となった西園寺公は議会第一党の党首を首相に奏薦できなくなってしまった。

戦前ですらこの有様。戦後から現代においてもまた同じ。エジプトはまだ議会制民主主義の端緒についたばかりに過ぎない。ムスリム同胞団が何度かグダグダを繰り返すだろうが、これくらいで諦めることもあるまい、と思う。

“対中封じ込め”完成以降の一手が続々と

遠くシリアからウイグルまでテロリストがやってくる。そしてカシミールから8000メートル級の山脈を越えてウイグルとチベットを窺うインド陸軍と、“安倍ドクトリン”の外交理念がどんどんと中共を追い詰めていく。

さて、新疆ウイグルの動静は報道管制下で、それぞれの利害関係者がポジショントークを連発するので、ほとんど実像は分からない。

ただし、少なくとも宗教を否定する共産主義と民主主義の母体となりうる原理主義が対立するのは間違いない。アラブ社会主義のバース党とアサド政権が共産主義と近縁性を持つ以上、シリアの暫定政権に連なる原理主義者の過激派が新疆ウイグルに入り込むのは妥当な話と云える。

新疆暴動で中国紙がシリア反体制派を非難、「過激派に訓練提供」 2013年 07月 1日 17:47 JST ロイター

テロから内戦までを起こせるだけのノウハウは結局、一般企業や政府などと同様、それをしていた組織内部の人たちから伝授される。シリア内戦が終結していない段階で一気に飛び火するのは解せないが、新疆ウイグルの暴動が深刻な傍証と云うことだろう。この武器・人員供給ルートから内乱を惹起できるかもしれない。

我が国は、外交的に“対中封じ込め”が完成しているので、今すぐに無理に東トルキスタン、もしくはウイグル全体の独立を後援する必要性はない。世論喚起しつつ、素地つくりのため、まずはカザフスタンを抑えるのが得策だ。

かつての防共回廊構想は“リムランド安全保障構想”に形を変えて日印のシンクタンクが提唱していることもあり、対中国の陸軍を4万人(師団規模ではなくていきなり軍団規模)も増員する決定を下したインドの動向の行方を見ても良い。

しかし、インド陸軍増員は、戦前の帝国陸軍の支那事変勃発までの貧乏ぶりと比べると実に羨ましい。日露戦争ですべての師団を大陸に送ってしまって外債で4個師団増設したり、2個師団を増やそうと予算握っている衆議院相手に議会工作・倒閣した故事を思い出すと泣ける。

インドが中国との国境地帯で兵士4万人増員へ、山岳作戦部隊の配備を急ぐ 2013年06月15日 新華経済

インド国防省の関係者によると、長く先送りされてきた印中国境での兵士増員計画が認可を受けた。同計画は4万人超の山岳作戦部隊の配備を許可するものだ。ただ、インド軍がまだ小躍りしていないうちに、同国メディアは「インド軍の極秘対中作戦・配備計画が外部に漏れた」と報じている。中国・環球時報が伝えた。

12日付の米ディフェンス・ニュースによると、インド国防省の関係者は「インド軍が2年前に印中国境地帯での兵士増員計画を用意しており、財政省による視察を待っていたが、最近ようやく認可を得た」と指摘した。陸軍のある幹部によると、この新部隊の主要支出は兵器や装備の購入にかかる120億米ドル(約1兆1400億円)だ。また、インド陸軍は小型兵器、無人機、レーダー、携帯式ミサイル、防空火砲などの調達を予定している。インド陸軍の消息筋によると、陸軍はこの精鋭部隊のため、サイバー戦や情報戦のシステムを構築する。新しい山岳部隊は5年以内に軍となり、8~10年間で全面的な戦闘力を形成する予定だ。ただ、インド外務省の関係者は「新しい山岳部隊を印中国境地帯に配備すれば、中国を怒らせる」と懸念している。

13日付のインドNDTVによると、消息筋は「インド陸軍の極秘作戦・兵力配備計画が漏えいした可能性がある。アッサム州のTezpurにある第4軍団の軍部が出した最高機密の書簡が紛失した。この書簡は2011年1月に第4軍団を通じ、Rangiaに駐屯する第21山岳師団に送られたが、同山岳師団は受け取ってから1週間以内に紛失し、現在も見つかっていない」と話した。現在、6人の軍人が起訴され、情報漏えいで処罰される可能性がある。陸軍の上級幹部は国防省にこの事件を報告するかどうかははっきりしていない。

ザ・タイムズ・オブ・インディアの報道によると、この書簡は印中実効支配線の東部での作戦計画やインド軍の配備計画、その他の重要な情報を記したものだ。第21山岳師団の任務は中国軍の脅威に対して反撃することで、第4軍団の主力がこれを応援する。現役の陸軍幕僚長であるビクラム・シン大将は新たな山岳軍を早期に作り、対中作戦で初めての地上作戦能力を確保することを目指している。

(編集翻訳 恩田有紀)

カイロの“テルミドール9日”

フランス革命は、ブルジョワと急進的なジャコバン派のどちらかが無産階級を動員できるか否かで権力が移動していったが、次第に無産階級は煽動されなくなり、最終的に軍隊、と云うよりナポレオン・ボナパルトその人が権力を掌握した。

エジプトでは、軍出身のムバラク元大統領は放逐されたが、依然として軍部・内務省などテクノクラートの権力は強い。テクノクラートとイスラム原理主義者と革命を支持した若年層中心の国民の三つ巴の権力闘争は、彼らの利害調整によって収拾するより他にない。

大規模デモの群衆によって、ムスリム同胞団の本部が襲撃され、ジャコバン・クラブが襲われたような展開を見せ始めた。軍部はこれに乗じて48時間以内の政治的合意のロードマップを要求、軍の実力行使をちらつかせている。

以前、2012年11月25日のエントリーで、モルシ大統領にジャコバン派とロベスピエールの兆しを見出したが、さて、いよいよテルミドールの反動が訪れるのだろうか。

モルシ大統領、国内和解に向けた自らの計画を堅持=大統領府声明 2013年 07月 2日 10:43 JST ロイター

エジプト軍が大統領に「最後通告」、タハリール広場には歓喜の声 2013年 07月 2日 10:34 JST ロイター

エジプト軍が48時間以内の政治的合意要求、介入を警告 2013年 07月 2日 02:40 JST ロイター

大統領就任1年のエジプト、全国で1400万人が抗議デモ 2013年 07月 1日 08:41 JST ロイター
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