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日米新ガイドラインと南シナ海情勢

日米ガイドラインが改定された。その新ガイドラインが役立つ機会はかなり早そうだ。2015年3月17日のエントリーでは、P-3CとP-1が南シナ海で哨戒する可能性について書いた。

最新鋭のP-1は、2015年度予算から単年だけで20機調達が決定しており、このペースで進捗すれば2017年度予算で約70機までの調達目標数を達成するだろう。南シナ海まで対潜哨戒の範囲が広がる場合、作戦機の定数が引き上げられる可能性もある。また、有事となれば対艦ミサイルを積んで対艦攻撃もできる。2月にはハープーンの実射試験に成功している。フィリピン海軍の能力向上が見込めるならば、将来的にはP-3Cの払い下げもあり得るが、こちらは短期的には見込み薄だろう。

南シナ海の情勢はフィリピン海軍の能力向上を待てない以上、海上自衛隊が哨戒活動を行うのは避けられないと思われる。2015年4月26日のエントリーでも触れたが、米国はローテーション拠点を8ヶ所予定しており、この基地のいずれかを自衛隊も使用するものと考えられる。

南シナ海の哨戒活動を防衛省検討、米軍と協力=関係筋 2015年 04月 29日 21:19 JST ロイター

日米新ガイドラインの骨子 2015年 04月 28日 00:05 JST ロイター

[ニューヨーク/東京 27日 ロイター] - 日米両政府が18年ぶりに改定した防衛協力の指針(ガイドライン)は、日本の防衛で自衛隊と米軍があらゆる事態に切れ目なく対応し、日米が世界規模の同盟であることを強調している。

日本の防衛については、武力攻撃には至らない「グレーゾーン事態」を含む平時、放置すれば日本に重要な影響が及ぶ事態、武力攻撃の発生が予測されたり起きた場合に分け、両国の協力の枠組みを示している。日本による集団的自衛権の行使事例もここに盛り込まれた。

このうち、放置すれば日本に重要な影響が及ぶ事態については、地理的制約がないことを明記し、南シナ海や中東などでも自衛隊が米軍の後方支援をできるように変更した。

また、2001年に米軍主導で実施したアフガニスタン攻撃のような軍事作戦に対し、自衛隊が後方支援することを役割とした明記した。

宇宙やサイバー空間を安定的に利用するための協力も、今回のガイドラインから追加した。

新ガイドラインの骨子は以下の通り。

<指針の目的>
平時から有事まで、日本の平和と安全を切れ目なく確保。アジア太平洋地域とこれを越えた地域の安定に寄与。

<両国間の調整強化>
両国の協力が円滑に進むよう、有事だけでなく、平時にも活用できる同盟の調整メカニズムを設置。

<日本の防衛>
●平時、グレーゾーン事態の協力
・情報収集、警戒監視、偵察。
・弾道ミサイルへの対処。
・国際法に基づく海洋秩序の維持。警戒監視や演習を通じた日米のプレゼンス強化。
・演習中などに攻撃を受けた場合に、互いの装備品を防護。
・2国間、多国間で訓練、演習。
・補給や整備、輸送など、互いに後方支援。

●放置すれば日本に重要な影響を及ぼす事態における協力
・非戦闘員の退避。
・船舶検査など海洋安全保障。
・日本に難民が流入する場合の対応。
・捜索、救難。

●日本有事における協力
・空域、海域を共同で防衛。
・弾道ミサイル攻撃に共同で対処。
・島しょ部含む陸上への攻撃に共同で対処。

●その他
・日米それぞれが警戒、監視体制を強化し、情報を共有。
・打撃力は米軍が実施。自衛隊は必要に応じ支援。両国の緊密な調整によって作戦を実施。
・宇宙、サイバー防衛で協力。
・特殊部隊による作戦で協力。
・化学、生物、放射線、核に関連した事案や攻撃に対し協力。

●日本以外の国に対する武力攻撃への対応(日本が集団的自衛権を行使する事例)
・日本への弾道ミサイル攻撃を警戒する両国の艦船を互いに防護。
・機雷掃海を含めシーレーン防衛で協力。
・船舶検査で協力。
・弾道ミサイルの迎撃で協力。
・必要に応じて互いに後方支援を提供。

●日本における大規模災害への対応

<地域と世界の安全のための対応>
●国際的な活動における協力
・国連平和維持活動に参加した際に日米で協力。活動に参加する国連職員などの後方支援や保護で協力。
・国際的な人道支援、災害支援で協力。
・海洋安全保障のために海賊対処や機雷掃海で協力。
・(東南アジア諸国など)パートナー国の軍事能力向上を支援。
・国際的な活動に参加した際に情報収集や装備品の防護で協力。日米相互に後方支援で協力。

●3カ国、多国間協力
・地域の他のパートナー国や国際機関と協力。

<宇宙、サイバー空間における協力>
●宇宙に関する協力
・宇宙空間の安定利用に影響を与える事象について情報を共有。宇宙関連の装備や技術で協力。
・互いの宇宙システムが脅威にさらされた場合に、被害の軽減や回避のために協力。能力の回復で協力。

●サイバー空間に関する協力
・サイバー空間の安定利用のため、脅威や脆弱性に関する情報を共有。訓練など能力向上に関する情報を共有。
・自衛隊と米軍の活動に欠かせない重要インフラやサービスの防護で協力。
・日米それぞれネットワークとシステムを監視。
・それぞれのネットワークを強化。
・共同演習。
・日本でサイバー攻撃が起きた場合、日本が主体的に対処し、米国は適切な支援を提供。
・日本の安全にとって深刻なサイバー攻撃が圧政した場合、適切に協力。

<その他>
●防衛装備、技術の協力
・共同研究や開発、生産などで協力。
・共通して使用する装備品の整備機関の強化。
・他のパートナー国と協力。

●情報協力、情報保全
・秘密情報の保護を強化。
・他のパートナー国との情報共有を推進。

<指針見直しの手順>
情勢変化と照らして内容が適切か定期的に評価。必要なら適時、適切に更新。

*日米が防衛指針を18年ぶり改定、世界的な同盟を強調
*〔焦点〕米リバランスと符合する防衛指針、不可欠だった自衛隊の役割拡大
(久保信博)

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サウジアラビアとイランの代理戦争

シリアとイエメンの内戦は、その様相をサウジアラビア率いるスンニ派とイラン率いるシーア派の代理戦争へと変化させてきた。

Assad’s hold on power looks shakier than ever as rebels advance in Syria April 26 The Washington Post

シリア内戦は長期に渡る戦闘が続いた結果、アサド政権の継戦能力が弱まりつつある。アサド政権はレバノンから来たヒズボラの兵力に依存し始めており、そのヒズボラを支援する背後のイランの影響力が強まっている。アサド政権の独自性は失われて、極端に表するならばイランの傀儡政権と化しつつある。

一方、シリアにおけるスンニ派は弱体の暫定政権にこだわらずアルカイダ系含むスンニ派の大同団結によって北西部で攻勢を強め、勢力範囲に変化が生じている。

イエメン内戦に目を移すと、米国船籍の貨物船がイラン軍に拿捕された、とサウジアラビアのアル・アラビーヤで報じられたが、ロイター電ではマーシャル諸島船籍の貨物船がイラン軍に警告射撃された、と国防総省が発表している。チョーク・ポイントであるバブ・エル・マンデブ海峡及びホルムズ海峡付近で米国海軍とイラン海軍、そしてエジプト海軍を含めたシーレーン防衛の戦いが始まっている、と見るべきだろう。

イラン軍が貨物船に警告射撃、マーシャル諸島船籍=米国防総省 2015年 04月 29日 01:19 JST ロイター

Is the freighter seized by Iran American? Depends who you ask April 28, 2015, 7:34 PM (IDT) DEBKAfile

“人身売買”を行ったのは誰だ

訪米中の安倍首相がハーバード大ケネディスクールで講演に続けて質疑応答を行った際に、韓国系米国人の学生が従軍慰安婦についてプロパガンダに毒された質問を投げかけ、首相は「human trafficking」の問題に一般化してあしらった。ケネディ駐日大使と随行していることもあり、女性の人権侵害に取り組む姿勢をアピールした。この姿勢は合衆国のリベラル勢力との妥協と手打ちの末に出てきた文言と考えられる。

左翼が乱用してきた人権問題という広く浅く普遍化された正義に従うことで、従軍慰安婦の証言の是非にはこちらからは踏み込んだりしない。どうにも彼女らの証言は精査しなくても矛盾点が浮き彫りになる。

「人身売買をしたのは誰か? 性奴隷にしたのは誰か?」

この矛盾点を追及すれば、自ずと朝鮮戦争とベトナム戦争の従軍慰安婦の問題に焦点が当てられ、韓国政府と合衆国政府に直接の被害が及ぶことになる。

従軍慰安婦問題で、公権力による強制的な連行がなかったと判明したあと、強制の定義を修正しようと、吉見義明・中央大学教授は、その著作『従軍慰安婦』で、次のように述べている。

その女性の前に労働者、専門職、自営業など自由な職業選択の道が開かれているとすれば、慰安婦となる道を選ぶ女性がいるはずはない・・・たとえ本人が、自由意思でその道を選んだように見えるときでも、実は、植民地支配、貧困、失業など何らかの強制の結果なのだ。

『従軍慰安婦』[6,p103] 岩波新書 吉見義明・著 平成7年4月刊行より


橋下大阪市長が、従軍慰安婦問題に関する発言で物議を醸し出している頃には、旧民社党系の西村代議士が「韓国人の売春婦は日本に世界中に今も昔も大勢いる」という身も蓋もない趣旨の発言をして、会派から除籍処分を受けた。

つまり戦いはフェミニズム、ジェンダーにすり替わっている。最大のマイノリティとの論戦も始めているのを眺めやると、橋下大阪市長も少しは戦線整理しろ、と云いたいが素晴らしい吸引力だったのは間違いない。

本来、従軍慰安婦の論点は軍・官憲による強制連行があったか、なかったかの点に絞られていたが、いつの間にか女性の人権問題にすり替わったのだ。ここを踏まえないと政治的闘争を勝ち抜けない。

もちろん安倍政権は、人権問題に協力することに吝かではない。

下記の記事にある李容洙(イ・ヨンス)という女性が、すでに戸籍制度が整備されていた時代に「15歳もしくは満16歳」で、日本語が公用語だった時代に「英語も分からないまま日本軍に強制連行されて」行った。

その場所が、同じく日本語が公用語の「台湾にある日本軍の神風部隊だった」というが、台湾の特別攻撃隊の9割は昭和20年の沖縄戦に出撃しており、宜蘭、台中、台南、新竹などの基地に分散している。特攻隊員は帰還した者を含めても120~130人には達しないはずだ。

李容洙(イ・ヨンス)という女性は、出撃日時の前日前夜などの日程に合わせて、各種の移動手段が用意され、各基地に転々と出張しながら業務に携わったと考えるほかない。そして反抗すると「殴られ、電気拷問まで受けた」という。

人権問題にスライドさせて普遍化すると、左翼は自らが守りたい陣営に必ず飛び火する。彼らが従軍慰安婦の論点をずらすために行った所業が彼ら自身を追い詰めている。

安倍訪米:安倍首相、謝罪はせずに解決努力をアピール 2015/04/28 08:36 朝鮮日報日本語版

(前段省略)

■元慰安婦「安倍首相、何も変わっていない」

安倍講演前日に講壇に立つ

「歴史の生き証人がいるのに、日本はうそを言い続けている」

 「満16歳の時に英語も分からないまま日本軍に連行されていったのが台湾にある日本軍の神風部隊だった。そこで、日本軍兵士の部屋に入らないと言って殴られ、電気拷問まで受けた。拷問の後遺症で今も幻聴・幻覚に悩まされ、ろくに眠れない。このように歴史の生き証人がいるのにもかかわらず、日本の安倍首相はうそをつき続けている」

 訪米中の安倍首相が訪れた場所で、元従軍慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さん(86)がハーバード大学の学生や世界各国のメディアに対し日本の慰安婦犯罪を告発した。李容洙さんは安倍首相がハーバード大学で講演する前日の26日午後、同大学のフォン(Fong)講堂で同大学生70人と1時間半にわたり懇談し、自ら経験した慰安婦の惨状について証言した。

 李容洙さんが同大学を訪れ学生たちと会ったのはこれが2回目だ。李容洙さんは安倍首相が第1次安倍内閣だった2007年4月、ジョージ・W・ブッシュ米大統領と首脳会談をするために訪米した時も「慰安婦の実状」をテーマに同大学の学生たちの前で講演した。

8年ぶりにハーバード大学を訪れた李容洙さんは「安倍首相は何一つ変わっていない。むしろ慰安婦が売春婦だったと罵倒(ばとう)する日本の極右勢力の歴史歪曲(わいきょく)を主導している」と言った。


慰安婦被害者「安倍に会う」…朝からハーバード大学生100人と沈黙デモ 2015年04月28日09時51分 中央日報日本語版

「私は日本に連れて行かれて性的奴隷の被害にあった李容洙(イ・ヨンス)です」

安倍晋三首相の訪米2日目である27日(現地時間)、慰安婦被害者の李容洙さん(87)は朝早くからハーバード大ケネディスクールの正門前に居た。ケネディスクールでの講演が予定されている安倍首相に会うためだった。高齢の李さんは車椅子に座って安倍首相を待った。しかし、安倍首相との遭遇はなかった。安倍首相は別の門から入った。

短い即席記者会見。「私は15歳の時に日本軍に強制連行されて日本軍の性的奴隷、慰安婦になりました」。李さんの絶叫がボストンの通りに響いた。李さんは「嘘つきの安倍に会うバラク・オバマ大統領が恨めしい」と悔しさを表した。

続いて李さんはマスクを使って日本の謝罪を促す沈黙デモ(サイレントデモ)を始めた。ハーバード大学生100人余りも参加した。

学生たちは「あなたが(慰安婦問題を)否定するのは被害者を2回殺すこと(Your denial is killing them twice)」「歴史は書き直せない」「慰安婦被害者に正義を」などのピケを手にしていた。学生たちは慰安婦問題についてのビラも配った。

プリヤンカ・ナラヤンさん(ハーバード大1年生)は「日本政府は慰安婦被害者に謝るべき」と話した。

学生たちは引き続き安倍首相に送る公開書簡を朗読した。「第2次世界大戦中、性的奴隷制の運用に日本政府が直接介入したことを安倍首相が認めるよう求める」という内容だった。

チェ・ミドさん(21)とクローディン・チョさん(22)が共同で作成したこの書簡には、ハーバード韓人連合、ハーバード台湾文化協会、ハーバード・フィリピンフォーラム、ハーバード黒人学生連合など18の学生団体と160人余りの学生が署名した。ハーバード学生団体が連帯署名して慰安婦問題に対する日本政府の謝罪を求めたのは初めてだ。

(後段省略)


慰安婦:韓国系米大学生、安倍首相に挑発的質問するも… 2015/04/29 08:33 朝鮮日報日本語版

(前段省略)

講演後の質疑応答で、同大学の学生たちも日米間のエネルギー協力や東アジア地域紛争緩和のための日本政府の努力など、日本に友好的な質問をした。埋もれてしまうところだった慰安婦問題を取り上げたのは4人目の質問者として立った韓国系のジョセフ・チェ(韓国名:チェ・ミヌ)さん(20)だった。

ハーバード大学のロゴ入りトレーナーを着たチェさんは、丁寧で落ち着いた口調で「旧日本軍と政府が慰安婦連行に関与したという強力な証拠があるのにもかかわらず、なぜ日本政府は慰安婦数十万人を強制的に連行した事実を今も認めていないのですか」と質問した。チェさんは安倍首相の前で「性奴隷」(sexual slavery)という直接的な表現を使った。今回の訪米期間中に歴史認識問題が取りざたされることを望んでいなかった安倍首相に対し、回答せざるを得ない状況を作ったのだ。

安倍首相は「慰安婦問題について言えば、人身売買の犠牲になり、形容しがたい苦しみや痛みを経験した方々のことを考えるたびに、私は胸が痛む」と遺憾の意を表明したが、人身売買の主体が誰だったかは言及しなかった。慰安婦問題に対する謝罪やおわびの表現もなかった。

チェさんはこの講演後、本紙のインタビューに「昨日(26日)、元慰安婦の李容洙(イ・ヨンス)さん(86)がハーバード大生との懇談会でつらい経験を証言、涙したのを見てとても胸が痛んだ」「朝早くケネディスクールの前でほかの学生約100人と『反安倍』沈黙デモに参加した後、慰安婦に関する質問をするためわざわざ講演会場に入った」と言った。


ハーバード大生「慰安婦は性的奴隷」…安倍首相「人身売買」繰返す 2015年04月28日08時43分 中央日報日本語版

日本の安倍晋三首相は結局、謝罪しなかった。慰安婦被害者に対する「謝罪(apologize)」もなかったし、日本政府が慰安婦問題に介入したということを「認定(acknowledgment)」することもなかった。安倍首相の「謝罪なき訪米」に対する憂慮が現実となった。

27日(現地時間)、ハーバード大学ケネディスクールを訪れた安倍首相は演説後に「日本政府が第2次世界大戦中に数多くの女性を強制的に性的奴隷にしたが、介入したことを認めるか」という客席からの質問を受けた。韓国系ハーバード大学2年生チェ・ミンウ氏(20)の質問だった。

安倍首相は「(慰安婦被害女性たちが)人身売買にあい、言葉では言いようのない苦痛を味わったことを思えば今でも胸が痛む。この気持ちは歴代首相らと違わない」と話した。引き続き「河野談話を継承するということは何度も話してきたし、こうした観点で日本は今まで慰安婦被害者を実質的に癒すためのさまざまな努力をしてきた」と話した。

最近、慰安婦問題の悲惨さを薄めるために使ってきた「人身売買(human trafficking)」という単語を再び使い、日本が紛争地域の性的暴行の根絶のために莫大なお金を投じたことを強調した。慰安婦被害者に対する心のこもった謝罪は探すことはできなかった。

(後段省略)


参考URL:
A public address by Shinzo Abe, Prime Minister of Japan Monday, April 27, 2015 The JFK Jr. Forum

元神風特攻隊員が綴る鎮魂の記録 蒼空の果て: 神風特別攻撃隊(特攻隊) 戦死者名簿:沖縄方面作戦:台湾方面所在航空隊

中国共産党、最後の輸出品“バブル崩壊”

英国含めた欧州と日米それぞれの安全保障のリスクに関する地理的な距離が外交と経済における懸隔の差を生み出している。危険性があっても、それが直接火の粉を被らないと思っていれば、確かにアジアインフラ投資銀行(AIIB)に出資することも出来るだろうし、IMFのSDRに人民元を採用することを目論んだり、人民元のハードカレンシー化に協力することも出来るのだろう。

中国共産党がパキスタンへ投資して、パキスタンのグワダル港から中共の内陸部(新疆ウイグル自治区)への物流ルートが拡充すれば、中共のシーレーンの脆弱性は緩和される。中央アジア諸国への投資も同様の趣旨だろう。

ところが足元の景気動向は悪化している。中国人民銀行が預金準備率を100bpも切り下げて流動性を供給している。これに追随して不動産バブルは消費目当ての物流を狙った「倉庫バブル」に絞られ、行き場を失ったカネが上海市場に流れ込んでいる。国有企業とドル建て債券のデフォルトが初めて起きており、中国共産党は暗黙の政府保証はしない、との意思表示を示した訳だ。

香港~上海市場の相互乗り入れが想像したよりも速いペースで信用取引を拡大させており、人民元のハードカレンシー化も順調に進むならば、むしろバブル崩壊の影響が輸出される怖れもある。

中国 景気減速で海外へ「資金流出」 政府高官 4月23日 20時17分 NHK NEWSWEB

中国では国内の景気が減速するなか、通貨=人民元を売ってドルを買う取り引きが活発になっていて、中国政府の高官は海外への資金の流出が起きているという見方を示しました。

中国の国家外貨管理局は、企業や個人などがことし1月から先月までの3か月間に行った為替の取り引きについて、通貨=人民元を売ってドルを買った金額が、ドルを売って元を買った金額を914億ドル(日本円でおよそ10兆9000億円)上回ったと発表しました。これは前の3か月間に比べてほぼ2倍の増加で、先月だけでも元が7兆円以上多く売られるなど、中国でのドル需要は月を追うごとに増えています。

この背景には、中国経済が減速する一方で、アメリカの景気が回復傾向にあるなか、企業の間で資金をアメリカなど海外への投資に充てる動きが広がっていることなどがあるとみられます。

国家外貨管理局の管涛国際収支局長は記者会見で、ドルの需要の高まりは中国から海外への資金の流出を示すものだと指摘したうえで、流出の規模は想定の範囲内であるものの、今後も資金の流れを注意深くみていく考えを示しました。その一方で、短期的な投機資金、いわゆるホットマネーや違法な送金などの存在について、管局長は「あるとは言えない」と述べるにとどまりました。


中国の不動産開発会社に巨額隠れ債務の恐れ、合弁形態が要因か 2015年 04月 23日 17:06 JST ロイター

中国不動産市場で「倉庫バブル」発生か 2015 年 4 月 22 日 14:44 JST WSJ日本版

世界はデフォルトを歓迎-ドル支配に挑む中国の戦略か 2015/04/22 12:28 JST ブルームバーグ

中国、国有企業の情報公開強化へ 透明性向上で汚職防止目指す 2015年 04月 22日 00:18 JST ロイター

UPDATE 1-中国国有企業が初のデフォルト 天威保変、利払い不能に 2015年 04月 21日 22:30 JST ロイター

UPDATE 1-中国・佳兆業の債券価格が下落、ドル建て債デフォルトで 2015年 04月 21日 14:59 JST ロイター

上海証取の売買代金が1兆元突破、NY証取抜き世界首位に 2015年 04月 20日 22:58 JST ロイター

中国人民銀、ECB式の資金供給を検討=関係筋 2015 年 4 月 20 日 11:08 JST WSJ日本版

中国人民銀、預金準備率を1%ポイント引き下げ 2カ月半で2回目 2015年 04月 20日 07:46 JST ロイター

英財務相、人民元の構成通貨採用案を支持 2015年 04月 18日 05:15 JST ロイター

人民元は決済システムに加わる必要、取引困難化も=HSBC 2015年 04月 10日 20:05 JST ロイター

中国、環境対策失敗なら社会不安の火種に=シンクタンク 2015年 04月 10日 19:42 JST ロイター

焦点:中国のインフラ建設ブームが生み出す「無用の長物」 2015年 04月 10日 17:55 JST ロイター

アングル:中国政府、地方債のデフォルト放置は口だけか 2015年 04月 10日 17:10 JST ロイター

アングル:中国が元の地位向上に躍起、IMFのSDR採用めざし 2015年 03月 27日 14:08 JST ロイター

[香港 26日 ロイター] - 中国は今週、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨に人民元を採用するようトップセールスを展開した。一段の人民元改革を約束し、採用に向けた地ならしを進めている。

国際準備資産であるSDRのバスケットに人民元が採用されれば、中国の国際的な地位が大幅に向上し、外貨準備資産の一部として人民元を保有する中央銀行も増えそうだ。

中国国営の新華社によると、中国の李克強首相はラガルドIMF専務理事に対し、「中国はSDR(への人民元採用)を通じ、金融の安定維持や、中国の資本市場および金融分野の開放促進に向け、国際協調の中で積極的な役割を果たすことを望んでいる」と述べた。

これとは別に、IMFがSDRの構成通貨採用で人民元の完全な交換性実現を求めていないにもかかわらず、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は、年内に資本勘定の完全な交換性を実現するために努力すると表明した。

市場の想定よりも早期に人民元の完全な交換性を実現するとの目標は、金融市場改革の深化に向けた中国の意欲を示している。

HSBCのストラテジストは顧客向けノートの中で「中国がSDR採用の準備ができているとする周総裁の見方をわれわれは共有する。年内に人民元がSDRに採用される可能性が高いとわれわれは考えている」と指摘した。

HSBCは、人民元がこの10年間の終わりまでに、世界で最も活発に取引される五大通貨の一角を占めると予想。中国政府が改革を実行すれば人民元の完全な交換性が2017年までに実現すると見込んでいる。

米ドル、ユーロ、ポンド、円で現在構成されるSDRバスケットをめぐっては、5月の非公式理事会で第1段階の見直しがまず行われ、10─11月に正式な再評価が実施される運びだ。構成に変更があれば、2016年1月から適用されることになる。

前回SDRバスケットの見直しがあった5年前との違いは、中国が国内市場開放ペースを大幅に加速させ、外国人投資家による人民元利用の選択肢を増やしたことだ。

実際、国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、「レッドバック」とも呼ばれる人民元はカナダドルや豪ドルを抜き、世界の決済通貨トップ5入りを果たした。クロスボーダーの人民元建て貿易決済が中国貿易全体に占める割合も、2010年の1%から20%強に上昇した。

さらに、関係筋がロイターに明らかにしたところによると、中国国際決済システム(CIPS)と呼ばれる人民元決済インフラの準備が整い、9月か10月にも始動する予定。これは人民元国際化に向けた最大の障害の1つがなくなることを意味する。

中国国家外為管理局(SAFE)によると、中国は1996年以来、経常勘定の下で完全な交換性を実現しているほか、資本勘定でも40項目のうち34項目で既に交換性が実現しているという。

ただ、証券投資や借り入れといった主だった分野は、資本の急激な流出、もしくはホットマネーの流入への警戒から依然として規制の対象となっている。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのアナリストは、SDRバスケットにおける人民元のウエートは約13%となり、ポンドと円を上回ると見込んでいる。だが、依然としてドルやユーロには遠く及ばない水準だ。

(Michelle Chen記者 翻訳:川上健一 編集:加藤京子)


アングル:中国企業の海外事業買収、資源分野除けばかなり好成績 2015年 03月 27日 13:00 JST ロイター

人民元改革、リスク管理しながら進める=中国外為当局 2015年 03月 26日 14:48 JST ロイター

欧州初の人民元建てMMF、ロンドン証取に中国建設銀ETF上場 2015年 03月 26日 00:18 JST ロイター

中国、銀行間市場での外国勢投資規制を緩和へ=関係筋 2015年 03月 25日 23:31 JST ロイター

中国証監会、国有企業の海外先物取引認可に前向き=高官 2015年 03月 25日 18:59 JST ロイター

人民元の構成通貨採用、IMFでホットな話題=英当局者 2015年 03月 25日 00:04 JST ロイター

“ピボット”の焦点となるフィリピン

米国が安全保障を図る上で欠かせない太平洋と隣接する北東アジアから東南アジアの地域を防衛するために、ピボットの焦点としてフィリピンが注目される。

米軍のローテーション拠点には8ヶ所が予定されており、対象地のうち4ヶ所はルソン島、2ヶ所はセブ島にあり、残り2ヶ所はパラワン島で係争中の南沙諸島近くにある。

United States seeks access to Philippine bases as part of Asia pivot APR 25, 2015 REUTERS/THE JAPAN TIMES

MANILA – The United States has asked for access to Philippine military bases in eight locations to rotate troops, aircraft and ships as Washington shifts its forces to Asia and as China expands its military presence in the South China Sea.
【マニラ】 米国は、中国が南シナ海における軍事的プレゼンスを拡大するのに合わせて、アジア方面に軍隊をシフトしようとしており、部隊・航空機・艦船をローテーションするために8ヶ所のフィリピン軍基地の使用を要請している。

U.S. Defense Secretary Ash Carter, in a speech in Arizona, has outlined Washington’s next phase in its Asia “pivot,” deploying its most sophisticated destroyers, bombers and fighters to the region.
国防長官のアッシュ·カーターはアリゾナ州で演説し、ワシントンが考える“ピボット”の次段階について、当該地域に最新鋭の駆逐艦や爆撃機、戦闘機を配備する、というその概略を説明した。

The pivot has already seen U.S. Marines rotating through the Australian tropical city of Darwin, the country’s closest city to Asia, for training.
“ピボット”の動きが見られるのは、最もアジアに隣接した熱帯の都市、豪州のダーウィンであり、ここでは海兵隊の巡回と訓練が既に行われている。

At least eight locations in the Philippines have been identified as possible sites where U.S. troops, planes and ships will be rotated through a series of military training and exercises, Philippine military chief Gen. Gregorio Catapang told local television network ABS-CBN.
「少なくとも8ヶ所の予定地で、米国の部隊・航空機・艦船がローテーションしながら訓練と演習を行う可能性がある」と、フィリピン軍の将軍Gregorio CatapangはローカルテレビネットワークのABS-CBNに述べた。

But the Americans will have to wait until after the Philippine Supreme Court rules on the constitutionality of the military deal, called the Enhanced Defense Cooperation Agreement, signed last year between Manila and Washington. It may decide later this year.
しかし、「防衛力強化に関する協力合意」と呼ばれるマニラ-ワシントン間で署名されたこの協定は、フィリピン最高裁がこの軍事的取引の合憲性に関する審理後まで発効を待たなければならない。この審理は今年後半に下される。

“If we formalize (now) and they start putting up structures and it’s not constitutional, they will have to destroy those structures,” Catapang said late on Friday, adding the list was finalized in October during a Mutual Defense Board meeting.
「現在、型どおりに防衛協力の構築を始めていくが、これが合憲でないとされた場合には協力関係を壊すことになる」金曜の相互防衛委員会の会議の席上、10月までにリストを作成する、と Catapangは述べた。

Four of the locations are on the main island of Luzon, where U.S. and Filipino soldiers usually hold exercises, two are on the central Cebu island, and two more are on the western island of Palawan, near the disputed Spratly Islands.
対象地のうち4ヶ所はルソン島で、ここでは米国とフィリピンが演習を行っている。2ヶ所はセブ島にあり、残り2ヶ所はパラワン島で係争中の南沙諸島近くにある。

China claims most of the potentially energy-rich South China Sea, which has led to disputes with the Philippines, Vietnam, Malaysia, Brunei and Taiwan, and denies accusations that its actions are provocative.
中国は豊かな資源が期待される南シナ海のおいて、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾との紛争につながった自国の挑発的な行動に対する非難を拒否している。

Recent satellite images suggest China has made rapid progress in building an airstrip suitable for military use in contested territory in the Spratly Islands, which drew concern from the United States and its allies in Asia.
最近の衛星画像が示唆するところ、中国が係争中の南沙諸島の環礁に軍事用の滑走路建設を急速に進めており、米国とアジアの同盟国から懸念を抱かせている。

“Once the U.S. rebalance to Asia policy is in full swing, the Philippines expect the Americans to seek more access to military bases on Mindanao island and civilian airstrips on Luzon,” said a senior air force official familiar with the arrangements.
「米国はアジア政策へと“リバランス”することに全力であるが、フィリピンは米国がミンダナオ島の軍事基地とルソン島の民間滑走路へより多くのアクセスをするものと期待している」と、両国のアレンジメントに精通した空軍関係者は述べている。

“The Americans are interested in Laoag airport and Batanes Island, both in the northern part of Luzon,” he said, adding U.S. planes had landed on Batanes during the war in Iraq and Afghanistan in the early 2000s.
「アメリカ人はルソン島の北部にあるラオアグ空港とバタネス島に興味を持っている」彼は米軍の航空機は2000年代初め、イラクとアフガニスタンでの戦争中にバタネスに上陸していた、と述べた。

The United States is also interested to return to its two former military bases in Subic and Clark, which they left in 1992 after the Philippines terminated a basing agreement.
また米国はフィリピンが1992年に基地契約を終了した後、残存しているスービックとクラーク両基地に戻れるかに興味がある。

比越戦略的パートナーシップを促す中国共産党

2015年1月にはフィリピンとベトナムの外相会談が行われており、我が国を媒介する形で、南沙諸島で中共と対峙するフィリピンとベトナム両国の戦略的な関係も深まるだろう。

と、2015年3月17日のエントリーで述べたように、

南シナ海で人民解放軍の侵入に苦闘するフィリピンとベトナムが戦略的パートナーシップを締結するために交渉していることが明らかになった。

すでに南シナ海のミスチーフ礁は中共が埋め立て作業を進めている。同礁はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあるにも関わらず、実効支配を覆せない状況にある。米比合同軍事演習は過去15年来、最大規模で行われているのも中共を意識したものにほかならない。

中国が南シナ海で埋め立て作業加速、揚陸輸送艦の姿も 2015年 04月 9日 12:12 JST ロイター

南シナ海で建設する人工島、防衛・民間向けに利用=中国外務省 2015年 04月 10日 08:45 JST ロイター

米・フィリピン合同軍事演習開始、過去15年で最大規模 2015年 04月 20日 16:16 JST ロイター

比越、戦略的パートナーシップに向け協議 2015/4/21 19:02 日経

【マニラ=佐竹実】中国と南シナ海の領有権を争うフィリピンが、ベトナムと戦略的パートナーシップの締結に向けて協議を進めていることが21日分かった。中国は南シナ海のほぼ全域を自国領と主張し、南沙諸島の暗礁では広範囲な埋め立てを急ピッチで進めている。比越は中国による実効支配に懸念を強めており、情報共有などの分野での提携を探っている。

 26日からマレーシアで開く東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で、比越両国が提携について協議する可能性もある。


United States seeks access to Philippine bases as part of Asia pivot APR 25, 2015 REUTERS/THE JAPAN TIMES

参考URL:
南シナ海で中国に対抗する ベトナム・フィリピンの協力関係 2015年03月12日 Wedge

イエメン空爆は終わった、と云うがそれは嘘だ

イエメン内戦に介入しているサウジアラビアは、これまで英米やアラブ・中東地域で人口の多かったエジプトやイラクの軍事と外交に頼ってきた。エジプトを中心としたイスラエルとの中東戦争への援助、イラクのイラン革命への介入の援助、湾岸戦争以降の米国に対する基地提供などが挙げられる。

イエメン内戦の介入に際してはサウジアラビアがアラブ連盟の有志国をまとめあげて空爆する。それまでとはまったく違ったアプローチが採用された。自国の国益を自国の軍隊で守る。また自国の外交官が各国に飛び、自国の戦略的な武器である原油とその生産量を交渉に使う。

こうした積極的な変化は中東軽視と思われるようなオバマ政権の中東外交失敗で加速してきた。米国は、エジプトのムバラク政権を見捨て、パレスチナ和平を崩壊させて、核を開発してきたシーア派国家イランとのエンゲージメントを進めている。米国がサウジアラビアの利害関係を意図せず(もしくは意図して)破壊しているため、その関係は悪化し始めている。

振り返れば1933年来、採掘を続けていたスタンダード・オイル・オブ・カリフォルニア(現在のシェブロン)が、ダンマン油田を掘り当てることに成功したのが1938年のことだ。メキシコ革命終焉後、革命の最終的な成果として、ときのラサロ・カルデナス政権が石油利権を国有化(現在のペメックス社)したのも同じ1938年だった。米国-サウジの蜜月関係はここが原点だった。

ところが2014年には、NAFTA以降の利権再分配が一巡したメキシコは、新たな投資を呼びこむために1938年来のペメックス社の独占を一部緩和して、2013年末、法案を通し、米国資本を招致する。一方のサウジアラビアは日量1000万バレルの生産量を続けて、原油価格を半値近くに誘導して、米国のシェールガス潰しとイランの原油潰しを同時に進めている。原点となった石油利権の面についても、1938年以降の米国-サウジの蜜月関係が崩れてきたのだ。

イエメン内戦への軍事介入が終了したと、サウジの国営テレビが伝えているが、サウジ国王は国家防衛隊を作戦参加させると明言している。イランはアデン湾に戦艦を向かわせている。米国は派遣した空母などは対イランのためではないとアナウンスしている。

米国、シェール増産で2017年までに天然ガス純輸出国に=EIA 2015年 04月 15日 14:33 JST ロイター

The New Saudi Foreign Policy April 17, 2015 CFR

インタビュー:サウジ4月原油生産、過去最高に近い水準=石油相 2015年 04月 20日 17:45 JST ロイター

米海軍がイエメン近海に空母と巡洋艦派遣、海上警備で 2015年 04月 21日 07:33 JST ロイター

エジプトのモルシ元大統領に禁錮20年、デモ隊殺害を扇動 2015年 04月 21日 17:48 JST ロイター

サウジなど湾岸諸国、イエメン軍事介入を終了=国営サウジ通信 2015年 04月 22日 07:12 JST ロイター

対イエメン軍事作戦終了を歓迎、政治解決が必要=イラン外相 2015年 04月 22日 19:18 JST ロイター

サウジ軍、イエメンで空爆続行 2015年 04月 23日 08:30 JST ロイター

Iranian naval convoy bound for Yemen turns back toward home April 23, 2015, 8:58 PM (IDT) DEBKAfile Special Report

「レアアースのゲーム」は終わった

そのゲームに常に勝ちたいなら負けが付く前に降りてしまえ、そのゲームのルールを全廃してゲームをなかったことにしてしまえ、永久に勝ち負けが決まる前の瞬間を保っておけば、永久に勝つ可能性は保っておけるではないか。

と、そのくらい不可知のゲームを繰り広げたのは中国共産党であって、彼らの勝負は「レアアースのゲーム」だった。勝負ルールの要は環境保全を目的とした輸出制限税。ルールを撤廃したことで「レアアースのゲーム」は終わった。

中国、レアアース輸出税を5月1日から撤廃 2015年 04月 23日 16:39 JST ロイター

[香港 23日 ロイター] - 中国財政省は23日、レアアース(希土類)、合金鉄、タングステン、モリブデン、インジウムの輸出にかかる税を5月1日から撤廃すると発表した。

併せて、アルミニウム合金ロッド・バーなどにかかる輸出税も撤廃する。

これらの輸出税撤廃は、昨年世界貿易機関(WTO)が中国のレアアース輸出制限を協定違反と認定して以来、広く予想されていた。

ある輸出企業の幹部は「これらの輸出は小規模にとどまっているので、目先の輸出に大きな影響はない」と述べた。


「レアアースのゲーム」2011年~2012年版をリプレイすると、筆者も次のように書いている。

「WTOの判断で中国の戦略が変わる訳ではない。取る手段だけだ」と、アナリストも言っているが、尖閣諸島中国漁船衝突事件(2010年9月7日)以降の顛末を見る限り、ほぼ4年になろうとしているが、戦術的勝利も得ていないと思われる。

→環境保全などを名目とした中国の採掘制限により価格高騰
→投機資金も加わりさらに価格高騰
→レアアースを使用する部品メーカーが耐えきれず価格転嫁
→部品購買者である自動車メーカーも価格転嫁
→価格高騰で採算見込みの立った代替鉱山と商社による供給契約・共同開発交渉が進展する
→最終商品価格値上げにより需要減少及び代替鉱山からの供給増加の見込みから価格低落・安定する
→さらに部品メーカーの中国以外の産出国での現地生産が進む
→またレアアース使用量削減もしくは不要な代替技術の開発が進み商品化の目途も立つ
→環境保全の目処も立たないまま価格及びシェア低下を招き、中国のレアアース輸出制限の意味合いがなくなる

と、2012年1月28日のエントリーで触れた通り、領土・勢力圏の拡大と云う戦略も達成できず、レアアースのバリューチェーンで下流を抑えているとも言い難い。

中国共産党の内政外交が必ずしも優秀ではないことを端的に示す例になった。次の目玉政策はアジアインフラ投資銀行になるのではないか。「レアアースのゲーム」のように、いつの間にか店仕舞いしているかもしれない。

2014年6月4日のエントリーのロイター電は以下の通り。

中国のレアアース輸出規制をめぐり、世界貿易機関(WTO)の紛争処理小委員会(パネル)は今年に入り、中国が国内の主要ハイテク産業を不当に優遇しているとした米国、欧州、日本の訴えを認める判断を下した。

レアアース輸出規制を不当としたWTOの判断に対して、中国は上訴したものの、政府とつながりのある業界筋によると、結局は判断を受け入れざるを得ず、来年までにレアアースおよびタングステン、モリブデンの輸出規制を撤廃する可能性があると指摘した。

WTOの判断に従うのは、中国にとって戦術上の調整に過ぎず、価格決定権を握り、精製など下流部門での市場シェアを確保するという長期計画は変わらない見通し。

と、ではその長期計画は見通しが立ったのか。今まさにレアアースの輸出制限税は撤廃されたともう一度声を大にして云うべきだろう。

もはや雨傘は開くことはなく

香港政庁は2017年に予定される次期行政長官選挙の制度改革法案を立法府に提出した。直接選挙ではなく、間接選挙による代理人は民主派が排除される、と思われており、この横紙破りに民主派は直接的な示威行動に出た。オキュパイ・セントラル~雨傘革命の動きがそれだ。再び民主派は直接行動に訴えることが出来るだろうか。

香港政府、選挙制度改革法案を提出 民主派の反発必至 2015年 04月 22日 14:54 JST ロイター

[香港 22日 ロイター] - 香港政府は22日、次期行政長官選挙から導入予定の選挙制度改革について、立法会(議会)に法案を提出した。ただ法案は、民主派の立候補を事実上排除した中国の決定を踏襲しており、民主派の反発は必至だ。

選挙制度改革をめぐっては昨年末、民主派の激しいデモが起きた。

アナリストは、法案提出を受けて政治的な緊張感が再び高まる可能性がある、との見方を示している。立法会は初夏にも採決する見通し。

梁振英行政長官は、法案提出前に記者団に「妥協の余地はない」と表明。「政治改革のプロセスを開始することは容易ではない。法案が否決されたら、次の機会まで何年も待たなければならない」と強調した。


まず2015年2月2日のエントリーを再掲する。

香港のオキュパイ・セントラルの規模が拡大していくうちに、それが雨傘革命と呼ばれるようになったのは、治安当局の催涙弾を防ぐためにデモ参加者が雨傘を使ったことに由来している。

雨傘は催涙弾からその身を守ることはできたが、李嘉誠氏の財産までをも守ることはできなかった。雨傘革命の終焉と相前後して、李嘉誠氏の「奔香投欧」(香港から奔走して欧州に投資する)は加速している。

そもそも雨傘革命とは何だったのか。

経済成長の鈍化に伴って格差是正をもたらす機会そのものの減少が起き始めており、香港の若年層中心に政府による利権の再分配、その再分配を決める議会などの選挙制度改革を求めた示威行動が雨傘革命だった。

政治がつまるところ利権の分配であることを考えると、香港人の要求はおかしいものではない。行政長官選挙の制度変更の要求が受け入れられなかったのは、中国共産党の支配の根幹を揺るがすイデオロギーに直結したからにほかならない。

1989年の天安門事件以降に逆張りした李嘉誠氏が逃げ出している背景として中共の人口ボーナス終焉も影響している。

人口ボーナス終焉に伴う安定成長への移行に併せた改革を進めると同時に、恣意的な腐敗追求によって有力な共産党員の生命と財産に危機が迫る。党員にかぎらず、李嘉誠氏の「奔香投欧」が象徴するように資本家の生命と財産を守れなければ、議会制民主主義など発生しようもない。

生命と財産の自由のないところに、言論と信教の自由はなく、また集会と結社の自由もない。

筆者はオキュパイ・セントラルから雨傘革命の進展に関して、2014年10月3日のエントリーでは以下のように述べている。

今回の香港民主化デモの焦点のひとつとなっているのが2017年の香港行政長官選挙である。2011年11月の香港区議会選挙で中央に批判的な民主派が大敗して、行政長官の直接選挙は見込めなくなった上に、間接選挙の代理人から民主派が排除されたのも要因となっている。

3年を経ずして民主派が盛り返して、民衆がデモに参加するということは、支那本土のバブル崩壊と習近平体制下の派閥抗争が利権再分配に影響し始めて、その不満が表れている、と素直に解釈しておこう。

とは云え、台湾の両岸サービス協定の批准拒否といった直接的な利害関係がはっきりしないので、落とし所が見えない。当初、民主派の指導者は中環(セントラル)占拠のみに留めて、金融街にダメージを与えて、行政長官選挙の代理人に民主派をねじ込む、という落とし所があったのだろうが、予想を上回る拡散によってその交渉のテーブルが作られる時期も測れなくなった。

もともとは「ウォール街を占拠せよ」の亜流と思われていたし、騒乱がボラティリティのネタにしかならないことを考えれば、思惑通りに行かなかった方が良かったかもしれないが。

他方、習近平国家主席はベルギーのとある大学で講演し、支那には自由、複数政党制による民主主義と人権はそぐわない、と述べた(2014年4月6日のエントリー参照)ことにも着目すべきだろう。また、習主席が香港の一国二制度を返還に際して企てられた英国の謀略と受け取るだけか、スコットランド独立投票の背景にみられるように英国の歴史的所産と受け取るかによっても事態の方向性は変わってくる。

そもそも租税負担に端を発して英国の清教徒革命、合衆国の独立革命、フランスの大革命は起きた。税徴収とその分配こそが政治の要諦だったからだ。これが歴史上、当てはまらなかったのが支那だった。

支那の革命は、欧米のレボリューションと違い租税を負い担う側が革命を完遂した過去の栄光を持たない。財産を多くの支那人は持っていなかったからだ。筆者は2011年11月8日のエントリーで、孫文が欧米のレボリューションからブルジョワの姿を消し去っている姿を説いた。

たしかに孫文は『三民主義』を唱えた。それは民族主義、民権主義、民生主義の3つから成る。しかし、字義通り彼は民主主義など考えていなかった。と云うより民主主義の基盤である国民の生命と財産の自由を理解できなかった。

支那の伝統においては、統治者が国民の生命を守ることなど出来なかったし、多くの国民は租税を担うだけの私有財産など持ち合わせていなかったからだ。そもそも共通概念としてそれらを認め合う国民がいない。

生命と財産の自由のないところに、言論と信教の自由はなく、また集会と結社の自由もない。つまり国民が各政党から代議士を選び国を運営するような議会制民主主義など発生しない。

現在の中国がいかに経済発展したといっても、香港含めて中国において、租税を担うだけの私有財産を持つ者とはブルジョワジーであり、彼らが制限的な一種の身分制議会を作ればよいのだが、共産党支配下においては彼らは忌むべき存在である。よってここでも自由は萌芽のうちに摘み取られる。

一方で、支那の伝統には、統治者は民衆の直接行動に弱いという点がある。天安門事件などで弾圧し放題な例に気を取られがちだが、今年だけでも8月に遼寧省大連市の化学工場の撤去、10月に浙江省湖州市のミシン税導入の撤回などの事例がある。

民意を取り入れる間接的な仕組みが弱いため、特に直轄の軍事力が弱いため、支那の統治者は『民信なくば立たず』として要求を受け入れざるを得なくなる。時には理不尽な要求を民衆がしても、それに乗じることが支那の政府にはあり得るのだ。

と、述べた。

上記の化学工場撤去、ミシン税撤回といった前例のように、直接行動の要求がイデオロギーに関係なく中国共産党の支配の根幹を揺るがすことにはならず、民衆の利害得失にとっても明確であれば、両者は大いに妥協する余地がある。

しかし、今回の要求は行政長官選挙の制度変更であり、それすらデモの大規模化ではっきりしなくなってきた以上、妥協の余地がない。中国共産党はもとより香港の民主派にとっても手詰まりに陥っていくしかない。

妥協を考慮せず、清教徒革命やフランス革命の先例に倣い、その成功を企むならば、初期は民衆を動員できること、その途上では論功行賞の一環として民衆にも利権を分配できること、最終的には左右両派閥を駆逐して中道勢力が権力=軍事力を握れるかに懸かっている。この場合の中道はブルジョワジーを指しても良い。

近代化(資本主義化)が果たされた現在、納税金額の多寡に応じて議席を配分する一種の身分制議会を発足させることから始めるのが望ましいが、清朝最盛期に貧しい自作農が急増した支那の歴史からいって無理筋のように思える。

支那本土の穀物の生産性の低さは帰結として平等をもたらしはした。もっともその社会風土では自由なイノベーションによってもたらされる富を不平等と感じ、企業家に社会的地位と敬意を与えない。香港がブルジョワ革命を成すには、この意識が先進国と同じかにまず懸かってくる。

我が国は1989年の天安門事件の後であっても、欧米の反対を押し切るか、なだめすかしながら天皇陛下訪中に始まり、中共をサプライチェーンの中に組み込んでいった。この時点から、支那の伝統から中国共産党の結末を見据えていた人士もいるのではなかろうか。わずか20年の経済的台頭の反動はそうそう抑え込めるとも思えない。最悪、香港の民衆が銃火に倒れたとしても、我が国は1989年と真逆のコースを加速させるだけに過ぎない。

チャイナ・コンセンサスと“一帯一路”

チャイナ・コンセンサスを論じてきた米豪の識者は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の雪崩を打った参入表明に敗北を感じて、チャイナ・コンセンサスを緩やかに解いていこう、とする論が現れた。一方、二国間プロジェクト・ファイナンスの失敗続きを中共が認めて、AIIBの設立に動いたという見方もある。

米国は信じているか信じていないかは置くとして、自分の善意を投影した「協力的な支那」とともに歩むチャイナ・コンセンサスを唱えて、支那と中国共産党がG2的な立場を担えるかもしれないという幻想を抱いた。一方の中国共産党は“一帯一路”提唱とAIIB設立を自らの理想の物語として流布し始めた。

America's China consensus slowly unravels 17 4 2015 12:00 The Interpreter"

情報開示乏しい中国政府 それでも参加国多数に「外交勝利」「米日孤立」と騒ぐ中国メディア 2015.4.14 07:00 産経ニュース

2012年10月、北京で発表されたある論文が、中国の対外政策を研究する各国の専門家の間で、ひそかな注目を集めた。

 「西進、中国地政学の戦略リバランス」。筆者は北京大学国際戦略研究センターの王緝思主任だ。

 王氏は中国で米国研究の第一人者だが、中国の西、すなわち中央アジアや欧州をにらむ戦略研究は「畑違い」である。

 にもかかわらず論文は力作だった。歴史から説き起こして中国の経済、安保戦略に踏み込んだ。いわく、近代以降の中国が上海などから日本や欧米をにらむ「東進」に偏り過ぎたとして、古代のシルクロードを復活させる「西進」の必要性を指摘。ユーラシアに複数の「新シルクロード」を開くことのほか、協力発展基金の設立など資金支援の枠組みも提言していた。

 中国の米国専門家が「西」を向いたことへの戸惑いは、1年ほどたって今度は納得にかわった。

 中国の習近平国家主席が13年秋、「一帯一路」と呼ばれる新シルクロード経済圏構想を発表。アジアの開発資金をまかなうアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立もほぼ同時に提唱した。14年11月には400億ドルの「シルクロード基金」開設を発表、開発と資金の両輪がそろった。

 論文が示す「西進」がほぼ全面的に中国の戦略となったように見える。習氏の青写真の土台に論文があったとは証明できないが、大構想の一部としてAIIBがあることは間違いない。

 旺盛なアジアのインフラ市場に有利な形で参入するには、まずAIIBの創設メンバーに-。申請期日とされた3月末を前に、欧州諸国も雪崩を打って北京に殺到した。勝ち馬に乗ろうとする「バンドワゴン効果」にほかならない。

 中国海南省で3月末に開かれた中国主導の「ボアオアジアフォーラム」年次総会で、AIIBにかかわる分科会はどこも満席の盛況になった。

 「マーシャルプランに比肩すべき壮大な構想だ」

 香港の投資ファンド「プリマベーラ・キャピタルグループ」(春華資本集団)のフレッド・フー(胡祖六)会長は、AIIBなど開発金融を軸に中国が描く地域戦略を持ち上げた。

 マーシャルプランとは、第二次大戦後に米国が進めた欧州の復興援助計画だ。ドル基軸による戦後の金融秩序を定めたブレトンウッズ体制にAIIBの設立を重ねる議論も出た。

 発足さえしていないAIIBと比較されたのは、米国主導で築かれた戦後の国際金融秩序そのもの。AIIBに高い関心が集まるのは、そこに習近平政権の意志を見るからだ。世界第2の経済大国の実力を武器に、通貨人民元の国際化に踏み出し、米国の意向に左右されない新秩序の構築をめざすという野望である。

 中国が最大出資国となるアジアインフラ投資銀行(AIIB)の融資は、どう実行されるのか。融資審査のあり方などをめぐり各国の関心は強い。

 中国政府の当局者は、「AIIBはこれまでの国際金融機関が通ってきたような回り道は避け、運営効率を上げてコストを下げる」(洪磊・中国外務省報道官)というように、日米主導で既存の開発金融機関であるアジア開発銀行(ADB)と異なる手法を取る方針を示唆する。

 上海の国際金融筋は、中国の説明について、「環境評価や入札の公平性などインフラ整備の融資基準を大きく緩め、プロジェクト立案から融資実行までの期間を大幅短縮するとの意味だ」との解釈を示す。

 さらに、「アジアの港湾や空港建設で中国軍の利用を想定した案件に、監視もなく巨額融資が行われたらどうなるのか」と例を挙げ、「国際社会はこのリスクをどこまで理解しているのか」と懸念を隠さない。

 AIIB創設メンバーとなる申請の最終日だった3月31日、中国外務省の記者会見では、関連の質問が殺到した。

 華春瑩報道官は、「開かれた地域主義」などの公式回答を繰り返したが、記者団は納得しない。ある欧州メディアの記者は、「AIIBに参加しなければ、関連案件にその国の企業が入札する資格がないと聞き、各国はとりあえず参加を表明した。だが、中国側から得られた情報があまりに少なく、この選択をみな不安に思っている」と語る。

 中国の国内報道は、AIIBへの参加申請が中国の予想を上回ったことで、「外交の勝利」「米日が孤立」と騒ぎ続ける。「そこに重大な政治的意義がある」(環球時報)として、AIIBの政治的側面を堂々と認める論調もある。

 だが、現実問題の金融面で「格付け」が議論を招くことは避けられない。主体が中国であるだけにAIIBの格付けは中国の国債とほぼ同じと予想され、信用力でADBなどには及ばない。

 双日総合研究所取締役副所長の吉崎達彦チーフエコノミストは、「金融機関の本質はリスクの高い融資案件に厳格にノーと言う明確な基準があること」として、「(AIIBが)党の指示に逆らってまで独立性を保ち融資先を決められるのか」と指摘。「国際金融機関に二重構造ができるのではないか」とみている。

(上海 河崎真澄、北京 矢板明夫、海南省ボアオ 山本秀也)


覇権主義的な中共の登場にショックを受けるナイーブな米国の姿というのも自らの正義を信じることの出来るナイーブさの発露と理解できれば、それほど不可思議なものではない。AIIBによって米国が覚醒する、つまりはあるとき、米国の覇権に挑戦する敵としての中共の姿を知った訳だ。

習近平はグワダル回廊を諦めない

中共の習近平国家主席は、パキスタンを訪問して経済協力に合意する。合意された予算は総予算460億ドルに及び、中国新疆ウイグル自治区~パキスタンのグワダル港に至る回廊建設の一部に使われる。

習近平の思惑は北東アジアから東南アジアのシーレーンをショートカットして、インド洋とアラビア海に直接アクセス、ここのシーレーン防衛に集中して、グワダル回廊を使ってコモディティほかの戦略物資を本土に運ぼうとすることにある。ボトルネックはこのルートでは、支那本土すべての原材料の需要は満たせないということにある。

習近平主席 パキスタンなど訪問へ 4月20日 4時00分 NHKNewsWeb

中国の習近平国家主席は、20日からパキスタンとインドネシアを訪問し、周辺国との関係を重視する姿勢を強調するとともに、アジア・アフリカ首脳会議に出席して演説を行い、発展途上国側のリーダーとしての存在感をアピールするものとみられます。

中国の習近平国家主席は20日から24日までの日程で、パキスタンとインドネシアを訪問します。

国営の新華社通信は、2か国はいずれも中国が設立を提唱するアジアインフラ投資銀行の創設メンバーだと指摘しつつ、「習主席がことし最初の外国訪問先に周辺国を選んだのは、中国の外交戦略の中で周辺外交が最も重要な地位を占めていることの表れだ」と伝えています。

中国はパキスタンのアラビア海に面するグワダル港の整備を援助しているほか、この港と自国の新疆ウイグル自治区を鉄道やパイプラインなどで結び、中東やアフリカ産の石油の輸入の近道とすることをもくろんでいて、習主席の訪問中に、両国は大規模なインフラ事業などの協力で合意する見通しです。

また、習主席はインドネシアで22日から始まるアジア・アフリカ首脳会議に出席して演説を行い、アジア・アフリカ諸国との協力の強化を打ち出すことにしています。

中国は「現在の国際秩序は不公平で、発展途上国の権益が十分に保障されていない」と主張していて、アジアインフラ投資銀行の創設メンバーに57か国を集めたのに続き、今回の会議では、みずからを発展途上国だとして、発展途上国側のリーダーとしての存在感を内外にアピールし、自国に有利な国際秩序づくりを主導するねらいがありそうです。

グレート・ゲームを忘れたオバマ政権

19世紀から20世紀にかけて英露両国はグレート・ゲームと呼ばれる覇権争奪戦を行った。グレート・ゲームは、日露戦争終結後の1907年に英露協商が結ばれるまで続いた。

その過程でペルシア(イラン)は独立を保ったが、中央アジアのチュルク系民族を支配するロシアとインド亜大陸のムガル帝国を継承した英国の狭間にあって、英露両国の緩衝地帯として勢力範囲を二分割された。同様にアフガニスタンも緩衝国の位置付けがあった。

第2次大戦にはイランは英国とソ連の進駐を受けて、米国のレンドリースを中央アジアのソ連領に輸送するペルシア回廊を持たされた。

この故事を理解すれば、米国がイランへのエンゲージメントを許せば、ロシアもまた自国の利益を追及できるところまで兵器輸出と石油のバーター取引をするのも自明の理ではなかろうか。

米国務長官が露外相に懸念 イランへのミサイルシステム禁輸措置解除で 2015.4.14 09:02 産経ニュース

ロシア、イランへのS300ミサイル禁輸を解除 2015年04月14日 07:45 AFP BB NEWS

【4月14日 AFP】イランが欧米との核協議で画期的な枠組み合意に至ったことを受け、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は13日、イランに対する高性能地対空ミサイルシステム「S300」の禁輸措置を解除する大統領令に署名した。

 イランによる核兵器開発阻止を目指した協議は今月2日に枠組みでの合意に至ったものの、難しい技術交渉はこれからで、イランに対する制裁はまだ一切解除されていない。ロシアによる禁輸解除は、それに先んじる形で行われた。

 イスラエルのユバル・シュタイニッツ(Yuval Steinitz)情報活動相は、ロシアの禁輸解除について、「準備中の核協議合意からイランが得ている国際社会での正当性の直接的な結果であり、制裁の解除に続くイランの経済成長が自国民の幸福のためではなく自国の武装に使われることを示す証拠だ」と非難。

 ジョン・ケリー(John Kerry)米国務長官は、ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相に直接電話をかけ、同ミサイルの禁輸措置解除に関する米政府の懸念を表明。また米国防総省のスティーブ・ウォーレン(Steve Warren)報道官は首都ワシントン(Washington D.C.)で記者会見し、「わが国はこういった売却に対し、以前から公の場で反対の立場を示してきた。有用なものにはならないと考えている」として、「適切な外交ルートを通じてその点を指摘していく」という意向を明らかにした。

 一方イランは、ロシアの決定を歓迎。国営イラン通信(IRNA)によると、ホセイン・デフガン(Hossein Dehqan)国防軍需相は「(ロシアや)近隣各国とさまざまな分野で二国間協力が進めば、地域の安定と安全の維持に大きく寄与し得る」と述べた。

 ロシアは2010年、国連(UN)がイランの核開発疑惑をめぐり高性能兵器を禁輸する制裁を科したことを受けて、イランに対する同ミサイルの引き渡しを阻止していた。イランはロシアが8億ドル(約960億円)の契約を破棄したとして、スイス・ジュネーブ(Geneva)にある国際仲裁裁判所に40億ドル(約4800億円)の損害賠償を求める訴訟を起こしていた。


ロシア、イランへのミサイル禁輸を解除 原油のバーター取引開始 2015年 04月 14日 08:12 JST ロイター

[モスクワ 13日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は、イランへの地対空ミサイルシステム「S300」の禁輸措置を解除する大統領令に署名した。大統領府が13日発表した。禁輸措置は2010年に導入されていた。

ロシアを含む主要国とイランは今月、スイスのローザンヌでイラン核問題の包括的な解決に向けた枠組みで合意した。禁輸解除はこの合意を受けたものとみられる。

ロシアのラブロフ外相は、ローザンヌでの合意により「S300」の禁輸の必要はなくなったと指摘。同システムは防衛目的であることから、イランと敵対するイスラエルにとって脅威にはならないと説明した。

また、リャブコフ外務次官は、イランとの間で、原油と引き換えに穀物などを供給するバーター取引を開始したことを明らかにした。同次官は「イランから原油の供給を受ける代わりに、特定の物品を輸出している」とし、これらの物品は制裁対象ではないと述べた。

米国務省のハーフ報道官代行は、ケリー国務長官がイランへのミサイル輸出についてラブロフ外相に懸念を伝えたと発表した。

20世紀最初のジェノサイドを糾弾する

ローマ教皇フランシスコはオスマン帝国によるアルメニア人虐殺を非難した。これにトルコ側は駐バチカン大使を召還する対抗措置を採った。

およそ100年前のジェノサイドを糾弾することで、NATOに加盟している対ロシアの戦略的要衝を遊離させ、西欧化よりもイスラム原理主義の傾向を見せるエルドアン政権を大トルコ主義へと向かわせたとして、バチカンや欧州にとって外交的に釣り合う勝利は得られるものだろうか。アルメニアは決してトルコの代替には成り得ないし、地理的にも宗教的にもロシアに付かざる得ないと思われる。

トルコは、多民族を擁する帝国・オスマン朝から国民国家・トルコ共和国に移行する際、テュルク系民族を統合させようとする大トルコ主義(汎テュルク主義)と、アナトリア半島に居住するムスリムのみで国民を形成させようとする小トルコ主義(ケマル主義)とが相克するなかで、第1次大戦の敗北からケマル・パシャ(のちのアタテュルク)の小トルコ主義を採った。

大トルコ主義の最大の欠点は、ムスリムのテュルク系民族の途上にキリスト教国のアルメニアが存在していること、加えてコーカサス山脈の南側にあるアゼルバイジャンを踏破しても、さらに世界最大の内海であるカスピ海が立ちはだかり、中央アジアの諸国・トルクメニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスとの交通を妨げられやすいことにある。

青年トルコ党による立憲革命の立役者でもあったエンヴェル・パシャが、第1次大戦中からロシア革命にかけて大トルコ主義を実行しようとすると、キリスト教徒のアルメニア人と共産主義者の赤軍に阻止された。巷間云われるアルメニア人のジェノサイドは大トルコ主義の夢を追い求めた結果だった。そして、諸外国から未だにジェノサイド認定を受けるのはフランスなどにアルメニア人のロビー活動が存在するためだ。

法王「民族虐殺」発言にトルコ、大使召還へ「偏見だ」 2015.4.13 02:02 産経ニュース

 ローマ法王フランシスコは12日、オスマン・トルコ帝国末期の1915年に多数のアルメニア人が殺害された事件について「20世紀最初のジェノサイド(民族大量虐殺)」と非難した。トルコ政府は強く反発し、AP通信によると、同国外務省は同日、駐バチカンのトルコ大使を召還することを明らかにした。

 法王は昨年11月、国民の大多数がイスラム教徒のトルコを訪問し、異宗教間の融和を訴え、過激派組織「イスラム国」によるテロや暴力の根絶に向けてイスラム圏との関係強化を図ったばかり。今回の発言をめぐり、ローマ法王庁(バチカン)とトルコとの関係が悪化する可能性がある。

 トルコ外務省は声明で「法王の発言は偏見に基づいており、トルコ国民は認めない」などと述べた。(共同)


せまる、欧州議会との「アルメニア虐殺」表記危機 2015年04月10日付 Hurriyet紙

欧州議会は、「アルメニア虐殺」の主張を表記する決定を4月15日に承認する手筈を進めている。欧州議会のすべての政治会派が共同して、文章として承認されると思われるこの決定は、トルコに不快感を与える要素を孕んでいる。アンカラ政府が現在まで行ってきた外交的且つ政治的なやり取りは実を結ばなかった。

長い間欧州議会の決議書に反映されることはなかったが、今年が1915年の事件から100年目にあたるという理由でこれまでとは異なる意味を持つ「虐殺」の表記決定は、離散アルメニア人らが継続的且つ集中的に主張してきた論文を反映した内容となる予定だ。

アルメニアを支持し、トルコが過去と向き合いこれらの主張を認めることを要求し、事件の責任をトルコになすりつけるこの決定の「政治的側面」は、大きな影響力を持つことになるだろう。

特に、この「虐殺」を認めるという事項がトルコのEU加盟プロセスと関連付けられれば、ブリュッセル・アンカラ間の危機もその危険度が明白になる要素となるだろう。

トルコが「不公平で挑発的な」要素を、可能な限り排除しよう努力したこの決議書に関して欧州各国が別個に準備することになる草案に、「この事件はオスマンの時代に起きた」や、「この事件は歴史家らに委ねられる」といった主張が記載されることになったとしても、承認されると思われる共同の最終決議書ではこうした主張が記載される可能性は低いと予想される。

■本質的な危機点

先週、公正発展党(AKP)のアフィフ・デミルクラン国会議員やセイト・セルトチェリキ国会議員、共和人民党(CHP)のファルク・ローオール国会議員、そして民族主義者行動党(MHP)のユスフ・ハラチョール国会議員らで構成された委員会がブリュッセルでこの件に関して交渉を行い、「欧州各国議会の諸決定は国際司法裁判所の判断の替わりにはなり得ないとする」原則への注意喚起を行った。類似する別の委員会が来週にもブリュッセルに赴くことを要求しているとのことだが、欧州議会の周辺では「最終段階でのこうした取り組みはいかなる結果も生み出さないだろう」という見方が優位だ。この表記決定は欧州議会で行われる会合後、同じ日に投票で決められる。欧州議会のメンバーらのアプローチは、事実上明らかだ。注意すべき点は、現在までトルコと関わる決定や公文書において「虐殺」という主張を避けてきた欧州委員会と欧州連合理事会の会合で行われる会見が、どういった内容になるかということだ。

情報ノート:欧州議会は、「アルメニア虐殺」の主張を認める決定を1987年に承認した。先週、EU加盟国に「この主張を認め、そしてこの主張をより広く知れ渡らせるためにもっと努力する」という呼びかけを含めた決議書が採択された。28ヵ国のEU加盟国の内、11ヵ国が1915年の事件を「虐殺」として認めている。

■キムさんから赤いチューリップ

アルメニア人であるアメリカのテレビスター、キム・カルデシアンさんは、1915年の事件から100年目の節目を迎えたことを理由に、アルメニアの首都であるエレバンを8日間にわたって訪問し、昨日(9日)「虐殺記念館」を訪れた。キム・カルデシアンさんは妹のクロエさんとともに「虐殺の犠牲者」らの慰霊碑に黙祷を行った後、赤いチューリップを慰霊碑に捧げた。

「衰微するロシアの挑戦」をどう受けて立つか

かつてソフト・パワーを説いた民主党系の論客、ジョセフ・ナイ氏が「衰微するロシアの挑戦」という題名でプーチン政権下のロシアの挑戦にどのように対処すべきか、そのロシアが抱える中長期的な社会問題とはなにかを説いている。

題名からして、ロシアは中長期的に見ても衰退の過程にある、と断じる。エネルギー資源が輸出の3分の2を占めていることを“単一作物経済”と揶揄する。また人口が減少する中で平均寿命が他の先進国と比べても10歳以上低い65歳に留まっていることを述べて、ロシアの社会システムの不健全性をまず指摘する。

彼の論旨はさらに、プーチン政権は戦略的というよりは近視眼的な機会に乗じていることを述べる。ロシアはウクライナ危機に介入し、次いでクリミア半島を併合し、その後のドンバス紛争を戦っている。そして、ロシアは中国共産党との経済的連携を深めて、欧米からの経済制裁に対応したユーラシア経済同盟を築こうとしている。この経済圏を徹底的に封じ込めるだけでは、ロシアの反発で軍事的対決の危険が拡大する。

この予測に対して欧米側は、場合によって我が国も含むが、価値基準や原理原則、安全保障体制を堅持しながらロシアとの現実的な対応が求められる、と云うのが、ジョセフ・ナイ氏の論じるところだが、ロシア側の国内生産回帰(リショアリング)も進むことは間違いなく、この件については、ニューズウィークの記事に取り上げられている。

What Sanctions? The Russian Economy Is Growing Again BY BILL POWELL / APRIL 13, 2015 2:33 PM EDT Newsweek

The Challenge of Russia’s Decline APR 14, 2015 Project Syndicate

CAMBRIDGE – As Europe debates whether to maintain its sanctions regime against Russia, the Kremlin’s policy of aggression toward Ukraine continues unabated. Russia is in long-term decline, but it still poses a very real threat to the international order in Europe and beyond. Indeed, Russia’s decline may make it even more dangerous.

Make no mistake: what is happening in Ukraine is Russian aggression. President Vladimir Putin’s pretense that Russian troops were not participating in the fighting was all but shattered recently, when a Russian fighter in Donetsk confirmed to the BBC Russian service that they are playing a decisive role in rebel advances. Russian officers, he reported, directly command large military operations in eastern Ukraine, including the siege and capture of the important transport center of Debaltseve in February.

But the threat posed by Russia extends far beyond Ukraine. After all, Russia is the one country with enough missiles and nuclear warheads to destroy the US. As its economic and geopolitical influence has waned, so has its willingness to consider renouncing its nuclear status. Indeed, not only has it revived the Cold War-era tactic of sending military aircraft unannounced into airspace over the Baltic countries and the North Sea; it has also made veiled nuclear threats against countries like Denmark.

Weapons are not Russia’s only strength. The country also benefits from its enormous size, vast natural resources, and educated population, including a multitude of skilled scientists and engineers.

But Russia faces serious challenges. It remains a “one-crop economy,” with energy accounting for two-thirds of its exports. And its population is shrinking – not least because the average man in Russia dies at age 65, a full decade earlier than in other developed countries.

Though liberalizing reforms could cure Russia’s ailments, such an agenda is unlikely to be embraced in a corruption-plagued country with an emphatically illiberal leadership. Putin, after all, has sought to promote a neo-Slavophile identity defined above all by suspicion of Western cultural and intellectual influence.

Instead of developing a strategy for Russia’s long-term recovery, Putin has adopted a reactive and opportunistic approach – one that can sometimes succeed, but only in the short term – to cope with domestic insecurity, perceived external threats, and the weakness of neighbors. He has waged unconventional war in the West, while pursuing closer ties with the East, raising the likelihood that Russia will end up acting as China’s junior partner, without access to the Western capital, technology, and contacts that it needs to reverse its decline.

But Russia’s problem is not just Putin. Though Putin has cultivated nationalism in Russia – according to Harvard University’s Timothy Colton, at a recent meeting of the Valdai Discussion Club, Putin called himself the country’s “biggest nationalist” – he found fertile ground to plow. Given that other high-level figures – for example, Dmitry Rogozin, who last October endorsed a book calling for the return of Alaska – are also highly nationalistic, a successor to Putin would probably not be liberal. The recent assassination of former Deputy Prime Minister and opposition leader Boris Nemtsov reinforces this assumption.

So Russia seems doomed to continue its decline – an outcome that should be no cause for celebration in the West. States in decline – think of the Austro-Hungarian Empire in 1914 – tend to become less risk-averse and thus much more dangerous. In any case, a thriving Russia has more to offer the international community in the long run.

In the meantime, the US and Europe face a policy dilemma. On one hand, it is important to resist Putin’s challenge to the fundamental principle that states should not use force to violate one another’s territorial integrity. Though sanctions are unlikely to change Crimea’s status or lead to withdrawal of Russian soldiers from Ukraine, they have upheld that principle, by showing that it cannot be violated with impunity.

On the other hand, it is important not to isolate Russia completely, given shared interests with the US and Europe relating to nuclear security and non-proliferation, terrorism, space, the Artic, and Iran and Afghanistan. No one will benefit from a new Cold War.

Reconciling these objectives will not be easy, especially given Ukraine’s continuing crisis. At February’s Munich Security Conference, many US senators advocated arming Ukraine – an approach that could exacerbate the situation, given Putin’s conventional military dominance there. With German leaders, including Chancellor Angela Merkel, opposed to this approach, pursuing it would also split the West, strengthening Putin’s hand further.

Others at the conference argued that the West should change the game by expelling Russia from SWIFT, the international framework for clearing bank payments. But critics point out that this would damage SWIFT and the West, whose banks would lose the hundreds of billions of dollars that Russia currently owes them. For their part, the Russians have warned informally that this would be “the real nuclear option.”

Designing and implementing a strategy that constrains Putin’s revisionist behavior, while ensuring Russia’s long-term international engagement, is one of the most important challenges facing the US and its allies today. For now, the policy consensus seems to be to maintain sanctions, help bolster Ukraine’s economy, and continue to strengthen NATO (an outcome that Putin undoubtedly did not intend). Beyond that, what happens is largely up to Putin.

もしもTPPをご破算にしたいならば韓国を迎えよう

韓国は環太平洋経済連携協定(TPP)参加を米国に打診したが、TPP交渉が佳境に入っていることもあり、米国側は韓国側の参加打診に否定的な反応を示した。

TPP交渉はいくつかの交渉が重層的に進んでいる。米国議会では貿易促進権限(TPA)法案を審議している。日米二国間の関係閣僚級協議も続けられているし、TPA法案が通過すれば大統領は強い通商交渉の権限を持つことが出来る。

こうした情勢の只中に、TPP参加を表明しようとする韓国の外交センスはいつもながら最悪だ。繊細に組み立てあげてきた交渉をご破算にしたい意図でもあるのか、韓国は中共の回し者なのか、と断罪されかねない。

South Korea asks to join Pacific trade deal. Washington says not so fast. April 15 The Washington Post

韓国、TPP参加を公式打診…米国は否定的な反応 2015年04月16日16時33分 中央日報日本語版

米TPA法案、合意近い=上院財政委員長 2015年 04月 16日 17:20 JST ロイター

コラム:TPPで米国が払う自由貿易への代償 2015年 04月 13日 17:10 JST ロイター

Charles R. Morris

[10日 ロイター] - 自由貿易は米国政府の合言葉だ。オバマ政権が環太平洋連携協定(TPP)妥結に向け、政府に貿易交渉権限を委ねる「ファストトラック」と呼ばれる貿易促進権限(TPA)の取得に意欲を示すのは、政府の伝統の一部でもある。しかし、一連の証拠が示すところによると、発展途上の低所得国に通商上の完全な最恵国待遇を認めれば、往々にして米国のコスト負担になる。

米国は、オーストラリア、チリ、日本、シンガポール、マレーシアを含めた太平洋を取り巻く11カ国と長期にわたる交渉を続けている。数年間にわたる議論を経て、交渉当事国はようやく合意に近づいたようにもみえる。

米議会でエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州)に代表される民主党左派と、ウォルター・ジョーンズ下院議員(ノースカロライナ州)のような草の根保守運動「ティーパーティー(茶会)」の支持を得た共和党議員が反TPPで異例の協力に踏み込んだのは、TPPをめぐるこうした情勢が理由のひとつとなっている。

一方で同じ茶会の支持を得た共和党議員の中でも政策通であるポール・ライアン下院議員(ウィスコンシン州)や保守派のテッド・クルーズ上院議員(テキサス州)は、主流派のエコノミストと同様にTPPの成立を支持している。

エコノミストたちは自由貿易がもたらす大きな利益に関して、古典派経済学の基本原則である比較優位説を引き合いに出す。もし貿易相手国・地域が互いに最も得意な分野に集中すれば、最終的に双方が豊かになると主張するのだ。

米国は19世紀、その理論が誤りであることを証明した。欧州向けに鉄や綿花を輸出する一方で、「未発達な」自国の産業を保護するために高い関税を設けた。1890年代までに米国はほとんどの先進産業分野において英国を凌駕した。米国にとってそれが容易に達成できる目標であったのは、当時の英国が純粋な自由貿易の実現を頑なに目指していたためだ。

最新の研究は、相互に恩恵を及ぼす貿易およびオフショアリング(外国への業務移管・業務委託)の相手国と、そうではない相手国を分けて考える一助になる。貿易もしくはオフショアリングの相手国が先進国だった場合、米国の賃金は上昇する傾向にある。しかし、途上国が相手だった場合、とりわけ熟練度が低い労働者や中程度の労働者の賃金は低下する。

このような賃金の下落効果は製造業に限ったことではなく、他の業界の同じような職にも及ぶ。一般に製造業の賃金はサービス業より高い。しかし、輸入や生産の海外移転が増えると、製造業の雇用削減圧力は一段と強まり、職を失った労働者が従来より賃金の低いサービス業に移行するドミノ効果が生じる。こうして賃金の縮小は全体に及ぶのである。

賃金の低下圧力は、生産の海外移転よりも途上国からの輸入によりもたらされる場合の方がはるかに影響が大きい。それは中国が貿易相手国である場合に最も顕著に表れる。中国から輸入が10%増加した際に、米国の関連する職種の賃金は全体で6.6%低下した。さらに、ほぼ全てのケースにおいて賃金の低下は、とりわけ高卒未満の学歴しかない低所得労働者に最も厳しい打撃を与える。

米国の製造業の雇用者数は1970年後半にピークを迎え、その後全般的に減少傾向にある。しかし、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した2000年が明らかに分岐点となった。そこから中国からの集中的かつ壊滅的な米国市場への製品流入が始まったのだ。

2000─2009年の間に米国は約600万人分の雇用を失った。これは2000年の雇用者の約3分の1に相当する。最近は緩やかな雇用回復がみられ、製造業で2010年以降に85万人の職が創出されたが、減少分を埋め合わせるには少なすぎる。

中でも破壊的なブランドとしての中国の競争力は軋轢を生んでいる。世界で最も効率性の高い製鉄会社の1つである米ニューコアの例を考えれば分かる。ダン・ディミッコ元最高経営責任者(CEO)によると、ニューコアが1トンの粗鋼生産に要する労働時間はわずか0.4時間、賃金にして約8─10ドルにすぎない。原料の大半はスクラップだ。一方、中国では割高な鉄鉱石を使用しているうえ、米国への出荷コストは1トン当たり約40ドルだ。

ディミッコ氏は近著「アメリカン・メード」の中で、仮に中国の労働コストがゼロだった場合でも、中国の製鉄業者が自国市場でニューコアより安値で販売することはできないと主張する。しかし、過去1年間のうち大半で、中国の低価格の鉄鋼製品は米国市場になだれを打って流入しており、ディミッコ氏は違法な「不当廉売(ダンピング)」の明らかな証拠だと指摘する。これに対して中国政府は当然のように、すべては公正な貿易ルールにのっとった行為だと主張している。

しかし、中国はわれわれと異なるルールに基づいて動いている。有力な製造業企業は大半が国有企業であり、資金調達から用地のリース、税制や燃料費まで共産党が決定するコストで提供されており、あらゆる形で政府の補助を受けているからだ。

さらに悪いことに中国政府は近年、欧州や米国企業に対し、大型契約の受注の条件として特許技術を移転するよう圧力を掛けている。

顕著な例は国有企業の中国商用飛機(CACC)と米航空・宇宙関連企業7社の間の提携だ。米国側では航空機大手ボーイングとゼネラル・エレクトリック(GE)が主導した。参加した米企業はすべて中国に対してかなりの特許技術を提供している。GEの重要資産である航空電子工学技術は契約の主要部分を占める。先進の航空工学技術は中国側が軍事面で強い関心を示した分野だ。GEは技術が軍事部門に漏えいすることはないと主張し、それに反する証拠が見つかった場合はプロジェクトすべてを終結すると約束している。当然のことだ。

中国のこれまでの実績を見ると楽観的にはなれない。中国は現在、世界最大の高速鉄道産業を有し、記録的なスピードで鉄道整備を推進する。独シーメンス、川崎重工業など先進国企業から車両を購入し、それらの技術を自社製品に応用するリバース・エンジニアリングを進めている。これらが標準的な手段となりつつあるのだ。中国に対するコンピューター供給契約の大半は、ベンダー側がソフトウエアの設計図に当たるソースコードのコピーを中国政府に提供することを義務付けている。どんなハイテク企業でも成功のカギを握るのはソースコードだ。

中国は偉大な国家であり、非凡な才能と勤勉な人民を抱える。しかし、政府の官僚機構には深刻な腐敗が露呈しており、官僚たちはルール対して口先だけの約束をすることもしばしばだ。数十年前に米国の鉄鋼会社が外国企業のダンピングに不服申し立てを行った時、これらの米企業はさらに進歩した競争相手からの保護措置を求めていると受け止めた人もいるかもしれない。だが、特にニューコアのような企業には、そうした見方はあてはまらない。

今こそ中国のような収奪的な競合相手に対して、法に基づく処方薬を投与すべき時だ。中国はTPP交渉に参加していないが、その急速な経済発展は途上国すべての目指す目標となりつつある。米国政府は、自国企業に対する公平な処遇を確保する備えができて初めて、新興国との自由貿易協定の検討を始めるべきだ。

さまよえる難民船が難破するときに

英仏伊のリビア内戦介入の目的の根幹には自国民の生命と財産を守ることがあったはずだ。例えば難民の流入を防ぎ、イスラム原理主義によるテロを防ぎ、難民予備軍とテロリストを出先に閉じ込める意図があった。

しかし、その試みはリビア内戦介入でカダフィ政権を倒した以外は、何一つ達成できていない。

カダフィ政権が自らの崩壊によって手放した多くの武器と人員はリビア領のフェザーンを越えて、マリ北部、コンゴのルワンダ隣接地、中央アフリカの紛争地へと拡散してフランス軍の介入も武器と人員の拡散に引きづられるように拡散した。

それ以外にもナイジェリアのボコ・ハラムやソマリアのアルシャバブなどの過激派組織も健在であり、イラク~シリアのISISと連携を図りつつある。

混乱が続くマグレブ諸国やシリア、エリトリア、ソマリア、果てはブラックアフリカから難民が押し寄せている。リビアはそうした難民の有力な中継地点となりつつある。2014年の集計では難民の80%がリビアを経由したと考えられる。

難民を斡旋するブローカーは、中古の貨客船やボートに定員オーバーの難民を押し込め、船員なしで地中海に放り出す。難民の素性は、政治難民か経済難民か、はたまたテロリストが仕込まれているのか判断も付かないまま、欧州の沿岸警備隊は救助しなくてはならなくなる。年初来の死者は1500人以上になっている。

だからといって安易な救助をすれば、危険な航海をする価値に見合う航海と判断されて、難民が増加しても困るではないか。

ドイツは、2014年からシェンゲン圏に加盟したブルガリアとルーマニアからの生活保護受給目当ての「貧困難民」を巡って政治的対立が起きている。リビアからイタリアに上陸した難民はフランスほかの国に流入して、その国の財政負担になる。

初期対策に予算と人員を当てて救助と保護はできる。その後の衣食住と学や職の提供もしなければならない。しかも難民の流動性は高く、シェンゲン圏を移動することは間違いない。各国に難民は社会不安と党派対立が生じさせる引き金になるだろう。

ボート移民約400人が死亡、リビア出発後に地中海で転覆 2015年 04月 15日 11:38 JST ロイター

[ローマ 14日 ロイター] - 北アフリカのリビアからイタリアを目指す移民を乗せたボートが地中海で転覆し、生存者の証言によると400人前後が死亡したとみられる。

非政府組織(NGO)セーブ・ザ・チルドレンが14日に明らかにしたところによると、ボートには当初約550人が乗っており、リビアを出発してから約24時間後に転覆。約150人が救助され、イタリア南部に搬送された。生存者のほとんどがサハラ以南の国出身だが、詳しいことは分かっておらず、事故がいつ起きたかもはっきりしないという。

国際移住機関(IOM)によると、今年に入って今回の事故が起きるまでに、アフリカからボートで地中海を渡ろうとした移民500人以上が航行中の事故で死亡。2014年の同時期に比べて47%増えた。

アフリカから地中海を渡って欧州連合(EU)諸国を目指す移民は、春になって気候が良くなると増える傾向にある。2月には、悪天候による事故で300人以上の移民が溺死した。


シリア難民:危険な船での避難と不確かな将来 2015年1月 6日 UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)

イタリア、コリアーノ・カーラブロ

今月初め、エザディーン号がイタリアのコリアーノ・カーラブロ港に着いた時、21歳のバシャールは「これでようやく苦しみから解放される」と思った。バシャールと13歳の妹マヤは、この船に2週間もの間、350人以上のシリア難民と一緒に身を潜めていた。

食糧と水は航海初日に底をつき、悪天候によって彼らの恐怖は増大した。しかし本当の恐怖が襲ったのは、エザディーン号の乗組員が船を離れたと分かったときだった。「乗組員の姿を一度も見ませんでした。海に置き去りにされるなんて想像もしていませんでした」とバシャールは語った。イタリアの沿岸警備隊は遭難信号を受け取らず、船は自動操縦のまま地中海を航行していた。

このシエラレオネ船籍のエザディーン号はアイスランドの沿岸警備隊に発見されてイタリアの港へ曳航されたが、一週間ほど前にも800人以上を乗せた船ブルースカイM号が地中海を漂っているのが発見されたばかりだ。

バシャールと妹のマヤが地元当局に保護されたとき、保護者のいない未成年のマヤと引き離されることを恐れて、バシャールもまた17才の未成年だと言った。地元当局は、マヤのような保護者のいない未成年者を含む、最も弱い立場にいる人々を確実に保護するべく努力を続けている。出入国管理担当官は、「私たちの街にシリア難民が到着したのは初めてです。私たちはできる限りの支援をしています」と語る。エザディーン号には70人以上の未成年者が乗船しており、そのうち少なくとも8人が保護者のいない子どもだった。「私たちは彼らを保護する責任があり、この事態を深刻に受け止めています」

実年齢を申し出たバシャールは、手続きの完了とともに妹とセンターを離れ、ミラノを目指すと言う。 「家族が目指していたベルギーかデンマークへ行けば皆と再会できるかもしれません。再び家族と一緒に暮らすことが一番の望みです。私たちは船で海を渡る以外に選択肢がありませんでした。でも、もし航海の危険を事前に知っていたら、決してこの道を選ばなかったでしょう」と彼は強調した。

UNHCR報道官は、エザディーン号やブルースカイM号の事例は、命を危険にさらしても必死で欧州へ船で渡ろうとする人々の増加を受け、密航業者がこれまで以上に利益を得る目的で新たな施策を取り始めた可能性があると警鐘を鳴らす。また、「欧州での庇護を切実に望んでいる人々が密航業者の犠牲になっている状況を深く憂慮している。」と語った。UNHCRは、欧州の各国政府に海上での積極的な救助を訴えると同時に、危険な航海をしなくて良いよう難民を受け入れる法整備を要請している。

シリア危機は4年目を迎え、未だ多くの人々が危険な渡航を試み続けている。昨年、欧州へ渡るため地中海横断を試みて命を落とした人は3500人を超えた。そのうち20万人以上がイタリア海軍による救助作戦によって救出された。しかし昨年11月に同作戦は終了し、今後更に犠牲者の数が増えるのではないかと懸念されている。

詳しくはSyrians face uncertain course after high seas ordeal in a drifting freighter News Stories, 6 January 2015(英語)

連邦政府と州政府の多重外交

オバマ政権の外交政策の大幅な転換に追随できず、もしくは反発して各州政府が独自の外交を続けるか、もしくは連邦政府と正反対の二重外交を展開する可能性が、下記のロイター電から示唆される。

2014年11月29日のエントリーでも触れたように、既にパレスチナ和平を軸にした中東外交では、オバマ大統領~ケリー国務長官~スーザン・ライス安全保障担当大統領補佐官のラインと国防総省のラインがそれぞれ独自の外交政策を展開した実績がある。

ホワイトハウスと国防総省の行政府サイドの二元外交が続いて、これに州政府の独自外交が加わり、さらに上下両院を抑える共和党は各国の政党と政党外交を進めて、多重外交の常態化と複雑化が混迷深く極まりないものになりそうだ。

米国において、もとより外交権は大統領権限に属するが、条約承認について上院に留保権があり、過去に民主党のウィルソン大統領が国際連盟を設立しながらも加盟しなかった妙な実績がある。

米国の州政府、対イラン制裁継続も 2015年 04月 13日 19:04 JST ロイター

[ワシントン 13日 ロイター] - イランが欧米など6カ国と核問題で枠組み合意に達したが、今後、最終合意が成立しても、米国では多くの州政府が対イラン制裁を継続する可能性が高く、両国関係の緊張緩和に水を差すが恐れがある。

米国では、20を超える州が対イラン制裁を法制化。イランで活動する一部の企業に制裁を科したり、公的年金基金の投資や地方自治体との取引を制限している。

このうち半分以上の州では、テロ支援国家の指定が解除されるか、連邦政府のすべての制裁が解除されるまで、制裁は失効しない。最終合意が成立しても、そうした条件は満たされない可能性が高い。

カンザス、ミシシシッピ両州は、新たな制裁の導入さえ検討している。


アングル:歴史的会談も隔たり、米キューバ待ち受ける険しい道 2015年 04月 13日 18:23 JST ロイター

[パナマシティー 12日 ロイター] - オバマ米大統領とキューバのラウル・カストロ国家評議会議長は11日、米州首脳会議出席のため訪れたパナマ市で「歴史的」会談を行った。両国の国交正常化に向けた大きな一歩を踏み出したが、今後待ち受けているのは険しい道のりだ。

約60年ぶりに行われ、1961年の断交後初めてとなった両国首脳会談は、2年近くに及んだ秘密裏の接触と外交努力の結果で、全体的なムードはポジティブだった。

対立国をめぐる外交政策でキューバが将来的な「サクセスストーリー」になる可能性があるとオバマ大統領が考えているのは明らかだ。イランの核開発からシリア内戦、ウクライナ情勢へのロシアの関与、過激派組織「イスラム国」の台頭に至るまで、オバマ大統領の外交実績を損ねかねないリスクが数々存在する中、キューバとの国交正常化交渉は比較的取り組みやすいテーマに見える。

オバマ大統領は「冷戦は終わった」と述べ、「(国交正常化に向けた)取り組みや商業・渡航制限の緩和、人的交流が最終的にキューバ国民にとって好ましい結果になると、両国の大多数の人たちが考えるだろう」と語った。

ただ、米キューバ間の隔たりは大きいままだ。11日の首脳会談でも両国の国旗は掲げられなかった。過去約50年間にわたり両国間貿易を妨げてきた米国の対キューバ経済制裁は現在も続いている。キューバの人権問題と米国の外交政策は互いの非難の対象となっている。

83歳のラウル氏は2008年、療養のため引退した兄のフィデル氏から国家評議会議長職を引き継いだ。ラウル氏はオバマ大統領を「正直な人物」と評価する一方、過去の米政策に対する批判に熱弁を振るった。「双方には多くの相違点がある」とした上で、「言い換えれば、全てについて忍耐強く協議する用意がある」と述べた。

オバマ大統領とカストロ議長は昨年12月、国交正常化、両国の大使館再開、貿易・渡航制限の緩和に向けて交渉すると表明した。

外交上の関係修復は首脳合意のみでほぼ実現可能だが、全体的な関係の正常化には数年を要する可能性もある。

キューバは政治的権利を拡大させる意向を示しておらず、反体制派を「傭兵」とみなし、反対勢力を抑圧している。カストロ議長は共産主義政権による支配を緩和させる意図はないことを明確にしてきた。

また、キューバが海外投資を引き出そうとする一方、同国での事業展開を目指す米企業は政府の支援が必要となるが、キューバ政府の行動は慎重だ。

<テロ支援国家指定の解除>

キューバは依然として米国務省のテロ支援国家リストからの解除を求めている。オバマ大統領は同国のテロ支援国家指定を数日の間に議会に伝えるとみられている。これにより対キューバの一部経済制裁が解除される見通し。

指定解除が行われることへの疑いはほとんどないが、複数の米当局者は、解除のタイミングが国交正常化交渉で有利に働くよう準備してきたと明らかにした。

オバマ大統領は共和党が主導権を握る米議会に制裁解除を求めているが、その闘いは長期化する可能性もある。

大統領は既に、キューバへの渡航制限や米輸出業者によるキューバからの物資購入などの緩和で行政権を行使してきたが、キューバ側はさらに踏み込んだ対応を求めている。

キューバのロドリゲス外相は「オバマ大統領は、経済制裁を解除するために十分な行政権限を有している」と述べた。

キューバは大使館再開や制裁解除を望む一方で、完全な国交正常化についてはゆっくり進めたいようだと、米当局者らは語る。渡航や貿易、インターネットアクセスなどの分野で解放を急げば、国内社会における支配力が低下する可能性を懸念しているようだという。

ある米当局者はオバマ大統領とカストロ議長の会談について、人権や報道の自由など、両国が異なる立場を示す問題では堂々巡りの議論が交わされたと指摘。この当局者は「緊張はなかった」とし、少し前にはこのような会談が実現するとは想像さえできなかったと両国首脳が驚きを示す場面もあったと明らかにした。

(Daniel Trotta記者、Matt Spetalnick記者 翻訳:本田ももこ 編集:橋本俊樹)

連合王国の分裂か再統合か

来たる英国の庶民院総選挙は二大政党の保守党(Conservative)と労働党(Labour)どちらも過半数を獲得できない、と予想されている。背景には連合王国を構成する4つのカントリー(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)ごとに民族主義的な地域政党が台頭していることと、サッチャリズム以降の富の再分配とともに階級が再構成されて既存の二大政党の支持基盤が失われていることが挙げられる。

保守党は2010年の庶民院総選挙の時点で既にスコットランドでは支持を伸ばすことが出来ておらず、スコットランドの小選挙区ひとつを獲得するに留まっている。さらに今回の総選挙では、労働党は地域政党の煽りを受けてスコットランドでの支持を拡げられていない。全体としてスコットランド人は北欧的な福祉国家を志向しており、都市部に住む旧来の労働者階級が減るなかで新興の中間層は自由民主党(Liberal Democrat)を支持、加えて独立を求める人々はスコットランド国民党(Scottish National Party)を支持するようになっている。

一方、イングランドではEU懐疑派の支持を受けた保守党が強い。保守党がEU離脱の賛否を問う国民選挙を実施しようとしているのはイングランド人の意向を反映している、と云える。イングランド人は欧州から距離を置いた伝統的な勢力均衡を図り、連合王国の維持を願っている。このスコットランドとイングランドの思惑の違いを利害調整して妥協することが今後の英国政治の課題になる。

この課題を克服できないと、バルト帝国を築きながらもロシアとの長い抗争に敗れフィンランドを失い、ウィーン体制下で同君連合となったノルウェーを20世紀になって失ったスウェーデンのような重武装中立主義の国家を長期的に目指さざるを得なくなる。

ちなみに2010年庶民院総選挙(総数:650、過半数:326)のイングランド議席(配分数:533)の内訳は、保守党が298、労働党が191、自由民主党が43、緑の党(Green)が1、となっている。

スコットランド議席(配分数:59)の内訳は、労働党が41、自由民主党が11、スコットランド国民党が6、保守党が1、となっている。

連合王国以前に併合されたウェールズ議席(配分数:40)の内訳は、労働党が26、保守党が8、自由民主党が3、ウェールズの地域政党のプライド・カムリ(Plaid Cymru)が3となっている。

紛争に悩まされてきた北アイルランド議席(配分数:18)の内訳は、統一を支持するユニオストの民主統一党(Democratic Unionist Party)が8、アイルランド併合を支持するシン・フェイン党(Sinn Fein)が5、カソリック系の社会民主労働党(Social Democratic & Labour Party)が3、ユニオストとナショナリストから距離を置く北アイルランド同盟党(Alliance Party)が1、諸派が1、となっている。

Election 2010 National Results after 650 of 650 :BBC

英スコットランド世論調査、民族党が労働党に対するリード拡大 2015年 04月 13日 20:33 JST ロイター

[ロンドン 13日 ロイター] - 調査会社TNSが13日公表した英スコットランドにおける世論調査の結果によると、英国からの独立を目指すスコットランド民族党(SNP)の労働党に対するリードが28ポイントと拡大した。

SNPの支持率は52%となり、前月から6ポイント上昇。一方、労働党は6ポイント低下の24%となった。

5月7日の英国総選挙までは1カ月を切っている。


英保守党、労働党を僅差でリード=コムレス世論調査 2015年 04月 10日 17:32 JST ロイター

[ロンドン 9日 ロイター] - 英調査会社のコムレスによれば、同社の実施した世論調査でキャメロン首相率いる与党・保守党が野党・労働党をわずかに1ポイントリードした。5月7日の英国総選挙までは1カ月を切っている。

民間放送ITVニュース(ITV.L: 株価, 企業情報, レポート)と英紙デイリー・メールから委託された同世論調査によれば、保守党の支持率は前回より2ポイント下落の34%、ミリバンド党首率いる労働党は1ポイント上昇の33%となった。

連立を組む自由民主党の支持率は3ポイント上昇の12%と、前回から横ばいのEU離脱を訴える英国独立党(UKIP)に並んだ。イングランド・ウェールズ緑の党は1ポイント下落し4%だった。


焦点:「内向き」の英総選挙、国際社会での存在感低下を反映 2015年 04月 8日 16:05 JST ロイター

[ロンドン 7日 ロイター] - 激戦が予想される5月の英総選挙では、英国と欧州連合(EU)との関係や国内問題が争点となっている。一方、国際舞台で英国がどのような役割を担うべきかという点はほとんど議論されておらず、国際社会での英国の存在感低下を映し出している。

7党の党首が参加して2日に行われたテレビ討論会では、英国の財政赤字や移民問題、拡大する公共医療サービスなど、主に国内問題に議論が集中した。

英国統治時代における最後の香港総督として知られるクリストファー・パッテン氏は、非営利組織(NPO)プロジェクト・シンジケートに寄せたコメントで「世界のいたるところで混乱が起きている時に、英国がどのような国際的な役割を果たすべきかという議論がほとんどない」と指摘する。

外交政策について唯一議論が交わされたのは、移民の受け入れに制限を設けるべきかや、EUから離脱すれば状況は良くなるのか、といった点だった。

キャメロン首相は、再選を果たした場合、イギリスとEUとの関係についてEUと再交渉したうえで、離脱の賛否を国民投票で問う方針を示している。一方、労働党のミリバンド党首は、EU離脱に反対しており、基本的に国民投票は行わない方針。つまり、総選挙の結果次第で、EU離脱の賛否を問う国民投票が行われるかどうかが決まる。こうした国民投票は1975年以降行われていない。

<薄れる存在感>

英国は依然、国際社会で大きな影響力を持つ。英国の国防費はEU内で最大。国連の安全保障理事会の常任理事国であり、経済規模は世界で6番目に大きい。

2011年には、カダフィ政権を倒すためのリビア空爆に参加。昨年までアフガニスタンで軍を展開していた。西アフリカで感染が拡大したエボラ出血熱の対策で英国の拠出金は世界最大規模だ。

ただ、その影響力は明らかに低下している。

米国主導の過激派組織「イスラム国」との戦いは、フランスが参加して初めて英国も加わった。ウクライナ問題では、フランスやドイツが積極的にロシアのプーチン大統領と交渉にあたる一方で、キャメロン首相の存在感は薄い。

こうした背景には、2008年の金融危機以降の財政問題があるとみられる。キャメロン首相は財政赤字を削減するために緊縮財政を行った。その結果、2010年から予算は実質ベースで約6分の1削減された。使える予算の多くは外交分野には回されず、通商促進に充てられた。

英国はこれまで、北大西洋条約機構(NATO)中で、国内総生産(GDP)の2%を国防費にあてている数少ない国であることを誇っていた。ただ、総選挙を前に、キャメロン首相も労働党も、こうした状況が今後も続くとは公約していない。

オバマ大統領をはじめ米国の政治家や軍幹部の多くは、英国がEUに留まり、防衛費を増やすことを望んでいる。

他の欧州諸国は、キャメロン首相が、ギリシャの債務やフランスの景気低迷といった問題に目を向けず、国内の利点に関連させEUについて議論することで政治的な得点を稼ごうとしていることに、うんざりしている。

あるEU外交筋は「英国の外交政策に何が起こったのだろう」と強い懸念を示した。

(Andrew Osborn記者、 翻訳:伊藤恭子 編集:加藤京子)

ターキッシュ・ストリームが欧州に延びる

2014年12月5日のエントリーで取り上げたように、、黒海からブルガリアに上陸してセルビア~ハンガリー~スロベニア~イタリアを通り、支線がクロアチア、オーストリアに達する予定だった、天然ガスパイプライン「サウス・ストリーム」の建設計画が断念・中止された。

他方、ガスプロムとトルコの国営ガス会社ボタスは、ロシアから黒海を経由してトルコに至るパイプライン敷設の覚書を交わした。この天然ガスパイプライン「ターキッシュ・ストリーム」をギリシアまで延長して、同国を欧州向けエネルギー・ハブにする計画が持ち上がっている。

ロシアのプーチン大統領とギリシアのツィプラス首相がモスクワで会談し、パイプライン延長が最終合意された。テッサロニキ港へのロシアの投資も取り沙汰される。

カソリックと正教会の分断線上の戦いとしてこの動きを考えると、バルト三国~ポーランド~ウクライナ~ギリシアの線で起きる争いのひとつになりそうだ。

ロシアパイプラインのギリシャ延長、近く最終合意=閣僚 2015年 04月 11日 01:41 JST ロイター

[アテネ 10日 ロイター] - ギリシャのラファザニス・エネルギー相は10日、ロシアからトルコにロシア産天然ガスを運ぶガスパイプラインをギリシャまで延長する計画について、ギリシャは参加することで近く最終合意するとの見通しを示した。

ギリシャのチプラス首相は今週のロシア訪問でプーチン大統領と会談し、両国間の提携強化で合意。提携案件の1つとして、ロシア産天然ガスを黒海経由でトルコに供給するパイプライン、「ターキッシュ・ストリーム」をギリシャまで延長する計画について協議した。

プーチン大統領はギリシャが同計画に参加するか具体的には合意していないとしているが、ラファザニス・エネルギー相はこの日、ギリシャのラジオ番組に対し、「(パイプラインをめぐり)近く最終合意に達する公算が大きい」と述べた。

同相は建設費は20億ユーロ(21億ドル)になると試算。建設と運営には100%民間資本が投入され、約2万人の雇用が創出されるとしている。

同相はまた、「ターキッシュ・ストリーム」延長後にギリシャがロシア産ガスを欧州に売却することで得られると想定される収入に見合う額をロシアが近くギリシャに提供することを検討していること確認。こうしたことはギリシャの財政上のひっ迫の緩和につながるとの考えを示した。

ロシアが提供する資金について、ギリシャはパイプラインが稼動開始する2019年以降に返済するとしている。


ロシア、ギリシャにガス事業で前金支払い検討 2015年 04月 9日 06:46 JST ロイター

[モスクワ 8日 ロイター] - ギリシャ当局者は8日、ロシアからトルコにロシア産天然ガスを運ぶガスパイプラインがギリシャまで延長された場合、延長後にギリシャがロシア産ガスを欧州に売却することで得られると想定される収入に見合う額を、ロシアが近くギリシャに提供することを検討していることを明らかにした。

ロシアを訪問中のギリシャのチプラス首相はこの日、モスクワでプーチン大統領と会談し、ロシアに金融支援は要請しなかったものの、プーチン氏から提携強化の確約を取り付けた。

両首脳が協議した提携案件の1つが、ロシア産天然ガスを黒海経由でトルコに供給するパイプライン、「ターキッシュ・ストリーム」をギリシャまで延長する計画。

プーチン大統領はギリシャが同パイプラインプロジェクトに参加するか具体的には合意していないとしているが、ギリシャ当局者は、ギリシャが参加すれば、年間約5億ユーロ(5億4000万ドル)の収入が見込めると試算。また、ターキッシュ・ストリームの延長部分の2019年の稼動開始を望むとした。

別の当局者は、ロシアが提供を検討している資金について、パイプラインの延長部分の稼動開始後に返済するとしている。ただ、具体的な金額は示さなかった。

同当局者は、パイプラインプロジェクトには民間資金が投入されるため、欧州連合(EU)規則には抵触しないとしている。


ギリシャ、ロシアに支援要請せず 提携強化は確約 2015年 04月 9日 02:40 JST ロイター

ギリシャ深海油田探索入札、ロシア有力企業参加へ=エネルギー相 2015年 03月 31日 23:57 JST ロイター

[アテネ 31日 ロイター] - ギリシャのラファザニス・エネルギー相は31日、ギリシャの深海油田探索事業の入札に複数のロシアの有力企業が応札する見通しであることを明らかにした。

ラファザニス・エネルギー相は訪問先のモスクワで30日、ロシアのノバク・エネルギー相のほか、ロシアの政府系天然ガス大手ガスプロム(GAZP.MM: 株価, 企業情報, レポート)のアレクセイ・ミレル最高経営責任者(CEO)と会談。

帰国後の記者会見で、ギリシャの深海油田探索プロジェクト入札に「複数の有力ロシア企業が参加する」と述べた。

ギリシャは応札期限を2カ月延期し、イオニア海と南クレタ島沖合いの深海油田プロジェクトの参加企業を募っている。

ギリシャのチプラス首相は近くロシアを訪問する予定。


ロシア、2014年は0.6%成長 速報値と変わらず 2015年 04月 2日 10:18 JST ロイター

ロシア経済、15年・16年ともにマイナス成長へ=世銀 2015年 04月 1日 19:59 JST ロイター

ウクライナとロシアのガス協議、EUが今月中旬の再開目指す 2015年 04月 1日 18:56 JST ロイター

ロシア=サウス・ストリーム撤回で混沌とするパイプライン網再編 2015/01/07 10:39 リムエネルギーニュース

マルコ・ルビオの穴となるキューバ

米国とキューバ国交正常化交渉が進捗している。米国とキューバの首脳会談・外相会談が行われ、米国国務省の勧告によってキューバに対するテロ国家指定が解除される見込みとなった。

このキューバとの国交正常化は、次期大統領選におけるスイング・ステートのひとつであるフロリダ州の票の行方を大きく左右することになる。

オバマ米大統領、キューバのカストロ議長と11日会談へ 2015年 04月 11日 02:47 JST ロイター

米・キューバ首脳が電話会談、8日に=当局者 2015年 04月 10日 23:43 JST ロイター

米キューバ外相が会談、半世紀以上ぶり テロ支援国指定解除へ 2015年 04月 10日 14:31 JST ロイター

米国務省、キューバのテロ支援国指定解除を大統領に勧告=上院筋 2015年 04月 10日 10:09 JST ロイター

米国、キューバ「テロ支援国」解除の是非検討完了 正式勧告待ち 2015年 04月 10日 09:30 JST ロイター

米財界トップ、対キューバ貿易制裁解除の議会承認を楽観視 2015年 04月 9日 13:41 JST ロイター

上下両院への働きかけについては、キューバへの禁輸措置とキューバ国内の民主化支援を定めた「Helms-Burton Act」が頑然とあり、大統領令のみ、議会承認なしの禁輸解除はできない。キューバとのビジネスチャンスをちらつかせ、将来的な体制転換の含みを持たせられるか、が焦点になる。

キューバの体制転換の可能性をアピールできるかについては2014年の中間選挙のひとつ、フロリダ州知事選を振り返ると、キューバとの国交正常化を訴えたCharlie Cristが敗退している。

合衆国全体としてキューバとの国交正常化賛成が多数でも、亡命してきたキューバ系移民及びベネズエラ系移民の多いフロリダ州は国交正常化反対の傾向にあるし、有権者登録をした人々はさらに反対傾向が強い。

キューバの国交正常化交渉がクローズアップされれば、共和党の大統領候補のひとり、キューバ系のマルコ・ルビオ上院議員を相対的に押し上げるかもしれないし、合衆国全体が国交正常化支持となると、彼は足元で掬われるかもしれない。

ロスネフチとルクオイルが支えるロシア

ロシアの資本流出に下げ止まり感が出てきた。3月の外貨準備高は3500億ドルから3600億ドルで推移している。また原油生産量も減少していない。

ロスネフチがサハリン州のLNG施設開発に遅延が生じる、と述べているように新しい油井の開発を制限して対応するものと思われる。ふたつの石油会社、ロスネフチの生産コストは1バレル当たり4ドル、ルクオイルのそれは1バレル当たり25ドルであり、原油価格の低下に充分耐えられる。

一方、ロシア政府は予算上の要求を満たすために1バレル当たり115ドルが必要とされていた。石油会社が負担する税などのコストがどれほどのものか想像できるし、現在の財政をロシア政府は維持できないことも容易に想像できる。石油に関する税制の変更によって輸出税は引き下げられ、生産税は引き上げられている。輸出に対してインセンティブが働くだろう。

【ロシア中央銀行 外貨準備高推移】
2014年10月10日: 4517億ドル
2014年11月14日: 4206億ドル
2014年12月11日: 4146億ドル

2015年01月16日: 3794億ドル
2015年01月20日: 3781億ドル
2015年01月30日: 3763億ドル
2015年02月06日: 3747億ドル
2015年02月13日: 3683億ドル
2015年02月20日: 3646億ドル

2015年03月06日: 3567億ドル
2015年03月13日: 3517億ドル
2015年03月20日: 3529億ドル
2015年03月27日: 3608億ドル
2015年04月03日: 3553億ドル

ロシア、第1四半期の純資本流出は326億ドル=中銀 2015年 04月 10日 06:22 JST ロイター

ロシア:外貨準備高-4月3日終了週(一覧表) 2015/04/09 21:03 JST ブルームバーグ

サハリンLNG施設開発、最低2年遅れの公算=関係筋 2015年 04月 7日 23:45 JST ロイター

[モスクワ 7日 ロイター] - ロシア国営石油会社ロスネフチが、サハリンの液化天然ガス(LNG)生産施設の開発を少なくとも2年遅延せざるを得ない状況にあることが7日、関係筋の話で分かった。

価格下落に加え、ウクライナ問題をめぐる西側諸国による対ロ経済制裁で、資金調達が困難なことが背景にある。

ロスネフチは2013年、2018年からサハリンのLNG施設で年間500万トンの生産開始を目指すことで、米石油大手エクソンモービル(XOM.N: 株価, 企業情報, レポート)と合意していた。

ロシアは世界最大の天然ガス輸出国だが、大半はパイプラインを通じて欧州に輸出されている。液化することで海上輸送が可能になり、アジア諸国など新たな市場へ輸出することが期待されていた。

関係筋は2018年の目標はもはや現実的ではないと指摘。関係筋の1人は「資金難と燃料価格安で、おそらく3━5年遅れるだろう」との見方を示した。

ロスネフチの広報担当はプロジェクトの日程に変更はないと述べた。

エクソンのモスクワ支社、および米テキサス本社の広報担当はともにコメントを控えた。


ロシアから東南アジアへの旅行者が急減、ルーブル安で 2015年 04月 6日 20:10 JST ロイター

参考URL:
ロシア: 油価下落のロシア経済と石油生産に及ぼす影響 :2015/1/19 JOGMEC(PDFファイル)

最も危険なオリガルヒの一時退場

ソ連崩壊後の急進的な経済改革の過程で生まれたオリガルヒ、と呼ばれる寡占的な資本家たちはロシアのプーチン政権下で政治的主導権を奪われて、国家資本主義的な体制に取り込まれた。しかし、ウクライナのオリガルヒは未だ政治的主導権を握るだけの力を持っている。オリガルヒの影響力を減殺できるか否か、2014年のクーデターが革命と呼べるかどうかの試金石になるだろう。

ウクライナ第3位の富豪、イーゴリ・コロモイスキー氏は大統領権限によってドニプロペトロフスク州知事(任官制)を解任された。

コロモイスキー氏は、ドネツクに隣接したこの州で民兵アゾフ大隊(のちに内務省傘下)を組織して、ドネツクの親露派民兵と戦わせた。停戦が発効してからは石油輸送企業「ウクルトランスナフタ」と石油ガス国営企業「ウクルナフタ」の事務所を民兵に占拠させた。コロモイスキー氏が株式の42%を所有する「ウクルナフタ」の株式比率は現在、国会審議されていた。この不法占拠を指示したことで州知事を解任された。

その後、コロモイスキー氏は米国に短期滞在ビザで入国した、と与党「ペトロ・ポロシェンコ・ブロック」の議員が述べている。彼はウクライナ、イスラエル、キプロスのビザを所持している。

「キエフの忠実な支援者」切った大統領 ウクライナの“複層対立軸” 2015.4.6 07:00 産経ニュース

(前略)

■私財で義勇兵部隊を創設

 コロモイスキー氏は、ウクライナ最大の石油ガス国営企業ウクルナフタの株式配分などで政権側と対立を深めていた。3月22日、キエフのウクルナフタの事務所に重武装の要員が詰めかけ、周囲を取り囲んだ。警察の部隊や正規軍兵士ではない。コロモイスキー氏に忠誠を誓う民兵たちだった。

昨年、コロモイスキー氏は巨額の私財を投入し、ウクライナの領土を守る義勇兵部隊を創設した。コロモイスキー部隊は、ロシアの軍事支援を受けた親露派武装勢力との戦闘のため、ドネツク州に派遣され、のちにウクライナ正規軍の一部となった。ドニプロペトロフスク州に戦火が及ぶことはなく、州の多くの住民は「コロモイスキーが、軍事的な脅威から街を守ってくれた」と感謝した。

 昨年5月に誕生したポロシェンコ大統領はロシアのウラジーミル・プーチン大統領(62)とのパワーゲームに加え、汚職政治家が巣くう国家を立て直す責務が重くのしかかり、内憂外患状態にあった。今年に入り、キエフでは法の支配や中央の命令になびかないオリガルヒを排除する動きが広がっていた。コロモイスキー部隊の出来事は、権力闘争を繰り広げるエリートたちの目には「混乱の中で力をつけてきたコロモイスキーが強引に国営企業を乗っ取ろうとしている」と映った。

(後略)


ウクライナ議員:大富豪コロモイスキー氏 米国へ 2015年04月05日 17:20 スプートニクニュース

ウクライナの大富豪、キエフの石油会社本社を武装占拠 2015年3月24日 ウクライナ最新ニュース

イランの核問題は10年先送り

イランの核開発に関して暫定的な枠組み合意がなされた。最終合意に向けて国内外の調整が進むことになる。端的に約10年の期間、イランは核開発を凍結するという内容で核開発を放棄した訳ではない。放棄すればイラン・イスラム共和国の体制は崩壊する最初の一歩になると考えているからに他ならない。

大量破壊兵器開発の疑惑を払拭できなかったイラクのフセイン大統領はイラク戦争で捕縛されて刑死した。また、大量破壊兵器開発を放棄したリビアのカダフィ大佐は内戦に軍事介入されて敗死した。

一方で、核兵器を開発保有したパキスタンはそれ以降インドとの全面戦争をしなくなった。北朝鮮は破綻した経済ながらも体制を維持している(ただし核兵器保有がすべての戦争を抑止するとは断言できない。例としてフォークランド紛争や南オセチア紛争などの地域紛争がある)。

2011年11月13日のエントリーで触れたように、イランの核兵器開発が止まる合理的な理由がない。

その後、2012年3月にイランは国際金融取引を停止(2012年3月21日のエントリー参照)され、イラン産原油に関する保険禁止措置(2012年4月28日のエントリー参照)を受けた。

それ以降、イランは通貨暴落とインフレに襲われた。イランの外貨準備高は、2011年末の1060億ドルから2012年10月頃には500~700億ドルまで減少したと見られ、年率換算で政府発表20%、実態は50~60%のインフレと云われていたが、1週間で対ドル30%下落となってくると社会混乱が惹起されるのは当然だろう。

輸出入の減少が供給力を弱らせて、モノの流通が滞りインフレを起こしている、と思われる。政府に不満を抱えた国民は、闇両替商から外貨(ドル)を買いあさり、抗議デモの取り締まりにまで発展した。

と、2012年10月19日のエントリーで書いた。

つまり、あくまでも核開発の全面放棄を掲げて、交渉の長期化と経済制裁を続ける選択肢もあった。

イランのテヘラン市民がこれを外交的勝利として快哉を叫ぶのは、経済制裁が解除されるという期待感からと思われる。とは云え制裁措置が全面解除されることはあまり想定できない。その不満が体制批判、体制転覆までつながる可能性も低い。

もはやアラブ・中東各国と同様の革命・内戦が起きるほど、イランの若年層は多くはない。イラン・イスラム革命の時点こそ、若年層の人口がピークだったのだ。またハタミ大統領の当選の時点が中間層の政治的高揚のピークだった。その意味でイランは利害関係の硬直化への袋小路に入っているのではないか。このまま推移すると、内政外交の両面で局面を打開できずに弱体化する可能性がある。

イラン国内の閉塞状況が社会的な自家中毒に陥ると、既得権益層内での権力抗争、つまり法学者と革命防衛隊の対立などから、それ以外の国民に対米戦争を歓迎する空気が醸成されるかもしれない。

と、2013年11月11日のエントリーで書いたように、国外からの経済制裁は解除されても、国内の自家中毒状態は続くものと考えられる。

米国防総省、核協議と並行しイラン核施設破壊できる兵器も準備 2015年 4月4日 14:36 JST WSJ日本版

イラン核問題、世界の安全保障強化する最終合意期待=サウジ国王 2015年 04月 3日 19:16 JST ロイター

アングル:イラン核合意はオバマ外交の勝利、「武力頼らず」実る 2015年 04月 3日 15:27 JST ロイター

イラン核枠組み合意、ウラン濃縮制限など条件履行なら制裁解除へ 2015年 04月 3日 11:27 JST ロイター

焦点:イラン核枠組み合意、年内の石油輸出増は見込み薄 2015年 04月 3日 10:37 JST ロイター

イラン核問題の枠組み合意、現実反映せず=イスラエル戦略担当相 2015年 04月 3日 08:50 JST ロイター

イラン核協議で枠組み合意、ウラン濃縮制限など盛り込む 2015年 04月 3日 06:49 JST ロイター

イラン核協議で歴史的合意、世界より安全に=オバマ米大統領 2015年 04月 3日 04:02 JST ロイター

外交カードとして使われる潜水艦輸出

潜水艦の建艦競争は、自国にとどまらず利害の一致する友好国に及び、潜水艦、対潜哨戒機、ソナーにそれらのメンテナンスや人材育成のパッケージ輸出を促進している。例えばベトナムはロシアから潜水艦を購入して、インドから人材育成のスキームを受け入れている。ベトナムの矛先はもちろん中共に向いている。

中国共産党の海軍拡張が我が国を始め、ベトナムやインドなどの潜水艦保有数を増やす最大要因となっている。これは連鎖反応を引き起こし、インドと対峙するパキスタンの潜水艦の保有数増加を促す。パキスタンは中共から潜水艦8隻を購入することになった。

潜水艦は各国の外交カードとして使われている。“対中封じ込め”の陣営では、ほかにミャンマーがインドからソナーを購入しようとしており、インドは米国から対潜哨戒機を購入しようとしている。一方、中共の陣営ではパキスタンのほかにバングラデシュが中共から潜水艦を購入しようとしており、運用支援に人民解放軍から人材が派遣される予定となっている。

中国が「S-20」型潜水艦をパキスタンに売却へ・・・単価では過去最高か 2015-04-07 22:21 サーチナ

パキスタン、中国から潜水艦8隻購入へ 2015年4月3日 12:56 JST WSJ日本版

パキスタンは中国から潜水艦8隻を購入する計画だ。防衛当局者が明らかにした。これは中国にとって最大規模の武器取引で、インド洋における軍事競争が激しさを増す可能性を秘めている。

パキスタンにとっても、この取引は過去最大の武器購入になる見通しだ。

公文書によると、パキスタン国防省のムフタール・カーン次官補が3月31日に開かれた議会の防衛常任委員会で購入計画を明かした。

文書には「国家保安委員会(NSC)が、中国から潜水艦8隻を購入するプロジェクトを原則承認した。価格交渉は進展している」とのカーン氏の発言が記されている。

 NSCは防衛問題の最高意志決定機関で、シャリフ首相を含む背広組(文官)と制服組(武官)の指導者で構成されている。


アングル:豪潜水艦調達計画、「アジア重視」米国が日本製後押し 2015年 04月 2日 17:03 JST ロイター

参考URL:
潜水艦が映し出すアジアの安保( [特別投稿]長尾 賢氏/学習院大学講師(安全保障論・非常勤)) 更新日:2014/06/17 東京財団

バブ・エル・マンデブ海峡を抑えるエジプト

スンニ派とシーア派の戦いは、大まかにシリアとイラクとイエメンの3つの戦線で行われる形になった。イエメン内戦介入では、サウジアラビア主導の空爆とアラブの有志連合軍が結成されている。

これに加えて、エジプト海軍はアラビア半島とソマリアに挟まれたバブ・エル・マンデブ海峡を抑えるため、少なくとも海兵隊1000人、艦艇6隻を派遣している。

紅海にあるバブ・エル・マンデブ海峡は幅30キロメートルほどしかなく、大型タンカーが行き交うことができない。コモディティを輸送する上で重要なチョークポイント(渋滞地点)となっている。2013年にここを通過した原油・石油製品は日量約380万バレル。ほかのチョークポイントにはパナマ運河やトルコのボスポラス海峡やダーダネルス海峡、デンマーク海峡などがある。

Egypt sends large naval-marine force to Bab el-Mandeb April 5, 2015, 9:32 AM (IDT) DEBKAfile

DEBKAfile’s military sources report that Egypt Sunday transferred war ships and marine forces as reinforcements for securing the Bab el-Mandeb Strait against Iranian-backed Houthi control. Egypt now deploys six warships and at least 1,000 marines at the vital shipping gateway.

Egypt will defend its Gulf allies “if we have to,” said President Abdel-Fatteh Al-Sisi Saturday night after a meeting of the Supreme Council of the Armed Forces. He stresse that Bab Al-Mandab Strait was a national security issue for Egypt and Arab countries. Arab national security would only be protected by Arab countries, said the president.

Egypt has closely monitored the civil war in Yemen, especially since the Saudi-led Operation Decisive Storm began to end the Iranian-backed Houthi rebellion. The disruption of shipping in the Bab el-Mandeb Strait would directly affect traffic, including energy shipments, to and from the Gulf and Far East through Egypt’s Suez Canal.


参考URL:
EIA(2)=世界石油輸送のチョークポイント、トルコ海峡やパナマ運河 2014/11/26 07:40 リムエネルギーニュース

スンニ派の対シーア派大同盟

サウジアラビアは、クーデターで政権を逐われたエジプトのムスリム同胞団に歩み寄り、スンニ派の大同団結を図っている。イエメン内戦介入のためのアラブ合同軍の設立などの動きと合わせてイランに対抗する対シーア派の大同盟が構築されていく過程と見ることができる。

社会主義に立脚していたアラブ民族主義の政権が“アラブの春”によって、内戦を続けながらもなんとか命脈を保つか、もしくは打倒される一方で、イスラム原理主義が一挙に台頭して、湾岸諸国の君主制の脅威となるかと思われたが、エジプトでは政権担当能力の無さを露呈して、ムスリム同胞団とその政党は政権を逐われた。

米国はムバラク政権と現在の軍事政権に対して軍事支援凍結を行ってきたが、イランとの核開発協議とのバランスを図るためか、支援凍結の解除を対テロの名目で行った。以前からエジプトの軍事政権に対してはサウジアラビアなどの湾岸諸国が財政支援を行ってきたが、サウジアラビアのムスリム同胞団への歩み寄りはバランス重視の外交とスンニ派の大同団結の一環と云えるだろう。

サウジアラビアとパキスタンは事実上の同盟関係を作りつつあり、地勢的にイランを挟み込むことになる。パキスタンはイエメン内戦介入のためサウジアラビアに派兵している。核兵器を保有するパキスタンのサウジアラビア接近はイランが核開発を放棄しない理由の一つになるだろう。

イランはバルチスタンに民族と宗派問題を抱え、同じ民族と宗派を抱えるパキスタンの介入を招きやすい。イランも民族としてのペルシア人と宗派としてのシーア派だけで構成される国民国家ではない。イスラム原理主義の先駆者として統一されてはいるが、スンニ派とシーア派の対立激化によっては分裂もあり得るだろう。

どちらも合同する最大公約数としては、宗派と民族と言語などで統合できる親和性をアピールするだろう。

サウジ、ムスリム同胞団に歩み寄り―団結するスンニ派 2015 年 4 月 3 日 17:09 JST WSJ日本版

 4年前に中東・北アフリカ地域で拡大した民主化運動「アラブの春」以降、サウジアラビアは二正面作戦を行ってきた。その相手はシーア派の宿敵イランと、イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」に率いられたスンニ派のイスラム集団だ。中東全域におよぶ後者の台頭は君主制国家サウジの体制を脅かしていた。

 だが、サウジのサルマン新国王が3月下旬、イエメンのシーア派系武装勢力で親イランの「フーシ」を標的とした空爆で、スンニ派の湾岸諸国から予想外に幅広い連携を取り付けたことは、こうした二正面作戦が終わりを迎える予兆となる。

 この新たな展開の中でサウジは、ムスリム同胞団を相手とした地域内の戦いを、受け入れがたいやっかいな紛争へと変貌させたのはイランの拡張政策だと判断した。特に今は、同胞団が弱体化し、サウジとその同盟諸国を危険にさらすような力を持ち合わせていない。この変化の背景には、サウジ国内では少数派のシーア派内部に巣くう、イランの後ろ盾を受けた不穏な動きに対する恐怖心がある。

 カタール大学の湾岸地域研究でコーディネーターを務めるハーリド・アルメザイニ氏は「イエメン問題はサウジ国民にとって非常に重要だ。どこかの政府がイランの外交政策に歩調を合わせることになれば、国内のシーア派勢力が台頭しかねないことをサウジは恐れている」と話す。

 さらに「フーシは軍事力と兵器を持っており、深刻な脅威となっている。ムスリム同胞団はそれよりはるかに弱い。サウジは今、同胞団がどこにいようと、以前よりかなり優位な立場にいる」と述べた。

 ただ、サウジの変化は、中東のスンニ派諸国に亀裂を生じさせてきたムスリム同胞団の台頭とその政治的役割をめぐる意見の対立が終わったことを意味するわけではない。この対立は2013年にエジプトでムスリム同胞団出身のモルシ大統領(当時)を軍出身のシシ国防相(当時)が追放したことをきっかけに顕著になった。

 それ以降、エジプトとサウジ、アラブ首長国連邦(UAE)は同胞団を国際テロ組織アルカイダや過激派「イスラム国」に近いテログループだとみなしてきた。一方、同胞団は非暴力を公言し、選挙の実施を提唱している。

 サウジは同胞団を相手にした先兵としての立場から、中立の立場に近づいてみせたことで、イエメン問題を中核にスンニ派のすべての関係諸国をまとめるという手腕を振るった。その中にはモルシ氏の後ろ盾だったトルコから、中立のカタール、現在はシシ氏が大統領となっているエジプト、さらには真っ向からイスラム主義と対立するUAEまで含まれる。

 トルコは実際の戦闘には参加していないものの、エルドアン大統領はサウジを支持したうえで、ここ数日はイランに対してかなり厳しい発言を行っている。大統領はこれまで、こうした発言は避けてきた。対照的に、湾岸地域の君主国で唯一、スンニ派政権ではないオマーンはイエメンへの軍事介入からは距離を置いている。

 サウジのファイサル外相が2月に日刊紙アルジャジーラに語った発言の中に、ムスリム同胞団に対する見方の変化が現れていた。外相は「ムスリム同胞団には困っていない」とし、サウジは「その系列にある小さな分派」と対立しているだけだと話した。 

 地元エジプトでの厳しい弾圧と他の地域での反発を経験したムスリム同胞団は頼みの綱としてこの好機に報いようとした。サウジによるイエメン空爆が始まった後、中東全域に散らばる同胞団の指導者らはおおむね、慎重ながらもサウジの対イエメン軍事介入を支持した。

 結果的にイエメンで実現したサウジ主導の連携は明らかに宗派による結びつきだ。シーア派が地域全体に拡大するのを阻止するための戦いだというサウジの説明に賛成したのだ。イランの核開発プログラムに対する恐怖感も一因となり、中東全域で宗教的対立が激化するなか、これは有効な接着剤となり得るだろう。

 米ワシントンのシンクタンク、湾岸問題研究所で所長を務めるアリ・アル・アーメド氏(サウジのシーア派で反体制派)は「宗派をベースとした連携であるが故に、予想以上に長続きする可能性がある」と指摘している。

“ヴィクトリア均衡”と階級の固定化

英国のキャメロン首相は議会を解散、5月7日に総選挙が行われる。

前回の2010年総選挙と同様に、二大政党の保守党と労働党いずれも過半数に達しないと予想されており、保守党と連立を組む自由民主党は議席をどれだけ維持できるか。また欧州懐疑派としてEUからの離脱を訴える英国独立党(UKIP)とスコットランド独立を唱えるスコットランド国民党(SNP)はどれだけ躍進できるかも注目される。

サッチャリズムによって始まった富と階級の流動性が新しい階級の発生にまで落着した結果、保守党と労働党の二大政党制を揺るがすところまで至ったのだと考えることもできる。

すでに旧来の労働者階級は高年齢層に偏って失くなりつつあり、この意味で労働者階級の英雄(ワーキング・クラス・ヒーロー)は社会的に誕生しにくくなっている。保守党や労働党の変質は階級社会の変化に基づいているのだ。

英国社会にとっては、労働者階級の英雄を増やすよりも中間層に厚みを増すことが望ましい以上、階級の再固定化を促すのではなく富の流動性を保つことが求められる。

量的緩和以降の緩やかなインフレ傾向を覆して、再度デフレに陥るようなことがあれば、ヴィクトリア朝の昔に“ヴィクトリア均衡”と呼ばれたデフレ期、労働者と植民地の人間がコストを負担した時代への先祖返りへとつながりかねない。

この“ヴィクトリア均衡”と階級の固定化を踏まえると、なぜ探偵シャーロック・ホームズの依頼者や犯人に相続財産や株式の配当や債券の金利で生活する人々が多いのかを歴史と経済の面から良く理解できる。

キャメロン英首相、テレビ討論で野党労働党党首と互角=世論調査 2015年 04月 3日 13:32 JST ロイター

英企業100社超の幹部がキャメロン政権支持、新聞に公開書簡 2015年 04月 1日 18:29 JST ロイター

英議会解散、5月総選挙へ火ぶた 数十年来の接戦に 2015年 03月 31日 06:27 JST ロイター

英階級システムに細分化の現象、15%が最下層に=調査 2013年 04月 4日 11:21 JST ロイター

[ロンドン 3日 ロイター] 英BBCなどが行った英国民の階級意識に関する調査で、同システムが従来より細分化されていることが分かった。研究者らは7つの新しいカテゴリーに分類できると指摘している。

同調査はBBCが16万1400人、調査会社GfKが1026人から得た回答を基に、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)、マンチェスター大学などの研究者が分析し、新たなクラス分けを行った。

回答者の収入、資産、社会的関係などを分析した結果、従来の上流・中流・労働者階級に属するのは英国民の一部だけであり、新たに「エリート」(6%)、「定着した中流階級」(25%)、「技術系中流階級」(6%)「新興富裕労働者」(15%)、「伝統的労働者階級」(14%)、「緊急サービス労働者」(19%)、「プレカリアート(不安定なプロレタリアート)」(15%)の7つに分類できるとした。

「定着した中流階級」が25%と最も多く、その多くは小都市や地方に居住していることが分かった。また、最下層となる「プレカリアート」も15%とかなりの規模になることが判明した。

研究者らはトラック運転手や掃除人などが含まれる「伝統的労働者階級」に属する人の平均年齢が65歳と最も高かったことにも注目。「この点において、伝統的労働者階級の現代的意義は薄れつつある」と指摘した。


参考URL:
19世紀のデフレーションはなぜ始まり、なぜ終ったのか September 2003 内閣府・経済社会総合研究所(PDFファイル)

アルシャバブの存在証明としてのテロリズム

ソマリアのイスラム原理主義過激派アルシャバブ(アルカイダ系)がケニアの大学でテロを行った。ケニアでは、2013年9月に首都ナイロビの商業施設で39人殺害されるテロが起きており、今回はこれを上回る被害によってケニア最大規模のテロ事件となる。被害者の数では1998年の首都ナイロビの米国大使館爆破テロで213人が殺害されたのに次ぐ。

ソマリア南部で勢力を保っていたイスラム原理主義過激派のアルシャバブの最後の拠点、港湾都市キスマユがケニア軍によって陥落したのが2012年9月末。これ以降のアルシャバブはソマリアとケニアで繰り返している。あたかも他者の死によって自己の生存証明を行っているテロ組織と云うべきか。

そして、ケニアは隣国の混乱の歴史に巻き込まれている。

ケニア大学をイスラム過激派襲撃、147人死亡 キリスト教徒人質に 2015年 04月 3日 06:04 JST ロイター

[ナイロビ/ガリッサ(ケニア) 2日 ロイター] - ケニア北東部のガリッサで2日、イスラム過激派の武装集団がガリッサ大学のキャンパスを襲撃し、これまでに少なくとも147人の死亡が確認された。負傷者は79人に上っている。

武装集団はキリスト教の学生を人質に取り、治安当局と数時間にわたって銃撃戦となった。ケニア警察当局は声明で、警察と軍隊が大学を包囲し、武装集団の掃討を試みていると明らかにした。

ソマリアを中心に活動するアルカイダ系武装組織アルシャバーブが犯行声明を出し、多数のキリスト教徒を人質に取っていることを認めた。警察によると、武装集団は大学の敷地内で無差別に発砲したという。

ケニア内務相はガリッサで行った記者会見で、815人の学生のうち約500人の所在を確認したことを明らかにした。また、アルシャバーブに属する銃撃犯は4人とも射殺され、更なる攻撃の脅威はほぼ解消されたとしている。

同記者会見で警察はケニア政府がソマリアとの国境に近い4地域で午後6時半から午前6時半までの外出禁止令を発令したと発表した。

ケニアでは過去にもアルシャバーブが襲撃事件を起こしており、2013年には首都ナイロビのショッピングモールが襲撃された。


【ソマリアの近現代史の概略】
→イギリス領ソマリア成立(1886年)
→イタリア領ソマリア成立(1908年)
→英領・ソマリランド独立(1960年6月)
→南北統合によりソマリア独立(1960年7月)
→クーデタによりバーレ政権成立(1969年10月)
→ソマリア、大ソマリ主義に基づくオガデン戦争敗北(1978年)
→内戦の勃発(1988年頃)
→バーレ政権崩壊と暫定政権成立(1991年1月)
→北部・ソマリランド事実上独立(1991年6月)
→アイディード将軍派とモハメド大統領派の対立激化(1991年)
→アイディード将軍派とPKO部隊の「モガディシュの戦闘」(1993年10月)
→PKO部隊撤退(1995年3月)
→アイディード将軍派分裂(1995年3月)
→アイディード将軍戦傷死(1996年8月)
→南部・軍閥各派の和平協定調印(1997年12月)
→和平合意事実上破棄(1998年5月)
→中部・親エチオピア部族によるプントランド事実上独立(1998年7月)
→エチオピア介入によりジブチでハッサン暫定政権成立(2000年10月)
→ハッサン政権を承認しない南部・軍閥各派による内戦継続(2001年)
→南西ソマリア事実上独立(2002年4月)
→プントランド大統領でもあるユスフ暫定政権成立(2004年10月)
→プントランドを本拠地とした「ソマリア沖の海賊」活発化(2005年)
→住民支持でアフマドのイスラム法廷連合が南部統一(2006年6月)
→国連安保理PKO派遣決議、しかし実施されず(2006年12月)
→過激派を嫌う米国支持下、エチオピア軍が侵攻占領(2006年12月)
→イスラム法廷連合の幹部は亡命、アルシャバブ結成(2007年1月)
→アフリカ連合は侵攻非難、後にエチオピア支持(2007年1月)
→旧イスラム法廷連合がソマリア再解放連盟結成(2008年)
→アルシャバブの抵抗でエチオピア軍苦戦(2008年)
→ソマリア再解放連盟とエチオピアの和平成立、軍撤退(2009年)
→旧イスラム法廷連合のアフマドが選挙により大統領就任(2009年1月)
→欧米はアフマドを穏健派指導者として容認(2009年2月)
→アルシャバブが旧イスラム法廷連合と戦闘開始(2009年6月)
→アフマドはエチオピア軍に再介入を要請(2009年6月)
→ケニア軍によるアルシャバブへの総攻撃開始(2011年10月)
→暫定憲法が採択されソマリア連邦共和国成立(2012年8月)
→アルシャバブ最後の拠点キスマユ陥落(2012年9月)
→ハッサン・モハムド大統領が選出される(2012年9月)
→シルドン政権成立(2012年10月)
→アルシャバブがケニアの首都ナイロビでテロ(2013年9月)
→アフメド政権成立(2013年12月)
→アルシャバブ、大統領宮殿に対するテロ(2014年2月)
→アルシャハブのゴダネ指導者が米軍により爆殺(2014年9月)
→アルシャバブ、ケニアの大学でテロ(2015年4月)

南北交互を守ったナイジェリア大統領選

延期されていたナイジェリアの大統領選が実施されて、南部出身で現職のジョナサン大統領が落選した。新大統領となるムハンマド・ブハリ氏は北部出身のムスリムである。

ナイジェリアの大統領は慣例として南北出身の大統領が交互に選出されてきた。ジョナサン大統領への反発と現職落選はこの慣例を破って出馬したことも一因であろう。

これを受けてナイジェリア南部では不正選挙を訴える抗議デモが発生している。北部出身の大統領に替わることにより、南部への利益誘導が減少する怖れがあることが抗議デモの背景にあると思われる。

アフリカ大陸での摩擦と紛争の多くは、マグレブ(アラブ系・ムスリム)とサブサハラ(ブラックアフリカ・キリスト教及び土着信仰)の分断線上で起きている。この例に洩れずナイジェリアもまた、国内に分断を抱えている訳だ。

この南北分裂を背景に、イスラム原理主義過激派のボコ・ハラムがテロを繰り返している。

ナイジェリア大統領選、現職ジョナサン氏敗北で政権交代へ 2015年 04月 1日 09:46 JST ロイター

[アブジャ 31日 ロイター] - 先週末に行われたナイジェリアの大統領選は、野党のムハマドゥ・ブハリ元最高軍事評議会議長が、現職のグッドラック・ジョナサン氏を抑えて勝利した。選挙で現職が敗れたの初めて。

ジョナサン氏率いる与党国民民主党(PDP)は民政移管後の1999年から政権の座に就いていた。ただ、汚職スキャンダルやイスラム過激派ボコ・ハラムの台頭によって支持率が低下していた。

ロイターがまとめた最終結果によると、野党全進歩会議(APC)のブハリ氏の得票は1540万票。これに対し、ジョナサン氏は1330万票にとどまった。


ナイジェリア「大統領選に不正」数千人抗議デモ 2015年03月30日 12時42分 読売新聞

【アブジャ=上杉洋司】アフリカ最大の経済大国ナイジェリアで28日に行われた大統領選で混乱が拡大し、地元テレビによると、南東部リバー州ポートハーコートで29日、選挙に不正があったとして、野党支持者ら数千人が抗議デモを行った。

 同州では28日に衝突があり、地元警察は兵士1人を含む3人が銃撃で死亡したと説明した。これに対し、野党側は、与党を支持する武装集団によって、多数の野党支持者が殺害されたと主張して対立が激化した。

 一方、AP通信は、北東部バウチ州では、大統領選の妨害を宣言しているイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」が、州都バウチに向かっているとの地元住民の証言を伝えた。バウチ郊外でナイジェリア軍と戦闘になった模様だ。地元警察の報道官は、「銃で武装した集団が(同州の)投票所を襲った」と話している。

 ボコ・ハラムは、隣接するゴンベ州などでも28日に投票所を襲うなどして、市民40人以上が死亡している。

かくて、カイロの春は遠くなりにけり

民主化プロセスは提示しているものの紛うことなきクーデターを起こし、権力の座に就いたエジプトの軍事政権に対して、米国は軍事支援凍結を解除する。2011年の革命と2013年のクーデターを経て、カイロの政治的な春は遠くなりにけり、だ。

オバマ大統領~ケリー国務長官~スーザン・ライス安全保障担当大統領補佐官の外交はここでも一貫性を放棄した。もともとケリー国務長官の中東外交の最大の眼目はパレスチナ和平の実現にあったのだ。

しかしパレスチナでは、唯一イスラエルと平和条約を締結しているエジプト(特に軍部)を敵に回してしまっており、当然のごとく米国の大統領の政権が2期目にレガシーとして目指す和平交渉は頓挫した。イスラエルのガザ侵攻ではイスラエルとエジプトが暗黙の共闘体制に入り、オバマ政権が和平に奔走しても国防総省がイスラエルに援助する二元外交になってしまう始末だった。

パレスチナ和平でレガシーを残すならば、まずエジプトとの関係改善から始めるべきであった。

巷間、レガシーづくりのために行われているとされるイランとの協議とのバランスを考慮して、エジプトへの軍事支援凍結解除を行ったのだとしたら、相変わらず手順の進め方が粗雑なように見える。そうした意図がなくてもイランとエジプトに対して調節しているように思われるだけでも粗雑に感じられるだろう。

イラン核協議、ロシア外相「大筋で合意成立」  2015年 04月 1日 09:55 JST ロイター

米大統領、対エジプト軍事支援凍結を解除 2015年 04月 1日 10:36 JST ロイター

[ワシントン 31日 ロイター] - オバマ米大統領は31日、エジプトのシシ大統領と電話会談を行い、これまで凍結していた軍事支援を解除すると表明した。

ホワイトハウスによると、凍結解除でF16型機12機、ハープーン・ミサイル20発、M1A1エイブラムス戦車最大125台の提供が可能となる。

オバマ大統領は、米議会に今後も年間13億ドルのエジプト支援拠出を求めていくとしたが、2018年度からクレジットによる軍事物資購入は認めないという。

さらに、支援の照準を対テロ対策、国境・海上およびシナイ半島の安全保障、既存の兵器システムの維持に合わせるとしている。

米国家安全保障会議(NSC)のミーハン報道官は声明で「この措置により、米国の支援が確実に、エジプトの安定化やテロ組織の壊滅など地域共通の目的達成のため使用されるようになる」と述べた。

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