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イルカ追い込み漁で追い込まれるリベラル

世界動物園水族館協会(WAZA)は、日本動物園水族館協会(JAZA)へ会員資格「停止」をちらつかせて、イルカ追い込み漁を通じたイルカ入手を禁じた。

この顛末は、グローバリゼーションの帰結のひとつとして、極左から中道左派・リベラルの世論形成力が世界規模で失われている証左として見ることもできる。

もともと、極左からリベラルまでが掲げる手厚い弱者救済策は、冷戦下の西側諸国だけで閉鎖された国民経済の成長力と、再分配の合意に頼っていた。そのために政治基盤は、労組に所属する製造業などの労働者だった。

しかし、先行した新自由主義とそれを助長したグローバリゼーションのなかで、彼らの政治的基盤は失われた。

現在、彼らの拠って立つところは、ごく一握りの人々がグローバリゼーションのなかでリベラル的な連帯感を持てる場所に限られてしまった。そのために幅広い支持層を持てず、発言はますます過激化し、支持層はさらに先細りしていく。

人事と予算は独占され、チェック機能が働かない、腐敗と汚職が隣り合わせの閉じられた世界の出来事は、外部からは特に醜いものになる。

腐敗と汚職を是正する民主的な投票の機会もなく、閉じられた世界では得てして常識が通用しなくなる。分配のための破壊を呼号するポピュリズムと、破壊のおこぼれに与ろうとする機会主義者すら存在せず、妄想の入り混じった陰謀論と、それに追随する妄信者だけが存在する。

彼らは、人事と予算を掌握している圧力団体(WAZA)を使って、影響下に置かれている人々に選択の余地がない選択肢を迫っているに過ぎない。そして、日本の水族館に対してイルカの入手方法を変更せよ、しなければ団体から除名する、と通告した。一見ソフィスティケートされているが、内実は脅迫である。

除名されれば希少種は入手不可になる。集客の目玉になる希少種がいなくなれば、旭山動物園のような“行動展示”など目立った特徴を持たなければ、中長期的に存続不可になるからである。

しかし、視点を転じてみよう。多数派を占めている圧力団体が、世界情勢の変化で団体の成員ごと入れ替えられてしまったり、団体の持つ利権分配能力に不満が高まり、誰も右に倣えをしなくなれば、もはや取るべき方法がないことを逆に証明している。

下記の記事によれば、イルカ漁で捕獲されたイルカを輸入している国々は意外と多い。イルカが水族館の集客の目玉であれば、それもまた利権である。

相手国で最も頭数が多いのは、急速な経済発展で水族館建設がブームになっている中国で、毎年30~50頭。韓国にも2014年に12頭、2013年にはロシアへ15頭、ウクライナへ20頭を輸出。過去10年を見るとアメリカ、台湾、ベトナム、タイ、イラン、トルコ、サウジアラビア、UAEなどにも輸出実績がある。

つまり、交渉の進展中に、日本側が多数派工作を成功させる可能性もあった。

そもそも、日本の領海で行われ、国内法で規定されているイルカ追い込み漁を、国際法で即時禁じることはできない。

なぜ、イルカ追い込み漁が残酷なのか、については証明できていない。なぜ、イルカが賢い動物なのか、については証明できていない。この議論のボトルネックは、これが動物権論の延長線であり、もとを正せば人種優越論の反転であり、この点を突かれては彼らのリベラル的正義も瓦解する。

だからこそ、交渉が進展する前に、脅迫する強行手段しか選択肢がないのだ。

日本のイルカ漁非難のWAZA 太地のイルカ輸入国も除名すべき 2015.05.22 07:00 NEWSポストセブン

水族館からイルカが消える?世界動物園水族館協会と朝日新聞に共通の偏向 2015年5月23日 DIAMOND ONLINE

Japanese dolphin-hunting town may add breeding farm Fri, May 22, 2015 Taipei Times


人種優越論者が動物権を主張する論者へと反転した論理的帰結については、以下にある2011年10月5日のエントリーを一読していただきたい。

ビートたけしがホスト役を務める日本人(捕鯨賛成)VSオーストラリア人(捕鯨反対)の討論をYoutubeで見返してみた。番組の演出や討論者の仕込みがあることを差し引いても、オーストラリア人は自らが主張する論理的帰結が到達する危険性をまったく理解していない。

曰く賢い動物は殺してはいけない、曰く管理できない動物は殺してはいけない、曰く他に食べる動物があるから殺してはいけない、曰く欧米化したのだから食文化も欧米化すべきとのことだ。

文化様式を守る点では同じだがイヌイットは捕鯨をして良いことになっている。完全に欧米化するか、もしくは白人の脅威にならなければ捕鯨は認めて良いらしい。確かにイヌイットやアボリジニは最早、脅威にはならないからだ。

さらに恐るべきは、賢い動物を殺してはいけないのなら、賢くない動物は殺して良いことになる。管理できない動物を殺していけないのなら、管理できる動物は殺して良いことになる。何が賢さを決定するのかは措くとしよう、管理云々に既にして生殺与奪の決定権があると思っているのも措くとしよう。これを論理的に突き詰めると以下のことが正当化できる。

賢いゲルマン民族は殺してはいけないが、賢くないユダヤ人やロマは殺して良い。管理できるスラブ人はゲルマン民族の奴隷にして、管理できないユダヤ人やロマはゲットーに送るか強制収容所で抹殺して良い。然してナチズムが亡霊の如く甦る。

この論理的帰結がもたらす危険性に気付いていないとすれば、気付かせた方が良いだろう。まだしも偽装されたもしくは対象をすり替えた人種差別主義を続けるならば、白豪主義に回帰した方が良い。それもまた言論・思想の自由に他ならないからだ。別段、彼らが人種差別主義を唱えたところで我々はそれを覆すだけの実力は持っている。
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支那系と韓国系移民の排除『序章』

世界の各地で、宗教と文明の分断線上の争いが起き始めている。正教会とカソリックの分断線、プロテスタントとカソリックの分断線、スンニ派とシーア派の分断線、イスラムとキリスト教・土着宗教(ブラックアフリカ)の分断線、そして支那の人治と我が国の法治の分断線においても静かに激しく深い争いが起きている。

さて、支那系と韓国系による法治概念に対する軽視が産み出す犯罪の数々はもちろん教育分野、それも米国の留学事情にも及んでいる。

米国の大学適正試験における不正(成り済まし受験、替え玉受験、試験内容の漏洩など)の摘発、留学生による成績不良とカンニングによる退学処分の増加、大学におけるスパイ事件の多発など、これらは結果として支那系と韓国系移民の米国社会からの排除につながっていくだろう。

米国際教育協会(IIE)が発表した2013~2014年度の米国における大学留学生数は、中国1位、インド2位、韓国3位、日本7位。留学生約88万6千人のうち中国人は31%、インド人は12%、韓国人は7.7%、日本人は2.2%(前年度比1.2%減の約1万9千人)だった。

中国教育省の統計では、2014年には45万9800人の学生が海外に留学した。また米国の国土安全保障省の統計では、米国の留学生の約3分の1を中国の学生が占め、国別では世界最大となった。

さらに、2014年だけでも約8000人の中国人学生が、米国の大学から退学処分を受けたことが明らかになった。これは米国の教育サービス会社、厚仁教育が公式統計や退学処分になった学生を対象にした調査をもとにまとめたもので、退学の理由は成績不良やカンニングなどの不正行為で、それらで80%を超えた。

また、米司法省は他人に成り済まして米国の「大学進学適性試験」(SAT、Scholastic Assessment Test)や英語能力試験TOEFLを受ける替え玉受験に関与していたとして、旅券偽造や詐欺の罪で米国に住む中国籍の15人を起訴した。偽造旅券を使って、ペンシルベニア州で他人に成り済まして試験を受けたり、替え玉受験を依頼したりしていたという。

過去の事例では、SAT実施団体の米非営利法人カレッジボードは、中国と韓国で大規模な不正行為(不正入手と事前閲覧)があった可能性が高いとして、中韓の全受験者の点数公表を遅延させたこともあった。

この影響か、SATの市場シェアは低下を続けており、2012年には高校生の受験者数でライバルのACTに追い抜かれた。ACTは、高校の授業との関連性が強く、成績の評価手段として評価が高まっている。対するカレッジボードはSATの改革(2016年から実施)を余儀なくされた。

中国人留学生、米国で退学増える 学力不足やカンニングで 2015年 5月29日 18:43 JST WSJ日本版

在米中国人、替え玉受験で15人起訴 2015.5.29 11:55 産経ニュース

中韓の学生を駆り立てる「集団カンニング」という不正…「試験は勝つか負けるかのゲーム」とうそぶく 2015.1.14 11:00 産経ニュース

米の大学進学適性試験、中韓で大規模不正か 公表延期 2014/11/1 11:48 日経

大学適性試験「SAT」に大幅改革 2014年 3月6日 15:34 JST 更新 WSJ日本版

支那系の大学教授が関わったスパイ事件も起きている。米国は1996年からthe Economic Espionage Actを運用している。

留学後の移民は国内の労働者よりも高給取りになる、とのデータが出ている。

しかし、中国の国家主席の習近平国家主席は5月20日、統一戦線工作に関する演説を発表した。留学生は“統一戦線工作の新しい力”であり、帰国するか現地で働いて国益に資する、存在と位置づけられている。

ここまであからさまに云われて、留学生を増加させる謂れはないだろう。

華裔諜案頻傳中國海外攬才令美國警覺 29.05.2015 07:28 VOA中文

米マック本社前で2000人デモ=最低賃金引き上げ要求 2015/05/21-10:50 時事ドットコム

米ロサンゼルス市、最低時給を15ドルに引き上げへ 2015/5/20 10:08 日経

14年の米失業率、移民労働者で低下目立つ 2015年5月22日 17:00 JST WSJ日本版

米労働省労働統計局(BLS)が21日公表した報告書によると、米国の移民(外国生まれ)労働者の2014年の失業率は5.6%で、2013年の6.9%から低下したという。これは昨年の労働市場の全体的な持ち直しを反映したものである。

米国出身労働者の2014年の失業率は6.3%で、やはり前年の7.5%から低下している。

米国の失業率がピークに達した2009年以来、移民の失業率は4.1ポイントも低下してきた。一方の米国出身者の失業率低下は2.9ポイントにとどまった。

この報告書は人口動態調査に基づいて毎年まとめられている。BLSによると、移民労働者とは、米国在住だが生まれたときに米国籍ではなかった人、米国籍を持たない両親のあいだに米国外で生まれた人を指すという。

米国の移民労働者の数は増加し続けている。昨年には2013年の2530万人から増加して2570万人となった。移民労働者が2014年の労働人口に占める割合は16.5%で、前年の16.3%、景気が回復し始めた2009年の15.5%と比較しても増大している。

移民の2014年の労働参加率(16 歳以上の就業中あるいは求職中の人がその人口に占める割合)は66.0%で、米国出身者の労働参加率62.3%を上回っている。BLSによると、移民労働者が男性である可能性、労働参加率が最も高い25-54歳という年齢層に属する可能性は、米国出身者の労働者の場合よりも高いという。

2014年には移民労働者の約48.3%がヒスパニック系、24.1%がアジア系だったとBLSは報告している。2009年以来、移民労働者の構成は変化してきており、ヒスパニック系は減少、アジア系は増加傾向にある。

移民労働者たちは2014年、通常の週間所得の中央値が、2013年の643ドルから664ドルに上昇したのを確認した。移民労働者と米国出身労働者のあいだに存在する週間所得の中央値の差もわずかだが狭まっており、2013年には162ドルもあった差が2014年には156ドルになった。その差が過去最大の173ドルになったのは2010年だったが、それ以降は縮小傾向にある。

BLSによると、こうした所得格差には学業成績、移民労働者と米国出身労働者の産業分布、地理的分布など、いくつもの要因が反映されているという。

教育水準が高い人で見ると、その所得格差は小さくなるとBLSは指摘する。高卒の移民労働者の所得は高卒の米国出身労働者の84.3%でしかないが、大卒以上で比較すると両者の所得はほぼ変わらない。

BLSによると、2014年、移民労働者は米国出身労働者よりもサービス、製造、運輸、材料輸送、天然資源、建設、保守管理といった業種で雇われる可能性が高かったという。

また、移民労働者は米国出身者と比較して、高校を卒業していない可能性も高かった。高校を卒業していなかった移民労働者が23.8%もいたのに対し、米国出身労働者ではそれが4.6%だった。移民労働者は大学で学んだり、準学士号を取得したりする可能性でも米国出身労働者より低かったが、34.2%は大学を卒業していた。これは大卒の米国出身労働者の割合(38.2%)とほぼ同じであり、この数値は2009年以来、比較的安定している。

米失業率【青:移民労働者、赤:米国出身労働者】

ラマディとパルミラの陥落

ISIS(イスラム国)は、イラクのティクリート北方にあるバイジ製油所とアンバル州の州都ラマディ双方に攻勢を仕掛けて、イラク政府側の力を分散させたのち、ラマディ陥落に成功した。 ラマディでは10ヶ所同時に自爆テロ攻撃を実施、この混乱に乗じて戦闘員が一斉蜂起して、惑乱したシーア派中心の政府軍と政府寄りのスンニ派戦闘員は撤退、州都ラマディは陥落してしまった。

ISISが、イラクのラマディとシリアの世界遺産都市パルミラを陥落させたことに米国国防長官や国防総省筋は、対イラク・対シリア戦略の練り直しを迫られている。しかし、2013年4月頃から表面化したシリア・アサド政権の化学兵器使用に関する疑惑に対して、オバマ政権がシリア空爆を行わなかったことが響いている。

当時、サウジアラビアの国防相であった現在のサルマン国王は米国の中東における外交軍事政策に不信を抱いた。加えてISISの台頭に、米国がシーア派であるイランの協力を求めたことも不信を助長した。

もっともスンニ派のアラブ・中東各国も一枚岩ではなかった。特にエジプトのムスリム同胞団とリビアの原理主義派の扱いを巡って、トルコとカタールはサウジアラビアほかの主流派と対立していた。ところがISISの再台頭とイランへの懸念から、サルマン国王になってからトルコとカタールとの妥協が進み、非ISIS系・反アサド政権派への武器供与などで共同歩調が取られ始めている。

一方で、米軍特殊部隊がISISの石油相で司令官のAbu Sayyafを殺害した、という報道もある。しかし、全体としてシナイ半島、イエメン、リビア、アフガニスタン、パキスタンでISISは勢力を拡大するか、存在を誇示し続けている。

米国防長官「対イラク戦略転換も」―IS攻勢で 2015年5月25日 10:22JST WSJ日本版

With Victories, ISIS Dispels Hope of a Swift Decline MAY 23, 2015 New York Times

With Victories, ISIS Dispels Hope of a Swift Decline MAY 23, 2015 New York Times

イラク政府はスンニ派民兵支援の強化を=米軍制服組トップ 2015年 5月21日 09:19JST WSJ日本版

First Ramadi, then Palmyra: Isis shows it can storm bastions of Syria and Iraq Friday 22 May 2015 07.20 BST The Guradian

Islamic State seizes Syria's ancient Palmyra 21 May 2015 BBC NEWS

Frantic Message as Palmyra, Syria, Fell: ‘We’re Finished’ MAY 21, 2015 New York Times

ISIS Finances Are Strong MAY 19, 2015 New York Times

ISIS Fighters Seized Advantage in Iraq Attack by Striking During Sandstorm MAY 18, 2015 New York Times

The Long Fuse of Obama’s Anti-ISIS Strategy 18, 2015 - 7:27 PM Foreign Policy

米特殊部隊、シリアで「イスラム国」の財務担当幹部殺害 2015年5月17日 11:10JST WSJ日本版

イラク:ISラマディ制圧情報受け首相ら緊急会合  2015年05月16日 21時07分(最終更新 05月16日 22時05分) 毎日新聞

Isis drives Iraqi troops out of stronghold to strengthen its grip on Ramadi Friday 15 May 2015 19.19 BST The Guardian

Afghan forces straining to keep the expanding Taliban at bay May 16 2015 The Washington Post

The Islamic State threatens to capture massive Iraqi oil refinery May 15 2015 The Washington Post

“戦後レジームからの脱却”は台湾にも及ぶ

韓国は、福島第一原発の汚染水問題を理由として、福島県産ほか内陸県含む8県の水産物を輸入禁止してきた。WTOは科学的根拠のない輸入規制を禁じており、我が国はWTOに提訴した。

韓国をWTOに提訴、水産物輸入規制で政府 2015年05月21日 21時10分 読売新聞

この提訴案件の行方は、同様の輸入禁止措置を採っている台湾の動向も左右する。馬政権は最近発生した県産表示偽装案件に対して、すべての日本産食品に原産地証明を課す、といった規制強化を行ったものの、あくまでも一時的なものと表明している。

ところが産地偽装をしたのは台湾の輸入業者であり、日本側には一切過失がない。店舗から商品が撤去される映像を台湾のメディアは流しているが、清涼飲料水や菓子などの加工食品類を棚から取り除いている。

馬政権は、以前から起きていた国内業者の食品に関する不祥事に対して、充分な処罰と対処強化ができなかった。その程度の利害調整能力すら欠いているのだ。あらゆる批判を避けるため、今回は我が国のせいにしたところ、日本政府からWTO提訴を検討する、と明言され、慌てて一時的なものと弁明している。

日本産食品の輸入規制強化、一時的なもの=台湾の馬英九総統 2015年 05月 18日 16:02 JST ロイター

さて、規制強化のきっかけになった産地偽装を行ったのは、以下の台湾輸入業者10社である。

「盛裕貿易」
「三燦貿易」
「柏泓企業」
「上煬」
「上友」
「裕鴻食品」
「勵拓」
「太冠國際開発事業」
「恩旺貿易」
「昶緯興業」

彼らが輸入した一般食品の原産国ルールはすべてCODEXに準拠している。

我が国の規制では、飲料水は10ベクレル(Bq/kg)、牛乳・乳製品は50ベクレル、その他の野菜・穀物・肉・卵・魚などはすべて100ベクレルになっている。一方で、国際食品規格委員会は1000ベクレルを指標値にしている。

そもそも日本では100ベクレルを超えたものは出荷しておらず、米国基準は1200ベクレル、EU基準は1000ベクレルが一般食品の規制値とされている。欧米よりも厳しい台湾の国内基準ですら、日本より緩い370ベクレルである。

これは日本の事故前の輸入食品規制の値(370ベクレル)と同じであり、もともとの基準の設定を日本に倣ったものと思われ、台湾の規制強化措置は根拠がない。

さらに福島第一原発事故前の輸入食品の基準と、同事故後の新基準は、チェルノブイリ事故後のベラルーシなどに参考している、と思われる。

ベラルーシでは、飲料水は10ベクレル、牛肉・羊肉は500ベクレル、豚肉は180ベクレル、野菜は100ベクレル、パンは40ベクレルというふうに食品ごとに規定されていて、それら以外については370ベクレルとされている。ベラルーシも我が国と同様に年間の被曝線量は1mSv以下になるように規制値が制定されている。

「台湾人を放射能の残飯入れにするな!」 福島県産→他県産と表記で回収命令 2015.3.27 14:53 産経ニュース

背景には国民党政府の弱々しいポピュリズム的姿勢がある。国民党は次期総統選挙の敗北が予想される。

望むと望まざるに関わらず、“戦後レジームからの脱却”は台湾にも適用される。激変する歴史の荒波が彼らには見えているだろうか。第三者の目からは、台湾国民のダイナミズムは“対中封じ込め”の潮流に乗りきれず、全体として国益を毀損する可能性が高い。

彼らは政治的に激しい内戦を経て、どちらの側に付くか明快に表明した方が良い。そうしなければ、自国の運命を決定できず、日米や中共の決定に従わざるを得ず、ついに独立国家となる機会を失うだろう。

台湾総統選 与党・国民党は予備選で2人届け出もなお異論 2015.5.18 20:23 産経ニュース

台湾総統選 国民党・朱主席「出馬せず」「不戦敗」の危機 2015.5.16 19:34 産経ニュース

台灣參加美軍兩棲作戰研討會中國未受邀 21.05.2015 09:10 VOA中文

台湾:与党主席が訪中 国共トップ、6年ぶり会談へ 2015年05月02日 21時31分 毎日新聞

台湾国民党党首、5月に中国訪問 習国家主席と会談へ 2015年 04月 24日 13:17 JST ロイター

野党・民進党候補に蔡英文主席が出馬正式決定 2015.4.15 22:01 産経ニュース

「台湾が中国の一部にならないで」議場占拠1年 中台接近に歯止め、「第三勢力」台頭はならず 2015.3.17 20:34 産経ニュース

参考URL:
輸入企業による日本食品の産地偽装申告が発覚 (台湾、日本) 2015年03月26日 JETRO

日本食品の産地偽装問題の進捗 (台湾、日本) 2015年03月31日 JETRO

輸入申告時に製造所固有記号の記載が必要に (台湾、日本) 2015年04月06日 JETRO

5月15日から日本産食品に対する輸入規制を強化 (台湾、日本) 2015年04月21日 JETRO

三つ巴のナショナリズムが噴出する

ポーランドでは欧州懐疑派、社会保守主義者、ナショナリストと呼ばれるアンジェィ・ドゥダ氏が大統領選に勝利した。彼の所属する右派政党の「法と正義」は今年10月の次期議会選挙での躍進が期待され始め、一方の現トゥスク政権を支える中道右派の与党「市民プラットフォーム」は、その苦戦を予想され始めた。

ポーランドでも、旧ドイツ帝国と旧ワイマール共和国領に相当する西部では「市民プラットフォーム」の支持が強く、ドイツから遠い東部では「法と正義」の支持が強い。

下記のFT翻訳記事では、農村部の有権者の62%がドゥダ氏に投票し、現職のコモロフスキ大統領は都市部の票の59%を獲得していた、とされる。

ポーランドの大統領には儀礼にとどまらず、法案提出権と議会の法案に対する拒否権を持っている。

ポーランド内部の東西経済格差は、両党の支持基盤をむしろ固くしており揺るぎそうにない。今後の政権交代は東西経済格差を背景として、財政金融政策・社会保障政策・外交防衛政策を大きく変更させる、と思われる。

[FT]右傾化するポーランド、大統領選で政界に激震 2015/5/27 6:30 日経

ハンガリーでは、オルバン政権が不法移民とテロを関連付ける世論調査を始めたことに、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が懸念を表明した。

また、オルバン政権はハンガリー国外のハンガリー人にも国籍付与する法律改正を行っており、旧ハンガリー王国領だったスロヴァキア、トランシルバニア(ルーマニア)、ヴォイヴォディナ(セルビア)、カルパティア=ルテニア(ウクライナ)などに居住するハンガリー人が国籍を取得している。

移民とテロ、関係ある?=ハンガリーの調査に懸念-国連 2015/05/23-21:11 時事ドットコム

ウクライナのガリツィア地方は旧オーストリア=ハンガリー帝国に属していた。第1次大戦後、ポーランド第二共和国領となった。

そのガリツィアに生まれたウクライナ独立運動家ステパン・バンデーラを称える法案をウクライナ議会が通し、大統領承認待ちとなったのだが、これに対してポーランドが激怒している。

彼はポーランドのウクライナ人同化政策に反発して投獄、その後ナチスに協力して、ユダヤ人とポーランド人の10万人虐殺を指揮したとされる。さらにドイツの対ソ戦(ロシアにおける大祖国戦争)のさなか、ドイツからの独立をも宣言しているが、ソ連による占領で故地を逐われて、暗殺されている。その経緯から、親ロシア派と親ポーランド派双方にとって攻撃の的とされる。

Honors for Ukrainian nationalists anger their victims in Poland May,11 2015 The Christian Science Monitor

ウクライナ、対外債務の支払い拒否可能に 議会が法案可決 2015年 05月 20日 11:13 JST ロイター

ユーラシア経済連合と一帯一路の同床異夢

対ロシア外交で有名・悪名を馳せた佐藤優氏が辺野古基金に名を連ねているところから、ロシア側の対日外交の思惑はそれとなく想像できる。現在の我が国にとっての最重要課題は、シーレーンの確保とそのシーレーンを分断しようと図る中共の南シナ海における侵略を日米の軍事力で封じ込めることにある。

ロシアに対する圧力は、“対中封じ込め”に注力する中で相対的に減殺される。

たとえば普天間から辺野古への移転が一層紛糾して、“対中封じ込め”政策の進展が遅延し、窮余の策の一環として、米国がウクライナ危機に関して妥協点を探る動きを見せたり、日本がシーレーン封鎖時のリスク分散を考えて、シベリアやサハリンのエネルギーに興味を持って接近してくるならば、なおのこと好ましいと、ロシア側が打算をめぐらしていても不思議ではないし、その駒として外交官だった佐藤優氏が動くこともありえるだろう。

ここ数年のうちに正式な日露講和が成立して、北方領土が全部もしくは一部返還されても、経済的なメリットもなければ、軍事とエネルギー双方で安全保障の死活的な問題も解決できない。“対中封じ込め”の進捗に一定の成果が出て、その余波で一挙に対露交渉のボトルネックも解消する、と思われる。

日米VS中共の主戦場は南シナ海となっているが、中共が自らのシーレーン構築に頓挫する場合、頼むは“一帯一路”構想のうちの「一帯」=「新シルクロード」となる。中央アジアに対するインフラ整備をアジアインフラ投資銀行(AIIB)を使って行おうとするのに際して、ロシア側は警戒心を持ちながら自らの“ユーラシア経済連合”実現との利害調整を図っていくだろう。

習主席の3カ国訪問、各国の国家戦略と「1ベルト、1ロード」の連結に注目 2015年05月11日13:03 人民網日本語版

どこまで膨張する? 中国の「新シルクロード構想」 南太平洋からアフリカまで… 国営メディアが地図公表 2015.4.16 22:50 産経ニュース

しかし、同時にAIIBに対抗して、我が国はアジア開発銀行(ADB)と国際協力機構(JICA)と国際協力銀行(JBIC)と民間のメガバンク・総合商社などを使って、ロシアの柔らかな脇腹である中央アジア諸国に喰い込む。

麻生財務相が唱えてきた“ユーラシア・クロスロード構想”の縦線は中央アジア→アフガニスタン→アラビア海、横線は中央アジア→カスピ海→カフカス→東欧である。

ロシアが同意する場合は、シベリア鉄道とバム鉄道を再活性化させて、沿海州やシベリアに向かう中共の経済進出上の盾として協力して行動する。同意しない場合は、シベリア鉄道とバム鉄道を立ち腐れにさせて、中共との投融資競争に紛れて中央アジアからロシアを刺すべく行動する。

つまりは、ロシアとの信頼関係の構築が難航する場合には、ヴィシェグラード・グループ4ヵ国からGUAM諸国(グルジア、ウクライナ、アゼルバイジャン、モルドバ)に切り込み、米国が失敗したロシア圏からの再分離を図り、カフカスの両側で暴れ回り、カスピ海を渡ってロシアの脇腹である中央アジア諸国に喰い込むことも方策として考えられるのだ。

米 対ロシア関係で日本にくぎ刺す 5月22日 14時56分 NHK NewsWEB

首相「プーチン氏と対話」オバマ氏「慎重に」 2015年05月16日 07時00分 読売新聞

和やかながら、進展なし-米ロ外相が会談 2015年5月13日 09:00JST WSJ日本版

米国務長官、ロシア大統領と12日会談へ 2015年5月12日 01:22JST WSJ日本版

First Russia-China naval war games underway in Mediterranean MAY 11,2015,7:13 PM LA Times

プーチン氏がギリシャ企業に資金供給用意、ガスパイプライン延長で 2015年 05月 8日 00:56 JST ロイター

強制徴兵されるハザラ人とタジキスタン人

シリアとイラクの内戦が長期化するに伴って、外国人兵士の徴募が盛んに行われるようになってきたことを外電が伝える。スンニ派とシーア派のいずれかの陣営に組み込まれるのは、どちらも経済的苦境に追い込まれたマイノリティであることに特徴が見いだせる。

Syria's Mercenaries: The Afghans Fighting Assad's War May 11, 2015–12:32 PM SPIEGEL ONLINE INTERNATIONAL

Sectarian militancy thriving in Balochistan SYED SHOAIB HASAN — PUBLISHED APR 11, 2012 06:01AM DAWN

アフガニスタン、ハザラ人拉致は「イスラム国」転向者の犯行 2015.4.4 22:42 産経ニュース

シリア内戦では、アサド政権側にアフガニスタンのハザラ人がイラン経由で半強制的に志願兵として組み込まれている。ハザラ人は、モンゴル系のシーア派というマイノリティの立場にあり、不法移民として200万人近くイランに流入しており、彼らはイラン革命防衛隊を通じて1000人単位で徴募されている。

一方、イラク内戦とシリア内戦を戦うISIS側は、インフレと景気後退でロシアが旧ソ連圏の中央アジア諸国からの外国人労働者の出稼ぎを規制するのに併せて、帰国するタジキスタン人を徴募している。

How Isis is recruiting migrant workers in Moscow to join the fighting in Syria 5 May 2015 The Guardian

Tajikistan debates ban on Arabic names as part of crackdown on Islam Friday 8 May 2015 09.00 BST The Guardian

社会主義の影響下で非イスラム化を進めてきたタジキスタン政府は、イスラム化に危機感を募らせており、ヒジャブの禁止といったことはもちろん、アラブ風の名前を付けることを禁じるかどうかすら議論されている。

社会主義を基礎としたアラブ民族主義の退潮をここにも見ることが出来る。以前から指摘されているように、イラク内戦ではISISとして戦闘に参加しているフセイン政権のバース党員がいる。インド亜大陸のバングラデシュですら、無宗教を名乗るブロガーが相次いで殺害される事件が起きている。

アラブ民族主義はスンニ派とシーア派の戦いの波間に沈む存在になりつつある。

ムスリム同胞団のバスティーユ

エジプトの裁判所は、2011年エジプト革命の主役のひとりであったムルシ前大統領に死刑判決を下した。今後の司法手続きの流れは、大ムフティと呼ばれる最高宗教権威による見解の発表が行われ、司法当局は見解に沿って最終判断を下す。前大統領側はこの判決が不服であれば控訴が可能である。

ムルシ前大統領は、2011年の革命の始まりに、当時収監されていた刑務所から、ほかのムスリム同胞団の団員など約100名とともに脱獄した。ムバラク政権は“アラブの春”に巻き込まれ、看守たちは職場放棄して誰もいなくなり、ムスリム同胞団は牢の外に出た。この「脱獄」の混乱はムルシ前大統領自身、アルジャジーラに電話を繋ぎ、その状況を説明していたほどだ。

死刑判決は、彼を含むムスリム同胞団の指導者やメンバー106人に下された。カタールに亡命しているイスラム学者のカルダウィ師が含まれている。この死刑判決の前に、前大統領は2012年の抗議運動の際に煽動罪で禁固20年の判決を受けた。

さて、筆者はたびたび2011年に始まったエジプト革命をフランス革命になぞらえてきた。すると現在の情勢は王政復古期のブルボン朝に例えられるのではないか。

王殺しの共和主義者たちに対する白色テロと同様に、ムスリム同胞団とその支持者、果てはデモ参加者までが弾圧されていく。スタンダールの描いた『赤と黒』の時代を迎えるのかもしれない。

と、2014年7月7日のエントリーなどで述べた。

ムスリム同胞団はジャコバン派のように革命防衛戦争の盾として使い捨てされた。2012年11月中旬のイスラエルのガザ空爆が侵攻に発展する瀬戸際まで行き、エジプトと米国がコミットメントしたことで、事態が終息した時点こそが、ムスリム同胞団とその与党、ムルシ政権の政治的ピークだったのだ。

革命防衛に一区切りがついたとき、ロベスピエールとサン=ジュストの独裁はテルミドール9日のクーデターによって倒され、彼らの政敵を葬り去ったそのギロチンにかかった。

歴史が繰り返すように、エジプトから直接的な戦火の危機が去ったとき、ムスリム同胞団の役目が終わった。

フランス革命では大ナポレオンが革命の使徒として、ナポレオン戦争を繰り広げていくことになったが、エジプトにおけるイスラム原理主義のイデオローグたちは、サダト大統領(当時)暗殺によって獄に入れられ、海外に逃げ、アルカイダなどの精神的母体となった。

また、イラクの旧フセイン政権のバース党と原理主義者のISISが同じ獄に入れられて、結合した事例もある。現在のシシ政権は強硬姿勢を崩さないだろう。

エジプトのモルシ元大統領に死刑判決 2015年5月17日 13:11JST WSJ日本版

エジプトのモルシー元大統領に死刑判決 6月2日に最終判断 2015.5.16 19:45 産経ニュース

ムバラク被告、横領は有罪 エジプト裁判所 2015.5.9 22:33 産経ニュース

エジプト大統領、小池百合子氏に「日本人は歩くコーランだ!」 2015.5.3 23:51 産経ニュース

エジプト・シナイ半島の軍検問所攻撃17人死亡 2015.4.2 21:35 産経ニュース

エジプトがビザ規制、日本人も事前取得義務に 観光回復にもブレーキ 2015.3.18 11:36 産経ニュース

元大統領派に初の死刑執行、エジプト内務省 少年を突き落とし 2015.3.7 21:09 産経ニュース

されば先島諸島にも基地利権を与えよ

自衛隊と米軍の基地利権が奄美群島、先島諸島に分散することで、沖縄が抱える構造的な経済格差は是正されなくとも、少なくとも沖縄本島に集中している利権の再分配には役立ち、地元の政治的力学も変化を余儀なくされる。しかし、それ故に沖縄本島の基地反対運動は衰えるべき理由が見当たらない。

基地利権にまつわる土地の賃貸収入(年間約900億円)、沖縄県に支払われる地方交付税(年間約2000億円)と国庫支出金(年間約1600億円)、内閣府に計上される沖縄振興予算(年間約3000億円)、さらに防衛省の沖縄方面に費やされる予算(年間約1800億円)程度が沖縄本島から与那国島や宮古島、石垣島などの先島諸島、または鹿児島県の奄美群島に分散されることになる。

基地利権は、インフラを整備する供給力の保持とその富の再分配にも直結する。地元資本の建設土木企業が請け負い、東京に本社を置くゼネコンやコンサルが関与する仕組みにせよ、冷戦終結からバブル崩壊を受けて、拓銀破綻でとどめを刺されて、そうした利権誘導装置を喪失した北海道に比べれば、優遇されていることは間違いない。

地元が持っている理想として、中継貿易や観光への待望論を語る向きがあるにせよ、前提条件としてインフラの整備維持と米軍と自衛隊の安全保障を抜きにしては、どんな高邁な理想も語れまい。

陸自警備部隊、宮古島2カ所に配備 ゴルフ場と牧場、市長に伝達へ 用地取得費の数十億円計上へ 2015.5.11 05:00 産経ニュース

 防衛省は10日、沖縄・宮古島に配備を計画している陸上自衛隊「警備部隊」について、島中部にあるゴルフ場「千代田カントリークラブ」と北部の「大福牧場」の2カ所の用地を取得し、部隊を配備する方針を固めた。左藤章防衛副大臣が11日、宮古島市を訪れ、下地敏彦市長に配備方針を伝える。下地氏から部隊の受け入れに同意を得られれば防衛省は平成28年度予算案概算要求に用地取得費として数十億円を計上する。

 防衛省は警備部隊の施設として(1)駐屯地(2)訓練場(3)隊員宿舎-を整備し、30年度末までに約600人の隊員を擁する部隊配備を完了させる。1カ所に地対艦ミサイル(SSM)、もう1カ所に地対空ミサイル(SAM)を置く。

 宮古島の警備部隊は、東シナ海で挑発を強めている中国軍の海・空戦力ににらみを利かせるため、艦艇と航空機に対処するSSMとSAMの配置を重視している。宮古島や周辺離島で災害が発生した場合も警備部隊が対応にあたる。

 中国を念頭に置く南西防衛強化に伴う警備部隊配備は鹿児島・奄美大島に続くもので、防衛省は沖縄では石垣島にも配備する方針。

 左藤氏は11日、石垣市も訪問し、中山義隆市長に部隊配備に向けた調査に着手したい意向を伝え、了承を得られれば約1年かけて配備候補地を絞り込む。石垣島でも宮古島と同規模の部隊を配備し、SSMとSAMも配置する。


先島諸島の宮古島は軍事空白域となっており、早急に航空自衛隊の基地も置くべきだろう。

2015年には宮古島と伊良部島間に伊良部大橋が開通しており、休止中の下地島空港までのアクセスも可能になっている。民間の訓練用に開設されたこの空港は、3000m滑走路と滑走路両端にはILS(計器着陸装置)が整備されているものの、フライトシミュレーターの普及によって2014年以降は大型機の訓練はなくなり事実上休止状態となっており、抜本的な黒字化策は軍民共用化しかない。

下地島と伊良部島は入江で隔てられているが隣接している。2005年には宮古島の自治体と合併して宮古島市となっている。

下地島空港の軍事利用は、1971年の屋良覚書と1979年の西銘確認書が障害となっている。しかし、2004年の漢級原子力潜水艦領海侵犯事件に際して、沖縄県が抗議声明も出さず沈黙したために、旧伊良部町の住民の一部が自衛隊を駐屯させるべきとの請願が提出されて、のち反対派により撤回される動きもあった。

宮古島に配備される予定のSAMと12式SSMの対空・対艦ミサイル部隊とレーダーサイト施設の監視部隊を展開する目的は、中共の主張する第一列島線の防衛となりそうだ。人民解放軍は、長距離巡航ミサイルとそのキャリア爆撃機、車載移動型ランチャーを保有している。彼らは、ここを突破してグアム島の第二列島線に進出するための飽和攻撃を行うとするだろう。

中国軍機、沖縄本島と宮古島の間を通過 初の西太平洋往復の遠海訓練「今後も実施する」 2015.5.21 22:19 産経ニュース

 【北京=川越一】中国国防省は21日、同国空軍機が同日に沖縄本島と宮古島の間の宮古海峡上空を抜け、西太平洋上空で訓練を終えて帰還したことを明らかにした。空軍機が同海峡を抜け、西太平洋で訓練を行ったのは初めてとしている。

 中国空軍機は3月にも台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通過し、初めて西太平洋に入るなど、対米防衛ラインとして設定する第1列島線(九州-沖縄-台湾-フィリピン)を越える訓練を活発化させている。

 同省公式サイトに掲載された写真から、21日の訓練に使われたのは、中国軍のH-6K爆撃機とみられる。中国空軍の申進科報道官は「航空部隊による遠海での機動作戦能力を高めた」と主張した。

 カナダの中国語軍事専門誌は最近、中国空軍が第1列島線を突破し、小笠原諸島やグアムを結ぶ第2列島線まで作戦行動範囲を拡大するため、新型の長距離爆撃機を開発する方針を決めたと報じた。

 申報道官は「訓練は特定の国や地区、目標に対するものではない」と“脅威論”を牽制(けんせい)しつつ、「今後も状況を見ながら、第1列島線を越えて展開する遠海訓練を実施する」と述べた。

ネイションの再定義から遊離する支那系移民

米国では、1960年代の公民権運動から端を発したアファーマティブ・アクションの見直しが、1996年頃から進められてきた。この措置は主に黒人を対象にしたものであり、もともとヒスパニック系や広義のアジア系を念頭に置いたものではなかった。

しかし、これら人種差別の是正措置(逆差別)の見直し時期は、長らく続いた冷戦の終結とともに始まったグローバリゼーションの進行とも重なっていた。かつてイデオロギーによって隔てられた国境線は開かれたものとなり、全世界規模でヒトとモノとカネの動きは活発になった。

そして、グローバリゼーションは突如終わりを告げる。

枝葉を省き、結論を述べると、人種にとどまらず、思想・宗教的相違と冨の偏在を背景とした生活様式のまったく異なるコミュニティが世界各国で同時に発生して、国内における分裂が生じた。景気後退局面に入ると同時に、これらの分裂は潜在してきた不和と混乱を表面化させた。国家(ネイション)の枠組みを緩めた反作用というべきだろう。

冷戦下においては思想対立の妥協を図り、人種間の融合や貧富の格差是正を望む政策を行うといった過去の時代を経て、保守とリベラルの思想対立はそのままに、コミュニティそれぞれの文化を保持し、貧民に対するバラマキを行う方が政策的同意を取り付けやすく、経済的コストも安い時代が訪れた訳だ。

広大な国土を有する合衆国では、黒人種だけの街、富裕層だけの街、保守的なファンダメンタリストだけの街が成立する余地が文字通り存在し、グローバリゼーションの終焉とともにそうしたコミュニティへの再編成が進んでいる。

これは国民的結合、つまりネイションの弱体化を補おうとする社会的な働きと云える。強固な文化的結合体をいくつか作り出すことによって緩やかな統合を維持し、国家を再定義しようと図る実験かもしれないのだ。

ことにグローバリゼーションは左右両極の妥協的精神を打ち砕いた。リーマン・ショック以降に散見された「ウォール街を占拠せよ」といった左右両極に賛否を求めるような社会的運動は終わりを迎えつつある。

ミズーリ州ファーガソンやメリーランド州ボルチモアで黒人暴動が相次いで発生しているが、暴動の政治的・経済的影響はあくまでもその街だけに留められ、むしろ同質性の高い人々の集住を促進する結果に終わる、と考えられないか。

ヒスパニック系移民の減少もグローバリゼーションの終焉と関連している。特にサブプライムローンで住宅を購入していた若年層のヒスパニックは、子供の就学、就職、出産などのライフイベントに不況が直撃していた。

貧困層にあった彼らは母国メキシコに帰国するか、米国に留まり受胎調整するかという選択に迫られた。堕胎というアイデンティティに関わる深刻な危機に直面したヒスパニック系移民は年間約130万人ずつの急速なペースで、カソリックを棄教して無宗教(リベラル)と福音派(宗教右派)になった。

さらにNAFTA本来の利用価値に沿って、日米の自動車メーカーは生産拠点をメキシコに移しつつあり、安定した中間層の勃興が期待され、不法合法を問わず移民の必要性が減少しつつある。

もはや、現在のヒスパニック系移民が抱える政治的争点は、メキシコ以外の中南米諸国からの不法移民、それも人道的措置を期待しての子女だけの単独越境と人身売買組織の暗躍への対処の道義的責務の範囲に集中している。

この争点も含め、オバマ大統領の移民改革案は1100万人とされる不法移民のうち、最大500万人が国外退去の対象から外される可能性があり、共和党中心の上下両院と対立している。貧困層が多い不法移民の定着はコミュニティ再編成の一翼を担う。それもあまり好ましくないダイナミズムとして作動するだろう。

つまり、こうした票を狙ったリベラル的な温情措置は、むしろ租税負担率の増加に繋がるのではと富裕層・中間層に懸念され、グローバリゼーションの中で混血して二重国籍を持つに至った自国民の離脱を引き起こす一因にすらなるだろう。

繰り返すが、グローバリゼーションの終焉は国家と国民の再定義を求める。

過度な金融経済からの脱却とともにリショアリング(国内への産業回帰)が起きており、非正規雇用の賃上げも始まっている。また、中国への投融資が減少してメキシコへの投融資が増加することでヒスパニック系移民は減少していく。

グローバリゼーションのひとつの帰結として、思想・宗教的相違と冨の偏在を背景とした生活様式のまったく異なるコミュニティの再編成が進むともに、取り残された旧来のコミュニティでは黒人暴動などが発生し続ける。保守・リベラルの言辞は双方ともにこうした亀裂を修復、もしくは糊塗するように働く。また立法~行政~司法はコミュニティの変化に応じた措置を採っていく。

すると、アジア系移民の増加と彼らのアファーマティブ・アクションの要求はいかにも時節としてタイミングが悪く、立法~行政~司法の当事者たちを当惑に陥らせる。国家と国民の再定義に逆行するからだ。

グローバリゼーションによって、最大の便益を受けたであろう中国・香港と韓国から移民が増加することは、彼らが健全な中間層の育成に失敗して、富の再分配もできず、加えて自国内でコミュニティを再編してでも、社会の動揺と混乱を収拾する能力に欠けていることを、まずもって示している。経済成長によって移民はむしろ減少するはずなのだ。

次いで再編される合衆国のコミュニティのいずれに、支那系・韓国系の移民が帰属するのかを表明できないだろう。新たなコミュニティの価値基準は富にとどまらず思想と宗教によっても左右される。ところが彼らの富はイノベーションによって得られたのではないし、宗教的規範は米国人とまったく異質なものである。

富を持つ者が独立した自治体をつくる動機は、租税とその使い道が政治そのものである、と理解しているからであり、この点を理解していない共産党員とその親族はそのコミュニティにおける禁治産者になってしまう。

知識や教育よりも信仰を重んじるエヴァンジェリカルの伝統からかけ離れていることも支那系・韓国系移民に不利に作用する。教育に熱心な家族制度によって高等教育を受ける機会は高く、中間層以上への参入機会もまた高くなる。しかし、彼らは道教や儒教もしくは呪術的な信仰の性格を色濃く残している。

米国人の姿は、マーク・トウェインが創造したトム・ソーヤとハックルベリー・フィンの自然児ふたりが長じてどのような人物に育ったか、と想像してみると分かりやすい。インテリになっても、なお彼らは反抗心旺盛であったに違いない。既存の知性を疑う真摯さと論理性を兼ね備えていただろう。

ところが支那系と韓国系移民は、反知性的な伝統を理解する宗教的インテグリティを欠いている。何故と問うにインテグリティとは、言い換えれば誠実さであるからだ。一貫性の欠如は、ヒスパニック系移民が迫られたカソリックを棄教するか、福音派に宗旨替えするか、無宗教になるか、といった他者のアイデンティティを襲った危機の本質をも理解しない。

宗教国家としての合衆国において、安易な無宗教を宣言するほど立場を危険にするものはない。おそらく韓国系のパブティスト教会のような呪術性を帯びたまま、彼らの宗教観は推移する。そして、人種間の婚姻によって支那系・韓国系が融解しない限り、ほかの人種や民族、思想や宗教に対する潜在的な非寛容が続くのではないか。

加えて、大衆的な宗教的基盤がイノベーティブな土壌となっていることも理解していない節がある。宗教的規範への没入と逸脱がブレイクスルーをもたらしているのであって、米国における反知性主義や我が国における神道の存在は、そのまま日米の文明が活力を維持し続ける大きな理由であり続ける。一神教か多神教かは係りなく、ひとつの宗教的規範が、ときには野蛮に思えるほど邪気のない幼稚な感性と繫がっているかが重要なのだ。

ロシアにおけるイノベーションが個人的活動に限定されがちなのも、正教会が持つ皇帝教皇主義の残影とギリシア哲学的性格への反発である程度、説明できる。

宗教によって裏打ちされた合衆国の歴史と思想の特異性を理解できない彼らは、再編されるコミュニティにおいても寄生者になる可能性が出てくる。現状では韓国系移民は黒人向けヘアケア製品とサービスの市場を支配していたり、ネイルサロン業界を不当な労働慣行を強いたダンピングによって寡占している。

共存していたはずが暴動と略奪の犠牲者になったり、味方と思っていたはずのリベラル系メディアと自治体の追及を受けている。イノベーションによってではなく、既存のコミュニティ内で寄生によって富を得ている証左であろう。国民の再定義のさなか、彼らは集団としてスポイルされる危険性を持っている、と指摘しておこう。

ハーバード大、入学選考でアジア系米国人差別か―団体が異議申し立て 2015年5月18日 11:54JST WSJ日本版

米ハーバード大学が入学選考時にアジア系米国人の志願者を差別しているとして、教育省公民権局に対する異議申し立てが15日に行われた。同大学がアジア系米国人に対して、他の人種グループより厳しい入学基準を設けているとしている。

この申し立てを行ったのは、64の団体から成る連盟。連盟は同学がクオータ(割り当て)を設け、アジア系米国人の学生数を公正に評価した場合よりもかなり少なく抑えていると主張している。連盟は大学進学適性試験(SAT)に関する第三者の学術研究を引用し、アジア系米国人は平均で白人の学生を140点、ヒスパニック系を270点、黒人を450点上回らなければ、ハーバード大に入学できる確率が同等にならないことを示した。SATは2400点満点。

連盟は「ハーバード大学が極めて主観的な『総体的』入学選考プロセスを通じ、アジア系米国人に対して組織的かつ継続的な差別を行っている」と主張した。

連盟は連邦政府による調査を要請しているほか、「アジア系米国人志願者を評価する際、ステレオタイプで、人種的偏見などの差別的手段を使うのを即時に中止する」よう同大学に要求している。

ハーバード大の法務顧問を務めるロバート・イウリアノ氏は、同大学の入学選考方針は「完全に法律に準拠している」と述べた。同大学は入学選考過程において、学業成績以外のさまざまな要素を考慮するとしており、その中には志願者の課外活動やリーダーとしての資質などが含まれる。

イウリアノ氏は「総体的入学選考過程に基づき、多様なクラスを編成する取り組みの一環として、ハーバード大学はアジア系米国人を採用・入学させてきた豊富な実績がある」と述べた。同氏によれば、学部課程に入学したアジア系米国人学生の比率は過去10年間で18%未満から21%に増加した。

しかし、異議を申し立てた連盟は、入学を志願するアジア系米国人学生が増えていると指摘し、本来ならその比率がもっと高いはずだと主張した。この連盟の創設を支援した中国系米国人、Yukong Zhao氏は「かなりの差別が存在する。それはアジア系米国人のみならず、米国全体を傷つけている」と述べた。同氏はアジア系の志願者に対しては長年、「創造性が豊かでないとか、リスクを取ろうとしないというステレオタイプがあるが、それは違う。米国のハイテク系新興企業の半数近くはアジア系米国人が立ち上げたとし、その全員が、創造性が豊かで、リスクをいとわず、リーダーシップを有している好例だ」 と指摘した。

連盟は「人種的に中立な入学選考方式を用いる」エリート校では、アジア系米国人の入学者比率がハーバード大のそれよりずっと高いと主張し、例えば、カリフォルニア工科大学では、学部生の約40%がアジア系米国人で、ハーバード大の約2倍だと述べた。

この6カ月前には、「公平な入学選考を求める学生たち」と名乗る団体が、ハーバード大が人種的な選好から学生の人種構成を特定水準に維持していると連邦裁判所に訴えている。

大学入学における人種の問題について研究しているプリンストン大学の社会学者、トマス・エスペンシェード氏は、この異議申し立てがアジア系米国人コミュニティー内で以前からくすぶっていた怒りが表面化したものだと指摘する。同氏によると、「5年か10年前までの反応は、『では、もっと頑張らないと』というものだったが、過去10年間で、行動を起こす団体が増えている。彼らは必ずしも大学の判断に従う必要はなく、抗議することも可能だと言うようになっている」という。


米国への移民、典型は中国人学生と20代インド人 2015年5月12日 12:56JST WSJ日本版

米国に中南米からやって来る移民は、過去10年以上にわたって減り続けている。米国勢調査局の最新統計によると、中国やインドからの移民の数がメキシコからの移民の数を上回ったことが分かった。では、もっと正確にはどのような人たちがやって来るのか。一言では言いにくいが、中国人大学生と20歳代のインド人が増加分の大きな比率を占める代表的な移民とみるのが妥当なようだ。

今月、米国人口学会の人口動態に関する年次会合で発表された国勢調査局の調査結果では、中国から最近米国にやって来た移民のうち大学生程度の年齢層が占める比率は、2005~07年より11~13年の方が多かったという。この調査はアメリカン・コミュニティー・サーベイ(ACS)のデータを利用した。ACSは海外で生まれたかどうかと1年前に海外に住んでいたかどうかを尋ねる。

国勢調査局によると、2005~07年と11~13年の2つの期間に移民がパーセント比率でみて最も増えた年齢層は、男女ともに15~19歳と20~24歳という結果となった。

これらの層はおおよそ大学に通う年齢にあたる。ただし、言うまでもなく中国からの若い移民の多くが大学に行かず、低賃金の職などに就いている可能性もある(中国からの移民の数字には香港、マカオと台湾からの移民も含まれている)。

一年前は外国に住んでいた中国生まれの米国移民の年齢構成

これはうなずける結果だ。米国の大学に入学する留学生の数は過去最高を記録しており、これには中国の富裕層が多く含まれているからだ。米国で学ぶ留学生(大学生が最も多い)の数は2010年に比べて50%近く増加しており、05年比では85%増えている。中国出身の学生は留学生の約30%を占める。

インドに関しては事情が異なる。国勢調査局の調査によると、インドから米国にやって来る移民の「年齢構成」は2回の期間ともにほぼ同一になった。2回の期間ではいずれも、移民は男女とも同じ20~34歳、とりわけ25~29歳の年齢層に集中していた。これらの層はキャリアの途上にある若い労働者か、あるいは高等教育を受けている大学院生だ。つまり、もっと年齢の高い人でもなければ大学生でもないし、ティーンエージャーでもない。

こういったインドからの移民の一部が、専門職者に発給される「H-1B」ビザで米国にやって来ているのは疑いないが、それが話の全てではない。雇用主がこの種のビザを求める件数は、議会が定めた供給量を上回る状態が長く続いている。

一年前は外国に住んでいたインド生まれの米国移民の年齢構成

ただし、注意すべき点がある。「年齢構成」の分析からはそれほど多くの分析を引き出せないことだ。人々が「大学生相当」の年齢だからと言って、全員が大学に行くわけではない。少なくとも米国では、若者は年齢の高い人よりも移動する傾向にある。このため、流入する移民に若者が多いのはあまり驚くことではない。

また、国勢調査局のデータのための質問は、海外で生まれたかどうか、1年前に海外に住んでいたかどうかを尋ねている。このため頻繁に米国に出入りしている人の動きはつかめていない可能性がある。国勢調査局はこうした結果について、さらに分析する計画だ。

こういった留意点のほかに、もう一つ興味をそそられることがある。それは11~13年の調査で、メキシコからの移民の年齢が05~07年の調査より上がっていたことだ。

一年前は外国に住んでいたメキシコ生まれの米国移民の年齢構成

これは長期的な変化の一環だ。メキシコの経済が(何年か前より)健全になり、出生率が下がったことで、合法であれ違法であれ(ACSでは移民の法的な立場を尋ねていない)、メキシコからの若い移民の伸びは鈍化している。昨今の移民に関する議論を聞いていると、多くのヒスパニック系米国人が最近米国にやって来たばかりの移民だと考えがちだが、実際の人数は比較的少なく、13年の時点では3分の1強に過ぎない。残りの人々は米国で生まれている。

結論は何か。国勢調査局のデータは、米国にやって来る移民の様相の変化に光を当てるものだ。つまり、アジア系(中国系、インド系や韓国系)が増え、アフリカ系もわずかに増えているが、ラテン系米国人や欧州系は減っているということだ。

一年前は外国に住んでいた米国移民の出身地域別割合


アメリカを動かす「反知性主義」の正体 森本あんり・国際基督教大学副学長に聞く 山中 浩之 2015年4月24日(金) 日経ビジネス

イラク戦争のころ、米国駐在の友人が「こっちの人は、『Save Iraq!』ってステッカーをクルマに貼ってるんだぜ」と驚いていました。世界中から突っ込まれても平気で我が道を行く、どうしてそこまで己を信じることができるのか。脚下照顧の国に生きる私たち、慎み深い日本人には分かりにくいところです。どうやら米国の底流に「反知性主義」とやらがあるせいらしい。え、語感からして、ものすごくやばい感じがしますが…
(聞き手:山中浩之)

このところよく目にする「反知性主義」という言葉があります。字面からは「科学や論理的思考に背を向けて、肉体感覚やプリミティブな感情に依る」ような印象を受けるのですが。

森本:もともとの「anti-intellectualism」のニュアンスは、ちょっと違います。ネガティブな意味もありますけと、それだけじゃない。すごく誤解を招きやすい文字の並びですけれどね。

たしか『アメリカの反知性主義』(リチャード・ホフスタッター)という、1963年に書かれた歴史的名著で、ピューリッツァー賞を取った本が…

森本:はい、彼こそが「反知性主義」の名付け親です。『アメリカの反知性主義』は、今読んでもまったく古びていないすばらしい本だと思いますが、読まれましたか。

えー、実は7年前から本棚にはあるんですが、前書きしか読んでいません。タイトルだけ見て、「ああ、やっぱりアメリカ人って、進化論を否定する人も多いとか言うし…」と、かえって偏見を深めていたことが、先生の『反知性主義 アメリカが生んだ「熱病」の正体』を読んで、初めて分かりました。

森本:あ、そっちはすぐ読んでいただけたんですね(笑)。

この、反知性主義(※以下、特記なき限り米国でのそれを指します)というのは、正直、日本人にはどうにも理解しにくいのではないかと思います。米国人にとっては自明のことから説明してもらわないと、我々には「なぜそうなるのか」が分からない。

■「アメリカってなんでこう子どもっぽいのか」
森本:ええ、米国のキリスト教がたどってきた歴史を知らないと、なぜアメリカ人の中に反知性主義が生まれたのかは分かりにくいです。

でも「反知性主義はアメリカのキリスト教の発展に伴って生まれてきた、この国の底に流れる思想」、というところだけは、歴史を知らなくてもなんとなく分かるので、そうなると私なんかは「ああ、進化論を否定して、宗教的な価値観を押しつけてくる原理主義的な運動かな、また禁酒法とか言い出すのかな」と、もう引きに引きまくってしまうわけです。

森本:わかります。本にも書きましたけど、『アメリカの反知性主義』は「歴史的な名著」なのに、日本でみすず書房が翻訳を出したのが2003年、原著が出てから実に40年かかりました。米国でのキリスト教の独自の発展と、それが生んだ「反知性主義」が、日本人にいかに親しみにくいかが窺えます。

ということは、そこを理解しないゆえに我々日本人は、米国人の、そしてアメリカ合衆国のグラスルーツのものの見方、考えかたがいまひとつのみ込めないのではないか、と。日本で「反知性主義」という言葉が広がりつつある今こそ、正しい意味を知っておく必要があると思うんです。

森本:この本は、昨今の日本での「反知性主義」ブームに乗るつもりはまったくなかったのです。2010年だったかな、アメリカ学会で、反知性主義はアメリカ研究のテーマの一つですから、シンポジウムがあったんですよ。そこで話をしまして、3年前に研究者向けの本を書きました(『アメリカ的理念の身体―寛容と良心・政教分離・信教の自由をめぐる歴史的実験の軌跡』)。それと、『アステイオン』という雑誌がありますでしょう。

サントリーの。

森本:あれに反知性主義について書いたんです。それを読んだ新潮社のSさんからご依頼があって、この本を書き始めたというわけなんです。

■この例えはキリスト教徒として、あり?
読む側からすれば、いいタイミングで「真打ち」が出たという感じです。ホフスタッターの本に比べてこの本が読みやすいのは、もちろん日本人が書いたということもあるのでしょうけれど、多くの日本人にとってはクリスマスのイメージしかないキリスト教を、ある意味「身もフタもない」言葉で「そうか、そういうことか」と分からせてくれるところです。

森本:分かりやすいと言っていただければ本望です。

しかし、先生も…「ふまじめ」と言っては何ですけど、もちろんクリスチャンでいらっしゃるんですよね。

森本:ええ。まあ、何というんでしょう。クリスチャンの紹介にはみんな「敬虔な」と必ずマクラ言葉でつけるけど、そういうのはだめですよ。つけないでくださいね(笑)。

信者の方なのに、「キリスト教をこれだけ突っ放して、外の人の目線に立って書いていいのか」と、ちょっとびっくりしたんですけど。

森本:そうかな。そんな身もフタもない言い方でしたか?

少なくとも、「敬虔な」信者の方だったら、キリスト教をウイルスに例えたりしないんじゃないですか。こんな文章がありましたよ。

本書の冒頭で、宗教の伝播はウィルスが感染し繁殖していくプロセスと似ていることを説明した。アメリカという土壌は、キリスト教というウィルスの繁殖には最適だったようである。
(同書269ページより。表記は原著に従っています。以下同)

森本:分かりやすいでしょ。

めちゃめちゃ分かりやすいです。

森本:ウイルスっていうのは、宿主に受け入れられて繁殖するうちに、その宿主にもたいへんな影響を及ぼすけど、自分自身も変化して亜種が生まれるんです。

その結果、アメリカのキリスト教はアメリカ社会に影響を与えつつ、オリジナルとかなり違う方向に進化したと。ウイルスの例えがぴったりですね。

森本:これで、キリスト教をこき下ろしている、みたいに思う人がいるのかな。

うーん、今の世の中、それこそポリティカル・コレクトネスというやつになると…小田嶋隆さんのコラムでもいろいろご指摘をいただくもんですから、もう。

森本:いや、小田嶋の陰に隠れていればこんなの全然(笑)※。
※森本あんり氏と小田嶋隆氏は小・中・高校の、同学年の同窓生

何を言っているんですか(笑)。

森本:温和なものです、僕の批判なんて。

ウイルスに例えるようなお話を、キリスト教徒の中でしても平気なものなんですか。

■映画で学ぼう、「反知性主義」
森本:そりゃそうでしょう…ああ、わかりました。あなたがキリスト教徒に謹厳なイメージをお持ちなのは、日本にキリスト教徒が少ないからですよ。宗教に限りませんが、マイノリティの人はどこでもみんな肩ひじ張っていて、まじめなんです。

あ、なるほど。

森本:例えばイタリアへ行ってごらんなさい。「皆さんまじめなクリスチャンなんですか」とか聞いたら、みんな吹き出しちゃうよ。「うーん、おととしクリスマスのミサに行ったかな」とか、そんな感じで。毎週日曜日に行っている人なんかいないですよ。逆に、例えばアメリカに行くと、アメリカの仏教徒というのはすごいまじめなの。

ああ。「あれがブディストだ」と見られているから。

森本:そうそう。仏教徒の代表みたいに。だからやっぱりきちんとしてなきゃいけない、と思うでしょう。日本でも、キリスト教徒だけの中に入れば、お互いの話なんだから、もうとんでもない話ばかりしているわけですよ。それは人間なんだからあたりまえですよね。

なんだか安心しました。もうひとつこの『反知性主義』が分かりやすいのは、先生がたびたび映画を取り上げていることですね。考えてみれば、映画は、言葉にできない感性やイメージが、きわめて具体的に表現されているコンテンツで。

森本:ええ。文化や習慣、価値観を知るにはもってこいです。

付け焼き刃で本当にお恥ずかしいんですけど、こりゃ面白そうだと思って、昨日『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992年、アカデミー賞受賞)と、それから『エルマー・ガントリー』(1960年、アカデミー賞受賞)を…

森本:ご覧になった? いいでしょ、あれ。

見ました。特に『エルマー・ガントリー』は感動しました。

森本:『エルマー・ガントリー』はね、本当に筋も濃いしね。スキャンダルあり、メディア利用のからくりあり、ひっくり返る大団円ありで。バート・ランカスターが若い時代で、女優さんたちもきれいでしょう。

きれいでしたね。で、「これはすごい映画だ」と思って、どんな感想が書かれているかなと検索してみると、意外に「理解できない」という評価が多いんですよ。「宗教の話と思ったら、女の性(さが)の話だった」「主人公がうさんくさい、何を考えているのか分からない」とか。

森本:え、そうなんですか。

■「神よ、掃除機が売れました!」
はい、ちょっとびっくりしました。でもよく考えたら、私、『反知性主義』を読んでいるんですね。これを読んでいると「あっ、本当に牧師がサーカスみたいに説教してる! 歌いながら酒場を焼き討ちしてる! これが例の、反知性主義の苗床になったリバイバリズム(信仰復興運動)か!」と、面白さ倍増です。もう「出た! 出ました! これ知ってる!」の連続で。

森本:でしょう! そういう話ばかりです。もうこの本はね、あの映画で出来上がっているんです(笑)。本当に。

たぶん、主人公のさすらいのセールスマン、エルマー・ガントリーが「何を考えているのか」が、普通の日本人には理解・共感しにくいので、ストーリーに入りにくいんだと思うんです。エルマーの「セールスマン根性」みたいなところと、聖書の教えとが……

森本:ちゃんとつながっているでしょう。「掃除機が売れました。神よ、感謝します!」とか(笑)。

そうそう、あれは日本人には信じがたいけれど、本気なんですね。話がちゃんとつながっている。その描写がめちゃめちゃよくできていて、「米国人の生き方と宗教観は、こう連結しているのか」と。ここが分からないと、エルマーはヒロインの美しい牧師を口説きたいから頑張ったのか、ビジネスを成功させたかったのか、上流階級に一泡吹かせたかったのか、それとも何も考えていないのか、分からないんじゃないかと。

※編注:エルマーを誰に例えれば分かりやすいか。個人的には、心の底に「日本人の義理人情」を持ちつつ、並外れたプロデューサー兼セールスマンでもある、『こち亀』の主人公、両津勘吉氏が宗教家になったようなイメージです。それはそれとして、『反知性…』を一読されてから「エルマー…」を観るのは本当におすすめです。エンタテインメントと知的興奮が同時に味わえます。

森本:『リバー・ランズ・スルー・イット』もそうですが、映画の背景になっているのはアメリカの開拓の歴史というか、西部の荒野ですよね。未開の地、新しい世界へ人間が歩み入っていく。その時に、自分のよりどころになるのは何か、ということです。『エルマー…』では、既存の宗教の方法論や権威に頼らず、直接「神」と対話しよう、という「リバイバリズム」が批判的な目で描かれているし、『リバー…』では、自然を通して直接神の息吹に接する、という姿が美しく描かれているわけです。

先生は、自然を通して神と直接向き合おうというのは、言い換えれば「上から」というか、「既存の秩序、教義みたいなものに目を曇らされていてはダメよ」という反骨心でもある、と指摘されていますね。教会内での位が高いから神や真理に近いか。そんなわけはない。まず自分の頭できちんと考えなきゃダメ、という考え方でもあると。それが、リバイバルの闘士が持つ「ファイティングスピリット」に通じているのかもしれませんね。

■権威への反逆、思わず元気が出る
森本:そうですね。ここはぜひ強調したいんですけど、「反知性主義」というのは、知性ではなく、「既存の知性」に対する反逆なんですよ。つまり、知性そのものじゃなくて、「今、主流になっている知性や理論をぶっ壊して次に進みたい」という、別の知性なんです。

だからパイオニアなんです。フロンティアスピリットを持ち、戦闘意欲満々で、今大きな顔をしている権威だとか、伝統だとか、その道の大家だとか、そういうのをみんなぶった切っていくわけ。

信仰復興運動=リバイバリズムも、ざっくりと言えば最初の植民者であるピューリタンたちの、あまりにロジカルかつ体制的なキリスト教への反発から、「神様は本当にこんな堅苦しい教義とかを望んでいるのか?」という考え方が生まれて、広がっていったのでしたね。

森本:そうですね。

先生の本でぶったまげたのは、リバイバリズムの担い手の「牧師」たちの多くが、実は神学校も出ていない「自称」牧師で、だけど「私は何百人も回心させました」という人たちだった、ということです。当然、ちゃんと神学校を出た「本物」のほうは面白くないわけですが…。

もちろん、既成教会の牧師たちも彼らをそのまま野放しにしていたわけではない。当時の牧師連合会では「ハーバードかイェールを卒業した者(※NBO注:どちらも元々は神学校)でなければ、教会では説教させない」(プリンストンの創立はもう十年ほど後である)ことを定めたりしたが、そんな取り決めは野外で勝手に開かれる集会には無力である。彼らも時には闖入者に面と向かって問い糾すことがあった。「いったいあなた方はどこで教育を受け、何の学位を持ち、どの教会で牧師に任命され、誰に派遣されてきたのか。」

しかし、リバイバリストの方ではそんな問いに答える義理はない。逆に牧師たちに向かって、昂然と言い返すのである。「神は福音の真理を『知恵のある者や賢い者』ではなく『幼な子』にあらわされる、と聖書に書いてある(「マタイによる福音書」11章25節)。あなたがたには学問はあるかもしれないが、信仰は教育のあるなしに左右されない。まさにあなたがたのような人こそ、イエスが批判した『学者パリサイ人のたぐい』ではないか。」――これが、反知性主義の決めぜりふである。
(『反知性主義』84、85ページより引用))

これを読むと、反知性主義ってなんだか元気が出てきますね。もともとの出発点は、「学者」と「パリサイ人」、つまり当時の学問と宗教の権威を正面からこきおろしたイエスの言葉なんですね。

森本:はい、信仰によって「既存の権威に、たったひとりでも敢然と立ち向かう」ということですから。反知性と言いながら、新しいものが生まれる可能性が高くなる、という意味では、知性にとってもプラスなんです。反知性主義がないと、宗教や学問はもう伝統墨守になっちゃうわけですよ。昔ながらの権威を教え戴いているだけで、何も変わらない。

それがあの国のウルトラ楽天的な姿勢や、時には子どもっぽい行動につながっている。でも、それは活力の源でもある。

森本:そう、翻って日本では特に伝統墨守、権威維持の力が強いです。いつまでも、何でも。大学だって東京大学を一番に、点数順に並んでいて、もううんざりしますね。日本人は、政治家だとか学者だとかは「批判されるべき権威」だ、ということまでは知っている。でも、マスコミとか芸能界とか、普通なら権威に対してアンチな立場に立つ人たちの中にも、だんだん権威の秩序ができちゃうんです。

ああ、小田嶋さんのアンテナはそっちの方にもすごく敏感に反応されますね。なくてもいいところに権威つくりやがって、みたいな感じで。

森本:そういうことを言うのが彼なんですね。だから余計に面白いんですよ。余計に危ないのかな。本来ならそういう人たちを味方に付けてね、権威者ぶっているやつをやっつける、というのが一般的な構図でしょう。小田嶋はそこも許さないんですよ。だから面白い。

味方も友達も別にいらない、と思っていらっしゃるようですね。

森本:1人で戦う気なのかな。うん、それが小田嶋であり、反知性主義のほんとうの姿かもしれませんね。

■日本人の「宗教への恐怖心」の理由
ちょっとお話が本から離れてしまいますが、日本人にとって反知性主義が理解しにくいというのは、それだけ宗教に対して距離感があるためだと思うんです。言葉を選ばずに言えば、「宗教を信じている人って、ちょっと怖い」みたいな。キリスト教に限らず、宗教全般に対する、恐怖心が。

森本:それはありますね。

なぜでしょう、どうお考えになりますか。

森本:1つには、「マインドコントロール」というか、「宗教を信じている人は、理性的な判断が結局できないんじゃないだろうか」と。進化論を否定しておいて、科学や歴史をどう考えるんだろう、みたいな。そういう怖さもあるでしょう。もう1つはやっぱり、自分の常識が通らないのでは、というか、違う論理と向き合うことへの恐れでしょう。ただし、例えばオウムのサリン事件だとか、ああいう宗教テロがあったからだというふうには、あまり僕は感じない。

私もそう思います。我々の持つ宗教への不安感とか恐怖感とか、近寄りたくないなという感覚って、昨今の出来事以前から、もっと土着的にあるような気がします。

森本:それはね、日本社会が成熟しているからなんだと思いますよ。日本社会って本当に知的にも、文化的にも、社会的にも、インフラ的にも成熟した社会です。だからそんなに簡単に、新しいものに魂を持っていかれないわけ。

えっ、そうですか?

森本:アメリカというのは、そういう意味では若い国で、それこそ開拓時代だと何もなかったわけですよね。そういうところから何かをつくっていくには、建設のビジョンが必要なんです。キリスト教に限ったことではありませんが、宗教はそういう理念形成の力を提供してくれます。

そうか、更地だから目標や理念がいる、宗教はそこにハマるのか。

森本:日本の仏教だって、新しい国家が生まれ、揺らいで新しくなるとき、大化の改新とか、内乱があった頃に……

ああ、確かに。大仏建てて、国分寺造って、みたいな感じで。

森本:そうそう、宗教はああいうふうに機能するわけですよ。社会に秩序を与えて、建設のビジョンを与える。そういうときに出番が来る。だから日本でも明治の初めにキリスト教が躍進しました。新しい社会になったけれど、どう振る舞ったらいいか分からない、既存の秩序が消えた時に、新しい秩序を見せてくれる。

なるほど。

森本:それから、戦後すぐですね。マッカーサーが来て、アメリカの軍隊が来て、世界がアメリカ化して見えてきた時代。でも民主主義って体験したことがないんだから、ほんとのところ分からないわけですよ。そういう時に宗教って広まるんですよね。

古くなったOSが書き換わるみたいな時に、ですかね。

森本:そうそう。その最初のころに必要なんです。

■動いているOSは、無理に書き換えなくてもいい
ああ、なるほど。自分自身のOSを書き換えるのって、既存のOSのアプリケーションにしてみたらうれしいわけがないですものね。「俺が消えちゃう」みたいな。

森本:そうですね。そして、日本社会はある程度古いOSがちゃんと機能しているわけですよ。

なるほど。

森本:成熟して枯れたXPがあるのに、何でVistaなんか入れなきゃいけないんだと。

確かに(笑)。

森本:僕は「8」が本当に嫌いなんだけど。だって「7」がちゃんと機能しているんだからね。

そうですよ。私も、7から絶対に移行したくないですよ。

森本:そうするとね、やっぱりいらないんじゃないの、別にそんな、新しいからって、というふうになりますよね。

なるほど、それが日本人か。それで言うと、例えば先生、あれですか、私がキリスト教に回心しなくても、別にいいよ、と思っていただけますか。

森本:それは、宗教的に言うと、人間のビジネスじゃなくて神様のビジネスなんですよ、最終的には。他人が回心するかしないかなんて、僕の知ったことか、というかね(笑)。

知ったことかと言われました(笑)。

森本:何でかというと、それは実存の問題だから。僕にとって僕の人生はとても深刻な問題じゃないですか。だけど、他の人が救われようが救われまいが、別に僕には関係ないわけですよ。そして、山中さんが回心するとしたら、それと同じくらい山中さんにとってそれが自分の真剣な問題になった時です。

まあ、それはそうですね(笑)。

森本:だから、どんなに一生懸命に広めようと思ったって、本人にその機が熟さない限り、無理に広めることはできないんです。

それをやると、リバイバリズムの負の面になっちゃうわけですもんね。回心する人を効率的に増やすことに意識が向いて、どんどん単なるビジネスになってしまう。

■日本の「半知性」主義
森本:回心というのは、本人の準備ができた段階で自然になるんです。機が熟するには、人間の時じゃなくて、やっぱり神の時がある。もしかしたら、山中さんが60歳になった頃に、突然そういう時が来るかもしれないんだから、それまでは救いようがありません(笑)。

ちょっと安心したところで(笑)、先ほど、日本社会は成熟しているというお話がありましたが、一方では、本当の意味で自分の頭で考える「反知性主義」よりも、既存の権威を護持する方に回りやすい風土もあるわけですよね。

森本:竹内洋さん(社会学者、京都大学、関西大学名誉教授)とこの間対談したんだけど、竹内先生がおっしゃるには、日本にはハン知性…半分の半ね。それしかないんだって。

半知性(笑)。

森本:日本には。筋金入りの知性主義もないから、筋金入りの反知性主義もない。半分だけの生ぬるい知性主義しかないんだ、というのが竹内先生の見方です。

社会が成熟しているという部分と、半分の知性しかないということは矛盾しないのですか?

森本:なぜかというと、一般の知性のレベルが高いから。

平均点は高いけれど、抜きんでる人があまり出てこない?

森本:粒が立たない。というか、立つ必要がない。社会が成熟しているので、知的にも成熟しています。一方で、それゆえ日本は権威の構造がかっちりでき過ぎてしまった。だから、反権威という意味での反知性主義がなかなか育ちにくいんだと思いますよ。すでにあるものを踏襲してゆけば、そこそこいいものができるから。

ああ、なるほど。「師匠と同じになる」ことが、日本の学問とか武術という、いわば「道」の在り方で。

■万人に「破」「守」の可能性を信じる
森本:「学ぶ」は「まねぶ」ですから。「道」はほとんど宗教です。デュルケムの宗教社会学的な理解から言うと、宗教に神が出てくる必要はないんです。何ものかへの献身があれば、それは立派な宗教です。

でもね、昔から、「守破離」と言うでしょう。最初は師匠の教えを守って、その次に破って、そこから離れて自分の道を行く。つまり日本にも、「師匠を超えろ、違うことをやれ」という考え方はしっかりある。ただしそういうのは本当の、ものすごくできる人の話なのです。

誰もかれもが守破離ができるわけじゃない。それはそうですね。でも、反知性主義は、まさに「誰もかれも、“破って”“離れる”べきだ」というお話なのではありませんか。

森本:そうです。誰でも出来るわけじゃない。でも、「破」や「離」の可能性がいつでもある、ということを見せてくれる人たちが米国にはいるんです。その代表例がリバイバリストの伝道者たちでした。自分はただの平凡な人間かもしれないけど、「新しい時代の根拠がここにあるんだ」と信じられたら、もはや誰も恐れない。大統領だろうと大学者だろうと。

その平民の伝統が、米国のダイナミズムの底流にある。そういう面では、反知性主義はまさに米国の活力の象徴だし、表層的には、キリスト教が自己啓発セミナーだか宗教だかわからなくなっている状況の原因にもなっているわけです。

うーん、日本だと確かにこの考え方は難しいですね。だって、「世の中ではこう言っているけど、これ違うんじゃないかな」と、仮に何かのジャンルで思ったとしても、「私がそれをちゃんと世に問うにはまだまだ力が足りない。もっと勉強してから」なんて、ついつい謙虚に考えてしまいそう。

森本:そうなっちゃうんですよ。でもこの人たちはやっちゃうんですね。平気なんだもの。だって、俺は神様に「うん」と言ってもらったんだから、そんなほかの権威なんかどうでもいい、というふうになるんですよ。

そういうところに、日本人はちょっと「ついていけない」と感じるのかもしれません。しかし、キリスト教が、自己破壊による革新を是認するというのは、いわゆる宗教改革の、ルターだカルヴァンだ、という頃からそうだったんですか。

森本:ルターだのカルヴァンだのじゃなくて、もう、ずっと初めからです。

え?

森本:だってイエスというのはそもそも反権威なんですよ。

うっ。

森本:イエスというのはその当時の宗教をぶっ壊した人なんだから。ユダヤ教の巨大な権威の塊があったわけですよ。律法学者だのパリサイ人だの。でも、「あんた方のやっていることは神様の言っていることと違うんですよ」というのがイエスのメッセージでしょう。

よく考えるとすごいことを言っていますね。

森本:とんでもない反宗教なんです。それはお釈迦様でも同じなの。お釈迦様というのは、古代バラモン教の階級社会に生まれて、それでも「宗教は高位高僧のものじゃなくて、一般の人々のためにある」といって、ご自分の教えを説いたわけですから。そして下層の人たちがそれを受け入れるようになっていったんです。ここは初期キリスト教の発展とまったく同じです。

そうか、世界宗教って、既存の宗教の破壊と革新から始まっているわけですね。

森本:そうです。だから、新しい宗教は主流(チャーチ)へのカウンター、つまり分派(セクト)として出発するんです。だけど、やがてそれでマジョリティになると、自分もチャーチになっちゃうわけ。

そしてチャーチは必ずまたセクトを生んでいくと。

森本:カトリック教会だって、はじめはずっと迫害されていて、ようやくローマ帝国の公認宗教になったんですが、気がついてみたら自分が弾圧する側に。それでプロテスタントが生まれるわけです。ところが、そのプロテスタントもマジョリティになると、そこからまた反発が生まれる。

ピューリタンが出て、そのピューリタンが新大陸で主流になったら、今度はバプテストが出て。

森本:そうそう。

■米国憲法にもビルトインされた「反知性主義」
しかし、それにしたって、そんな反知性主義をベースに置くアメリカってどこかおかしくないですか。「国を挙げて、宗教を挙げてセクト是認」って、何というのか、そもそも国や宗教として矛盾してるのでは、という気もするんですが。

森本:うん。その「セクト是認」「異論反論上等じゃねえか」というのを、国の文化や社会システムに組み込んだということが、アメリカという国の大きな特徴なんですよ。

そうか、そういうことですね。

森本:そう。だからアメリカの連邦制だとか政教分離だとかのシステムは、政治だけを勉強していたのでは理解できないんです。その根っこにあるのが、この反知性主義的な考え方なんです。

本の中でも語られていますが、例えば米国人の中に伝統的にあるという連邦政府への不信感も、この視点から見れば納得できます。

森本:米国の憲法制度をみても、「権威に対する反発」が、しっかり組み込まれています。自分たちがやってきた異議申し立ての方法をシステム化したらこうなりました、というのが、米国の憲法なんですよ。そしてその憲法や権利章典は、二百数十年続いてメジャーな変更がないアメリカ国家の根幹なんです。

欧州はリビアの両政府と対話する

欧州連合はマグレブとブラックアフリカから押し寄せる(実態から見て戦争による難民と言い難い)不法移民対策として、コーストガードではなく、海軍による臨検などの作戦を承認した。不法移民を満載した船舶の攻撃・破壊には新しい安保理決議が必要とされる、とAFP電は伝える。

この展開で特筆すべきは2点ある。

まずひとつは分裂しているリビアの政府双方と間に欧州は連絡を持ったことだ。現在のリビアは、トブルクの代議院政府とトリポリの新国民議会政府とに分裂している。EUを始めとして国際的承認を受けているのはトリポリを逐われたトブルク政府であり、トリポリは原理主義者が支配している。EUは事実上、2つの政府を追認する指向性を示した。

もうひとつはソマリア沖の海賊と同様、不法移民を扱う人身売買組織は海軍による討伐対象と認めることで、東南アジアのロヒンギャの不法移民も討伐できる法的根拠が出来る。海洋における法の支配を厳密に解釈する流れが強まれば、中国共産党の考える海上民兵の討伐にも一定の指向性を与えるだろう。

EU、難民危機対策の軍事作戦を承認 リビアは反発 2015年05月19日 11:49 AFP BBNEWS

【5月19日 AFP】(一部更新)欧州連合(EU)加盟各国は18日、リビアから地中海を渡り欧州を目指す難民が後を絶たないことを受け、その責任を負う人身売買業者らの摘発を視野に、来月から開始する前例のない海軍による軍事作戦の計画を承認した。

ベルギー・ブリュッセルで開かれた外相・国防相理事会で承認を受けたこの作戦には、欧州諸国の軍艦や偵察機による情報収集や、人身売買業者の取り締まりを目的とした船舶の強制捜査も含まれる。政情不安で密航業者の温床になっているリビア領海内でEUが人身売買業者の船を破壊できるようになるには国連(UN)の決議も必要だ。

地中海では過去1年半の間に、粗末なゴムボートや漁船で危険な航行に踏み切った5000人以上が死亡している。

リビアには現在、トブルクと首都トリポリにそれぞれ拠点を置く2つの政府が存在する。国際社会の支持を受けているのはトブルク側で、同政府は対立するトリポリ政府に加え、脅威を増しているイスラム過激派組織「イスラム国」とも戦っている。トブルク政府は今回EUが掲げたこの軍事行動計画に異議を唱え、EUはまずトブルク政府と協議するべきだと主張している。

トブルク政府の報道官はAFPの電話取材に対し、「リビア領海の内外を問わず、船舶に対する軍事行動は人道的とは考えられない」という見方を示した。

しかしEUのフェデリカ・モゲリーニ外交安全保障上級代表は、イタリア・ローマに作戦本部を置き、イタリア海軍の少将が指揮を執るこの軍事行動の作戦計画の作成は、直ちに開始されるとしている。

モゲリーニ氏が記者会見で明らかにしたところによると、作戦はまず情報収集、次いで密航船の立ち入り検査を行い、最終的に船を破壊するという3段階で展開していくという。

さらにモゲリーニ氏は、欧州首脳会談を経て来月にも作戦が正式に開始されるとの見通しを示し、船舶への攻撃も含めてEUが「作戦の全段階を実施」できるよう、国連安全保障理事会の承認を得ることを期待していると述べた。

また同氏は、EUはリビアの両政府と連絡を取っており、「この問題では連携していきたい。EUが責任を果たせる部分もあるが、リビアが果たすべき責任もある」と指摘した。

“日米合作”潜水艦の雛形

そもそも豪州に対するそうりゅう型潜水艦の完成品輸出案件の目的は、今後、日米豪同盟が行う共同作戦の実を挙げるため、豪州の海軍能力向上を図ることにあった。

豪州の国内事情からノックダウン生産に落ち着きそうだが、この日米合作による通常動力型潜水艦を廉価版潜水艦としてフィリピンやベトナム、インドなどに輸出できるようになれば良し。我が国は実績ゼロから輸出ができるし、米国は旨みのあるシステム輸出ができる。

経過を振り返るため、以前の関連エントリーから抜粋していくが、2014年7月10日のエントリーにあるように、日豪間では防衛装備品共同開発協定が調印されていた。

しかし、2014年9月15日のエントリーで言及したが、豪州政府は、そうりゅう型潜水艦について自国生産ではなくて完成品輸入を検討していたのだ。

2014年11月30日のエントリーなどにあるように、豪州の国営潜水艦メーカーのASC社(ASC Pty Ltd
、旧称:the Australian Submarine Corporation)が探っていた当初の妥協策は代替の造船枠をほかの造船所から譲り受けることだった。

その後、ASC社は労組の反発を受けながらも、船体は日本から、攻撃システムは米国から輸入することに決定、船体の組み上げ用の造船ドックを新設して、技術習得をしていくのが同社の目論見だった。

元々、そうりゅう型と同等の高張力綱の厚板溶接が出来ない、加えてナカシマプロペラ社と同等のプロペラは自製できないので、同型の700m潜航できる船体そのものが作れない以上、ノックダウン生産によるモンキーモデル(廉価版と言い換えても良い)しか残る選択肢はなかっただろう。

これを受けて、防衛省はそうりゅう型潜水艦の日豪共同生産の検討に入った(2015年1月6日のエントリー参照)。

ところが、さらなる混迷は2015年2月9日のエントリーにあるように、アボット政権の支持率の低迷とクイーンズランド州選挙の大敗を受けて自由党の反主流派が両院議員総会で党首の解任動議を提出した辺りに始まった。アボット首相は党内の支持を挽回しようと次期潜水艦の入札に国営のASCが参加できる、と表明した。

結局、2015年3月27日のエントリーにあるように、アボット政権は、次期潜水艦プロジェクトの一環として「フューチャー・サブマリン・サミット」を開催、日独仏がパートナーとして浮上したと表明、技術移転・共同生産を前提とした入札プロセスを開始した。しかし、この会合に招待された三菱重工業と川崎重工業は参加しなかった。

よしんば入札でドイツ製(ティッセンクルップ傘下のホヴァルツヴェルケ=ドイツ造船)もしくはフランス製(DCNS社)の船体ということになった場合、システムはフランスのタレス社が受注することになる。対するそうりゅう型では米国のレイセオン社。

独仏製では、艦船の相互リンクが出来ず、共同作戦に支障が出かねない。また、これらの潜水艦は寒冷な北大西洋での活動を主目的としており、水温変動の激しい南シナ海からインド洋に及ぶであろう豪州の作戦海域とでは、艦内の居住環境がそもそも合わない。

この事態を憂慮した米国が豪潜水艦調達計画について日本製を採用するよう後押しした(2015年4月7日のエントリー)。

すでに東アジアにおける潜水艦の建艦競争は、自国にとどまらず利害の一致する友好国に及び、潜水艦、対潜哨戒機、ソナーにそれらのメンテナンスや人材育成のパッケージ輸出を促進している。

潜水艦は各国の外交カードとして使われている。“対中封じ込め”の陣営では、ほかにミャンマーがインドからソナーを購入しようとしており、インドは米国から対潜哨戒機を購入しようとしている。一方、中共の陣営ではパキスタンのほかにバングラデシュが中共から潜水艦を購入しようとしており、運用支援に人民解放軍から人材が派遣される予定となっている。

この点から鑑みて、日米合作の潜水艦輸出は“対中封じ込め”の武器のひとつとなるだろう。

日本政府、豪に潜水艦技術の情報開示を決定 選定手続きに参加 2015年 05月 18日 19:39 JST ロイター

[東京 18日 ロイター] - 政府は18日、潜水艦の新造を計画するオーストラリアに対し、日本の技術情報を開示することを決定した。豪州が実施する協力国の選定手続きに参加する。競合するフランス、ドイツを抑えて日本が指名されれば、本格的な武器を輸出する初のケースとなる。

日本は同日午後に国家安全保障会議(NSC)を開き、豪側に情報を開示する可否を審査した。会見した中谷元防衛相は「(豪州とは)安全保障面で共通の価値と利益を共有している」と、開示を許可した理由を説明。「両国の防衛協力を新たな段階に引き上げるために協力をしていく」と語った。

日本は今後、豪州が求める要件に沿って、潜水艦の主要寸法や性能情報といった設計の概略を提示する。コストや建造場所、豪州の産業がどのぐらい関与できるのかなども提案する。豪州は、選定手続きに参加する日本、ドイツ、フランスの中から、年内にも共同開発国を選ぶ見通しだ。戦闘指揮システムは米国製を採用する。

日本が指名された場合、実際に共同開発に乗り出す前に再びNSCで可否を審査をする必要がある。

2030年前後に潜水艦の世代交代を計画する豪州は、独力で開発・建造する能力に乏しく、他国の協力を模索。日本から完成品を輸入する方向で検討していたが、自国産業の関与を求める国内世論が反発したため、「競争的評価手続き」という事実上の入札を行う方針に転換し、日本とドイツ、フランスに参加を要請していた。

日本は昨年4月に武器の輸出規制を緩和。NSCで許可した重要案件は、英国とのミサイル共同研究、米国へのミサイルの部品輸出に続き、今回で3件目となる。

*内容を追加します。

(久保信博)


豪潜水艦選定手続きへの参加決定、国家安全保障会議で=菅長官 2015年 05月 18日 16:50 JST ロイター

アメリカ政府、日本へ潜水艦発射型ハープーンの輸出を承認 2015/05/14 22:45 FlyTeam ニュース

アメリカ国防安全保障協力局(DSCA)は、2015年5月12日、国務省が日本へUGM-84LハープーンBlock IIミサイルと関連機器、部品、サポートなどを、対外有償軍事援助(FMS)で輸出することを承認したため、この輸出案を議会へ報告しました。

日本政府はUGM-84LハープーンBlock IIミサイル48基とコンテナ、部品、支援機器、技術資料、訓練、各種サポートなどを求めています。推定コストは1.99億ドルと見積もられています。

UGM-84Lは潜水艦発射の長射程対艦ミサイルで、これを装備することにより海上自衛隊とアメリカ軍の相互運用性が高まり、自衛能力も向上するとしています。DSCAは輸出がアメリカの国益と一致し地域の軍事バランスを変えないと評価しています。 UGM-84Lの主契約社はミズーリ州セントルイスのボーイングです。

ニュースURL:
DSCA - Japan – UGM-84L Harpoon Block II Missiles

ダウェー港でインド洋と南シナ海を繋ぐ

インラック政権がクーデターに倒れて5月22日で1年を迎える。タクシン派排除を狙った新憲法は国民投票にかけられる方針で否決と紛糾が予想され、民政移管への道程は遠い。

しかし、2015年2月6日のエントリーで述べたように、現在のプラユット政権の最大課題は民政移管ではない。2017年に生産年齢人口のピークを迎える前に、外資依存・輸出依存で稼いだカネを再分配し、格差是正の仕組みをつくることにある。タクシン派と反タクシン派は再分配の方法をどうするかで戦った。

インラック元首相を公民権停止に追い込んだ「コメ買取制度」は、貸し倒れ覚悟の制度であって、中小零細農家向けの融資はほとんど不良債権化した。タクシン派は再分配の仕組みづくりに失敗したからこそ退場したのだ。

インドネシア、フィリピン、ベトナム、ミャンマーいずれの国も人件費はタイと中共の40~60%水準となっている。つまり、我が国にとってタイは投融資の収穫時期に入っている。観光ビザの緩和はこれに連動している。

ともかく、プラユット政権の最大の課題は民政移管ではなくて、二大派閥の対立の最大要因となっているバンコク首都圏とイサーン(東北地方)の経済格差解消のためのインフラ整備を進めて、政治的合意による富の再分配を行うことにある。タイでは家計債務率が80%を超えており、家計消費支出が今後も伸び悩む。家計債務を政府債務に置き換える意味でもインフラ整備は必要となる。

その意味もあって、タイは我が国と中共を両天秤にかけて老朽化した鉄道のインフラ整備を図っている。

今年2月の日タイ首脳会談では、タイが主導しながら資金不足などで進捗していないダウェー港開発に我が国が協力することになった。さらに今月になって、鉄道2路線の建設について覚書が交わされることが明らかになった。そのうち東西路線(かつての泰緬鉄道と一部類似する)はダウェー港開発を念頭に置いたものである。

ダウェーは経済特区となっており、ダウェー港(ミャンマー)~バンコク(タイ)~プノンペン(カンボジア)~ホーチミンシティ(ベトナム)~カイメップ・チーバイ港(ベトナム)をつなぐ南部経済回廊構想のインド洋側の出口となる。この構想を実現させるメリットは、タイと中共を繋ぐ経済圏の力を減殺し、回廊に沿った各国の中共寄りの姿勢を是正できる点にある。

【タイ】新鉄道建設、中国からの融資を断念=日本に期待 2015年2月21日 17時10分 グローバルニュースアジア

(前段省略)

当初、中国とタイの間では鉄道建設にあたり、事業資金の融資も中国から受けることを前提に進められてきた。その中で、中国に対しては、2%の金利で5年間の返済猶予と15年間の返済期間を提案していた。

しかし、ここにきて、中国側から提示された融資への金利が想定されていた2%ではなく、4%と高いことが判明。中国側は、2%は発展途上国向けの金利であり、タイは発展途上国とは言い難い、との説明がなされたという。


【タイ】新鉄道建設で日本と覚書き調印へ 2015年5月15日 11時00分 グローバルニュースアジア

 2015年5月15日、タイメディアによると、タイ国交省が新たに計画されている鉄道ものうち2路線について、日本と建設へ向けた覚書きに調印する運びになったという。

 アーコム国交副大臣が、5月11日にタイ北部チェンマイとバンコクの高速鉄道と西部カンチャナブリーからバンコクを経て東部レムチャバンとカンボジア国境サケーオ県アランヤプラテートを結ぶ路線の建設に向けた覚書きに日本との間で調印する事になると明かしたもの。

 同11日、タイを訪れていた和泉首相補佐官がプラユット首相を表敬訪問した他、経済政策担当のプリヤトン副首相と会談。日本側の方針について伝えられた模様。

 また、タイ側が提案していたミャンマーのダウェー経済特区の開発についても、日本側は前向きな方針である事も確認された。

 北部チェンマイへは、バンコクとの観光路線として新幹線などの導入も期待されている。また、東西の路線は西のミャンマー、ダウェイや東のカンボジアからベトナムへの伸延により物流の大動脈となることが期待されている。

 プリヤトン副首相は、北部チェンマイ線について、投資額が大きく採算が取れないと慎重な姿勢を見せているが、プラユット首相は歓迎の意向だと、タイの各メディアでも報じている。

【翻訳/編集:そむちゃい吉田】


タイのクーデターから1年 和解遠く 軍政長期化も 2015.5.19 20:49 産経ニュース

 タクシン元首相派のインラック政権が倒れたクーデターから22日で1年を迎えるタイで、軍事政権が長期化する懸念が強まっている。軍政のプラユット暫定首相は19日、民政移管に向けた新憲法案を国民投票にかける方針を表明したが、事実上の「タクシン派つぶし」ともいえる憲法案の内容に同派が猛反発するなど、軍部がクーデターの大義名分に掲げた、タクシン派と対立勢力との「和解」には程遠い状況だ。(タイ北部チェンマイ 吉村英輝)

 タイの古都チェンマイ県の中心地から車で約1時間のサンカンペーン郡は、タクシン氏の故郷だ。元警察官僚で通信事業の成功により巨万の富を築いたタクシン氏は、2001年の総選挙で大勝。同郡など地方の貧しい農村が大票田となり、政権を支えてきた。

 ある支持者男性は、「国から見向きもされなかった私たちに、タクシン氏は初めて手を差し伸べてくれた」と強調。タクシン政権が導入してきた医療政策で「病気になれば借金まみれになる恐怖からも解放された」と功績を評価した。

 妹のインラック前首相が導入したコメ買い上げ制度がなくなり、「農業収入だけでは生活できなくなった」とも語る。以前は見つかった副業も失った。「軍政の下でタクシン氏の復権は絶望的だ。一部の富裕層しか守られない国に戻った」と落胆する。

 軍政は、今年7月に新憲法案をまとめ、来年早々に総選挙を行う行程を描いていた。だが、その内容は単独巨大政党の出現を阻止し、非議員の首相就任を可能にするというもので、京都大のパビン・チャチャバル准教授は「目的は民主化でも政治改革でもなく、(選挙に強い)タクシン派つぶしだ」と指摘する。

 タクシン派などの強い反発を受け、暫定政権は19日、新憲法案を国民投票にかけることを決定。ウィサヌ副首相は、国民投票を来年1月に行い、賛成多数となった場合は、「8月か9月」に新憲法の下で総選挙を行うとした。しかし、否決されれば憲法案が作り直されるため、民政移管はさらに大幅に先送りとなる。

 タイ経済は、政治の混乱とインラック政権の景気刺激策の反動減から低迷が続き、雇用環境が悪化。国民の不満が高まれば、軍政はタクシン政権が批判を受けた「バラマキ」政策の再現に踏み切らざるを得なくなる事態も予想される。

“一帯一路”はラテンアメリカには届かない

中国共産党の李克強首相が南米諸国をブラジル~コロンビア~ペルー~チリの順で歴訪する。VOAの中文記事では“一帯一路”がラテンアメリカにも到る、と云う見出しを付けている。

ブラジルにおけるインフラ投資の目玉はブラジル~ペルーを結ぶアンデス山脈横断鉄道計画の合同調査である。

中共はブラックアフリカにおいて同様に、大西洋からインド洋を横断するアフリカ大陸横断鉄道を2018年までに実現させる方針である(2014年8月31日のエントリー参照)。

また、すでにロシアのモスクワ~カザン間の高速鉄道建設に関する覚書が露中両国間で調印された。

こうした華々しい動きで先手を取られることの多い我が国の外交ではあるが、ブラックアフリカにおけるプロジェクト・ファイナンスでは日本が中共を上回った、と英国の法律事務所が明らかにした(2015年3月25日のエントリー参照)。

同じく政府はアフリカ開発会議(TICAD)の開催周期を5年周期から3年周期へ、開催場所を国内のみから国内とアフリカの持ち回りへと変更して、6回目となるTICAD VIを2016年にケニアのナイロビで開催する方向で調整を開始した(2015年2月21日のエントリー参照)。

東南アジアでは日立製作所-三菱商事-JICAがミャンマーの鉄道信号システムを受注。中東では国際石油開発帝石が政府の後押しによってUAEアブダビの陸上油田権益を5%獲得するなど、我が国は着実に巻き返しを図っている。

さて彼らがインフラ投資の戦線拡大を行う一方で、そのウィークポイントは資本の流出である。アジアインフラ投資銀行(AIIB)もそうだ。ではBRICS銀行はどうなったのだろうか。

国際石油帝石、アブダビの陸上油田権益5%獲得 2015年 04月 27日 19:31 JST ロイター

“一帶一路”到拉美 07:03 2015年05月12日 VOA CHINESE

モスクワーカザン高速鉄道プロジェクトにおける「中国元素」  2015年05月14日11:28 人民網日本語版

中国「利下げ」は経済自滅のシグナル 止まらない資金流出 2015.5.17 11:00 産経ニュース

日立、ミャンマーで鉄道信号システム受注 三菱商事と 2015/5/18 2:00 日本経済新聞 電子版

中国首相、南米投資計画を発表へ 2015年5月18日 16:01JST WSJ日本版

 【ブラジリア】中国の李克強首相は今週、南米諸国に対する一段の財政支援を打ち出すとみられる。同国は、自らの資源需要減退により打撃を受けている途上国に安心感を与えるため、広範な措置を展開している。

李氏は19日にブラジルで同国のルセフ大統領と会談し、大型鉄道の建設計画や企業買収、老朽化した同国インフラの改修について話し合う見通しだ。

李氏はその後、コロンビア、ペルー、チリを訪問し、中国経済の減速が中国の南米関与に影響しないことをそれら貿易相手国に請け負うとみられる。中国政府は、同国がコモディティー(商品)だけでなく最終製品を買う形の取引を提案している。既に、中国の貸し手は中南米諸国に対する有数の投資家になっている。

ブラジルのセルジオ・アマラル元外相は「中国は過小評価されている企業や資産に資金を投じている」と述べた。「それは政治的な好機であるばかりでなく、優れた事業機会でもある」という。

中国列車メーカーに対する世界の需要構築に努めてきた李氏は、資金の潤沢な中国メーカーの好機を海外で演出しようとしている。

中国は米国を抜き、ブラジルにとって最大の貿易相手国となった。李氏は、アンデス山脈を横断してブラジル農業ベルトとペルーの太平洋岸を結ぶ鉄道の建設実現可能性を探る合同調査の契約に調印するとみられる。官僚的手続きで何年も停滞しているこのプロジェクトは、ブラジルの対中輸出の輸送コスト低減が狙いだ。

李氏率いる訪問団は、最大530億ドル相当のブラジルでの各種インフラプロジェクトも発表する見通しだ。財政赤字に直面したブラジル政府は資金注入を切望している。


参考URL:
我が国企業がアブダビ陸上油田の権益を獲得しました 平成27年4月27日(月) 経済産業省

近代国家は国籍を与え、そして奪う

南欧に不法移民が殺到しているのと同様に、ミャンマーから逐われたロヒンギャ(諸説あるがベンガル系ムスリムの後裔と考えられる)の不法移民を巡って、東南アジア諸国が押し付け合いを始めている。仏教徒の多いタイはもちろん、イスラム系の多いインドネシアとマレーシアが受け入れないのだから、引き受け先は存在しない。

今月始めにタイにあった人身売買・密航の拠点と思われる難民キャンプが摘発されて、埋葬遺体が約30人ほど発掘された。追及を恐れた業者が一挙に密航待ちのロヒンギャを手放して、洋上放置の事態が発生したのではないかと思われる。

人身売買を行う業者が一時的に撤退したために起きた以上、残酷な手段かもしれないが、いずれの国も受け入れなければ、密航船は難破して死者は出るものの短期的に事態は収束する可能性が高い。ほとぼりが冷めてから再び人身売買ルートを通って密入国を図ると思われる。豪州のように難民キャンプをナウルなど、ある種のリザベーションに詰め込むという措置もあり得る。

難民船を関係国“押し付け合い” ミャンマー少数民族「漂う棺おけ」指摘も 2015.5.17 19:22 産経ニュース

地中海渡航の難民2452人を救出 イタリア当局 2015.05.17 Sun posted at 15:55 JST CNN日本版

漂流の少数民族受け入れを呼びかけ 5月16日 8時10分 NHK NewsWEB

ミャンマー、少数民族密航問題で反発「迫害が原因ではない」 タイでの対策会合不参加も 2015.5.15 23:25 産経ニュース

ミャンマーの少数民族ら 海上で漂流相次ぐ 5月15日 21時32分 NHK NewsWEB

少数民族の数千人が漂流 東南ア諸国は受け入れ拒否 2015.05.15 Fri posted at 15:44 JST CNN日本版

Rohingya Migrants From Myanmar, Shunned by Malaysia, Are Spotted Adrift in Andaman Sea 14, 2015 The New York Times

マレーシア、難民船の領海入りを拒否 多数の難民に生命の危機 2015年05月15日 08:29 AFP BBNEWS

EUが難民対策で「各国に割り当て」案 5月14日 5時35分 NHK NewsWEB

ロヒンギャ対策会合開催へ 29日、バンコクで15カ国 2015.5.13 00:01 産経ニュース

移民密航は「安全保障の危機」EU代表 2015.5.12 15:37 産経ニュース

地中海のボート難民、EU失政の代償 2015年5月11日(月)12時43分 ニューズウィーク日本版

タイ少数民族キャンプから30遺体発見、不法拘束、身代金要求で自治体職員ら逮捕 500人超死亡証言も 2015.5.4 21:31 産経ニュース

困窮「ロヒンギャ族」を戦闘資源“草刈り場”にするイスラム過激派 国際社会は無力 2015.5.4 18:00 産経ニュース

〈相次ぐ地中海の密航船事故〉「無謀誘う『欧州側の責任』」汎アラブ紙 2015.5.4 08:54 産経ニュース

さて、ロヒンギャに現在降りかかっている悲劇はミャンマー当局に国籍を奪われたことに直接の原因がある。ここから理解できることは近代国家は国籍を与えるとともに奪うことも出来るという峻厳な事実だろう。ロヒンギャは近代国家が国民を決めうる一例として踏まえなければならない。国籍だけでは帰属する国家・民族・宗教・言語によって統合される国民の自己同一性を証明できない。1895年から1945年の期間を除けば、国民(ネイション)と民族(エスニック・グループ)が同一であった日本人にとって、我々日本人とは誰かという問いかけにもなる。つまり、各国で移民が増加するなかで国籍だけで国民を定義するのはあまりにも危険を伴う。

特に近代的な枠に囚われると、日本人とは何かが理解できないままで終わる。日本人を定義すると、第1に神道が基盤となる宗教的規範に服している。第2に近代国家成立以前にその領域に住んでいた祖先を両親双方の出自に持っている。第3に近代国家成立以降の国語(日本語)を母語としている。そして第4に近代国家が与えた国籍を有している。

この定義を分解すれば、確かに国籍が日本であれば法的に日本人であり、母語が日本語であれば日本人として日常生活に不自由しない。ところが近代国家成立以前の民族性(エスニシティ)を含めると難しい。宗教的規範によってこそ、日本人足りえるからだ。我々日本人が無宗教です、と云うのを真に受ける外国人は真に日本人足りえる難関を乗り越えられないだろう。

あらゆるガジェットが神になり得ることに気づかないで、日本的なモノやサービスを受け取っているのだが、それはイコンであったり、物神であったりする。その神を心のうちにしなければ、内に入れずいつまでも外人になってしまう。そもそも教義のない神道において、近代以降の教派神道を除けば信仰に入る(入信や洗礼の)概念はない。一神教のドグマに囚われると理解できないことだ。日本人が行動している時点で宗教的規範を実践していることに気付かないのだ。神道の神々は可視的に在るが、一神教の信者には不可視の存在である。

ロンドン・シティーに復讐するケルト文化

保守党の勝利に終わった英国の総選挙だが、中道左派の敗北と中道右派の勝利の背後で進んでいる政治的な地殻変動にも目を向けて見るべきだろう。

スコットランドではリベラルと民族主義を兼ね備えたスコットランド国民党が勝利し、イングランド、ウェールズでは英国独立党が10%程度の得票を得た。ここには従来のリベラルの退潮と同時に旧来の地域文化を基盤とする保守の台頭がある。

新しい対立軸はロンドンのシティーを中心とした大英帝国としての保守的勢力とローマの支配やノルマン・コンクエスト以前から続くコーンウォール地方やウェールズなどが保っているケルト文化を背景とした保守的勢力の相克と考えられる。

英首相「住民投票再実施ない」、スコットランド民族党党首と会談 2015年 05月 16日 00:00 JST ロイター

英総選挙「接戦」?世論調査が大外れの理由は… 2015年05月15日 08時42分 読売新聞

Does Northern England really want to join Scotland? MAY 14, 2015 The Christian Science Monitor

I do not want to be English – and any attempt to create an English identity will fail Sunday 10 May 2015 20.00 BST The Guardian

2014年4月5日のエントリーでも触れたように、

シティーを中心としたグレーター・ロンドン周辺の商業用不動産と富豪用の邸宅を富裕な外国人実業家に購入してもらい、実業家のいくらかが拠点を置き、オフショア人民元債券(点心債)やイスラム債券(スクーク)の取引が活発化すればシティーも潤い、金融部門の雇用も増え、不動産開発のためのインフラ建設も同時に盛んになり、英国経済のダイナミズムが動き出す、というのがジョンブルの描いた勝利の方程式だ。

このダイナミズムがロンドン以外のイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドに波及しない。もしくは波及するにしてもタイムラグが生じると、大英帝国的な保守勢力とケルト的な保守勢力の戦いが深刻化する。利害対立が起きる前に、もしくはそれが発生しても利害収拾できるかが連合王国の存続か解体かを決定するだろう。

大英帝国を突き詰めると、ロンドン・シティーとポンド(イングランド銀行)に集約される。初めに勅許状があり、次第に金融拠点が信用を担保するようになり、世界中で交易を行うことで帝国が形成されたのであり、そこにケルト的文化特性がどう作用したのかは筆者には未だ分からない。

フランス革命以前に国民国家として成立した英国は階級と異なる法体系を持つ地域の民族と文化によって多層的に構成されており、国語として国民を統合する英語の力すら弱い。階級・階層が違うとコックニー訛りのようにまるで言語が異なって聞こえる。かつての産業革命において工業を担ったマンチェスターや石炭などを供給したスコットランドなどとシティーの結びつきがなくなっていることが地域的分裂を加速させる要因となっている。

大英帝国はインド皇帝の冠を失ったとき名目上滅び、スエズ紛争の敗北によって実質上滅んだ。形骸としての大英帝国と実体としてのケルトをどう結合するかが今後の英国の課題となる。

ダナンから海南島を睨む

ソマリア沖の海賊に対処するP-3C対潜哨戒機はジブチ国際空港に隣接する自衛隊基地からの帰途、ベトナムのダナン国際空港に補給・休養目的で立ち寄った。空自と海自は従来、ジブチからの帰途にタイのウタパオ国際空港を中継基地として利用しているので、ベトナムとの協力関係構築及び中共に対する威嚇を兼ねているのは明らかだ。

ダナンの位置は海南島の戦略原潜基地まで、約20分程度の航続距離にあり、ここを経由したことの圧力を中共は感じていることは間違いない。

ベトナムは、米国からモスボール処理されている中古のP-3Cを念頭に6機購入したい意向を示している。米国は、2014年10月には対ベトナム武器輸出を一部解禁している。

Vietnam and Great Power Rivalries March 31, 2015 The Diplomat

UPDATE 3-U.S. eases arms embargo against Vietnam for maritime security Thu Oct 2, 2014 6:58pm EDT Reuters

米国が対ベトナム武器禁輸緩和、最初は哨戒機か 2014/09/25 17:30 JST配信 VIETJO

ベトナム、米国から対潜哨戒機6機の購入の意向 2013/04/17 13:16 JST配信 VIETJO

焦点:「中国脅威論」高まるフィリピン、基地増強に世論後押し 2015年 05月 15日 14:42 JST ロイター

米軍、南シナ海の偵察強化へ 中国は「挑発」に相当と警告 2015.05.14 Thu posted at 13:04 JST CNN日本版

米軍、中国主張の領海に直接対抗措置を検討-偵察機派遣も 2015年 5月13日 09:23 JST WSJ日本版

海自P3Cがベトナム訪問 中国けん制か 2015.5.14 11:03 産経ニュース

 アフリカ東部ソマリア沖アデン湾で海賊対処活動を実施し帰還する海上自衛隊のP3C哨戒機2機が14日までの2日間、ベトナム中部ダナンを訪問した。

 ベトナム軍当局との信頼醸成や乗組員の休養、補給などを目的としているが、南シナ海の領有権をめぐり中国と対立しているベトナムへのP3C訪問は、同海域で実効支配を強める中国へのけん制の狙いもあるとみられる。

 指揮官の菊地秀雄1等海佐は13日、各国が利用する海域の「国際秩序に基づいた安定」のために「あらゆる国と信頼関係を結ぶことが非常に重要」と語った。

 南シナ海に面するダナンには、4月に外洋練習航海実施中の海自護衛艦2隻が寄港。その直前には米海軍のミサイル駆逐艦なども訪れるなど、日米艦船の寄港が相次いでいる。(共同)

正教会とイスラム教の分断線上のマケドニア

2015年3月11日のエントリーでは、

欧州では正教会とカソリックの分断線、ブラックアフリカではイスラム教とキリスト教の分断線、アラブ・中東ではスンニ派とシーア派の分断線、東アジアでは法治と人治の分断線にそれぞれ戦いが起きることになる。

と、書いたものの欧州にも正教会とイスラム教の分断線があった。ボスニア・ヘルツェゴヴィナとアルバニアとコソボはムスリムが多数派を占める国家である。これらの国々は英ソのパーセント協定(ユーゴスラビアの利権配分は英ソともに50%ずつ)の影響を受け、かつチトー率いるパルチザンが独力で勝利した旧ユーゴスラビア圏に属していた。

5月9日、マケドニアの都市クマノボでコソボ出身の武装集団が警察と銃撃戦を行った。マケドニア国内にアルバニア系国家を創設するのが目的だった、と指摘されている。

マケドニアは国家としても国民としても民族としても若く弱い。チトー支配下のユーゴスラビアで初めて成立しており、国境線はそのときのものである。歴史に乏しく民族性の弱いマケドニアは周辺国の民族統一運動に巻き込まれやすい。

言語の連関性から大ブルガリア主義に狙われ、歴史の連関性から大ギリシア主義に苦情を入れられ、少数民族の動きは大アルバニア主義に傾く。もちろんユーゴ崩壊の復讐を誓うセルビアも控えている。存続しているのは、これらの国々の緩衝地帯としての価値があるからだ。

ただし、正教会とイスラムの分断線上に存在することでムスリムの非正規兵やテロリストが混乱しているアフガニスタンやイラク、シリアなどからリクルートされて、マケドニアの混迷は深まる可能性がある。

マケドニアで警察と武装集団が銃撃戦、少なくとも22人死亡 2015年05月11日 09:06 AFP BBNEWS

【5月11日 AFP】マケドニアの首都スコピエの北約40キロのクマノボで9日早朝、警察と武装集団の間で銃撃戦が起き、少なくとも22人が死亡した。

警察の報道官が10日に明らかにしたところによると、9日明け方の銃撃戦で、警察官8人が死亡し、37人が負傷した。死亡した警察官以外に14人の遺体が現場で見つかり、死者の数は増える恐れがあるとしている。クマノボでの警察の作戦はほぼ終了し、「脅威をもたらしていたテロ集団は完全に排除された」という。

同報道官によると、武装集団は「とりわけ危険なテロ集団」で、国際指名手配犯も含まれている。構成員は30人以上でほとんどがマケドニア国籍だが、5人がおそらく隣国コソボ出身のアルバニア人、1人がアルバニア人とみられている。

内務省によると9日に投降した武装集団の約20人はスコピエの裁判所に送られる。

事件の約3週間前には、コソボ出身のアルバニア人約40人が、マケドニア国内にアルバニア人の国家を創設することを要求し、マケドニア北部国境にある警察署を短期間占拠する事件が起きていた。

マケドニアでは約210万人の人口のおよそ4分の1をアルバニア系住民が占めており、2001年にはアルバニア系武装勢力が暴動を起こしたことがある。マケドニアで過去に起きた暴動や旧ユーゴスラビアの解体過程で起きた紛争を念頭に、欧州連合(EU)は民族問題に起因する暴力の再燃を避けようと神経をとがらせている。

北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ事務総長も「マケドニアと地域全体のため、全ての関係者に自制を求め、事態を悪化させないよう求める」とする声明を発表した。


マケドニアの対テロ作戦で民族紛争が再燃? 2015年5月11日(月)15時20分 ニューズウィーク日本版

 マケドニア旧ユーゴスラビア共和国で、「武装組織」を摘発する作戦中に警官5人が死亡、30人以上が負傷した、とロイターが報じた。

 マケドニア警察の特殊部隊は首都スコピエの北にある町クマノボで先週末、国家機関への攻撃を計画していた外国の「テロ組織」と銃撃戦になったという。

 かつて独立を求めて政府軍と衝突した少数派のアルバニア系ゲリラ「民族解放軍(NLA)」がこの「攻撃」に対する犯行声明を出したが、マケドニア内相は銃撃戦は外国のテロ組織に対する周到な「作戦」の結果だったと説明するなど、主張は食い違った。

 内務省の報道官によれば、テロリストは隣国から違法にマケドニアに入国し、マケドニア国内の支持者に匿われながらテロ攻撃を準備していた。またこの組織の活動拠点は、クマノボでもアルバニア系住民が圧倒的に多い地区にあったという。特殊部隊の突然の乱入に、住民は驚きを隠せずにいる。警察の動機に対する疑問もある。

 ある市民はツイッターでこうつぶやいた。「マケドニア系住民もアルバニア系住民も同様に驚き、お互いに助け合って避難した」

 銃撃戦の前日には、数千人の国民が首都スコピエでデモを行っていた。デモ隊は政府幹部の腐敗や権力乱用、政府内におけるマケドニア系とアルバニア 系の民族対立を批判し、ニコラ・グルエフスキ首相と連立政権の退陣を求めた。

 またグルエフスキ連立政権には最近、4年前の政権発足時に22歳の男性が警察の暴力で死亡したことを政府が隠そうとしていた疑惑が浮上、抗議の火に油を注いだ。

 デモは5月5日から毎日続いていた。デモを支援する野党は、5月17日に大規模なデモを予定している。

 他の大半のバルカン諸国と同様、マケドニアの歴史は民族紛争の歴史だ。とくにクマノボは、2001年のNLAと政府軍との戦闘の中心地。民族対立の過去が反政府活動弾圧の口実にならければいいが。

デフォルトのラッシュにAIIBは間に合うか

中国共産党の国務院(内閣に相当)は“一帯一路”構想に従って、新疆ウイグル~中央アジア・中東・インド亜大陸~ロシア~南欧に向けたインフラ輸出を加速させる。我が国の“自由と繁栄の弧”構想と戦略的にぶつかり合う意志を明確にした。

中共は、新疆ウイグル~中央アジア~トルコ~ロシア~ドイツまでを陸路で結ぶ“シルクロード経済ベルト”とスリランカ~パキスタン~ギリシア~ベルギーを海路で結ぶ“21世紀の海上シルクロード”構想を打ち出している。これらを併せて“一帯一路”と呼称する。“一帯一路”の地域を人民元経済圏を構築したい意向も明らかにしている。

大陸国家の支那としては中国共産党の“一帯一路”のうち、“シルクロード経済ベルト”が主、“21世紀の海上シルクロード”が従となるはずだ。これに対して海洋国家の我が国としては“自由と繁栄の弧”が主、“ユーラシア・クロスロード構想”が従となる。

アジア開発銀行(ADB)とアジアインフラ投資銀行(AIIB)の対立もこの二国の戦略構想の衝突の一環である。

しかし、シーパワーとランドパワーの対立軸が明確化していくと、シーレーンを抑える日米ほかの陣営が中長期的に勝利する。第1次世界大戦下のドイツ、冷戦下のソ連の運命を中国共産党も辿るほかない。

彼らの沿岸部の工業地帯はシーレーンに依存しており、依存脱却のためには日米を凌駕する海軍力を保持しなければならない。しかも、“対中封じ込め”の海軍整備の列に、ASEANのなかでもフィリピンとベトナム、日米同盟との結合を深める豪州とインドの各国が加わる。

China, when a hot money outflow threatens to become a torrent David Keohane | May 13 10:04 FT Alphaville

中国 資金の流れからも経済減速鮮明に 5月13日 23時19分 NHK NewsWEB

アングル:中国の不動産市場低迷が銅需要に打撃か、鉄鋼は既に影響 2015年 05月 13日 13:58 JST ロイター

“一帶一路”到拉美 07:03 2015年05月12日 VOA CHINESE

ゴールドマン、中国経済の回復を予想-歴史は繰り返す 2015/05/11 09:08 JST ブルームバーグ

UPDATE 2-中国人民銀が25bp利下げ、昨年11月以降3回目 景気支援を強化 2015年 05月 11日 06:36 JST ロイター

中国の成長鈍化、金融緩和でなく景気刺激策が必要=当局者 2015年 05月 7日 09:48 JST ロイター

中国、シルクロード構想で輸出促進=国務院 2015年 05月 7日 10:50 JST ロイター

一方、国内では昨年11月と今年2月に続く利下げを中国人民銀行が5月10日発表した。インフラ輸出を軌道に乗せる前に国内の経済対策が求められる状況になりそうだ。

たとえばインフラの供給を担う製鉄会社向け石炭を輸入する永暉実業は5月8日、ドル建て社債がデフォルトした。2014年から不動産関連セクター中心に上場企業と国有企業のデフォルトが徐々に始まっている。

【デフォルト事例・時系列順】
2014年02月12日: 吉林省信託組成の理財商品(石炭採掘の山西聯盛能源に融資)がデフォルト
2014年03月07日: 上海超日太陽能科技(太陽光パネル製造・上場企業)の本土社債が初のデフォルト
2014年03月17日: 浙江興潤置業投資(不動産開発・未上場)が破綻
2014年06月27日: 上海超日太陽能科技、破産手続き開始
2014年12月31日: 佳兆業集団(不動産開発・上場企業)がHSBCのタームローンに融資返済できず
2015年03月24日: 佳兆業集団の格付けをS&Pはデフォルトに引き下げた
2015年04月07日: 中科雲網科技集団(インターネット・上場企業)の本土社債が2件目のデフォルト
2015年04月21日: 佳兆業集団のドル建て債が初のデフォルト
2015年04月21日: 天威保変(変圧器製造・上場企業・中国南方工業集団傘下の保定天威集団系列)が本土社債で3件目のデフォルト
2015年05月08日: 永暉実業(製鉄会社向け石炭輸入・上場企業)のドル建て債が2件目のデフォルト

ゴールドマン・サックスが、2006年から投資していた4大商業銀行のひとつ、中国工商銀行(ICBC)の全株を売却したのが2013年5月下旬。上海の銀行間市場でオーバーナイト(翌日物)のレポ金利が一時30.00%の超高値となったのが2013年6月下旬。そして、噂された流動性危機を収拾したのが2013年7月のこと。

これ以降も中共は、毎四半期と旧正月の流動性逼迫に見舞われることになった。

次にデフォルトのラッシュが危惧されるのは6月末にかけてと思われる。

中国で新たなデフォルト、永暉実業がドル建て債利払い不履行 2015/05/09 01:46 JST ブルームバーグ

UPDATE 1-中国国有企業が初のデフォルト 天威保変、利払い不能に 2015年 04月 21日 22:30 JST ロイター

UPDATE 1-中国・佳兆業の債券価格が下落、ドル建て債デフォルトで 2015年 04月 21日 14:59 JST ロイター

中国のインターネット企業デフォルト、上場会社で2例目 2015年 04月 8日 00:27 JST ロイター

中国佳兆業を「デフォルト」に格下げ、利払い不能で-S&P 2015/03/25 02:17 JST ブルームバーグ

中国不動産の佳兆業集団、融資返済できず さらなるデフォルトも 2015年 01月 2日 14:55 JST ロイター

中国不動産開発会社が負債576億円抱えて破綻-関係者 2014/03/18 00:32 JST ブルームバーグ

中国の上海超日、本土社債で初のデフォルト状態-利払い不能 2014/03/07 17:44 JST ブルームバーグ

中国の「影の銀行」セクターでデフォルト、吉林省信託組成の投資商品で=報道 2014年 02月 12日 17:19 JST ロイター

オバマ政権に対する湾岸諸国の失望

2015年5月6日のエントリーで触れたように、サウジアラビアのサルマン国王は、異母弟の皇太子を退位(事実上の廃太子)させて、同母弟の甥を副皇太子から皇太子に、自らの息子を副皇太子とした。また、外相を40年の長きに渡り務めてきたSaud al-Faisalから、駐米サウジアラビア大使Adel al-Jubeirへと交替させた。

王家と内閣をスデイリ閥で固めるとともに、王国の内外政策の保守化を推し進めている。その表れのひとつとして米国との関係見直しが挙げられる。二国間会談に国王は訪米せず、皇太子と副皇太子を向かわせた。

Saudi Arabia Says King Won’t Attend Meetings in U.S. By HELENE COOPERMAY 10, 2015 New York Times

皇太子は内相を務め、副皇太子は防衛相を務めている。外相も前駐米大使であり、外交の継続性の観点からは問題はないように思われるが、予定では国王自身が会談に臨むとされていた。米国のイランへのエンゲージメントに対する失望もしくは抗議の姿勢を示したものと思われる。

湾岸協力会議:サウジなど4首脳欠席 米政権に不信感 2015年05月12日 11時37分 毎日新聞

これに同調する形で、ほかの湾岸諸国の首脳(バーレーン、UAE、オマーン)も会談に代理を出席させる。UAEとオマーンについては健康問題と云えるが、サウジアラビアとバーレーンに関してはケリー国務長官と湾岸諸国の外相との会談を済ませた後に、欠席を告げられている。

弱体化したネタニヤフ政権に替わるものはなく

イスラエルでは第4期となるネタニヤフ政権が組閣された。連立に加わった政党はリクード、ユダヤの家、クラヌ(「みんな全員」の意)、シャス、ユダヤ・トーラー連合の5党でギリギリで過半数61議席を確保した。2度の政権で連立を組んでいたイスラエル我が家が土壇場で連立離脱したからだ。そのため、前回の第3期政権では宗教右派の政党を兵役忌避の問題から排除したが、今回はセファルディ系とアシュケナジ系両方の宗教政党を抱えることになった。性格として保守色と宗教色を強めた一方で、政権基盤の弱さは否めない。

ここ3度のイスラエルの総選挙の傾向は、いずれも中道右派が保守に近づき、極右政党の票を取り込む一方で、中道左派の労働党は伸び悩み、リベラルはアラブ系が統一会派を組んでも現状維持が精一杯となっている。また、選挙ごとに新しい中道政党が誕生しているが、宗教色の薄い貧困に苦しむ新移民を取り込んでいる、とは必ずしも断言できない。

イスラエルの総選挙と英国の総選挙ともにマスコミの事前予測と異なり、中道右派もしくは保守が勝利した。中道左派やリベラルが現状の問題に対して処方箋を提示出来ていない。たとえ第4期ネタニヤフ政権が短期に終わっても、労働党が政権を担えるとは思えない。少なくとも労働党もまた短期政権に終わる可能性が高いだろう。

イスラエル2015年総選挙結果(定数120・過半数61)
リクード(世俗右派) 30
シオニズム連合(中道左派、労働党とハトヌアの統一会派) 24
ジョイント・リスト(アラブ系、統一アラブ・リストとハダシュとバラドとタールの会派) 13
イェシュ・アティッド(中道) 11
みんな全員(中道) 10
ユダヤの家(極右) 8
シャス(宗教右派・セファルディ系) 7
イスラエル我が家(極右) 6
ユダヤ・トーラー連合(宗教右派・アシュケナジ系) 6
メレツ(左派) 5

イスラエル2013年総選挙結果(定数120・過半数61)
リクード/イスラエル我が家(世俗右派/極右) 31
イェシュ・アティッド(中道) 19
労働党(中道左派) 15
ユダヤの家(極右) 12
シャス(宗教右派・セファルディ系) 11
ユダヤ・トーラー連合(宗教右派・アシュケナジ系) 7
ハトヌア(中道) 6
メレツ(左派) 6
統一アラブ・リスト(イスラム原理主義) 4
ハダシュ(極左) 4
バラド(アラブ民族主義) 3
カディマ(中道) 2

イスラエル2009年総選挙結果(定数120・過半数61)
カディマ(中道) 28
リクード(世俗右派) 27
イスラエル我が家(極右) 15
労働党(中道左派) 13
シャス(宗教右派・セファルディ系) 11
ユダヤ・トーラー連合(宗教右派・アシュケナジ系) 5
統一アラブ・リスト(イスラム原理主義) 4
国民同盟(右翼) 4
ハダシュ(極左) 4
新運動-メレツ(左派) 3
ユダヤの家(極右) 3
バラド(アラブ民族主義) 3

エチオピア系住民が抗議 イスラエル治安当局と衝突 2015.5.4 08:36 産経ニュース

[FT]短命見込まれるイスラエル新内閣(社説) 2015/5/8 15:15 日経

イスラエル首相、右派連立政権を発足―政権基盤は弱体化 2015年5月7日 09:24JST WSJ日本版

【テルアビブ】イスラエルのネタニヤフ首相率いるリクードは6日、ヨルダン川西岸への入植拡張を唱(とな)える「ユダヤの家」などと連立政権を発足させることで合意した。リクードが3月17日の総選挙で圧勝した後、ネタニヤフ氏が数週間にわたって続けてきた連立交渉に終止符が打たれ、4期連続でリクード主導の内閣が形成される。

 ネタニヤフ氏は、政権基盤の強化を狙って議会を解散して総選挙を実施し、圧勝した。しかし、連立交渉が難航し、政権基盤が不安定化する結果となった。

 新政権は国会の定数120のうち61を占めるにとどまり、議席数では過半数ぎりぎりとなった。政治アナリストらは、外部勢力が倒閣を図るのは難しいものの、新内閣は連立内部からの圧力には弱く、危機にさらされる可能性があるとみている。バルイラン大学のサム・リーマン・ウィルジグ教授(政治学)は「新内閣は前内閣よりも機能不全に陥る可能性が大きそうだ」と話す。

 ネタニヤフ首相の前途多難ぶりは早くも露呈されている。極右政党「わが家イスラエル」を率いるリーベルマン外相は4日、ネタニヤフ氏は入植拡大にほとんど取り組んでおらず、パレスチナ自治区ガザのイスラム原理主義組織ハマスと戦おうとしていないと非難して辞任した。

 新政権は、1996年に始まったネタニヤフ政権としては最も右派色が強い。国際社会からは新たな入植をやめ、パレスチナとの和平交渉を加速させるよう圧力が加わる可能性が大きいが、新政権は反対方向を志向している。例えば、ユダヤの家は、米国の入植拡大反対の姿勢について差別的であると非難し、ヨルダン側西岸の多くをイスラエルに併合するよう求めている。

 ネタニヤフ首相の下で閣僚ポストをいくつか経験したダン・メリドル氏は「国際社会がネタニヤフ氏に要求している政策と、連立を組んでいるリクードなど諸政党の主張との間には共通点がない」と指摘し、「緊張が爆発する恐れがある」と述べた。

日米比同盟と南沙諸島

中共は南沙諸島のスカボロ―礁、ミスチーフ礁、ガベン礁、クアテロン礁、スービ礁で実効支配を続け、複数の岩礁では埋立拡張を進めている。これに対抗して我が国はフィリピンとの共同訓練を実施することになった。

2015年1月末に交わされた日本ーフィリピンの防衛協力に関する覚書に基づくものだ。先立って海上幕僚長がフィリピンの国防次官軍参謀次長と会談し、パラワン島を訪問している。これらのフィリピンとの防衛協力は2011年9月の戦略的パートナーシップの包括的推進に関する共同声明から急速に進展した。

日米豪印の同盟が強調されているが、当面は日本~米国~フィリピンの防衛協力強化が先決される。

米国とフィリピンは日中中間線における我が国の主張を認めており、フィリピンと我が国はEEZで利害対立がない。また日本からフィリピンの海域を防衛できれば、ベトナムまでシーレーンを確保できる。中共がフィリピン海域の公海に直接出るための基地を建設確保することを阻害しなければならない以上、日米比の同盟が促進されるのは言うまでもない。

日本政府5月中にも参加決定、豪潜水艦の選定手続き 2015年 05月 6日 23:47 JST ロイター

「グレーゾーン事態」の自衛隊出動迅速化、14日閣議決定へ=関係者 2015年 05月 8日 18:39 JST ロイター

自衛隊とフィリピン海軍、12日に南シナ海で共同訓練 2015年 05月 8日 19:54 JST ロイター

[東京/マニラ 8日 ロイター] - 中国が領有権を主張する南シナ海の海域近くで、海上自衛隊とフィリピン海軍が12日に共同訓練を計画していることが明らかになった。

フィリピン海軍によると、計画しているのは他国艦船との予期せぬ衝突を防ぐ「海上衝突回避規範(CUES)」と呼ばれる訓練。両国から1隻ずつが参加し、スービック湾沖で2時間程度実施する。

フィリピン領海内ながら、「スカボロ―礁から遠くない」と同国の政府関係者は話す。

スカボロ―礁はフィリピンと中国が領有権を争っている。中国は浅瀬を埋め立てて軍事拠点とみられる施設を建設し、実効支配を強めようとしている。一方のフィリピンは埋め立ての衛星写真を公開するなどし、中国への非難を強めている。

中国が南シナ海や東シナ海での動きを活発化させる中、日本とフィリピンは安全保障面での協力を強めている。今年1月には防衛協力の覚書を締結し、共同訓練を本格化することなどで合意していた。


ベトナムも南シナ海で埋め立て 中国の活動本格化前に 米シンクタンクが写真公表 2015.5.8 23:27 産経ニュース

中国、南シナ海埋め立て4倍の8平方キロに 米国防総省 4カ月で東京ドーム170個分 2015.5.9 08:54 産経ニュース

【ワシントン=青木伸行】米国防総省は8日、中国による南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島での岩礁埋め立て面積が、同日現在で約8平方キロにのぼり、昨年12月末時点から4カ月余りで4倍に拡大していることを明らかにした。

 国防総省は8日、中国の軍事動向に関する年次報告書を発表。中国は昨年、スプラトリー諸島の「前哨基地5カ所」で大規模な埋め立てを行い、昨年末時点における埋め立て面積を約2平方キロだと指摘した。

 これを補足する形で国防総省当局者は、現時点で約8平方キロに達していると表明した。これは東京ドーム約170個分に相当する。

 報告書は岩礁名に言及していないが「4カ所では、埋め立て作業から基盤施設の整備に移っている」とし、通信・偵察施設、港湾、滑走路、後方支援施設を建設しているとした。

来たる英国のスウェーデン化

英国の総選挙は保守党と労働党どちらも過半数を獲得できないと見られていたが、選挙前の世論調査に反して、保守党が単独過半数を確保した。両党の得票率では保守党は37%、労働党31%で二大政党制は維持された。

移民政策の不満を訴え、注目された英国独立党はスコットランド以外では得票率を上げたものの小選挙区制のため1議席に留まった。それでもイングランド、ウェールズではいずれも英国独立党の得票率は上がっている点には注目したい。

二大政党では、まず保守党はEU離脱の国民投票によって確実に中道右派を取り込んだ。労働党は中道左派以外にも、自由民主党から離反したリベラル層を確保した。連立政権にあった自由民主党は支持を全般的に失い、壊滅的打撃を受けた。

脱工業化、脱労組化、消費者主義化の欧州経済のなか、中道左派が退潮している現状で労働党は踏みとどまったと言えるが、自由民主党の自滅の影響は次回選挙まで続くかは分からない。

独立に関する国民投票のあったスコットランドだけは別次元の結果となり、自由民主党と労働党の地盤をほぼすべてスコットランド国民党が奪い、スコットランド議席配分数59のうち56議席まで確保した。

2015年5月1日のエントリーでも述べたように、

選挙戦の対立軸は、北欧型の福祉国家を志向するスコットランドと欧州大陸からの独立性を保とうとするイングランドの確執へと移行している。英国の内政の最優先課題は連合王国の分裂を防ぐという最低限の線であって、世界秩序への貢献と構築どころではない。

この課題を克服できないとスコットランド抜きの英国(イングランドとウェールズ、北アイルランドの連合王国)は将来、スウェーデンのような重武装中立主義の国家となり、スコットランドはスウェーデンから分離独立していったノルウェーやフィンランドのような高福祉国家になるだろう。

英国2015年総選挙結果(総数:650、過半数:326)
保守党(Conservative) 331
労働党(Labour) 232
スコットランド国民党(Scottish National Party) 56
自由民主党(Liberal Democrat) 8
民主統一党(Democratic Unionist Party) 8
シン・フェイン党(Sinn Fein) 4
プライド・カムリ(Plaid Cymru) 3
社会民主労働党(Social Democratic & Labour Party) 3
アルスター・ユニオスト党(Ulster Unionist Party) 2
英国独立党(United Kingdom Independence Party) 1
緑の党(Green) 1
諸派(Other) 1

キャメロン英首相が組閣、オズボーン財務相ら主要閣僚再任 2015年 05月 9日 03:40 JST ロイター

英国のEU改革案を精査、市民の移動など交渉不可=欧州委員長 2015年 05月 9日 01:37 JST ロイター

英総選挙、保守党が実質過半数獲得 スコットランド民族党も躍進 2015年 05月 8日 20:06 JST ロイター

[ロンドン 8日 ロイター] - 英国で7日に行われた下院総選挙(定数650)では、キャメロン首相率いる与党保守党が予想外に票を伸ばし、実質的に単独過半数を獲得した。一方でスコットランド民族党(SNP)も大幅に躍進した。

640議席が確定した時点で、保守党の獲得議席は325議席、労働党は228議席。最大野党の労働党は、影の財務相だったボウルズ氏が落選するなど議席を伸ばすことができず、ミリバンド党首は辞任を表明した。

キャメロン保守党党首は、8日にエリザベス女王と会い、組閣に着手する。

保守党が単独過半数を獲得したことで、2010年以来連立を組んでいた自由民主党と組む必要がなくなる。自民党も大幅に議席を減らし、クレッグ党首は党首辞任を表明した。

かつて労働党の牙城だったスコットランドでは、SNPが59議席中すでに56議席を獲得、スコットランド独立をめぐる住民投票を求める機運が再び高まる可能性がある。

保守党の勝利により、欧州連合(EU)加盟継続の是非を問う国民投票が2年以内に実施される可能性が高まった。

オズボーン英財務相はBBCラジオのインタビューで「われわれは今回の総選挙におけるスコットランドの結果を尊重し、スコットランドの人々が力強い英国の一部であると感じられるために何ができるのか考える必要がある」と述べた。

反EUを掲げる英国独立党(UKIP)のファラージュ党首は落選し、辞任を表明した。UKIPは2014年5月の欧州議会選挙で英国の第1党となったが、この1年間に人気は低下。今回獲得したのはわずか1議席だった。


コラム:英国の「分裂マグマ」、総選挙で増大=田中理氏 2015年 05月 8日 21:28 JST ロイター

田中理 第一生命経済研究所 主席エコノミスト

[東京 8日] - 近年まれに見る大接戦が予想された7日の英国下院総選挙(定数650議席)は、政権与党の保守党が事前予想を大きく上回る325議席超を獲得して大勝した。

投票に参加しない議長と北アイルランドのシン・フェイン党の4議員を除けば323議席が実質過半数となる。保守党は現政権で連立を組む自由民主党や北アイルランドの地域政党である民主統一党(DUP)の協力を得ずに、単独で政権を発足する可能性が高まった。

政権奪還を狙った野党・労働党は、大票田としてきたスコットランド選出議席を根こそぎスコットランド民族党(SNP)に奪われたほか、接戦の選挙区を落とし、230議席程度と伸び悩んだ。移民増加への不満票を取り込み、昨秋の補欠選挙で議席を獲得した英国独立党(UKIP)は、選挙戦終盤での失速が響き、大政党に有利な選挙制度にも阻まれ、数議席を獲得するにとどまった。自由民主党は保守党との連立入りで政策面での独自色を発揮できず、改選前の57議席から8議席程度に大幅に議席を失った。

他方、昨秋のスコットランドの英国からの独立投票後に一段と支持を伸ばし、今回の選挙戦で台風の目となったのがSNPだ。スコットランド選出59議席のうち56議席程度を獲得し、改選前から大幅に議席を上積みした。

下馬評では、保守党が第1党の座を死守するものの、政権発足に必要な議席を確保できず、第2党の労働党がSNPなどの協力を得て政権発足にこぎ着けるとの見方が多かった。また、保守党・労働党のどちらが勝利した場合も、安定過半数の確保が難しく、連立協議の難航が予想され、政権発足までに時間がかかることや、近い将来に再選挙が必要になる恐れがあることも指摘されていた。

予想外の選挙結果をもたらした背景には、労働党とSNPによる連立政権誕生への英国民の不安があったのだろう。保守党が単独政権を発足する可能性が高まったことを受け、金融市場では安心感が広がっている。1)選挙後の政権運営が不安定化することへの警戒姿勢が和らいだこと、2)保守党は労働党に比べてビジネス・フレンドリーな政策を志向する傾向があることに鑑みれば、株高・債券高・ポンド高の初期反応もうなずけよう。

ただ、保守党党首のキャメロン首相は2013年1月の演説で、次期総選挙で保守党が勝利した場合、欧州連合(EU)との関係見直し協議を行ったうえで、2017年末までに英国のEUからの離脱の是非を問う国民投票を実施することを約束している。恐らく金融市場では、離脱投票が予定される2017年までは相当な時間があり、相場に織り込むには不確定要素が大きすぎると受け止められたのだろう。

だが、投票に反対する自由民主党と連立を組む可能性が遠のいたことで、投票実施はほぼ確定的となった。保守党内の強硬な離脱論者が近年勢いを増しており、投票が2016年に前倒しされる可能性も出てきた。

また、保守党による単独政権となれば、自由民主党との連立政権に比べて、財政健全化を重視する傾向が高まる。緊縮的な財政運営により、イングランド銀行(英中央銀行)は利上げを急ぐ必要がなくなり、利上げ時期が後ズレする可能性も出てきた。ポンド高の初期反応は今後修正される展開も想定されよう。

<EU離脱投票とスコットランド独立のリスク>

もちろん、国民投票が実施されても、英国のEU離脱はさすがにないだろうとの漠然とした安心感が漂っており、今のところ金融市場参加者の間で、この問題に対する危機意識は高まっていない。世論調査によれば、キャメロン首相が投票実施を打ち出した2013年頃は離脱派が残留派を一貫して上回っていたが、その後は両者が拮抗(きっこう)し、最近では残留派が優勢との調査結果が増えている。

ただ、昨年9月のスコットランドの英国からの独立投票では、投票日が近づくにつれて独立賛成派が勢いを増し、金融市場に動揺が広がったことは記憶に新しい。また、ギリシャ不安が再燃するたびに、同国のユーロ離脱懸念が蒸し返されている。いざ投票が近づけば、英国やEUの将来をめぐる不透明感が増し、金融市場は身構えざるを得ない。

EU諸国の間では近年、英国の「いいとこどり」への不満も広がっており、EUとの関係見直し協議が英国の望み通りに進まない可能性もある。その場合、英国民の間でEUへの不満が一段と広がり、離脱派が再び勢いを増すリスクも無視できない。

SNPの勢力拡大による波紋にも注意が必要となる。保守党政権が誕生する可能性が高まったことで、SNPが労働党政権への協力と引き換えに、スコットランドへのさらなる権限移譲や独立投票の再実施を求める可能性は遠のいた。だが、SNPは他の地域政党とも連携強化を模索しており、今後、国政での影響力を増すことは確実だ。

保守党政権がEU離脱投票を推し進める際には、親EU色の強いスコットランドは英国から独立したうえで、EUに加盟することを目指す可能性が高い。結局、SNPの躍進によりスコットランドへのさらなる権限移譲や、それに付随した地方分権議論が沸き起こることが予想される。

英国はイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの自治州政府によって構成されている。1990年代に北アイルランド議会、ウェールズ議会、そして約300年ぶりにスコットランド議会が復活し、地域主権に関わる立法権限が英国議会から移管されたのに対し、イングランド議会は今も存在していない。そのため、英国議会でイングランド固有の政策を審議する際に、スコットランド選出議員の投票権を制限すべきとの声が再燃することも予想される。

また、スコットランドは、イングランド、ウェールズ、北アイルランドと比べて手厚い財政移転を受けている。権限移譲と引き換えに、こうした傾斜配分の見直しを求める声も今後さらに強まるかもしれない。

総選挙の結果を受け、現政権の継続が決まったことで金融市場ではひとまず安心感が広がっているが、英国ではEUからの離脱を求める遠心力と「内なる分裂」のマグマが静かに、だが着実に蓄積している。

核開発オプションを捨てられないサウジアラビア

現在のイエメン内戦の原因は大きく3つの対立にあった。

もともとふたつに分かれていたイエメンが統一されて以来、伏在してきた南のスンニ派と北のシーア派(の分派であるザイド派)の対立。その対立の最大要因となっている原油利権の分配を巡る対立。その分配を決定する大統領の座を巡ってザイド派の多数派と少数派、それぞれの部族の対立。

これらが“アラブの春”を契機に噴出した。

サウジ主導の連合軍、対フーシ派作戦強化を表明 停戦提案直後に 2015年 05月 8日 17:48 JST ロイター

訂正:イエメン内戦で市民120人超死亡、燃料不足で救助活動にも支障 2015年 05月 7日 17:09 JST ロイター

イラン、貨物船「マースク・チグリス」と乗組員を解放=国内メディア 2015年 05月 7日 18:09 JST ロイター

Saudi Arabia Considers Nuclear Weapons to Offset Iran May 7, 2015 7:50 a.m. ET The Wall Street Journal

紛争避難民は3800万人 2015年 05月 6日 18:16 JST ロイター

ところが行き詰まった内戦はスンニ派とシーア派の宗派対立を介入の口実として、地域大国間の争いに様相を変えてしまいつつある。宗派対立に分断されるイエメン、そしてシリアとイラクは急速にソマリアやアフガニスタン同様に失敗国家へと転落していく。

スンニ派の盟主的立場にあるサウジアラビアはシーア派との対抗上、原理主義者を包摂して協力を得ようと保守化しつつあり、人権問題に関して欧米からの要求に応じる余地は少なくなっていく。すると、シーア派の盟主的立場にあるイランは相対的にリベラルに見える可能性がある。特に米国にとってはまだマシな選択肢として、地域の安定をもたらす国家としてのイランの存在が浮上する。

米国が核合意でイランへのエンゲージメントを果たそうとすると、サウジアラビアは独自の核開発を進めるか、核保有国と核をシェアするか、どちらかに迫られる。

核をシェアする場合、想定可能な順に並べると米国、パキスタン、イスラエルの名前が挙げられる。

サウジアラビアにとって、現状ではイスラエルとの利害は一致しているが継続するとは限らない。スンニ派の外縁部に当たるパキスタンはイランに切り崩される可能性があるし、パキスタンの膨大な人口と失業不安を抑える資本と技術を提供できない。さらに米国とは国益が一致しなくなっており、価値観はもとより一致しない。

これらの理由からサウジアラビアは独自の核開発オプションを捨てることはありえない。

ボルチモアが奏でる「Inner City Blues」

ミズーリ州ファーガソンに次いで、警官が拘禁時に黒人を死なせたのが原因となってメリーランド州ボルチモアでも黒人暴動が起きた。

ボルチモアが、ファーガソンと異なる点は市長も警察署長も黒人であり、リベラルの民主党市政が50年続いてきたことだ。民主党の施政が続く街を党のカラーにちなんで“ブルー・シティ”と呼ぶ。

この“ブルー・シティ”に対して、共和党支持者や保守派の言論人は市政の失敗を痛烈に批判してきた。しかし保守的なボルチモア市民が批判しても改善が見られなければ、批判の矛先をリベラルと黒人の能力への疑問に向けて急進化するか、批判を諦めて米国の高い社会の流動性に従って土地を離れるしかない。

(言論と宗教の自由は畢竟、悪魔を信仰する自由にも関わらず)人種差別は大手を振って主義主張することがタブー視されている社会において採りうる選択肢は年収による棲み分けである。

中間層は新しい郊外に逃げ出し、富裕層はゲーテッド・コミュニティを形成し、一見すると年収による棲み分けだが、実際には人種の棲み分けが進む。

ボルチモアは1950年~1985年の間、21回も固定資産税を上げ続けた。まさに、これにより中間層と富裕層は逃げ出した。同市は、ゲーテッド・コミュニティとはまったく逆に、進歩主義者にとっての理想郷、もしくは保守主義者ならばゲットーと揶揄する都市になってしまった。有権者で比較すると、民主党と共和党の比率は8:1である。

こうした民主党の政策失敗は暗黙のうちにゲーテッド・コミュニティの形成、つまり人種隔離を促進させる。国民の和解形成とは程遠く、民主党と共和党両党にとっては安直な支持者の固定化が果たされる。

たしかに異なる人種、異なる階層、異なる宗派間の接触がなくなれば社会的な摩擦も起きない。必然、それを解決しようという社会的なダイナミズムも起きなくなる。ある意味で英国型の階級社会を米国は模倣する。

下記のWSJの記事などがボルチモアと民主党の失敗について書いているが、ボルティモアの1960年の人口は94万人で合衆国6番目の規模を誇っていた。しかし、現在までにその人口の3分の1が流出して、今日では全米トップ25にも数えられない、と始まり、その失敗は高い犯罪率、低い経済成長率と水準の低い公立学校に集約される、と述べている。

ニューヨークのジュリアーニ市政に代表される治安の改善努力はまったく参考にされず、10万人以上の都市では全米で5番目に高い殺人発生率を記録する。そして殺人事件の75%は麻薬関連である。ところが麻薬こそアンダーグランドで就業機会を提供する“犯罪産業”の要なのだ。一方で刑務所に送られる犯罪者は低廉な労働者になる。労働力の奪い合いという利害の衝突から警察との軋轢は、何らかの形で警察と癒着しない限り、一向に解消されない。

本来の就業機会を考えると、合衆国の中でも先鞭をつけたウォーターフロント開発で脚光を浴びたものの、連邦政府と州政府の補助金に依存したモデルのため、縁故主義と官民癒着が横行して、イノベーティブな民間業者の資本投下は進まず、失業率は改善されなかった。メリーランド州の失業率5.4%に対して、ボルチモアは8.4%に高止まりしている。

1960年代から1970年代に勃興したブラックパワー・イデオロギーは、アファーマティブ・アクションの影響もあり、個人のイニシアティブによって、黒人のコミュニティから離脱することに重きが置かれた結果、ボルチモアの新生児の3分の2は未婚の両親から生まれ、シングル・マザーが生活しやすくなる一方、片親の家庭を再生産することを助長した。

また、公立学校は教職組合の運営に任されている。当然ながら、教職員の利害と教育水準の向上は必ずしも一致せず、教育機会と就業機会と結婚による階層移転の機会全般がボルチモアから消失している。

Baltimore's Poor Not Helped by Liberal Policies By Rich Lowry - May 2, 2015 The Real Politics

Progressives Miss the Point of Baltimore 05.01.15 5:15 AM ET The Daily Beast

The Blue-City Model April 28, 2015 7:27p.m. ET WSJ

米ボルティモア暴動、州兵を投入―235人逮捕 2015年4月29日 10:43JST WSJ日本版

米ボルティモア暴動 若者がSNSで呼びかけ、瞬く間に拡大 2015.4.30 08:07 産経ニュース

ボルティモアの黒人男性死亡、警察が事件調査書を提出 2015.5.1 11:43 産経ニュース

警官の暴力行為を記録・報告できるアプリ、米NGOが提供 2015年05月01日 14:48 AFP BBNEWS

どこに住んでいる? 米国の人種差別主義者たち 2015年4月30日 18:46JST WSJ日本版

 少なくとも、科学雑誌「PLOS One」(プロスワン)で最近発表された調査を引用したワシントン・ポスト紙の28日付の記事によると、米国の人種差別主義者たちは南部ジョージア州からニューヨーク州を経由して、北はバーモント州に至るアパラチア山脈沿いに集まっているようだ。

 それにしても、「人種差別」という抽象的な概念をどうやって測るのか? そこではテクノロジーが役に立つ。この場合はグーグル検索だ。人種差別主義者たちがどこに住んでいるかを決定するために、この調査では、人々がインターネット上で人種差別的な言葉をどのくらい頻繁に検索するかに関するデータを使用した。

 プロスワンに発表された調査では、「各地域の人種差別の度合いは全米の196の調査地域区分で『Nワード』(黒人を指す蔑視語)を含むグーグル検索の割合で示されている」。ワシントン・ポスト紙によると、この手法は意外に効果的だ。というのも、人々はネットで検索するときには、通常の社会的タブーに束縛されることなく、また、軽蔑を意図しないような場合には軽蔑的言葉の使用を避けようと試みるというのが理由だ。

 米国での人種差別傾向を地図上で示すほかに、この調査で注目されるのは、人種差別的な検索の数と黒人の死亡率の相関関係が示されていることだ。この調査によると、「地域の人種差別傾向の標準偏差が1レベル上がるごとに、その調査地域区分の黒人の死亡率(全ての原因を含む)が8.2%(年間3万件以上の死亡件数に相当)上昇した」。

 もちろん、「Nワード」を検索する人すべてが偏見を抱いているわけではない。また、この調査では、ヒスパニック系やアジア系に対する人種差別については識見が示されていない。ヒスパニック系やアジア系は米国での人種に関する議論で置き去りにされ、問題にされないことが多い。

 もしこの地図から何かポジティブなことが読み取れるとすれば、思ったよりも人種差別的傾向は限定され、集中しているかもしれないということだ。

原文(英語):Where do racists in America live?

スデイリ閥と保守化するサウジアラビア

サウジアラビアのサルマン国王は、異母弟の皇太子を退位(事実上の廃太子)させて、同母弟の甥を副皇太子から皇太子に、自らの息子を副皇太子とした。

初代国王イブン・サウードが最も寵愛したスデイリ家出身のハッサ妃との間に生まれた7人の男子スデイリ・セブンの系列で王位継承権順位の1位、2位を固めた。イブン・サウード王の息子たちに当たる第2世代が高齢化するなか、孫の第3世代はスデイリ閥が継承する意向を示したことになる。

外交では、人事面でサウジアラビアの外相を40年の長きに渡り務めてきたSaud al-Faisalから、駐米サウジアラビア大使Adel al-Jubeirへと交替させた。イエメン内戦への軍事介入を独自に進めているが、米国との関係を完全に排除する姿勢は見られない。

一方、内政では女性の教育副大臣を解任し、ワッハーブ派の戒律を守る「美徳推進・悪徳防止委員会」の責任者を交替させた。こうしたリベラルから保守への政策変更は、スデイリ閥の王位継承の明確化と並ぶサウジアラビアの大きな転換点となる。

Saudi king recasts line of succession to elevate counterterrorism czar, defense minister son April 29, 2015 | 12:59 p.m. EDT Associated Press

サウジアラビア、新国王が国内体制を大きく変革 2015年 4月30日 13:44 JST WSJ日本版

 【リヤド】新国王の就任からわずか3カ月のサウジアラビアに大きな変化がもう表れ始めた。

 アブドラ前国王が死去し、サルマン現国王(79)が後継者として即位したのは1月23日。しかし、サルマン国王は数日のうちに権力構造を変革し、多くの日常実務を子息のモハメド・ビン・サルマン王子(29)と甥のモハメド・ビン・ナーイエフ王子(55)に委譲した。

 29日の王位継承順位の変更で確認されたように、この現国王体制の指導の下、隣国イエメンでイランと連携するシーア派武装組織への軍事作戦を展開するなど、外交上で米国政府からの独立色を強めている。

 ただ、世界の関心はサウジのこうした外交政策の転換に向いているものの、国内のあまり気付かれていない変化も劣らず重要だ。

 イエメンへの軍事作戦に先立ち、国内の支持拡大のため、サルマン国王は前国王が始めたイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」への弾圧キャンペーンを停止した。また、サウジの宗教的保守派への融和策にも動いた。保守派は、男女共学の大学創設や他の宗教上の戒律の緩和など、前国王の始めた試験的現代化政策を表立って批判するようになっていた。

 外交官や大学教授を経て同国の政治アナリストとなったアブダラ・アル・シャマリ氏は「アブドラ国王の下で起きていたことは本当の改革ではなく、偽りのリベラリズムだった」と述べた。

 シャマリ氏は、サウジのイスラム保守ブランドが同王国の結束を保つ要であり、新国王体制はその要を緩めようとした場合の危険性を賢明に認識していると言う。

 「サウジアラビアはイスラムの中心であり、リベラルになるという選択はわれわれにはない。そうなろうとした瞬間に国家は倒れる」と同氏は指摘した。

 1月の即位から数日のうちにサルマン国王は「美徳推進・悪徳防止委員会」の責任者を交代させた。更迭された前任者はアブドラ前国王の指示で、恐れられていた宗教警察の無力化を画策していると長く批判されていた人物だった。

 同委員会の執行担当者らはそれ以来取り締まりを強化し、何年も実施していなかったショッピングモールでのパトロールを再開し、外国人が使用する海岸の施設の摘発も行った。

 29日の行政命令はまた、同国政府内で最も高位の女性(教育副大臣)も解任した。2009年にこの女性が副大臣に任命された際は、西側諸国は女性の人権前進の象徴として称賛していた。

 サウジアラビアは依然、世界で最も抑圧された社会を抱える国の一つと言える。ただ、その一方で新国王政権は、旅行禁止を緩和ないし撤回するなど、反イスラム主義者らに対して融和的な措置も取っている。これらの措置は、基本政策というより姿勢の変化かも知れないが、現段階までは効果を上げている。

 リヤドの政治活動家兼イスラム主義者弁護士のアブデラジズ・アル・ガシム氏は「サルマン国王は保守派を笑顔でコントロールしているが、アブドラ前国王は保守派を怒りで管理していた」と述べた。

 昔から安定と継続性が社会の公式なモットーだった同国で、これらの変化は政府関係者の発言などではほとんど認められていない。しかしイエメンへの軍事作戦とともに、すでに新国王の人気を高めている。それは長らく国王体制を批判してきた人々の間でさえ同じだ。

 これまで過去6回、最近では13年に収監されたイスラム弁護士で活動家のモーセン・アル・アワジ氏は、サルマン国王の保守派への接触努力を「大変ポジティブな兆候」と評価した。

 アワジ氏は「アブドラ前国王の時代には、内政でも外交でも国民の意志に反する多くの決定が下された。同国王は保守派との大変深刻な対立を生んだ」と指摘、「しかし、サルマン国王は常識を備えた人だ」と述べた。

 こうした変革の一環として、サルマン国王は二つの評議会を新設して政策遂行の状況を管理している。一つはサルマン王子がトップの経済問題を監視する評議会で、もう一つはナーイエフ王子が率いる安全保障問題を監督する評議会だ。

 新たな政府構造は、かつては独立した組織として運営されていた省庁を2人の王子が直接管理する形式を取った。そしてポピュリスト的な側面も入れて、実績を上げない大臣は何の儀礼もなく更迭されるようになった。

 これらの変革は、サウジアラビアの反政府主義者らが長年要求してきた参加型政府の要求を満たすにはまだずいぶん足りないものだ。以前は政治犯だったアワジ氏は、そうした要求が「新体制に向けられることになる」が、それはイエメンとの軍事対立が終わってからになる、と語った。

ついに今“戦後レジームからの脱却”は果たされた

改定された日米新ガイドラインや我が国の常任理事国入りを支持する日米共同ビジョン声明など日米首脳会談の注目点は多々あれど、その白眉は上下両院合同の議会演説だった。この議場で、安倍首相は同じ文言は使わなかったが事実上、“戦後レジームからの脱却”を宣言した。

米国の民間情報機関STRATFOR(ストラトフォー)もまた、これらの施策を実行するには、第2次大戦後の日本の秩序のa fundamental breakが必要と論じており、米国側からも“戦後レジームからの脱却”は追認されたと考えて差し支えないだろう。

さて、2013年6月3日のエントリーで、

我が国の方法論としては、現代の東アジアと太平洋の国際秩序を形成する根幹、サンフランシスコ講和条約を否定する中共のレバレッジを借りて、戦後レジームから脱却するべきだろう。我が国はあくまでも講和条約に沿って行動しつつも、一方で彼らを煽り立て、国際秩序を再構築する。

と、述べたように果たせるかな、米国の“ピボット”もしくは“リバランス”と中共の“海のシルクロード”を利用して、言い方を換えればワシントンの賛意と北京の敵意を受けて、“戦後レジームからの脱却”は成就した。控えめには脱却の第一歩かもしれないが、第1次安倍政権からの念願が叶ったことは実に慶賀に堪えぬ。

もちろんその代価は高い。歴史の針は1939年と相似しており「欧州情勢奇々怪々」が再現されつつある。米国VS支那VSロシアVS欧州VS英国の構図に敢然として我が国は米国に付いた。この同盟は勝ち馬にしなければならない。

U.S.-Japan: A Pacific Alliance Transformed May 04, 2015 The Diplomat

Prelude to a Japanese Revival April 29, 2015 Real Clear World / Stratfor

【復活する日本の前奏曲】

(一部抜粋)
Stratfor has long argued that the post-Cold War status quo of relative introversion and economic stagnation in Japan was unsustainable. We believed that internal and external pressures ultimately would compel Japan to play a far more proactive role in regional and global affairs. And we said this process would likely entail a fundamental break with the social, political, economic and foreign policy order that has defined Japan since World War II.

ストラトフォーは、ポスト冷戦下の日本の国際関係における相対的な内向性と経済的停滞を現状として維持することは不可能である、と長らく論じてきた。我々は、内外の圧力が究極的には日本をして地域情勢及び国際情勢に積極的役割を果たすように強いるであろう、と信じてきた。そして我々には、このプロセスはおそらく第2次大戦以降の日本を定義してきた社会的、政治的、経済的、外交政策の秩序を基礎から破壊することが必要である、と述べました。


首相の米議会演説の全文 2015/4/30 1:33 日経

■はじめに

 議長、副大統領、上院議員、下院議員の皆様、ゲストと、すべての皆様、1957年6月、日本の首相としてこの演台に立った私の祖父、岸信介は、次のように述べて演説を始めました。

 「日本が、世界の自由主義国と提携しているのも、民主主義の原則と理想を確信しているからであります」。以来58年、このたびは上下両院合同会議に日本国首相として初めてお話する機会を与えられましたことを、光栄に存じます。お招きに、感謝申し上げます。

 申し上げたいことはたくさんあります。でも「フィリバスター」(長時間演説による議事妨害)をする意図、能力ともに、ありません。皆様を前にして胸中を去来しますのは、日本が大使としてお迎えした偉大な議会人のお名前です。

 マイク・マンスフィールド、ウォルター・モンデール、トム・フォーリー、そしてハワード・ベーカー。民主主義の輝くチャンピオンを大使として送って下さいましたことを、日本国民を代表して、感謝申し上げます。

 キャロライン・ケネディ大使も、米国民主主義の伝統を体現する方です。大使の活躍に、感謝申し上げます。私ども、残念に思いますのは、ダニエル・イノウエ上院議員がこの場においでにならないことです。日系アメリカ人の栄誉とその達成を、一身に象徴された方でした。

■アメリカと私

 私個人とアメリカとの出会いは、カリフォルニアで過ごした学生時代にさかのぼります。家に住まわせてくれたのは、キャサリン・デル・フランシア夫人。寡婦でした。亡くした夫のことを、いつもこう言いました、「ゲイリー・クーパーより男前だったのよ」と。心から信じていたようです。

 ギャラリーに、私の妻、昭恵がいます。彼女が日ごろ、私のことをどう言っているのかはあえて聞かないことにします。デル・フランシア夫人のイタリア料理は、世界一。彼女の明るさと親切は、たくさんの人をひきつけました。その人たちがなんと多様なこと。「アメリカは、すごい国だ」。驚いたものです。

 のち、鉄鋼メーカーに就職した私は、ニューヨーク勤務の機会を与えられました。

 上下関係にとらわれない実力主義。地位や長幼の差に関わりなく意見を戦わせ、正しい見方ならちゅうちょなく採用する。

 この文化に毒されたのか、やがて政治家になったら、先輩大物議員たちに、アベは生意気だと随分言われました。

■アメリカ民主主義と日本

 私の名字ですが、「エイブ」ではありません。アメリカの方に時たまそう呼ばれると、悪い気はしません。民主政治の基礎を、日本人は、近代化を始めてこのかた、ゲティズバーグ演説の有名な一節に求めてきたからです。

 農民大工の息子が大統領になれる――、そういう国があることは、19世紀後半の日本を、民主主義に開眼させました。日本にとって、アメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした。出会いは150年以上前にさかのぼり、年季を経ています。

■第2次大戦メモリアル

 先刻私は、第2次大戦メモリアルを訪れました。神殿を思わせる、静謐(せいひつ)な場所でした。耳朶(じだ)を打つのは、噴水の、水の砕ける音ばかり。一角にフリーダム・ウォールというものがあって、壁面には金色の、4000個を超す星が埋め込まれている。その星一つ、ひとつが、斃(たお)れた兵士100人分の命を表すと聞いたとき、私を戦慄が襲いました。

 金色(こんじき)の星は、自由を守った代償として、誇りのシンボルに違いありません。しかしそこには、さもなければ幸福な人生を送っただろうアメリカの若者の、痛み、悲しみが宿っている。家族への愛も。

 真珠湾、バターン・コレヒドール、珊瑚海……、メモリアルに刻まれた戦場の名が心をよぎり、私はアメリカの若者の、失われた夢、未来を思いました。歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。私は深い悔悟を胸に、しばしその場に立って、黙とうをささげました。

 親愛なる、友人の皆さん、日本国と、日本国民を代表し、先の戦争に斃れた米国の人々の魂に、深い一礼をささげます。とこしえの、哀悼をささげます。

■かつての敵、今日の友

 みなさま、いまギャラリーに、ローレンス・スノーデン海兵隊中将がお座りです。70年前の2月、23歳の海兵隊大尉として中隊を率い、硫黄島に上陸した方です。近年、中将は、硫黄島で開く日米合同の慰霊祭にしばしば参加してこられました。こう、おっしゃっています。

 「硫黄島には、勝利を祝うため行ったのではない、行っているのでもない。その厳かなる目的は、双方の戦死者を追悼し、栄誉をたたえることだ」

 もうおひとかた、中将の隣にいるのは、新藤義孝国会議員。かつて私の内閣で閣僚を務めた方ですが、この方のおじいさんこそ、勇猛がいまに伝わる栗林忠道大将・硫黄島守備隊司令官でした。これを歴史の奇跡と呼ばずして、何をそう呼ぶべきでしょう。

 熾烈(しれつ)に戦い合った敵は、心の紐帯(ちゅうたい)が結ぶ友になりました。スノーデン中将、和解の努力を尊く思います。ほんとうに、ありがとうございました。

■アメリカと戦後日本

 戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました。自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代首相と全く変わるものではありません。

 アジアの発展にどこまでも寄与し、地域の平和と、繁栄のため、力を惜しんではならない。自らに言い聞かせ、歩んできました。この歩みを、私は、誇りに思います。焦土と化した日本に、子ども達の飲むミルク、身につけるセーターが、毎月毎月、米国の市民から届きました。山羊も、2036頭、やってきました。

 米国が自らの市場を開け放ち、世界経済に自由を求めて育てた戦後経済システムによって、最も早くから、最大の便益を得たのは、日本です。下って1980年代以降、韓国が、台湾が、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国が、やがて中国が勃興します。今度は日本も、資本と、技術を献身的に注ぎ、彼らの成長を支えました。一方米国で、日本は外国勢として2位、英国に次ぐ数の雇用を作り出しました。

■環太平洋経済連携協定(TPP)

 こうして米国が、次いで日本が育てたものは、繁栄です。そして繁栄こそは、平和の苗床です。日本と米国がリードし、生い立ちの異なるアジア太平洋諸国に、いかなる国の恣意的な思惑にも左右されない、フェアで、ダイナミックで、持続可能な市場をつくりあげなければなりません。

 太平洋の市場では、知的財産がフリーライドされてはなりません。過酷な労働や、環境への負荷も見逃すわけにはいかない。許さずしてこそ、自由、民主主義、法の支配、私たちが奉じる共通の価値を、世界に広め、根づかせていくことができます。

 その営為こそが、TPPにほかなりません。しかもTPPには、単なる経済的利益を超えた、長期的な、安全保障上の大きな意義があることを、忘れてはなりません。

 経済規模で、世界の4割、貿易量で、世界の3分の1を占める一円に、私たちの子や、孫のために、永続的な「平和と繁栄の地域」をつくりあげていかなければなりません。日米間の交渉は、出口がすぐそこに見えています。米国と、日本のリーダーシップで、TPPを一緒に成し遂げましょう。

■強い日本へ、改革あるのみ

 実は……、いまだから言えることがあります。20年以上前、関税貿易一般協定(GATT)農業分野交渉の頃です。血気盛んな若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとり、農家の代表と一緒に、国会前で抗議活動をしました。

 ところがこの20年、日本の農業は衰えました。農民の平均年齢は10歳上がり、いまや66歳を超えました。

 日本の農業は、岐路にある。生き残るには、いま、変わらなければなりません。私たちは、長年続いた農業政策の大改革に立ち向かっています。60年も変わらずにきた農業協同組合の仕組みを、抜本的に改めます。

 世界標準にのっとって、コーポレート・ガバナンスを強めました。医療・エネルギーなどの分野で、岩盤のように固い規制を、私自身が槍(やり)の穂先となりこじあけてきました。人口減少を反転させるには、何でもやるつもりです。女性に力をつけ、もっと活躍してもらうため、古くからの慣習を改めようとしています。

 日本はいま、「クォンタム・リープ(量子的飛躍)」のさなかにあります。親愛なる、上院、下院議員の皆様、どうぞ、日本へ来て、改革の精神と速度を取り戻した新しい日本を見てください。日本は、どんな改革からも逃げません。ただ前だけを見て構造改革を進める。この道のほか、道なし。確信しています。

■戦後世界の平和と、日本の選択

 親愛なる、同僚の皆様、戦後世界の平和と安全は、アメリカのリーダーシップなくして、ありえませんでした。省みて私が心から良かったと思うのは、かつての日本が、明確な道を選んだことです。その道こそは、冒頭、祖父の言葉にあったとおり、米国と組み、西側世界の一員となる選択にほかなりませんでした。

 日本は、米国、そして志を共にする民主主義諸国とともに、最後には冷戦に勝利しました。この道が、日本を成長させ、繁栄させました。そして今も、この道しかありません。

■地域における同盟のミッション

 私たちは、アジア太平洋地域の平和と安全のため、米国の「リバランス」(再均衡)を支持します。徹頭徹尾支持するということを、ここに明言します。

 日本はオーストラリア、インドと、戦略的な関係を深めました。ASEANの国々や韓国と、多面にわたる協力を深めていきます。日米同盟を基軸とし、これらの仲間が加わると、私たちの地域は格段に安定します。日本は、将来における戦略的拠点の一つとして期待されるグアム基地整備事業に、28億ドルまで資金協力を実施します。

 アジアの海について、私がいう3つの原則をここで強調させてください。第1に、国家が何か主張をするときは、国際法にもとづいてなすこと。第2に、武力や威嚇は、自己の主張のため用いないこと。そして第3に、紛争の解決は、あくまで平和的手段によること。

 太平洋から、インド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。そのためにこそ、日米同盟を強くしなくてはなりません。私たちには、その責任があります。

 日本はいま、安保法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき、日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応が、はるかによくできるようになります。この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう。

 戦後、初めての大改革です。この夏までに、成就させます。ここで皆様にご報告したいことがあります。一昨日、ケリー国務長官、カーター国防長官は、私たちの岸田外相、中谷防衛相と会って、協議をしました。いま申し上げた法整備を前提として、日米がそのもてる力をよく合わせられるようにする仕組みができました。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みです。

 それこそが、日米防衛協力の新しいガイドラインにほかなりません。昨日、オバマ大統領と私は、その意義について、互いに認め合いました。皆様、私たちは、真に歴史的な文書に、合意をしたのです。

■日本が掲げる新しい旗

 1990年代初め、日本の自衛隊は、ペルシャ湾で機雷の掃海に当たりました。後、インド洋では、テロリストや武器の流れを断つ洋上作戦を、10年にわたって支援しました。その間、5万人にのぼる自衛隊員が、人道支援や平和維持活動に従事しました。カンボジア、ゴラン高原、イラク、ハイチや南スーダンといった国や、地域においてです。

 これら実績をもとに、日本は、世界の平和と安定のため、これまで以上に責任を果たしていく。そう決意しています。そのために必要な法案の成立を、この夏までに、必ず実現します。

 国家安全保障に加え、人間の安全保障を確かにしなくてはならないというのが、日本の不動の信念です。人間一人ひとりに、教育の機会を保障し、医療を提供し、自立する機会を与えなければなりません。紛争下、常に傷ついたのは、女性でした。わたしたちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけません。

 自衛隊員が積み重ねてきた実績と、援助関係者たちがたゆまず続けた努力と、その両方の蓄積は、いまやわたしたちに、新しい自己像を与えてくれました。いまや私たちが掲げるバナーは、「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」という旗です。繰り返しましょう、「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」こそは、日本の将来を導く旗印となります。

 テロリズム、感染症、自然災害や、気候変動――。日米同盟は、これら新たな問題に対し、ともに立ち向かう時代を迎えました。日米同盟は、米国史全体の、4分の1以上に及ぶ期間続いた堅牢(けんろう)さを備え、深い信頼と、友情に結ばれた同盟です。自由世界第一、第二の民主主義大国を結ぶ同盟に、この先とも、新たな理由付けは全く無用です。それは常に、法の支配、人権、そして自由を尊ぶ、価値観を共にする結びつきです。

■未来への希望

 まだ高校生だったとき、ラジオから流れてきたキャロル・キングの曲に、私は心を揺さぶられました。

 「落ち込んだ時、困った時、……目を閉じて、私を思って。私は行く。あなたのもとに。たとえそれが、あなたにとっていちばん暗い、そんな夜でも、明るくするために」

 2011年3月11日、日本に、いちばん暗い夜がきました。日本の東北地方を、地震と津波、原発の事故が襲ったのです。そして、そのときでした。米軍は、未曽有の規模で救難作戦を展開してくれました。本当にたくさんの米国人の皆さんが、東北の子供たちに、支援の手を差し伸べてくれました。

 私たちには、トモダチがいました。被災した人々と、一緒に涙を流してくれた。そしてなにものにもかえられない、大切なものを与えてくれた。希望、です。米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、希望である、希望でなくてはなりません。

 米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。希望の同盟――。一緒でなら、きっとできます。ありがとうございました。


日米が共同ビジョン声明を発表-70年に及ぶ同盟関係を称賛 2015/04/29 01:25 JST ブルームバーグ

日米共同ビジョン声明要旨 2015/04/28-23:22 時事ドットコム

 日米両首脳が28日に合意した「日米共同ビジョン声明」の要旨は次の通り。

 第2次世界大戦終戦から70年を迎える本年、かつての敵対国が不動の同盟国となり、和解の力を示す模範となっている。

 安倍晋三首相とオバマ大統領との会談は日米のパートナーシップの変革における歴史的な前進を画する。日本の「積極的平和主義」、米国のアジア太平洋リバランス(再均衡)戦略を通じ、地域および世界の平和で繁栄した将来のために緊密に連携する。

 日米はダイナミックかつ急成長するアジア太平洋地域および世界中で、貿易および投資のルールを定めるため取り組みを主導。環太平洋連携協定(TPP)の2国間交渉で大きな進展があったことを歓迎し、より広い協定の迅速かつ成功裏の妥結を達成するために取り組む。

 新たな防衛協力の指針(ガイドライン)は、日本がグローバルな安全への貢献を拡大することを可能にする。この地域およびそれを超えた地域において日米が海洋安全保障を含む事項で緊密な形で取り組み、他の国々と連携することを可能にする。米国は日米安全保障条約に基づく自らのコミットメントに固い決意を持つ。

 日米は気候変動および環境悪化が引き起こす脅威などグローバルな課題に対処する。

 米国は日本を常任理事国に含む形で国連安全保障理事会が改革されることを期待する。

 日米はグローバルな協力を拡大すべく努める上で、航行および上空飛行の自由を含む国際法に基づく規範の促進などの原則に従う。力や強制により一方的に現状変更を試みることで主権および領土一体性の尊重を損なう国家の行動は、国際的な秩序に対する挑戦だ。(ワシントン時事)

支那人の投資移民は“千客万来”→“お断りします”

豪州政府は外国人による不動産違法購入に対する罰則を強化した。名指しこそされてはいないが、支那本土からの投資移民を対象とした規制強化であるのは明白で、同じく支那人が狙う農業(大規模農場、牧場など)や食品加工業(乳業、精肉業など)の買収案件も審査強化される。

支那本土からの爆買いの群れが香港の供給力を超えてしまったため、支那人の旅行客規制を香港政庁が行ったように、豪州の不動産需給バランスを崩してしまったため、支那人の不動産購入を規制する方針となった。

従来の方針ではアングロサクソン系の英、米、カナダ、豪州は投資移民を受け入れていた。しかし、支那人は需給バランスの破壊のみならず、米国の覇権をも破壊しようと試みているため、日米豪の同盟が結束を固め、安全保障上の面から中共の食料自給の補助となるような案件にも注意が払われることになった。

豪州では昨年10月、支那本土から富裕層の移民を歓迎するため、1年間に1500万オーストラリアドルを投資すれば、優先的に永住権が与えられる新移民制度が制定され、今年7月から始まる予定だったが、早くも軌道修正された格好となる。

アングロサクソン系の国々は支那本土からの投資移民を募る一方で、米国の“ピボット”に併せて、支那人の富を吸い上げるだけ吸い上げて、“対中封じ込め”の列に加わるタイミングを見極めていくことになる。

つとにアクロバティックな動きを要求されるのは人民元ハードカレンシー化で支那人の富の総取りを図る英国だろう。英国紳士は反転のタイミングを間違えると、将来の日英同盟構築はもとより、英米間の同盟を失い、英連邦のインド、豪州ほかを日米に根こそぎ持って行かれかねない。

豪、外国人の違法な不動産購入への罰則強化 価格高騰に対応 2015年 05月 4日 14:20 JST ロイター

[パース 2日 ロイター] - オーストラリア政府は2日、住宅価格が高騰する中、不動産を違法に購入した外国人や仲介業者に対する罰則を強化する方針を打ち出した。不動産の取得で法律に違反した海外の個人には最長3年の禁固刑か最大12万7599豪ドルの罰金、企業には最大63万7500豪ドルの罰金が科せられる。

違法と知りながら購入を手助けした業者も処罰する。

アボット首相はシドニーで記者団に「外国の違法な投資が、価格を不必要に引き上げることのないようにしたい。国民が最適な価格で住宅を購入する機会を最大化したい」と述べた。

新築の戸建てやマンションへの投資は引き続き可能だが、100万豪ドルまでの物件には5000豪ドルの手数料を支払う必要がある。より高額の物件や農業・商業用不動産に対しては手数料を引き上げる。

また、農業や食品加工部門で外国企業による買収への懸念が高まっていることから、審査を強化する。

これまで外資審査会(FIRB)は5500万豪ドル以上の農業分野への投資について審査していたが、対象を海産物や肉類、乳製品などのアグリビジネスにも拡大する。


豪政府、国境越えた課税強化策発表へ=ホッキー財務相 2015年 05月 1日 14:46 JST ロイター

[キャンベラ 1日 ロイター] - ホッキー豪財務相は、12日に公表する予算案で、国境を越えた課税強化策を発表する、と明らかにした。ロイターのインタビューで述べた。

多国籍企業の間では、法人税の高い国から低い国に利益を移すことで節税する手法が広く活用されており、各国が対策に乗り出している。

財務相はインタビューで「予算案発表に合わせ、規制強化を盛り込んだ法案の草案を公表する」と述べ「世界経済の変化に伴い、われわれのグローバルな課税システムも変わらなければならない」と強調した。

新規制の内容には触れなかった。ただ、同相は以前、デジタル企業にも物品・サービス税を支払わせる仕組みを作りたい、と述べている。

アジア開発銀行VSアジアインフラ投資銀行 第2幕

アジアインフラ投資銀行(AIIB)に英国が加わると表明してからの雪崩現象は一段落して、アジア開発銀行(ADB)の巻き返しが始まった。もともとAIIBが求心力を持ち得たのは米国のマネロン規制が厳しくなっており、攻勢にさらされている英国が一矢を報いたためであった。

しかし結局のところ、中共の“一帯一路”や“海のシルクロード”といった戦略構想をインフラ投資によって達成しようと試みても、二国間のプロジェクト・ファイナンスで目的を完遂できない現状が変わる訳ではない。

我が国がアジア開発銀行の融資枠やODA、二国間のプロジェクト・ファイナンス枠などを増やしてしまえば、その弱点を補うためには彼らは賭金をさらに増やさざるを得ない。

となると、次はガバナンス不全や出資比率などAIIB創設に参加する各国が何をねじ込めるかを見極めたい。

実際にAIIBの中国側の出資比率は30%以下の見方も出ており、各国の出資比率は決定できておらず、理事はAIIB本部に常駐しないことが検討されている。一方のADBは融資を現在の1.5倍の約200億ドル(約2兆4千億円)に拡大し、国際協力機構(JICA)と連携して、民間によるインフラ投資枠も設ける。

財務相 アジアへのインフラ投資拡充へ 5月3日 19時03分 NHK NewsWEB

中国が提唱するAIIB=アジアインフラ投資銀行への注目が集まるなか、麻生副総理兼財務大臣はアゼルバイジャンで開かれたセミナーで、日本としてアジア向けのインフラ投資を拡充する方針を明らかにしました。

アゼルバイジャンの首都、バクーではADB=アジア開発銀行が主催する経済成長に関するセミナーが開かれ、麻生副総理兼財務大臣のほか、中国の楼継偉財政相らが出席しました。

この中で麻生副総理は、アジア地域で見込まれる膨大なインフラ需要について、「日本としてもアジアのニーズにしっかりと応えていきたい。アジアに成長をもたらす良質なインフラ投資を促進するため、国際機関との協力も強化しながら貢献していきたい」と述べ、日本としてアジア向けのインフラ投資を拡充する方針を明らかにしました。

具体的には、民間金融機関と連携してアジア向けインフラ投資の量的な拡充を目指すこと、JICA=国際協力機構とアジア開発銀行の協力体制を構築することなどに取り組むとしています。

また、AIIB=アジアインフラ投資銀行の設立を提唱している中国の楼継偉財政相は、「アジアは経済の減速やインフラ整備の遅れなどの問題を抱えていて、地域をつなぐインフラ建設を強化しなければならない」と述べました。

さらに、楼財政相は「アジア各国は国際経済における枠組みとルールづくりに積極的に関わり、アジアの地位と影響力を高めなければならない」とも述べ、アジア開発銀行や世界銀行などで中国を含めたアジア各国の発言力を高めるべきだという考えを示しました。

セミナーに先立って開かれた日本と中国、韓国の3カ国の財務相・中央銀行総裁会議では、世界経済の成長が緩やかなままであることから、3カ国が需要の拡大に向けた経済政策を継続するなどとした共同声明をまとめましたが、アジアインフラ投資銀行については盛り込まれませんでした。


ADB、融資1・5倍に アジア投資銀に対抗も 2015.5.2 17:46 産経ニュース

 67カ国・地域が加盟するアジア開発銀行(ADB)の年次総会と関連会合が2日、アゼルバイジャンの首都バクーで開幕した。中尾武彦総裁は記者会見で、ADBの融資能力を現在の年間約130億ドルから、2017年に最大で1・5倍の約200億ドル(約2兆4千億円)に拡大すると発表した。

 中国主導でアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立準備が進む中、日米が主導するADBは機能を強化する。中尾総裁は「AIIBとは関係ない」としたが、融資手続きの迅速化を進める方針も強調し、対抗意識をにじませた。

 ADBの融資拡大では、低所得国に低金利で融資する「アジア開発基金」と、中所得国に市場の水準に応じた金利で貸し出す「通常資本財源」を17年に一本化する。(共同)


「アジアには膨大なインフラ需要」情報交換や協議継続で一致 ADBとアジア投資銀首脳 2015.5.2 14:41 産経ニュース

 アジア開発銀行(ADB)の中尾武彦総裁は1日、アゼルバイジャンの首都バクーで、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の総裁候補、金立群氏と会談し、情報交換や協力深化のための協議を続けることで一致した。

 中尾氏と金氏はアジアに膨大なインフラ需要があるとの認識を共有。持続的な発展や貧困削減に向けたインフラ開発と、環境などへの配慮を両立させることの重要性を確認した。

 中尾氏は会談で「ADBは培った経験を生かし、アジアのインフラ融資でAIIBと協力したい」と意欲を示した。

 2日からバクーで開催のADBの年次総会は、AIIBとの協力の在り方を含めた対応が焦点となっている。アジア各国がAIIBの創設メンバーに名前を連ねる中、米国とともにADBの最大出資国である日本の姿勢が注目されそうだ。

 AIIB設立に向けた首席交渉官会合は4月27~28日、中国・北京で57カ国の代表が集まって開かれた。6月末までに組織概要をまとめた協定を結び、年内設立を目指している。(共同)


AIIB:理事、本部に常駐せず 監督不十分の恐れ  2015年04月29日 07時00分 毎日新聞

 【北京・井出晋平】中国が設立を主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)が、組織運営の監督にあたる理事を本部に常駐させない方向で検討していることが明らかになった。世界銀行やアジア開発銀行(ADB)は、参加各国から選出された理事が本部に常駐し業務を監督している。組織運営の効率化と駐在コストの削減が狙いとみられるが、常駐しないことで監督が不十分になる恐れもある。

 中国財政省は、AIIBの運営の透明性を確保するため、参加国から理事を選出して理事会を設置する方針を示している。だが、AIIB創設メンバー国の関係者によると、中国側は、本部が置かれる予定の北京に理事を常駐させない意向を創設メンバーに表明。AIIBの初代総裁は中国が送り込む見込みで、常駐理事がいない分、総裁の権限が強まるのは確実だ。ADBは、12人の理事がフィリピン・マニラの本部に、世銀は25人の理事がワシントンの本部に常駐している。

 一方、北京で開かれていた創設メンバー確定後、初めての首席交渉官会合は28日、2日間の日程を終えた。会合では、資本金の国別の出資比率や融資基準などについて議論。融資対象の事業に、世銀同様、厳しい環境保護基準を満たすよう求めることも取り上げられたとみられる。日米の「AIIBが環境破壊につながる事業に融資しかねない」との指摘を反映した動きと言えるが、「まだ複数の論点が残されている」(南アジアの交渉担当者)という。

 創設メンバー各国は6月の設立協定の署名を目指している。関係者によると、次回は5月20、21日にシンガポールで会合を開く予定。


アジア投銀、出資比率の合意得られず…首席会合 2015年04月29日 11時46分 読売新聞

【北京=栗原守、蒔田一彦】中国主導で設立準備が進む「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」の第4回首席交渉官会合が28日、北京市内で2日間の協議を終えて閉幕した。

 焦点となっていた各国の投票権の大きさに直結する出資比率については合意が得られなかった模様で、5月後半にもシンガポールで開かれる次回会合で引き続き協議される。今後は出資比率のほか、融資方針の決定権限を巡る中国と英独仏など先進国との意見調整が焦点となる見通しだ。

 中国財務省によると、「創設メンバー」57か国のうち、ネパールとバングラデシュを除く55か国の首席交渉官が出席。中国側が提示している設立協定の修正案について協議し、初代総裁就任が有力視されている金立群・元中国財務次官が設立準備事務局の代表者として、準備状況も報告した。


AIIB会合終了、中国の出資比率は30%以下との見方も 2015年4月28日 20:11 TBS NEWSi

中国が主導するAIIB=アジアインフラ投資銀行の創設メンバー57か国が初めて顔をそろえた首席交渉官による会合が28日、閉幕しました。中国の出資比率については、当初より大幅に下がり30%以下になるとみられます。

 会合は27日から2日間にわたって行われ、中国財政省によりますと、AIIBの規約などについて突っ込んだ議論が行われたということです。また、参加国の関係者によりますと、各国の出資比率についても議論が行われたと いうことです。

 最も注目される中国の出資比率ですが、当初、中国は50%程度と説明していましたが、参加国の関係者はドイツ、イギリスやロシアなど先進国が加わったことで、最終的には30%以下になるとの見方を示しました。

 ただ、中国側は「内容を報道機関に公表してはならない」と明記された紙を交渉官らに配るなど、不参加の国に情報が漏れることに対して神経質になっていて、議論の具体的な内容は明らかになっていません。

 参加国は今後も交渉を重ね、6月末の規約の調印を目指すことになります。

“ライシテ(政教分離)”の戦いは続く

フランス北東部の公立学校に通うムスリムの女生徒が、宗教上の理由から体の線を隠す黒い長いスカートを穿いて登校したために出席を断られた。公的機関においては宗教的な衣裳を排除する理由にはフランスの“ライシテ(政教分離)”の原則がある。

フランス国民がフランス国家に帰属するためは「自由・平等・博愛」に表される人間の理性を最重要視する宗教に帰依しなければならない。

フランス政府の考え方とは「人間は経験しながら理性を獲得してから、何らかの主義主張や宗教戒律を選択して、自ら縛られるのは構わないが、経験が不足して理性の確立していない未成年のうちに、それらを選択してはならない」というものだ。

宗教改革や市民革命の影響が垣間見られるが、幼児洗礼を禁じて信仰告白を優先するかのように、先天的、先験的(アプリオリ)な宗教の強制を拒んでいる。

公的な学校では、生徒の良心の自由を涵養するために一度、あらゆる宗教的な束縛から解放させて無宗教化させる。その場所では宗教的帰属を明らかにするシンボルや衣裳・風俗はすべて主体性を回復させる目的に沿って排除されなけらばならない。

すべての宗教から逃れうるのだという経験を獲得して、初めて真の良心の自由をも獲得するのだという考え方に基づいている。十字架であれキッパであれベールであれ、外せないと拒否するからには宗教的な強制が心理的に作用しているはずであって、それ自体が良心の自由を涵養する妨げになっている、と判断される。

この考え方が理解できない限り、フランスのムスリム移民はフランス国民にはなれないだろう。

黒ロングスカートは宗教的?イスラム教女子生徒が出席禁止に、仏 2015年04月30日 16:37 AFP BBNEWS

【4月30日 AFP】フランス北東部の学校で、黒いロングスカートを着て登校したイスラム教徒の女子生徒(15)が「宗教性を誇示した服装」だとして授業への出席を2度にわたって禁止され、非難の声が起きている。

 この女子生徒は今月、仏北東部シャルルビルメジエール(Charleville-Mezieres)にある学校で、校長から授業への出席を禁止された。女子生徒は体の線を隠したいイスラム教徒の女性が一般的に着用する黒い長いスカートをはいていたが、報道によると、このスカートが校長から「露骨に」宗教的だとみなされたという。

 世俗性を厳格に重んじるフランスの法律では、学校内で特定の宗教への信仰が明らかな格好をすることを禁じている。

 地元教育当局のパトリス・デュト(Patrice Dutot)氏は28日、AFPの取材に「女子生徒は排除されたわけではない。宗教色のない服装に着替えてくるよう言われたが、父親が学校に戻らせなかったようだ」と説明した。この女子生徒は、いつも学校の敷地内に入る前にベールを外していたという。

 フランスでは、学校の世俗性を定めた2004年施行の法律により、イスラム教のベールやユダヤ教のキッパ(男性用の帽子)、キリスト教の大きな十字架などを教育施設内で着用することは全面的に禁止されている。ただし「宗教性を控えめに表すもの」は認められる。

 女子生徒は仏日刊紙アルデネ(L'Ardennais)に対し「ありふれた、とてもシンプルなスカートで、これといって目立つ特徴もない。宗教的な意味なんて全然ない」と語った。

 しかし、地元教育当局は声明で、こうしたスカートを着用することが組織的な「挑発」になる可能性もあると指摘。複数の生徒たちによる抗議行動として行われれば、その後に「ベールをかぶるなどのさらに目につく行動」が続きかねないとして、「教育現場における世俗性の枠組みをしっかりと再確認し、確実に行う必要がある」と述べている。(c)AFP


参考URL:
フランス公立学校における「スカーフ事件」について 東京大学文学部 大学院人文社会系研究科(PDF)
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