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フランスは永遠にドイツに呻吟する

フランス第三共和政はナチス第三帝国に滅ぼされた。遡ればフランス第二帝政もプロイセンに滅ぼされた。そのプロイセンはナポレオン三世の帝冠を奪い、ドイツ帝国(第二帝国)となった。

第一次大戦によってドイツ帝国は滅びた。カイザーの巻き起こした戦火は、ルール地方とロレーヌ地方、それにルクセンブルクとベルギーのワロン地方にまたがって存在した一大鉄鋼業のコンプレックスを粉々に砕いた。それだけでなく塹壕戦によって、フランス北東部を焦土にした。

それでもフランスは第一次大戦に勝った。しかし、石炭生産高は戦前比約80%減、鉄鋼生産高及び農産物生産高は約60%減。ヴェルダンの戦いに代表される人類史上最大の消耗戦は、動員兵力の66%以上の損害をフランスに与えた。青年人口の27%が失われ、就労人口の10%が失われた。また、戦傷によって150万人近い身体障碍者が発生して、5万人の子供が孤児となった。

これらの人的損害は人口動態を修復できないものとした。工業基盤の弱体化から税収は不足し、増税せねば財政基盤は弱まる。これを巡って左右対立は進み、終戦から10年間のうちに13回も内閣が入れ替わる有り様だった。国力の低下と内政の混乱は、ワイマール共和国に対する強硬姿勢につながり、ナチス台頭の一因となり、破滅を招いた。

陸軍の動員力を防衛の基礎とする大陸国家の動員力にとって、この出生率に関するトラウマは、現在の家族制度の解体と無制限にも思えるムスリムの流入に繫がっている。

ムスリムをフランスに同化できないまま、ドイツの影響力からも脱することができない運命を前にして、歴史人口学の泰斗エマニュエル・トッドは、『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告』を著している。

ムスリムをエガリテの名の下にフランス人にさせることが叶わないように、ドイツの人口圧力と工業力を回避・克服するために、フィクションとしての欧州統合を推進したフランスだったが、やはり現実はひっくり返せなかった。

「欧州におけるドイツ」は、「アジアにおける中国」か? 2015.06.10 07:30 本の話WEB

(前段省略)

 最も重要な主題はドイツだが、「日本の読者にきっと役立つ」とトッド氏自身が述べているように、「『ドイツというシステム』は驚異的なエネルギーを生み出し得るのだということを認める必要がある。歴史家として、また人類学者として、私は同じことを日本についても、(略)言うことができる」(三〇頁)などと、随所に直接、日本への言及がある。

 同じ直系家族構造(長子相続と不平等な兄弟関係が特徴)のドイツと日本の比較もある。

「日本社会とドイツ社会は、元来の家族構造も似ており、経済面でも非常に類似しています。産業力が逞しく、貿易収支が黒字だということですね。差異もあります」(一五七頁)

「〔ドイツの〕輸出力が途轍もないとはいえ、技術の面で、たとえば日本のレベルには遠く及ばない」(二一三頁)

「日本の文化が他人を傷つけないようにする、遠慮するという願望に取り憑かれているのに対し、ドイツ文化はむき出しの率直さを価値付けます」(一五七頁)

「最近日本へ行き、津波で荒らされた地域を訪れた(略)。日本人の伝統的社会文化の中心を成すさまざまなグループ──共同体、会社など──の間の水平の連帯関係が、事態に対応できなくなった政治制度に代わって、地域の再建・復興を支えていたのです。ドイツに比べ、日本では権威がより分散的で、つねに垂直的であるとは限らず、より慇懃でもあります」(一六一頁)

 さらに、「現在起こっている〔ウクライナでの〕衝突が日本のロシアとの接近を停止させている。ところが、エネルギー的、軍事的観点から見て、日本にとってロシアとの接近はまったく論理的なのであって、安倍首相が選択した新たな政治方針の重要な要素でもある」(七一頁)と、日本の外交についての、より踏み込んだ具体的な指摘もある。

 まずは本書のこういった点が日本の読者の関心を惹くだろう。

 しかし、本書の主題は何と言っても、冷戦終結後のドイツの擡頭が招きよせるヨーロッパの危機である。通常、ドイツに比せられるのは日本である。トッド氏も、同じ家族構造のドイツと日本の文化や経済システムの類似性を指摘しているのは、上に見た通りである。だが、地域の安全保障の問題として考えた場合、ドイツに比せられるのは、日本であるよりも、アジアにおける中国なのかもしれない。

たとえば、「ドイツと比較される東アジアの国といえば、なにかについて日本が対象にされ、日本人自身もなんとなく日独両国の間には共通性が多いと思いこんでいる」と指摘する歴史学者の野田宣雄氏は、次のように述べている。

「だが、実際には、冷戦の終結を境として、日独両国は決定的に異なる道を歩みはじめるようになったと考えた方がよい。(略)統一後のドイツが明らかに『中欧帝国』形成の道を歩もうとしているのにたいして、日本には、東アジアで『帝国』を形成しようとする意志もなければ、そのための地政学的あるいは歴史的な条件も乏しいからである。結論を先にいえば、ヨーロッパにおけるドイツと同様に東アジアにおいて『帝国』を志向しているのは、中国であって日本ではない。(略)もちろん、ドイツのめざす『中欧帝国』と中国が志向する『中華帝国』とでは、その内容も性格も大いに違う。しかし、重要なのは、地域の中心部における『帝国』の建設にともなって、周辺の諸国家が深刻な影響を受けるという点では、ヨーロッパも東アジアも同じだということである。(略)その意味では、現在の日本がおかれている国際的な位置は、ヨーロッパにおけるドイツのそれよりも英、仏、伊といった諸国のそれと比定すべきであろう」(『二十世紀をどう見るか』文春新書)

 トッド氏によれば、ドイツの擡頭は、アメリカ帝国の衰退と連動している。

「一九四五年の勝利の遺産、アメリカによるヨーロッパの制御の鍵、それはドイツをコントロールすることだ(略)。二〇〇三年からのドイツの擡頭を確認すること、それはアメリカ帝国の崩壊の始めを確認することだった」(三一~三二頁)

 こうした地政学的な変化は、ヨーロッパに限られない。アジアも同様だ。「アメリカシステムとは、ユーラシア大陸の二つの大きな産業国家、すなわち、日本とドイツをアメリカがコントロールすることだ」(六一頁)とした上で、トッド氏は次のように言う。

(段落省略)

 しかし、見逃せないのは、擡頭するドイツと中国の接近であろう。

「『ドイツ帝国』は最初のうちもっぱら経済的だったが、今日ではすでに政治的なものになっている。ドイツはもう一つの世界的な輸出大国である中国と意思を通じ合わせ始めている。果たしてワシントンの連中は憶えているだろうか。一九三〇年代のドイツが長い間、中国との同盟か日本との同盟かで迷い、ヒトラーは蒋介石に軍備を与えて彼の軍隊を育成し始めたことがあったということを」(三七頁)

 二〇一五年三月に来日したドイツ首相のメルケル氏。二〇〇五年の首相就任以来、ほとんど毎年のように中国を訪問していながら、来日は実に七年ぶりのことだった。滞在中は、「歴史認識問題」をめぐる発言が話題になったが、訪日の真の目的はどこにあったのか(ロシアへの接近を図りたい安倍政権への牽制という見方もある)、東欧諸国との「和解」をめざした戦後ドイツの「東方外交」も、実は周到な計算にもとづくものではなかったか──こういった動きを読み解く上でも、本書は、多くのことを教えてくれるだろう。

 ここで示したのは、ヨーロッパの危機を主題とした本書を極東の日本で読むための「補助線」のひとつにすぎず、トッド氏の発言から何を読み取るかは、もちろん読者の自由である。

 本書の刊行を快諾していただいたトッド氏と、翻訳していただいた堀茂樹氏に謝意を表したい。

(「編集後記」より)


日仏首脳、安保協力推進を確認 南シナ海の懸念共有 2015/6/7 21:00 日経

【エルマウ(ドイツ南部)=佐藤理】安倍晋三首相は7日昼(日本時間同日夜)、フランスのオランド大統領とエルマウで会談し、防衛装備品の輸出や共同開発を中心に安全保障分野での協力を推進していくことを確認した。中国による南シナ海での岩礁埋め立てについては「懸念を共有する」との認識で一致した。

 首相は「安保、防衛分野の協力が着実に進展している」と強調。国会審議中の安全保障関連法案に触れ「成立すれば日仏協力の余地も拡大する」と説明した。大統領は「日本の取り組みへの連帯を表明する」として支持する考えを示した。

 南シナ海問題に関しては首相から言及した。「中国による埋め立ては急速に進んでいる。フランスと懸念を共有したい」と訴えた。大統領は「南シナ海への安倍首相と日本の懸念を共有する」と応じ、中国の「力による現状変更」に批判的な姿勢を示した。

 両首脳はウクライナ問題を巡り、ロシアを含めたすべての当事者が停戦合意を順守する必要があるとの認識で足並みをそろえた。首相は「圧力とともに対話の継続も重要だ。北方領土問題の解決に向け、ロシアとは首脳間の対話が必要だ」と、日本の立場に理解を求めた。大統領も「ロシアの存在はシリアやイランでの問題解決にも不可欠だ」と、対話を重視していくことに同調した。

 大統領は12月にパリで開く国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)への協力を要請した。首相は「すべての国が参加する枠組みの構築に協力したい」と答えた。日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)に関して年内の大筋合意に向け協力することで一致した。

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