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プーチン大統領の演説に見られる国際連合の性格

第2次大戦終結から70周年、つまりは国際連合の総会も第70回目を迎えて、9月末に各国の首脳が米国を訪れた。我が国の安倍首相を始め、ロシアのプーチン大統領、インドのモディ首相、中共の習国家主席、バチカンのフランシスコ教皇、ほかにも多くの首脳が自国のプレゼンスを示し、企業との大規模契約にサインし、それぞれが首脳会談を行い、あるいは総会に登壇して演説を行った。

「アラブの春」を恐れるロシア 2015年10月07日(Wed) WEDGE Infinity

(翻訳・抜粋)
尊敬する代表の皆さん!尊敬する国連事務総長殿!尊敬する各国首脳の皆さん!紳士の皆さん!

 国際連合の70周年は、歴史と我ら全員の将来を考えるのによい機会です。1945年、ナチズムを打倒した諸国は、戦後世界の秩序を築くべく努力を結集しました。

 思い起こしたいのは、国家間関係の原則に関する重要な決断と、国際連合の創設に関する決断は、我が国のヤルタにおける反ヒトラー連合の首脳会談で採択されたということです。ヤルタ体制は、この星で20世紀に起こった二度の世界大戦に出征した何千万という人々の生命に実際に敬意を払ったものであり、過去70年間の過酷で劇的な出来事の中で客観的に人間性を保つ助けとなり、世界を巨大な波乱から救ったのです。

 国際連合は、その正当性、代表性及び広範さにおいて比類なきものであります。たしかに過去、国連の場においては少なからぬ批判がありました。これは効率性の不十分さを示すものであり、特に国連安保理のメンバー国間では重要な決定に関して覆いがたい対立があります。

 しかし、申し上げたいのは、国際連合が存続してきた70年間において、意見の相違は常に存在していたということです。そして拒否権も常に行使されてきました。米国も、英国も、フランスも、中国も、ソ連邦も、そして後のロシアもこれを行使してきました。これは多面的な代表機関ではごく自然なことです。国際連合の基本として、そこでひとつの意見が圧倒的であるということは想定されていなかったし、今後もないのです。この組織の本質とは、妥協を模索し、生み出すことなのであり、多様な意見や観点を考慮に入れることがその力になっているのです。

 国際連合の決定を巡る議論は、決議という形で合意されます。合意に至らない場合については、外交官達の言うところの「うまくいったりいかなかったり」ということになります。そして、この手順を外れれば、いかなる国の行動であっても、それは非合法で、国際連合憲章と現代の国際法に違反することになります。

 いわゆる冷戦が終結した後、世界にはひとつの支配的なセンターが残ったことを我々は知っています。そして、このピラミッドの頂点に立った者は、次のように考える誘惑に駆られました。いわく、彼らはかくも強く、特別で、物事をどうすればよいか誰よりもよく知っているのだと。そして彼らには国際連合を顧みる必要などなく、国際連合は彼らの決断に判子をついて追認すればいいのだと。この組織はすでに古くなり、歴史的な使命を負えたのだという話も出ました。

 たしかに世界は変化しており、国際連合はその自然な変容に合わせなければなりません。ロシアには、広範な合意に基づき、国際連合のさらなる発展に関する作業に全てのパートナーとともに関与する用意があります。しかし、我々は、国際連合の権威と正統性を損なう試みは極めて危険なものだと考えます。それは、全ての国際関係の枠組みの崩壊につながりかねないものです。そうなれば我々には力のルール以外、いかなるルールも残らないでしょう。

 それは、エゴイズムが協調に、平等と自由が支配に、真の独立国家が外から指図される保護領に取って代わられる世界となるでしょう。

 では、すでに同僚の皆さん達がここで語った国家主権とはどのようなものでしょうか?これは何よりも自由の問題であり、各人、各民族、各国家が自らの運命を自由に決せるということであります。

 そこで、尊敬する同僚の皆さん、いわゆる正統な政府というものについても語りたいと思います。言葉を弄んではなりません。国際法及び国際関係においては、それぞれの擁護は明確かつ透明でなければならず、共通の意味を持ち、共通の基準で定義されなければなりません。我々はみんな違っているのであり、そのことについて敬意をもって臨まねばなりません。何人も、誰かが正解だと決めた単一の発展モデルに従わされる必要はないのです。

 我々は過去の経験を忘れてはなりません。たとえば我々はソ連邦の経験を援用することができます。ソ連は社会実験を輸出し、イデオロギー的な理由から他国の社会変革を推進しましたが、その結果はときとして進歩ではなく混乱でした。

 しかしながら、誰もがそのような誤りに学ぶわけではなく、それを繰り返す者もいます。そしていわゆる「民主的な」革命の輸出を続けています。

 これ以前の登壇者の方が触れた、中東及び北アフリカの状況を見れば充分でしょう。たしかにこれらの地域における社会経済的状況は長らく混乱しており、人々はそれを変革したがっています。ですが、実際の結果はどうでしょうか? 改革をもたらす代わりに、攻撃的な介入が国家機関と現地の人々の生活を破壊しているではありませんか。民主主義と進歩の代わりに、今そこにあるのは暴力、貧困、社会不安、そしてただ生きる権利を含めた人権の全くの無視ではありませんか。

 そこで、このような状況を作り出した人々に私は問いたい。あなた方がやったことを少なくとも理解くらいはしているのだろうか、と。しかし、私が恐れるのは、傲慢と、例外主義と、罪悪感のなさゆえに彼らがその政策を撤回せず、答えがないままこの問いが虚しく空中に消えることです。


プーチン大統領もまた、国連総会で演説した。上記のコラムから、その演説を抜粋するに、国連の歴史的経緯とその功罪を述べながら、それでもなお、自国の国益に沿って国連の価値を再評価している。

冷戦終結後の一極支配が、ユーゴスラビア内戦に見られたNATO単独の軍事介入を許す結果となり、その前例に従って、現在のシリア内戦に見られるロシアやイランの軍事介入につながったことを正当化しつつも、一極支配の中で米国の民主主義と資本主義こそがスタンダードであり続けた弊害が、別の価値観を持つ側の人権を抑圧しているのではないか、と主張する。

まるで自国の弱さを半ば告白する形で、多様な世界の有り様では、多様なイデオロギーを持つ国家の生存権が認められるのではないか、と。

国連に集う主権国家は多様であり、それゆえにイデオロギーや宗教や国家体制についても自由であるべきだ、と主張している。そして、イデオロギーや国家体制の異なる各国と現実主義的な外交を展開している。

ロシア、サウジと石油市場めぐり先週協議=エネルギー相  2015年 10月 6日 19:36 JST ロイター

ロシアは、アラウィー派(シーア派の一分派)のアサド政権を支援するため、シリア内戦に介入した。その一方で、ザイド派(これもまたシーア派の一分派)を倒すためにイエメン内戦に介入するサウジアラビアとも協力関係を模索する。

次いでロシアは、イランをシリア内戦に引き込む一方で、イランの核開発に反対の姿勢を崩さないイスラエルとの間にゴラン高原には進出しない旨の協議を行っている。

さらにロシアは、シリアなどからの“難民爆弾”に悩む独仏との間にウクライナ和平会談を進め、ドンバス地方の親露派地域における選挙にOSCEを巻き込み、むしろウクライナのポロシェンコ大統領を守勢に追い込んでいる。

ウクライナがそうであるようにトルコもまたロシアの牽制を受けて、退かざる得なくなりつつある。ロシアは、トルコと同じくISIS(イスラム国)を大義名分にすることで、欧米に協調のシグナルを送り続けると同時に、シリアからイラクに勢力を伸ばしているクルド人勢力の支持を得て、ISISをクルド人勢力弱体化の隠れ蓑に使うエルドアン大統領を追い詰める。

無論、これらは自国の兵力を極力使いたくない米国、オバマ政権の思惑に支えられている、と思われる。

国連での演説から、ロシアの立場はよく分かる。また国連の性格も再認識できる。過去から現在に至るまで、国連憲章は戦争を拒否していなかったし、国連は普遍的(ユニバーサリズム)な機関でもなかったし、敵国条項を有するように第2次大戦後のレジームの現状維持のための機関であったし、加盟国が政治的了解を模索する場に過ぎない、ということだ。
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