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21世紀の小協商“プチ・アンタンテ”

戦間期(1919年~1939年)のフランス第三共和政は、ワイマール共和国の復讐とオーストリア=ハンガリー帝国の復辟を怖れて、新たに独立したポーランド、チェコスロバキア、ユーゴスラビアなどと小協商“プチ・アンタンテ”と呼ばれる対独包囲網を形成した。

もともとセダンの戦いで敗れた第二帝政が呆気無く倒れ、血みどろのパリ・コミューンを鎮圧して成立したフランス第三共和政は、深刻かつ幅広い左右対立のなかで、内政の安定しない政体だった。

王朝復辟を主張する者は、それぞれブルボン家(レジティミスト)を、オルレアン家(オルレアニスト)を、ボナパルト家(ボナパルティスト)を推す勢力に分かれ、農村に地盤を持つカソリック教会と、都市に地盤を持つ資本家、何より軍部が保守勢力として存在し、左翼は社会民主主義からマルキスト、ラジカリスト、インターナショナリストに分かれていた。

相対的に安定したのは、ブーランジェ事件とドレフュス事件で軍部のクーデターの危険性が遠のいたためであった。第三共和政(1871年~1940年)は述べ110人の首相によって内閣を組織されたが、戦間期(1919年~1939年)は33もの内閣が入れ替わる始末だった。

賠償金支払いをめぐってルール地方を占領して、ドイツのハイパーインフレを起こす原因を作り、ナチスが政権を獲ってからはラインラント進駐、オーストリア併合(アンシュルス)を防げず、ズデーテンラント割譲要求に屈し、ポーランドを見殺しにし、小協商を自ら壊してしまう有様だった。そして、機甲師団にアルデンヌの森を突破されて、第三共和政は滅びた。

かつてのフランス第三共和政の左右両翼の乱立に比べれば、現在のポーランド(第三共和国)の二大政党は、中道から中道右派と保守を主張して、むしろ安定している。

今回、政権を明け渡すことになった「市民プラットフォーム」は、旧ドイツ帝国~ワイマール共和国領に地盤がある。一方、政権を取り返した「法と正義」は、戦間期のポーランド第二共和国領に地盤がある。

興味深いのは、欧州債務危機から難民危機を経て、ドットモダン(. Modern)という極左政党と、Paweł Kukizというミュージシャン個人が立ち上げたポピュリスト政党が、既存のリベラルと中道左派政党を喰った形で台頭している点だろう。

欧州連合によって独仏が半ば一体化している現代、21世紀の小協商“プチ・アンタンテ”は、バルト海に面したポーランドからアドリア海に面したスロベニアまで拡がるかもしれない。

2015年 ポーランド下院総選挙結果(定数:460 過半数:231)
法と正義(中道右派~保守) 235
市民プラットフォーム(中道~中道右派) 138
Kukiz'15(ポピュリズム~右翼) 42
. Modern(リベラル~極左) 28
ポーランド農民党(中道右派) 16
ドイツ少数民族党(中道) 1

2015年 ポーランド上院総選挙結果(定数:100 過半数:51)
法と正義(中道右派~保守) 61
市民プラットフォーム(中道~中道右派) 34
ポーランド農民党(中道右派) 1

※ポーランドでは上下両院が同時に総選挙を行う。

アングル:ポーランド右傾化で高まるEUとの対立懸念 2015年 10月 27日 16:17 JST ロイター

[ブリュッセル 26日 ロイター] - ポーランドで25日に実施された総選挙で、欧州連合(EU)に懐疑的な姿勢を示し、難民受け入れに反対する保守系野党「法と正義(PiS)」が圧勝し8年ぶりに政権交代する見通しとなったことを受け、EU指導部に懸念が広がっている。

ポーランドは2004年にEUに加盟したが、法と正義が2005─07年に政権を担っていた当時、ポーランドがリスボン条約に反対し批准を遅らせたことや、域内での議決権拡大を要求したことなどをEUは忘れていない。

EU当局者は「状況は一段と厳しくなるだろう」と指摘した。

欧州では多くの国で反移民感情の高まりを背景に、極右のポピュリスト(大衆迎合的)政党への支持が急拡大しており、難民の大量流入が続いた場合、他の国でも政権交代につながる恐れがある。

法と正義のカチンスキ党首は、穏やかな口調のシドゥウォ副党首を首相に指名したが、権力を維持してEUに戦いを挑む見通しだ。

焦点となる難民問題だけでなく、ユーロや財政政策、中央銀行の独立性、気候変動、エネルギー政策、人権などの問題でもポーランドとEUは対立する可能性がある。

EU当局者によると、ポーランド新政権は、同国とチェコ、スロバキア、ハンガリーの4カ国(ビシェグラード4カ国)にルーマニア、ブルガリアを加えて中東欧諸国を総動員し、欧州委員会が計画する難民受け入れ枠の義務化に反対する可能性もあるという。

<ハンガリー首相の政策がモデルか>

法と正義は、今後4年間にユーロを導入することはないとの立場で、銀行やスーパーマーケットチェーンへの新税導入によって社会的支出の拡大を賄う方針を表明している。これはハンガリーのオルバン首相が取った措置に似ている。

EU当局者は、カチンスキ党首が中銀や司法機関、その他の政府機関に支持者を送り込み、オルバン首相の政策モデル「非自由主義的民主主義」を模倣するため、憲法改正を目指す可能性があると指摘する。

ポーランドの政権交代はまた、英国が目指すEUとの関係見直しにも影響しそうだ。新政権は、英国に住む70万人以上のポーランド人が英国人と同等の扱いを受けられるよう権利の擁護に動くとみられる。

キャメロン英首相は移民の福祉手当などを4年間給付しない措置の導入を目指している。

またポーランドは、英国がEUとの関係で例外を認められた場合、それに便乗しようとする可能性があり、交渉を複雑にして、統合深化に向けた取り組みが一段と逆行するリスクも懸念されている。

(Paul Taylor記者 翻訳:佐藤久仁子 編集:加藤京子)

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