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前近代に転落する東南アジアのムスリム

ウォールストリート・ジャーナルの記事は、マレーシア社会にイスラム原理主義が浸透して、ほかの宗教や習慣に対して不寛容な精神が育ち、シャリーアがムスリム以外の人々含めた生活規範を束縛しようとしている、その現状を伝えている。

難民危機とテロが巻き起こす混乱によって、イスラムの前近代性が認識されるようになったが、むしろ近代化に伴って、アラブ人の居住する地域に限らず、パキスタンのパンジャブ人やバングラデシュのベンガル人も原理主義に傾倒し始めた。バングラデシュでは25年前よりもヒジャブを着用する女性が増えている。それ以前はパキスタンに対するベンガル人のナショナリズムは存在したが、イスラム原理主義はなかった。

象徴的な事例として、バングラデシュでは2015年の1年間で少なくとも4人の世俗主義を唱えるブロガーが、原理主義者と思しき集団に殺害(私刑)されている。

この一見理不尽な波は東南アジアのイスラム圏にも到達している。

マレーシアでは、シャーマニズムやキリスト教、ヒンズー教、仏教、儒教など他の宗教と混淆した社会がワッハーブ派の影響などによってイスラム化が進んでいる。ウォール・ストリート・ジャーナルの記事では、占うシャーマンはイスラム教に配慮し始め、スーパーマーケットのレジは性別によって分けられるようになり、スポーツ観戦も男女別となり、航空会社の機内食もキャビンアテンダントの服装もシャリーアに基づくようになった、と云う。

脱宗教化と性差の廃止が進む欧米社会と真逆に向かっている。両者の文化的摩擦が激化するのもむべなるかな。

経済発展は伝統と習慣からの脱却を促すと同時に、心理的な当惑と政治的混乱を産み出し、一層のナショナリズム回帰を促進する。その際、マレーシアはナショナリズム回帰にイスラム教を見出した、と云える。つまり、それ以外に帰るべき国民の物語がない、ということでもある。

経済発展が世俗化ではなく、知識の普及に伴い民族主義や宗教によるナショナリズムの高揚につながった典型例は「白色革命」から「イラン・イスラム革命」までのイランの動きだろう。モハンマド・レザー・シャー(日本では、パーレビ国王と呼ばれたことが多い)の行った「白色革命」は、識字率を向上させ、女性参政権を認めた。その結果が反動としての「イラン・イスラム革命」が起きた。

エマニュエル・トッドの云う“移行期の危機”によって、社会の保守化が進むのだが、問題は保守化することではなくナショナリズムのために見出されたイスラムの教えが、最終的には近代を否定することにある。

たとえば我々が、ムスリムに前近代性を感じる所以は、彼らが人間同士の契約を尊重しないからである。これは支那人と朝鮮人も同様である。近代社会とは、唯一の神との契約とその精神を、人と人の関係に引き下ろしてもなお、その契約を絶対的なもの、と出来るかによって成立する。この観念が育っていないと新興国では、いずれ信用が使い尽くされて、前近代に転落するだろう。

あくまでも欧米や日本など先進国の資本と技術、管理があって初めて契約社会が成立しているとすれば、グローバリズムが反転する現在、資本の還流に伴って前近代へと逆戻りするのは、むしろ自然な流れと云える。

「性器の形見える」と批判の体操選手、擁護の声続々 東南ア大会 2015年06月15日 18:01 AFP BB NEWS

マレーシアで進むイスラムの厳格化、古来の伝統否定の動きも 2016 年 1 月 15 日 15:02 JST WSJ日本版

 【クアラルンプール】ケラナ・インドラ・サクティさん(70)は、マレーシアで最も成功しているシャーマン(霊媒師)の一人だ。ケラナさんのオフィスの壁には顧客からの推薦状が飾られている。感謝された顧客からメルセデス・ベンツの高級リムジンを贈られたこともある。「冒険家、素晴らしい不思議な技」を意味する同氏の名前はマレーシアの富裕な君主の一人から授けられたものだ。

最近、ケラナさんは自らのコンサルティングサービスに、イスラム教の聖典コーランからの解釈を加えている。「最近は人々が当然のように期待しているのでそうしている」と言う。

マレーシアに限らず、東南アジア地域ではイスラムが一段と保守的になりつつある。数百年前にアラブ諸国の貿易商によってこの地にもたらされたイスラム教の信仰は何世代にもわたり、シャーマニズムや伝統医学ばかりでなく、この国の仏教徒、キリスト教徒、ヒンズー教のコミュニティーにおける古くからの伝統や風習と共存してきた。

しかし最近は、イスラム教の戒律に厳格なワッハーブ派の教義によってイスラム教の実践方法が再定義され、一部では、マレーシアの特徴でもあった寛容さが失われている。ワッハーブ派はサウジアラビアから資金援助を受けているイマーム(イスラム教指導者)によって広められることが多い。

そうした変化の兆候は至るところで見られる。

マレーシア北東部のケランタン州は国内で最も保守的な地域の一つで、スーパーマーケットのレジは性別によって分けられている。また、男性が女子チームのネットボール大会を観戦することは禁じられている。昨年12月には、シャリアを適用したマレーシア初の航空会社が運航を開始した。この航空会社はイスラム教の教えに従い、機内食に豚肉を出さないほか、機内での飲酒は禁じられている。さらに、客室乗務員は頭をヒジャブで覆う決まりだ。

マレーシアの政治家はイスラム教の資格を誇示することを競い合っている。野党である全マレーシア・イスラム党はシャリアを遵守することで、農村地域で支持を広げている。また、最近はイスラム教を重視する与党の下、村のリーダーたちのためにイスラム教最大の聖地メッカへの大巡礼(ハッジ)資金を提供する目的で、政府系投資ファンドが立ち上げられた。

さらに、最近設立されたマレーシア・イスラム開発局は金曜日ごとに全国のモスク(礼拝所)で伝授される説教を作成している。

こうした動きに対し、一部のイスラム教学者や世論指導者たちは抵抗を始めており、イスラム教のアラブ化は行き過ぎだと指摘している。昨年、マハティール元首相の娘であるマリア・マハティール氏は国民に、信仰の本質よりも堅苦しい形式が教え込まれていると批判した。

治安当局者らは、こうした環境の変化を受けて若いイスラム教徒が信仰の厳格化に突き動かされていると懸念している。治安部隊は中東の過激派組織「イスラム国」(IS)に関係している疑いで120人以上を拘留している。それ以外にも大勢がイスラム国に参加するためマレーシアからシリアに渡っている。

シャーマニズムをはじめとする伝統的な風習を守っている国民にとって、こうした変化は暮らしを複雑なものにしている。

クアラルンプール近郊にあるマレーシア国民大学で最近開かれた医学会議に医者や心理学者が集まって、コーランの解釈がさまざまな病気にいかに役立つかについて耳を傾けた。

ケランタン州ではこうした変化も顕著だ。イスラム教を重視する地元政府は伝統的な治療の儀式を違法とし、こうした伝統的やり方を踏襲する人々は隠れて行わざるを得なくなっている。

イスラム教徒のケラナさんは、自分のサービスには安定した需要があると話す。ケラナさんの実践には、性生活や事業に問題を抱えた患者のカウンセリングが含まれる。

一方、この国で呪医と称されるシャーマンの中には、警察沙汰になる人もいる。宗教当局は4月に、有名なシャーマンのイブラヒム・マット・ジン氏が行方不明のマレーシア航空370便の所在を突き止めるため竹製の双眼鏡とココナツ2つを使って儀式を行ったことについて、イスラム教の教えから逸脱していると指摘した。

しかし、ケラナさんは呪文やまじないの儀式にしても、コーランの解釈にしても、顧客の望みに応じる意向だ。「顧客が望むなら、やらない手はない」と話す。

ケラナさんには熱心なファンがついている。顧客の中には政治家も大勢含まれている。

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