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“自由”に踏みとどまった台湾

台湾では総統選挙と立法院選挙が同時に行われた。下馬評通り、次期総統には蔡英文女史(民進党)が当選、立法院の与党には過半数以上を制した民進党が躍り出た。民進党の地滑り的勝利は北東アジアの地政学的変化を表している。

台湾総統選、民進党・蔡氏が圧勝 中国は独立の動きけん制 2016年 01月 18日 06:44 JST ロイター

台湾2016年立法院選挙結果(一院制 定数113・過半数57)
民主進歩党(中道左派・リベラル 泛緑連盟) 68
国民党(中道右派・保守 泛藍連盟) 35
時代力量(中道左派・ポピュリズム) 5
親民党(保守 泛藍連盟) 3
無党団結連盟(保守) 1
無所属 1
※泛緑連盟は台湾独立志向、泛藍連盟は中国統一志向

もともと民進党は反原発(台湾第4原発の凍結)、軍隊内部の人権擁護(洪仲丘事件)、LGBTの容認姿勢などを掲げており、左翼・リベラル的色彩が濃いにも関わらず、我が国の中道右派・保守が支持するというねじれ現象が起きていた。この現象は自由と民主主義の価値尊重、安全保障の必要性の観点から起きており、これらを無視する我が国の極左・リベラル勢力は民進党に目立ったアプローチをしていない。

支那大陸とその周縁部では政治的自由が死につつあることを考慮すれば、台湾が踏みとどまったことはもっと重要視されて良い。特に、“雨傘革命”(香港)と“ひまわり学生運動”(台湾)が起きた2014年は、両者の分岐点として記憶されることになるだろう。二つの運動は共に違法な示威行動であったが、それだけ切羽詰まった状況だったことを示しており、ここで反転攻勢できたかが違いを生んだ。

香港では中国共産党を批判する独立資本系書店の店員が当局に拘束されて、言論の自由はほぼ死んだ。韓国では従軍慰安婦問題で国内における主流見解と異なった論を著した大学教授が刑事告訴されて、言論の自由が怪しくなっている。

言論の自由の侵害とは、公に当たる行政府、立法府、司法府が言論機関の閉鎖、出版物の発刊停止、記事に対する事前閲覧と訂正削除の強制、記者の拘束をする場合を指すので、香港の自由が瀕死であることが窺える。

安全保障では台湾海峡が地政学的リスクとして急浮上する。注目されるべきは金門島であろう。金門島~福建省間の給水が2016年のうちに開始される予定だ。これに依存することになれば、給水制限を受けたり、給水停止されるだけで金門島は死命を決せられるようになる。

参考URL:
蔡英文候補、総統府前広場での最終演説全文(日本語訳) 2016年1月16日 日本李登輝友の会
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