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タイ海軍の憂鬱、その幕間劇

中共のメディア新浪網は、タイ海軍向けに039A型(元型)潜水艦3隻の売却が確定しており、これによってタイと米国の同盟関係が損なわれ、中共にとって利益がある旨、報道している。しかし、タイの潜水艦購入計画は2015年7月から進展が見られていなかった。

大陸国家と海洋国家の間に立つタイの政治の混迷は、内政ではタクシン派と反タクシン派の派閥抗争、外交では日中の投融資競争に現れており、潜水艦購入計画もその流れで頓挫している。

中国がタイに潜水艦を売却へ 「米タイ同盟関係を破壊だ」=中国メディアが「大はしゃぎ」 2016-03-14 16:27 サーチナ

もともとタイは、ドイツから中古の206型潜水艦を6隻購入しようとしていた。ドイツ海軍の206型潜水艦は、2010年以降に6隻退役が決まり、タイ海軍はこれらを購入して、2013年9月までに配備を目指していた。しかし、タクシン派と反タクシン派の派閥抗争に巻き込まれる形で購入計画は頓挫しており、中共から輸出用潜水艦039A型(元型)3隻を購入することになっていた。

2014年7月にタイ海軍は潜水艦を保有しないまま、潜水艦部隊司令部を開設、並びに訓練施設を建設してまで、潜水艦の輸入を切望している。しかし、2015年7月には費用を再検討するとして、一時保留となって以来、音沙汰がなかった(2015年7月3日のエントリー参照)。

一時保留になった契約内容は、039A型(元型)潜水艦を25年分割払い・無利子償還で3隻購入し、運用期間中のメンテナンス保証を付け、購入金額の約3倍にも及ぶタイの物産購入を約束する、という破格の条件であった。

これだけの好条件が保留となった背景には、タイ海軍の政治力の弱さもある。

タイ海軍は、第2次大戦までは日本から購入した艦船を使って、フランス・ヴィシー政権の海軍とも交戦している。しかし、戦後のピブン政権時代にクーデター未遂事件(マンハッタン反乱)を起こして、陸軍に制圧されて組織が解体されてしまった。

練度の積み重ねに時間の掛かる海軍にとって、これは致命的で、陸軍・空軍・警察(タイでは首相直属で階級も将官と佐官となっている)に比べて劣り、空母チャクリ・ナルエベトがチャワリット政権下の1997年に就役したが、アジア通貨危機にぶつかり、予算縮小の煽りを受けて、艤装がままならなかった。同時期に、空母の直衛艦としてタイと中国で共同開発されたフリゲートも同様の経緯をたどった(2015年7月24日のエントリー参照)。

現在、幕間劇の時間となっているタイ海軍の潜水艦購入が実現した場合、上記のような空母やフリゲート同様の喜劇に終わる可能性は高い。

すでにベトナムはロシアからキロ級潜水艦を購入して、インドから人材育成のスキームを受け入れている。緩衝国のカンボジアを挟んで、ベトナムへの警戒心は強いタイにとっては、タクシン派と反タクシン派の派閥抗争が自らの首を絞める結果になっている。第2次大戦でも最終的に連合国側に滑り込んだバランス外交も現時点では裏目に出ているのではなかろうか。
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